JP6990623B2 - クリープ寿命評価方法 - Google Patents

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Description

本開示は、クリープ寿命評価方法に関する。
ボイラ等の高熱機器に使用される伝熱管や配管には、高温・高圧下で長時間使用されるものがある。この種の伝熱管や配管では、健全性を確認するため、定期検査等においてクリープ余寿命の評価が行われる。
例えば特許文献1に記載のクリープ損傷推定方法では、耐熱鋼表面の硬さを測定することにより、予め作成した硬さとクリープひずみ量の関係から当該耐熱鋼のクリープひずみ量を測定し、別途求めたクリープひずみ曲線との比較からクリープ損傷率を求めている。
特許第4737512号公報
特許文献1に記載のクリープ損傷推定方法では、クリープ損傷率を求めるためのクリープひずみ曲線を実験室的に求めた定常クリープ速度等の材料データと温度、応力条件から算出している。すなわち、特許文献1に記載のクリープ損傷推定方法では、クリープ損傷率を求めるためのマスターカーブを得るために加速試験によるデータを用いていると考えられる。
ボイラの実機の稼働時間である、例えば10万時間(11.4年)を超える環境下でのクリープ損傷を再現することは時間的な制約等から困難であるため、特許文献1に記載のクリープ損傷推定方法のように、一般的には加速試験を行うことで必要なデータを取得している。
例えば材料のクリープに関する加速試験では、作用応力や温度等を実機の使用環境よりも大きくすることで、より短時間で試験片がクリープするようにしている。
しかし、材料のクリープの挙動には作用応力や温度に対する依存性があるため、加速試験で得られたデータと、実機におけるクリープの挙動とに差が生じてしまう。そのため、クリープ損傷率を求めるためのマスターカーブの精度を向上させることが困難であり、このマスターカーブを用いて求めるクリープ損傷率の精度を向上させることが困難となる。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、クリープ寿命の評価精度を向上することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るクリープ寿命評価方法は、
ボイラに使用されるボイラ管の第1部分、及び前記第1部分とは異なる位置である前記ボイラ管の第2部分であって、前記第1部分を構成する材料と同じ材料から構成される第2部分、におけるそれぞれの損傷指標を取得する損傷指標取得工程と、
前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの寿命消費率を評価する寿命消費率評価工程と、
前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの損傷指標と、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、前記損傷指標と前記寿命消費率との相関を取得する相関取得工程と、
評価対象管の損傷指標を取得する評価用損傷指標取得工程と、
前記相関と前記評価対象管の損傷指標とに基づいて、前記評価対象管の寿命消費率を評価する評価工程と、
を備える。
上記(1)の方法では、ボイラ管の第1部分及び第2部分におけるそれぞれの損傷指標を取得するようにしている。そして、上記(1)の方法では、取得した損傷指標と、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との相関を取得するようにしている。すなわち上記(1)の方法によれば、実際にボイラに使用されたボイラ管の損傷指標を用いて損傷指標と寿命消費率との相関を取得するので、材料のクリープの挙動における作用応力や温度に対する依存性の影響を排除でき、上記相関の精度を向上できる。
そして、上記(1)の方法によれば、評価対象管の損傷指標と上記相関とに基づいて、評価対象管の寿命消費率を評価するので、精度の高い上記相関に基づいて評価対象管の寿命消費率を評価でき、クリープ寿命の評価精度を向上できる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記ボイラの運転中において、前記第2部分に作用する作用応力は、前記第1部分に作用する作用応力と同一とみなすことができ、
前記ボイラの運転中における前記第2部分の温度は、前記第1部分の温度よりも高い。
上記(2)の方法によれば、作用応力が同一とみなすことができ、且つ、ボイラの運転中における温度が異なる第1部分と第2部分とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との相関における、異なる2点のデータを取得できるので、上記相関の精度を向上できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記ボイラの炉内には、前記ボイラ管を含む熱交換器が複数配置され、
前記第2部分は、前記第1部分を含む熱交換器と同一の熱交換器に含まれ、且つ、前記第1部分とは炉幅方向の位置が異なる。
一般的に、ボイラの炉内では、燃焼ガスの温度分布や輻射の強弱、燃焼ガスの流れ等に起因して、炉幅方向やボイラ前後方向の位置が異なると伝熱管の温度が異なる。そのため、上記(3)の方法によれば、第1部分と第2部分とが同一の熱交換器に含まれ、且つ、炉幅方向の位置が異なるので、第1部分と第2部分とでは、作用応力が同一とみなすことができ、且つ、ボイラの運転中における温度が異なる。したがって、上記(3)の方法によれば、第1部分と第2部分とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との相関における、異なる2点のデータを取得できるので、上記相関の精度を向上できる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの方法において、
前記ボイラの運転中における前記第1部分の温度、及び前記第2部分の温度を炉外にて測定する温度測定工程をさらに備え、
前記寿命消費率評価工程では、前記温度測定工程で測定して得られた前記第1部分の温度、及び前記第2部分の温度を用いて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの前記寿命消費率を評価する。
上記(4)の方法によれば、温度測定工程で測定して得られた、ボイラの運転中における第1部分の温度、及び第2部分の温度を用いるので、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率の評価精度を向上できる。これにより、上記相関の精度を向上できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、
前記寿命消費率評価工程は、
前記第1部分及び前記第2部分の析出物のそれぞれの平均粒径を求める平均粒径取得工程と、
前記第1部分及び前記第2部分と同じ材質からなる耐熱材の組織における析出物の平均粒径と前記耐熱材の温度及び使用時間に関する第1パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分における析出物のそれぞれの平均粒径と、前記第1部分及び前記第2部分の使用時間と、に基づいて、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの温度を求める温度算出工程と、
前記耐熱材の作用応力と前記耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの前記第2パラメータの値を求める第2パラメータ値取得工程と、
前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値と、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの破断時間を求める破断時間取得工程と、
を含む。
