JP2015135242A - レーダ装置、及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】更新頻度を向上させることが可能なレーダ装置を提供することである。【解決手段】本発明にかかるレーダ装置1は、アレイアンテナ10、送信部13、受信信号生成部16、逐次積分処理部18、目標検出部20、及び制御部21を備える。送信部13は、単位PRI内に、各々の目標に順次、送信パルスを送信する。受信信号生成部16は、受信した各々の信号43_1〜43_Nを用いて、各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成する。逐次積分処理部18は、各々の目標に対応した受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分する。制御部21は、各々の目標に送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定し、また、各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する。【選択図】図1
Description
本発明はレーダ装置、及びその制御方法に関し、特にアレイアンテナを備えるレーダ装置、及びその制御方法に関する。
一般的に、レーダ装置は、空間に電波を発射して、目標で反射した反射信号を受信することで、目標の存在を探知し、その位置、運動状況などを観測する。特許文献1及び特許文献2には、アレイアンテナを備えるレーダ装置に関する技術が開示されている。
特許文献1には、アレイアンテナの各アンテナ素子に対応して設けられた移相器を用いて送信パルス信号の位相制御を行い、任意の方向に送信ビームを形成して目標を捕捉・追尾するレーダ装置が開示されている。特許文献2には、ビーム形成を行なう受信手段を複数備えなくても、複数の目標を短時間で検出することが可能なDBFレーダ装置が開示されている。
アレイアンテナを備えるレーダ装置では、M個の目標を追尾する場合、まず、目標#1が存在する方向に対して一定数の送信パルスを連続して照射し、その後、目標#2、目標#3、・・・、目標#Mに、それぞれ一定数の送信パルスを連続して照射している。そして、全ての目標に送信パルスを照射した後、再度、目標#1に対して一定数の送信パルスを連続して照射する動作を繰り返す。
ここで、特定の目標を検出するためには、一定の電力の送信パルスを特定の目標に照射する必要があるが、送信パルスの送信電力やパルス長は、発熱量や最小探知距離等の制約を受ける。このため、一般的には送信パルスを特定の目標に複数回送信し、特定の目標で反射した複数の受信パルスを加算して、特定の目標の検出に必要な電力を得るコヒーレント積分処理が行われている。
しかしながら、近年のレーダ装置では、探知距離の延伸等の要求に伴い、1つの目標を検出するために必要なパルス数が増大し、1つの目標の検出に必要な時間が長くなってきている。このため、各々の目標の位置情報の更新頻度が低下し、例えば、高速で移動する目標を正確に追尾することができない場合がある。
上記課題に鑑み本発明の目的は、更新頻度を向上させることができるレーダ装置、及びその制御方法を提供することである。
本発明にかかるレーダ装置は、アレイアンテナと、単位PRI内に、前記アレイアンテナから各々の目標に順次、送信パルスを送信する送信部と、前記各々の送信パルスが前記各々の目標で反射した各々の受信パルスを、前記単位PRI内に前記アレイアンテナで受信し、当該受信した各々の受信パルスを用いて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成する受信信号生成部と、前記各々の目標に対応した受信信号を前記目標毎に積分する逐次積分処理部と、前記逐次積分処理部で積分された各々の受信信号を用いて前記各々の目標を検出する目標検出部と、前記送信部および前記受信信号生成部を制御する制御部と、を備え、前記逐次積分処理部は、前記各々の目標に対応した前記受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分し、前記制御部は、前記目標検出部で検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記送信部が前記各々の目標に送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定し、且つ、前記目標検出部で検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記受信信号生成部において前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する。
本発明にかかるレーダ装置の制御方法は、単位PRI内に、アレイアンテナから各々の目標に順次、送信パルスを送信し、前記各々の送信パルスが前記各々の目標で反射した各々の受信パルスを、前記単位PRI内に前記アレイアンテナで受信し、当該受信した各々の受信パルスを用いて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成し、前記各々の目標に対応した前記受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分し、前記積分された各々の受信信号を用いて前記各々の目標を検出し、前記検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記各々の目標に送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定し、前記検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する。
本発明により、更新頻度を向上させることが可能なレーダ装置、及びその制御方法を提供することができる。
まず、本発明の骨子について説明する。図1は、本発明にかかるレーダ装置の概要を説明するためのレーダ装置1のブロック図である。図1に示すように、レーダ装置1は、アレイアンテナ10、送信部13、受信信号生成部16、逐次積分処理部18、目標検出部20、及び制御部21を備える。
送信部13は、単位PRI(Pulse Repetition Interval)内に目標数に対応するパルス列を発生させ、アレイアンテナ10に対し送信パルス42として出力する。アレイアンテナ10は、送信部13から供給された送信パルス42を、各々の目標の方位に対し放射する。
アレイアンテナ10はN個の受信アンテナ素子(不図示)で各々の目標からの反射信号を含む受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを受信する。受信信号生成部16は送信周波数情報51と受信ビーム情報52に基づき、受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを各々の目標に対応した方向からの受信信号として合成する。
逐次積分処理部18は、各々の目標に対応した受信信号を目標毎に積分する。このとき、逐次積分処理部18は、各々の目標に対応した積分範囲を更新して当該積分範囲の受信信号を積分する(つまり、各々の目標に対応した積分範囲をスライドさせながら更新して当該積分範囲の受信信号を積分する)。目標検出部20は、逐次積分処理部18で積分された信号を用いて各々の目標を検出する。
