JP2015122981A - 精製疎水性酵素溶液の製造方法 - Google Patents

精製疎水性酵素溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】濾過能力を低下させることなく、培養液から疎水性酵素溶液を分離・精製し、効率よく精製疎水性酵素溶液を製造することのできる方法の提供。
【解決手段】疎水性酵素を含有する溶液を、該溶液との接触角が50°以上の濾過膜に通過させる工程を含む、精製疎水性酵素溶液の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、精製疎水性酵素溶液の製造方法に関する。
酵素は、古くから各種産業で利用されてきた。最も工業的に大量に生産されているものは衣料洗剤用酵素である。
衣料洗剤は、その形態により粉末洗剤と液体洗剤に分類される。液体洗剤は、酵素を溶解状態で含み、粉末洗剤に比べて水への溶解性に優れ、また、汚れ部分に原液を直接塗布出来るメリットがあり、近年、市場規模が拡大している。
酵素は、一般的に微生物の発酵培養液から取得される。培養液から酵素溶液を取得する操作においては、培養液を遠心分離して濁質成分を除去した後、濃縮、可溶化、安定化、膜濾過等の処理を経て、清澄な精製酵素溶液として回収することが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2011−523562号公報
膜濾過処理を施す酵素の清澄化工程においては、タンパク質の非特異的吸着が少ない材質の膜を用いて、必要に応じて膜面上を掃流等しながら膜濾過が行われるのが一般的である。
しかしながら、疎水性が強い酵素を膜濾過する場合、水溶性の酵素と比べて膜が閉塞し易く、濾過効率が著しく低下する場合があることが判明した。また、濾過膜へのタンパク吸着が少ないにもかかわらず、濾過効率の低下が生じることが判明した。
したがって、本発明は、濾過能力を低下させることなく、培養液から疎水性酵素溶液を分離・精製し、効率よく精製疎水性酵素溶液を製造することのできる方法を提供することに関する。
本発明者らは、疎水性が強い酵素を膜濾過する場合に濾過効率が低下する原因について種々検討したところ、微生物による発酵工程から持ち込まれる、疎水性酵素溶液に多く溶解、混在する色素に原因があることを見出した。すなわち、精製酵素溶液には色素による着色が残っていてもよいが、疎水性酵素溶液を膜濾過する際に当該色素が膜に吸着してしまい、濾過能力が低くなっていたのである。そこでさらに検討したところ、疎水性酵素溶液を、該溶液との接触角が一定以上の濾過膜を通過させることで、膜への色素の吸着が抑制され、濾過能力を低下させることなく、精製疎水性酵素溶液を取得できることを見出した。
すなわち、本発明は、疎水性酵素を含有する溶液を、該溶液との接触角が50°以上の濾過膜に通過させる工程を含む、精製疎水性酵素溶液の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、濾過能力を低下させることなく、疎水性酵素を含有する溶液を膜濾過処理することができるので、培養液から精製疎水性酵素溶液を効率良く得ることができる。
本発明の精製疎水性酵素溶液の製造方法は、疎水性酵素を含有する溶液を、該溶液との接触角が50°以上の濾過膜に通過させる工程を含むものである。
本発明における疎水性酵素とは、酵素の表面自体が疎水性である酵素を云う。疎水性酵素は、酵素表面疎水性(HFS)が13〜23kJ/mol、更に15〜23kJ/mol、更に17〜21kJ/molの範囲にあるものが、本発明の効果が有効に発揮される点から好ましい。酵素表面疎水性(HFS)は、酵素の疎水性を表す指標であり、その測定方法の詳細は実施例に記載した。
疎水性酵素の種類は、動物、植物、微生物等の任意の生物由来のもの、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。なかでも、微生物に由来するプロテアーゼが好ましく、更にアスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ペニシリウム(Penicillium)属、バチルス属(Bacillus)に属する微生物から抽出されたプロテアーゼが好ましい。プロテアーゼは、アルカリプロテアーゼが好ましい。
