JP2015132284A - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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幸男 平松
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Abstract

【課題】 質量の増加、コスト増加を抑えてオーバーアジャストを防止する。【解決手段】 シューウェブ31には、くびれ部40が形成されている。くびれ部40は、シューウェブ31がホイールシリンダ50と当接する先端部37と、シューウェブ31がストラット71と係合する係合部36との上下方向における中間位置に設けられる。くびれ部40よりも先端側となる先端側ウェブ41は、ホイールシリンダ50の液圧によりピストン51に押されたとき、その押圧力によりシューウェブ31の金属材が弾性変形して、中心Oを中心として揺動する。これにより、ストラット71の伸長動作が制限されてオーバーアジャストが防止される。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に搭載されるドラムブレーキ装置に関する。
従来から、ドラムブレーキ装置には、非制動時におけるドラムとブレーキシューとの隙間(シュークリアランスと呼ぶ)がブレーキシューの摩耗によって増大しないようにブレーキシューの位置を自動調整する自動アジャスタが設けられている。この自動アジャスタについては、例えば、特許文献1に提案されている。一般に、自動アジャスタは、一対のブレーキシューの最小間隔を規制するストラットを備えており、常用ブレーキ操作時にブレーキシューが大きく拡開した場合、つまり、シュークリアランスが大きくなった場合に、アジャスタボルトを回転させてストラットを伸長させる。これにより、一対のブレーキシューの最小間隔が拡げられてシュークリアランスが自動調整される。
自動アジャスタは、ブレーキシューの摩耗によりブレーキシューの可動域が増大した場合に作動することを想定して設けられているが、ブレーキ力によりドラムブレーキ装置自身が一時的に変形した場合、その一時的な変形に対して作動してしまうことがある。ドラムブレーキ装置の一時的な変形は、ブレーキペダル操作によってホイールシリンダに供給される液圧が高いほど大きくなる。この変形は、主に、ブレーキシューのライニングとドラムとに生じる。例えば、ブレーキシューのライニングは、シューリムとドラムとによる挟圧で厚さが薄くなるように変形する。また、ドラムは、ブレーキシューによって拡開方向に押圧されてドラム径が増加するように変形する。この変形が大きいと、自動アジャスタがブレーキシューの摩耗時と同様に作動して、ブレーキシューの間隔を過剰に拡げてしまう。その場合には、非制動時に確保すべきシュークリアランスが適正値未満となる現象、いわゆる、オーバーアジャストが発生する。オーバーアジャストが発生した場合には、ブレーキペダル操作を行っていないにも関わらず、ドラムとライニングとの摩擦が発生し、ライニングの早期摩耗、車両の燃費の悪化を招くことになる。そこで、従来から、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形を見込んで自動アジャスタの調整量が設定されるが、変形を見込んだ分だけシュークリアランスが大きくなるため、ブレーキ操作フィーリングが良好とはならない。また、特許文献2,3においては、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形によるオーバーアジャストを防止する技術が提案されている。
特公昭63−33567号公報 特開2004−353751号公報 特開2009−8151号公報
しかしながら、特許文献2,3に提案された技術は、何れも、オーバーアジャスト低減用の追加部品を必要とする。このため、ドラムブレーキ装置の質量の増加、コスト増加等を招くおそれがある。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、質量の増加及び/又はコスト増加を抑えながら、オーバーアジャストが発生する可能性を低減し得るドラムブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のドラムブレーキ装置の特徴は、
車輪と一体的に回転するドラム(10)と、
