JP2015126071A - 太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚れや積雪によって発電量が低下することを抑制するために、透光性基板の受光面側基板の受面側表面と上枠及び下枠の支持片の上端面と接着層との表面を略面一にできる太陽電池モジュールの製造方法を提供する。【解決手段】太陽電池モジュール本体に下枠を取り付ける際に、接着剤塗布工程S1と太陽電池モジュール本体配置工程S2とはみ出し接着剤除去工程S3と接着剤硬化工程S4とを行うことにより、略面一の太陽電池モジュールを製造する。【選択図】図4

Description

本発明は太陽電池モジュールの製造方法に関するものである。
近年、地球環境問題への関心が高まりつつある中、自然エネルギーを利用した新しいエネルギー技術が大いに注目されている。そのひとつとして太陽エネルギーを利用したシステムの関心が高く、特に光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンなエネルギーを得る手段として広く行われている。
太陽電池素子は、たとえば単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製されている。太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を電気的に接続して実用的な電気出力が得られるようにしている。
太陽電池モジュール本体は、バックカバー上に直列あるいは並列に接続された複数の太陽電池素子を並べて配置し、さらに太陽電池素子の受光面側に透明基板(ガラス)を配置した構造となっている。尚、太陽電池素子はEVA(エチレンビニルアセテート樹脂)などの封止樹脂にて封止されている。
さらにこの太陽電池モジュール本体の外周部に、端面封止材を介して断面がコの字状の枠体を取り付けた構造の太陽電池モジュールが多用されている。端面封止材としては、緩衝材や防水の機能を有するブチルゴム、シリコーン樹脂、ポリプロピレン系またはポリスチレン系のエラストマー樹脂が多く使用されている。
太陽電池モジュールは、通常、屋根や架台に水平面に対して傾斜して設置され、降雨は太陽電池モジュールの傾斜に沿って流れる。しかしながら、上述の太陽電池モジュールは太陽電池モジュール本体の外周部に枠体を嵌めた構造であるため、太陽電池モジュール本体の受光面部と枠体との間に段差が存在する。この段差のために降雨時に太陽電池モジュールの受光面に雨水が溜まり、その後雨水が蒸発した後に塵や埃、煤煙、砂、花粉、火山灰などの汚れが太陽電池モジュールの受光面に付着してしまい、太陽電池素子へ到達する光の量が減少し、太陽電池モジュールの発電量が低下するという問題あった。
また、太陽電池モジュールの受光面上に積雪すると、雪が段差に引っかかるために落雪しにくくなり、太陽電池モジュール受光面上に雪がとどまって積雪によって低下した発電量が回復しにくいという問題があった。
このような問題を低減できる太陽電池として、例えば特許文献1(実開昭58−147260号公報)には、枠体と、太陽電池モジュール本体の受光面との間の段差をなくした太陽電池モジュールが提案されている。
図16、図17は特許文献1で開示された太陽電池パネル(本願における太陽電池モジュール)を示す図であり、図16は斜視図、図17は図16におけるV−V線断面図である。太陽電池パネル100において、太陽電池パネル本体(本願における太陽電池モジュール本体)101は、フレーム102(本願における枠体)に固定されてなり、フレーム102は、左右の側壁102aおよび102bと、上下の側壁102cおよび102dからなる。左右の側壁102a,102bは太陽電池パネル本体101の上側を押さえているが、上下の側壁102cおよび102dは、太陽電池パネル本体の受光面と略面一になるように形成されている。上下の側壁によって、積雪の滑落が妨げられることがないようにするためである。
太陽電池パネル本体の内装の諸部材たる保護透光板103(本願における透光性基材)、太陽電池104(本願における太陽電池セル)、充填剤105(本願における封止樹脂)、裏面シート106(本願における裏面側保護材)と上側の側壁102cの間にはシリコーンシーラント等による接着剤107(本願における接着層)が施されている旨が開示されている。下側の側壁102dについても同様である。保護透光板103の表面と上下の側壁102cおよび102dにおける上端面、接着剤107の表面は略面一である旨が開示されている。
実開昭58−147260号公報
