JP2015123951A - 揺動車両の揺動制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】左右一対の車輪を接地させたまま車体とともに揺動可能とした揺動車両の揺動制御システムにおいて、車速に応じてふらつきを抑えつつ軽快かつ外乱に強い走行を可能とする。
【解決手段】車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する揺動ダンパーは、車速検出値が停車領域にある場合には、前記減衰力を最大値とし、前記車速検出値が低車速領域にある場合には、前記車速検出値が増加するにつれて減衰力の値を減少させ、前記車速検出値が中車速領域にある場合には、前記減衰力を最小値とし、前記車速検出値が高車速領域にある場合には、前記減衰力を前記最大値及び最小値の間の値に設定する。
【選択図】図13

Description

本発明は、揺動車両の揺動制御システムに関する。
従来から、左右一対の前輪を接地させた状態で、これらを車体の左右の揺動に合わせて左右に揺動可能とした、前二輪式の揺動車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の揺動車両では、車体を左右揺動可能とする揺動機構に、車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する減衰力発生装置を設けている。
他方、自動二輪車のステアリングダンパにおいて、車速の増加に応じて減衰力を高める制御を行う技術も知られている。
特開2011−195099号公報 特開2005−219617号公報
特許文献2の減衰力制御は、高車速領域ではステアリングダンパの減衰力を高めて外乱による影響を抑え、停車又は低車速領域ではステアリングダンパの減衰力を低くして軽快な転舵を可能とするものである。
しかし、揺動車両においては、停車又は低車速領域では車体のふらつきを抑える一方、中車速領域以上では軽快かつ外乱に強い走行を可能とする制御であることが望ましい。
そこで本発明は、左右一対の車輪を接地させたまま車体とともに揺動可能とした揺動車両の揺動制御システムにおいて、車速に応じてふらつきを抑えつつ軽快かつ外乱に強い走行を可能とすることを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、左右一対の車輪(2)と、前記左右一対の車輪(2)を接地させた状態でこれらを車体の左右の揺動に合わせて左右に揺動させる揺動機構(4)と、前記車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する揺動ダンパー(38)と、前記揺動ダンパー(38)が発生する減衰力の大きさを制御する制御装置と、車速を検出する車速センサー(2S)と、を備える揺動車両(1)の揺動制御システムであって、前記制御装置は、前記車速センサー(2S)が検出する車速検出値が停車領域にある場合には、前記減衰力を最大値とし、前記車速検出値が低車速領域にある場合には、前記車速検出値が増加するにつれて減衰力の値を減少させ、前記車速検出値が中車速領域にある場合には、前記減衰力を最小値とし、前記車速検出値が高車速領域にある場合には、前記減衰力を前記最大値及び最小値の間の値に設定することを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記高車速領域の減衰力は、前記最大値及び最小値の間の中間値よりも最小値側に設定されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記制御装置は、前記減衰力を高く維持する場合と比べて、前記減衰力を低下させるほど使用電力を少なくすることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記制御装置は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90,90’)を含み、前記油圧回路(90,90’)は、前記車体の揺動時に作動油が流通する油路に、作動油の流れを遮断可能なコントロールバルブ(100)を有し、前記コントロールバルブ(100)は、前記揺動ダンパー(38)の制御に用いる電力よりも少ない電力で作動するバルブであり、前記停車領域では前記油路の作動油の流れを遮断することを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、パーキング作動時には前記コントロールバルブ(100)への通電を停止することを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、停車領域ではふらつきが発生し易いことから、揺動減衰力を最大にして揺動し難くし、低車速領域ではふらつきが発生し易い反面、旋回等を行い易くするため、車速の上昇に合わせて揺動減衰力を低くして徐々に揺動し易くする。また、中車速領域ではふらつきも発生し難いことから、軽快性を高めるため、減衰力を最小にして揺動し易くし、高車速領域では外乱の影響を抑えるために、再び減衰力を高くして揺動し難くする。
このように、揺動車両の車速に応じて適切な減衰力を付加することで、ふらつきを抑えつつ軽快かつ外乱に強い走行を実現することができる。
請求項2に記載した発明によれば、高速では車速が高くなるほどセルフステア機能が高まることから、高車速領域では車体を揺動し難くするための減衰力を抑え、減衰力を発生させるための電力等のエネルギーの消費を抑えることができる。
請求項3に記載した発明によれば、高車速領域でのクルーズ走行時の電力消費を抑えることができる。
請求項4に記載した発明によれば、揺動車両の駐停車時には、比較的消費電力の少ないコントロールバルブによって前記油路の作動油の流れを遮断し、車体の倒れ込みを抑えることができる。
請求項5に記載した発明によれば、パーキング時に電力をシャットダウンすれば、揺動をロックしつつ電力消費を抑えることができる。
本発明の実施形態における鞍乗り型車両の左側面図である。 上記鞍乗り型車両の前面図である。 上記鞍乗り型車両の前二輪懸架装置の左側面図である。 上記前二輪懸架装置の上部の左側面図である。 図4の車体左右中央での断面図である。 上記鞍乗り型車両の前輪操舵用のタイロッド周辺の斜視図である。 上記前二輪懸架装置のキングピン軸線に沿う上面図であり、(a)は前二輪懸架装置の直進操舵時、(b)は前二輪懸架装置の左操舵時、(c)は前二輪懸架装置の右操舵時をそれぞれ示す。 上記前二輪懸架装置の上下揺動軸に沿う前面図であり、(a)は車体の直立時、(b)は車体の左揺動時、(c)は車体の右揺動時をそれぞれ示す。 上記前二輪懸架装置の上下揺動軸に沿う前面図であり、(a)は車体の直立時、(b)は車体の左揺動時、(c)は車体の右揺動時をそれぞれ示す。 上記鞍乗り型車両の揺動ダンパーの油圧回路の第一実施形態の構成図である。 車体が左側に揺動した状態における上記油圧回路の図10に相当する構成図である。 車体が右側に揺動した状態における上記油圧回路の図10に相当する構成図である。 上記油圧回路のコントロールバルブ及び倒れ減衰バルブに通電する電流値と車速との関係を示すグラフである。 車体の左右揺動角に対して上記揺動ダンパーが発生する減衰力の大きさの変化を示す波形図である。 車体の揺動角に応じた自動変速禁止制御を示すフローチャートである。 ABS作動に応じた減衰力制御を示すフローチャートである。 上記油圧回路の第二実施形態の図10に相当する構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また、以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
<車両全体>
図1、図2に示す鞍乗り型車両1は、車体前部に左右一対の前輪(操舵輪)2L,2Rを左右対称に備えるとともに、車体後部の左右中央に単一の後輪(駆動輪)3を備え、かつ車体を左右揺動(ローリング動)可能にした前二輪式の揺動車両として構成される。鞍乗り型車両1は、特に記載がなければ左右対称の構成を有する。また、以下の説明では、特に記載がなければ、左右前輪2L,2Rが水平な路面R上に接地した状態で、後述する前二輪懸架装置4に車重分の荷重が加わった1G状態で、車体が左右揺動角度を0度にした直立状態で、左右前輪2L,2Rの操舵角が0°の直進操舵状態にあるときの構成を説明する。なお、本実施形態では、左右対称の構成には左側の符号に「L」、右側の符号に「R」を付して区別するが、前記「L」、「R」を外した符号のみで示すこともある。