疎水性酵素を産生する微生物の培養は、微生物の種類に応じて、一般的な方法に従って行うことができる。
産生された疎水性酵素は、培養液、細胞破砕液、無細胞翻訳系等から取得することができる。遠心分離や精密濾過型フィルター等を用いて菌体を分離又は濃縮したその培養上清や溶菌液上清等の溶液を、疎水性酵素を含有する溶液としてもよい。また更に、濃縮してもよい。濃縮方法としては、例えば、硫安塩析法、アセトン及びアルコール沈殿法、膜濃縮法等が挙げられ、限外濾過膜による濃縮法が好ましい。
ここで用いられる限外濾過膜は、特に制限されず、平膜、中空糸状膜、チューブ状膜等のいずれであってもよい。膜の材質は、例えば、セラミック等の無機膜、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリアクリロニトリル系等の有機膜が挙げられる。
また、限外濾過膜の分画分子量は、30000以下、更に10000以下、更に6000以下が好ましい。
疎水性酵素が、沈殿状態、結晶状態で存在する場合は、ポリオールにより酵素を溶解させ、疎水性酵素を含有する溶液とするのが好ましい。
ポリオールは、炭化水素の2以上の水素を水酸基で置換したアルコール類の総称であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられる。なかでも、酵素の安定化の点から、プロピレングリコール、グリセリンが好ましい。
また、疎水性酵素を含有する溶液におけるポリオールの濃度は、酵素の安定化の点から、30%(v/v)以上が好ましく、35%(v/v)以上がより好ましく、40%(v/v)以上が更に好ましい。また、同様の点から、55%(v/v)以下が好ましく、50%(v/v)以下がより好ましく、45%(v/v)以下がさらに好ましい。
また、疎水性酵素を含有する溶液には、酵素を安定化させる目的で、例えば、ホウ砂、ホウ酸等のホウ素化合物、アミノ酸、硫酸塩、リン酸塩等を配合してもよい。
濾過膜に通過させる工程に供する疎水性酵素を含有する溶液のタンパク質濃度は、色相の点から、40g/L以下、更に30g/L以下、更に25g/L以下が好ましく、また、濾過効率の点から、10g/L以上が好ましい。
また、濾過膜に通過させる工程に供する疎水性酵素を含有する溶液の色相は、本発明の効果が有効に発揮される点から、波長440nmにおける吸光度として0.01以上、更に0.05以上、更に0.1以上が好ましく、また、同様の点、品質の点から、0.6以下、更に0.3以下、更に0.25以下が好ましい。
疎水性酵素を含有する溶液は、該溶液との接触角が50°以上の濾過膜に通過させる工程に先立って活性炭と接触させる処理を行ってもよい。
活性炭は、松等の木、竹、椰子殻、胡桃殻等の植物質の他、石炭質、石油質等を原材料としたものを用いることができる。また、これら原材料に、水蒸気、二酸化炭素、空気等のガスや塩化亜鉛、リン酸により賦活した活性炭を用いることができる。
活性炭の使用量は、収率の点から、疎水性酵素を含有する溶液に対して3%(w/v)未満が好ましく、更に2.5%未満、更に0.1〜2%が好ましい。
疎水性酵素を含有する溶液に活性炭を接触させる方法としては、例えば、疎水性酵素を含有する溶液に活性炭を添加し撹拌した後、濾過操作、遠心分離等により活性炭を回収するバッチ法、或いは活性炭を充填したカラムに疎水性酵素を含有する溶液を通液して連続的に吸着処理を行うカラム法が挙げられる。
疎水性酵素を含有する溶液と活性炭の接触温度は、操作性、吸着速度の観点から0℃〜60℃、更に5℃〜40℃、更に5℃〜20℃が好ましい。
また、疎水性酵素を含有する溶液と活性炭の接触時間はバッチ法においては、1分〜24時間、更に10分〜10時間、更に60分〜4時間が好ましい。