制御部21は、送信部13および受信信号生成部16を制御する。すなわち、制御部21は、目標検出部20で検出された各々の目標の位置に応じて、送信部13が各々の目標に対応して生成する送信パルス42の送信タイミングおよび送信方向を決定する。更に、制御部21は、目標検出部20で検出された各々の目標の位置に応じて、受信信号生成部16において各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する。
このように、本発明にかかるレーダ装置では、単位PRI内に、アレイアンテナ10から各々の目標に順次、送信パルス42を送信し、当該各々の送信パルスが各々の目標で反射した信号をアレイアンテナ10で受信している。そして、アレイアンテナ10が受信した信号を元に、各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成し、各々の目標に対応した受信信号を目標毎に積分している。このとき、逐次積分処理部18は、各々の目標に対応した積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲の受信信号を積分(逐次積分)している。
すなわち、本発明にかかるレーダ装置では、送信パルスを短いパルスに分解したパルス列とし、分解された各々の短い送信パルスを単位PRI内に各々の目標に送信している。そして、逐次積分処理部18において、各々の目標に対応した受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分している。つまり、最新の受信信号を含む所定の数の受信信号を積分している。よって、各々の目標の位置情報の更新を短い間隔で行うことができるので、レーダ装置の更新頻度を向上させることができる。
以下、実施の形態1および実施の形態2において、本発明の詳細な構成について説明する。以下で説明する本発明の実施の形態1にかかるレーダ装置2(図2参照)では、受信信号生成部16として、時分割ビーム形成部14と受信部15(第1の受信部)とを備える構成について説明する。実施の形態1にかかるレーダ装置2において、時分割ビーム形成部14は、各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成する際、アナログ信号の受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを処理して受信信号(ビーム形成後)44を生成する。
また、以下で説明する本発明の実施の形態2にかかるレーダ装置3(図17参照)では、受信信号生成部16として、受信部81(第2の受信部)と時分割DBF処理部82とを備える構成について説明する。実施の形態2にかかるレーダ装置3では、時分割DBF処理部82は、各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成する際、デジタル信号の受信信号91_1〜91_Nを処理して受信信号(ビーム形成後)92を生成する。
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1にかかるレーダ装置2を示すブロック図である。図2に示すように、本実施の形態にかかるレーダ装置2は、受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、送信パルス生成部11、時分割ビーム方向制御部12、時分割ビーム形成部14、受信部15、積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、目標検出部20、及び制御部21を備える。受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、時分割ビーム方向制御部12、及び時分割ビーム形成部14が、一般的に空中線部22を構成する。積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、及び目標検出部20が、一般的に信号処理部23を構成する。
図2は、実施の形態1にかかるレーダ装置2を示すブロック図である。図2に示すように、本実施の形態にかかるレーダ装置2は、受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、送信パルス生成部11、時分割ビーム方向制御部12、時分割ビーム形成部14、受信部15、積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、目標検出部20、及び制御部21を備える。受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、時分割ビーム方向制御部12、及び時分割ビーム形成部14が、一般的に空中線部22を構成する。積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、及び目標検出部20が、一般的に信号処理部23を構成する。
また、図2に示す受信アレイアンテナ10_1および送信アレイアンテナ10_2は、図1に示すアレイアンテナ10に対応している。図2に示す送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12は、図1に示す送信部13に対応している。図2に示す時分割ビーム形成部14および受信部15は、図1に示す受信信号生成部16に対応している。
受信アレイアンテナ10_1はN個のアンテナ素子(不図示)を備え、目標からの反射信号を含んだ信号を受信し、受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nとして時分割ビーム形成部14に出力する。受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nは、受信アレイアンテナ10_1が備えるアンテナ素子の各々から出力された信号に対応している。
送信アレイアンテナ10_2はN個のアンテナ素子(不図示)を備え、時分割ビーム方向制御部12から出力された送信パルス42_1〜42_Nを対応した各々のアンテナ素子から送信する。送信パルス42_1〜42_Nは、送信アレイアンテナ10_2が備えるアンテナ素子の各々から送信されるパルス信号に対応している。
なお、図2では、受信用の受信アレイアンテナ10_1と送信用の送信アレイアンテナ10_2とを備える例を示したが、1つのアレイアンテナを用いて、送信パルスの送信および目標からの反射信号(到来信号)の受信を行うようにしてもよい。この場合は、アレイアンテナが備える複数のアンテナ素子毎にサーキュレータを設け、サーキュレータを用いて送受信の切り替えを行う。また、図2では、送信に用いるアンテナ素子の数と受信に用いるアンテナ素子の数を共にNとした。しかし、送信に用いるアンテナ素子の数と受信に用いるアンテナ素子の数は互いに異なっていてもよい。
送信パルス生成部11は、制御部21から出力された送信パルス情報53に基づき目標数に対応するパルス列を発生させ、送信アレイアンテナ10_2のアンテナ素子に対応する送信パルス(方向制御前)41_1〜41_Nとして時分割ビーム方向制御部12に出力する。ここで、送信パルス情報53には、送信パルスの数に関する情報、送信パルスのパルス幅に関する情報、及び各送信パルスの送信タイミングに関する情報が含まれている。
時分割ビーム方向制御部12は、送信パルス生成部11で生成された送信パルス41_1〜41_Nを、制御部21から出力された送信方向情報54に応じて制御し(つまり、送信アレイアンテナから送信する際のビームの指向方向を制御し)、送信パルス(方向制御後)42_1〜42_Nとして送信アレイアンテナ10_2に出力する。時分割ビーム方向制御部12は、例えば複数の移相器や複数の遅延線路を用いて構成することができる。
