JP2015123460A - 鋼板の矯正方法及び矯正装置 - Google Patents

鋼板の矯正方法及び矯正装置 Download PDF

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正之 堀江
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Abstract

【課題】切断後にロールの摩耗に起因した鋼板の形状不良が発生することを抑制すること。【解決手段】本発明に係る鋼板の矯正方法は、鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本の上下レベリングロール2U,2Dと、複数本の上下レベリングロール2U,2Dの軸方向に沿って鋼板Sへの圧下量を変更可能なウェッジ5と、を備えるローラレベラ1を利用して鋼板Sの形状不良を矯正する鋼板の矯正方法であって、複数本の上下レベリングロール2U,2Dのうち、鋼板Sに最後に塑性曲げを付与するレベリングロール及びこのレベリングロールの鋼板の入側方向側に隣接するレベリングロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板Sの反り高さから予め定めた許容値以下となるように、ウェッジ5を制御して鋼板Sの形状不良を矯正することを特徴とする。【選択図】図1B

Description

本発明は、ローラレベラを利用して鋼板の形状不良を矯正する鋼板の矯正方法及び矯正装置に関する。
近年、鋼板の平坦度に対する需要家の要求を満足させるために、工場では、出荷前に形状検査によって鋼板の平坦度を測定し、鋼板の平坦度が基準を満足しない場合、鋼板を矯正して平坦度が基準を満足したことを確認した後に出荷することが行われている。この際に用いられる鋼板の矯正方法として、ローラレベラを利用した鋼板の矯正方法がある。ローラレベラは、鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本のロール群によって構成されており、上下ロール間に鋼板を通板することによって鋼板に繰り返し曲げを付与する装置である。
通常の操業では、ローラレベラは、鋼板の噛み込み側(以下、入側と表記)から噛み抜け側(以下、出側と表記)にかけてロールの圧下量が漸次小さくなるように設定され、ロールから鋼板に付与される曲率は入側から出側に向かって減少する。このように設定されたローラレベラに鋼板を通板してロールの軸方向(鋼板の幅方向)に均一に繰り返し曲げを付与することによって、鋼板の残留応力を低減し、鋼板の反り等の形状不良を矯正することができる。
ところが、ローラレベラの組立精度やロールの摩耗等に起因してロールの軸方向の各位置での圧下量に差が生じる場合があり、この場合、矯正後の鋼板の幅方向の残留応力(以下、残留応力と略記)が一定にならない。例えば、ロールの軸方向の圧下量が一定でない状態で鋼板を矯正した場合、鋼板の幅方向に上反りを生じさせる板厚方向の残留応力分布と鋼板の幅方向に下反りを生じさせる板厚方向の残留応力分布とが混在するような残留応力分布が生じることがある。
鋼板は、平坦であれば形状検査基準を満足するが、鋼板の幅方向が拘束されることによって見かけ上平坦である場合には、最終製品の部材として使用するために鋼板を長手方向に切断した際、幅方向の拘束が解放されることによって残留応力に起因した反りが発生することがある。このため、残留応力に起因した反りが発生することを防止するために、従来から様々な鋼板の矯正方法が提案されている。
具体的には、特許文献1には、ローラベラに鋼板を通板することによって鋼板を矯正して少なくとも見かけ上は鋼板を平坦にした後、矯正時のロール最大変形量と鋼板の残留応力に起因する形状不良の発生を防止するためのロール基準変形量とを比較し、ロール最大変形量がロール基準変形量を超えている場合、ロール最大変形量がロール基準変形量以下となる条件で鋼板を再度矯正する技術が記載されている。また、特許文献2には、切断後に鋼板に変形が生じない最大の圧下量差に抑えるようにローラレベラのレベリングロールとバックアップロールとの初期位置を設定する技術が記載されている。
特開平9−323123号公報 特開平10−80725号公報 特開平11−28517号公報
