JP2015123501A - 解析装置、解析方法および解析プログラム - Google Patents

解析装置、解析方法および解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】固有ひずみデータベースを簡易かつ厳密性高く構築でき、溶接構造物の溶接変形等を簡易かつ厳密性高く解析可能な固有ひずみ法に基づく解析技術を提供する。【解決手段】解析装置20は、溶接のプロセスタイプを含む溶接条件、溶接構造物の母材となる材料及び溶接材料の材料物性値、並びに温度段階を含む溶接諸条件(パラメータ)の入力を受け付け、溶接材料の材料物性値について、プロセスタイプ及び温度段階に応じて受け付けた値と異なる値を設定可能に構成される溶融物性値条件設定手段24と、溶接諸条件と、溶融物性値条件設定手段が設定した溶接材料の材料物性値とを用いて、溶接構造物に発生する固有ひずみ値を導出する固有ひずみ導出手段25と、溶接諸条件と固有ひずみ導出手段が導出した固有ひずみ値とを用いて、溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う弾性解析手段26とを具備する。【選択図】 図2

Description

本発明は、解析装置、解析方法および解析プログラムに関する。
例えば、構造物の溶接時に生じる溶接変形や残留応力が構造物の品質に影響を事前に予測するため等、現象が製品に与える影響を事前に評価する目的等でコンピュータシミュレーションを利用した解析が行われている。
溶接変形および残留応力の解析では、有限要素法を用いた熱弾塑性解析法や固有ひずみ法等の解析手法が提案されている。これらの提案されている解析手法のうち、溶接現象の非線形挙動を解析する熱弾塑性解析法は、経時変化を再現することが可能であるが、解析ステップが膨大なものとなり大型構造物などの大規模な解析を行う場合には膨大な計算時間を要する。一方、弾性解析法を用いる固有ひずみ法は、計算時間の短い線形解析が適用されることから、複雑な大型構造物であっても比較的短時間で解析できる利点がある。そのため、溶接変形の解析手法として利用されている。
このような溶接変形や残留応力を解析する技術の一例としては、例えば、特開平06−180271号公報(特許文献1)、および特開2006−879号公報(特許文献2)等に記載される。
特開平06−180271号公報 特開2006−879号公報
固有ひずみ法に基づく解析では、溶接条件、溶接材料(溶着金属)の材料物性、並びに溶接構造物の材料物性、開先形状、および板厚等の溶接諸条件(パラメータ)を変えながら実験測定または熱弾塑性解析を行って求められる固有ひずみ(塑性ひずみ)のデータを、例えばデータベース化し、代表とする小規模形状の単位でまとめられた固有ひずみデータベース(以下、「固有ひずみDB」とする。)として所有している。そして、固有ひずみDBの値を大型構造物の各溶接部に初期条件として展開(入力)する弾性解析によって、構造物全体の溶接変形及び残留応力が導出される。
固有ひずみは、継手形状、構造物の材料、構造物の板厚、および溶接条件等によって変化するため、固有ひずみ法に基づく解析の精度は、データベースの厳密さに依存する。データベースの構築方法としては、実験計測による方法、または厳密な熱弾塑性解析による方法が主な方法であり、実験費用等を考慮した場合、厳密な熱弾塑性解析による方法が採用されることが多い。厳密な熱弾塑性解析を行うためには、溶接現象に伴う溶接材料の溶融挙動を再現する必要がある。
しかしながら、溶接時の溶融現象を再現する解析は、高温物性値の不安定さから解析の収束性が悪く、解析ステップを十分に小さくする必要があるため、解析ステップ数が多くなり、解析を短時間にて行えないという課題がある。
また、溶接時の溶融現象を再現するためには、溶融領域において、それまでに蓄積した固有ひずみをリセットする必要があるが、解析モデル初期形状を基準として固有ひずみを定義する有限要素法では、単純にひずみをリセットした場合は解析モデルが初期に戻ってしまうため、溶融現象を十分に再現できず、固有ひずみDBを厳密性高く構築できないという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、固有ひずみ法に基づく解析において、固有ひずみDBを簡易かつ厳密性高く構築でき、溶接構造物の溶接変形および残留応力を簡易かつ厳密性高く解析可能な解析装置、解析方法、および解析プログラムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る解析装置は、上述した課題を解決するため、溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析する装置であり、溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接材料の材料物性値について、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階に応じて受け付けた値と異なる値を設定可能に構成される溶融物性値条件設定手段と、前記溶接諸条件と、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する固有ひずみ導出手段と、前記溶接諸条件と前記固有ひずみ導出手段が導出した前記溶接構造物に発生する固有ひずみ値とを用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う弾性解析手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る解析方法