しかしながら、特許文献1には透光性基板の受光面側表面と上下の枠体における上端面と接着剤の表面とを、どのような方法で略面一にするかということについては開示されていない。
本発明は、透光性基板の受光面側表面と、上下の枠体における支持部の上端面と、接着層の表面とを精度よく略面一にし、信頼性の高い太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、下枠の支持部の上端面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、接着剤を塗布した下枠の支持部の上面に太陽電池モジュール本体を配置する太陽電池モジュール本体配置工程と、太陽電池モジュール本体の受光面側にはみだした接着剤を除去するはみ出し接着剤除去工程と、接着剤を硬化させる接着剤硬化工程を有することを特徴としている。
本発明によれば、透光性基板の受光面側表面と、上下の枠体における支持部の上端面と、接着層の表面とを精度よく略面一にし、信頼性の高い太陽電池モジュールの製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールを示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、図1に示す太陽電池モジュールのA−A’の断面図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、図1に示す太陽電池モジュールのB−B’の断面図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールの製造工程の一部を示すフロー図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールの製造工程の一部を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールの製造工程の一部を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、スキージの模式図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールの製造工程の一部を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態を示すものであって、複数枚の太陽電池モジュールを設置した場合の模式図である。 本発明の第2の実施形態を示すものであって、スキージの模式図である。 本発明の第4の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールの製造工程の一部を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態を示すものであって、複数枚の太陽電池モジュールを設置した場合の模式図である。 本発明の第5の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールを示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュール角部の部分拡大図である。 本発明の第5の実施形態を示すものであって、太陽電池モジュールのコーナ部材を示す図である。 従来の太陽電池モジュールを示す図である。 従来の太陽電池モジュールを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態1]
実施形態1に係る太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照し説明すれば以下のとおりである。
図1は本実施形態の製造方法を用いて製造した太陽電池モジュールを、受光面側からみた様子を模式的に示す斜視図である。受光面の逆側にある面を裏面とする。
図1において、太陽電池モジュール1は、略矩形の太陽電池モジュール本体10の各辺に枠体を取り付けて形成している。太陽電池モジュール本体10の側辺11、12に、横枠20、21をそれぞれ取り付けている。また、太陽電池モジュール本体10の下辺13には、下枠30を取り付けており、太陽電池モジュール本体10の上辺14には、上枠31を取り付けている。ここで上辺とは、太陽電池モジュールを傾斜させて設置した場合に、高い位置にくる辺を示す。上辺と対向する位置にある辺を下辺とした。