鞍乗り型車両1の車体フレーム5は、車体前部上側の左右中央でバータイプの操向ハンドル11を支持するヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12の下部から左右に分岐しつつ後下がりに後方へ延びる左右メインフレーム13と、ヘッドパイプ12の上部から左右に分岐しつつメインフレーム13よりも急傾斜で後下方へ延びて左右メインフレーム13の中間部に接合される左右ガセットフレーム13aと、ヘッドパイプ12近傍で左右メインフレーム13の前端部からメインフレーム13よりも急傾斜で後下方へ延びる左右ダウンフレーム14と、左右メインフレーム13及び左右ダウンフレーム14の中間部間に渡る左右ガセットパイプ13bと、左右ダウンフレーム14の下部から前上がりに前方へ延びつつ左右内側に湾曲する左右ロアアームフレーム16と、ヘッドパイプ12の下方で左右ロアアームフレーム16の前端部に支持されるロアアームブラケット15と、ロアアームブラケット15から上方に延びて左右メインフレーム13の前端部下側のガセット13cに結合される連結パイプ15aと、ヘッドパイプ12及びロアアームブラケット15を含むフレーム前端部に支持されてこれらの前方に前二輪懸架装置4を支持する前懸架フレーム体20と、を備える。
ロアアームブラケット15及び左右ロアアームフレーム16は、左右ダウンフレーム14から前方に延びるブランチロアフレーム17を構成する。左右メインフレーム13の後端部からは、左右ピボットフレーム18が下方に延びる。左右ピボットフレーム18の上部からは、左右シートフレーム19が後上がりに後方へ延びる。
メインフレーム13の下方には、鞍乗り型車両1の原動機であるエンジン(内燃機関)6が搭載される。エンジン6の前方にはラジエータ6aが配置される。エンジン6の動力で駆動される後輪3は、スイングアーム7の後端部に支持される。スイングアーム7の前端部は、左右ピボットフレーム18に上下揺動可能に支持される。エンジン6の上方には収納ボックス8が配置され、収納ボックス8の後方には乗員着座用のシート9が配置され、シート9の下方には燃料タンク10が配置される。
ここで、エンジン6に連設される変速機(不図示)は、車速等の車両状態に応じて自動変速を行う電子制御式の自動変速機とされる。
ヘッドパイプ12は、その中心軸線(ステアリング軸線)C1を車両前面視で車体左右中心線CL上に配置する。軸線C1は、車両側面視で鉛直方向に対して上側ほど後側に位置するように傾斜する。
図4、図5を参照し、ヘッドパイプ12には、ステアリングシャフト12aが同軸かつ回動自在に挿通、支持される。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の上方に突出する上端部には、バータイプの操向ハンドル11が取り付けられる。ステアリングシャフト12aにおけるヘッドパイプ12の下方に突出する下端部には、ステアリングリンク75を連結するボトムブラケット12bが取り付けられる。
前懸架フレーム体20は、ヘッドパイプ12の上下中間部から前上がりに前方へ延びる上支持フレーム21と、ロアアームブラケット15の前端部から前上がりに前方へ延びる下支持フレーム22と、上下支持フレーム21,22の前端部間に渡って上側ほど後側に位置するように傾斜して上下に延びるフロントサブフレーム23と、を有する。
上下支持フレーム21,22は互いに平行をなし、車両側面視でヘッドパイプ12の軸線C1と直交する方向よりも水平方向に対する傾斜角を小さくして配置される。
フロントサブフレーム23は、上下支持フレーム21,22の軸方向を厚さ方向とした厚板形状をなし、車両側面視でヘッドパイプ12よりも鉛直方向に対する傾斜角を小さくして配置される。
フロントサブフレーム23の上部には、前二輪懸架装置4における一体のアッパーアーム24の左右中央を貫通する上揺動軸25の前端部が支持される。フロントサブフレーム23の下部には、前二輪懸架装置4における左右別体の左右ロアアーム26L,26Rの左右内側端部を貫通する左右の下揺動軸27L,27Rの前端部が支持される。上下揺動軸25,27は相互に平行をなし、かつ上下支持フレーム21,22とも平行に配置される。
図中符号C2は上揺動軸25の中心軸線、符号C3L,C3Rは左右の下揺動軸27L,27Rの中心軸線をそれぞれ示す。図2を併せて参照し、車両前面視において、上揺動軸25の中心軸線C2は車体左右中心線CL上に配置され、左右の下揺動軸27L,27Rの中心軸線C3L,C3Rは車体左右中心線CLから左右にオフセットして配置される。
図2、図4を参照し、前二輪懸架装置4のアッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rは、ヘッドパイプ12の前方で左右に延びる。アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部には、左右前輪2L,2Rを独立懸架する左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部が、車両側面視でヘッドパイプ12と平行かつヘッドパイプ12よりも前方にオフセットして配置された左右操舵軸(キングピン軸)29L,29Rを介して、操舵可能に支持される。図中符号C4L,C4Rは左右操舵軸29L,29Rの中心軸線(キングピン軸線)を示す。
前二輪懸架装置4は、左右前輪2L,2Rを接地させたままで、車体フレーム5、エンジン6及び後輪3等を含む車体本体を左右揺動可能とし、かつ車体本体の左右揺動に合わせて左右フロントフォークユニット28L,28R及び左右前輪2L,2Rを左右揺動させる。逆に、前二輪懸架装置4は、車体本体に対して左右フロントフォークユニット28L,28R及び左右前輪2L,2Rを互い違いに上下動させる。
図8(a)に示すように、上下揺動軸25,27の軸方向視で、アッパーアーム24の左右アーム部、左右ロアアーム26L,26R及び左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部は、フロントサブフレーム23も含めて、車体左右で平行リンク状に配置される。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、左右の下揺動軸27L,27Rの軸線C3L,C3R、アッパーアーム24の左右外側端部の後述する左右の上外支持軸25aL,25aRの軸線C2aL,C2aR、左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部の後述する左右の下外支持軸27aL,27aRの軸線C3aL,C3aRを車体左右で結ぶ四角形sq1L,sq1Rは、それぞれ概ね平行四辺形とされる。これにより、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの揺動時には、左右フロントフォークユニット28L,28R及び左右前輪2L,2Rが略平行に上下動する。
また、上下揺動軸25,27の軸方向視で、アッパーアーム24の左右アーム部、左右タイロッド78L,78R及び左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部は、フロントサブフレーム23も含めて、車体左右で平行リンク状に配置される。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、アッパーアーム24の左右の上外支持軸25aL,25aRの軸線C2aL,C2aR、左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcRを車体左右で結ぶ四角形sq1L’,sq1R’は、それぞれ概ね平行四辺形とされる。これにより、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの揺動時には、左右タイロッド78L,78Rも略平行に上下動し、左右前輪2L,2Rの舵角への影響が抑えられる。