は、上述した課題を解決するため、溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接材料の材料物性値について、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階に応じて受け付けた値と異なる値を設定可能に構成される溶融物性値条件設定手段と、前記溶接諸条件と、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する固有ひずみ導出手段と、前記溶接諸条件と前記固有ひずみ導出手段が導出した前記溶接構造物に発生する固有ひずみ値とを用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う弾性解析手段として機能するコンピュータを用いて、溶接構造物の溶接変形および残留応力を解析する方法であり、前記溶融物性値条件設定手段が、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階が予め設定した条件に合致する場合に前記溶接材料の物性値として受け付けた値とは異なる値を前記溶接材料の物性値として設定する第1のステップと、前記固有ひずみ導出手段が、前記第1のステップで設定される前記溶接材料の物性値を用いて前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する第2のステップと、前記弾性解析手段が、前記第2のステップで得られる固有ひずみ値を用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う第3のステップと、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る解析プログラムは、上述した課題を解決するため、溶接構造物の溶接変形および残留応力を解析する解析手順をコンピュータに実行させるプログラムであり、前記解析手順は、溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階が予め設定した条件に合致する場合に前記溶接材料の物性値として受け付けた値とは異なる値を前記溶接材料の物性値として設定する第1のステップと、前記第1のステップで設定される前記溶接材料の物性値を用いて前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する第2のステップと、前記第2のステップで得られる固有ひずみ値を用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う第3のステップと、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、溶接部の固有ひずみデータベースを簡易かつ厳密性高く構築でき、溶接構造物の溶接変形および残留応力を簡易かつ厳密性高く解析することができる。
本発明の実施形態に係る解析装置のハードウェア構成の一例を示した概略図。 本発明の実施形態に係る解析装置の機能的な構成を示す機能ブロック図。 本発明の実施形態に係る解析装置が参照する溶接材料物性値設定テーブルを説明する説明図であり、(A)が溶接材料物性値設定テーブルの概念図、(B)が溶接構造物の溶接時に生じる温度変化を示すグラフ。 本発明の実施形態に係る解析装置が行う溶接変形等解析手順の処理の流れを示す処理フロー図。 溶接構造物の3次元有限要素モデルの一例を示す説明図。 パス数(横軸)に対する溶接構造物(または溶接構造物の3次元有限要素モデル)の溶接後の角変形量/度(縦軸)の関係を示すグラフ。 Q/h2(Q:単位溶接長当りの入熱量、h:板厚)(横軸)に対する溶接構造物(または溶接構造物の3次元有限要素モデル)の溶接後の角変形量/度(縦軸)の関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施形態に係る解析装置、解析方法、および解析プログラムについて、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る解析装置のハードウェア構成の一例を示した概略図である。
本発明の実施形態に係る解析装置は、例えば、ハードウェアであるコンピュータ1とコンピュータ1を溶接変形および残留応力を解析する解析装置として機能させるプログラム(以下、「解析PG」とする。)10と協働することによって当該機能が実現される。
コンピュータ1は、プロセッサの一例であるCPU(中央演算処理装置)2と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置3と、ROM(Read Only Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置4と、キーボードやマウス等の入力装置5と、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置6と、外部装置と通信を行う通信装置7とを備える。
コンピュータ1は、例えば、計算サーバー8等のネットワーク上にある外部装置と通信装置7を介して接続することができ、外部装置とデータを送受信することができる。例えば、コンピュータ1は、計算サーバー8に演算処理の少なくとも一部を実行させたり、実行結果を受け取ったりすることができる。なお、コンピュータ1は、計算サーバー8以外の外部装置ともネットワーク接続することができる。