上記(5)の方法によれば、耐熱材の組織における析出物の平均粒径と第1パラメータとの関係と、第1部分及び第2部分における析出物のそれぞれの平均粒径と、第1部分及び第2部分の使用時間と、に基づいて、ボイラの運転中における第1部分及び第2部分におけるそれぞれの温度を求めることができる。また、上記(5)の方法によれば、耐熱材の作用応力と第2パラメータとの関係と、第1部分及び第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの第2パラメータの値を求めることができる。上記(5)の方法によれば、第1部分及び第2部分のそれぞれの第2パラメータの値と、ボイラの運転中における第1部分及び第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの破断時間を求めることができる。
したがって、上記(5)の方法によれば、上述のようにして求めた破断時間とボイラの運転時間とから第1部分及び第2部分のそれぞれの寿命消費率を容易に求めることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記ボイラの運転中において、前記第2部分の温度は、前記第1部分の温度と同一とみなすことができ、
前記ボイラの運転中における前記第2部分に作用する作用応力は、前記第1部分に作用する作用応力よりも大きい。
上記(6)の方法によれば、ボイラの運転中における温度が同一とみなすことができ、且つ、作用応力が異なる第1部分と第2部分とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との相関における、異なる2点のデータを取得できるので、上記相関の精度を向上できる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(6)の方法において、前記第2部分は、前記ボイラ管における円周溶接部であって前記第1部分を含む円周溶接部と同一の円周溶接部に含まれ、且つ、前記第1部分とは周方向の位置が異なる。
一般的に、ボイラ管では、ボイラ管の自重や熱伸びの影響等によって曲げ応力が作用すると、同一の円周溶接部であっても周方向の位置によって応力が異なる。そのため、上記(7)の方法によれば、第1部分と第2部分とで同一の円周溶接部において周方向の位置が異なるので、第1部分と第2部分とでは、ボイラの運転中における温度が同一とみなすことができ、作用応力が異なる。したがって、上記(7)の方法によれば、第1部分と第2部分とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との相関における、異なる2点のデータを取得できるので、上記相関の精度を向上できる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)、(6)又は(7)の何れかの方法において、
前記寿命消費率評価工程は、
前記第1部分及び前記第2部分と同じ材質からなる耐熱材の応力と前記耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値を求める第2パラメータ値取得工程と、
前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値と、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの破断時間を求める破断時間取得工程と、
を含む。
上記(8)の方法によれば、耐熱材の応力と耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータとの関係と、第1部分及び第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、第1部分及び第2部分のそれぞれの第2パラメータの値を求めることができる。また、上記(8)の方法によれば、第1部分及び第2部分のそれぞれの第2パラメータの値と、ボイラの運転中における第1部分及び第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、第1部分及び第2部分のそれぞれの破断時間を求めることができる。
したがって、上記(8)の方法によれば、上述のようにして求めた破断時間とボイラの運転時間とから第1部分及び第2部分のそれぞれの寿命消費率を容易に求めることができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの方法において、前記損傷指標は、ボイド個数密度、管の形状変化、又は硬さの何れかである。
上記(9)の方法によれば、損傷指標が、ボイド個数密度、管の形状変化、又は硬さの何れかであるので、損傷指標を容易に取得できる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、クリープ寿命の評価精度を向上できる。
一実施形態に係る発電プラントの全体構成を示す図である。 過熱器の構成を模式的に示す図である。 同一の機器における炉幅方向の位置と、メタル温度及びクリープ損傷率(寿命消費率)との関係を模式的に示した図である。 幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法の処理手順を示したフローチャートである。 寿命消費率評価工程の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。 耐熱材のある材質における、特定の析出物の平均粒径と第1パラメータとの関係を示すグラフである。 作用応力と第2パラメータとの関係を表すグラフである。 損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブの一例を示す図である。 過熱器を炉幅方向から見た模式的な図である。 他の実施形態に係る寿命消費率評価工程の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。 主蒸気管や再熱蒸気管等の配管のベンド部分の近傍を示す図である。 他の実施形態に係る寿命消費率評価工程の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係る発電プラントの全体構成を示す図である。
一実施形態において、発電プラント1は、高圧タービン4、中圧タービン6及び低圧タービン8からなるタービン群と、該タービン群によって駆動される発電機9と、該タービン群に供給される蒸気を生成するためのボイラ10とを備える。
なお、高圧タービン4、中圧タービン6及び低圧タービン8の各軸は、同一軸上にて互いに連結され、さらに発電機9の軸にも連結されていてもよい。
高圧タービン4には、ボイラ10に設置された過熱器12で生成された主蒸気が主蒸気管13を介して供給される。高圧タービン4に流入した主蒸気は、膨張仕事を行った後に高圧タービン4から排出され、ボイラ10に設置された再熱器14に流入する。再熱器14にて再熱された蒸気は、再熱蒸気管15を介して中圧タービン6に流入する。中圧タービン6に流入した再熱蒸気は、膨張仕事を行った後に中圧タービン6から排出され、クロスオーバ管18を介して低圧タービン8に流入する。低圧タービン8に流入した蒸気は、膨張仕事を行った後に低圧タービン8から排出され、復水器20で復水され、ボイラ給水ポンプ22によりボイラ10に還流される。
上記構成の発電プラント1では、主蒸気管13を介して高圧タービン4に供給される主蒸気と、再熱蒸気管15を介して中圧タービン6に供給される再熱蒸気とは、550℃以上(例えば600℃程度)である。なお、主蒸気圧力は、20MPa以上、例えば25MPaに設定される。
図2は、過熱器12の構成を模式的に示す図である。なお、再熱器14の構成も過熱器12の構成と同様であるので、詳細な説明を省略する。
過熱器12は、入口管寄せ12Aと、出口管寄せ12Cと、複数の過熱管(伝熱管)12Bとを備えている。図2に示した過熱器12では、複数の伝熱管12Bが略U字状且つ平面状に配列された伝熱管パネル12Dが管寄せ12A,12Cの延在方向に複数並ぶように配置されている。
過熱器12の伝熱管12Bや再熱器14の伝熱管は、上述したような高温・高圧下で長時間使用されるので、伝熱管の健全性を確認するため、定期検査等において余寿命の評価が行われる。
