JP2015125116A - 耐熱部材の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱部材の使用温度を求めることができる、汎用性の高い耐熱部材の検査方法を提供する。【解決手段】耐熱部材の検査方法は、耐熱材の組織における析出物間の平均距離と前記耐熱材の使用温度及び使用時間に関するパラメータとの関係を取得する第1関係取得工程と、検査対象の耐熱部材の組織における析出物間の平均距離を測定により求める平均粒子間距離取得工程と、前記第1関係取得工程にて取得された関係及び前記平均粒子間距離取得工程で求められた平均距離に基づいて、前記検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータを求める使用温度パラメータ取得工程とを有する。【選択図】図2

Description

本開示は、高温機器に使用される耐熱部材の検査方法に関する。
従来から、ボイラ等の高温機器に使用されている鋼材の寿命を、クリープ損傷の程度に基づいて評価することが行われている。例えば、鋼材表面のレプリカを採取し、レプリカを観察してクリープボイドを数え、クリープボイド個数の密度や面密度に基づいて寿命消費率を求めること(レプリカ法)が行われている。
また、クリープ損傷推定方法として、特許文献1が開示する銅添加オーステナイト鋼伝熱管材の損傷推定方法では、伝熱管材から採取されたサンプルが透過型電子顕微鏡により観察される。そして、透過型電子顕微鏡により観察されたCu富化相の析出によって生じる歪場の黒点の密度が求められ、クリープ損傷の程度が推定される。
一方、高温機器では、場所によって温度に大きなばらつきがあり、鋼材の寿命が大きく異なる。そこで、高温機器の保守等を目的として、鋼材の使用温度を評価する方法が提案されている。この種の方法として、特許文献2が開示する鋼材の使用温度推定方法では、鋼材中の析出物の成分が分析され、析出物の成分に基づいて鋼材の使用温度が推定される。
特許第3998053号公報 特開2006−300601号公報
従来のレプリカ法は、クリープボイドの個数に基づいて寿命消費率を求めており、クリープボイドがある程度成長してその数が増加しないと、鋼材の寿命消費率を評価できないため、精度上の問題がある。
特許文献1に記載された損傷推定方法は、透過型電子顕微鏡を用いる必要があるため高コストである。また、透過型電子顕微鏡を用いる場合、サンプルの作成に時間がかかる。特に、歪場を観察する場合、サンプル作成の際に歪を発生させないように注意を要するため、サンプルの作成により時間がかかってしまう。更に、特許文献1に記載された損傷推定方法については、Cu富化相の析出によって生じる歪場の黒点の密度に基づいてクリープ損傷の程度を推定しており、銅添加型オーステナイト鋼以外の鋼材への適用の可否が明らかではない。
一方、特許文献2に記載された使用温度推定方法には、析出物の構成元素の析出量が時間変化しない鋼材、或いは、その変化が小さい鋼材の場合、使用温度の推定が困難である。
本発明の幾つかの実施形態の目的は、耐熱部材の使用温度を求めることができる、汎用性の高い耐熱部材の検査方法を提供することにある。
本発明者は、耐熱部材における析出物間の平均距離が耐熱部材の使用時間及び使用温度に対応して変化することに着目し、本発明に想到した。
本発明の少なくとも一実施形態に係る耐熱部材の検査方法は、
耐熱材の組織における析出物間の平均距離と前記耐熱材の使用温度および使用時間に関するパラメータとの関係を取得する第1関係取得工程と、
検査対象の耐熱部材の組織における析出物間の平均距離を測定により求める平均粒子間距離取得工程と、
前記第1関係取得工程にて取得された関係及び前記平均粒子間距離取得工程で求められた平均距離に基づいて、前記検査対象の耐熱部材の使用温度および使用時間に関するパラメータを求める使用温度パラメータ取得工程と、
を備える。
この構成によれば、析出物間の平均距離に基づいて、耐熱部材の使用温度に関するパラメータを求めることができ、一方、析出物間の平均距離は、析出物の構成元素の析出量の時間変化が小さい場合でも、使用温度に応じて時間変化するので、この構成によれば、種々の耐熱部材について、使用温度を検査することができる。
幾つかの実施形態では、
前記平均粒子間距離取得工程は、
前記検査対象の耐熱部材の組織のレプリカを取得する工程と、
前記レプリカを走査型電子顕微鏡で観察し、前記レプリカの画像を得る工程と、
前記レプリカの画像において複数の析出物間の距離を測定する工程と、
測定された距離の平均値を求める工程と
を含む。
この構成によれば、レプリカを観察して析出物間の距離を測定し、平均値を求めているので、耐熱部材の使用温度を非破壊で検査することができる。
幾つかの実施形態では、