図3は、本実施の形態にかかるレーダ装置が備える時分割ビーム方向制御部12の一例を示すブロック図である。図3では、複数の移相器25_1〜25_Nを用いて時分割ビーム方向制御部12を構成した例を示している。送信パルス生成部11は、送信パルス情報53に応じて送信パルス41_1〜41_Nを生成し、生成した送信パルス41_1〜41_Nを各々の移相器25_1〜25_Nに出力する。
移相器25_1〜25_Nは、送信アレイアンテナ10_2が備えるアンテナ素子と対応するように設けられ、送信パルス生成部11で生成された送信パルス41_1〜41_Nの位相を、送信方向情報54に応じて制御する。送信方向情報54は、送信アレイアンテナ10_2が形成する送信ビームの方向に関する情報であり、この場合は各々の移相器25_1〜25_Nで制御される位相情報である。つまり、送信パルス生成部11で生成された送信パルス41_1〜41_Nの位相を、各々の移相器25_1〜25_Nを用いて調整することで、送信アレイアンテナ10_2が形成する送信ビームの方向を調整することができる。送信パルス42_1〜42_Nは位相調整後の送信パルスを示している。
例えば、送信パルス生成部11は、目標#1に送信パルスを送信する場合、目標#1に対応した送信パルス情報53(送信タイミング情報)に応じて短い送信パルスを発生させ、送信アレイアンテナ10_2のアンテナ素子に対応する送信パルス41_1〜41_Nを生成する。そして、時分割ビーム方向制御部12は、目標#1の方向に対応した送信方向情報54(位相情報)に基づき、送信パルス41_1〜41_Nの位相を各々の移相器25_1〜25_Nを用いて調整する。同様に、送信パルス生成部11は、目標#2に送信パルスを送信する場合、目標#2に対応した送信パルス情報53(送信タイミング情報)に応じて短い送信パルスを発生させ、送信アレイアンテナ10_2のアンテナ素子に対応する送信パルス41_1〜41_Nを生成する。そして、時分割ビーム方向制御部12は、目標#2の方向に対応した送信方向情報54(位相情報)に基づき、送信パルス41_1〜41_Nの位相を各々の移相器25_1〜25_Nを用いて調整する。
各々の目標#1〜#M(本実施の形態では、目標の数をM(自然数)とする)にパルスを送信するとき、御御部21から送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12に、各々の目標#1〜#Mに対応した送信パルス情報53および送信方向情報54が、目標#1〜#M毎に時分割で供給される。なお、図2、図3では、送信パルス生成部11が各々の送信パルス41_1〜41_Nを時分割ビーム方向制御部12に供給する場合を示した。しかし、本実施の形態では、送信パルス生成部11が同一の送信パルスを生成し、この同一の送信パルスを時分割ビーム方向制御部12において分岐するように構成してもよい。例えば、図3において、送信パルス生成部11で生成された同一の送信パルスを分岐して、各々の移相器25_1〜25_Nに供給するように構成してもよい。
時分割ビーム形成部14は、受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを入力し、制御部21から出力された受信ビーム情報52に応じて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号(ビーム形成後)44をそれぞれ形成する。ここで、受信ビーム情報52には受信タイミング情報および受信ビーム方向情報が含まれる。
例えば、時分割ビーム形成部14に、目標#1に対応した受信ビーム情報52(受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)が供給された場合、時分割ビーム形成部14は、受信タイミング情報に対応したタイミングに供給された受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを用いて受信信号(ビーム形成後)44を形成する。このとき、時分割ビーム形成部14は、目標#1に対応した受信ビーム方向情報に基づいて、受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nに重み付けを行い、重み付けした後の受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを合成することで、目標#1に対応した方向に受信ビームを形成する。このような処理により、時分割ビーム形成部14は、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号(ビーム形成後)44を形成する。
受信部15は、時分割ビーム形成部14で形成された受信信号(ビーム形成後)44に対してダウンコンバート処理等の所定の処理を行う。図4は、本実施の形態にかかるレーダ装置が備える受信部15の一例を示すブロック図である。図4に示すように、受信部15は、ダウンコンバータ31、帯域通過フィルタ32、及びAD変換器33を備える。
ダウンコンバータ31は、時分割ビーム形成部14で形成された受信信号(ビーム形成後)44の周波数を中間周波数に変換するダウンコンバート処理を行う。帯域通過フィルタ32は、ダウンコンバート処理後の信号に含まれる不要な周波数帯域の信号を除去し、必要な周波数帯域の信号のみを出力する。
ダウンコンバータ31および帯域通過フィルタ32には、制御部21から送信周波数情報51が供給される。つまり、ダウンコンバータ31は、送信パルス41_1〜41_Nの周波数に応じたダウンコンバート処理を行う。このとき、ダウンコンバータ31は、送信パルスの送信周波数情報51を用いて、ダウンコンバート処理をする際の目標周波数を決定する。また、帯域通過フィルタ32は、送信パルス41_1〜41_Nの周波数に応じて、不要な周波数帯域の信号を除去する。このとき、帯域通過フィルタ32は、送信パルスの送信周波数情報51を用いて、必要な周波数帯域(換言すると、不要な周波数帯域)を決定する。
AD変換器33は、帯域通過フィルタ32から出力された信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。AD変換後の信号は、受信信号45として受信部15から積分前信号処理部17に出力される。
図2に示す積分前信号処理部17は、受信部15から出力された受信信号45(デジタル信号)に対してパルス圧縮処理や干渉除去処理などを行う。
逐次積分処理部18は、積分前信号処理部17から出力された受信信号46に対して積分処理を実施する。このとき、逐次積分処理部18は、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号46を目標#1〜#M毎に積分する。また、逐次積分処理部18は、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号46を積分する際、各々の目標#1〜#Mに対応した所定の数の受信信号を更新して積分する。換言すると、逐次積分処理部18は、各々の目標#1〜#Mに対応した積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲の受信信号を積分する。
逐次積分処理部18で積分する各々の目標#1〜#Mに対応した所定の数の受信信号には、各々の目標#1〜#Mに対応した最新の受信信号が含まれる。逐次積分処理部18において積分する受信信号の数(つまり、積分範囲)は、制御部21から供給される積分パルス数情報55を用いて設定される。