図2、図4を併せて参照し、アッパーアーム24の左右外側端部には、上下揺動軸25,27と平行な上外支持軸25aL,25aRを介して、左右上外ブラケット24aL,24aRがそれぞれ揺動可能に支持される。左右上外ブラケット24aL,24aRには、左右操舵軸29L,29Rの上端部がそれぞれ支持される。上外支持軸25aL,25aRの中心軸線C2aL,C2aRは、左右前輪2L,2Rの接地点T1L,T1Rよりも車体左右方向内側に位置している。図中符号T2は後輪3の接地点を示す。
左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部には、上下揺動軸25,27と平行な下外支持軸27aL,27aRを介して、左右下外ブラケット26aL,26aRがそれぞれ揺動可能に支持される。左右下外ブラケット26aL,26aRには、左右操舵軸29L,29Rの下端部がそれぞれ支持される。下外支持軸27aL,27aRの中心軸線C3aL,C3aRは、上外支持軸25aL,25aRの中心軸線C2aL,C2aRよりも左右外側で、左右前輪2L,2Rの接地点T1L,T1Rよりも左右内側に位置している。したがって、左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部間の距離H2は、アッパーアーム24の左右外側端部間の距離H1よりも長くなる。
アッパーアーム24上には、これを左右に跨ぐように設けられたダンパーフレーム体31が固定される。ダンパーフレーム体31は、車両前面視で上方に凸のV字形状をなすもので、その左右傾斜辺に沿って延びる左右一対かつ前後一対のフレームパイプ32と、左右フレームパイプ32の左右内側端部を連結するトップブラケット33と、左右フレームパイプ32の左右外側端に固設される左右固定プレート34と、を有する。左右固定プレート34は、アッパーアーム24の左右外側端部上に締結固定される。
図5を併せて参照し、トップブラケット33の前端部には、シリンダ式のスプリング装置(揺動反力発生装置)35の上端部が、上下揺動軸25,27と平行な上連結軸36及び球面軸受け35aを介して揺動可能に連結される。
スプリング装置35は、ロッド式のストロークガイドとコイルスプリングとを組み合わせたもので、車体の直立状態には、中心軸線(ストローク軸線)C5を車両前面視で車体左右中心線CL上に配置する。スプリング装置35の下端部は、フロントサブフレーム23における上揺動軸25よりも下方かつ下揺動軸27よりも上方となる位置に、上下揺動軸25,27と平行な下連結軸37及び球面軸受け35bを介して揺動可能に連結される。図中符号C6,C7は上下連結軸36,37の中心軸線を示す。
図8(a)に示すように、スプリング装置35は、車体が直立状態にあるときには、車体左右中心で鉛直方向に延びた最伸長状態となる。このときのスプリング装置35における軸線C6,C7間の全長をL0とする。
一方、図8(b)、図8(c)に示すように、スプリング装置35は、車体が直立状態から左右に揺動したときには、前記最伸長状態から短縮するようにストロークする。すなわち、図8(b)、図8(c)のスプリング装置35の全長L1,L2は、図8(a)の全長L0よりも短くなる。このときのスプリング装置35が伸長しようとする力が、車体を直立状態に戻そうとする復元力となり、かつ車体のローリング動に対する反力となる。
スプリング装置35は、車体が直立状態にあるときに車体左右中心上に配置されることから、車体のローリング動に対する伸縮量が、車体の左右何れへの揺動時にも同一となり、車体が左右何れに揺動した場合にも同一の復元力が得られる。
図2、図9に示すように、ダンパーフレーム体31の例えば右フレームパイプ32には、車体の揺動エネルギーを減衰するためのロータリ式の揺動ダンパー(揺動減衰装置)38が支持される。
図10を併せて参照し、揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング38a内に扇形状の油室91を形成し、この油室91内でベーン92を揺動させることで減衰力を得る。揺動ダンパー38の減衰力の大きさは、油圧回路90を主構成とする制御装置によって制御される。油圧回路90については後に詳述する。
ベーン92と一体揺動するダンパー揺動軸39は、ハウジング38aの車体搭載時における前面から前方に突出する。このダンパー揺動軸39の突出部分には、揺動レバー41の基端部が一体揺動可能に取り付けられる。
揺動レバー41の先端部には、リンクロッド42の上端部がリンク連結軸42aを介して揺動可能に連結される。リンクロッド42の下端部は、フロントサブフレーム23における上揺動軸25の右下方となる位置にダンパー連結軸43を介して揺動可能に連結される。すなわち、ダンパー揺動軸39は、揺動レバー41及びリンクロッド42を含むリンク機構41Aを介して車体フレーム5に連結される。
ダンパー揺動軸39、リンク連結軸42a及びダンパー連結軸43は、上下揺動軸25,27と平行な軸である。図中符号C8はダンパー揺動軸39の中心軸線、符号C8aはリンク連結軸42aの中心軸線、符号C9はダンパー連結軸43の中心軸線をそれぞれ示す。
図9(a)に示すように、リンク機構41Aは、フロントサブフレーム23におけるアッパーアーム24を支持する上揺動軸25とリンクロッド42を連結するダンパー連結軸43との間に渡るオフセット部23aを含んで、平行リンク状に配置される。
すなわち、上揺動軸25の軸線C2、ダンパー揺動軸39の軸線C8、リンク連結軸42aの軸線C8a、及びダンパー連結軸43の軸線C9を結ぶ四角形sq2は、概ね平行四辺形とされる。
これにより、図9(b)、図9(c)に示すように、車体揺動時等にアッパーアーム24及びフロントサブフレーム23が所定角度だけ相対揺動すると、これと同等の角度で前記ハウジング38a内のベーン92が揺動し、揺動ダンパー38に所定の減衰力を発生させる。揺動ダンパー38及びリンク機構41Aは、車体の左右何れへの揺動時にも同一の減衰力を発生させる設定とされる。
揺動ダンパー38は、発生する減衰力の大きさを鞍乗り型車両1の車速に応じて変化させる電子制御式の可変ダンパーとされる。揺動ダンパー38の油圧回路90は、例えば左右前輪2L,2Rに設けた車輪速センサー(車速センサー)2Sから得られる車速情報に基づき、ソレノイドバルブ等を作動させて油路を切り替える。これにより、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1の停車時から高速走行時に渡り、減衰力の大きさ等を適宜変化させる。
図2、図4を参照し、ダンパーフレーム体31の後部には、車体フレーム5に対するアッパーアーム24の揺動軌跡に沿うように、車両前面視で円弧状に延びるロックプレート44が固定される。ロックプレート44は、上下揺動軸25,27の軸方向と直交する板状をなし、このロックプレート44の上端位置には、ロックプレート44を厚さ方向で挟圧可能なロックキャリパ45が配置される。ロックキャリパ45は、上支持フレーム21上に固設された支持ブラケット21aに支持される。
ロックキャリパ45はケーブル式であり、図1に示す如く車体前部左側に配置された操作ボックス46から延びる不図示の操作ケーブルの一端が連結される。前記操作ケーブルの他端は、操作ボックス46下部の揺動ロックレバー47の作用端に連結される。この揺動ロックレバー47の操作により、ロックキャリパ45を作動させてロックプレート44を挟圧し、車体の左右揺動をロック可能である。操作ボックス46は、その上部にパーキングブレーキレバー48を有し、このパーキングブレーキレバー48の作用端から延びる不図示の操作ケーブルが、例えば後輪3近傍に設けた不図示のパーキングブレーキに連結される。操作ボックス46の内部には、パーキングブレーキレバー48の作動状態を検知するパーキングスイッチSWpと、揺動ロックレバー47の作動状態を検知する揺動ロックスイッチSWyとが設けられる。
アッパーアーム24が支持する左右上外ブラケット24aL,24aRと、左右ロアアーム26L,26Rが支持する左右下外ブラケット26aL,26aRとの間には、左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部が、左右操舵軸29L,29Rを介してそれぞれ操舵可能に支持される。