特許文献1記載の技術では、切断後に発生する鋼板の形状不良の原因は鋼板の幅方向における圧下量の変動であり、圧下量が一定にならない原因は矯正荷重によるロール偏平及び横撓みによるロール変形とされている。ロール変形は梁の曲げ理論を応用することによって既知であるとし、矯正荷重が小さい条件で鋼板を通板することによってロール変形量を基準変形量以下にすることができる。しかしながら、実際の操業で生じる鋼板の幅方向における圧下量の変動はロールの摩耗によって生じる。このため、特許文献1記載の技術によれば、ロールの摩耗に起因する切断後の鋼板の形状不良を回避することはできない。
特許文献2記載の技術は、鋼板を矯正するための各ロールの圧下量をロールが摩耗した状態を考慮したレベリングロール及びバックアップロールの初期位置で設定している。しかしながら、特許文献2記載の技術によれば、ロールの摩耗量がロール間で異なる場合には、最大の摩耗量に合わせてクラウニング補正を実施することにより、摩耗量の小さなロールでは過剰にクラウニング補正が加わり、基準変形量を超えて形状不良が発生する可能性がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、切断後にロールの摩耗に起因した鋼板の形状不良が発生することを抑制可能な鋼板の矯正方法及び矯正装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る鋼板の矯正方法は、鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本のロールと、該ロールの軸方向に沿って鋼板への圧下量を変更可能なロールクラウニング装置と、を備えるローラレベラを利用して鋼板の形状不良を矯正する鋼板の矯正方法であって、前記複数本のロールのうち、鋼板に最後に塑性曲げを付与するロール及び該ロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板の反り高さから予め定めた許容値以下となるように、前記ロールクラウニング装置を制御して鋼板の形状不良を矯正することを特徴とする。
本発明に係る鋼板の矯正方法は、上記発明において、前記鋼板条件は、鋼板の板厚、板幅、降伏応力、ヤング率、及びポアソン比を含み、前記矯正条件は、鋼板の噛み込み側から2番目のロールによる鋼板の塑性変形率、鋼板の噛み抜け側から2番目のロールの圧下量、及びロールピッチを含み、予め該鋼板条件及び該矯正条件を用いて矯正後の鋼板の残留応力が所定値以下となるロールの軸方向における圧下量差を算出し、算出された圧下量差を前記許容値とすることを特徴とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る鋼板の矯正装置は、鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本のロールと、前記複数本のロールの軸方向に沿って鋼板への圧下量を変更可能なロールクラウニング装置と、前記複数本のロールのうち、鋼板に最後に塑性曲げを付与するロール及び該ロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板の反り高さから予め定めた許容値以下となるように、前記ロールクラウニング装置を制御して鋼板の形状不良を矯正するロールクラウニング制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る鋼板の矯正方法及び矯正装置によれば、切断後にロールの摩耗に起因した鋼板の形状不良が発生することを抑制できる。
図1Aは、ローラレベラの構成を示す正面図である。 図1Bは、ローラレベラの構成を示す側面図である。 図2は、レベリングロールの圧下量差を説明するための模式図である。 図3は、レベリングロールの圧下量を説明するための模式図である。 図4は、鋼板条件及び矯正条件に応じたレベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値の一例を示す図である。 図5は、圧下量が異なる3つのケースにおける各レベリングロールでの曲率係数を示す図である。 図6は、ケース1及びケース2における鋼板の曲率係数と曲げモーメントとの関係を示す図である。 図7は、ケース1及びケース3における鋼板の曲率係数と曲げモーメントとの関係を示す図である。 図8は、ケース1及びケース2における矯正後の鋼板の反り高さを示す図である。 図9は、ケース1及びケース3における矯正後の鋼板の反り高さを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る鋼板の矯正方法について説明する。