また、主蒸気管13や再熱蒸気管15等の配管には、上述したような高温・高圧の蒸気が内部を流れている上、配管の熱膨張や自重の影響等によって熱応力や配管反力等、内圧以外の要因による応力が作用する。配管における円周溶接部や管台溶接部等の溶接部では、配管の母材と比べると一般的にクリープ強度が弱い。そのため、作用応力が大きい溶接部では、クリープ損傷が大きくなりがちであるので、健全性を確認するため、定期検査等において余寿命の評価が行われる。
定期検査等における余寿命の評価方法には、クリープ損傷に伴って生じるクリープボイドの個数密度に基づいて余寿命を評価する方法や、クリープ伸びやひずみのように管の形状変化に基づいて余寿命を評価する方法や、評価対象物の硬さに基づいて余寿命を評価する方法等が挙げられる。
上述したような余寿命の評価方法では、クリープボイドの個数密度や、管の形状変化、硬さといった、余寿命の評価対象物における物性値や形態などの損傷指標がクリープ損傷に伴って変化する点に着目してクリープ寿命を評価している。具体的には、上述したような余寿命の評価方法では、上述した損傷指標と寿命消費率との相関を予めマスターカーブとして取得しておき、このマスターカーブと、評価対象物の損傷指標とに基づいて評価対象物のクリープ寿命を評価している。
ボイラの実機の稼働時間である、例えば10万時間(11.4年)を超える環境下でのクリープ損傷を再現することは時間的な制約等から困難であるため、一般的には加速試験を行うことで、マスターカーブの取得に必要なデータを取得している。
例えば材料のクリープに関する加速試験では、作用応力や温度等を実機の使用環境よりも大きくすることで、より短時間で試験片がクリープするようにしている。
しかし、材料のクリープの挙動には作用応力や温度に対する依存性があるため、加速試験で得られたデータと、実機におけるクリープの挙動とに差が生じてしまう。そのため、クリープ損傷率を求めるためのマスターカーブの精度を向上させることが困難である。
そこで、後述する幾つかの実施形態では、クリープ寿命の評価の対象となるボイラから取得した損傷指標に基づいて、クリープ寿命の評価のための相関であるマスターカーブを取得することで、マスターカーブの精度を向上させている。以下、具体的に説明する。なお、以下の説明では、過熱器12の伝熱管12Bや再熱器14の伝熱管、主蒸気管13や再熱蒸気管15等、ボイラ10において使用されている管を、単にボイラ管30とも呼ぶ。また、以下の説明では、過熱器12や再熱器14を総称して熱交換器25と呼ぶことがある。
まず、幾つかの実施形態に係る、ボイラ管のマスターカーブ取得方法の概要について説明する。なお、以下の説明では、寿命消費率の評価対象である評価対象管の寿命消費率を評価するための、損傷指標と寿命消費率との相関をマスターカーブと呼ぶことがある。
一般的に、ボイラ10の炉内では、燃焼ガスの温度分布や輻射の強弱、燃焼ガスの流れ等に起因して、例えば同じ過熱器12の伝熱管12Bであっても、図3に示すように、炉幅方向やボイラ前後方向の位置が異なると伝熱管12Bの温度(メタル温度)が異なる。一方、同じ過熱器12であれば、炉幅方向やボイラ前後方向の位置が異なっていても、伝熱管12Bの内圧は同一であるとみなすことができ、使用時間は同一である。すなわち、例えば過熱器12の複数の伝熱管12Bのうち、図2に示すように、炉幅方向で異なる位置に配置された第1部分31と第2部分32とでは、ボイラ10の運転中における温度が異なるが、作用応力及び使用時間は同じである。また、同じ過熱器12であれば、炉幅方向の位置が異なっていても、伝熱管12Bの材質は、一般的には同じである。
そのため、第1部分31と第2部分32とでは、温度の違いに起因してクリープ損傷の度合いが異なる。換言すると、第1部分31と第2部分32とでは、作用応力及び使用時間が同じであるので、第1部分31と第2部分32とにおけるクリープ損傷度合いの違いは温度の違いによるものである。なお、図3は、例えば過熱器12のように、同一の機器における炉幅方向の位置と、メタル温度及びクリープ損傷率(寿命消費率)との関係を模式的に示した図である。
そこで、幾つかの実施形態に係る、ボイラ管のマスターカーブ取得方法では、上述した第1部分31と第2部分32のように、温度の違いに起因してクリープ損傷の度合いが異なる少なくとも2カ所における損傷指標を取得する。そして、幾つかの実施形態に係るマスターカーブ取得方法では、当該少なくとも2か所におけるそれぞれの寿命消費率を評価し、評価した寿命消費率と、上記のようにして取得した損傷指標とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMを取得する。
このように、幾つかの実施形態に係るマスターカーブ取得方法では、ボイラ10で使用されているボイラ管30の損傷指標を用いてマスターカーブMを取得するので、材料のクリープの挙動における作用応力や温度に対する依存性の影響を排除でき、マスターカーブMの精度を向上できる。
以下、幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法について、具体的に説明する。
図4は、幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法の処理手順を示したフローチャートである。幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法は、マスターカーブ取得処理である損傷指標取得工程S10、寿命消費率評価工程S20、及び相関取得工程S30と、評価用損傷指標取得工程S40と、評価工程S50と、を備える。
幾つかの実施形態に係る、ボイラ管のマスターカーブ取得方法は、ボイラ10に使用されるボイラ管30のマスターカーブ取得方法であって、損傷指標取得工程S10と、寿命消費率評価工程S20と、相関取得工程S30と、を備える。
すなわち、幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法では、マスターカーブ取得処理である損傷指標取得工程S10、寿命消費率評価工程S20、及び相関取得工程S30を実施することで、後述するようにマスターカーブMを取得する。また、幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法では、評価用損傷指標取得工程S40を実施することで、後述するように、寿命消費率の評価対象である評価対象管についての損傷指標を取得する。そして、幾つかの実施形態に係る、クリープ寿命評価方法では、評価工程S50を実施することで、評価対象管についての寿命消費率を評価する。
(損傷指標取得工程S10)
幾つかの実施形態の損傷指標取得工程S10は、ボイラ管30の第1部分、及び第1部分とは異なる位置であるボイラ管30の第2部分であって、第1部分を構成する材料と同じ材料から構成される第2部分、におけるそれぞれの損傷指標を取得する工程である。例えば過熱器12であれば、損傷指標取得工程S10では、伝熱管12Bの第1部分31、及び第1部分31とは異なる位置である伝熱管12Bの第2部分32におけるそれぞれの損傷指標を取得する。
なお、以下の説明では、過熱器12の伝熱管12Bにおける、第1部分31及び第2部分32を例に挙げて説明するが、再熱器14についても同様である。
幾つかの実施形態の損傷指標取得工程S10で取得する損傷指標は、例えば、ボイド個数密度であってもよく、管の形状変化であってもよく、硬さであってもよい。以下の説明では、損傷指標がボイド個数密度である場合を例に挙げて説明する。
幾つかの実施形態の損傷指標取得工程S10では、例えば、図3に示すように、炉幅方向の位置とメタル温度との関係が予め分かっている場合には、メタル温度が最も低くなる位置P1の近傍と、メタル温度が最も高くなる位置P2の近傍の少なくとも2か所におけるボイド個数密度を取得することが望ましい。これにより、後述するようにして取得するマスターカーブMについて、内挿によってマスターカーブMを取得することができる範囲を広げることができる。換言すると、位置P1の近傍と位置P2の近傍の少なくとも2か所におけるボイド個数密度を取得することで、外挿によってマスターカーブMを取得することができる範囲を狭めるができる。これにより、マスターカーブMの精度を向上できる。