図3は、左前輪2L及びハブh等を取り外した状態の左フロントフォークユニット28Lを示すが、右フロントフォークユニット28Rは左右対称の構成とする。以下、図2、図3を参照して左右フロントフォークユニット28L,28Rを説明する。
左右フロントフォークユニット28L,28Rは、左右前輪2L,2Rの左右内側に隣接するように、トレーリングリンク式のフロントサスペンション52Aを構成する。左右フロントフォークユニット28L,28Rは、上部がアッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部に支持されるフォーク本体51と、フォーク本体51の下端部に前端部52aが揺動可能に支持されるトレーリングアーム52と、トレーリングアーム52の後部とフォーク本体51の上部との間に渡るクッションユニット54と、トレーリングアーム52の後端部52bに一体揺動可能に設けられる前輪車軸57と、前輪車軸57の後方でサポートブラケット62aを介してブレーキキャリパ62を支持するとともに前輪車軸57に揺動可能に支持されるキャリパブラケット58と、前輪車軸57の上方で後端部59bがキャリパブラケット58に揺動可能に連結されるとともに前端部59aがフォーク本体51の下部に揺動可能に連結されるトルクロッド59と、を備える。
トレーリングアーム52の前揺動軸53及びトルクロッド59の前後揺動軸60,61は、前輪車軸57と平行に配される。図中符号C11は前揺動軸53の中心軸線、符号C15,C16は前後揺動軸60,61の中心軸線、符号C12は前輪車軸57における左右方向に沿う中心軸線をそれぞれ示す。
フォーク本体51は、アッパーアーム24及び左右ロアアーム26L,26Rの左右外側端部の間に左右操舵軸29L,29Rを介して支持されるアッパーブラケット65と、アッパーブラケット65における操舵軸29の前方に張り出すパイプ挿通部65aに上部が挿通、固定されるフォークパイプ66と、を有する。
フォークパイプ66の上部は、車両側面視で操舵軸29よりも鉛直方向に対する角度を大きくしてパイプ挿通部65aに挿通される。フォークパイプ66及びパイプ挿通部65aは、左右前輪2L,2Rの内側端よりも左右内側に配置される。
フォークパイプ66は、パイプ挿通部65aの下方で前下方に湾曲して延びた後、前輪車軸57よりも前方となる位置で下方に湾曲して延びる。フォークパイプ66の下端部には、トレーリングアーム52の前端部52aを支持するピボットブラケット67が固設される。ピボットブラケット67は、車両側面視で前輪車軸57の上前方に配置される。
フォークパイプ66の中間部の後下側には、クッションユニット54の上端部54aを支持する上クッションブラケット68が固設される。フォークパイプ66の下部後側には、トルクロッド59の前端部59aを支持する前ロッドブラケット69が固設される。フォークパイプ66の中間部の前上側には上前ガセット70が固設され、フォークパイプの下湾曲部の後内周側には下後ガセット71が固設され、フォークパイプ66の上部後側には上後ガセット72が固設される。
トレーリングアーム52は、ピボットブラケット67から下後方に延びるように配置される。トレーリングアーム52の後端部52bからは、前輪車軸57が左右外側に突出する。前輪車軸57には、前輪2のハブhが回転自在かつ脱落不能に取り付けられる。ハブhの左右外側には、前輪2のホイールwの中心部が複数のホイールナットnにより締結される。ハブhの外周には、ブレーキキャリパ62に挟圧されるブレーキディスク63が取り付けられる。
クッションユニット54は、車両側面視で上側ほど後側に位置するように傾斜したロッド式のダンパーと、ダンパーの周囲を巻回するコイルスプリングとを有する。クッションユニット54の上端部54aは、上クッションブラケット68に上支持軸55を介して支持される。クッションユニット54の下端部54bは、トレーリングアーム52の前輪車軸57寄りの部位に下支持軸56を介して支持される。上下支持軸55,56は前輪車軸57と平行な軸である。図中符号C13,C14は上下支持軸55,56の中心軸線、符号C17はクッションユニット54の中心軸線(ストローク軸線)をそれぞれ示す。
クッションユニット54の上部前側には、前記ダンパーに連通するサブタンク54cが配置される。サブタンク54cは、軸線C17と平行に延びる円筒状をなし、前記ダンパー及びコイルスプリングを含むクッション本体とフォーク本体51との間のスペースに配置される。
クッションユニット54は、前輪2の上下動によるトレーリングアーム52の揺動によって、軸線C17に沿ってストロークし、前輪2に入力された衝撃等を吸収するとともに前輪2の上下動を減衰させる。
キャリパブラケット58は、前輪車軸57に相対回転自在に外嵌する基部58aと、基部58aの後上方に延びる上アーム部58bと、基部58a及び上アーム部58bの後方に延びる支持プレート部58cとを有する。上アーム部58bの上端部には、クッションユニット54の左右外側を通過したトルクロッド59の後端部59bが後揺動軸61を介して連結される。
ブレーキキャリパ62は、前輪2と一体回転するブレーキディスク63の後下部を車軸方向で挟み込むように配置される。ブレーキキャリパ62は、不図示のマスターシリンダから供給された油圧によって、ブレーキディスク63を挟圧して前輪2の回転を制動する。ブレーキディスク63、ブレーキキャリパ62及びキャリパブラケット58は、前輪2における左右内側方に開放する椀状のホイールwの内側に配置される。
ブレーキディスク63及びブレーキキャリパ62を主とする前輪ブレーキは、左右前輪2L,2Rにそれぞれ設けられる。同様の構成の後輪ブレーキは、単一の後輪3に設けられる。前輪ブレーキへの油圧供給は、例えば操向ハンドル11の右グリップに配置したブレーキレバーの操作を主になされる。これにより、左右前輪2L,2Rが同時に制動される。後輪ブレーキへの油圧供給は、例えば右ステップに配置したブレーキペダルの操作を主になされる。前後輪ブレーキは、互いに独立した操作入力で個別に作動するものであってもよく、かつ少なくとも一方の操作入力で互いに連動して作動するものであってもよい。
ここで、鞍乗り型車両1は、アンチロックブレーキシステム(Anti-lock Brake System、以下、ABSという。)を備える。ブレーキレバー及びブレーキペダルの操作により発生した油圧は、ABSモジュール(不図示)を介して前後輪ブレーキに供給される。ABSモジュールは、前後輪の制動時のスリップ(ロック)を検出した際にこれを回避するべく、対応するキャリパへの供給油圧を減圧するべく制御する。
トルクロッド59は、キャリパブラケット58の上アーム部58bの上端部をフォーク本体51の下部に連結することで、前輪制動時にブレーキキャリパ62からキャリパブラケット58に入力される制動反力を、サスペンションフレームであるフォーク本体51に入力する。前輪制動時には、前記制動反力によりトレーリングアーム52が揺動してクッションユニット54をストロークさせようとするが、前記制動反力をトルクロッド59を介してフォーク本体51に入力することで、前輪制動時におけるトレーリングアーム52の揺動によるピッチングが抑えられる。
フォーク本体51の下部、トレーリングアーム52、キャリパブラケット58及びトルクロッド59は、車両側面視で平行リンク状に配置される。
すなわち、前揺動軸53の軸線C11、前輪車軸57の軸線C12、前後揺動軸60,61の軸線C15,C16を車両側面視で結ぶ四角形sq3は、概ね平行四辺形とされる。
左右操舵軸29L,29Rのキングピン軸線C4L,C4Rは、車両側面視では鉛直方向に対して上側ほど後側に位置するように傾斜する。換言すれば、左右キングピン軸線C4L,C4Rは、ステアリング軸線C1と平行となるように傾斜する。また、左右キングピン軸線C4L,C4Rは、車両前面視では鉛直方向に対して上側ほど左右内側に位置するように傾斜する。
車両前面視における左右キングピン軸線C4L,C4Rの下方への延長部分は、左右前輪2L,2Rの接地点(接地中心)T1L,T1Rに至る。
車両側面視におけるキングピン軸線C4の下方への延長部分の路面Rとの交点T1’は、前輪2の接地点T1の前方に位置してトレールを生じさせる。車両側面視におけるキングピン軸線C4の鉛直方向に対する傾斜角はキャスター角となる。前輪車軸57は、車両側面視でキングピン軸線C4の前方にオフセットしている。