ROM等のCPU2がアクセス可能な補助記憶装置4には、解析に使用されるプログラムやデータの一例である解析PG10および溶接材料物性値テーブル11が記憶されており、解析PG10および解析PG10の実行に必要なデータをRAM等の主記憶装置3へロードし、このプログラムに従った処理を実行する。RAM等の主記憶装置3は、CPU2が実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
ここで、解析PG10は、コンピュータ1を本発明の実施形態に係る解析装置の各手段として機能させるプログラムであり、解析PG10はコンピュータ1を解析装置20として機能させるプログラムである。また、解析PG10は、コンピュータに本発明の実施形態に係る解析方法の一例である溶接変形等解析手順を実行させる観点からすれば、コンピュータに溶接変形等解析手順を実行させるプログラムである。
コンピュータ1が解析PG10を実行するとき、CPU2は、解析PG10によって、少なくとも、溶接変形等解析手順を実行する手段として機能する。例えば、後述する図2に示される例(解析装置20の一例)では、CPU2は、少なくとも、溶融物性値条件設定手段、固有ひずみ導出手段、および弾性解析手段として機能する。
また、溶接材料物性値テーブル11は、溶接のプロセスタイプ(図3に示される第1のタイプおよび第2のタイプ)、および温度段階(図3に示される第1〜3段階)を含むパラメータと関連付けられた溶接材料毎の物性値のデータを有しており、後述する溶接変形等解析手順(図4)を実行するために必要となる溶接材料の物性値を決定する際に参照される。
以下、本発明の各実施形態に係る解析装置、解析方法、および解析プログラムについて説明する。
図2は本発明の実施形態に係る解析装置の一例である解析装置20の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
解析装置20は、溶接変形および残留応力を解析する装置であり、例えば、入力部21と、出力部22と、通信部23と、溶融物性値条件設定手段としての溶融物性値条件設定部24と、固有ひずみ導出手段としての固有ひずみ導出部25と、弾性解析手段としての弾性解析部26と、表示処理部28と、記憶部29と、制御部31とを具備する。
入力部21は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される入力装置またはコンピュータ自身が備えるキーボードやマウス等の入力手段によって実現される。入力部21は、情報の入力を受け付け、受け付けた情報を制御部31に与える。
入力部21に入力される情報の例としては、固有ひずみの導出に必要な溶接諸条件がある。溶接諸条件には、例えば、溶接条件、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等がある。また、溶接条件には、例えば、溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度等がある。
なお、上記溶接諸条件および溶接条件は、一例であり、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、これらの溶接諸条件の設定の仕方は、例えば、溶接層1層分を計算する度に設定しても良いし、何層分かをまとめて設定しても良い。
出力部22は、例えば、コンピュータとインターフェイスを介して接続される表示装置またはコンピュータ自身が備えるディスプレイ等の表示手段、コンピュータとインターフェイスを介して接続されるプリンタ等の印字手段等によって実現される。出力部22は、表示要求を受け取ると、当該表示要求に応じた内容を画面表示する。また、出力部22は、印字要求を受け取ると、当該印字要求に応じた内容を印字出力する。
通信部23は、例えば、図1に示される計算機サーバー8等の外部機器とデータを送受信する機能を有する。通信部23は、制御部31から受け取ったデータを外部機器に送信する一方、外部機器から送られてきたデータを制御部31へ与える。
溶融物性値条件設定部24は、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の物性値を含む溶融物性値条件を設定する機能を有する。溶融物性値条件設定部24は、より詳細には、母材材料物性値設定部35と、溶接材料物性値設定部36とを備える。
ここで、母材材料物性値設定部35は、溶接構造物の母材となる材料の物性値を設定する機能を有しており、入力される溶接構造物の母材となる材料の物性値を含む溶接諸条件に基づいて、溶接構造物の母材となる材料の物性値を設定する。
溶接材料物性値設定部36は、溶接に伴う温度変化を追従可能にするため、溶接のプロセスタイプや温度段階等に応じて、同じ溶接材料であっても、予め設定した条件に合致する場合等の必要時には設定する溶接材料の物性値を変換して設定する。すなわち、溶接材料物性値設定部36は、同じ溶接材料であっても、溶接のプロセスタイプや温度段階等が異なる第1のケースと第2のケースとにおいて、異なる溶接材料の物性値を設定可能に構成される。
溶接材料物性値設定部36は、溶接のプロセスタイプや温度段階等に応じて、設定する溶接材料の物性値を切り替える必要があることから、溶接材料の物性値を変換する必要性の判定と、変換が必要と判定した場合に行われる溶接材料の物性値の変換とを行う必要がある。図2に示される解析装置20では、溶接材料の物性値を変換する必要性の判定と、変換が必要と判定した場合に行われる溶接材料の物性値の変換とをより簡易に処理する観点から、溶接材料の物性値を変換する必要性を判定するために使用するパラメータの各組み合わせに対して、設定すべき溶接材料の物性値(変換が必要な場合には入力される溶接材料の物性値を変換した後の値、変換が不要な場合には入力される溶接材料の物性値)を関連付けた溶接材料物性値テーブル11(図3)を構築しておく。