車体側部材に対して回転不能に固定されたバックプレート(20)に組み付けられ、リム(32)と、前記リムの外径側に設けられるライニング(33)と、前記リムの内径側に設けられるウェブ(31)とを有する一対のブレーキシュー(30)と、
前記ウェブの先端部を押圧して、前記一対のブレーキシューを非制動時における中立位置から拡開させて前記ライニングを前記ドラムの内周面に押し付けるアクチュエータ(50)と、
前記一対のブレーキシューのウェブ間に設けられ前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を規制するストラット(71)を有し、前記一対のブレーキシューの制動時における拡開量が大きくなるにしたがって前記ストラットを伸長させて、前記非制動時における中立位置での前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する自動アジャスタ(70)とを備えたドラムブレーキ装置において、
前記ブレーキシューのウェブは、くびれ部(40)が形成されており、前記くびれ部を境にして前記アクチュエータ側となる先端側ウェブ(41)と、前記アクチュエータとは反対側となる基端側ウェブ(42)とに区分されて、前記アクチュエータによって前記先端側ウェブが押圧されたとき、前記ウェブの金属材の弾性変形によって前記先端側ウェブが前記基端側ウェブに対して前記くびれ部を中心として揺動するように構成され、
前記ストラットの端部は、前記先端側ウェブにおける部位であって、前記先端側ウェブが前記アクチュエータに押圧されて前記基端側ウェブに対して揺動したときに、前記ブレーキシューの拡開方向とは反対方向に移動する部位(36)に係合されていることにある。
本発明のドラムブレーキ装置は、ブレーキ操作時にアクチュエータが作動して、一対のブレーキシューを中立位置から拡開させてライニングをドラムの内周面に押し付けて制動力を発生させる。ドラムブレーキ装置は、自動アジャスタを備えている。自動アジャスタは、一対のブレーキシューのウェブ間に設けられ一対のブレーキシュー間の最小間隔(ウェブ間の最小間隔と表現することもできる)を規制するストラットを有し、一対のブレーキシューの制動時における拡開量が大きくなるにしたがってストラットを伸長させて、中立位置での一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する。これにより、ブレーキシューのライニングの摩耗に応じてシュークリアランスを自動調整することができる。
ブレーキ力によりドラムブレーキ装置自身が一時的に変形した場合、その一時的な変形に対して自動アジャスタが一対のブレーキシュー間の最小間隔を調整してしまうとシュークリアランスが適正値未満となる現象、いわゆる、オーバーアジャストが発生する。そこで、本発明においては、ブレーキシューのウェブにくびれ部が形成されている。ウェブは、くびれ部を境にしてアクチュエータ側(アクチュエータに直接押圧される側)となる先端側ウェブと、アクチュエータとは反対側となる基端側ウェブとに区分される。先端側ウェブは、アクチュエータによって押圧されたとき、ウェブの金属材の弾性変形によって基端側ウェブに対して、くびれ部を中心として揺動する。自動アジャスタに設けられるストラットの端部は、先端側ウェブにおける部位であって、先端側ウェブがアクチュエータに押圧されて基端側ウェブに対して揺動したときに、ブレーキシューの拡開方向とは反対方向に移動する部位に係合される。
このくびれ部が形成されていることにより、アクチュエータがウェブを押圧する力が大きいほど先端側ウェブが大きく揺動し、これにあわせて、ストラットの端部の位置が、基端側ウェブに対して相対的にブレーキシューの拡開方向とは反対方向に移動する。一方、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形量は、アクチュエータの押圧力が大きくなるほど大きくなる。このため、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形に応じた量でストラットの伸長動作を制限してオーバーアジャストが発生する可能性を低減することができる。つまり、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形に起因するストラットの伸長動作が発生しないようにウェブが変形するから、オーバーアジャストを回避することができる。