太陽電池モジュール本体は、受光面側から透光性基板、封止樹脂、太陽電池セル、封止樹脂、裏面側保護材からなる。透光性基板としてガラス基板を用い、封止樹脂としてEVA(エチレンビニルアセテート樹脂)を用いた。また、太陽電池セルとして複数の多結晶シリコン太陽電池セルを用い、裏面側保護材としてPET/Al/PETを積層した多層シートを用いた。また、図1においては記載を省略しているが、太陽電池モジュールとして十分な出力電力を得るために複数の太陽電池セルを、内部配線を用いて直列に電気的に接続した。さらに、太陽電池モジュールは正極側と負極側の2個の引出し電極を有しており、それぞれの引出し電極の一端は太陽電池セルと電気的に接続し、引出し電極の逆側の一端は端子ボックスに電気的に接続した。
図2は、図1で示した太陽電池モジュール1のA−A’の断面図である。下枠30は、アルミニウムの押出加工により形成されてなる。下枠30は、支持部32とボックス部33からなる。支持部32はボックス部33の上方にあって、横片32aと縦片32bからなり、横片32aはボックス部33と共有している。ボックス部33は、上片と内側片と下片と外側片とが箱状に連結された形状であり、上片を支持部32の横片32aと共有している。
支持部32上に接着層40が配置されており、接着層40上に太陽電池モジュール本体10が載置されている。太陽電池モジュール本体10を構成する透光性基板の受光面側の表面と、下枠30の支持部32の縦片32bの端面(以下、下枠の支持部の上端面という)と、接着層40の表面とが略面一になっている。
以上、下枠30について説明したが上枠31についても同様である。
図3は、図1で示した太陽電池モジュール1のB−B’断面図である。横枠20は、アルミニウムの押出加工により形成されてなる。横枠20は、嵌合部22とボックス部23とフランジ部24からなる。嵌合部22は、ボックス部23の上方にあり、上片と側片と下片とを連結したC字状に形成されている。ボックス部23は、上片と内側片と下片と外側片が箱状に連結された形状であり、内側には仕切片が形成され、内側片と外側片を連結している。また、内側片の一部にねじ穴部23a、23bが形成されている。嵌合部22の下片はボックス部の上片と共有している。フランジ部24は、ボックス部23の下片を太陽電池モジュール1の内側に向かって延設されたものである。フランジ部24の先端は少し上方に折り曲げられて形成されている。尚、枠体の構造によっては、仕切片は省略することができる。
端面封止材50は、断面が、嵌合部22の内壁の形状に合わせてC字状に形成されており、嵌合部22の内壁に密着している。太陽電池モジュール本体10の側辺11を横枠20の嵌合部22に挿入することにより、横枠20を太陽電池モジュール本体10に取り付けている。嵌合部22と太陽電池モジュール本体10に挟まれた端面封止材50は、圧縮されて嵌合部と太陽電池モジュール本体に接触し、枠体にかかった衝撃を太陽電池モジュール本体に伝えにくくする機能を有している。また、太陽電池モジュール本体の側辺側の端面をより確実に封止し、水分等の侵入を防ぐ機能も有している。本実施形態においては、端面封止材50としてエラストマー樹脂を用いた。
以上、横枠20について説明したが横枠21についても同様である。
図1から図3を用いて説明したように、横枠20、21は、太陽電池モジュール本体10の側辺11、12の周縁部の受光面および裏面を覆っている。一方、下枠30は太陽電池モジュール本体10の下辺13の周縁部に取り付けられているが、太陽電池モジュール本体10の受光面を覆ってはいない。また、上枠31は太陽電池モジュール本体10の上辺14の周縁部に取付けられているが、太陽電池モジュール本体10の受光面を覆ってはいない。太陽電池モジュールの上枠と下枠の支持部の上端面と、太陽電池モジュール本体の受光面側の表面と、接着層の表面とが略面一となっている。
太陽電池モジュール1は、横枠20、21の長手方向に沿って傾斜して設置される。太陽電池モジュール1上に雨が降った場合には、太陽電池モジュール本体10の上辺14から下辺13に向けて水が流れる。雪が積もった場合も同様に、太陽電池モジュール本体10の上辺14から下辺13に向けて滑落する。太陽電池モジュールの上枠と下枠の支持部の上端面と太陽電池モジュール本体の受光面側表面と接着層の表面とが略面一となっているため、上枠と下枠で雨や雪がたまりにくい。よって、汚れや雪によって発電量が低下するという問題を低減することが可能となった。
本発明の太陽電池モジュールは、1枚で設置しても良く、複数枚を横枠の長手方向に沿って設置しても良い。また、複数枚を横枠の長手方向に略垂直の方向に沿って設置しても良く、マトリクス状に設置しても良い。
次に、図4から図9を用いて、本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法を説明する。