前記平均粒子間距離取得工程において、前記画像上の一つの直線に沿って前記複数の析出物間の間隔を測定する。
この構成によれば、一つの直線に沿って複数の析出物間の間隔を測定することにより、平均距離を容易に求めることができる。
幾つかの実施形態では、
耐熱部材の検査方法は、
耐熱材の使用温度に関するパラメータと耐熱材の寿命消費率に関するパラメータとの関係を取得する第2関係取得工程と、
前記第2関係取得工程で取得された関係及び前記使用温度パラメータ取得工程で求められた前記検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータに基づいて、前記検査対象の耐熱部材の寿命消費率に関するパラメータを取得する寿命消費率パラメータ取得工程を更に備える。
使用温度に関するパラメータに基づいて、寿命消費率に関するパラメータを求める場合、クリープボイドの個数に基づいて寿命消費率に関するパラメータを求める場合に比べて、寿命消費率が小さいときから寿命消費率を求めることができる。このため、この構成によれば、耐熱部材の保守を適切に行うことができる。
幾つかの実施形態では、
前記耐熱材及び前記検査対象の耐熱部材は、高強度オーステナイト鋼からなる。
この構成によれば、高強度オーステナイト鋼における析出物の構成元素の析出量の時間変化が小さくても、析出物間の平均距離に基づいて、耐熱部材の使用温度を求めることができる。
本発明によれば、耐熱部材の使用温度を求めることができる、汎用性の高い耐熱部材の検査方法が提供される。
ボイラの概略構成を示す図である。 幾つかの実施形態に係る耐熱部材の検査方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 平均粒子間距離取得工程の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。 平均粒子間距離取得工程の一部を説明するための図であり、(a)は、検査対象の耐熱部材の概略的な部分断面を示し、(b)は、研磨工程後の耐熱部材の概略的な部分断面を示し、(c)は、母材エッチング工程後の耐熱部材の概略的な部分断面を示し、(d)は、レプリカ取得工程の様子を示し、(e)は、レプリカ取得工程によって得られたレプリカの概略的な部分断面を示している。 平均粒子間距離取得工程の測距工程を説明するための図である。 加熱温度及び加熱時間を変化させたときの耐熱材の組織の変化を示す光学顕微鏡写真である。 耐熱材の組織の変化を概略的に示す図である。 耐熱材における析出物の析出開始時間及び析出開始温度を表すグラフである。 (a)は、温度TH,TLでそれぞれ加熱された耐熱材における、加熱時間と平均粒子間距離との関係を概略的に示すグラフであり、(b)は、耐熱材における、熱履歴パラメータと平均粒子間距離との関係を表すマスターカーブを概略的に示すグラフである。 幾つかの実施形態に係る耐熱部材の検査方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 第2関係として、耐熱材の破断時間と応力と温度との関係を概略的に示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1はボイラ10の概略構成を示す図である。
ボイラ10は、燃焼炉12と、燃焼炉12の上部に連なる煙道14とを有する。
燃焼炉12の火路壁16は水を加熱するための蒸発管を含み、燃焼炉12の上部には、蒸気を過熱するための過熱器18が配置されている。煙道14の下部には、水を予備加熱するための節炭器20が配置されている。また、煙道14の上部には、蒸気を再加熱するための再熱器22が配置されている。
燃焼炉12には、バーナ24が取り付けられ、バーナ24には、燃料としての微粉炭及び空気が供給される。バーナ24から噴出する微粉炭が燃焼することにより生じた高温の排ガスは、燃焼炉12内を上昇し、煙道14に流入する。燃焼により生じた熱は、火路壁16の蒸発管に伝えられ、これにより水が加熱される。排ガスの熱は、過熱器18での蒸気の過熱、再熱器22での蒸気の再加熱、及び、節炭器20での水の予熱に利用される。低温になった排ガスは、例えばボイラ10の下流に設けられた脱硝装置に流入し、浄化される。
過熱器18で過熱された蒸気(主蒸気)は、例えば、蒸気タービン26に供給され、発電等に利用される。
図2は、幾つかの実施形態に係る耐熱部材の検査方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
検査対象の耐熱部材は、例えば、過熱器18や再熱器22を構成する鋼管である。
図2に示すように、耐熱部材の検査方法は、第1関係取得工程S10と、平均粒子間距離取得工程S12と、使用温度パラメータ取得工程S14とを有する。