設定すべき溶接材料の物性値が溶接材料の物性値を変換する必要性を判定するために使用するパラメータの各組み合わせと関連付けられている溶接材料物性値テーブル11を構築しておけば、溶接材料物性値設定部36が溶接材料物性値テーブル11を参照し、入力される溶接諸条件から特定される1個のパラメータの組み合わせと関連付けられる溶接材料の物性値を取得することによって、溶接材料の物性値を変換する必要性の判定と、変換が必要と判定した場合に行われる溶接材料の物性値の変換とを行うことができる。
固有ひずみ導出部25は、入力される溶接諸条件と溶融物性値条件設定部24で設定される溶融物性値条件とから固有ひずみの導出に必要な情報(以下、「導出必要情報」とする。)を取得し、取得した導出必要情報を用いて、解析対象となる溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を計算することによって導出する。導出された固有ひずみ値は、弾性解析部26および表示処理部28に与えられる。
弾性解析部26は、固有ひずみ導出部25によって導出された固有ひずみ値を、各溶接部に初期条件として展開(入力)し、有限要素法に基づく弾性計算(弾性解析)を実行する。弾性解析部26は、弾性計算(弾性解析)を実行することによって、構造物全体の溶接変形および残留応力の解析結果を得る。これらの計算結果は、表示処理部28に与えられる。
表示処理部28は、情報をディスプレイ等の表示手段に表示するための表示情報を生成する機能を有する。
表示処理部28は、例えば、固有ひずみ導出部25が導出した溶接構造物の固有ひずみ値、並びに弾性解析部26が弾性計算を行って算出した溶接構造物の溶接変形および残留応力の解析結果等の情報を受け取ると、受け取った内容を表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報を制御部31へ与える。どの情報をどのように表示するかは、初期設定しておいても良いし、その都度、入力部21から設定しても良い。
記憶部29は、データの読み出し(リード)および書き込み(ライト)が可能な記憶領域を備え、当該記憶領域にデータを保持する機能を有する。記憶部29は、溶融物性値条件設定部24、固有ひずみ導出部25、弾性解析部26、および制御部31がアクセスしてデータの読み出しおよび書き込みを行う。記憶部29には、解析装置20がアクセスするデータとして、少なくとも、溶接材料物性値テーブル11が保持される。
制御部31は、解析装置20の装置全体の処理を制御する手段であり、入力部21、出力部22、通信部23、溶融物性値条件設定部24、固有ひずみ導出部25、弾性解析部26、表示処理部28、および記憶部29と相互にデータを授受し、これらを制御する機能を有する。
制御部31は、入力部21から情報を受け取ると、入力部21が受け付けた情報の種類に応じて、出力部22、通信部23、溶融物性値条件設定部24、固有ひずみ導出部25、弾性解析部26、表示処理部28、および記憶部29の何れかに入力を受け付けた情報に基づいて要求を与える。
制御部31は、通信部23から情報を受け取ると、通信部23から受け取る情報の種類に応じて、出力部22、溶融物性値条件設定部24、固有ひずみ導出部25、固有ひずみ導出部25、弾性解析部26、表示処理部28、および記憶部29の何れかに受け取った情報を与える。
制御部31は、固有ひずみ導出部25および弾性解析部26の処理結果を表示させる要求を受け取った場合には、受け取った表示要求に対応する処理結果の情報を受け取り、受け取った処理結果の情報を表示処理部28に与えて当該処理結果を表示する表示情報を生成させる。
例えば、固有ひずみ導出部25の導出結果として得られた固有ひずみ値を表示させたい要求が与えられた場合には、制御部31は、固有ひずみ導出部25から得られた導出結果の情報である固有ひずみ値を受け取り、受け取った固有ひずみ値を表示処理部28に与えて当該処理結果を表示する表示情報を表示処理部28に生成させる。弾性解析部26の処理結果を表示させる要求を受け取った場合には、制御部31が弾性解析部26の処理結果の情報を受け取り、受け取った処理結果の情報を表示処理部28に与えて当該処理結果を表示する表示情報を表示処理部28に生成させる。
制御部31は、表示処理部28が生成した表示情報を受け取ると、受け取った表示情報を表示要求とともに表示手段としての出力部22に与える。出力部22では、与えられた表示情報に基づく表示内容が表示される。
なお、上述した解析装置20において、固有ひずみ導出部25が、計算して得られた固有ひずみ値(導出結果)を、導出必要情報と関連付けて格納する固有ひずみDB38を作成するようにしても良い。固有ひずみDB38が作成されて記憶部29に保持されている場合には、固有ひずみ導出部25は、固有ひずみDB38を参照し、取得した導出必要情報と関連付けられる固有ひずみ値を取得することによって、固有ひずみ値を導出するようにすることができる。すなわち、取得した導出必要情報と関連付けられる固有ひずみ値が存在する場合には、固有ひずみ導出部25による固有ひずみ計算を省くことができる。
また、上述した解析装置20において、溶融物性値条件設定部24の溶接材料物性値設定部36は、溶接材料物性値テーブル11を参照し、入力される溶接諸条件から特定される1個のパラメータの組み合わせと関連付けられる溶接材料の物性値を取得することによって、溶接材料の物性値を変換する必要性の判定と、変換が必要と判定した場合に行われる溶接材料の物性値の変換とを行っているが、他の手法によって行うようにしても良い。
