JP2015124314A - 親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性硬質材料の表面に対して平均粒子径が50μm以上、1,000μm以下である固体粒子が付着することを抑制する方法であり、一般式(a−1)〜(a−5)から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有し、カチオン化度が0.25mol%以上、5.0mol%以下であるカチオン性ポリマーの水溶液を前記親水性硬質材料の表面に接触させる、親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法。
【選択図】なし
Description
しかしながら、自動食器洗浄機を用いた洗浄においては、一度洗浄された汚れが再度食器に付着する、汚れの再付着の問題があり、この問題を解消するための自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、(a)炭素数が8〜22である脂肪酸と多価アルコールとのエステル、(b)漂白活性化剤を含有し、特定のpHを示す自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が提案されている。
また、特許文献2には、(A)トリポリリン酸カリウム、(B)トリポリリン酸ナトリウム、(C)ケイ酸カリウム、及び(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を含有すると共に、水を含有する自動洗浄機用液体洗浄剤組成物が提案されている。
そこで、本発明者らが汚れの再付着を抑制する技術について検討を行ったところ、汚れの再付着の要因が以下に記載のとおりであることを知見した。
一般に家庭の自動食器洗浄機で洗浄される食器の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどから構成される疎水性硬質材料と、ガラス、陶器などで構成される親水性硬質材料に大別される。また、食器に付着する洗浄対象の汚れとしては、糖質、無機物などに代表される水溶性汚れと、その他の水不溶性の汚れが挙げられる。水溶性の汚れは、自動食器洗浄機での洗浄時に溶解又は分散しやすい性質を有しており、洗浄後に残留することは稀である。これに対して、水不溶性の汚れは粒子汚れとして洗浄時の槽内に存在し、一旦食器から除去された後、再び他の食器に付着残留しやすい性質を有する。特に、洗浄水、すすぎ水が当たりにくい場所に置かれた食器には、槽内に存在する粒子汚れが少量であったとしても再付着してしまい、すすぎ工程を経た後も除去されなかった粒子汚れが食器に残留する場合がある。
水不溶性汚れを更に分類すると、油などの疎水性汚れと、茶葉、スパイスなどの親水性汚れが挙げられる。疎水性汚れは疎水性硬質材料に吸着残留しやすい性質を有するが、自動食器洗浄機用洗浄剤に含まれる界面活性剤の乳化力により除去することが可能である。一方、親水性汚れは親水性硬質材料との親和性が高く、固体粒子として残留しやすいため汚れの再付着の問題が生じる。
親水性硬質材料の表面に対して平均粒子径が50μm以上、1,000μm以下である固体粒子が付着することを抑制する方法であり、下記一般式(a−1)〜(a−5)から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有し、カチオン化度が0.25mol%以上、5.0mol%以下であるカチオン性ポリマーの水溶液を前記親水性硬質材料の表面に接触させる、親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法。
本発明の親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法は、親水性硬質材料の表面に対して平均粒子径が50μm以上、1,000μm以下である固体粒子が付着することを抑制する方法であり、前記一般式(a−1)〜(a−5)から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有し、カチオン化度が0.25mol%以上、5.0mol%以下であるカチオン性ポリマーの水溶液を前記親水性硬質材料の表面に接触させるものである。
なお、本明細書において、固体粒子の平均粒子径は、株式会社堀場製作所製レーザー解析式粒径測定装置「LA−950」を用いて測定した値をいう。
また、本発明において、「親水性硬質材料」とは水の静止接触角が20°以下の条件を満たす硬質材料であり、親水性硬質材料としては、陶器、ガラスを挙げることができる。
前記(a)成分は、下記一般式(a−1)〜(a−5)から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を有し、カチオン化度が0.25mol%以上、5mol%以下であるカチオン性ポリマーである。
具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。なお、前記「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
nは、0以上10以下の整数を示す。nが0以上10以下であれば、洗浄性能が向上する。nは、洗浄性能の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
前記重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のオレフィン類、スチレン、p−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル誘導体類、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
また、ヒドロキシエチルセルロース、及び可溶性澱粉等の半合成水溶性高分子に対して前記カチオン性基を有する化合物を反応させることにより製造することもできる。