本発明で用いられる濾過膜は、濾過膜と疎水性酵素を含む溶液との接触角が50°以上となるものである。濾過膜と疎水性酵素を含む溶液との接触角は、色素吸着の抑制の点から、50°以上、更に60°以上、更に70°以上、更に80°以上が好ましく、また、同様の点から、110°以下、更に100°以下、更に95°以下が好ましい。
なお、接触角とは、固体表面上に液体が接している状況で、液体の縁の表面に引いた接線と固体表面と成す角度をいい、後述する接触角計を用いた測定法の一つである液滴法により求めることができる。
濾過膜の表面材質は、疎水性酵素を含む溶液との接触角が50°以上となるものであればよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子等が挙げられる。なかでも、濾過性能の点から、ポリオレフィンが好ましく、更にポリプロピレンが好ましい。
好ましい濾過膜としては、ポリファインII(日本ポール社製)、HPP045(FST社製)、ウェブスター(ダイワボウ社製)等が挙げられる。
濾過膜の孔径は、不純物除去の点から、0.1μm〜2μm、更に0.1μm〜1μm、更に0.1μm〜0.5μmが好ましい。膜孔径の測定は、銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法等を用いた一般的な測定方法を採用できる。
また、濾過膜の膜抵抗は、処理能力の点から、1×10-4[1/m]以下、更に5×10-5[1/m]以下、更に2×10-5[1/m]以下が好ましい。
濾過膜は、タンパク吸着量が少ないことが処理能力の点から好ましい。タンパク吸着量は、20μg/cm2以下、更に10μg/cm2以下、更に5μg/cm2以下であるのが好ましい。
膜の種類としては、例えば、平膜、中空糸膜、モノリス型膜、チューブ状膜プリーツ型カートリッジフィルター、デプス型フィルター等が挙げられ、プリーツ型カートリッジフィルターが効率的に処理できる点で好ましい。
濾過手段としては、吸引濾過、加圧濾過、遠心濾過のいずれでも実施可能である。
圧力は、使用する濾過膜の耐圧範囲であれば特に限定されるものではないが、例えば、0.5MPa以下が好ましい。
また、濾過温度としては、酵素の安定性の点から、0〜40℃、更に3〜35℃、更に5〜30℃であることが好ましい。
本発明の濾過膜を用いた処理においては、膜への色素吸着量(Δ440nm)が少なく
、高い濾過能力が得られる。濾過膜の色素吸着量(Δ440nm)は、0.03以下、更
に0.025以下、更に0.02以下であるのが、処理能力の点から好ましい。
また、濾過能力は、600L/m2以上、更に750L/m2以上、更に1000L/m2以上であることが好ましい。
本発明の方法では、疎水性酵素を含有する溶液を、処理能力の観点から、該溶液との接触角が50°以上の孔径の異なる濾過膜に通過させる処理を複数回、例えば2回又は3回行ってもよい。また、処理能力の観点から、孔径の異なる2重膜で処理を行ってもよい。
このような処理の結果、清澄な精製疎水性酵素溶液が得られる。
精製疎水性酵素溶液の色相は、特に制限されないが、品質の点から、波長440nmにおける吸光度として0.6以下、更に0.3以下、更に0.25以下が好ましく、また、同様の点から、0.01以上が好ましい。
本発明で得られる精製疎水性酵素溶液は、様々な製品に使用することができる。とりわけ、洗剤用酵素、更に液体洗剤用酵素として有用である。
〔酵素表面疎水度(HFS)の測定〕
1.溶液調製
リン酸二水素カリウム15%(w/w)
リン酸水素二カリウム15%(w/w)
リン酸カリウム水溶液 15% pH9.1(リン酸一カリ・二カリ15%溶液を任意で混合)
水性二相溶液−PEG/リン酸
(リン酸カリウム水溶液に蒸留水とPEG4000を添加し調製)
PEG濃度(%)/リン酸濃度(%):9.55/11.04・・・I
9.42/11.37・・・II
9.21/11.97・・・III
各アミノ酸溶液 12mmol/L(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、グリシン)
2.実験方法
(1)疎水性酵素溶液の脱塩