また、最も高いメタル温度Tmaxと、最も低いメタル温度Tminとの中間の温度となる位置におけるボイド個数密度を取得することが望ましい。これにより、マスターカーブMの精度を向上できる。
なお、ボイド個数密度を取得する位置を仮にランダムに決定した場合であっても、炉幅方向の位置が異なるにも関わらずメタル温度が同じとなる2つの位置を偶然選択してしまった場合を除けば、マスターカーブMの作成は可能である。
以下の説明では、過熱器12の伝熱管12Bにおける、第1部分31及び第2部分32では、メタル温度が異なっていることとして説明する。また、以下の説明では、第2部分のメタル温度は、第1部分のメタル温度よりも高いこととして説明する。
(寿命消費率評価工程S20)
幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20は、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率を評価する工程である。すなわち、例えば過熱器12であれば、寿命消費率評価工程S20では、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの寿命消費率を評価する。なお、寿命消費率評価工程S20では、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32以外にも損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位がれば、当該部位における寿命消費率も評価する。具体的には、幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20では、以下のようにして、寿命消費率を評価する。
図5は、寿命消費率評価工程S20の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。
寿命消費率評価工程S20では、以下で説明する各工程S201~S209によって、損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位について、寿命消費率を評価する。
寿命消費率評価工程S20は、平均粒径取得工程S201と、温度算出工程S203と、第2パラメータ値取得工程S205と、破断時間取得工程S207と、寿命消費率算出工程S209と、を含む。
平均粒径取得工程S201は、第1部分及び第2部分の析出物のそれぞれの平均粒径を求める工程である。例えば過熱器12であれば、平均粒径取得工程S201では、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32の析出物のそれぞれの平均粒径を求める。
平均粒径取得工程S201では、損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位について、例えばレプリカ法等の手法によって組織のレプリカを取得する。そして、取得した組織のレプリカから、損傷指標を取得した部位、すなわち、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける、特定の析出物の平均粒径を算出する。例えば過熱器12であれば、平均粒径取得工程S201では、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32の組織のレプリカを取得する。そして、第1部分31及び第2部分32の組織のレプリカから、第1部分31及び第2部分32のそれぞれにおける、特定の析出物の平均粒径を算出する。
なお、損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位について、特定の析出物の平均粒径を算出するためには、必ずしもレプリカを取得する必要はなく、例えば、抜管することで、組織のサンプルを取得し、当該サンプルから特定の析出物の平均粒径を算出することが可能である。
温度算出工程S203は、第1部分及び第2部分と同じ材質からなる耐熱材の組織における析出物の平均粒径と耐熱材の温度及び使用時間に関する第1パラメータλ1との関係と、第1部分及び第2部分における析出物のそれぞれの平均粒径と、第1部分及び第2部分の使用時間と、に基づいて、ボイラ10の運転中における第1部分及び第2部分におけるそれぞれの温度を求める工程である。
図6は、耐熱材のある材質における、特定の析出物の平均粒径と、耐熱材の温度及び使用時間に関する温度・時間パラメータ(第1パラメータ)λ1との関係を示すグラフの一例である。ボイラ管30に用いられる耐熱材の材質毎に、特定の析出物の平均粒径と、耐熱材の温度及び使用時間に関する第1パラメータλ1との間には、図6に示すような関係があることが分かっている。なお、上記の特定の析出物とは、その平均粒径と第1パラメータλ1との相関性が高く、平均粒径の値から第1パラメータλ1の値を精度よく算出することができる析出物である。
第1パラメータλ1は、例えばラーソン・ミラーパラメータであり、耐熱材が加熱されたときの温度をT(単位:K)とし、加熱されていた時間をt(単位:h)とし、耐熱材の材料定数をCとしたときに、次式(1)で表される。
λ=T×(C+log(t))/1000・・・(1)
図6に示す、特定の析出物の平均粒径と第1パラメータλ1との関係を表すグラフ41から、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける、特定の析出物の平均粒径に対応する第1パラメータλ1の値を取得できる。そして、取得した第1パラメータλ1の値と、ボイラ10の運転時間とを上記(1)式に代入することで、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける、ボイラ10の運転中のメタル温度を求めることができる。
例えば上述した過熱器12であれば、伝熱管12Bの第1部分31における特定の析出物の平均粒径から、上述のようにして、第1部分31におけるボイラ10の運転中のメタル温度T1が算出され、第2部分32における特定の析出物の平均粒径から、上述のようにして、第2部分32におけるボイラ10の運転中のメタル温度T2が算出される。
第2パラメータ値取得工程S205は、耐熱材の作用応力と耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータλ2との関係と、第1部分及び第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの第2パラメータλ2の値を求める工程である。
ボイラ管30に用いられる耐熱材の材質毎に、作用応力と、耐熱材の温度及び破断時間に関する温度・時間パラメータ(第2パラメータ)λ2との間には、図7に示すような関係があることが分かっている。第2パラメータλ2は、例えばラーソン・ミラーパラメータである。
図7に示す、作用応力と第2パラメータλ2との関係を表すグラフ42から、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける、作用応力に対応する第2パラメータλ2の値を取得できる。
なお、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける作用応力は、上述したように、レプリカのそれぞれを同一の機器における同寸法の伝熱管から取得したのであれば同一であるとみなすことができ、伝熱管の内圧から求めることができる。したがって、レプリカのそれぞれを同一の機器における伝熱管から取得したのであれば、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける第2パラメータλ2の値は同一となる。
例えば上述した過熱器12であれば、図7に示すグラフ42と、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32における作用応力から、第1部分31及び第2部分32の第2パラメータλ2の値を取得できる。