逐次積分処理部18は、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号に対して、位相を考慮したコヒーレント積分を行なっている。コヒーレント積分は同一の繰り返し周期の送信パルスに対応して受信される受信パルスの振幅を加算してS/Nを向上させる処理である。
積分後信号処理部19は、逐次積分処理部18から出力された受信信号47に対してクラッタ抑圧処理や積分処理(コヒーレント積分処理以外の積分処理)などを行う。
目標検出部20は、積分後信号処理部19から出力された各々の受信信号48を用いて各々の目標#1〜#Mを検出する。例えば、目標検出部20は、積分後信号処理部19から出力された各々の受信信号48を予め定められた閾値と比較し、受信信号48がこの閾値よりも大きいか否かを判定して各々の目標#1〜#Mを検出してもよい。なお、目標検出部20で検出された各々の目標#1〜#Mは、表示部(不図示)に表示されるように構成してもよい。
制御部21は、目標検出部20から出力された検出信号49に応じて、送信パルス生成部11、時分割ビーム方向制御部12、時分割ビーム形成部14、受信部15、及び逐次積分処理部18を制御する。つまり、制御部21は、目標検出部20で検出された各々の目標#1〜#Mの位置に応じて、送信パルス41_1〜41_Nの送信パルス情報および送信方向情報を決定する。ここで、送信パルス情報には、送信パルスの数に関する情報、送信パルスのパルス幅に関する情報、及び各送信パルスの送信タイミングに関する情報が含まれている。送信パルス情報53および送信方向情報54はそれぞれ、送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12に出力される。
また、制御部21は、目標検出部20で検出された各々の目標#1〜#Mの位置に応じて、時分割ビーム形成部14において各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームを形成する際の、受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する。これらの情報(つまり、受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)は、受信ビーム情報52として時分割ビーム形成部14に供給される。
また、制御部21は、受信部15に送信周波数情報51を、逐次積分処理部18に積分パルス数情報55を、それぞれ供給する。
図5は、本実施の形態にかかるレーダ装置2が備える制御部21の一例を示すブロック図である。図5に示すように、制御部21は、追尾処理部35と、リソース配分処理部36と、ビーム制御部37とを備える。追尾処理部35は、目標検出部20で検出された各々の目標#1〜#Mの位置に基づき、各々の目標#1〜#Mの位置を継続して把握する追尾処理を行う。
リソース配分処理部36は、目標#1〜#Mの数と当該目標#1〜#Mの位置とに応じて、送信アレイアンテナ10_2から送信する送信パルスの幅、送信パルスの数、及び逐次積分処理部18で積分する受信信号のパルス数(つまり、積分範囲)を決定する。ビーム制御部37は、リソース配分処理部36で決定されたリソース配分に基づき、受信部15に供給する送信周波数情報51、時分割ビーム形成部14に供給する受信ビーム情報52(受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)、送信パルス生成部11に供給する送信パルス情報53、時分割ビーム方向制御部12に供給する送信方向情報54、及び逐次積分処理部18に供給する積分パルス数情報55をそれぞれ生成する。
次に、図1、図2に示すレーダ装置の動作(つまり、レーダ装置の制御方法)について、図6に示すフローチャート及び図7〜図9を用いて説明する。図6に示す処理の前に、前処理として予め目標#1〜#Mのおおよその位置を検出しておく。この検出処理は、レーダ装置2を用いて全域を走査することで実施することができる。また、他のレーダ装置から目標#1〜#Mのおおよその位置情報を取得するようにしてもよい。
図6に示すように、まず、送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12(以下、送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12を送信部13と記載する)は、送信アレイアンテナ10_2から各々の目標#1〜#Mに送信パルスを送信する(ステップS1)。このとき、送信部13は、図7、図8に示すように、各々の目標#1〜#Mに順次、送信パルス60_1〜60_Mを送信する。例えば、図8に示す場合は、送信部13は、目標#1、目標#2、・・・、目標#Mの順に、送信パルス60_1〜60_Mを送信している。なお、各々の目標#1〜#Mに送信パルスを送信する順番はこの順番に限定されることはなく、各々の目標#1〜#Mの位置などを考慮して任意に決定することができる。
例えば、図8に示すタイミングt1において、送信部13に、目標#1に対応した送信タイミング情報(送信パルス情報53に含まれる情報であり、以下、送信タイミング情報53とも記載する)および目標#1の方向に関する送信方向情報54が供給されると、送信部13は、目標#1に送信パルス60_1を送信する。同様に、タイミングt2において、送信部13に、目標#2に対応した送信タイミング情報53および目標#2の方向に関する送信方向情報54が供給されると、送信部13は、目標#2に送信パルス60_2を送信する。
各々の送信パルス60_1〜60_Mは、単位PRI内(つまり、1PRI内)に、目標#1〜#Mに送信される。このように本実施の形態では、送信パルスを短い送信パルスに分解し、短い送信パルス毎に送信パルスの送信方向を変更している。
次に、図7に示すように、各々の送信パルス60_1〜60_Mが各々の目標#1〜#Mで反射して戻ってきた各々の受信パルス61_1〜61_Mを受信し、当該各々の受信パルス61_1〜61_Mを用いて受信信号(ビーム形成後)を生成する(図6のステップS2)。このとき、時分割ビーム形成部14は、受信アレイアンテナ10_1で受信した受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nを用いて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームをそれぞれ形成する。そして、時分割ビーム形成部14において受信ビームを形成した後、受信部15および積分前信号処理部17において所定の処理を行うことで受信信号46を生成する。
本実施の形態にかかるレーダ装置2では、前回の処理により検出した各々の目標#1〜#Mの位置を用いて、次に各々の目標#1〜#Mから戻ってくる受信パルス61_1〜61_Mの受信タイミングと受信方向とを想定して、受信ビーム情報52(受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)を生成している。時分割ビーム形成部14は、受信タイミング情報および受信ビーム方向情報に基づいて、時分割で受信ビームを形成する。
例えば、図8に示すタイミングt3において、時分割ビーム形成部14に、目標#1の受信タイミング情報および目標#1の受信ビーム方向情報が供給されると、時分割ビーム形成部14は、目標#1に対応した受信ビームを形成する。同様に、タイミングt4において、時分割ビーム形成部14に、目標#2の受信タイミング情報および目標#2の受信ビーム方向情報が供給されると、時分割ビーム形成部14は、目標#2に対応した受信ビームを形成する。なお、図8に示す矢印62_1〜62_Mは、各々の目標#1〜#Mに送信パルス60_1〜60_Mを送信してから、受信パルス61_1〜61_Mを受信するまでの時間(=目標までの距離×2/光速)を示している。