透析チューブ(Fisher brand 分画分子量:6000−8000)に各疎水性酵素培養液の菌体分離液を3mL程度を分注し、両端を縛った。20Lステンレスタンクに蒸留水を入れ、攪拌機(100r/min)にて攪拌を行った。そこに疎水性酵素培養液の菌体分離液が入った透析チューブを投入し、5℃にて2日間透析を行った。必要があれば、蒸留水の入れ替えを行った。
(2)HFSの算出
試験管に各アミノ酸溶液と、脱塩した疎水性酵素溶液を分注し、凍結乾燥を行った。凍結乾燥後、水性二相溶液の上層と下層をそれぞれ2mL添加し、攪拌を行い完全に溶解させた。各々の上層と下層とをサンプリングし、アミノ酸は全窒素分析、疎水性酵素溶液は酵素(プロテアーゼ)活性を測定し、上層と下層の分配係数:K(Ct/Cb)を算出した。HFS既知のアミノ酸(チロシン:9.623kJ/mol、フェニルアラニン:10.46kJ/mol、トリプトファン:14.226kJ/mol、バリン:6.276kJ/mol、グリシン:0kJ/mol)の分配係数:K(Ct/Cb)より、以下の式より、水性二相溶液−PEG/リン酸(I)、(II)、(III)の疎水性(HF)を
算出した。
HF(kJ/mol)=lnK(Ct/Cb)/HFS(kJ/mol)
疎水性酵素の分配係数:K(Ct/Cb)より、以下の式より、HFS(kJ/mol)を算出した。
HFS(kJ/mol)=lnK(Ct/Cb)/HF(kJ/mol)
・全窒素分析
全窒素分析計 TN−100(三菱ケミカルコーポレーション製)を用いて、測定した。
・プロテアーゼ活性の測定
カゼイン1%を含む50mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH10)1mLを 0.1mLの酵素溶液と混合し、40℃、10分間反応させた後、反応停止液(0.123Mトリクロロ酢酸−0.246M酢酸ナトリウム−0.369M酢酸)2mLを加え、30℃、20分間放置した。次に濾紙(ワットマン社製、No.2)で濾過し、濾液中の蛋白分解物をフォーリン・ローリー法の改良法によって測定した。また、1P.U.は上記反応条件下において1分間に1mmoleのチロシンを遊離する酵素量とした。
〔接触角の測定〕
ガラス板上に濾過膜を固定し、室温環境下、疎水性酵素溶液(プロピレングリコールに溶解させた酵素溶液(プロピレングリコール濃度40%(v/v)、タンパク質濃度20g/L))を1滴滴下し、直後の接触角をカメラで撮影し、接線法に従って測定した。
〔膜抵抗の測定〕
膜抵抗は、各メーカーカタログの流量−圧力損失特性より、以下の算出式により算出した。
Figure 2015122981
Rm:膜抵抗[1/m]
ΔP:圧力損失[MPa]
μ:水の粘度[Pa・s]
Jv:流量[L/m2/hr]
〔フィルター処理液量の測定(Vmax試験)〕
各濾過膜(φ47mmディスクフィルター)をフィルターホルダーに装着し、Vmax試験装置で、疎水性酵素溶液500mL〜1000mLを10℃で定圧ろ過(0.05MPa)し、10秒間隔で、ろ液重量データを取り込み、Vmax(最大処理量)を算出した。
なお、Vmaxは、日本ミリポア社バイオプロセス・テクニカルシート(TSB9702)に記載の方法に従って、標準閉塞モデルの関係式から以下の算出法で算出した。
t/V=(K2/2)t+1/Qi
t:濾過時間
K2:標準閉塞における係数(処理液によって異なる)
V:総処理量
Qi:濾過開始時の流量
〔タンパク質濃度の測定〕
疎水性酵素溶液を蒸留水で任意に希釈したものを、プロテインアッセイラピットキットワコー(和光純薬工業(株)製)にて測定した。
〔タンパク質吸着量の算出〕
疎水性酵素溶液に木質活性炭(GS−B:味の素ファインテクノ製)を1%(w/v)加え、10℃で3時間撹拌した後、濾過により活性炭を除去した後、40%(w/w)プロピレングリコールで0.4g/Lに希釈し、この疎水性酵素希釈溶液5mLに濾過膜(φ47mmディスクフィルター)を浸し、10℃で1時間振とうし、疎水性酵素希釈溶液のフィルター接触前後のタンパク質濃度を測定し、減少した蛋白量を濾過膜の膜面積で割ることによりタンパク質吸着量を算出した。
〔色相の測定〕
