JP5293157B2 - ブタノールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ブタノール含有溶液からブタノールを分離することによるブタノールの製造方法に関する。詳しくは、ブタノール含有溶液中に残存している無機塩、糖、タンパク質類または触媒成分などをナノ濾過膜によって除去し、さらに逆浸透膜を用いて濃縮する工程を含むブタノールの製造方法に関する。
ブタノールは、化学品や医薬品の原料、溶剤、燃料原料として工業的に非常に重要な化合物である。これらのブタノールは、工業的にはアセトアルデヒドからワッカー法よって合成されたり、プロピレンと一酸化炭素、水からレッペ法よって製造されたりすることが周知である他、古くよりアセトンブタノール発酵によって製造されることも知られている。アセトンブタノール発酵による製造では、微生物の栄養源となる基質のコストや生産物の精製コストの高さが問題となり、化学合成に頼るようになっていた。しかしながら、近年原油資源の減少と高騰から、バイオマス由来の製造法への代替が期待されるようになり、アセトンブタノール発酵における製造コストの削減が求められている。
一般にブタノールの精製方法は、溶媒抽出および蒸留が用いられている。溶媒抽出においては、目的物が低級アルコールである場合、水溶性が高いことから、有機相への分配が困難であるため、特殊な抽出溶媒を必要としたり、多段の抽出が必要となったりし、コストの増大が問題となる(特許文献1)。また、蒸留による精製においては、発酵液中のブタノール濃度が低いことから、ブタノールより沸点の低い水を大量に留去する必要があり、効率よく濃縮する方法が求められている。その解決策として、分離膜を用いた発酵アルコールの濃縮法が考案されている。特許文献2には、シリコンゴム膜を用いて浸透気化分離法によりアルコールを濃縮する方法が開示されている。しかし、この方法では、精製した発酵液を発酵槽から取り出した後に、浸透気化装置内の特定の条件で処理する、いわゆる回分式濾過濃縮であり、装置構成上合理的ではない。
回分式に代わる連続式のアルコール濃縮方法については、例えば、特許文献3にシリコンゴムコーティングしたシリカライト膜を用いたものが開示されている。シリカライト膜を発酵槽内に導入して濃縮操作を行った場合、発酵槽中に副成するコハク酸やリンゴ酸などの有機酸によるファウリングが経時的に生じる。シリコンゴムをシリカライト膜の表面にコーティングして膜表面を疎水性にすることにより、このファウリングの抑制を図っているのである。しかしながら、シリコンゴム表面にもファウリング物質が経時的に蓄積されるので、分離膜の性能が経時的に低下する恐れがある。
また、発酵培養液からアルコールを蒸留する場合には、培養液中に残存する糖類やアミノ酸の他、有機酸などの副代謝産物などを加熱することで副生成物が発生し、蒸留留分中に不純物として混入することが問題となる。そのため、培養液の精製も重要な課題である。アルコールを精製する方法としては、蒸留と併用して、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過またはイオン交換を用いる1,3−プロパンジオールの製造方法(特許文献4)や逆浸透膜またはナノ濾過膜を用いたジオールの分離方法(特許文献5)が開示されている。しかしながら、これらの先行技術ではナノ濾過膜の素材による透過選択性やブタノールの精製に対する影響については開示されていない。
特表2007−525508号公報 特開昭57−136905号公報 特開2003−135090号公報 特表2007−502325号公報 特表2006−526061号公報
本発明は、上述したような課題、即ち、ブタノールを精製する場合において、ブタノールを従来法よりも高純度・低コストで分離・回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ブタノール含有溶液を、ポリアミドを含む機能層を有するナノ濾過膜を用いて濾過することで、高純度のブタノールが得られ、蒸留コストの削減に効果的であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)から構成される。
(1)ブタノール含有溶液をナノ濾過膜に通じて濾過し、透過側からブタノール含有溶液を回収する工程A、および該工程Aより得られたブタノール含有溶液を逆浸透膜に通じてブタノール濃度を高める工程Bを含む、ブタノールの製造方法。
(2)前記ナノ濾過膜に通じて濾過するブタノール含有溶液が、微生物発酵によって得られる培養液である(1)に記載のブタノールの製造方法。
(3)前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミドを含む、(1)または(2)に記載のブタノールの製造方法。
(4)前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式1で示される構成成分を含有することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のブタノールの製造方法。
Figure 0005293157
(式中、Rは−Hまたは−CH、nは0から3までの整数を表す。)。
(5)前記工程Bから回収された濃縮液を、さらに1Pa以上大気圧以下の圧力下において、25℃以上200℃以下で蒸留する工程Cに供する、(1)から(4)のいずれかに記載のブタノールの製造方法。
