JP2015129203A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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小川 泰史
Yasushi Ogawa
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Abstract

【課題】優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】粘度平均分子量が20000〜40000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と、粘度平均分子量が10000未満の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、(A1)成分と(A2)成分の質量比は、(A1)成分が70〜97質量%、(A2)成分が3〜30質量%であり、ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量が20000〜30000であり、かつポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布Mw/Mnが2.7以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば、電気・電子機器部品、車両用部品、住宅用部材、その他の工業分野における部品製造用の材料として幅広く利用されている。
しかし、ポリカーボネート樹脂は流動性が悪いという欠点を有しており、特に薄肉で複雑な成形品の射出成形が困難であるという欠点を有する。そのため、成形温度や金型温度を上げる必要があるが、成形サイクルが長くなって成形コストが高くなり、また成形中にポリカーボネート樹脂の劣化が起こる問題がある。
また、ポリカーボネート樹脂の分子量を下げて流動性を上げる方法もあるが、この場合ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性が低下し耐溶剤性も悪くなるという難点がある。
さらに、分子量の異なるポリカーボネート樹脂を混合することにより、流動性を改良しようとする方法も提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、単に分子量の異なるポリカーボネート樹脂を混合するだけでは、高い耐衝撃性と高度の流動性の両方を十分に満足するポリカーボネート樹脂材料を達成することは困難である。
特開平9−208684号公報
本発明は、これら従来のポリカーボネート樹脂の持つ欠点を改良した、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂と、特定の粘度平均分子量のポリカーボネートオリゴマーをそれぞれ特定範囲の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、粘度平均分子量が20000〜30000で分子量分布が2.7以上であるポリカーボネート樹脂組成物が、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供する。
[1]粘度平均分子量が20000〜40000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と、粘度平均分子量が10000未満の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、
(A1)成分と(A2)成分の質量比は、(A1)成分が70〜97質量%、(A2)成分が3〜30質量%であり、
ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量が20000〜30000であり、かつ
ポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布Mw/Mnが2.7以上である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]さらに、熱安定剤を含有する上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]さらに、離型剤を含有する上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
[概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、粘度平均分子量が20000〜40000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と、粘度平均分子量が10000未満の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、
(A1)成分と(A2)成分の質量比は、(A1)成分が70〜97質量%、(A2)成分が3〜30質量%であり、
ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量が20000〜30000であり、かつポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布Mw/Mnが2.7以上であることを特徴とする。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)は、その種類に制限は無く、また、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体であるが、本発明では、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂を用いる。上記式中、Xは、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から優れている。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いても良い。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ポリカーボネート樹脂を製造する任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量[Mv]は20000〜40000の範囲にあることが必要である。粘度平均分子量[Mv]は、好ましくは20500以上、より好ましくは21000以上であり、また、好ましくは39000以下、より好ましくは38000以下である。粘度平均分子量を上記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行うことができる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)は、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2015129203
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
[芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)]
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)は、上述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)で説明したのと同様の構成単位からなるものである。即ち、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)は、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られ、芳香族二価フェノール系化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。ここでポリカーボネートオリゴマーの構造は、直鎖状、分岐状および環状のいずれの形態であってもよい。生産性や生産安定性の点では直鎖状が優れており好ましい。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)は、なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られるものが好ましく、芳香族二価フェノール系化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)は、粘度平均分子量(Mv)が10000以下のものを用いることが必要である。粘度平均分子量(Mv)が10000を超えると機械的特性の向上効果が十分に得られない。芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは8000以下であり、より好ましくは7000以下であり、さらに好ましくは6000以下である。また、好ましくは3000以上であり、より好ましくは3500以上である。
なお、粘度平均分子量(Mv)の測定方法は、前述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)における方法と同じである。
芳香族ポリカーボネートオリゴマーの製造方法は、当業者において広く知られており、例えば界面重合法を用いる二価フェノール化合物とホスゲンとの反応、二価フェノールから誘導されたビスクロロホーメートと二価フェノールとの重縮合反応、並びにジアリールカーボネートと二価フェノールとの重合触媒の存在下における溶融重合反応が挙げられる。