本発明においては、汚れの再付着性能を向上させる観点、及び入手容易性の観点から、酢酸ビニルと前記カチオン性基を有するモノマーとを重合して製造したカチオン変性ポリビニルアルコール、及びヒドロキシエチルセルロースと前記カチオン性基を有する化合物とを反応させたカチオン変性ヒドロキシルエチルセルロースが好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールは、前記カチオン性基を主鎖あるいは側鎖に有するポリビニルアルコールのことである。前記カチオン変性ポリビニルアルコールは、原料の酢酸ビニルを重合する際に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等と酢酸ビニルとを共重合し、得られたコポリマーを常法によりケン化することにより得られる。
また、酢酸ビニルと他の反応性基を有するモノマーとを共重合しておき、ケン化後前記反応性基を利用して、前記カチオン性基を含有する化合物を反応させてポリビニルアルコールをカチオン化してもよい。
カチオン変性ヒドロキシルエチルセルロースは、例えば、原料セルロースとエチレンオキシドとを反応させてヒドロキシエチルセルロースを得た後、このヒドロキシエチルセルロースをカチオン化剤と反応させてカチオン化する方法により得ることができる。
なお、カチオン化度は、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用いたコロイド滴定により求めることができる。
なお、カチオン性ポリマーの平均分子量は、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めることができる。
カチオン性ポリマーの水溶液を構成する水としては、水道水、蒸留水、又は脱イオン水を用いることができる。これらの中でも、蒸留水又は脱イオン水が好ましい。
本発明の方法によれば、通常20°以下である親水性硬質材料表面の水の静的接触角を40°以上に変化させることができる。また、親水性硬質材料表面の水の後退接触角を10°以上に変化させることができる。
本発明においては、特定構造のカチオン性ポリマーが親水性硬質材料表面に吸着し、その吸着状態の特徴により、効果が発現すると推定される。静的接触角及び後退接触角が前記範囲以上であると、固体粒子の付着を抑制することができる。
前記水の静的接触角は、好ましくは45°以上、より好ましくは50°以上、更に好ましくは55°以上であり、そして、好ましくは80°以下である。水の静的接触角が前記範囲内であれば、親水性硬質材料の表面が疎水化され、固体の粒子径よりも大きい水滴が付着するようになり、当該水滴と共に固体粒子が除去されやすくなると推定している。また、水の静的接触角の処理前からの変化量は、好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上、更に好ましくは30°以上である。
後退接触角は、好ましくは13°以上、より好ましくは16°以上、更に好ましくは19°以上であり、そして、好ましくは80°以下である。水の後退接触角が前記範囲内であれば、被処理面に付着した水滴が垂直面等を移動する際に、水滴の末端が薄膜化しにくくなり、水滴中に固体粒子が包含されるようになるため、水滴と共に固体粒子が親水性硬質材料の表面から除去されると推定される。
なお、静的接触角及び後退接触角は、実施例に記載の方法により測定することができる。
カチオン性ポリマーの水溶液の20℃におけるpHは、固体粒子の付着を抑制する観点から、好ましくは6.5以上、より好ましくは7以上であり、そして、カチオン性ポリマーの水溶液の取り扱い性の観点から、好ましくは8.6以下、より好ましくは8.2以下、更に好ましくは7.8以下である。
本発明の親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法に供される組成物は、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物であることが好ましい。
前記カチオン性ポリマーの水溶液は、例えば、アニオン性ポリマー、キレート剤、界面活性剤、pH調整剤、アルカリ剤、漂白剤、漂白活性化剤、吸油性粉体、溶媒、カルシウム塩や蟻酸等の酵素安定化剤、香料、防菌剤、防黴剤、及び色素等を含有していてもよい。
アニオン性ポリマーとしては、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、及びマレイン酸塩から選ばれるアニオン性基含有モノマーに由来する構成単位を有するアニオン性ポリマーを挙げることができる。前記アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩が挙げられる。
前記アニオン性ポリマーは、前記アニオン性基含有モノマーのみで構成されるポリマーであってもよく、アニオン性基含有モノマーと、アニオン性基含有モノマー以外のモノマーとの共重合体であってもよい。
キレート剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、ニトリロ三酢酸、1,3−プロパンジアミン三酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、及びヒドロキシエチルエチレンジアミンジカルボキシメチルグルタミン酸等のポリカルボン酸又はその塩、トリポリリン酸又はその塩を用いることができる。これらのキレート剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性ポリマーの水溶液を洗浄剤組成物として使用する場合は、ノニオン性界面活性剤を含有していることが好ましく、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン類等が好ましい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましい。これらのノニオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、カチオン性ポリマーの水溶液は、前記ノニオン性界面活性剤の他に、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を含有していてもよい。