〔ローラレベラの構成〕
始めに、図1A,図1Bを参照して、本発明において用いられるローラレベラの構成について説明する。図1A,図1Bはそれぞれ、本発明において用いられるローラレベラの構成を示す正面図及び側面図である。
図1A,図1Bに示すように、本発明において用いられるローラレベラ1は、鋼板Sが通過するパスライン(鋼板Sの長さ方向)に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数の上下レベリングロール2U,2Dを有し、上下レベリングロール2U,2Dによって鋼板Sに繰り返し曲げを付与することにより鋼板Sの形状不良を矯正するものである。上下レベリングロール2U,2Dは、本発明に係る複数本のロールとして機能する。
上下レベリングロール2U,2Dはそれぞれ、上下バックアップロール3U,3Dによって支持されており、さらに上下バックアップロール3U,3Dは一体の上下フレーム4U,4Dに支持されている。また、上フレーム4Uの上部には、上下レベリングロール2U,2Dの幅方向に沿って複数のウェッジ5が設けられている。
ウェッジ5は、矯正反力によって上下レベリングロール2U,2Dの軸方向に生じる撓みを調整するため、上下レベリングロール2U,2Dの軸方向の圧下量を独立に調整する。ウェッジ5によって上下レベリングロール2U,2Dの軸方向の圧下量を調整することにより、上下レベリングロール2U,2Dを軸方向に撓ませた状態で鋼板Sを矯正することができる。ウェッジ5は、本発明に係るロールクラウニング装置として機能する。
このローラレベラ1を利用して、鋼板Sを矯正する際には、上レベリングロール2U又は下レベリングロール2Dをフレーム毎傾斜させ、入側の上下レベリングロール2U,2Dの間隔が出側の上下レベリングロール2U,2Dの間隔よりも狭い状態にして鋼板Sを通板する。入側及び出側の上下レベリングロール2U,2Dによる圧下量はローラレベラ1の上部に取り付けられた入側及び出側の油圧シリンダ6により個別に設定することができる。
なお、本発明におけるロールの軸方向の圧下量差とは、図2に示すように、上下レベリングロール2U,2Dの軸方向端部における圧下量(基準圧下量)とロール軸方向各位置での圧下量との差の最大値のことを意味する。また、本発明における圧下量とは、図3に示すように、上下レベリングロール2U,2Dによる鋼板Sの鉛直方向の変形量のことを意味する。
〔鋼板の矯正方法〕
次に、本発明に係る鋼板の矯正方法について説明する。
本発明に係る鋼板の矯正方法は、鋼板に最後に塑性曲げを付与するレベリングロール及びこのレベリングロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するレベリングロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板の反り高さから予め定めた許容値となるように、ウェッジを制御して鋼板の形状不良を矯正することを特徴とする。
まず、鋼板に形状不良が発生することを抑制するために必要なレベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値について説明する。本発明では、矯正後又は切断後に鋼板に形状不良が発生しないレベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値を予め計算によって求めておく。計算は、板厚方向及び板幅方向に要素を分割したスリットモデルを用いて各要素における繰り返し曲げ変形挙動を解析的に解くものであり、矯正後の各要素における残留応力を算出し、算出された残留応力を鋼板の反り高さに換算する。計算においては、平面歪及び平面応力を仮定し、バウシンガー効果は考慮していない。さらに、材料モデルは弾・直線硬化塑性モデルとした。
鋼板に形状不良が発生することを抑制するために必要なレベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値は鋼板条件及び矯正条件に応じて求めておく。鋼板条件は、少なくとも鋼板の板厚、板幅、残留応力、ヤング率、及びポアソン比を含むことが好ましい。矯正条件は、少なくとも鋼板の噛み込み側(以下、入側と表記)から2番目のレベリングロールによる鋼板の塑性変形率η、鋼板の噛み抜け側(以下、出側と表記)から2番目のレベリングロールの圧下量、及びロールピッチを含むことが好ましい。塑性変形率ηとは、鋼板の板厚方向の塑性変形域の深さと板厚との比率であり、塑性変形域の深さを板厚で除算した値で定義される。塑性変形率ηは、ローラレベラでの曲げの大きさを表す指標として一般的に用いられる指標である。