従って、本発明によれば、質量の増加及び/又はコスト増加を抑えながら、オーバーアジャストが発生する可能性を低減することができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
実施形態に係るドラムブレーキ装置の概略構成図である。 実施形態に係る先端側ウェブの拡大図である。 変形例に係る先端側ウェブの拡大図である。 変形例に係るウェブ変形特性を表すグラフである。 従来例(比較例)に係るドラムブレーキ装置の概略構成図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用のドラムブレーキ装置について説明する。図1は、本実施形態に係るドラムブレーキ装置を概略的に示している。このドラムブレーキ装置は、ドラム10と、バックプレート20と、2個一対のブレーキシュー30a,30bと、ホイールシリンダ50と、アンカ60と、自動アジャスタ70とを備えている。本実施形態のドラムブレーキ装置の特徴は、各ブレーキシュー30a,30bに設けられるシューウェブ31の形状(特に、後述するくびれ部40)にあり、シューウェブ31以外の構成については、従来の一般的なドラムブレーキ装置と基本的に同様である。従って、本実施形態の説明にあたっては、特徴的な構成以外については簡単な説明に留める。また、シューウェブ31については、図面においてグレーにて着色して示し、くびれ部40の近傍の手前側に設けられている部材については、くびれ部40の形状がわからなくならないように、図示を省略する、あるいは、破線にて示す。
ドラム10は、車輪とともに回転する円筒体であって、その内周面に摩擦面が形成されている。バックプレート20は、略円板形状をなし車体側部材に回転不能に固定される。一対のブレーキシュー30a,30bは、円弧形状を有する部材で、互いに接近離間可能に略左右対象となるようにドラム10内に収容される。以下、2つのブレーキシュー30a,30bについては、その何れか一方を特定する必要がないため、両者を単にブレーキシュー30と呼ぶ。各ブレーキシュー30は、バックプレート20の板面(一面側)と略平行に配置されるシューウェブ31と、シューウェブ31の外周側端面に固着されるシューリム32と、シューリム32の外周面に固着されてブレーキ操作時にドラム10の内周面に摩擦係合するライニング33とを一体的に備えて構成されている。各ブレーキシュー30は、各シューウェブ31に貫通形成された取付穴に装着されるシューホールドダウン21により、ドラム10の内周面に向かって移動可能にバックプレート20に取り付けられている。
各シューウェブ31の上端部(先端部)は、バックプレート20に固定されたアクチュエータとしてのホイールシリンダ50の両端部に当接している。ホイールシリンダ50は、ブレーキ液の圧力によって作動するピストン51を両端部に備え、そのピストン51で左右のシューウェブ31の一端部を左右に押圧することにより、左右のシューウェブ31を離間(拡開)させる。一対のブレーキシュー30の間には、比較的上方位置に図示しないリターンスプリングが架け渡されている。このリターンスプリングは、その両端が左右のシューウェブ31の外周側端に係合されて左右方向に配設され、ブレーキシュー30を常に互いに接近する方向に付勢する。従って、シューウェブ31の上端部は、リターンスプリングの付勢により常にピストン51に押し付けられる。
各シューウェブ31の下端部は、バックプレート20に固定されたアンカ60にそれぞれ当接するように配置される。各シューウェブ31の下端部には、リターンスプリング61が架け渡され、このリターンスプリング61により各シューウェブ31の下端部がアンカ60に引きつけられてアンカ60に支持される。
ドラムブレーキ装置には、一対のブレーキシュー30の間の最小間隔を自動調整する自動アジャスタ70が設けられる。自動アジャスタ70は、ストラット71を備えている。ストラット71は、一対のシューウェブ31の間に架け渡されるように設けられており、両端にシューウェブ31の内周側端が当接するシュー溝72が形成されている。このシュー溝72にシューウェブ31の内周側端が係合して押し当てられることにより、一対のブレーキシュー30の間の最小間隔が規制される。シューウェブ31におけるストラット71と係合する部分を係合部36と呼ぶ。ストラット71は、図示しないアジャスタボルトが内蔵されており、このアジャスタボルトを回転させてストラット71の長さを伸長させるためのラチェット式の調整歯73が設けられている。自動アジャスタ70は、レバー74を備えている(図1においては、破線にて示している)。レバー74は、制動時における一対のブレーキシュー30の拡開量に応じてストラット71を伸長させるための部材であって、その一端側がシューウェブ31にピン75により回動可能に連結され、他端側が調整歯73に歯合するようになっている。レバー74は、シューウェブ31との間に張設されたリターンスプリング76の付勢力により、ストラット71を伸長させる方向となるように調整歯73を回転させる。