受光面側から、透光性基板、封止樹脂、太陽電池セル、封止樹脂、裏面側保護材の順に配置し、ラミネート装置を用いて真空引きをしながら加熱加圧することによって、太陽電池モジュール本体を製造した。その後、正極側と負極側の2個の引出し電極の一端を端子ボックスに電気的に接続した。引出し電極と端子ボックスとの接続は、枠体の取り付けを行った後に行っても良い。
次に、太陽電池モジュール本体に下枠を取り付ける工程について、図4のフロー図を用いて説明する。本実地形態においては、下枠を取り付けた後に上枠と横枠を取り付けたが、枠体の取りつけはこの順番に限られるものではない。
接着剤塗布工程S1(Sはステップを表す。以下同様)において、下枠30の支持部32の横片32aの受光面側の面に、接着剤41を塗布した。図5(a)に接着剤を塗布した下枠の断面を模式的に示す。接着層40を形成する接着剤41として、常温硬化型のシリコーン樹脂を用いた。シリコーン樹脂を用いることにより、下枠と太陽電池モジュール本体との高い接着強度を得ることが可能となった。また、シリコーン樹脂は、耐候性が高く、高い接着強度を長期間にわたり維持することが可能であるため、太陽電池モジュールの長期信頼性を確保することも可能となった。接着剤41は、長手方向に約2cmの幅で下枠30の全体にわたり塗布した。
支持部の横片32aの受光面側の面だけでなく、縦枠32bの太陽電池モジュール本体側の面にも接着剤41を同時に塗布しても良い。接着剤であるシリコーン樹脂を塗布する際に、L字型の開口部を有する容器を用いることで同時に塗布することが可能となった。縦枠にも予め接着剤を塗布しておくことで、広い接着剤塗布面積を確保することができる。また、支持部の横枠と縦枠を同時に塗布することで工程が簡略化された。
次に太陽電池モジュール本体配置工程S2において、接着剤41上に太陽電池モジュール本体10を配置した。図5(b)に、その際の下枠周辺の断面の様子を模式的に示す。下枠30の支持部の上端面と、太陽電池モジュール10を構成する透光性基板の受光面側表面が略面一になっており、接着剤41の表面は受光面側にはみ出していた。
太陽電池モジュールの製造工程において、太陽電池モジュール本体と下枠との間に高い接着強度が得られる生産を安定的に行っていくためには、接着剤41は支持部32の上端面からはみ出させることが望ましい。接着剤41が支持部の上端面である縦片32bの端面の高さまで達していないということは、縦片32bの太陽電池モジュール本体側の面に接着剤41がついていない箇所があるということであるので、十分な接着面積が確保できなくなる可能性があるためである。
次にはみ出し接着剤除去工程S3において、下枠30の支持部の縦片32bの端面の高さからはみ出した接着剤を、スキージ60を用いて取り除いた。図6(a)にはみ出し接着剤除去工程の様子を模式的に示す。また、図6(b)に、はみ出した接着剤を除去する際のスキージ60と下枠30の関係を模式的に示す。
図6(a)に示すように、スキージ60を太陽電池モジュール本体の透光性基材の受光面と下枠30の支持部の上端面にあて、動かすことではみ出した接着剤41を除去した。図6(b)に示すように、スキージの設置角を鋭角とした。ここでスキージの設置角とは、下枠の支持部の上端面とスキージの接触面との間のなす角Cを示す。鋭角とすることで、スキージの上にのったはみ出した接着剤が、太陽電池モジュール本体の受光面に再付着することを防ぐことが可能となった。
また、図7に本実施形態において用いたスキージの斜視図を示す。スキージ60は約10cm×約5cm×約2.5cmの略直方体のうちの一部を切り取り、接触面61を形成したものである。本実地形態で用いたスキージ60はウレタンを主成分とする材料を用いて作成したものであるが、ウレタンに限定する必要はない。スキージ材料として一般的な、シリコンゴム・合成ゴム・金属・プラスチック等の材料を用いてもよい。
次に接着剤硬化工程S4において、接着剤を常温で硬化させた。本実施形態においては、接着剤として常温硬化型のシリコーン樹脂を用いたため、常温で維持することにより接着剤を硬化させたが、常温での硬化に限定するものではない。用いた接着剤により、硬化方法は変えれば良い。
S1〜S4の工程を用いて太陽電池モジュール本体に下枠を取り付けることにより、太陽電池モジュール本体の透光性基板の受光面側表面と下枠の支持部の上端面と接着層の表面とを精度良く略面一とすることが可能となった。また、太陽電池モジュール本体と下枠との高い接着強度を安定して得ることが可能となった。