図4は、鋼板条件及び矯正条件に応じてレベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値を求めた例を示す。本計算では、鋼板条件として、鋼板の降伏応力を400MPa、鋼板の板厚tを15、20、25、30mmの4条件とした。また、矯正条件として、鋼板の入側から2番目のレベリングロールによる鋼板の塑性変形率ηを70、60、50%の3条件とした。これらの条件でレベリングロールの軸方向における圧下量差を変化させ、矯正後の鋼板の反り高さが基準の反り高さを満足する最大の圧下量差を許容値とした。また、基準の反り高さは板長さ10mに対して反り高さ10mm(10mm/10m)とした。図4に示す例では、板厚tが20mmで鋼板の入側から2番目のレベリングロールによる鋼板の塑性変形率ηが70%である場合には、圧下量差の許容値は−0.58mmから+0.30mmの範囲内となる。プラスの圧下量差の許容値は締め込み側の圧下量差の許容値を示し、マイナスの圧下量差の許容値は開放側の圧下量差の許容値を示している。
ウェッジ5では、プラス側及びマイナス側の圧下量差が許容値以下となるように、ローラレベラにおいて組立精度及び矯正荷重によって生じる上下レベリングロール2U,2Dの撓み及びロール摩耗によって生じる軸方向の圧下量差を補正する。レベリングロールの軸方向における圧下量差は、従来から用いられている方法により測定できる。具体的には、特許文献3に開示されているようなレベリングロール毎にレーザ距離計を配列してレベリングロールの圧下量差を計測する方法や鋼板の幅方向複数点に歪ゲージを貼り付け、通板中の表面歪を測定する方法を利用することができる。
本発明では、レベリングロールの軸方向における圧下量差の許容値は、最後に鋼板に塑性曲げを付与するレベリングロール及びこのレベリングロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するレベリングロールに対して設定する。ローラレベラは、入側から出側にかけて圧下量を低減させるように設定されるため、矯正中の荷重及びトルクがレベリングロール間で異なることが一般的である。このため、実操業では、各レベリングロールでの摩耗量が異なってくることが多い。全てのレベリングロールで一律に圧下量を補正するウェッジを備えたローラレベラでは、摩耗量がレベリングロール間で異なると、全てのレベリングロールの圧下量差を許容値以下にできない場合がある。
図5は、圧下量が異なるケース1、ケース2、及びケース3の3つのケースにおける各レベリングロールでの曲率係数を示す。ここで、曲率係数Kとは、各レベリングロール直下での鋼板の曲げ曲率κと弾性限曲率κとの比を意味し、以下に示す数式(1)のように表される。また、曲げ曲率κ及び弾性限曲率κは以下に示す数式(2),(3)のように表される。数式(2),(3)中、mは係数(4〜6)、δは圧下量、Lはロールピッチ、σは降伏応力、tは板厚、Eはヤング率である。
Figure 2015123460
Figure 2015123460
Figure 2015123460
上記ケース1〜3について、レベリングロール毎の矯正後の反りの大きさを圧下量差の許容値の計算モデルで計算し、#5〜#8ロールの曲率係数及び曲げモーメントをプロットした図を図6,図7に示す。なお、以下の説明において、#1〜#9ロールはそれぞれ、図1Bに示すように、ローラレベラの入側から数えて1〜9番目のレベリングロールのことを意味する。また、各図の横軸は、レベリングロールが鋼板に付与する圧下量の大きさを表す指標である曲率係数Kを示す。また、各図の縦軸は、鋼板に加わる曲げモーメントMを示す。
図6及び図7記載のケース1は、#2ロールによる鋼板の塑性変形率ηを70%、#8ロールの圧下量を基準圧下量として矯正した場合の鋼板の曲率係数Kと曲げモーメントMとの関係を示し、それぞれの曲線の頂点の部分(図中の黒実線の楕円部分)が各レベリングロールの直下位置に当たる。本条件では、#5〜#7ロールでは曲げモーメントMに変曲点があることから、#5〜#7ロールによる曲げ加工は塑性変形であることがわかる。これに対して、#8ロールでは曲げモーメントMに変曲点が無く、曲率係数Kと曲げモーメントMとの関係が同一直線上にあることから、#8ロールによる曲げ加工は弾性変形であることがわかる。以上のことから、この条件下では、最後に塑性曲げを加えるロールは#7ロールであり、その一つ手前のロールは#6ロールであることがわかる。