左右前輪2L,2R及び後輪3の各タイヤは、断面円弧状のトレッド面を有する。左右前輪2L,2Rは、車体のバンク時(ローリング時)には、前二輪懸架装置4の作用により前記車体本体と同様に傾き、トレッド面の接地点をセンターからサイドに移行させる。このとき、左右前輪2L,2Rには、トレールの作用によって傾いた方向に舵角が生じる。
図4〜図6を参照し、ステアリングシャフト12aの下端部に取り付けられるボトムブラケット12bには、ステアリングリンク75の後端部が球面軸受け75bを介して連結される。ステアリングリンク75の前端部は、フロントサブフレーム23の後面側に支承されたベルクランク部材76の第一アーム76aに球面軸受け75aを介して連結される。
ベルクランク部材76は、車両側面視で操舵軸29よりも鉛直方向に対する傾斜を大きくした中継軸77を介して、フロントサブフレーム23の後面側の車体左右中央に揺動可能に支持される。
ベルクランク部材76の第二アーム76bには、左右タイロッド78L,78Rの左右内側端が左右球面軸受け78aL,78aRを介して連結される。左右タイロッド78L,78Rの左右外側端は、それぞれ左右フォーク本体51のアッパーブラケット65の後部に左右球面軸受け78bL,78bRを介して連結される(図2参照)。
これにより、操向ハンドル11と左右前輪2L,2Rとが連係され、操向ハンドル11が左右に操舵されると、ステアリングシャフト12a、ステアリングリンク75、ベルクランク部材76及び左右タイロッド78L,78Rを介して、左右フロントフォークユニット28L,28R及び左右前輪2L,2Rが左右何れかに操舵される。
ベルクランク部材76は、車両側面視で左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部と重なるように配置される。このベルクランク部材76から概ね左右方向に沿うように延びる左右タイロッド78L,78Rを介して、左右フロントフォークユニット28L,28R及び左右前輪2L,2Rが操舵される。
ヘッドパイプ12に支持したステアリングシャフト12aから、ヘッドパイプ12の前方にオフセットした左右フロントフォークユニット28L,28Rに向けて、左右方向に対して大きく傾斜した左右タイロッドを延ばして連結した場合、左右方向に沿うように左右タイロッドを延ばして連結する場合と比べて、左右前輪2L,2Rの操舵角を同一にし難い。
すなわち、ステアリングシャフト12aの回動を、ヘッドパイプ12の前方にオフセットしたベルクランク部材76の回動に変換した後、ベルクランク部材76から左右タイロッド78L,78Rを延ばして左右フロントフォークユニット28L,28Rに連結することで、左右前輪2L,2Rの操舵角を同一にし易くなる。ベルクランク部材76は、左右フロントフォークユニット28L,28R間に効率よく配置できる。
図7は、図4中VII矢視図(キングピン軸線C4の車両側面視での傾斜に沿う矢視図)である。
図7(a)に示すように、ステアリングシャフト12aの下端部のボトムブラケット12b、これに連結されるステアリングリンク75、及びベルクランク部材76の第一アーム76aは、平行リンク状に配置される。
すなわち、ステアリング軸線C1、中継軸77の軸線C18(図示都合上、点で示す)、ステアリングリンク75前後の球面軸受け75a,75bの揺動中心75ac,75bcを結ぶ四角形sq4は、概ね平行四辺形とされる。これにより、操向ハンドル11の回動角とベルクランク部材76の回動角とが略同一になる(図7(b)、図7(c)参照)。
また、図7(a)において、ベルクランク部材76の第二アーム76b、左右タイロッド78L,78R及び左右フロントフォークユニット28L,28Rの上部は、横長かつ前側よりも後側が狭い左右一対の四節リンクを形成する。
すなわち、中継軸77の軸線C18、左右タイロッド78L,78R内外の球面軸受け78aL,78bL,78aR,78bRの揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR、及び左右キングピン軸線C4L,C4Rを車体左右でそれぞれ結ぶ左右の四角形sq5L,sq5Rは、それぞれ軸線C18及び左右キングピン軸線C4L,C4R間の距離が左右タイロッド78L,78R内外の揺動中心78acL,78bcL,78acR,78bcR間の距離よりも長く形成される。
さらに、軸線C18と左右タイロッド78L,78R内側の揺動中心78acL,78acRとを結ぶ直線は、後側ほど左右外側に位置するように傾斜して配置され、左右キングピン軸線C4L,C4Rと左右タイロッド78L,78R外側の揺動中心78bcL,78bcRとを結ぶ直線は、車両前後方向に沿うように配置される。また、前者の直線は後者の直線よりも長くされる。
このような左右の四節リンクは、所謂アッカーマン機構と同等の作用を奏し、左右前輪2L,2Rを操舵した際、左右前輪2L,2Rの内の内輪側の操舵角を外輪側の操舵角よりも大きくする。すなわち、図7(b)に示す如く左操舵した際、左前輪2Lの操舵角θ1Lは右前輪2Rの操舵角θ1Rよりも大きく、図7(c)に示す如く右操舵した際、右前輪2Rの操舵角θ2Rは左前輪2Lの操舵角θ2Lよりも大きい。
図5に示すように、上下揺動軸25,27の水平面(路面Rに相当)に対する側面視の傾斜角度θ1,θ2は互いに同一であり、これらは本実施形態では20度に設定される。
車体の左右揺動は、上下揺動軸25,27と平行な前上がりの軸中心になされることから、左右前輪2L,2Rを接地させたまま車体を左右揺動させようとすると、左右前輪2L,2Rが車体に対する上下動に伴い前後方向にも互い違いに移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、車体を左右揺動させようとしてもこの揺動が制限される。
図3に示す1G状態のフロントフォークユニット28において、トレーリングアーム52の前後端の軸線C11,C12を車両側面視で結ぶ直線をアーム長基準線52cとすると、このアーム長基準線52cの水平面(路面Rに相当)に対する側面視の傾斜角度θ3は、本実施形態では上下揺動軸25,27の傾斜と同じ20度に設定される。
そして、1G状態からクッションユニット54をストロークさせてトレーリングアーム52を揺動させると、前輪2は上下動に伴い前後方向にも移動しようとする。したがって、左右前輪2L,2Rにブレーキをかけて静止させることで、左右クッションユニット54が別個にストロークすることによる車体の左右揺動が制限される。
なお、上下揺動軸25,27の傾斜角度θ1,θ2は20度に限らず、20度を超えた角度とすれば、左右前輪2L,2Rの前後移動量が増えることから左右前輪2L,2Rの制動による車体揺動を制限する効果が高まる。同様に、トレーリングアーム52の傾斜角度θ3も20度に限らず、20度を超えた角度とすれば、上記同様に車体揺動を制限する効果が高まる。
<揺動ダンパーの油圧回路の第一実施形態>
図10に示すように、揺動ダンパー38は、直方体形状のハウジング38a内に扇形状の油室91を含む油圧回路90を形成する。
図10は、図9と同方向から見たダンパー揺動軸39、揺動レバー41、ベーン92及び油室91とともに油圧回路90の構成を示す説明図である。
扇形状の油室91は、ダンパー揺動軸39と一体揺動するベーン92によって二つの油室に区画される。以下、ベーン92の図中左側に画定される油室を左回り油室91a、図中右側に画定される油室を右回り油室91bという。
油圧回路90は、油室91の扇形状の周方向両端部にそれぞれ基端が接続される第一油路93a及び第二油路93bと、各油路の先端がそれぞれ接続される三方弁としての第一ロータリーバルブ94a及び第二ロータリーバルブ94bと、各ロータリーバルブ94a,94bがそれぞれ開閉する二つのポートの内の一方のポートの間に渡る第一連通油路95と、各ロータリーバルブ94a,94bの他方のポートの間に渡る第二連通油路96と、第一連通油路95に基端が接続される倒れ上流油路97と、第二連通油路96に基端が接続される起こし上流油路98と、倒れ上流油路97及び起こし上流油路98の先端側の間に渡る倒れ減衰回路101及び起こし減衰回路105と、を有する。
各ロータリーバルブ94a,94bは、それぞれ円筒状のボディ内に弁体を回動可能に収納する。