芳香族ポリカーボネートオリゴマーの分子量(重合度)を上記の範囲に調整するには、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)及び芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)及び芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量%基準で、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)が70〜97質量%、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)が3〜30質量%である。このような範囲で両者を含有することで、耐衝撃性と流動性をバランス良く向上させることができる。含有量の好ましい範囲は、芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の含有量でいうと、4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらには15質量部以下が好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その粘度平均分子量(Mv)が20000〜30000の範囲にあることが必要である。ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)を、このような範囲とすることで、良好な耐衝撃性を発現させることができる。粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは20500以上であり、より好ましくは21000以上であり、また、好ましくは29000以下、より好ましくは28000質量%以下、さらには27000以下が好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)の測定方法は、前述の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)における方法と同じである。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その分子量分布(Mw/Mn)が2.7以上であることが必要である。ポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)を2.7以上と大きくすることで耐衝撃性を向上させることができる。分子量分布(Mw/Mn)は、大きい方がより好ましく、好ましくは2.75以上であり、より好ましくは2.8以上であり、また、通常好ましくは4以下、より好ましくは5以下、さらには4.5以下が好ましく、特に4以下であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の含有比、その粘度平均分子量(Mv)および分子量分布(Mw/Mn)の3つを上記のようにすることによって初めて、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物とすることが可能となる。
[熱安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、熱安定性を向上させるために熱安定剤を添加するのが好ましい。好ましい熱安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニルホスフォナイト等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
なお、熱安定剤は、単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量部に対し、0.005〜0.2質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部であることがより好ましい。熱安定剤の含有量が上記範囲であると、加水分解等を発生させることなく、熱安定性を改善できるので好ましい。
[離型剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[紫外線吸収剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−n−ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
サリシレート化合物の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。シアノアクリレート化合物の具体例としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。トリアジン化合物としては、例えば1,3,5−トリアジン骨格を有する化合物等が挙げられる。オギザニリド化合物の具体例としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられる。
さらに、マロン酸エステル化合物としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[帯電防止剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、帯電防止剤を含有することも好ましい。
帯電防止剤としては特に限定されないが、好ましくは下記一般式(1)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩である。
Figure 2015129203
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であり、置換基を有していても良く、R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、これらは同じでも異なっていてもよい。)
前記一般式(1)中のRは、炭素数1〜40のアルキル基又はアリール基であるが、透明性や耐熱性、ポリカーボネート樹脂への相溶性の観点からアリール基の方が好ましく、炭素数1〜34、好ましくは5〜20、特に、10〜15のアルキル基で置換されたアルキルベンゼン又はアルキルナフタリン環から誘導される基が好ましい。また、一般式(1)中のR〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基であるが、好ましくは炭素数2〜8のアルキルであり、更に好ましくは3〜6のアルキル基であり、特に、ブチル基が好ましい。
スルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。
帯電防止剤の好ましい含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であり、より好ましくは0.2〜3.0質量部、更に好ましくは0.3〜2.0質量部、特に好ましくは0.5〜1.8質量部である。0.1質量部未満では、帯電防止の効果は得られにくく、5.0質量部を越えると透明性や機械的強度が低下し、成形品表面にシルバーや剥離が生じて外観不良を引き起こし易い。
[難燃剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤を含有することも好ましい。
難燃剤としては特に限定されないが、有機スルホン酸金属塩系の難燃剤が好ましい。
有機スルホン酸金属塩の金属としては、特に制限はないが、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。
これらの中ではアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはリチウムがより好ましく、さらにはナトリウム、カリウム、セシウムが、特にはナトリウム、カリウムが好ましい。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。
有機スルホン酸金属塩のうち、好ましいものとしては、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。
その中でも好ましいものの具体例を挙げると、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸セシウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、デカフルオロ−4−(ペンタフルオロエチル)シクロヘキサンスルホン酸カリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;
ノナフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カルシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;
ジフルオロメタンジスルホン酸ジナトリウム、ジフルオロメタンジスルホン酸ジカリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジナトリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロプロパンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロイソプロパンジスルホン酸ジカリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジナトリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸のアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、
ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドカリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸イミドのアルカリ金属塩;
シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する環状含フッ素脂肪族スルホンイミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;
パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、
サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホンアミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホンアミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物の中でも、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩が、特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩としては、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、具体的にはノナフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
芳香族スルホン酸金属塩としては、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム等のジフェニルスルホン−スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及びパラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム等のパラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩;が特に好ましく、パラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましい。
なお、有機スルホン酸金属塩は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
有機スルホン酸金属塩の好ましい含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部であり、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上、特に好ましくは0.05質量部以上であり、0.07質量部以上であることが最も好ましく、また、0.7質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、特には0.2質量部以下であることが好ましい。有機スルホン酸金属塩をこのような量で含有することで、ポリカーボネート樹脂の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できる。含有量が0.001質量部を下回る場合は十分な難燃性が得られにくく、1質量部を超えると、熱安定性や耐加水分解性が低下しやすい。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、染顔料(カーボンブラックを含む)、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)および芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
成形品の製造方法は、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。なかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
[成形品]
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品に用いて好適である。また、特に、電気電子機器の筺体(ケース、ハウジングを含む)、電力計のカバー、LED照明の照明カバーに好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例および比較例に使用した各成分は以下の表1のとおりである。
Figure 2015129203
(実施例1〜10、比較例1〜7)
[樹脂ペレット製造]
表1に記載した各成分を、後記表2〜4以下に記した割合(全て質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)]
ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は、前述したとおり、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、算出した。
[ポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)]
東ソー社製高速GPC装置HLC−8020を用い、カラムは充填剤として、それぞれTSK 5000HLX、4000HLX、3000HLX及び2000HLX(いずれも東ソー社製)を充填した4本のカラム(直径7.8mmφ、長さ300mm)を接続して用いた。溶離液として、テトラヒドロフランを用い、検量線には、ケムコ社製の標準ポリスチレン(分子量;761(Mw/Mn≦1.14)、2,000(Mw/Mn≦1.20)、4,000(Mw/Mn≦1.06)、9,000(Mw/Mn≦1.04)、17,5000(Mw/Mn≦1.03)、50,000(Mw/Mn≦1.03)、233,000(Mw/Mn≦1.05)、600,000(Mw/Mn≦1.05)及び、900,000(Mw/Mn≦1.05)を使用して作成した。
測定は、屈折率により検出したチャートより、Mw及びMnをポリスチレン換算で求め、Mw/Mnを算出した。
[単位時間あたり流出量 Q値(単位:×10−2cm/sec)]
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、高架式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
なお、表中、「Q値」と表記する。
[耐衝撃性評価 シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)]
ISO179−1及び179−2に準拠し、以下の手順にて測定した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75MII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISO179−1、2に基づく3mm厚のノッチ付耐衝撃性試験片を作製し、23℃と−30℃の温度環境下においてノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。数値が大きいほど、耐衝撃性が優れていることを意味する。
なお、表中、「シャルピー衝撃値」と表記する。
[全光線透過率(単位:%)]
得られたペレットを120℃で6時間乾燥した後、日本製鋼所社製射出成形機「J50」を用い、金型温度80℃、シリンダー設定温度290℃の条件下で射出成形を行い、長さ65mm、幅45mm、厚さ3mmの光学特性試験用成形片を得た。JIS K−7136に準拠し、上記光学特性試験用試験片(厚み3mm)を用い、日本電色工業社製のNDH−2000型ヘイズメーターで、全光線透過率を測定した。
以上の評価結果を下記表2〜4に示す。
Figure 2015129203
Figure 2015129203
Figure 2015129203
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた耐衝撃性と高度の流動性を有し、透明性にも優れたポリカーボネート樹脂材料であるので、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品に広く好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (4)

  1. 粘度平均分子量が20000〜40000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)と、粘度平均分子量が10000未満の芳香族ポリカーボネートオリゴマー(A2)を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、
    (A1)成分と(A2)成分の質量比は、(A1)成分が70〜97質量%、(A2)成分が3〜30質量%であり、
    ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量が20000〜30000であり、かつ
    ポリカーボネート樹脂組成物の分子量分布Mw/Mnが2.7以上である
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. さらに、熱安定剤を含有する請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. さらに、離型剤を含有する請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023089929A1 (ja) * 2021-11-16 2023-05-25 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの製造方法

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