同様の方法で、上枠31を太陽電池モジュール本体へ取付けた。
次に、太陽電池モジュール本体への横枠の取付けについて図8を用いて説明する。 図8は、太陽電池モジュールを構成する太陽電池モジュール本体10の側辺11と横枠20の勘合を示す概略図である。側辺12と横枠21についても同様である。太陽電池モジュール本体10の側辺11に端面封止材50として、エラストマー樹脂を嵌め込み、さらに横枠20の勘合部に太陽電池モジュール本体10の側辺11と端面封止材50を嵌め込んだ。端面封止材50は、エラストマー樹脂に限るものではなくブチルゴム、シリコーン樹脂や合成ゴム等で形成しても良い。端面封止材50は太陽電池モジュール本体の側辺側の端面が収まるようにL字状に曲がっており、端面を包み込むように保護するものである。
本実施形態においては、太陽電池モジュール本体と枠体との接合強度をさらに上げるために、横枠と下枠、横枠と上枠のねじ止めを行った。
以上のような方法で太陽電池モジュールを製造することにより、太陽電池モジュール本体と枠体との接着強度が強い太陽電池モジュールを製造することが可能となった。
図9に示すように、本発明の製造方法を用いて製造した太陽電池モジュールは、上辺が高く下辺が低くなるように傾けて架台や屋根に取り付けられる。受光面に塵やほこりが堆積して発電量が低下することを防ぐことが可能となった。これは、太陽電池モジュール本体を構成する透光性基板の受光面と、下枠及び上枠の支持部の上端面と、接着層の表面とが略面一であるため、雨が降った際に雨水が太陽電池モジュールの受光面をスムーズに流れることができる。よって、塵やほこりを含む雨水が受光面上に留まって蒸発することを防ぐことが可能となったためと考えられる。
また、積雪した際も受光面上の雪がスムーズに滑落するので、長時間受光面に雪が留まって発電量が回復しないといった事象を回避することが可能となった。
[実施形態2]
実施形態2に係る太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照し説明する。実施形態1と異なる点は、用いたスキージの形状である。実施形態1と重複する箇所については説明を省略する。
図10(a)、(b)に、本実施形態において用いたスキージの形状を示す。スキージの接触面の一部に凹部を設けたことを特徴としている。
図10(a)に示すように、スキージ62の接触面63に一部がかかるような凹部64を設けた。スキージ62を移動させながら太陽電池モジュールからそぎとった余分な接着剤を凹部64に入れることで、接着剤が太陽電池モジュールに再付着することをより確実に防ぐことが可能となる。接触面63を構成する接触辺631に凹部64はかかっていない。このような形状とすることで、繰り返しスキージを使用しても、接触辺631が変形しにくくなった。よって、はみ出し接着剤除去工程におけるスキージの交換回数を減らすことが可能となり、低コストの太陽電池モジュールを生産することが可能となった。
図7(b)に、接触面の一部に凹部を設けたスキージの別の例を示す。凹部を曲線で構成したことに特徴がある。曲線で構成することにより、スキージ65の凹部67にたまった接着剤をとりだしやすくなる。凹部67は、接触面66に近いほうが、幅が広くなるような形状とした。このような形状とすることで、はみ出し接着剤除去工程においてはみ出した接着剤を凹部67に取り込みやすくすることができる。
以上、凹部を直線または曲線で構成した例について示したが、直線と曲線を組み合わせて凹部を構成しても良いことはいうまでもない。
〔実施形態3〕
実施形態3に係る太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照し説明する。
実施形態1と異なる点は、太陽電池モジュール本体配置工程の前に太陽電池モジュール本体の下辺と上辺の周辺部に保護テープを貼った点である。
保護テープは、太陽電池モジュール本体を構成する透光性基板の受光面に貼り付け、はみ出し接着剤除去工程の後に取り外した。このような太陽電池モジュールの製造方法を用いることにより、太陽電池モジュール本体を構成する透光性基板の受光面側に接着剤が付着することを防ぐことが可能となった。スキージを用いてはみ出し接着剤を除去した場合、わずかな接着剤が透光性基板の受光面側に残ってしまい拭き取りが必要となることがあったが、保護テープを貼ることで拭き取りが不要となった。
さらに、本実施形態の太陽電池モジュールの製造方法を用いることにより、太陽電池モジュールを設置した際の意匠性を向上させるという効果も得ることができた。より詳しくは、太陽電池モジュールを長期間屋外に設置した場合に、下辺周辺の受光面側に汚れが溜まり意匠性が低下することを防ぐことが可能となった。