破断時間取得工程S207は、第1部分及び第2部分のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、ボイラ10の運転中における第1部分及び第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの破断時間を求める工程である。
具体的には、破断時間取得工程S207では、レプリカを取得した部位のそれぞれについて、第2パラメータ値取得工程S205で取得した第2パラメータλ2の値と、温度算出工程S203で求めたボイラ10の運転中のメタル温度とを上記(1)式に代入することで、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける破断時間を求める。
例えば過熱器12であれば、破断時間取得工程S207では、第2パラメータ値取得工程S205で取得した伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、温度算出工程S203で求めたボイラ10の運転中の第1部分31及び第2部分32のメタル温度とを上記(1)式に代入することで第1部分31及び第2部分32のそれぞれにおける破断時間を求める。
寿命消費率算出工程S209は、第1部分及び第2部分のそれぞれの破断時間と、第1部分及び第2部分のそれぞれの使用時間とに基づいて、第1部分及び第2部分のそれぞれの寿命消費率を求める工程である。
具体的には、寿命消費率算出工程S209では、レプリカを取得した部位のそれぞれの使用時間を、レプリカを取得した部位のそれぞれについて破断時間取得工程S207で取得した破断時間で除すことで、レプリカを取得した部位のそれぞれの寿命消費率を求める。
なお、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける使用時間は、上述したように、レプリカのそれぞれを同一の機器における伝熱管から取得したのであれば同一である。
例えば過熱器12であれば、寿命消費率算出工程S209では、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32の使用時間、すなわち過熱器12の使用時間を、破断時間取得工程S207で取得した第1部分31及び第2部分32のそれぞれの破断時間で除すことで、第1部分31及び第2部分32のそれぞれの寿命消費率を求める。
このように、幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20では、耐熱材の組織における析出物の平均粒径と第1パラメータλ1との関係と、第1部分31及び第2部分32における析出物のそれぞれの平均粒径と、第1部分31及び第2部分32の使用時間と、に基づいて、ボイラ10の運転中における第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの温度を求めることができる。また、幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20では、耐熱材の作用応力と第2パラメータλ2との関係と、第1部分31及び第2部分32のそれぞれの応力と、に基づいて、第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの第2パラメータλ2の値を求めることができる。幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20では、第1部分31及び第2部分32のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、ボイラ10の運転中における第1部分31及び第2部分32のそれぞれの温度とに基づいて、第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの破断時間を求めることができる。
したがって、幾つかの実施形態の寿命消費率評価工程S20では、上述のようにして求めた破断時間とボイラ10の運転時間とから第1部分31及び第2部分32のそれぞれの寿命消費率を容易に求めることができる。
(相関取得工程S30)
幾つかの実施形態の相関取得工程S30は、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの損傷指標と、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との相関を取得する工程である。すなわち、例えば過熱器12であれば、相関取得工程S30では、損傷指標取得工程S10で取得した、伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの損傷指標と、寿命消費率評価工程S20で取得した、第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMを取得する。
図8は、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMの一例を示す図である。図8のマスターカーブM上の点a1は、例えば伝熱管12Bの第1部分31の損傷指標と寿命消費率とを示すプロットであり、点a2は、例えば伝熱管12Bの第2部分32の損傷指標寿命消費率とを示すプロットである。
このように、幾つかの実施形態では、ボイラ管30の第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの損傷指標を取得するようにしている。そして、幾つかの実施形態では、取得した損傷指標と、第1部分31及び第2部分32におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMを取得するようにしている。すなわち幾つかの実施形態では、実際にボイラ10に使用されたボイラ管30の損傷指標を用いてマスターカーブMを取得するので、材料のクリープの挙動における作用応力や温度に対する依存性の影響を排除でき、マスターカーブMの精度を向上できる。
また、幾つかの実施形態では、ボイラ10の運転中において、マスターカーブMの作成に係る第2部分32に作用する作用応力は、マスターカーブMの作成に係る第1部分31に作用する作用応力と同一とみなすことができる。そして、幾つかの実施形態では、ボイラ10の運転中における、マスターカーブMの作成に係る第2部分32の温度は、マスターカーブMの作成に係る第1部分31の温度よりも高い。
作用応力が同一とみなすことができ、且つ、ボイラ10の運転中における温度が異なる第1部分31と第2部分32とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMにおける、異なる2点のデータを取得できるので、マスターカーブの精度を向上できる。
幾つかの実施形態では、ボイラ10の炉内には、ボイラ管30を含む熱交換器25が複数配置されている。また、幾つかの実施形態では、第2部分32は、第1部分31を含む熱交換器25と同一の熱交換器25に含まれ、且つ、第1部分31とは炉幅方向の位置が異なる。
上述したように、一般的に、ボイラ10の炉内では、燃焼ガスの温度分布や輻射の強弱、燃焼ガスの流れ等に起因して、炉幅方向やボイラ前後方向の位置が異なると伝熱管の温度が異なる。そのため、幾つかの実施形態では、第1部分31と第2部分32とが同一の熱交換器25に含まれ、且つ、炉幅方向の位置が異なるので、第1部分31と第2部分32とでは、作用応力が同一とみなすことができ、且つ、ボイラ10の運転中における温度が異なる。したがって、幾つかの実施形態では、第1部31分と第2部分32とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMにおける、異なる2点のデータを取得できるので、マスターカーブMの精度を向上できる。
(評価用損傷指標取得工程S40)