例えば、溶接材料の物性値を変換する必要性の判定結果を与える判定テーブルと溶接材料の物性値の変換式との情報を記憶部29に保持させておき、判定テーブルを用いて溶接材料の物性値を変換する必要性の判定を行い、変換が必要と判定した場合に変換式を用いて溶接材料の物性値を変換することもできる。
図3は本発明の実施形態に係る解析装置の一例である解析装置20が参照する溶接材料物性値テーブル11を説明する説明図であり、図3(A)が溶接材料物性値テーブル11の概念図、図3(B)が溶接構造物の溶接時に生じる温度変化を示すグラフである。
溶接材料物性値テーブル11は、例えば、溶接材料毎に用意され、溶接材料の物性値を変換する必要性を判定するために使用するパラメータとして、入力される溶接諸条件に含まれる溶接のプロセスタイプと温度段階との2種類のパラメータの各組み合わせに対して溶接材料の物性値が関連付けられている。すなわち、溶接材料物性値テーブル11は、溶接材料の物性値を変換する必要性を判定するために使用する2種類のパラメータを、それぞれ、行と列にもつテーブルデータである。
例えば、図3(A)に示される溶接材料物性値テーブル11は、溶接のプロセスタイプが2通り(第1のタイプと第2のタイプ)あり、溶接の温度段階が3通り(第1段階、第2段階、および第3段階)ある、2行3列のテーブルデータとして構成される。図3(A)に示される溶接材料物性値テーブル11では、パラメータの組み合わせと対応する第1行第1列から第2行第3列までの各セルに設定すべき溶接材料の物性値がそれぞれ与えられる。
ここで、溶接のプロセスタイプおよび温度段階について説明する。解析装置20では、溶接のプロセスタイプをビードオン溶接などの溶接材料(溶接金属)が供給されないプロセスである第1のタイプと、ワイヤ供給などによって溶接部に溶接材料が供給されるプロセスである第2のタイプとに分類している。また、温度段階については、図3(B)に示されるように、溶接開始時(0秒)以降で溶接材料が温度上昇して溶融温度である融点Tmeltに達する迄の期間である第1段階と、溶接材料が融点Tmeltに到達した時点以降であって、融点Tmeltを超えて上昇した温度が下降に転じ、再び融点Tmeltに達する迄の期間である第2段階と、第2段階よりも後の期間である第3段階との3段階に分類している。
また、図3(A)に示される溶接材料物性値テーブル11に記載される「入力値」とは、入力される溶接諸条件に含まれる溶接材料の物性値をそのまま設定すべき溶接材料の物性値として使用することを示す。一方、「変換値」とは、例えば、溶接部の流体を再現する強度が弱く温度依存性のない物性値等の入力される溶接諸条件に含まれる溶接材料の物性値とは異なる値を設定すべき溶接材料の物性値として使用することを示している。
従って、第1のタイプでは、溶接材料の温度が室温から入力される溶接諸条件に含まれる溶接材料の溶融温度(融点Tmelt)まで上昇する昇温過程の温度域(第1段階)と溶接材料の溶融温度から室温へ向けて下降する冷却過程の温度域(第3段階)とで、与えられた溶接材料の物性値がそのまま溶接材料の物性値として設定される一方、溶融温度を超えた温度域(第2段階)では、与えられた溶接材料の物性値とは異なる値である変換値が溶接材料の物性値として設定される。また、第2のタイプでは、第1段階と第2段階とで変換値が溶接材料の物性値として設定される一方、第3段階で入力値が溶接材料の物性値として設定される。
続いて、本発明の実施形態に係る解析方法として、解析装置20が行う解析手順である溶接変形等解析手順について説明する。
図4は、解析装置20が行う溶接変形等解析手順(ステップS1〜S5)の処理の流れを示す処理フロー図である。
溶接変形等解析手順は、例えば、ユーザが入力部21(図2)から入力される処理実行の要求に基づいて、制御部31(図2)から溶接変形等解析手順の実行に必要な各処理部22〜29(図2)に処理ステップの実行要求が与えられ、溶接変形等解析手順の処理ステップが開始される(START)。
溶接変形等解析手順の処理実行が開始されると、まず、解析装置20に入力された溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度等の溶接条件、溶接(溶着)金属の材料物性、並びに溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、および板厚等の溶接に関連する各種パラメータである溶接諸条件を解析計算用のパラメータとして設定する溶接諸条件設定工程が行われる(ステップS1)。
溶接諸条件(パラメータ)設定工程(ステップS1:ステップS11〜ステップS14)は、例えば、入力部21からのパラメータ入力操作により、与えられた溶接諸条件を受け付けるステップ(ステップS11)と、受け付けたパラメータをそのまま設定できるパラメータであるか、すなわち、受け付けたパラメータが溶接構造物の溶接材料の材料物性値であるか否かを判定するステップ(ステップS12)と、受け付けたパラメータが溶接構造物の溶接材料の材料物性値の場合(ステップS12でYESの場合)に溶接材料物性値テーブル11を参照し、与えられた溶接諸条件から条件に該当する1個の物性値を取得し、溶接構造物の溶接材料の材料物性値として設定するステップ(ステップS13)と、受け付けたパラメータが溶接構造物の溶接材料の材料物性値以外の場合(ステップS12でNOの場合)に、受け付けたパラメータをそのまま設定するステップ(ステップS14)とを備える。