第一ロータリーバルブ94aには第一油路93a、第一連通油路95及び第二連通油路96が接続され、弁体の回動により第一油路93aと第一連通油路95及び第二連通油路96の何れか一方とを択一的に連通させる。
第二ロータリーバルブ94bには第二油路93b、第一連通油路95及び第二連通油路96が接続され、弁体の回動により第二油路93bと第一連通油路95及び第二連通油路96の何れか一方とを択一的に連通させる。
倒れ減衰回路101は、ソレノイドバルブとしての倒れ減衰バルブ102aとチェックバルブ102bとを含む倒れ減衰油路102と、リリーフバルブ103aを含むリリーフ油路103と、を並列に有する。倒れ減衰バルブ102aは、流路を絞る等により車体の左右何れかの倒れ込み時の揺動に対する減衰力(抵抗力)を発生させるとともに、この減衰力を可変とする制御弁である。チェックバルブ102b及びリリーフバルブ103aは、倒れ上流油路97から起こし上流油路98への作動油の流通を可能とする一方、その逆の流通は不能とする逆止弁である。
起こし減衰回路105は、ソレノイドバルブとしての起こし減衰バルブ106aとチェックバルブ106bとを含む起こし減衰油路106と、リリーフバルブ107aを含むリリーフ油路107と、を並列に有する。起こし減衰バルブ106aは、流路を絞る等により左右何れかに倒れ込んだ車体の起き上がり時の揺動に対する減衰力(抵抗力)を発生させるとともに、この減衰力を可変とする制御弁である。チェックバルブ106b及びリリーフバルブ107aは、起こし上流油路98から倒れ上流油路97への作動油の流通を可能とする一方、その逆の流通は不能とする逆止弁である。
図中符号99は例えば起こし上流油路98に接続されたアキュムレータを示し、油圧回路90内の作動油の膨張や収縮による容量変化を吸収する。
第一油路93a及び第二油路93bの一方(図では第一油路93a)には、作動油の流通を断続可能とするコントロールバルブ100が介設される。コントロールバルブ100は、ノーマルオープンのソレノイドバルブ(スプールバルブ)であり、ソレノイドへの通電により内装したスプリングの付勢力に抗して弁体をストロークさせて第一油路93aの作動油の流通を不能とし、ソレノイドへの通電の停止によりスプリングの付勢力により弁体をストロークさせて第一油路93aの作動油の流通を可能とする。図13を参照し、このノーマルオープンのコントロールバルブ100への通電電力I1は、倒れ減衰バルブ102aが車速V1(例えば5km/h)以下で使用する電力I2より低く設定される。
コントロールバルブ100が閉じた場合には、揺動ダンパー38が発生する減衰力は最大となる。
<第一実施形態の作用>
次に、第一実施形態の作用について説明する。
揺動ロックがなされていること(停車中であること)を揺動ロックスイッチSWyが検知している場合は、コントロールバルブ100への通電はされない。
揺動ロックが解除されると、第一油路93aにおけるノーマルオープンのコントロールバルブ100への通電がなされ、第一油路93aの作動油の流通が遮断される。
この状態で揺動車両の車体が左右何れかに揺動しようとすると、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39も同方向へ回動し、油室91内のベーン92を揺動させる。ベーン92で仕切られた左回り油室91aと右回り油室91bとの間の作動油の流通において、油圧回路90を介する流通経路は前述の如く全て第一油路93aを含むことから、第一油路93aの作動油の流通が遮断された状態では、左回り油室91aと右回り油室91bとの間の作動油の流通は、全てベーン92と油室内壁との間の間隙を通じてなされる。このとき、揺動ダンパー38の減衰力が最大となり、車体の揺動に対する抵抗力となって作用する。
停車領域(例えば5km/h以下)から低車速領域に移行する際には、第一油路93aのコントロールバルブ100への通電を停止し、第一油路93aが開通して作動油の流通が可能となる。そして、この移行タイミングで、倒れ減衰バルブ102aへの通電に切り替わる。
この状態で、揺動車両の車体が左側に倒れ込むと(図9(b)参照)、図11に示すように、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が左回り(図では右回り)に回動し、ベーン92の揺動により左回り油室91aが狭小となる。これにより、図中矢印F1で示すように、左回り油室91a内の作動油が第一油路93aから第一ロータリーバルブ94aに至り、複数の油路を経て第二ロータリーバルブ94bに至った後、第二油路93bから右回り油室91b内に戻る。
上記において、第一ロータリーバルブ94aでは、ダンパー揺動軸39と連動する弁体が同方向に回動し、第一油路93aと第二連通油路96との連通を遮断するとともに、第一油路93aと第一連通油路95とを連通させる。このとき、第二ロータリーバルブ94bは、同じくダンパー揺動軸39と連動する弁体の回動により、第二油路93bと第一連通油路95との連通を遮断しているので、第一油路93aから第一連通油路95に至る作動油は、全て倒れ上流油路97に流れる。
倒れ上流油路97に接続される二つの減衰回路の内、起こし減衰回路105は、二つの逆止弁により倒れ上流油路97から起こし上流油路98への作動油の流れを禁止することから、倒れ上流油路97からの作動油は、全て倒れ減衰回路101を流れて起こし上流油路98に至る。
倒れ減衰回路101の倒れ減衰油路102は、チェックバルブ102b及び倒れ減衰バルブ102aを介して作動油を流通させる。このとき、倒れ減衰バルブ102aの作動により、作動油の流通抵抗を変化させ、もって揺動ダンパー38が発生する減衰力を可変とする。
倒れ減衰回路101を経て起こし上流油路98に至った作動油は、第二連通油路96から第二ロータリーバルブ94b及び第二油路93bを経て右回り油室91bに戻る。
倒れ減衰バルブ102aは、コントロールバルブ100が第一油路93aを閉じた際の減衰力を越えない範囲で、揺動ダンパー38が発生する減衰力を増減させる。
何らかの原因で倒れ減衰油路102が閉じてしまった場合、作動油がリリーフ油路103のリリーフバルブ103aを開いて倒れ上流油路97から起こし上流油路98へ流れる。
一方、揺動車両の中車速領域で車体が右側に倒れ込むと(図9(c)参照)、図12に示すように、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が右回り(図では左回り)に回動し、ベーン92の揺動により右回り油室91bが狭小となる。これにより、図中矢印F2で示すように、右回り油室91b内の作動油が第二油路93bから第二ロータリーバルブ94bに至り、複数の油路を経て第一ロータリーバルブ94aに至った後、第一油路93aから左回り油室91a内に戻る。
上記において、第二ロータリーバルブ94bでは、ダンパー揺動軸39と連動する弁体が同方向に回動し、第二油路93bと第二連通油路96との連通を遮断するとともに、第二油路93bと第一連通油路95とを連通させる。このとき、第一ロータリーバルブ94aは、同じくダンパー揺動軸39と連動する弁体の回動により、第一油路93aと第一連通油路95との連通を遮断しているので、第二油路93bから第一連通油路95に至る作動油は、全て倒れ上流油路97へ流れる。
以下、前記同様、倒れ上流油路97に流れた作動油は、全て倒れ減衰回路101を流れて起こし上流油路98に至り、その際に減衰力を発生させる。起こし上流油路98に至った作動油は、第二連通油路96から第一ロータリーバルブ94a及び第一油路93aを経て左回り油室91aに戻る。
また、図11を参照し、揺動車両の車体が左側に倒れ込んだ状態から右側に起き上がろうとすると、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が右回り(図では左回り)に回動し、ベーン92の揺動により右回り油室91bが狭まる。これにより、図中矢印R1で示すように、右回り油室91b内の作動油が第二油路93bから第二ロータリーバルブ94bに至り、複数の油路を経て第一ロータリーバルブ94aに至った後、第一油路93aから左回り油室91aに戻る。