カチオン性ポリマーの水溶液を洗浄剤組成物として使用する場合は、酵素を含有していることが好ましい。酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、及びペルオキシダーゼから選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、市販品として粒状化されたものを用いることができる。いずれの酵素も他成分との保存安定性等を考慮して適宜選択すればよい。これらの中でも、他の界面活性剤では除去が難しい糊化したデンプンへの作用が期待されるアミラーゼが好ましい。また、界面活性剤等では除去が困難な変性タンパク質等に対して著しい効果を示すことからプロテアーゼも好ましい。
酵素を用いる場合の酵素の含有量は、カチオン性ポリマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。
・固体粒子の調製
カレーパウダーを篩いにかけて50〜1,000μmの粒径を採取し、乾燥させたものを固体粒子とした。
前記カレーパウダーを食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社、型番「NP−P45M1WS」(ビルトインタイプ))の洗剤投入口の部分に200mg投入した。食器を自動食器洗浄機内の皿立て等の全てにセットし次いで、表1に記載の配合にしたがって洗浄液中のポリマー成分の濃度が100ppmとなるようにポリマーの水溶液を投入後、標準コースで運転を行った。洗浄終了後、陶器製の食器及びガラス製の食器のそれぞれに付着した粒子を回収し乾燥させた。評価は、乾燥した粒子の質量を測定し、下記評価基準にしたがって行った。結果を表1に示す。
・評価基準
A:固体粒子の付着量が1.5mg未満であった。
B:固体粒子の付着量が1.5mg以上、2.5mg未満であった。
C:固体粒子の付着量が2.5mg以上であった。
・サンプルプレートの作成
サンプルプレート(76mm×26mm×1mm)のスライドガラス(松浪硝子製)の上部をクリップで挟み、食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社、型番「NP−P45M1WS」(ビルトインタイプ))の上カゴの両端に設置した。
洗浄時のポリマー濃度が100ppmとなるように標準コースで運転を開始し、洗浄開始25分後(洗浄工程終了直前)にサンプルプレートを取り出し、イオン交換水で3回すすいだ後、自然乾燥させたものを接触角測定のサンプルプレートとした。
測定機器:協和界面科学株式会社製「Drop Master DM700」
測定方法:液滴法に従って測定した。
測定条件:液量を2mLとし、滴下から3秒後の液滴を測定した。これを5回繰り返し、平均値を測定値とした。
なお、未処理のスライドガラスの測定値は5°以下であり、本発明の方法によりスライドガラスが改質されていることが実施例よりわかる。
測定機器:KRuSS社製 表面張力計「K−100」
測定方法:液体試料として水を用い、Wilhelmyプレート法にしたがって測定した。
測定条件:浸漬深さを5mm、浸漬速さを3mm/minとした。1プレートにつき浸漬及び引き上げを3回ずつ行い、3回の平均値を1プレートの測定値とした。更にプレート2枚分の測定を行い、計3プレート分の平均値を測定値とした。
なお、後退接触角は以下の式により求めることができる。
F:張力(表面張力計にて測定)
S:プレートの断面積(26mm×1mm)
h:プレートの浸漬距離(<5mm)
ρ:水の密度(1g/cm3)
g:重力加速度(9.8m/s2)
L:プレートの周囲長(1mm×2+26mm×2)
γ:水の表面張力(73mN/m)
なお、未処理のスライドガラスの水の後退接触角の測定値は約0°であり、本発明の方法によりスライドガラスが改質されていることが実施例よりわかる。
<カチオン性ポリマー>
・カチオン変性ポリビニルアルコール
CM−318、株式会社クラレ製、平均分子量90kDa、カチオン化度1.7mol%、下記式(I)中のp:q:rは88.5:9.8:1.7
Poiz−C60H、花王株式会社製
Poiz−C80M、花王株式会社製
Poiz−C150M、花王株式会社製
OSK−6225、日本合成化学工業株式会社製、平均分子量90kDa、カチオン化度0.15mol%、下記式(II)中のp:q:rは87.0:12.9:0.15
PVA−424、株式会社クラレ製、平均分子量120kDa、下記式(V)中のp:qは80.0:20.0、カチオン化度0mol%
Claims (4)
- 前記カチオン性ポリマーの平均分子量が10,000Da以上、2,000,000Da以下である、請求項1に記載の親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法。
- 前記カチオン性ポリマーの水溶液の濃度が1ppm以上、1,000ppm以下である、請求項1又は2に記載の親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法。
- 前記カチオン性ポリマーが、カチオン変性ポリビニルアルコール及びカチオン変性ヒドロキシルエチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の親水性硬質材料への固体粒子の付着抑制方法。
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