幾つかの実施形態における、評価用損傷指標取得工程S40は、寿命消費率の評価をする評価対象管から、損傷指標を取得する工程である。評価用損傷指標取得工程S40で取得する損傷指標の種類は、上述した損傷指標取得工程S10で取得した損傷指標と同じ種類の損傷指標である。すなわち、上述した損傷指標取得工程S10において、取得した損傷指標がボイド個数密度であれば、評価用損傷指標取得工程S40では、評価対象管からボイド個数密度を取得する。
幾つかの実施形態では、損傷指標取得工程S10や評価用損傷指標取得工程S40で取得する損傷指標が、ボイド個数密度、管の形状変化、又は硬さの何れかであるので、損傷指標を容易に取得できる。
評価用損傷指標取得工程S40で損傷指標を取得する管は、マスターカーブ取得処理S10~S30において、マスターカーブMを取得するために損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した管を含む機器における、他の管である。例えば、マスターカーブ取得処理S10~S30において、過熱器12の伝熱管12BからマスターカーブMを取得していた場合、評価対象管は、過熱器12の伝熱管12Bである。マスターカーブ取得処理S10~S30において、再熱器14の伝熱管からマスターカーブMを取得していた場合、評価対象管は、再熱器14の伝熱管である。
なお、例えば過熱器12と再熱器14とのように、機器が異なっていて、伝熱管における内圧が異なっていても、作用応力は同一であるとみなすことができる場合がある。すなわち、異なる機器同士であっても、使用する材料が同一であれば、設計上の作用応力は略同一となるように設計される場合もある。
したがって、使用する材料が同一であり、且つ、作用応力が同一であるとみなすことができ、且つ、使用時間が同一であれば、マスターカーブMを取得するために損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した管を含む機器と、評価対象管を含む機器、すなわち寿命消費率を評価する機器とが異なっていてもよい。
ここで、一方の部位における作用応力(以下、第1作用応力と呼ぶ)と他方の部位における作用応力(以下、第2作用応力と呼ぶ)とが同一であるとみなすことができる場合について説明する。幾つかの実施形態では、第1作用応力と第2作用応力とが同一であるとみなすことができる場合には、第1作用応力と第2作用応力とが同一である場合の他、第2作用応力が作用する他方の部位のクリープ寿命が、例えば、第1作用応力が作用する一方の部位のクリープ寿命のいわゆる倍半分の範囲内となる場合も含む。この場合、第1作用応力に対する第2作用応力の採り得る値の範囲は、第1作用応力のマイナス15%以上プラス15%以下の範囲となる。
(評価工程S50)
幾つかの実施形態における、評価工程S50は、評価対象管の損傷指標とマスターカーブMとに基づいて、評価対象管の寿命消費率を評価する工程である。具体的には、評価工程S50では、評価用損傷指標取得工程S40で取得した損傷指標と、相関取得工程S30で取得した、図8に示すようなマスターカーブMとに基づいて、評価対象管の寿命消費率を評価する。
このように、幾つかの実施形態では、評価対象管の損傷指標と上記のマスターカーブMとに基づいて、評価対象管の寿命消費率を評価するので、精度の高いマスターカーブMに基づいて評価対象管の寿命消費率を評価でき、クリープ寿命の評価精度を向上できる。
(使用温度が測定可能である場合について)
図9は、過熱器12をボイラ前後方向から見た模式的な図である。過熱器12では、入口管寄せ12A及び出口管寄せ12Cは、ボイラ10の内部において天井11よりも上方の炉外10Bに配置されており、複数の伝熱管12Bは、その大半がボイラ10の天井11よりも下方の炉内10Aに配置されている。伝熱管12Bの温度を測定するための温度計51は、燃焼ガスが流れる炉内10Aに配置することが困難であるが、炉外であれば容易に配置できる。また、ボイラ10によっては、ボイラの運転管理上、伝熱管12Bの炉外10Bの部分に温度計51を予め配置している場合もある。
なお、説明の便宜上、図2に示した第1部分31を含む伝熱管パネル12Dの伝熱管12Bに取り付けられた温度計51を第1温度計51Aと呼ぶことがある。同様に、図2に示した第2部分32を含む伝熱管パネル12Dの伝熱管12Bに取り付けられた温度計51を第2温度計51Bと呼ぶことがある。温度計51には、例えば熱電対等を用いることができる。
そこで、例えば伝熱管12Bの炉外10Bの部分に配置された温度計51によって伝熱管12Bの温度を測定できる場合には、上述した温度算出工程S203においてレプリカを取得した部位の温度を求めることに代えて、ボイラ10の運転中に温度計51で測定した伝熱管12Bの温度を取得してもよい。なお、レプリカを取得する部位は、温度計51の設置位置の近傍であることが望ましい。しかし、レプリカを取得する部位の温度、及び温度計51の設置位置の温度は内部を流通する蒸気の温度と略等しくなるため、レプリカを取得する部位と温度計51の設置位置とが離れていてもよい。
図10は、他の実施形態、すなわち、ボイラ10の運転中に伝熱管の温度を測定することができる実施形態における、寿命消費率評価工程S20の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。
図10に示す実施形態の寿命消費率評価工程S20は、温度測定工程S211と、第2パラメータ値取得工程S205と、破断時間取得工程S207と、寿命消費率算出工程S209と、を含む。
温度測定工程S211は、ボイラ10の運転中における第1部分の温度、及び第2部分の温度を炉外にて測定する工程である。すなわち、例えば過熱器12であれば、温度測定工程S211では、図2及び図9に示すように、第1温度計51A及び第2温度計51Bでボイラ10の運転中における第1部分31の温度、及び第2部分32の温度を測定する。
なお、ボイラ10の運転中における第1部分の温度は、第1部分の表面の温度であってもよく、第1部分を含む管の内部を流通する流体の温度をもって、第1部分の温度としてもよい。同様に、ボイラ10の運転中における第2部分の温度は、第2部分の表面の温度であってもよく、第2部分を含む管の内部を流通する流体の温度をもって、第2部分の温度としてもよい。
図10に示す一実施形態では、第2パラメータ値取得工程S205における処理は、図5に示した第2パラメータ値取得工程S205における処理と同じである。
図10に示す一実施形態では、破断時間取得工程S207において、レプリカを取得した部位のそれぞれについて、第2パラメータ値取得工程S205で取得した第2パラメータλ2の値と、温度測定工程S211で測定したボイラ10の運転中の温度(メタル温度)とを上記(1)式に代入することで、レプリカを取得した部位のそれぞれにおける破断時間を求める。すなわち、例えば過熱器12であれば、破断時間取得工程S207では、第2パラメータ値取得工程S205で取得した伝熱管12Bの第1部分31及び第2部分32のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、温度測定工程S211で測定したボイラ10の運転中の第1部分31及び第2部分32の温度とを上記(1)式に代入することで第1部分31及び第2部分32のそれぞれにおける破断時間を求める。
図10に示す一実施形態では、寿命消費率算出工程S209における処理は、図5に示した寿命消費率算出工程S209における処理と同じである。
このように、図10に示す一実施形態では、温度測定工程S211を備えている。そして、図10に示す一実施形態では、寿命消費率評価工程S20において、温度測定工程S211で測定して得られた第1部分の温度、及び第2部分の温度を用いて、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率を評価する。
このように、使用温度が測定可能である場合には、温度測定工程S211で測定して得られた、ボイラ10の運転中における第1部分の温度、及び第2部分の温度を用いることができるので、第1部分及び第2部分におけるそれぞれの寿命消費率の評価精度を向上できる。これにより、マスターカーブMの精度を向上できる。