本発明によって、ブタノールを含む化学合成反応液または発酵培養液中に存在する金属触媒または無機塩、糖類を簡単な操作により除去し、蒸留収率の向上とコスト削減ができるため、ブタノールを高純度かつ低コストに製造することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のブタノール製造方法は、ブタノール含有溶液(以下、ブタノール含有溶液とも言う。)よりブタノールを分離することによるブタノールの製造方法であって、該ブタノール含有溶液をナノ濾過膜に通じて、金属触媒または無機塩・糖類などを除去し、ブタノール含有水溶液を得る工程、さらに該工程で得られたブタノール含有水溶液を逆浸透膜に通じて濃縮し、蒸留する工程を含む、ブタノールの製造方法に関する。
本発明におけるブタノールとは水酸基を1つ有する炭素数4の化合物の総称であり、具体例として、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノールまたは2−メチル2−プロパノールが挙げられる。
本発明に用いられるブタノール含有溶液の製造方法としては、当業者に公知の方法であれば特に制限はなく、化学合成法を用いる場合は上述したように、アセトアルデヒドからワッカー法よって合成する方法やプロピレンと一酸化炭素、水からレッペ法によって合成する方法などがある。また、発酵培養では、Clostididium butylicumによる嫌気培養によって生産される。本発明に用いられるブタノール含有溶液の好ましい製造方法は微生物の発酵培養法であり、その場合、ブタノールを含有する発酵培養液そのものをナノ濾過膜に供するブタノール含有溶液として使用することができる。
本発明で用いるナノ濾過膜とは、ナノフィルトレーション膜、NF膜とも呼ばれるも
のであり、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される膜である。数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。
また、「ナノ濾過膜に通じる」とは、ブタノール含有溶液を、ナノ濾過膜に通じて濾過し、ブタノール以外の不純物を非透過液側に除去し、透過液側からブタノール含有溶液を回収することを意味する。
ナノ濾過膜の素材には一般的に、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材が知られているが、本発明においては、その精製効果が高いことから、ポリアミドを機能層に持つナノ濾過膜が好ましく使用される。機能層にポリアミドを含んでいれば、その他の複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載の、ポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノ濾過膜を構成させた複合膜を用いることができる。
本発明で好ましく使用されるポリアミド機能層を有するナノ濾過膜は、高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備えた複合膜であることが好ましい。さらに操作圧力に対する耐久性と、高い透水性、阻止性能を維持できるためには、ポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが好ましい。ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜において、ポリアミドを構成する単量体の好ましいカルボン酸成分としては、例えば、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの芳香族カルボン酸が挙げられるが、製膜溶媒に対する溶解性を考慮すると、トリメシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの混合物がより好ましい。
前記ポリアミドを構成する単量体の好ましいアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、メチレンビスジアニリン、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、ジアニシジン、3,3’,4−トリアミノビフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルエーテル、3,3’−ジオキシベンジジン、1,8−ナフタレンジアミン、m(p)−モノメチルフェニレンジアミン、3,3’−モノメチルアミノ−4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、4,N,N’−(4−アミノベンゾイル)−p(m)−フェニレンジアミン−2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾイミダゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾオキサゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾチアゾール)等の芳香環を有する一級ジアミン、ピペラジン、ピペリジンまたはこれらの誘導体等の二級ジアミンが挙げられ、中でもピペラジンまたはピペリジンを単量体として含む架橋ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜は耐圧性、耐久性の他に、耐熱性、耐薬品性を有していることから好ましく用いられる。より好ましくは前記架橋ピペラジンポリアミドまたは架橋ピペリジンポリアミドを主成分とするナノ濾過膜である。ピペラジンポリアミドを含有するポリアミドを機能層とするナノ濾過膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載のものが挙げられ、具体例としては、東レ株式会社製の架橋ピペラジンポリアミド系ナノ濾過膜のUTC60が挙げられる。