各々の受信パルス61_1〜61_Mは、単位PRI内(つまり、1PRI内)に、受信される。すなわち、本実施の形態では、単位PRI内に、送信パルス60_1〜60_Mの送信と受信パルス61_1〜61_Mの受信を行っている。
次に、逐次積分処理部18において、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号46を目標#1〜#M毎に積分する(ステップS3)。つまり、図9に示すように、今回受信した受信パルス#1〜#M(符号64で示す)を含めて、過去に受信した受信パルス#1〜#Mを所定の数だけ積分する。図9に示す場合は、Pヒット分の受信パルスを目標#1〜#M毎に積分している(このときの積分時間(積分範囲)を符号63_1で示す)。換言すると、目標#1に対応した受信パルスを、今回受信した受信パルス#1(符号64で示す)を含めてPヒット分、積分している。同様に、目標#2に対応した受信パルスを、今回受信した受信パルス#2(符号64で示す)を含めてPヒット分、積分している。
その後、逐次積分処理部18で積分された各々の受信信号を用いて、各々の目標#1〜#Mを検出する(ステップS4)。そして、検出された各々の目標#1〜#Mの位置に応じて、送信部13が各々の目標#1〜#Mに送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定する(ステップS5)。これらの情報、つまり、送信タイミング情報53および送信方向情報54は、送信部13に供給される。また、検出された各々の目標#1〜#Mの位置に応じて、時分割ビーム形成部14において各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームを形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する(ステップS6)。これらの情報(つまり、受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)は、受信ビーム情報52として時分割ビーム形成部14に供給される。
その後、ステップS1に戻り、再度、各々の目標#1〜#Mに送信パルスを送信する。このとき、送信部13は、前回のステップS5で決定された、各々の目標#1〜#Mに対応した送信タイミング情報および各々の目標#1〜#Mの方向に関する送信方向情報(つまり、最新の送信タイミング情報および送信方向情報)を用いて、各々の目標#1〜#Mに送信パルス60_1〜60_Mを送信する。
次に、各々の目標#1〜#Mで反射して戻ってきた受信パルス61_1〜61_Mを受信し、当該各々の受信パルス61_1〜61_Mを用いて受信信号を生成する(ステップS2)。このとき、時分割ビーム形成部14は、前回のステップS6で決定された、各々の目標#1〜#Mに対応した受信タイミング情報および受信ビーム方向情報(つまり、最新の受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)を用いて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームを形成する。そして、時分割ビーム形成部14において受信ビームを形成した後、受信部15および積分前信号処理部17において所定の処理を行うことで受信信号を生成する。
次に、逐次積分処理部18において、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号を目標#1〜#M毎に積分する(ステップS3)。つまり、図9に示すように、今回受信した受信パルス#1〜#M(符号65で示す)を含めて、過去に受信した受信パルス#1〜#Mを所定の数だけ積分する(このときの積分時間(積分範囲)を符号63_2で示す)。このように、本実施の形態にかかるレーダ装置では、逐次積分処理部18で各々の目標#1〜#Mに対応した所定の数の受信パルス(受信信号)を積分する際に、各々の目標#1〜#Mに対応した最新の受信信号を含めて積分している。換言すると、受信信号の積分範囲をスライドさせながら積分処理を実施している。
以降、ステップS4〜S6の動作を繰り返し、更にステップS1へと戻り、ステップS1〜S6の動作を更に繰り返して、各々の目標#1〜#Mの位置を更新し続ける。
このとき、逐次積分処理部18は、単位PRI毎に目標#1〜#M毎の受信信号の積分結果を出力し、目標検出部20は、単位PRI毎に各々の目標#1〜#Mの検出処理を実施している。また、制御部21は、送信部13が送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を、単位PRI毎に決定している。更に、制御部21は、時分割ビーム形成部14において受信ビームを形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を、単位PRI毎に決定している。すなわち、図6に示すステップS1〜S6の処理は、単位PRI当たりの処理に対応している。
このように、本実施の形態にかかるレーダ装置では、単位PRI内に、アレイアンテナから各々の目標#1〜#Mに順次、送信パルスを送信し、当該各々の送信パルスが各々の目標#1〜#Mで反射した信号をアレイアンテナでそれぞれ受信している。そして、アレイアンテナで受信した信号を用いて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成し、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号を目標毎に積分している。このとき、逐次積分処理部18は、各々の目標#1〜#Mに対応した積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲の受信信号を積分(逐次積分)している。
すなわち、本実施の形態にかかるレーダ装置では、送信パルスを短いパルスに分解し、単位PRI内に、短い送信パルスを各々の目標#1〜#Mに送信している。そして、逐次積分処理部18において、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分(逐次積分)している。つまり、最新の受信信号を含む所定の数の受信信号を積分している。よって、各々の目標#1〜#Mの位置情報の更新を短い間隔(単位PRI毎)で行うことができるので、レーダ装置の更新頻度を向上させることができる。
次に、比較例について図10、図11を用いて説明する。図10に示すように、比較例にかかるレーダ装置101は、アレイアンテナ110、送信部113、受信信号生成部116、積分処理部118、目標検出部120、及び制御部121を備える。
ここで、送信部113、受信信号生成部116、積分処理部118、目標検出部120、及び制御部121は、図1に示したレーダ装置1が備える送信部13、受信信号生成部16、逐次積分処理部18、目標検出部20、及び制御部21と比べて一部の動作が異なる。更に、比較例にかかるレーダ装置101では、制御部121が受信信号生成部116に受信ビーム情報を出力していない点、また制御部121が積分処理部118に積分パルス数情報を出力していない点が、図1、図2に示したレーダ装置と異なる。