太陽電池モジュール本体を構成する透光性基板としてガラス基板を用い、接着剤としてシリコーン樹脂を用いた場合、シリコーン樹脂が一度でも付いたガラス基板は撥水性が増してしまうという特徴がある。ガラス基板の受光面側にシリコーン樹脂が一度も付かないようにすることで、ガラス基板本来の親水性の部分とシリコーン樹脂の付着により撥水性が増した部分が受光面に混在しなくなり、親水部と撥水部の界面に塵やほこりを含む雨水が留まらなくなり、汚れが溜まることを防ぐことが可能になったと考えられる。
特に複数の太陽電池モジュールを、規則性を持って配置した場合に、意匠性向上の効果は顕著に表れる。受光面側に汚れがないため、全体としての統一感が得られるためである。
受光面側に汚れが溜まらなくなったことによる意匠性向上について述べたが、太陽電池モジュールが長期間にわたり高い発電効率を維持することができるようになったことはいうまでもない。太陽電池モジュールを構成する太陽電池セルへ入射する光量が、減らないためである。
[実施形態4]
実施形態4に係る太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照し説明する。実施形態1と異なる点は、接着剤塗布工程を行う前に下枠の支持部の横片の受光面側の面上にスペーサを配置した点である。実施形態1と重複する箇所については説明を省略する。
図11(a)は、下枠の支持部にスペーサを載置する工程を示し、(b)は、接着剤を塗布する接着剤塗布工程を示し、(c)は太陽電池モジュール本体を下枠の支持部上に載置する太陽電池モジュール本体載置工程を示す。
図11(a)に示すように、スペーサ載置工程において、下枠34の支持部35にスペーサ70を5箇所に配置した。下枠の支持部35は横片35aと縦片35bからなり、スペーサ70は横片35aの受光面の面上に載置した。
スペーサ70は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)を主成分とする材料を用いて形成した。材料はEPDMに限る必然性はなく、太陽電池モジュール本体15を載せても大きく変形せず、耐熱性のある材料を用いることが望ましい。太陽電池モジュールの内部配線や引出し電極がスペーサと近い位置に配置された場合であっても、内部配線や引出し電極の熱でスペーサが熱変形することを防ぐためである。さらに、スペーサ70として粘着性を有するものを用いることが望ましい。この後の工程においても支持部35とスペーサ70の相対的な位置が変わることはないため、太陽電池モジュールを安定して生産することができるためである。
本実施形態においては、スペーサは5箇所に配置したがこの数に限るものではない。支持部35の長手方向における両端と、長手方向のほぼ中央部の少なくとも3箇所にスペーサを配置することが望ましい。
次に、図11(b)に示すように、接着剤塗布工程において下枠34の支持部の横片35aの受光面側の面上に接着剤42を、スペーサ70を避けて配置した。接着剤42としてシリコーン樹脂を用いた。その際に、接着剤42の高さがスペーサ70の高さとほぼ同じになるようにした。接着剤42の高さがスペーサ70の高さよりも低い場合、接着剤42と下枠34の支持部35、あるいは接着剤42と太陽電池モジュール本体15の裏面との十分な接触面積が確保できなくなり、接着強度が得られなくなる可能性があるためである。
次に、図11(c)に示すように、太陽電池モジュール本体を載置する工程において、スペーサ70と接着層42を載置した下枠の支持部の横枠35a受光面側の面上に太陽電池モジュール本体を載置した。太陽電池モジュール本体15の自重で、接着剤がつぶされ、支持部のスペーサのない箇所にまでまわり込んだ。よって、下枠の支持部の横枠35a受光面側のスペーサのない部分は接着剤42で覆われた。
スペーサを配置しているので、太陽電池モジュール本体の自重で透光性基板の中央部にたわみが生じ、接着剤が局所的に薄くなることを防ぐことが可能となり、結果として高い接着強度を安定して得ることが可能となった。
下枠の上に太陽電池モジュール本体を載置する場合について述べたが、太陽電池モジュール本体の上に下枠を載置する場合についても同様の効果を得ることができる。
以上、太陽電池モジュールの下辺と下枠について説明したが、上辺と上枠についても同様である。