次に、上記のように構成した本実施形態に係るドラムブレーキ装置の作動を説明する。車両走行中において、ドライバによってブレーキペダルの踏み込み操作が行われると、ホイールシリンダ50にブレーキ液圧が供給される。これにより、一対のブレーキシュー30は、ホイールシリンダ50に設けられたピストン51に押されて、互いに離間する方向に移動(拡開)し、ライニング33をドラム10の摩擦摺動面(内周面)に対して圧着させる。こうして、車輪と一体的に回転するドラム10とライニング33との間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、車輪の回転を制動する制動力として働く。
この場合、ライニング33の摩耗により一対のブレーキシュー30が大きく拡開したときには、その拡開による力がリターンスプリング76を介してレバー74に伝達される。これにより、レバー74がピン75を中心として下側に回動し、ストラット71の調整歯73を回転させ、ストラット71を伸長させる。ブレーキ操作が解除されると、ホイールシリンダ50内のブレーキ液圧が低下して一対のブレーキシュー30が元の位置に戻されるとともに、レバー74が元の位置に戻り、シュークリアランスの調整が完了する。一方、ライニング33が摩耗していなく、一対のブレーキシュー30の拡開が大きくない場合には、レバー74がピン75を中心に下側に回動するものの、回動量が僅かであるため調整歯73を回転させることはない。このため、ストラット71は伸長しない。
このように、自動アジャスタ70は、ライニング33の摩耗の増加によって一対のブレーキシュー30の拡開量が増加するにしたがってストラット71を伸長させて、非制動時におけるシュークリアランスを一定に維持する。
ところで、ブレーキペダル操作によってホイールシリンダ50にブレーキ液圧が供給されている場合には、その液圧に応じた量だけドラムブレーキ装置自身が一時的に変形する。例えば、ブレーキシュー30のライニング33が、シューリム32とドラム10とによって挟圧されて変形する。また、ドラム10がブレーキシュー30によって拡開方向に押圧されるため拡径変形する。こうした変形は、ブレーキ操作が解除されると元に戻るため、それ自体については問題がない。しかし、ドラムブレーキ装置が一時的に変形した場合には、その変形量に応じた分だけ余分にブレーキシュー30が拡開することから、ブレーキシュー30の摩耗時と同様に、自動アジャスタ70がその変形分を摩耗分とみなして作動する。このため、ストラット71が必要以上に伸長されてしまい、シュークリアランスが適正値よりも小さくなってしまう。これにより、ブレーキペダル操作を行っていないにも関わらず、ドラム10とライニング33との摩擦が発生し、ライニング33の早期摩耗、車両の燃費の悪化を招くことになる。
そこで、本実施形態においては、そうした課題を解決するために、各シューウェブ31の形状が工夫されている。以下、その構成について具体的に説明する。一対のシューウェブ31は、左右対称に設けられるため、以下に説明する構成要素は、一対のシューウェブ31のそれぞれに設けられるものである。シューウェブ31には、ホイールシリンダ50との当接部の近傍位置となる外周側に、V字状に鋭角に切り欠いた第1切欠34が形成されている。また、シューウェブ31には、ストラット71の端部(シュー溝72)と係合する係合部36の近傍位置であって、係合部36よりもホイールシリンダ50から離れた側の内周側に、V字状に鋭角に切り欠いた第2切欠35が形成されている。第1切欠34は、上方向に拡開するV字状をなし、第2切欠35は、下方向に拡開するV字状をなす。第1切欠34および第2切欠35は、その先端(V字の谷側)が互いに接近して形成されている。このため、シューウェブ31には、第1切欠34と第2切欠35とによって幅方向の寸法が小さくなったくびれ部40が形成されている。