図6記載のケース2は、レベリングロールの軸方向に圧下量差を付与した場合の曲率係数Kと曲げモーメントMとの関係を示し、#7ロール及び#6ロールのみに圧下量差の許容値を超えるように−0.6mmの圧下量差を付与した条件の場合を示す。図7記載のケース3は、#7ロール及び#6ロール以外のレベリングロールの軸方向に圧下量差の許容値を超える−0.6mmの圧下量差を付与した条件の場合を示す。
図8は、ケース1及びケース2における矯正後の鋼板の反り高さを示す。基準圧下量であるケース1の矯正後の鋼板の反り高さは−0.8mm/10mmであった。これに対して、#7ロール及び#6ロール以外のレベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値以下であっても、#7ロール及び#6ロールの軸方向の圧下量差が許容値を超えるケース2では、矯正後の反り高さは35mm/10mとなり、基準の反り高さ10mm/10mより大きくなった。
ケース2とケース1との差は、図6に示す#7ロールにおける曲率頂点での横軸と縦軸との差であり、横軸の差は#7ロールでの軸方向の圧下量差によって生じる曲率係数Kの差、縦軸の差は#6ロールでの軸方向の圧下量差により生じる曲げモーメントMの差である。つまり、矯正後の反りに影響を及ぼすレベリングロールは、最後に塑性曲げを付与するレベリングロール及びこのレベリングロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するレベリングロールである。
図9は、ケース1及びケース3における矯正後の鋼板の反り高さを示す。ケース3は、#7ロール及び#6ロールのみで軸方向の圧下量差の許容値を満足させ、それ以外のレベリングロールでは許容値を超える軸方向の圧下量差を与えて計算させた場合である。この結果より、#7ロール及び#6ロールのみで軸方向の圧下量差の許容値を満足していると、それ以外のレベリングロールで軸方向の圧下量差の許容値を超えていても矯正後の曲げモーメントは基準条件であるケース1と同じ値となり、反り高さは2.1mと基準の反り高さを満足することが確認された。
以上より、矯正後又は板切断後の鋼板に生じる反りは、最後に塑性曲げが付与されるレベリングロールとそのレベリングロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールでの軸方向の圧下量が支配的であると言える。このため、最後に塑性曲げを付与するレベリングロール及びそのロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールの軸方向の圧下量差を許容値以下とするように補正することで、その他のレベリングロールで軸方向の圧下量差が許容値を超えていても矯正後はもとより切断後に生じる形状不良を抑制することができる。
レベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値以下である本発明の矯正条件とレベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値を超える比較のための矯正条件とを適用して鋼板を矯正した。その後、各矯正条件で矯正された鋼板をガス切断し、ガス切断後の鋼板の反り高さを測定した。試験に用いた鋼板の板厚は19.5mm、板幅は1670mm、降伏強度は360MPaであった。試験に用いたローラレベラは、下5本、上4本のレベリングロール(直径280mm×胴長4850mm)を備えた最大許容荷重4200tonの矯正機であり、鋼板の入側から2番目のレベリングロールによる鋼板の塑性変形率ηを70%として鋼板を矯正した。鋼板はガス切断によって幅方向中央部を200mm幅に切断し、10m長さ当たりの鋼板の反り高さを測定した。本鋼板における反り高さの許容範囲は10mm/10m以下である。