溶接諸条件設定工程(ステップS1:ステップS11〜ステップS14)では、まず、入力部21から入力された溶接諸条件を制御部31が受け付ける(ステップS11)。制御部31は、受け付けたパラメータのうち、溶融物性値条件については、溶融物性値条件設定部24にパラメータの設定を実行させる。溶融物性値条件設定部24は、設定するパラメータが溶接構造物の溶接材料の材料物性値か否かを判定し(ステップS12)、溶接構造物の溶接材料の材料物性値については(ステップS12でYESの場合)、溶接材料物性値テーブル11を参照し、与えられた溶接諸条件から条件に該当する1個の物性値を取得し、溶接構造物の溶接材料の材料物性値として設定する(ステップS13)。
一方、溶融物性値条件設定部24は、例えば、母材の物性値等、設定するパラメータが溶接構造物の溶接材料の材料物性値以外の場合(ステップS12でNOの場合)、受け付けたパラメータをそのまま設定する(ステップS14)。なお、受け付けたパラメータのうち溶融物性値条件以外のパラメータについては、制御部31が設定を行う。このようにして、入力された溶接諸条件が設定されると、溶接諸条件設定工程(ステップS1:ステップS11〜ステップS14)は完了する。
溶接諸条件設定工程が完了すると、続いて、固有ひずみ導出部25が、溶接諸条件設定工程で設定された溶接諸条件を用いて固有ひずみ値を計算し、固有ひずみ値を得る(ステップS2)。固有ひずみ導出部25は得られた固有ひずみ値を設定された溶接諸条件と関連付けて固有ひずみDB38に格納する(ステップS3)。
続いて、弾性解析部26が、設定される溶接諸条件とステップS2において固有ひずみ導出部25が算出する固有ひずみ値とを用いて、有限要素法に基づく弾性計算(弾性解析)を実行し、溶接構造物の溶接変形および残留応力を算出する(ステップS4)。これらの計算結果は、出力部22に出力される(ステップS5)。計算結果の出力が完了すると、溶接変形等解析手順は全処理ステップの実行を完了する(END)。
なお、図4に示される溶接変形等解析手順では、固有ひずみ導出部25が計算した結果(固有ひずみ値)を固有ひずみDB38に格納するステップ(ステップS3)が実行されるので、固有ひずみ値を算出するステップ(ステップS2)において、設定された溶接諸条件と合致する溶接諸条件で算出された固有ひずみ値が格納されている場合には、固有ひずみ値の算出を、固有ひずみDB38から該当する固有ひずみ値を取得することによって行っても良い。
また、図4に示される溶接変形等解析手順は、ステップS3が実行されている例であるが、ステップS2で得られた結果と、設定される溶接諸条件とを用いることで、弾性解析(ステップS4)を実行することができるため、溶接変形等解析手順は、固有ひずみDB38がなくても弾性解析(ステップS4)以降の処理ステップの実行に支障はない。つまり、固有ひずみDB38へ固有ひずみ値を格納するステップ(ステップS3)を省略して、溶接変形等解析手順を実行することもできる。
次に、解析装置20での解析結果を例示して、本発明の実施形態に係る解析装置、解析方法、および解析プログラムの有用性を説明する。
図5は溶接構造物の3次元有限要素モデルの一例である3次元有限要素モデル40を示す説明図である。また、図6および図7は、溶接構造物(実物)による実測、従来の解析手法(以下、「従来手法」とする。)による解析、および、本発明の実施形態に係る解析装置等を用いて行う新たな解析手法(以下、「提案手法」とする。)による解析を行って得られる溶接後の単位角度あたりの角変形量(角変形量/度)の実測結果(実験値)および解析結果(解析値)を示す説明図である。
なお、図6,7の各グラフにそれぞれ示される◇印、■印、および▲印は、それぞれ、溶接構造物(実物)による実測の結果(図6,7において「実験値」と記す。)、3次元有限要素モデル40(図5)に対して従来手法により得られた解析値(図6,7において「従来手法」と記す。)、3次元有限要素モデル40に対して提案手法により得られた解析値(図6,7において「提案手法」と記す。)である。
図6に示されるグラフは、パス数(横軸)に対する溶接構造物(または溶接構造物の3次元有限要素モデル40)の溶接後の角変形量/度(縦軸)の関係を示すグラフであり、実験値(図中◇印)と従来手法(図中■印)と提案手法(図中▲印)とによって得られた溶接後の角変形量/度が示されている。ここで、3次元有限要素モデル40(図5)は、中心部に溶接線41を有する溶接構造物の3次元有限要素モデルである。解析時の溶接条件は、溶接方法がTIG溶接、溶接プロセスにおける入熱量Qが7.5kJ/cm、材料がSUS304としている。また、本プロセスは溶接材料の供給がないビードオン溶接であり、溶接線41に対して、繰り返し熱量を加え続けたプロセスとしている。なお、溶接構造物(実物)については、上記解析と同条件によって作成されたものである。
図6に示されるグラフにおいて、従来手法と提案手法とを比べると、パス数が少ない場合には差異が小さいものの、パス数が増加するにつれて差異が拡大している。また、実験値と従来手法および提案手法とを比べると、パス数が少ない場合には、従来手法および提案手法の何れも実験値に対する誤差が比較的小さい。一方で、パス数が増えていくと、パス数の増加に伴って、従来手法では実験値に対する誤差が拡大しているが、提案手法ではパス数が多くなっても実験値に対する誤差は小さく維持されている。
固有ひずみ法による解析は、大型構造物に対する解析手法として用いられることが多いため、パス数が多い溶接条件における評価が重要となるが、上述したように、提案手法は、従来手法よりも特にパス数の多い条件下で精度良く解析でき、パス数が多くなっても実験値に対する誤差は小さく維持されているので、パス数が多くなる傾向にある大型構造物に対する解析を固有ひずみ法によって行う場合に従来手法よりも優位となる。