第1関係取得工程S10では、耐熱材の組織における析出物間の平均距離と耐熱材の使用温度及び使用時間に関するパラメータとの関係(以下、第1の関係ともいう)が取得される。
平均粒子間距離取得工程S12では、検査対象の耐熱部材の組織における析出物間の平均距離を測定により求める。
使用温度パラメータ取得工程S14では、第1関係取得工程S10にて取得された関係平均粒子間距離取得工程S12で求められた平均距離、及び、検査対象の耐熱部材の使用時間に基づいて、検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータが求められる。
図3は、平均粒子間距離取得工程S12の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、平均粒子間距離取得工程S12は、研磨工程S20と、母材エッチング工程S22と、レプリカ取得工程S24と、レプリカ画像取得工程S26と、測距工程S28と、平均粒子間距離演算工程S30とを有する。
図4は、平均粒子間距離取得工程S12の一部を説明するための図であり、図4(a)は、検査対象の耐熱部材30の概略的な部分断面を示し、図4(b)は、研磨工程S20後の耐熱部材30の概略的な部分断面を示し、図4(c)は、母材エッチング工程S22後の耐熱部材30の概略的な部分断面を示し、図4(d)は、レプリカ取得工程S24の様子を示し、図4(e)は、レプリカ取得工程S24によって得られたレプリカ32の概略的な部分断面を示している。
平均粒子間距離取得工程S12では、まず研磨工程S20にて、図4(b)に示すように検査対象の耐熱部材30の表面が鏡面研磨される。
それから、母材エッチング工程S22にて、図4(c)に示すように、析出物34を溶かさずに、母材36がエッチングにより除去される。なお、母材36の粒界38では、エッチングが早く進行する。
この後、レプリカ取得工程S24にて、図4(d)に示すように、レプリカフィルム40がエッチングされた耐熱部材30の表面に貼られる。それから、析出物34がレプリカフィルム40に貼り付いた状態でレプリカフィルム40を剥がすと、図4(e)に示すように、析出物34が転写されたレプリカ32が得られる。この場合、レプリカ32は、レプリカフィルム40と、レプリカフィルム40に付着した析出物34とからなる。
図5は、平均粒子間距離取得工程S12の測距工程S28を説明するための図である。
図5は、走査型電子顕微鏡によってレプリカ32の表面を観察して得られる画像の一部を概略的に示す図である。画像中には、様々な形状の複数の析出物34が認められる。
複数の析出物34間の平均距離(析出物の平均粒子間距離)Lmは、以下のようにして求められる。
まず、画像中において仮想的な直線42を引き、直線42と各析出物34の表面との交点P1、P2、P3、・・・、Pi(ただし、iは整数である)の座標を求める。
そして、析出物34間の距離L1、L2、L3、・・・、Lk(ただし、kは整数である)が測定される。距離L1、L2、L3、・・・、Lkは、それぞれ交点P1と交点P2、交点P3と交点P4、交点P5と交点P6、交点P2k−1と交点P2kの間の直線距離である。
それから、距離L1、L2、L3、・・・、Lkの算術平均を計算することにより、平均距離Lmが求められる。
Lm=(L1+L2+L3+・・・+Lk)/k
平均距離Lmを求めるとき、析出物34を成分によって取捨選択あるいは区別するようなことはせず、成分とは無関係に、析出物34間の平均距離Lmが求められる。距離Lkの測定に用いることができる析出物34は、例えば、数μm程度以上の大きさを有する。
なお、複数の仮想的な直線42を引き、直線42毎に距離Lkを求め、それらの距離Lkの算術平均を平均距離Lmとして求めてもよい。
以下、第1関係取得工程S10について説明する。
前述したように、第1関係取得工程S10では、耐熱材の組織における析出物間の平均距離と耐熱材の使用温度及び使用時間に関するパラメータとの関係(第1の関係)が取得される。
耐熱材とは、検査対象の耐熱部材と同じ組成又は類似の組成を有する材料のことを指す。耐熱材の形状は、検査対象の耐熱部材と同じ形状でなくてもよい。つまり耐熱材は標準試料である。
第1の関係を求めるために、析出物間の平均距離及び熱履歴パラメータ(焼き戻しパラメータ)λが異なる複数の標準試料が用意される。熱履歴パラメータλは、標準試料が加熱されたときの温度(メタル温度)をT(単位:K)とし、加熱されていた時間をt(単位:h)としたときに、次式(1):
λ=T(20+logt)・・・(1)
で表される。
このような複数の標準試料は、例えば、複数の未処理の試料を準備し、これらの試料に対しそれぞれ異なる温度で加熱処理(時効処理)を施すことにより得られる。また、このような複数の標準試料は、複数の未処理の試料に対しクリープ強度試験を行い、クリープ強度試験を試料毎に異なる時間で中止することによっても得られる。