また、本実施形態で説明した製造方法で太陽電池モジュールを生産することで、より長期信頼性が高い太陽電池モジュール得ることが可能となった。スペーサ70の主成分であるEPDMは、接着層42として用いたシリコーン樹脂よりも常温における硬度が高いため、太陽電池モジュールを設置した後も、太陽電池モジュール本体15の自重でたわみが生じることを防ぐことが可能となる。太陽電池モジュール本体15の自重でたわみが生じると、裏面側保護材の中にある金属層と下枠との距離が短くなり、落雷等により太陽電池モジュールに高電圧がかかった際に、絶縁破壊が発生する恐れがあった。スペーサ70を配置することでたわみを防ぎ、太陽電池モジュールの長期信頼性をより高めることが可能となった。
さらに、副次的な効果として複数枚の太陽電池モジュールを載置した際の意匠性を向上させることが可能となった。図12を用いて以下に説明する。
図12(a)に本実地形態に記載の方法で製造した太陽電池モジュール2を、規則性を持って配しした場合を示し、図12(b)に従来の太陽電池モジュール200を配置した場合を示す。従来の太陽電池モジュール200では、太陽電池モジュール本体にたわみが生じ、下枠230と太陽電池モジュール本体を構成する透光性基板との平行性が保つことができないため、全体としての統一感が得にくい。太陽電池モジュール2のようにスペーサを配置し太陽電池モジュール本体にたわみが生じることを防ぐことによって、複数枚の太陽電池モジュールを載置した際の意匠性を向上させることができた。全体としての統一感が得られたためである。
[実施形態5]
実施形態5に係る太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照し説明する。実施形態1と異なる点は、太陽電池モジュール本体に枠体を取り付けた後、さらにコーナ部材を取り付けた点である。実施形態1と重複する箇所については説明を省略する。
図13に、本実施形態の太陽電池モジュールを受光面側からみた様子を模式的に示す斜視図を示す。太陽電池モジュール本体16に2つの横枠、上枠及び下枠を嵌め込んでおり、さらに太陽電池モジュール本体16の4つの角部にコーナ部材80を設置している。コーナ部材80は太陽電池モジュール本体16の角部を覆うと共に、太陽電池モジュール本体16の隣り合う2辺に嵌めこんだ枠体とそれぞれ連結している。例えば、図13に示すコーナ部材80は横枠22と下枠36とを連結している。コーナ部材を取り付けることで、太陽電池モジュールを傾斜して設置した際に、太陽電池モジュールの自重によって太陽電池モジュール本体が枠体からはずれることを防ぐことができる。
図14は、本発明の太陽電池モジュールの部分拡大図であり、太陽電池モジュールの角部を受光面側から見た図である。コーナ部材80において、太陽電池モジュール本体16の上辺に近い部分である上片が横枠22に当接する上辺側においては、横枠22の幅と同じ幅であるが、太陽電池モジュール本体17の下辺18を挟持する下辺側は上辺側よりも幅広であり、横枠22よりも幅広である。コーナ部材80が、横枠の幅よりも大きな長さで下辺18支えることができるので、太陽電池モジュール本体16と枠体との取り付け強度を増大させることができる。
また、コーナ部材80の勘合部81の受光面は、緩やかなカーブを有しており、太陽電池モジュール本体16の上辺側から下辺側に向かって連続的に幅を広くしている。すなわち、雨水が溜まりにくく、また、積雪も滑落しやすい形状としている。雨水が溜まりにくい構造であるので、雨水に含まれる塵やほこりが受光面上で蒸発して付着することが少なくなり、防汚効果を発揮して、発電効率の低下を防ぐことができる。また、積雪が滑落しやすいので、太陽電池モジュールの発電機能を速やかに回復することができる。
図15は、本発明の太陽電池モジュールのコーナ部材を示す斜視図である。図15(a)、図15(b)は、コーナ部材80をそれぞれ別方向から見たものである。コーナ部材80は、嵌合部81とボックス部82と凸部85からなる。嵌合部81において、勘合部は太陽電池モジュール本体16の側辺17および下辺18と嵌合する。また、勘合部81の受光面側の縁部はテーパが付けられて薄くなっており、太陽電池モジュール本体16の受光面との段差を小さくして、雪や塵やほこりの滞留を軽減している。また、嵌合部81には切欠き84が設けられている。
ボックス部82は、上片と、外側片と、下片と、内側片が順に連結した構造を有し、仕切片が、上片と下片の間に設けられている。上片の一部は、嵌合部81の下片と共有している。また、枠体に接続する面である枠体接続片には、貫通孔82a、82bが設けられ、貫通孔の間に係合爪83が設けられている。