上記において、車体が左側に倒れ込んだ状態にある内は、第二ロータリーバルブ94bが第二油路93bと第一連通油路95との連通を遮断するとともに、第二油路93bと第二連通油路96とを連通させた状態にあり、第一ロータリーバルブ94aが第一油路93aと第二連通油路96との連通を遮断した状態にある。したがって、第二油路93bから第二ロータリーバルブ94bを経て第二連通油路96に至った作動油は、全て起こし上流油路98へ流れる。
起こし上流油路98に接続される二つの減衰回路の内、倒れ減衰回路101は、二つの逆止弁により起こし上流油路98から倒れ上流油路97への作動油の流れを禁止することから、起こし上流油路98からの作動油は、全て起こし減衰回路105を流れて倒れ上流油路97に至る。
起こし減衰回路105の起こし減衰油路106は、チェックバルブ106b及び起こし減衰バルブ106aを介して作動油を流通させる。このとき、起こし減衰バルブ106aの作動により、作動油の流通抵抗を変化させ、もって揺動ダンパー38が発生する減衰力を可変とする。
起こし減衰回路105を経て倒れ上流油路97に至った作動油は、第一連通油路95、第一ロータリーバルブ94a及び第一油路93aを経て左回り油室91aに戻る。
起こし減衰バルブ106aの作動により発生する減衰力は、倒れ減衰バルブ102aの作動により発生する減衰力よりも十分に小さくされる。
何らかの原因で起こし減衰油路106が閉じてしまった場合、作動油がリリーフ油路107のリリーフバルブ107aを開いて起こし上流油路98から倒れ上流油路97へ流れる。
一方、図12を参照し、揺動車両の車体が右側に倒れ込んだ状態から左側に起き上がろうとすると、揺動レバー41及びダンパー揺動軸39が左回り(図では右回り)に回動し、ベーン92の揺動により左回り油室91aが狭まる。これにより、図中矢印R2で示すように、左回り油室91a内の作動油が第一油路93aから第一ロータリーバルブ94aに至り、複数の油路を経て第二ロータリーバルブ94bに至った後、第二油路93bから右回り油室91bに戻る。
上記において、車体が右側に倒れ込んだ状態にある内は、第一ロータリーバルブ94aが第一油路93aと第一連通油路95との連通を遮断するとともに、第一油路93aと第二連通油路96とを連通させた状態にあり、第二ロータリーバルブ94bが第二油路93bと第二連通油路96との連通を遮断した状態にある。したがって、第一油路93aから第一ロータリーバルブ94aを経て第二連通油路96に至った作動油は、全て起こし上流油路98へ流れる。
以下、前記同様、起こし上流油路98に流れた作動油は、全て起こし減衰回路105を流れて倒れ上流油路97に至り、その際に減衰力を発生させる。倒れ上流油路97に至った作動油は、第一連通油路95から第二ロータリーバルブ94b及び第二油路93bを経て右回り油室91bに戻る。
<減衰力の設定>
揺動ダンパー38は、揺動ロックスイッチSWyがオンになっているときは、コントロールバルブ100及び各減衰バルブ102a,106aへの通電を止めるため、通電電力が極小状態となる。
揺動ダンパー38は、揺動ロックスイッチSWyのオフに合わせてコントロールバルブ100のみ通電状態とし、鞍乗り型車両1が停車領域(0−5km/h)にある場合には、コントロールバルブ100を閉じて各減衰回路の作動油の流れをなくし、作動油の流動抵抗ひいては減衰力を最大にして車体の揺動を抑える。本実施形態では、車速センサーの検出誤差等も含めて5km/hまでは停車と判断する。
また、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1が低車速領域(5−30km/h)にある場合には、まず5km/hを超えたらコントロールバルブ100を非通電として開いて各減衰回路に作動油の流れを生じさせ、特に車体の倒れ込み時の減衰力の大きさを倒れ減衰バルブ102aの作動に委ねる。
さらに、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1が中車速領域(30−70km/h)にある場合には、低車速領域での制御に対し、減衰力を最小にして車体の揺動を最も軽快にする。
さらにまた、揺動ダンパー38は、鞍乗り型車両1が高車速領域(70km/h超)にある場合には、中車速領域での制御に対し、車速が増加するほど作動油の流動抵抗を大きくし、特に車体の倒れ込み時の減衰力を徐々に大きくして、外乱による車体の倒れ込みへの影響を抑える。
倒れ減衰バルブ102aは、その通電量に概ね比例して作動油の流動抵抗ひいては減衰力を増減させる。すなわち、倒れ減衰バルブ102aは、その通電量が大きいほど減衰力を増加させ、通電量が小さいほど減衰力を減少させる。
図13は、コントロールバルブ100及び倒れ減衰バルブ102aに通電する電流値と車速との関係を示すグラフであり、上段に倒れ減衰バルブ102aに対する通電量、下段にコントロールバルブ100に対する通電量を分けて示す。なお、本グラフは減衰力の傾向を示す一例であり、前記した揺動ダンパー38の減衰力の傾向と相違する部分もある。
揺動ロックスイッチSWyがオフで車速が0−5km/hのときには、コントロールバルブ100に比較的少ない電力I1を通電するとともに倒れ減衰バルブ102aへの通電は遮断し、減衰力を最大として車体のふらつき制御(自立)に寄与する。そして、車速が5km/hを超えるタイミングで、コントロールバルブ100の通電を遮断するとともに倒れ減衰バルブ102aへの通電に切り替わり、減衰力を最大にするが、その直後には倒れ減衰バルブ102aへの電流値を急峻に低下させ、ロール(左右揺動)の拘束感を回避する。なお、車速が5km/hを超えた以降はコントロールバルブ100への通電は遮断したままである。
その後、倒れ減衰バルブ102aは、車速が20km/hになるまでに電流値の低下を徐々に緩やかにし、20km/hから40km/hの間では電流値を一定の低い値(低い減衰力)に保つことで、操縦性を向上させつつロール拘束感を伴わない程度にふらつき低減のための減衰力を付加する。
また、倒れ減衰バルブ102aは、車速が40km/hから50km/hの間では、車速の増加に応じて電流値を低下させる。また、50km/hから60km/hの間では、電流値を最小(0)とすることで、操縦性を重視する車速域における減衰力を最小とする。その後、車速が60km/hから70km/hの間では、車速の増加に応じて電流値を増加させる。また、70km/hから80km/hの間では、電流値を20km/hから40km/hの間の電流値よりも高い値に保つ。さらに、車速が80km/hから100km/hの間では、電流値を車速の増加に応じて緩やかに上昇させる。
そして、100km/hを越える範囲では、電流値を70km/hから80km/hの間の電流値よりも高い値に保ち、所定の操縦性を持たせつつ減衰力の付加によって高車速領域でのロールの落ち着きに寄与する。このときの電流値(ひいては減衰力)は、その最大値と最小値との間の中間値よりも小さい値とされる。
前記した減衰力の制御は、揺動ダンパー38のハウジング38aに付設したダンパーECU(electric control unit、以下同様)によるコントロールバルブ100及び各減衰バルブ102a,106aの作動制御によりなされる。
図14は、車体の左右揺動角に対して揺動ダンパー38が発生する減衰力の大きさの変化を示す波形図である。
揺動ダンパー38は、車体が揺動角0度の直立状態から左右何れかの方向へ倒れ込むように揺動する際には、揺動開始直後に倒れ込みに抗する概ね最大の減衰力を急峻に立ち上げ、この減衰力を車体の倒れ込みが停止するまで維持する。
その後、車体が起き上がる際には、その揺動開始直後に前記倒れ込みに抗する減衰力をキャンセルするとともに、起き上がりに抗する概ね最小の減衰力を発生させ、この減衰力を車体の揺動角がゼロ付近になるまで維持する。
鞍乗り型車両1においては、例えば揺動ダンパー38に、車体の左右揺動角を電気的に検出する揺動角センサーが設けられる。この揺動角センサーの検出値に基づき、車体の左右揺動角に応じて揺動ダンパー38の減衰力を変化させる制御がなされる。
ここで、揺動角センサーの検出値は、鞍乗り型車両1のエンジンに付設された変速機の自動変速制御にも用いられる。具体的には、図15を参照し、中車速領域以上の車速域において、前記変速機を作動制御するECUは、揺動角センサーの検出値に基づき、例えば車体の揺動角が所定角度(例えば30度)以上か否かを判定し、この判定がYESの場合には、自動変速制御を禁止する。なお、低車速領域においては、自動変速禁止制御をせず、中車速領域から制御をすることが好ましい。