ここで、図6は、600℃から800℃の範囲内の3つの温度(低温、中温及び高温)で加熱時間を変化させたときの耐熱材(火SUS304J1HTB)の組織の変化を示す光学顕微鏡写真である。図7は、耐熱材の組織の変化を概略的に示す図である。図8は、耐熱材(火SUS304J1HTB)における析出物の析出開始時間及び析出開始温度を表すグラフである。
図6に示すように、加熱時間の変化に伴い組織が変化するが、析出物の成長や粗大化は、加熱温度が高いほど早く進行する。
より詳しくは、図7(a)に示すように、未加熱の耐熱材では、粒界38(オーステナイト粒界)は見られるが、析出物34は無い。加熱を始めると、図7(b)及び図8に示すように、炭化物(M23)からなる析出物34cが析出し始める。
加熱を続けると、図7(c)に示すように、析出物34cが成長するとともに、複合窒化物(MX)からなる析出物34nが、母材36中、すなわちオーステナイト粒子の内部に析出する。
更に加熱を続けると、図7(d)に示すように、析出物34c及び析出物34nの粗大化、及び、σ相からなる析出物34sの粒界38での析出が始まり、粒界38が不鮮明になる。そして更に加熱を続けると、図7(e)に示すように、析出物34c及び析出物34nの粗大化及び凝集、及び、析出物34sの粗大化が進み、粒界38が更に不鮮明になる。
かくして加熱時間及び加熱温度の異なる複数の耐熱材(標準試料)を用意した後、用意された複数の耐熱材の各々について、析出物間の平均距離の測定が行われる。測定方法としては、平均粒子間距離取得工程S12と同じ方法を用いることができる。
そして、測定結果に基づいて、耐熱材における、析出物間の平均距離と熱履歴パラメータλとの関係が取得される。
ここで図9(a)は、温度TH,TLでそれぞれ加熱された耐熱材における、加熱時間と平均粒子間距離との関係を概略的に示すグラフである。なお、温度THは温度TLよりも高い(TH>TL)。そして、図9(b)は、耐熱材における、熱履歴パラメータと平均粒子間距離との関係を表すマスターカーブを概略的に示すグラフである。図9(b)のグラフは、図9(a)のグラフに含まれる2つの変数(加熱時間及び加熱温度)を、式(1)を用いて一つの変数、すなわち熱履歴パラメータλに変換することにより求められる。
図9(a),(b)に示すように、析出物間の平均距離は、析出初期の段階では一度減少するが、その後は増大していく。
使用温度パラメータ取得工程S14では、求められた析出物間の平均距離と熱履歴パラメータλとの関係に、平均粒子間距離取得工程S12で求められた平均距離Lmを当てはめることで、検査対象の耐熱部材の熱履歴パラメータλを取得することができる。そして、耐熱部材の使用時間tに関する情報があれば、式(1)に熱履歴パラメータλ及び使用時間tを代入することで、使用温度(メタル温度)Tを求めることができる。
上述した構成によれば、析出物34間の平均距離Lmに基づいて、耐熱部材の使用温度に関するパラメータを求めることができる。一方、析出物34間の平均距離は、析出物34の構成元素の析出量の時間変化が小さい場合でも、使用温度Tに応じて時間変化するので、この構成によれば、種々の耐熱部材について、使用温度Tに関するパラメータを検査することができる。
従って、上述した構成によれば、検査対象の耐熱部材が高強度オーステナイト鋼からなるものであっても、耐熱部材の使用温度に関するパラメータを求めることができる。高強度オーステナイト鋼は、例えば18Cr−8Ni系ステンレスや20―25Cr系ステンレス等であり、火SUS304J1HTB、火SUSTP347HTB及び火SUS310J1TB等である。
また、上述した構成によれば、図3及び図4に示すようにレプリカを観察して析出物34間の距離を測定し、平均値を求めているので、耐熱部材の使用温度に関するパラメータを非破壊で検査することができる。
更に、上述した構成によれば、一つの直線42に沿って複数の析出物34間の間隔を測定することにより、平均距離Lmを容易に求めることができる。
図10は、幾つかの実施形態に係る耐熱部材の検査方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、幾つかの実施形態では、耐熱部材の検査方法は、第2関係取得工程S40と、寿命消費率パラメータ取得工程S42とを更に有する。
第2関係取得工程S40では、耐熱材の使用温度に関するパラメータと耐熱材の寿命消費率に関するパラメータとの関係(第2関係)が取得される。
そして、寿命消費率パラメータ取得工程S42では、第2関係取得工程S40で取得された関係及び使用温度パラメータ取得工程S14で求められた検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータに基づいて、検査対象の耐熱部材の寿命消費率に関するパラメータが取得される。