図11は、比較例にかかるレーダ装置101の動作を説明するためのタイミングチャートである。図11に示すように、レーダ装置101は、各々の目標#1〜#Mの位置を検出する際に、まず目標#1に対して所定の数の送信パルスを連続して送信し、当該送信パルスが目標#1で反射して戻ってきた受信パルスを連続して受信する。
つまり、レーダ装置101は、送信パルス#1_1を目標#1(送信方向#1)に送信し、その後、目標#1に対応した受信パルス#1_1を受信する。そして、受信信号生成部116において、受信パルス#1_1を用いて、目標#1に対応した受信ビーム(受信方向#1)を形成して受信信号を生成する。更に、積分処理部118において、受信パルス#1_1に対応した受信信号を積分する。
次に、レーダ装置101は、送信パルス#1_2を目標#1(送信方向#1)に送信し、その後、目標#1に対応した受信パルス#1_2を受信する。そして、受信信号生成部116において、受信パルス#1_2を用いて、目標#1に対応した受信ビーム(受信方向#1)を形成して受信信号を生成する。更に、積分処理部118において、受信パルス#1_2に対応した受信信号を積分する。
このように、レーダ装置101は、各々の目標#1〜#Mの位置を検出する際に、まず目標#1に対して複数の送信パルス#1_1〜#1_Pを送信し、受信パルス#1_1〜#1_Pを受信し、受信パルス#1_1〜#1_Pに対応した受信信号を積分している。このとき、レーダ装置101は、単位PRI内に、送信パルス#1_1を目標#1に送信し、受信パルス#1_1を受信している。よって、目標#1の検出に必要な時間は、Pヒット×PRIとなる。
次に、レーダ装置101は、目標#2の位置を検出するために、目標#2に対して複数の送信パルス#2_1〜#2_Pを送信し、受信パルス#2_1〜#2_Pを受信し、受信パルス#2_1〜#2_Pに対応した受信信号を積分する。この場合も、目標#2の検出に必要な時間は、Pヒット×PRIとなる。
以降、同様の動作を繰り返すことで、各々の目標#1〜#Mの位置を検出する。すなわち、比較例にかかるレーダ装置101では、図13に示すように、各々の目標#1〜#Mを検出する際に、各々の目標を1つずつ順番に検出している。このとき、全ての目標#1〜#Mの位置を検出するために必要な時間、つまり1スキャンに必要な時間は、M(目標数)×Pヒット×PRIとなる(図11参照)。換言すると、比較例にかかるレーダ装置101では、目標#1〜#Mの位置の更新に必要な時間は、M(目標数)×Pヒット×PRIとなる。
これに対して本実施の形態にかかるレーダ装置では、単位PRI内に、各々の目標#1〜#Mに順次、送信パルスを送信し、当該各々の送信パルスが各々の目標#1〜#Mで反射した各々の受信パルスをそれぞれ受信している。
つまり、図12に示すように、比較例にかかるレーダ装置101では、単位PRI内において、1つの目標#1のみに送信パルス#1_1を送信し、1つの目標#1に対応した受信パルス#1_1を受信している。これに対して、本実施の形態にかかるレーダ装置では、送信パルスを短い送信パルスに分解し、単位PRI内に、短い送信パルスをそれぞれの目標#1〜#Mに送信している。また、単位PRI内に、各々の目標#1〜#Mに対応した受信パルスを受信している。そして、図9に示すように、各々の目標#1〜#Mに対応した所定の数の受信信号を更新して積分している。つまり、最新の受信信号を含むように積分範囲をスライドさせながら積分している。
このとき、本実施の形態にかかるレーダ装置における積分時間は、M(目標数)×Pヒット×PRIであり、比較例にかかるレーダ装置101において、全ての目標#1〜#Mの位置を検出するために必要な時間(図10の1スキャンに必要な時間)と同程度である。
このように、本実施の形態にかかるレーダ装置では、図14に示すように、各々の目標#1〜#Mを検出する際に、全ての目標#1〜#Mに短い送信パルスを送信し、各々の目標#1〜#Mに対応した受信信号を積分している。このとき、逐次積分処理部18において、各々の目標に対応した受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分している。よって、本実施の形態にかかるレーダ装置では、各々の目標の位置情報の更新を短い間隔で行うことができるので、レーダ装置の更新頻度を向上させることができる。
図15に示すように、比較例にかかるレーダ装置101では各々の目標の位置情報の更新に時間がかかるので、目標の更新間隔71が長くなる。このため、目標が高速で移動している際に急旋回した場合は、目標の実際の位置が位置73であるのに対して、レーダ装置101では目標の位置を位置72と予測するため、レーダ装置101は目標を追尾できなくなる。
これに対して、本実施の形態にかかるレーダ装置では、図16に示すように、比較例にかかるレーダ装置101と比べて目標の更新間隔75が短いので、目標が高速で移動している際に急旋回した場合であっても、目標を追尾することができる。
また、本実施の形態にかかるレーダ装置では、更新頻度を切り替えることができるように構成してもよい。例えば、目標の移動速度が速い場合は単位PRI毎に積分処理を行うことで更新回数を増やし、目標の移動速度が遅い場合は所定の数のPRI毎に積分処理を行うことで更新回数を少なくしてもよい。
近年のレーダ装置では、探知距離の延伸等の要求に伴い、1つの目標を検出するために必要なパルス数が増大し、1つの目標の検出に必要な時間が長くなってきている。このため、各々の目標の位置情報の更新頻度が低下し、例えば、高速で移動する目標を正確に追尾することができない場合があった。このような問題を解決する方法として、例えば、送信パルスの送信電力を増大させることで、目標の検出に必要なパルス数を減少させて測定時間を短くする方法や、送信系統を複数準備し同時に複数の送信パルスを形成する方法が考えられる。しかし、これらの方法はいずれもハードウェア規模の増大を招く。
一方、上記で説明した本実施の形態にかかるレーダ装置では、送信パルスの送信電力を増大させる必要がなく、また、送信系統を複数準備する必要もないため、ハードウェア規模を増大させることなく、レーダ装置の更新頻度を向上させることができる。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図17は、実施の形態2にかかるレーダ装置3を示すブロック図である。図17に示すように、本実施の形態にかかるレーダ装置3は、受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、送信パルス生成部11、時分割ビーム方向制御部12、受信部81、時分割DBF処理部82、積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、目標検出部20、及び制御部21を備える。受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、時分割ビーム方向制御部12は、一般的に空中線部22’を構成する。積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、及び目標検出部20は、一般的に信号処理部23を構成する。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図17は、実施の形態2にかかるレーダ装置3を示すブロック図である。図17に示すように、本実施の形態にかかるレーダ装置3は、受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、送信パルス生成部11、時分割ビーム方向制御部12、受信部81、時分割DBF処理部82、積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、目標検出部20、及び制御部21を備える。受信アレイアンテナ10_1、送信アレイアンテナ10_2、時分割ビーム方向制御部12は、一般的に空中線部22’を構成する。積分前信号処理部17、逐次積分処理部18、積分後信号処理部19、及び目標検出部20は、一般的に信号処理部23を構成する。