また、鞍乗り型車両1は、ABSによるブレーキ減圧作動時には、車速や揺動角によらず、車体の倒れ込み時の減衰力を例えば最大値まで高める。具体的には、図16を参照し、前記ダンパーECUは、前記ブレーキECUから得たABS作動信号に基づき、ABSによるブレーキ減圧作動中であるか否かを判定し、この判定がYESの場合には、倒れ減衰バルブ102aの通電量を最大にして倒れ込みに抗する減衰力を最大にする。
以上説明したように、上記実施形態は、左右一対の前輪2と、左右前輪2を接地させた状態でこれらを車体の左右の揺動に合わせて左右に揺動させる前二輪懸架装置4と、車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する揺動ダンパー38と、揺動ダンパー38が発生する減衰力の大きさを制御する油圧回路90を含む制御装置と、車速を検出する車輪速センサー2Sと、を備える揺動車両の揺動制御システムであって、前記制御装置は、車輪速センサー2Sが検出する車速検出値が停車領域(0−5km/h)にある場合には、前記減衰力を最大値とし、前記車速検出値が低車速領域(5−30km/h)にある場合には、前記車速検出値が増加するにつれて減衰力の値を減少させ、前記車速検出値が中車速領域(30−70km/h)にある場合には、前記減衰力を最小値とし、前記車速検出値が高車速領域(70km/h超)にある場合には、前記減衰力を前記最大値及び最小値の間の値に設定するものである。
この構成によれば、停車領域ではふらつきが発生し易いことから、揺動減衰力を最大にして揺動し難くし、低車速領域ではふらつきが発生し易い反面、旋回等を行い易くするために、車速の上昇に合わせて揺動減衰力を低くして徐々に揺動し易くする。また、中車速領域ではふらつきも発生し難いことから、軽快性を高めるために、減衰力を最小にして揺動し易くし、高車速領域では外乱の影響を抑えるために、再び減衰力を高くして揺動し難くする。
このように、揺動車両の車速に応じて適切な減衰力を付加することで、ふらつきを抑えつつ軽快かつ外乱に強い走行を実現することができる。
また、上記実施形態では、前記高車速領域の減衰力が、前記最大値及び最小値の間の中間値よりも最小値側に設定されることで、高速では車速が高くなるほどセルフステア機能が高まることから、高車速領域では車体を揺動し難くするための減衰力を抑え、減衰力を発生させるための電力等のエネルギーの消費を抑えることができる。
また、上記実施形態では、前記制御装置が、前記減衰力を高く維持する場合と比べて、前記減衰力を低下させるほど使用電力を少なくすることで、高車速領域でのクルーズ走行時の電力消費を抑えることができる。
また、上記実施形態では、前記制御装置の油圧回路90が、車体の揺動時に作動油が流通する第一油路93aに、作動油の流れを遮断可能なコントロールバルブ100を有し、コントロールバルブ100が、前記揺動ダンパー(38)の制御に用いる電力よりも少ない電力で作動するバルブであり、前記停車領域では第一油路93aの作動油の流れを遮断することで、揺動車両の駐停車時には、比較的消費電力の少ないコントロールバルブ100によって第一油路93aの作動油の流れを遮断し、車体の倒れ込みを抑えることができる。
また、パーキング作動時には前記コントロールバルブ100への通電を停止することで、パーキング時に電力をシャットダウンすれば、揺動をロックしつつ電力消費を抑えることができる。
<揺動ダンパーの油圧回路の第二実施形態>
次に、油圧回路の第二実施形態について図17を参照して説明する。
第二実施形態の油圧回路90’は、第一実施形態に対して、起こし減衰回路105に代わり、チェックバルブ106bのみを含む起こし油路106’を有する点で特に異なる。その他の、第一実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
第二実施形態において、コントロールバルブ100への通電がなされて第一油路93aが開通し状態で、揺動車両の車体が左右何れかに倒れ込む際には、第一実施形態と同様、作動油が倒れ減衰回路101の倒れ減衰油路102を流通する。このとき、倒れ減衰バルブ102aの作動により、作動油の流通抵抗を変化させ、もって揺動ダンパー38が発生する減衰力を可変とする。
また、揺動車両の車体が左右何れかに倒れ込んだ状態から起き上がる際には、作動油が起こし減衰回路105に代わる起こし油路106’を流通する。このとき、揺動ダンパー38が積極的に減衰力を発生することはない。
第二実施形態では、第一実施形態と同等の作用効果に加え、油圧回路90’が、車体の倒れ込み時に作動油が流通する油路(倒れ減衰油路102)にのみ、減衰力を発生するための倒れ減衰バルブ102aを有することで、車体の起き上がり時に作動油が流通する油路からバルブ等の減衰手段を無くし、少ない構成で車体の倒れ込み時の揺動を減衰することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、油圧回路の第一、第二実施形態において、コントロールバルブ100を第二油路93bに設けてもよい。
本実施形態では、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に単一の後輪を備えた揺動三輪車に適用した例を示したが、車体前部に単一の前輪を備えるとともに車体後部に左右一対の後輪を備えた揺動三輪車や、車体前部に左右一対の前輪を備えるとともに車体後部に左右一対の後輪を備えた揺動四輪車に適用してもよい。
上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 鞍乗り型車両(揺動車両)
2 前輪(車輪)
2S 車輪速センサー(車速センサー)
4 前二輪懸架装置(揺動機構)
38 揺動ダンパー
90,90’ 油圧回路
100 コントロールバルブ

Claims (5)

  1. 左右一対の車輪(2)と、
    前記左右一対の車輪(2)を接地させた状態でこれらを車体の左右の揺動に合わせて左右に揺動させる揺動機構(4)と、
    前記車体の左右の揺動に対して減衰力を付加する揺動ダンパー(38)と、
    前記揺動ダンパー(38)が発生する減衰力の大きさを制御する制御装置と、
    車速を検出する車速センサー(2S)と、を備える揺動車両(1)の揺動制御システムであって、
    前記制御装置は、前記車速センサー(2S)が検出する車速検出値が停車領域にある場合には、前記減衰力を最大値とし、
    前記車速検出値が低車速領域にある場合には、前記車速検出値が増加するにつれて減衰力の値を減少させ、
    前記車速検出値が中車速領域にある場合には、前記減衰力を最小値とし、
    前記車速検出値が高車速領域にある場合には、前記減衰力を前記最大値及び最小値の間の値に設定することを特徴とする揺動車両の揺動制御システム。
  2. 前記高車速領域の減衰力は、前記最大値及び最小値の間の中間値よりも最小値側に設定されることを特徴とする請求項1に記載の揺動車両の揺動制御システム。
  3. 前記制御装置は、前記減衰力を高く維持する場合と比べて、前記減衰力を低下させるほど使用電力を少なくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の揺動車両の揺動制御システム。
  4. 前記制御装置は、前記減衰力の発生を制御する油圧回路(90,90’)を含み、
    前記油圧回路(90,90’)は、前記車体の揺動時に作動油が流通する油路に、作動油の流れを遮断可能なコントロールバルブ(100)を有し、
    前記コントロールバルブ(100)は、前記揺動ダンパー(38)の制御に用いる電力よりも少ない電力で作動するバルブであり、前記停車領域では前記油路の作動油の流れを遮断することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の揺動車両の揺動制御システム。
  5. パーキング作動時には前記コントロールバルブ(100)への通電を停止することを特徴とする請求項4に記載の揺動車両の揺動制御システム。
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