疎水性酵素溶液又は精製疎水性酵素溶液を1cm角の石英ガラス製セルに注入し、分光光度計UV−2450(SHIMAZU製)を用いて、440nmの吸光度を測定した。
〔色相吸着量の算出〕
Vmax試験でのろ過前後の疎水性酵素溶液と精製疎水性酵素溶液の440nmの吸光度をそれぞれ測定し、Δ440nmを色素吸着量とした。
実施例1
バチルス エスピーKSM−9865(FERM P−18566号)を培養し、アルカリプロテアーゼの生産を行った。培養液を遠心分離して菌体を分離した後、精密ろ過膜モジュール(中空糸状精密濾過膜、旭化成(株)、PSP−113L)により除菌した。次いで、限外ろ過膜モジュール(中空糸状限外濾過膜モジュール、旭化成(株)、AIP−2013)にて濃縮、0.4%(w/v)塩化カルシウム溶液にて同量加水濃縮を5回〜9回実施した。得られた酵素濃縮液に硫酸ナトリウムを疎水性酵素溶液に対し0.1%(w/v)になるように添加し、次いで40%(v/v)となるようにプロピレングリコールを添加し、酵素を溶解して疎水性酵素溶液とした。この疎水性酵素溶液のタンパク質濃度は20g/L、色相は0.52であった。また、疎水性酵素のHFSを測定したところ20.4kJ/molであった。
次いで、木質活性炭(GS−B:味の素ファインテクノ製)を1%(w/v)加え、10℃で3時間撹拌した後、濾過により活性炭を除去した。この疎水性酵素溶液のタンパク質濃度は20g/L、色相は0.15であった。次いで、フィルターホルダーに表1に示すポリプロピレン製濾過膜(ポリファインII、接触角76°、φ47mmディスクフィルター、日本ポール社)を装着し、Vmax試験の条件にて該疎水性酵素溶液を濾過して、清澄化した精製疎水性酵素溶液を得た。
実施例2及び3
フィルターホルダーに、表1に示すポリプロピレン製濾過膜(ウェブスター、接触角86°又は93°、ダイワボウ社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
実施例4
フィルターホルダーに、表1に示すポリプロピレン製濾過膜(HPP045、接触角85°、FST社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例1及び2
フィルターホルダーに、表1に示す親水性ポリエーテルスルホン製濾過膜(Supor、接触角15°又は4°、日本ポール社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例3
フィルターホルダーに、表1に示す高非対称ポリスルホン製濾過膜(バラファインVFSG、接触角13°、日本ポール社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例4及び5
フィルターホルダーに、表1に示す高非対称ポリスルホン製濾過膜(ウォーターファイン、接触角15°又は14°、日本ポール社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例6及び7
フィルターホルダーに、表1に示すポリアミド製濾過膜(ウルチポアナイロン66、接触角30°又は21°、日本ポール社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例8
フィルターホルダーに、表1に示すセルロース製濾過膜(TCY−LD、接触角10°、ADVANTEC社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例9
フィルターホルダーに、表1に示すセルロース混合エステル製濾過膜(ミリガード、接触角9°、日本ミリポア社)を装着した以外は実施例1と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
各実施例及び比較例の条件と結果を表1に示す。
Figure 2015122981
実施例5