また、図17に示す受信アレイアンテナ10_1および送信アレイアンテナ10_2は、図1に示すアレイアンテナ10に対応している。図17に示す送信パルス生成部11および時分割ビーム方向制御部12は、図1に示す送信部13に対応している。図17に示す受信部81および時分割DBF処理部82は、図1に示す受信信号生成部16に対応している。
本実施の形態にかかるレーダ装置3は、実施の形態1で説明したレーダ装置2(図2参照)と比べて、受信部81および時分割DBF処理部82を備える点が異なる。これ以外は実施の形態1で説明したレーダ装置2と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
受信部81は、受信アレイアンテナ10_1で受信した受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nに対してダウンコンバート処理等の所定の処理を行う。図18は、本実施の形態にかかるレーダ装置が備える受信部81の一例を示すブロック図である。図18に示すように、受信部81は、ダウンコンバータ85_1〜85_N、帯域通過フィルタ86_1〜86_N、及びAD変換器87_1〜87_Nを備える。
ダウンコンバータ85_1、帯域通過フィルタ86_1、及びAD変換器87_1は、受信信号(ビーム形成前)43_1を処理して受信信号(AD変換後)91_1を生成する。ダウンコンバータ85_2、帯域通過フィルタ86_2、及びAD変換器87_2は、受信信号(ビーム形成前)43_2を処理して受信信号(AD変換後)91_2を生成する。このように、ダウンコンバータ85_1〜85_N、帯域通過フィルタ86_1〜86_N、及びAD変換器87_1〜87_Nは、受信信号(ビーム形成前)43_1〜43_Nと対応するように設けられている。
ダウンコンバータ85_1は、受信信号(ビーム形成前)43_1の周波数を中間周波数に変換するダウンコンバート処理を行う。帯域通過フィルタ86_1は、ダウンコンバート処理後の信号に含まれる不要な周波数帯域の信号を除去し、必要な周波数帯域の信号のみを出力する。
ダウンコンバータ85_1および帯域通過フィルタ86_1には、制御部21から送信周波数情報51が供給される。つまり、ダウンコンバータ85_1は、送信パルス41_1〜41_Nの周波数に応じたダウンコンバート処理を行う。このとき、ダウンコンバータ85_1は、送信パルスの送信周波数情報51を用いて、ダウンコンバート処理をする際の目標周波数を決定する。また、帯域通過フィルタ86_1は、送信パルス41_1〜41_Nの周波数に応じて、不要な周波数帯域の信号を除去する。このとき、帯域通過フィルタ86_1は、送信パルスの送信周波数情報51を用いて、必要な周波数帯域(換言すると、不要な周波数帯域)を決定する。
AD変換器87_1は、帯域通過フィルタ86_1から出力された信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。AD変換後の信号は、受信パルス91_1として時分割DBF処理部82に出力される。
ダウンコンバータ85_2〜85_N、帯域通過フィルタ86_2〜86_N、及びAD変換器87_2〜87_Nについても、上記の場合と同様である。
時分割DBF処理部82は、受信信号(AD変換後)91_1〜91_Nを用いて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームをそれぞれ形成するDBF(Digital Beam Forming)処理を実施する。
このとき、時分割DBF処理部82は、受信ビーム情報52(受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)に応じて、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号92を生成する。例えば、時分割DBF処理部82に、目標#1に対応した受信ビーム情報52(受信タイミング情報および受信ビーム方向情報)が供給された場合、時分割DBF処理部82は、受信タイミング情報に対応したタイミングに供給された受信信号(AD変換後)91_1〜91_Nを用いて受信ビームを形成する。このとき、時分割DBF処理部82は、目標#1に対応した受信ビーム方向情報に基づいて、受信信号(AD変換後)91_1〜91_Nに重み付けを行うことで、目標#1に対応した方向に受信ビームを形成する。このような処理により、時分割DBF処理部82は、各々の目標#1〜#Mに対応した受信ビームを形成する。
このように、本実施の形態にかかるレーダ装置3では、時分割DBF処理部82を用いて受信信号(ビーム形成後)92を生成している。時分割DBF処理部82は、デジタル信号を処理しているので、同時に複数の受信ビームを形成することができる。このため、複数の目標に対応した受信パルスが重なることを許容することができ、送信アレイアンテナ10_2から送信する送信パルスの配置の自由度を向上させることができる。
例えば、図19に示すように、目標#1〜#Mに対して送信パルス#1〜#Mを送信した場合、目標#1、#2の位置によっては、目標#1で反射した受信パルス#1と目標#2で反射した受信パルス#2とが重なる場合がある。受信パルス#1と受信パルス#2の受信タイミングが重なっている部分を符号95で示す。なお、図19では、説明のために目標#1の受信パルスの高さを低く記載している。このように、複数の受信パルスが重なっていると、実施の形態1で説明したレーダ装置2では時分割ビーム形成部14において受信信号を生成することができない。このため、受信パルス#1〜#Mが重ならないように送信パルス#1〜#Mを生成する必要があった。
これに対して本実施の形態にかかるレーダ装置3では、時分割DBF処理部82を用いて受信信号を生成している。時分割DBF処理部82は、デジタル処理を行っているので、同時に複数の受信ビームを形成することができる。よって、複数の目標に対応した受信パルスが重なることを許容することができ、送信パルスの配置の自由度を向上させることができる。
また、複数の目標を同時に検出することができるため、目標の総数や目標の更新レートに関係なく、目標がレーダ装置に対して一定距離であるとみなせる限界まで積分時間を延ばすことができる。よって、積分するパルス数を増加させることができ、ドップラ分解能や積分利得を向上させることができる。
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1、2、3 レーダ装置
10 アレイアンテナ
10_1 受信アレイアンテナ
10_2 送信アレイアンテナ
11 送信パルス生成部
12 時分割ビーム方向制御部
13 送信部
14 時分割ビーム形成部
15 受信部
16 受信信号生成部
17 積分前信号処理部
18 逐次積分処理部
19 積分後信号処理部
20 目標検出部
21 制御部
22、22’ 空中線部
23 信号処理部
25_1〜25_N 移相器
31 ダウンコンバータ
32 帯域通過フィルタ
33 AD変換器
35 追尾処理部
36 リソース配分処理部
37 ビーム制御部
41_1〜41_N 送信パルス(方向制御前)
