JP2015126870A - 着座具 - Google Patents

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陸朗 榎本
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Abstract

【課題】脊柱起立筋群のバランス運動が継続的に行われる状態と安静着座の状態との双方を選択的に創出することができる着座具を提供する。
【解決手段】内部空気量の調節により膨張・収縮が可能な空気袋としての主座部と、内部にクッション材が収納される被覆袋としての副座部とによって構成される。
主座部と副座部は座部後方において回動自由に連結されており、通常のバランス運動の状態を保持したいときは副座部を後ろに回動させて主座部だけで着座し、安静着座を望むときは主座部を後ろに回動させ副座部のみを使用する。また、主座部上に副座部を重ねて配置して、脊柱のニュートラルポジションを維持しつつ、適度のバランス運動の状態を保持しての着座もできる。
副座部内部には、各々材質が異なる2以上のクッション材を重ねて収納することができ、夏期は通気クッションを、冬季はウレタン面といったように使い分けることが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、姿勢矯正用の着座具に関する。
椅子着座の弊害は、脊柱や腰周辺の筋肉の疲労蓄積と、正常位置を保持できなくなった脊柱を通る神経の機能阻害に起因する種々の病気の発生確率が高くなることにある。
毎日のデスクワークは特定の姿勢が長時間継続することから、脊柱や骨盤を支える多くの筋肉群のうち、特定の筋肉のみが使用されるため、結果として一部の筋肉に疲労が蓄積する。また、筋肉の疲労により脊柱や骨盤を支えきれなくなることで、腰痛や神経痛を生じさせる。さらに、脊柱を支える筋肉群のバランスが崩れると、脊柱がニュートラルポジションを維持できなくなり、これが原因で多くの臓器や筋肉に脳からの指令を伝える神経の働きが阻害され、種々の病気の引き金となる。
上述の着座による弊害に対しては、一般的に、正しい姿勢による着座の習慣や、一定時間毎に矯正運動を行う等の対応がとられている。また、脊柱や骨盤の適正位置を維持するためのデスクチェアーなどが市販されている。
さらに近年には、不安定なエアバッグ座面上で前傾斜の着座姿勢を持続的にとることによって、脊柱を支える筋肉群のバランス運動を促す、姿勢矯正のための着座具が市販されている。
特開平11−244099号公報 特開2012−110492号公報
椅子着座の弊害は単一の姿勢が長時間継続する為の疲労蓄積に依るところが大である。また、着座対応技術が単独で存在する為に運動性、安静性の着座を適宜利用できない問題があった。
上述の椅子着座の弊害に対処すべく、特許文献1には、座部を前方に傾斜させ、前重心で腰かける構成とすることにより脊柱の直立状態を保ち、交感神経の正常な働きを促すようにした着座具の発明が開示されている。また、特許文献2には、座部と背凭れ部の内部に空気量の調節が可能なエアバッグ材を配置し、さらに、背凭れ部の座部への止着位置を前後に調節可能とすることにより、座席を着座者の快座位置に適合させる補助座席の座位調節機構についての発明が開示されている。
しかしながら、特許文献1の着座具は前重心の姿勢のみに着目し、脊柱起立筋群のバランス運動による脊柱の適正位置保持の視点が欠けているため、疲労の蓄積や病気への予防手段としては十分であるとは言えない。また、特許文献2の発明は、座席を着座者の「快座位置」に適合させることを課題するが、着座者の求める「快座位置」の姿勢が、そのまま脊柱や坐骨が「適正位置」にある状態であるとは言えない。
長時間着座に関する弊害の原因は、脊柱起立筋群の運動が一部の筋群に偏るため、当該一部の筋群に疲労が蓄積し、しいては脊柱のニュートラルポジションとしての適正位置を維持できなくなることにある。一方で、すべての脊柱起立筋群を長時間、継続的に運動させることは、個人差もあるが、デスクワーク中の疲労感をかえって増幅させる可能性がある。
本発明においては、前述の問題点に鑑み、着座中に緩やかに前傾斜した座部上で脊柱の適正位置を保持しながら、脊柱起立筋群のバランス運動が継続的に行われる状態と、安静着座の状態の双方を選択することができる着座具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る着座具は、内部空気量の調節により膨張・収縮が可能な空気袋としての主座部と、内部にクッション材が収納される被覆袋としての副座部と、によって構成される。
主座部と副座部は座部後方において回動自由に連結されており、一方の座部のみの利用、又は双方重ねての利用を選択できるようになっている。すなわち、通常のバランス運動の状態を保持したいときは、副座部を後ろに回動させて主座部だけで着座し、安静着座を望むときは、主座部を後ろに回動させ、副座部のみを使用する。また、脊柱の適正位置のニュートラルポジションを維持しつつ、適度のバランス運動の状態を保持したいときは、主座部上に副座部を重ねて配置する。
副座部内部には、各々材質が異なる2以上のクッション材を重ねて収納することもでき、夏期は通気クッションを、冬季はウレタン面といったように使い分けることが可能である。
主座部と副座部の平面形状は、多くの椅子の座面に合わせて略方形とするが、実施形態2に示すように、主座部を円環形とすることもできる。また、使用する椅子に合わせた形状としてもよい。
主座部上に副座部を重ねて配置し着座することにより、脊柱の適正位置(ニュートラルポジション)を保持しつつ、継続的な脊柱起立筋群のバランス運動が可能となる。これにより、一部の筋肉への疲労蓄積を回避することができる。また、脊柱のニュートラルポジション維持が可能となるため、神経阻害が原因である種々の病気を予防することができる。