くびれ部40は、シューウェブ31がホイールシリンダ50のピストン51と当接する先端部37と、シューウェブ31がストラット71と係合する係合部36との上下方向における中間位置に設けられる。ここで、シューウェブ31について、くびれ部40よりも先端側となる部位を先端側ウェブ41と呼び、くびれ部40よりも後端側(アンカ60側)を基端側ウェブ42と呼ぶ。従って、シューウェブ31は、くびれ部40を境にして、先端側ウェブ41と基端側ウェブ42とに区分される。尚、図5は、比較例として、くびれ部40が形成されていないシューウェブ31’を備えた従来タイプのドラムブレーキ装置の概略構成を表している。
先端側ウェブ41は、図2に示すように、ホイールシリンダ50の液圧によりピストン51に押されたとき、その押圧力によりシューウェブ31の金属材が弾性変形して、基端側ウェブ42に対してくびれ部40の中心Oを中心として矢印rの方向に揺動する。この先端側ウェブ41の揺動角度は、ホイールシリンダ50の液圧が大きくなるほど大きくなる。一方、ホイールシリンダ50の液圧によりピストン51が作動してブレーキシュー30が拡開したときには、液圧が大きいほど、ブレーキシュー30がドラム10に強く押し付けられるため、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形が大きくなる。以下、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形をドラムブレーキ装置の撓みと呼ぶ。
先端側ウェブ41がくびれ部40の中心Oを中心として揺動した場合には、シューウェブ31におけるストラット71と係合する係合部36は、基端側ウェブ42に対して相対的にブレーキシュー30の拡開方向と反対方向(図2の矢印s方向)に移動する。このため、ブレーキ操作によって左右のブレーキシュー30が拡開した場合、シューウェブ31の係合部36の拡開方向の移動量は、先端側ウェブ41の弾性変形による揺動分だけ少なくなる。このため、ストラット71のシュー溝72内には、ストラット71の伸長できるスペースが少なくなり、その分だけストラット71の伸長動作が制限される。
ここで、制動時におけるドラムブレーキ装置の撓みによってくびれ部40の中心Oが拡開方向に移動する量(左右方向の距離)を撓み量Xと定義する。また、制動時におけるドラムブレーキ装置の撓みによってシューウェブ31の係合部36が拡開方向と反対方向に移動する量(左右方向の距離)を変形量Bと定義する。本実施形態のドラムブレーキ装置においては、撓み量Xと変形量Bとが等しくなるように設計されている(X=B)。これにより、ドラムブレーキ装置の撓みによるオーバーアジャストを防止することができる。この変形量Bを得るためのホイールシリンダ50のピストン51の移動量Aの増加分δAは、次式にて表すことができる。
δA=B×(L1/L2)
尚、L1は、くびれ部40の中心Oとホイールシリンダ50のピストン51の中心軸との間の上下方向の距離を表し、L2は、くびれ部40の中心Oとストラット71の中心軸との間の上下方向の距離を表す。
δAは、大きくなるほど、シュークリアランスが大きくなるのと同様にブレーキ操作フィーリングの低下を招く。そこで、(L1/L2)の値をできるだけ小さくするように設計することが望ましい。
以上説明したドラムブレーキ装置によれば、シューウェブ31の先端にくびれ部40を形成し、くびれ部40よりも先端側となる先端側ウェブ41を弾性変形により揺動させるため、シューウェブ31の係合部36を拡開方向と反対方向に戻すことができる。これにより、ドラムブレーキ装置の撓みによるオーバーアジャスト、つまり、ストラット71が過剰に伸長されることを抑制することができる。また、撓み量Xと変形量Bとを等しくしているため、ブレーキシュー30のライニング33の摩耗に対しては、摩耗分に相当する量だけストラット71を伸長させることができる。この結果、シュークリアランスを適正値に維持することができる。しかも、切欠34,35によってくびれ部40を形成するという簡単な構成により実施できるため、オーバーアジャスト低減用の部品を追加する必要が無く、質量の増加、コスト増加(部品点数増加、生産性低下)を招かない。
<変形例>