凸部85は、ボックス部82の下方に形成されており、架台に取り付けるための係合部材と係合するための係合手段として、穴が形成されている。また、太陽電池モジュールを重ねて保管するときのガイドの役割も果たしている。すなわち、太陽電池モジュールを積み重ねたとき、凸部85が一段下の太陽電池モジュールの切欠き84に位置する。四隅のコーナ部材80において、凸部85が切欠き84に位置することになり、積み重ねたときに太陽電池モジュールの位置ずれを防ぐことができる。
太陽電池モジュール本体に下枠、上枠、2つの横枠を取り付けた後、四隅にコーナ部材を取り付けた。太陽電池モジュールの四隅に接着剤のはみ出しがあると、意匠性が低下する。接着剤塗布工程において、下枠及び上枠の端に接着剤がはみださないように塗布するには、時間がかかってしまうことがあった。コーナ部材を取り付けることによって、接着剤塗布工程における端の接着剤はみ出しを考慮する必要がなくなったため、工程時間を短くすることが可能となった。
コーナ部材80のボックス部82の空洞部に2本のねじをねじこむことで横枠22と下枠36とコーナ部材80を締結する。本実施形態においては、タッピンねじを用いた。このようにねじ穴部はねじ挿入と同時にねじ山が形成されて勘合する。このようにすることで、太陽電池モジュール本体の角部を太陽電池モジュール本体16の受光面と、受光面と反対の面の両側から挟持することができる。特に、太陽電池モジュール本体16の下辺の端を挟持するので、太陽電池モジュール本体16と枠体の取り付け強度が増し、信頼性が増加する。また、コーナ部材80は、太陽電池モジュール本体16の側辺17と下辺18とを挟持する。コーナ部材によって、太陽電池モジュール本体の側辺と下辺の両方を1つの部材で挟持することができるので取り付け強度を増大させることができる。すなわち、降雪の滑落を妨げることがなく、太陽電池モジュール本体と枠体との間の取り付け強度がより高い太陽電池モジュールを提供することができる。
以上、実施形態1から実施形態5について具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した5つの実施形態それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
1、2 太陽電池モジュール
10、15、16 太陽電池モジュール本体
11、12、17 側辺
13、18 下辺
14 上辺
20、21、22 横枠
30、34、36 下枠
31 上枠
40 接着層
41、42 接着剤
50 端面封止材
60、62、65 スキージ
70 スペーサ
80 コーナ部材

Claims (5)

  1. 太陽電池モジュール本体と、前記太陽電池モジュール本体の受光面と略面一になる支持部を有する上枠及び下枠とを有する太陽電池モジュールの製造方法であって、
    前記下枠の支持部の横片の受光面側の面上に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    前記接着剤を塗布した前記下枠の支持部に太陽電池モジュール本体を配置する太陽電池モジュール本体配置工程と、
    太陽電池モジュール本体の受光面側にはみだした接着剤を除去するはみ出し接着剤除去工程と、
    接着剤を硬化させる接着剤硬化工程とを有する太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 前記接着剤塗布工程の前に、
    前記下枠の支持部の横片の受光面側の面上にスペーサを配置する工程を有する請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 前記太陽電池モジュール本体配置工程の前に、
    前記太陽電池モジュール本体の下辺と上辺の周縁部に保護テープを配置する工程を有する請求項1または2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  4. 前記接着剤塗布工程において、
    前記下枠の支持部の横片の受光面側の面と前記下枠の支持部の縦片の前記太陽電池モジュール本体側の面とに同時に接着剤を塗布することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  5. 前記接着剤硬化工程の後に、
    前記太陽電池モジュール本体の角部に、前記太陽電池モジュール本体の前記下辺と側辺とを狭持する勘合部を備えたコーナ部材を配置する工程を有する請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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