(第1部分と第2部分とで作用応力が異なる場合について)
上述した幾つかの実施形態では、図2に示した第1部分31と第2部分32のように、温度の違いに起因してクリープ損傷の度合いが異なる少なくとも2カ所における損傷指標に基づいて、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMを取得した。しかし、ボイラ10には、以下に述べるように、位置の異なる2カ所において、ボイラの運転中におけるメタル温度が同一であるとみなすことができ、且つ、ボイラの運転中における作用応力が異なる場合もある。
図11は、主蒸気管13や再熱蒸気管15等の配管26のベンド部分27の近傍を示す図である。配管26には、図11に示すように、延在方向が異なる2つの配管26A,26Bをベンド26Cで接続した場所が存在する。配管26A,26Bとベンド26Cとは、端部同士が円周溶接によって接続されている。以下の説明では、配管26A,26Bとベンド26Cとが端部同士で接続された部分を円周溶接部60と呼ぶ。
例えば矢印Fで示すように、配管26の熱膨張や自重等によって配管26が内圧以外の力を受けると、配管26には曲げ応力が生じ、同一の円周溶接部60であっても、周方向の位置によって作用応力が異なる。そのため、同一の円周溶接部60であっても、周方向の位置によって損傷度合いが異なることがある。
例えば、図11において、ある円周溶接部60において周方向の位置が異なる第1部分61と第2部分62とについて、第2部分62に作用する作用応力が第1部分61に作用する作用応力よりも大きく、第1部分61と第2部分62とで損傷度合いが異なるものとする。
しかし、同一の円周溶接部60であれば、周方向の位置が異なっていてもメタル温度は円周溶接部60に接する内部の蒸気の温度と略同じであり、使用時間も同じである。
そこで、以下で説明する、クリープ寿命評価方法についての他の実施形態では、上述した第1部分61と第2部分62のように、作用応力の違いに起因してクリープ損傷の度合いが異なる少なくとも2カ所における損傷指標を取得する。そして、以下で説明する他の実施形態に係るクリープ寿命評価方法では、当該少なくとも2か所におけるそれぞれの寿命消費率を評価し、評価した寿命消費率と、上記のようにして取得した損傷指標とに基づいて、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMを取得する。
このように、他の実施形態に係るクリープ寿命評価方法では、ボイラ10に使用されるボイラ管30の損傷指標を用いてマスターカーブMを取得するので、材料のクリープの挙動における作用応力や温度に対する依存性の影響を排除でき、マスターカーブMの精度を向上できる。
以下、他の実施形態に係るクリープ寿命評価方法について、具体的に説明する。なお、以下の説明では、上述した幾つかの実施形態に係るクリープ寿命評価方法との相違点を主に説明する。以下の説明では、上述した幾つかの実施形態に係るクリープ寿命評価方法と同じ処理を行う場合には、その処理を行う工程のステップ番号を図4及び図5で用いたステップ番号と同じ番号を付し、詳細な説明を省略することがある。
(損傷指標取得工程S10)
他の実施形態に係る損傷指標取得工程S10では、上述した第1部分61と第2部分62のように、温度及び使用時間が同じであるが作用応力の違いに起因してクリープ損傷の度合いが異なる少なくとも2カ所における損傷指標を取得する。
(寿命消費率評価工程S20)
図12は、他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20の概略的な手順の一例を示すフローチャートである。
他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20では、以下で説明する各工程S205~S209によって、上述した損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位について、寿命消費率を評価する。以下の説明では、損傷指標取得工程S10で損傷指標を取得した部位を、単に損傷指標取得部位とも呼ぶ。
他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20は、第2パラメータ値取得工程S205と、破断時間取得工程S207と、寿命消費率算出工程S209と、を含む。
他の実施形態に係る第2パラメータ値取得工程S205では、図7に示す、作用応力と第2パラメータλ2との関係を表すグラフ42から、損傷指標取得部位のそれぞれにおける、作用応力に対応する第2パラメータλ2の値を取得する。
なお、損傷指標取得部位のそれぞれにおける作用応力は、ボイラ10における蒸気温度や蒸気圧力などの運転条件を加味した応力解析を行うことで求めることができる。
例えば図11に示す実施形態であれば、第2パラメータ値取得工程S205では、円周溶接部60の第1部分61及び第2部分62のそれぞれにおける作用応力を応力解析によって求め、求められた作用応力と、図7に示すグラフ42から、第1部分61及び第2部分62のそれぞれにおける第2パラメータλ2の値を取得する。
他の実施形態に係る破断時間取得工程S207では、損傷指標取得部位のそれぞれについて、第2パラメータ値取得工程S205で取得した第2パラメータλ2の値と、ボイラ10の運転中のメタル温度とを上記(1)式に代入することで、損傷指標取得部位のそれぞれにおける破断時間を求める。
損傷指標取得部位のそれぞれにおけるメタル温度は、ボイラ10の運転条件から求めてもよい。また、例えば主蒸気管13や再熱蒸気管15等の配管26における蒸気温度がボイラ10の運転中に測定されていれば、その測定値をもって、損傷指標取得部位のそれぞれにおけるメタル温度としてもよい。
すなわち、例えば図11に示す実施形態であれば、破断時間取得工程S207では、第2パラメータ値取得工程S205で取得した円周溶接部60の第1部分61及び第2部分62のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、上述のようにしてで求めたボイラ10の運転中の第1部分61及び第2部分62のメタル温度とを上記(1)式に代入することで第1部分61及び第2部分62のそれぞれにおける破断時間を求める。
他の実施形態に係る寿命消費率算出工程S209では、損傷指標取得部位のそれぞれの使用時間を、損傷指標取得部位のそれぞれについて破断時間取得工程S207で取得した破断時間で除すことで、損傷指標取得部位のそれぞれの寿命消費率を求める。
なお、損傷指標取得部位のそれぞれにおける使用時間は、上述したように、損傷指標のそれぞれを同一の円周溶接部60から取得したのであれば同一である。
例えば図11に示す実施形態であれば、寿命消費率算出工程S209では、円周溶接部60の第1部分61及び第2部分62の使用時間、すなわちボイラ10の運転時間を、破断時間取得工程S207で取得した第1部分61及び第2部分62のそれぞれの破断時間で除すことで、第1部分61及び第2部分62のそれぞれの寿命消費率を求める。
このように、他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20では、耐熱材の応力と耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータλ2との関係と、第1部分61及び第2部分62のそれぞれの応力と、に基づいて、第1部分61及び第2部分62のそれぞれの第2パラメータの値を求めることができる。また、他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20では、第1部分61及び第2部分62のそれぞれの第2パラメータλ2の値と、ボイラ10の運転中における第1部分61及び第2部分62のそれぞれの温度とに基づいて、第1部分61及び第2部分62のそれぞれの破断時間を求めることができる。
したがって、他の実施形態に係る寿命消費率評価工程S20では、上述のようにして求めた破断時間とボイラ10の運転時間とから第1部分61及び第2部分62のそれぞれの寿命消費率を容易に求めることができる。