ナノ濾過膜は一般にスパイラル型の膜エレメントとして使用されるが、本発明で用いるナノ濾過膜も、スパイラル型の膜エレメントとして使用されることが好ましく採用できる。好ましいナノ濾過膜の具体例としては、例えば、架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ前記化学式で示される構成成分を含有するポリアミドを機能層とする、東レ株式会社製のUTC60を用いた同社製ナノフィルターモジュールSU−210、SU−220、SU−600、SU−610も使用することができる。また、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜のNF−45、NF−90、NF−200、NF−400、あるいはポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜のNF99、NF97、NF99HFなどが挙げられる。
本発明において、ブタノール含有溶液のナノ濾過膜による濾過は、圧力をかけて行ってもよい。その濾過圧は、0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、0.1MPa以上8MPa以下の範囲で好ましく用いられるが、0.5MPa以上7MPa以下で用いれば、膜透過流束が高いことから、ブタノールを効率的に透過させることができ、膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことからより好ましく、1MPa以上6MPa以下で用いることが特に好ましい。
本発明において、ブタノール含有溶液のナノ濾過膜による濾過は、非透過液を再び原水に戻し、繰り返し濾過することでブタノールの回収率を向上させることができる。ブタノールの回収率は、ナノ濾過前のブタノール総量およびナノ濾過膜透過ブタノール総量を測定することで、式1によって算出することができる。
ブタノール回収率(%)=(ナノ濾過膜透過ブタノール総量/ナノ濾過前のブタノール総量)×100・・・(式1)。
本発明で用いるナノ濾過膜の膜分離性能としては、温度25℃、pH6.5に調整した塩化ナトリウム水溶液(500mg/L)を0.75MPaの濾過圧で評価したとき塩除去率が45%以上のものが好ましく用いられる。ここでいう塩除去率は前記塩化ナトリウム水溶液の透過液塩濃度を測定することにより、式2によって算出することができる。
塩除去率=100×{1−(透過液中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}・・・(式2)。
また、ナノ濾過膜の透過性能としては、0.3MPaの濾過圧において、塩化ナトリウム水溶液(500mg/L)の膜透過流束(m/(m・日))が0.3以上のものが好ましく用いられる。膜透過流束は透過液量および透過液量を採水した時間および膜面積を測定することで、式3によって算出することができる。
膜透過流束(m/(m・日))=透過液量/(膜面積×採水時間)・・・(式3)。
本発明においてブタノール含有溶液からナノ濾過膜により非透過液側に分離される不純物としては、カルシウム、ナトリウム、硫酸、硝酸、リン酸などの無機物や、グルコース、フルクトース、キシロース、スクロース、ガラクトース、澱粉などの糖類や、タンパク質などが挙げられ、これらの混合物であっても好ましく分離される。
本発明におけるブタノールのナノ濾過膜透過性は、ブタノール透過率を算出することで評価できる。ブタノールの透過率は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーに代表される分析により、原水(ブタノールを含んだ溶液)中に含まれるブタノール濃度(原水ブタノール濃度)および透過液(ブタノール溶液)中に含まれるブタノール濃度(透過液ブタノール濃度)を測定することで、式4によって算出することができる。
ブタノール透過率(%)=(透過液ブタノール濃度/原水ブタノール濃度)×100・・・(式4)。
前記ナノ濾過膜透過液は、その目的物質濃度が低い場合には濃縮されることが好ましい。ナノ濾過膜透過液の濃縮方法としてはエバポレーターに代表される濃縮装置を用いる方法が一般的であり本発明においても適用されうるが、水の熱容量は有機溶媒に比べてはるかに大きいため、濃縮にかかるエネルギーや時間は莫大である。一方、逆浸透膜による濃縮(工程B)はエネルギー・コスト削減という観点でエバポレーターによる濃縮より優れており、本発明において好ましく適用される。
本発明における逆浸透膜とは、被処理水の浸透圧以上の圧力差を駆動力にイオンや低分子量分子を除去する濾過膜であり、例えば酢酸セルロースなどのセルロース系や、多官能アミン化合物と多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を設けた膜などが採用できる。逆浸透膜表面の汚れすなわちファウリングを抑制するために、酸ハライド基と反応する反応性基を少なくとも1個有する化合物の水溶液をポリアミド分離機能層の表面に被覆して、分離機能層表面に残存する酸ハロゲン基と該反応性基との間で共有結合を形成させた主に下水処理用の低ファウリング逆浸透膜なども好ましく採用できる。本発明のナノ濾過膜に通じて濾過する工程で2価のイオンを大部分除去できているため、逆浸透膜面でのスケールの生成もなく安定した膜濃縮が行える。