バチルス エスピーKSM−9865(FERM P−18566号)を培養し、アルカリプロテアーゼの生産を行った。培養液を遠心分離して菌体を分離した後、精密ろ過膜モジュール(中空糸状精密濾過膜、旭化成(株)、PSP−113L)により除菌した。次いで、限外ろ過膜モジュール(中空糸状限外濾過膜モジュール、旭化成(株)、AIP−2013)にて濃縮、0.4%塩化カルシウム溶液にて同量加水濃縮を5回〜9回実施した。得られた酵素濃縮液に硫酸ナトリウムを疎水性酵素溶液に対し0.1%(w/v)になるように添加し、次いで40%(v/v)となるようにプロピレングリコールを添加し、酵素を溶解して疎水性酵素溶液とした。この疎水性酵素溶液のタンパク質濃度は20g/L、色相は0.47であった。また、疎水性酵素のHFSを測定したところ20.5kJ/molであった。
次いで、疎水性酵素溶液に木質活性炭(GS−B:味の素ファインテクノ製)を1%(w/v)加え、10℃で3時間撹拌した後、濾過により活性炭を除去した。この疎水性酵素溶液のタンパク質濃度は20g/L、色相は0.25であった。次いで、フィルターホルダーに表1に示すポリプロピレン製濾過膜(ポリファインII、φ47mmディスクフィルター、日本ポール社)を装着し、Vmax試験の条件にて該疎水性酵素溶液を濾過して、清澄化した精製疎水性酵素溶液を得た。
実施例6
フィルターホルダーに、表2に示すポリプロピレン製濾過膜(HPP045、FST社)を装着した以外は実施例5と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
実施例7
フィルターホルダーに表2に示す孔径0.45μmのポリプロピレン製濾過膜(HPP045、FST社)を装着し、Vmax試験の条件にて疎水性酵素溶液を濾過した後、孔径0.2μmのポリプロピレン製濾過膜(HPP020、接触角91°、FST社)を装着して、Vmax試験の条件にて再度フィルター濾過を行った以外は実施例5と同様の操作にて精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例10
フィルターホルダーに、表2に示すセルロースアセテート混合エステル製濾過膜(ミリガードRW06、接触角9°、日本ミリポア社)を装着した以外は実施例5と同様の操作にて酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例11
フィルターホルダーに、表2に示すセルロースアセテート混合エステル製濾過膜(ミリガードRW03、接触角35°、日本ミリポア社)を装着した以外は実施例5と同様の操作にて疎水性酵素溶液を濾過して、精製疎水性酵素溶液を得た。
比較例12
フィルターホルダーに表2に示すセルロースアセテート混合エステル製濾過膜(ミリガードRW06、日本ミリポア社)を装着し、Vmax試験の条件にて疎水性酵素溶液を濾過した後、セルロースアセテート混合エステル製濾過膜(ミリガードRW03、日本ミリポア社)を装着して、Vmax試験の条件にて再度フィルター濾過を行った以外は実施例7と同様の操作にて精製疎水性酵素溶液を得た。
各実施例及び比較例の条件と結果を表2に示す。
Figure 2015122981
表1及び2に示すように、疎水性酵素溶液を、該溶液との接触角が一定以上の濾過膜を通過させることで処理液量が多くなり、濾過能力を低下させることなく、精製疎水性酵素溶液を取得できることが確認された。他方、疎水性酵素溶液との接触角が小さい濾過膜では、膜へのタンパク吸着が少なくても色素が吸着してしまい、処理液量が少なく、濾過処理能力は低かった。

Claims (4)

  1. 疎水性酵素を含有する溶液を、該溶液との接触角が50°以上の濾過膜に通過させる工程を含む、精製疎水性酵素溶液の製造方法。
  2. 疎水性酵素の酵素表面疎水性が13〜23kJ/molである請求項1記載の精製疎水性酵素溶液の製造方法。
  3. 疎水性酵素が疎水性プロテアーゼである請求項1又は2記載の精製疎水性酵素溶液の製造方法。
  4. 疎水性酵素を含有する溶液のタンパク質濃度が40g/L以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の精製疎水性酵素溶液の製造方法。
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