また、他の実施形態では、ボイラ10の運転中において、第2部分62の温度は、第1部分61の温度と同一とみなすことができる。そして、他の実施形態では、ボイラ10の運転中における第2部分62に作用する作用応力は、第1部分61に作用する作用応力よりも大きい。
ボイラ10の運転中における温度が同一とみなすことができ、且つ、作用応力が異なる第1部分61と第2部分62とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMにおける、異なる2点のデータを取得できるので、マスターカーブMの精度を向上できる。
他の実施形態では、第2部分62は、配管26における円周溶接部60であって第1部分61を含む円周溶接部60と同一の円周溶接部60に含まれ、且つ、第1部分61とは周方向の位置が異なる。
上述したように、一般的に、配管26では、配管26の自重や熱伸びの影響等によって曲げ応力が作用すると、同一の円周溶接部60であっても周方向の位置によって応力が異なる。そのため、他の実施形態では、第1部分61と第2部分62とで同一の円周溶接部60において周方向の位置が異なるので、第1部分61と第2部分62とでは、ボイラ10の運転中における温度が同一とみなすことができ、作用応力が異なる。したがって、他の実施形態では、第1部分61と第2部分62とでは、損傷度合いが異なるので、異なる2つの損傷指標を取得できる。これにより、損傷指標と寿命消費率との関係で表されるマスターカーブMにおける、異なる2点のデータを取得できるので、マスターカーブMの精度を向上できる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態における過熱器12が、一次過熱器と、この一次過熱器に直列に接続された2次過熱器とを含んでいる場合、一次過熱器と二次過熱器との伝熱管の圧力の差は、伝熱管の圧損程度の違い、例えば1Mpa程度の違いでしかない。このような場合には、一次過熱器の伝熱管の作用応力と二次過熱器の伝熱管の作用応力とは、上述したように、同じであるとみなすことができ、一次過熱器の伝熱管と二次過熱器の伝熱管との損傷度合いの違いは、一次過熱器の伝熱管と二次過熱器の伝熱管との温度の違いに起因するものであると考えてもよい。
このような場合には、上述した幾つかの実施形態の損傷指標取得工程S10において、一次過熱器の伝熱管と二次過熱器の伝熱管とから、それぞれ損傷指標を取得してもよい。
1 発電プラント
10 ボイラ
12 過熱器
12B 過熱管(伝熱管)
13 主蒸気管
14 再熱器
15 再熱蒸気管
25 熱交換器
26 配管
27 ベンド部分
30 ボイラ管
31,61 第1部分
32,62 第2部分
51 温度計
60 円周溶接部

Claims (9)

  1. ボイラに使用されるボイラ管の第1部分、及び前記第1部分とは異なる位置である前記ボイラ管の第2部分であって、前記第1部分を構成する材料と同じ材料から構成される第2部分、におけるそれぞれの損傷指標を取得する損傷指標取得工程と、
    前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの寿命消費率を評価する寿命消費率評価工程と、
    前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの損傷指標と、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの寿命消費率とに基づいて、前記損傷指標と前記寿命消費率との相関を取得する相関取得工程と、
    評価対象管の損傷指標を取得する評価用損傷指標取得工程と、
    前記相関と前記評価対象管の損傷指標とに基づいて、前記評価対象管の寿命消費率を評価する評価工程と、
    を備えるクリープ寿命評価方法。
  2. 前記ボイラの運転中において、前記第2部分に作用する作用応力は、前記第1部分に作用する作用応力と同一とみなすことができ、
    前記ボイラの運転中における前記第2部分の温度は、前記第1部分の温度よりも高い
    請求項1に記載のクリープ寿命評価方法。
  3. 前記ボイラの炉内には、前記ボイラ管を含む熱交換器が複数配置され、
    前記第2部分は、前記第1部分を含む熱交換器と同一の熱交換器に含まれ、且つ、前記第1部分とは炉幅方向の位置が異なる
    請求項1又は2に記載のクリープ寿命評価方法。
  4. 前記ボイラの運転中における前記第1部分の温度、及び前記第2部分の温度を炉外にて測定する温度測定工程をさらに備え、
    前記寿命消費率評価工程では、前記温度測定工程で測定して得られた前記第1部分の温度、及び前記第2部分の温度を用いて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの前記寿命消費率を評価する
    請求項1乃至3の何れか一項に記載のクリープ寿命評価方法。
  5. 前記寿命消費率評価工程は、
    前記第1部分及び前記第2部分の析出物のそれぞれの平均粒径を求める平均粒径取得工程と、
    前記第1部分及び前記第2部分と同じ材質からなる耐熱材の組織における析出物の平均粒径と前記耐熱材の温度及び使用時間に関する第1パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分における析出物のそれぞれの平均粒径と、前記第1部分及び前記第2部分の使用時間と、に基づいて、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの温度を求める温度算出工程と、
    前記耐熱材の作用応力と前記耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの前記第2パラメータの値を求める第2パラメータ値取得工程と、
    前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値と、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、前記第1部分及び前記第2部分におけるそれぞれの破断時間を求める破断時間取得工程と、
    を含む
    請求項1乃至4の何れか一項に記載のクリープ寿命評価方法。
  6. 前記ボイラの運転中において、前記第2部分の温度は、前記第1部分の温度と同一とみなすことができ、
    前記ボイラの運転中における前記第2部分に作用する作用応力は、前記第1部分に作用する作用応力よりも大きい
    請求項1に記載のクリープ寿命評価方法。
  7. 前記第2部分は、前記ボイラ管における円周溶接部であって前記第1部分を含む円周溶接部と同一の円周溶接部に含まれ、且つ、前記第1部分とは周方向の位置が異なる
    請求項1又は6に記載のクリープ寿命評価方法。
  8. 前記寿命消費率評価工程は、
    前記第1部分及び前記第2部分と同じ材質からなる耐熱材の応力と前記耐熱材の温度及び破断時間に関する第2パラメータとの関係と、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの応力と、に基づいて、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値を求める第2パラメータ値取得工程と、
    前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの前記第2パラメータの値と、前記ボイラの運転中における前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの温度とに基づいて、前記第1部分及び前記第2部分のそれぞれの破断時間を求める破断時間取得工程と、
    を含む
    請求項1、6又は7の何れか一項に記載のクリープ寿命評価方法。
  9. 前記損傷指標は、ボイド個数密度、管の形状変化、又は硬さの何れかである
    請求項1乃至8の何れか一項に記載のクリープ寿命評価方法。
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