なお、図6に示されるグラフではパス数が6の場合までしか示していないが、7以上においても、従来手法では実験値に対する誤差が拡大し、提案手法ではパス数が多くなっても実験値に対する誤差は小さく維持されるという傾向に変わりはない。
続いて、図7に示されるグラフは、座屈変形が生じるまでは変形量を一次関数的に比較および評価できる指標として一般的に知られているQ/h2(Q:単位溶接長当りの入熱量、h:板厚)(横軸)に対する溶接構造物(または溶接構造物の3次元有限要素モデル40)の溶接後の角変形量/度(縦軸)の関係を示すグラフであり、実験値(図中◇印)と従来手法(図中■印)と提案手法(図中▲印)とによって得られた溶接後の角変形量/度が示されている。なお、3次元有限要素モデル40、解析時の溶接条件、および溶接構造物(実物)については、図6に示されるグラフと同様である。また、今回の実験および解析においては、入熱量Q(=約7.5kJ/cm)を変更せずに、構造物の板厚hを変更することによって種々のQ/h2を表現している。これは大型構造物における板厚の条件を想定したものである。
図7に示されるグラフによれば、座屈変形が生じる(Q/h2=10程度)までは、実験値に対する提案手法の誤差は、実験値に対する従来手法の誤差よりも小さく抑えられている。また、座屈変形が生じる(Q/h2=10程度)までの領域では、提案手法により得られる溶接後の角変形量/度は、実験値とほぼ一致していることが認められる。
ここで、座屈変形が生じる(Q/h2=10程度)までの領域は、厚板の大型構造物を溶接構造物とする場合に該当する領域であり、座屈変形が生じる領域(Q/h2=10よりも大)は、主に薄板・大入熱における条件で溶接を実施した場合、すなわち、厚板の大型構造物を溶接構造物としない場合に該当する領域である。従って、Q/h2が10程度までの領域において従来手法よりも実験値に対する誤差を小さくできる提案手法は、大型構造物が溶接構造物となる固有ひずみ法による解析では、従来手法よりも優位といえる。
上述したように、提案手法によれば、溶接構造物の溶接後における角変形量/度について、従来手法よりも精度良く、かつ、実験値と同等の高い精度で解析でき、本発明の実施形態に係る解析装置、解析方法、および解析プログラムは、従来の解析装置、解析方法、および解析プログラムよりも解析精度の点で優位となる。
以上、解析装置20、溶接変形等解析手順、および溶接変形等解析手順をコンピュータに実行させる解析PG10によれば、パス数が多く、Q/h2が10程度までとなる傾向にある大型構造物を溶接構造物とする溶接変形等の解析を固有ひずみ法によって行う場合に、溶接のプロセスタイプや温度段階等に応じて設定する溶接材料の材料物性値を変えることで得られる固有ひずみ値を計算実行時の溶接諸条件と関連付けて固有ひずみDB38に格納していけば、溶接構造物の溶接部の固有ひずみデータベースを簡易かつ厳密性高く構築できる。
また、解析装置20、溶接変形等解析手順、および溶接変形等解析手順をコンピュータに実行させる解析PG10によれば、溶接のプロセスタイプや温度段階等に応じて設定する溶接材料の材料物性値を変えることで得られる固有ひずみ値を採用して有限要素法に基づく弾性計算(弾性解析)を行うことで、実験値に対して誤差の小さい計算結果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施温度段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…コンピュータ、2…CPU、3…主記憶装置、4…補助記憶装置、5…入力装置、6…出力装置、7…通信装置、8…計算サーバー、10…解析PG(プログラム)、11…溶接材料物性値設定テーブル、20…解析装置、21…入力部、22…出力部、23…通信部、24…溶融物性値条件設定部、25…固有ひずみ導出部、26…弾性解析部、28…表示処理部、29…記憶部、31…制御部、35…母材材料物性値設定部、36…溶接材料物性値設定部、38…固有ひずみDB、40…3次元有限要素モデル、41…溶接線。

Claims (8)

  1. 溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析する装置であり、
    溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接材料の材料物性値について、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階に応じて受け付けた値と異なる値を設定可能に構成される溶融物性値条件設定手段と、
    前記溶接諸条件と、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する固有ひずみ導出手段と、
    前記溶接諸条件と前記固有ひずみ導出手段が導出した前記溶接構造物に発生する固有ひずみ値とを用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う弾性解析手段と、を具備することを特徴とする解析装置。
  2. 前記プロセスタイプは、前記溶接材料が供給されるプロセスか否かで分類され、
    前記温度段階は、前記溶接材料の温度が室温から前記溶接諸条件に含まれる前記溶接材料の溶融温度まで上昇する昇温過程の温度域にある第1段階と、前記溶融温度を超えている温度域にある第2段階と、前記溶融温度から室温へ向けて下降する冷却過程の温度域にある第3段階とに分類されており、