袋状の主座部は内部空気量の調節が可能であるため、個人差や体調に合わせてバランス運動の強弱を選択することができる。
主座部を円環形にすることにより、肛門障害者が苦痛を軽減しつつバランス運動を行うことができる。
クッション材が収納された副座部を使用することにより、疲労時にはバランス運動から解放された着座が可能となる。また、主座部と副座部を重畳配置して使用することにより、前重心の座面を構成して、脊柱のニュートラルポジションを維持しつつ、適度なバランス運動の状態を創出することができる。
副座部内部に複数のクッション材を収納することができるため、季節に合わせたクッション材の配置が可能となる。
実施形態1の着座具の斜視図である。 実施形態1の着座具において主座部と副座部を重畳配置したときの椅子と着座具の縦断面図である。 実施形態1の着座具において主座部を使用するときの椅子と着座具の縦断面図である。 実施形態1の着座具において副座部を使用するときの椅子と着座具の縦断面図である。 実施形態2の着座具の斜視図である。 実施形態2の着座具において主座部を使用するときの椅子と着座具の縦断面図である。 実施形態2の着座具において主座部と副座部を重畳配置したときの椅子と着座具の縦断面図である。
本発明における2つの実施形態について、以下、図を用いて説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る着座具は、図1に示すように、椅子の座部上に配置することを想定した2つの略方形の座部を具備する補助的な着座具であって、空気袋としての主座部1とクッション材が収納される被覆袋としての副座部2とを具備する。また、主座部1と副座部2は連結部4によって連結されており、連結部4を軸として互いに回動自由になっている。
本着座具の最大の特徴は、主座部1上への着座と、副座部2上への着座と、主座部1の上に副座部2を重ねた状態での座部上の着座と、を選択して使用できることにある。すなわち、通常のバランス運動の状態を保持したいときは、図3に示すように、副座部2を後ろに回動させて主座部1だけで着座し、安静着座を望むときは、図4に示すように、主座部1を後ろに回動させ、副座部2のみを使用する。また、脊柱のニュートラルポジションを維持しつつ、適度のバランス運動の状態を保持したいときは、図2が示すように、主座部1上に副座部2を重ねて配置して前重心の座面を構成する。
主座部1は、ポンプ3によって内部空気量の増減が可能である。座部を膨張又は収縮させることにより、着座時のバランス運動に必要な不安定の具合を調節し、運動の強度を調節できるようになっている。
副座部2は、図2に示すように、各々材質が異なるクッション材A21、クッション材B22を重ねて収納することができる。これにより、夏期は通気クッションを上部に配置し、冬季はウレタン面を上部に配置するといったような使用法が可能となる。
(実施形態2)
実施形態2に係る着座具は、図5に示すように空気袋としての主座部1が円環形となっており、前記円環形の主座部1がカバーに収納された状態で副座部2に連結されている。
実施形態1の主座部1を利用してのバランス運動においては身体バランスの支点が尻中央の肛門部になるが、本実施形態の円環形の主座部1においては支点が両大臀部に分散するため、肛門障害者が苦痛を軽減しつつバランス運動を行うことができる。
本実施形態の着座具においても、実施形態1の着座具と同様に、主座部1の空気量を調節しつつ、それぞれの座部を選択しての着座、及び両座部を重畳しての着座が可能である。図6は主座部のみを使用してバランス運動の状態を保持するときの椅子と着座具の縦断面図であり、図7は主座部1と副座部2を重畳したときの椅子と着座具の縦断面図である。
本発明の有する特徴及び優れた点を、発明の構造と機能の詳細をあげて上記実施形態に記載したが、本発明は、本発明の原理の範囲内で、本願の特許請求の範囲で使用されている言葉を広く一般的な意味にまで広げて、細かな点、特に座部の数、形状、大きさ及びポンプや連結部などの部品の配置を変更しての実施が可能である。例えば。請求項1の発明については、三番目の座部として畳敷きの座面を有する副座部を加えてもよいし、形状も椅子の形状に合わせて楕円形に近いものとしてもよい。いずれの実施例も本発明の技術的範囲を逸脱するものではない。
1 主座部
11 空気
2 副座部
21 クッション材A
22 クッション材B
3 ポンプ
4 連結部
5 カバー

Claims (4)

  1. 複数の座部を具備する着座具であって、
    内部空気量の調節により膨張・収縮が可能な空気袋としての主座部と、
    内部にクッション材が収納される被覆袋としての副座部と、
    を具備し、着座時に、
    前記主座部上への着座と、
    前記副座部上への着座と、
    前記主座部の上に前記副座部を重畳配置した座部上への着座と、
    を選択して利用することを特徴とする着座具。
  2. 前記副座部内部には、各々材質が異なる2以上のクッション材を重ねて収納することができ、前記クッション材を他の材質のものと交換することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の着座具。
  3. 前記主座部及び前記副座部平面は略方形であり、各々の座部の重なり合う一辺を連結する連結部を有し、前記主座部及び前記副座部が前期連結部を同一軸として、互いに回動自由に枢結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の着座具。
  4. 前記主座部は円環形、前記副座部平面は略方形であり、各々の座部を一部において連結する連結部を有し、前記主座部及び前記副座部が前期連結部を同一軸として、互いに回動自由に枢結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の着座具。
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