本発明の矯正条件は、全レベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値以下である条件(実施例1)、軸方向の圧下量差が許容値を超えるレベリングロールがあるが、最後に塑性曲げを付与するレベリングロールとそのレベリングロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値以下である条件(実施例2)とした。また、比較例として、全レベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値を超える条件(比較例1)と、最後に塑性曲げを付与するレベリングロール及びそのレベリングロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールの軸方向の圧下量差が許容値を超える条件(比較例2)、最後に塑性曲げを付与するレベリングロールの軸方向の圧下量差のみが許容値を超える条件(比較例3)、及び最後に塑性曲げを付与するレベリングロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールの軸方向の圧下量差のみが許容値を超える条件(比較例4)とした。
各条件(実施例1,2、比較例1〜4)における各レベリングロールの軸方向の圧下量差を以下の表1に示す。表1記載のロールNo.は、図1Bに示すレベリングロール記載の番号に対応し、ローラレベラの入側から出側に向かってレベリングロール毎に昇順に付与した番号を示している。この場合、最後に塑性曲げを付与すロール及びそのレベリングロールの鋼板噛み込み方向側に隣接するレベリングロールはいずれの条件においても#7ロール及び#6ロールであり、形状不良を発生させない圧下量差の許容値は、図4(板厚tが20mm、#2ロールによる鋼板の塑性変形率ηが70%である場合)より−0.58mmから+0.30mmの範囲内となる。
Figure 2015123460
各条件において矯正された後の鋼板をガス切断し、鋼板の反り高さを測定した結果を表2に示す。本発明の矯正条件により矯正され、ガス切断された鋼板(実施例1,2)の反り高さは、最大で7mm/10mであり、許容範囲内であった。これに対して、比較のための矯正条件により矯正され、ガス切断された鋼板(比較例1〜4)の反り高さはいずれも許容範囲を超えていた。以上より、本発明の矯正条件を適用することによって、矯正後又は切断後に反りが生じない鋼板を製造できることが確認された。
Figure 2015123460
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 ローラレベラ
2U 上レベリングロール
2D 下レベリングロール
3U 上バックアップロール
3D 下バックアップロール
4U 上フレーム
4D 下フレーム
5 ウェッジ
6 油圧シリンダ
S 鋼板

Claims (3)

  1. 鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本のロールと、該ロールの軸方向に沿って鋼板への圧下量を変更可能なロールクラウニング装置と、を備えるローラレベラを利用して鋼板の形状不良を矯正する鋼板の矯正方法であって、
    前記複数本のロールのうち、鋼板に最後に塑性曲げを付与するロール及び該ロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板の反り高さから予め定めた許容値以下となるように、前記ロールクラウニング装置を制御して鋼板の形状不良を矯正することを特徴とする鋼板の矯正方法。
  2. 前記鋼板条件は、鋼板の板厚、板幅、降伏応力、ヤング率、及びポアソン比を含み、前記矯正条件は、鋼板の噛み込み側から2番目のロールによる鋼板の塑性変形率、鋼板の噛み抜け側から2番目のロールの圧下量、及びロールピッチを含み、予め該鋼板条件及び該矯正条件を用いて矯正後の鋼板の残留応力が所定値以下となるロールの軸方向における鋼板の圧下量差を算出し、算出された圧下量差を前記許容値とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の矯正方法。
  3. 鋼板の長さ方向に沿って上下方向に千鳥状に配置された複数本のロールと、
    前記複数本のロールの軸方向に沿って鋼板への圧下量を変更可能なロールクラウニング装置と、
    前記複数本のロールのうち、鋼板に最後に塑性曲げを付与するロール及び該ロールの鋼板の噛み込み方向側に隣接するロールの軸方向における圧下量差が、鋼板条件及び矯正条件に応じた矯正後の鋼板の反り高さから予め定めた許容値以下となるように、前記ロールクラウニング装置を制御して鋼板の形状不良を矯正するロールクラウニング制御部と、
    を備えることを特徴とする鋼板の矯正装置。
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