ここで、図11は、第2関係として、耐熱材の破断時間と応力と温度との関係を概略的に示すグラフである。図11に示される関係は、複数の耐熱材について、異なる温度でクリープ強度試験を行うことにより取得することができる。
図11によれば、例えば、耐熱部材の使用温度Tが650℃であり、耐熱部材に作用する応力が110MPaであれば、耐熱部材の破断時間は100000時間である。このとき、使用温度パラメータ取得工程S14で求められた耐熱部材の使用時間tが10000時間であれば、耐熱部材の寿命消費率は、10000×100/100000=10(%)となる。
なお、耐熱部材に作用する応力は、ボイラ10の運転圧力及び耐熱部材の形状に基づいて求めることができる。
上述したように、使用温度Tに関するパラメータに基づいて、寿命消費率に関するパラメータを求める場合、クリープボイドの個数に基づいて寿命消費率に関するパラメータを求める場合に比べて、寿命消費率が小さいときから寿命消費率を求めることができる。このため、この構成によれば、耐熱部材の保守を適切に行うことができる。
本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、検査対象の耐熱部材は、ボイラ10の過熱器18や再熱器22以外の部位に用いられているものであってもよい。更に、検査対象の耐熱部材は、ボイラ10以外の高温機器に使用されているものであってもよい。また更に、検査対象の耐熱部材の鋼種は、高強度オーステナイト鋼に限定されることはない。
幾つかの実施形態では、使用温度及び使用時間に関するパラメータと析出物間の平均距離との関係を表す関係を測定によって求めたが、その都度測定によって該関係を求める必要はない。同様に、寿命に関するパラメータと析出物間の平均距離との関係を表す関係についても、その都度測定によって求める必要はない。また、これらの関係を文献等から取得してもよい。
幾つかの実施形態では、レプリカ32を走査型電子顕微鏡で観察したが、耐熱部材30の一部をサンプリングして、走査型電子顕微鏡で観察してもよい。
10 ボイラ
12 燃焼炉
14 煙道
16 火炉壁
18 過熱器
20 節炭器
22 再熱器
24 バーナ
26 蒸気タービン
30 耐熱部材
32 レプリカ
34 析出物
36 母材
38 粒界
40 レプリカフィルム

Claims (5)

  1. 耐熱材の組織における析出物間の平均距離と前記耐熱材の使用温度及び使用時間に関するパラメータとの関係を取得する第1関係取得工程と、
    検査対象の耐熱部材の組織における析出物間の平均距離を測定により求める平均粒子間距離取得工程と、
    前記第1関係取得工程にて取得された関係及び前記平均粒子間距離取得工程で求められた平均距離に基づいて、前記検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータを求める使用温度パラメータ取得工程と、
    を備える
    ことを特徴とする耐熱部材の検査方法。
  2. 前記平均粒子間距離取得工程は、
    前記検査対象の耐熱部材の組織のレプリカを取得する工程と、
    前記レプリカを走査型電子顕微鏡で観察し、前記レプリカの画像を得る工程と、
    前記レプリカの画像において複数の析出物間の距離を測定する工程と、
    測定された距離の平均値を求める工程と
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐熱部材の検査方法。
  3. 前記平均粒子間距離取得工程において、前記画像上の一つの直線に沿って前記複数の析出物間の間隔を測定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の耐熱部材の検査方法。
  4. 耐熱材の使用温度に関するパラメータと耐熱材の寿命消費率に関するパラメータとの関係を取得する第2関係取得工程と、
    前記第2関係取得工程で取得された関係及び前記使用温度パラメータ取得工程で求められた前記検査対象の耐熱部材の使用温度に関するパラメータに基づいて、前記検査対象の耐熱部材の寿命消費率に関するパラメータを取得する寿命消費率パラメータ取得工程を更に備える
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の耐熱部材の検査方法。
  5. 前記耐熱材及び前記検査対象の耐熱部材は、高強度オーステナイト鋼からなる
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の耐熱部材の検査方法。
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