42_1〜42_N 送信パルス(方向制御後)
43_1〜43_N 受信信号(ビーム形成前)
44 受信信号(ビーム形成後)
45、46、47、48 受信信号
49 検出信号
51 送信周波数情報
52 受信ビーム情報
53 送信パルス情報
54 送信方向情報
55 積分パルス数情報
60_1〜60_M 送信パルス
61_1〜61_M 受信パルス
63_1、63_2 積分時間(積分範囲)
71 更新間隔
72 目標の位置
73 目標の実際の位置
75 更新間隔
81 受信部
82 時分割DFB処理部
85_1〜85_N ダウンコンバータ
86_1〜86_N 帯域通過フィルタ
87_1〜87_N AD変換器
91_1〜91_N 受信信号(AD変換後)
92 受信信号(ビーム形成後)
10 アレイアンテナ
10_1 受信アレイアンテナ
10_2 送信アレイアンテナ
11 送信パルス生成部
12 時分割ビーム方向制御部
13 送信部
14 時分割ビーム形成部
15 受信部
16 受信信号生成部
17 積分前信号処理部
18 逐次積分処理部
19 積分後信号処理部
20 目標検出部
21 制御部
22、22’ 空中線部
23 信号処理部
25_1〜25_N 移相器
31 ダウンコンバータ
32 帯域通過フィルタ
33 AD変換器
35 追尾処理部
36 リソース配分処理部
37 ビーム制御部
41_1〜41_N 送信パルス(方向制御前)
42_1〜42_N 送信パルス(方向制御後)
43_1〜43_N 受信信号(ビーム形成前)
44 受信信号(ビーム形成後)
45、46、47、48 受信信号
49 検出信号
51 送信周波数情報
52 受信ビーム情報
53 送信パルス情報
54 送信方向情報
55 積分パルス数情報
60_1〜60_M 送信パルス
61_1〜61_M 受信パルス
63_1、63_2 積分時間(積分範囲)
71 更新間隔
72 目標の位置
73 目標の実際の位置
75 更新間隔
81 受信部
82 時分割DFB処理部
85_1〜85_N ダウンコンバータ
86_1〜86_N 帯域通過フィルタ
87_1〜87_N AD変換器
91_1〜91_N 受信信号(AD変換後)
92 受信信号(ビーム形成後)
Claims (9)
- アレイアンテナと、
単位PRI内に、前記アレイアンテナから各々の目標に順次、送信パルスを送信する送信部と、
前記各々の送信パルスが前記各々の目標で反射した各々の受信パルスを、前記単位PRI内に前記アレイアンテナで受信し、当該受信した各々の受信パルスを用いて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成する受信信号生成部と、
前記各々の目標に対応した受信信号を前記目標毎に積分する逐次積分処理部と、
前記逐次積分処理部で積分された各々の受信信号を用いて前記各々の目標を検出する目標検出部と、
前記送信部および前記受信信号生成部を制御する制御部と、を備え、
前記逐次積分処理部は、前記各々の目標に対応した前記受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分し、
前記制御部は、前記目標検出部で検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記送信部が前記各々の目標に送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定し、且つ、前記目標検出部で検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記受信信号生成部において前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する、
レーダ装置。 - 前記各々の目標に対応した積分範囲に含まれる受信信号は、前記各々の目標に対応した最新の受信信号を含む、請求項1に記載のレーダ装置。
- 前記逐次積分処理部は、単位PRI毎に前記目標毎の前記受信信号の積分結果を出力し、
前記目標検出部は、単位PRI毎に前記各々の目標の検出処理を実施する、
請求項1または2に記載のレーダ装置。 - 前記制御部は、前記目標検出部で検出された前記目標の数と当該目標の位置とに応じて、前記送信パルスの幅、前記送信パルスの数、及び前記各々の目標に対応した積分範囲の少なくとも一つを決定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
- 前記制御部は、
前記送信部が送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を単位PRI毎に決定し、
前記受信信号生成部において受信ビームを形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を単位PRI毎に決定する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーダ装置。 - 前記送信部は、
前記制御部で決定された前記送信タイミングに応じて送信パルスを生成する送信パルス生成部と、
前記送信パルス生成部で生成された前記送信パルスの送信方向を、前記制御部で決定された前記送信方向に応じて制御する時分割ビーム方向制御部と、を備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレーダ装置。 - 前記受信信号生成部は、
前記制御部で決定された前記受信タイミングおよび前記受信ビーム方向に応じて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する時分割ビーム形成部と、
前記時分割ビーム形成部で形成された受信ビームに対してダウンコンバート処理およびAD変換処理を行う第1の受信部と、を備える、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレーダ装置。 - 前記受信信号生成部は、
前記アレイアンテナで受信した前記各々の受信パルスに対してダウンコンバート処理およびAD変換処理を行う第2の受信部と、
前記第2の受信部で処理された後の各々の受信パルスを用いて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する時分割DBF処理部と、を備える、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレーダ装置。 - 単位PRI内に、アレイアンテナから各々の目標に順次、送信パルスを送信し、
前記各々の送信パルスが前記各々の目標で反射した各々の受信パルスを、前記単位PRI内に前記アレイアンテナで受信し、当該受信した各々の受信パルスを用いて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成して受信信号を生成し、
前記各々の目標に対応した前記受信信号の積分範囲をスライドさせながら更新して、当該積分範囲に含まれる受信信号を積分し、
前記積分された各々の受信信号を用いて前記各々の目標を検出し、
前記検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記各々の目標に送信する送信パルスの送信タイミングおよび送信方向を決定し、
前記検出された前記各々の目標の位置に応じて、前記各々の目標に対応した受信ビームをそれぞれ形成する際の受信タイミングおよび受信ビーム方向を決定する、
レーダ装置の制御方法。
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