    前記溶融物性値条件設定手段は、前記温度段階が前記第2段階にある場合、および前記プロセスタイプが前記溶接材料が供給されるプロセスであって、前記温度段階が前記第1段階にある場合には、前記溶接材料の材料物性値として受け付けた値と異なる値を前記溶接材料の材料物性値として設定する一方、前記温度段階が前記第3段階にある場合、および前記プロセスタイプが前記溶接材料が供給されないプロセスであって、前記温度段階が前記第1段階にある場合には、前記溶接材料の材料物性値として受け付けた値を前記溶接材料の材料物性値として設定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の解析装置。
  3. 前記溶融物性値条件設定手段は、前記溶接材料の材料物性値として受け付けた値と異なる値を前記溶接材料の材料物性値として設定する場合、前記溶融物性値条件設定手段が前記溶接材料の材料物性値として設定する値を、前記溶接部の流体を再現する強度が弱く温度依存性のない物性値とするように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の解析装置。
  4. 前記溶融物性値条件設定手段は、前記プロセスタイプと前記温度段階との各組み合わせに対して、前記溶接材料の材料物性値として設定すべき値の情報を有するデータを参照し、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階に対応する値を前記溶接材料の材料物性値として設定するように構成されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の解析装置。
  5. 前記固有ひずみ導出手段が、前記溶接諸条件と、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接部の固有ひずみ値を計算した結果を当該計算に使用したパラメータと関連付けて保存する固有ひずみデータベースを、前記固有ひずみ導出手段および弾性解析手段が参照可能な記憶領域に保持させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の解析装置。
  6. 前記固有ひずみ導出手段は、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接部に発生する固有ひずみ値を計算すること、および前記固有ひずみデータベースを参照し、受け付けた前記溶接諸条件と関連付けられる前記溶接部の固有ひずみ値を取得することの何れか一方によって、前記溶接部に発生する固有ひずみ値を導出するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の解析装置。
  7. 溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接材料の材料物性値について、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階に応じて受け付けた値と異なる値を設定可能に構成される溶融物性値条件設定手段と、前記溶接諸条件と、前記溶融物性値条件設定手段が設定した前記溶接材料の材料物性値とを用いて、前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する固有ひずみ導出手段と、前記溶接諸条件と前記固有ひずみ導出手段が導出した前記溶接構造物に発生する固有ひずみ値とを用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う弾性解析手段として機能するコンピュータを用いて、溶接構造物の溶接変形および残留応力を解析する方法であり、
    前記溶融物性値条件設定手段が、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階が予め設定した条件に合致する場合に前記溶接材料の物性値として受け付けた値とは異なる値を前記溶接材料の物性値として設定する第1のステップと、
    前記固有ひずみ導出手段が、前記第1のステップで設定される前記溶接材料の物性値を用いて前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する第2のステップと、
    前記弾性解析手段が、前記第2のステップで得られる固有ひずみ値を用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う第3のステップと、を具備することを特徴とする解析方法。
  8. 溶接構造物の溶接変形および残留応力を解析する解析手順をコンピュータに実行させるプログラムであり、
    前記解析手順は、溶接のプロセスタイプ、溶接時の溶接速度、電流、電圧、トーチ角度、効率、および溶接ワイヤの供給速度を含む溶接条件と、溶接構造物の母材となる材料および溶接材料の材料物性値、溶接構造物の溶接材料の溶融温度、温度段階、開先形状、並びに板厚等の前記溶接構造物の溶接後における角変形量および残留応力を解析するために必要なパラメータである溶接諸条件の入力を受け付け、前記溶接諸条件に含まれる前記プロセスタイプおよび前記温度段階が予め設定した条件に合致する場合に前記溶接材料の物性値として受け付けた値とは異なる値を前記溶接材料の物性値として設定する第1のステップと、
    前記第1のステップで設定される前記溶接材料の物性値を用いて前記溶接構造物の溶接部に発生する固有ひずみ値を導出する第2のステップと、
    前記第2のステップで得られる固有ひずみ値を用いて、前記溶接構造物に対して有限要素法に基づく弾性計算を行う第3のステップと、を具備することを特徴とする解析プログラム。
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