次に、変形例について説明する。上述した先端側ウェブ41の揺動は、シューウェブ31の金属材の弾性変形域のみで行われるようにして、シューウェブ31が塑性変形しないようにする必要がある。そこで、この変形例では、ブレーキペダルから通常使用領域を超える過大な入力が働いた場合(例えば、緊急ブレーキ時)に、シューウェブ31の剛性を高めてシューウェブ31が塑性変形することを防止する。そのために、この変形例においては、図3に示すように、第1切欠34の一方の辺34aに突起45を備えている。この突起45は、シューウェブ31の加工時にシューウェブ31の一部として一体形成される。突起45は、先端側ウェブ41の揺動が所定角度に達したときに、第1切欠34の辺34aに向かい合う他方の辺34bに当接して、シューウェブ31のそれ以上の変形(先端側ウェブ41のそれ以上の揺動)を抑えるストッパとして機能する。
図4は、制動力に対するシューウェブ31の変形量を表す。制動力は、ホイールシリンダ50の液圧に対応する。制動力が常用域に入る場合には、変形量Bと撓み量Xとは同じ値となる。この常用域においては、シューウェブ31の弾性変形のみを使って先端側ウェブ41を揺動させることができる。これにより、オーバーアジャストを防止することができる。また、制動力が常用域を超えると、突起45が辺34bに当接する。これにより、シューウェブ31の剛性が高くなり、シューウェブ31の塑性変形を防止するとともに、シューウェブ31の塑性変形が生じない範囲で、制動力が増加するにつれて変形量Bを増加させることができる。従って、オーバーアジャストを低減することができる。
以上、本実施形態および変形例のドラムブレーキ装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、左右のシューウェブ31のそれぞれにくびれ部40を形成しているが、何れか一方のシューウェブ31にのみくびれ部40を形成した構成であってもよい。また、本実施形態においては、制動力の常用域において、撓み量Xと変形量Bとが等しくなるように設計されているが、必ずしも撓み量Xと変形量Bとを一致させる必要はなく、先端側ウェブ41の揺動によってシューウェブ31の係合部36を拡開方向と反対方向に戻すことができるものであればよい。
10…ドラム、20…バックプレート、30…ブレーキシュー、30a,30b…ブレーキシュー、31…シューウェブ、32…シューリム、33…ライニング、34,35…切欠、36…係合部、37…先端部、40…くびれ部、41…先端側ウェブ、42…基端側ウェブ、45…突起、50…ホイールシリンダ、51…ピストン、60…アンカ、70…自動アジャスタ、70…ホイールシリンダ、70…自動アジャスタ、71…ストラット、72…シュー溝、73…調整歯、74…レバー。

Claims (1)

  1. 車輪と一体的に回転するドラムと、
    車体側部材に対して回転不能に固定されたバックプレートに組み付けられ、リムと、前記リムの外径側に設けられるライニングと、前記リムの内径側に設けられるウェブとを有する一対のブレーキシューと、
    前記ウェブの先端部を押圧して、前記一対のブレーキシューを非制動時における中立位置から拡開させて前記ライニングを前記ドラムの内周面に押し付けるアクチュエータと、
    前記一対のブレーキシューのウェブ間に設けられ前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を規制するストラットを有し、前記一対のブレーキシューの制動時における拡開量が大きくなるにしたがって前記ストラットを伸長させて、前記非制動時における中立位置での前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する自動アジャスタと
    を備えたドラムブレーキ装置において、
    前記ブレーキシューのウェブは、くびれ部が形成されており、前記くびれ部を境にして前記アクチュエータ側となる先端側ウェブと、前記アクチュエータとは反対側となる基端側ウェブとに区分されて、前記アクチュエータによって前記先端側ウェブが押圧されたとき、前記ウェブの金属材の弾性変形によって前記先端側ウェブが前記基端側ウェブに対して前記くびれ部を中心として揺動するように構成され、
    前記ストラットの端部は、前記先端側ウェブにおける部位であって、前記先端側ウェブが前記アクチュエータに押圧されて前記基端側ウェブに対して揺動したときに、前記ブレーキシューの拡開方向とは反対方向に移動する部位に係合されている、
    ドラムブレーキ装置。
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