また、「逆浸透膜に通じる」とは、ナノ濾過膜を透過したブタノール含有溶液を、逆浸透膜に通じて濃縮し、該濃縮液側にブタノールを含んだ溶液を回収することを意味する。
本発明で好ましく使用される逆浸透膜としては、酢酸セルロール系のポリマーを機能層とした複合膜(以下、酢酸セルロース系の逆浸透膜ともいう)またはポリアミドを機能層とした複合膜(以下、ポリアミド系の逆浸透膜ともいう)が挙げられる。ここで、酢酸セルロース系のポリマーとしては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースの有機酸エステルの単独もしくはこれらの混合物並びに混合エステルを用いたものが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族および/または芳香族のジアミンをモノマーとする線状ポリマーまたは架橋ポリマーが挙げられる。膜形態としては、平膜型、スパイラル型、中空糸型など適宜の形態のものが使用できる。
本発明で使用される逆浸透膜の具体例としては、例えば、例えば、東レ(株)製ポリアミド系逆浸透膜モジュールである低圧タイプのSU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720Pの他、逆浸透膜としてUTC70を含む高圧タイプのSU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、同社酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工(株)製NTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製RO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、GE製GE Sepa、Filmtec製BW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040などが挙げられる。
本発明において、ナノ濾過膜透過液の逆浸透膜による濾過は、圧力をかけて行うが、その濾過圧は、1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、1MPa以上8MPa以下の範囲であることが好ましい。また、濾過圧が1MPa以上7MPa以下の範囲であれば、膜透過流束が高いことから、ブタノール溶液を効率的に濃縮することができる。膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことから最も好ましくは、2MPa以上6MPa以下の範囲である。
さらに、本発明においてはナノ濾過膜透過液を蒸留する工程Cに供することで、高純度のブタノールを得ることができる。蒸留工程は、1Pa以上大気圧(常圧、約101kPa)以下の減圧下で行うことが好ましく、100Pa以上15kPa以下の減圧下で行うことがより好ましい。減圧下で行う場合の蒸留温度は、20℃以上200℃以下で行うことが好ましく、50℃以上150℃以下で行うことがより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)ブタノールのナノ膜透過性評価
超純水20Lにn−ブタノール(いずれも和光純薬工業株式会社製)20g添加して25℃30分間攪拌し、10g/Lブタノール溶液を調製した。次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水層1に上記で調製したブタノール水溶液20Lを注入した。図2の符号7に示される90φナノ濾過膜として、架橋ピペラジンポリアミド系ナノ濾過膜“UTC60”(ナノ濾過膜1;東レ株式会社製)、ポリアミド系ナノ濾過膜“NF99”(ナノ濾過膜2;アルファラバル製)、架橋ピペラジンポリアミド系ナノ濾過膜“NF−400”(ナノ濾過膜3;フィルムテック製)、酢酸セルロース系ナノ濾過膜“GEsepa”(ナノ濾過膜4;GE Osmonics製)をそれぞれステンレス(SUS316製)製のセルにセットし、原水温度を25℃、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過液4を回収した。原水槽1、透過液4に含まれる、ブタノール濃度を、ガスクロマトグラフィー:GC−2010(株式会社島津製作所製)により以下の条件で分析し、ブタノールの透過率を算出した。
カラム:TC−1 0.53mmI.D.×15m df=1.5um(GL Science)
移動相:ヘリウムガス(7.9mL/min、50〜100℃:5℃/min)
検出:FID 250℃。
この結果を表1に示す。
Figure 0005293157
表1の結果より、いずれのナノ濾過膜を用いた場合であっても、ブタノールはナノ濾過膜を透過した。また、ブタノール透過率は高く、無機塩や糖からの精製が高効率で行える可能性が示唆された。なお、膜素材によるブタノール透過率の差は小さかったが、架橋ピペラジンポリアミド素材のブタノール透過率が高く、ポリアミドはやや透過率の低下が見られた。
(実施例1〜9)ナノ濾過膜を用いた培養液中からのブタノールの精製
<n−ブタノール発酵>
表2に示す培地2Lを調製し、pH6.5に調整した。これを高圧蒸気滅菌(121℃、15分)して37℃に冷却後、種菌25mLを添加して本培養を行った。尚、種菌としては、グルコース濃度を50g/Lにて調製した表2の培地にて、Clostididium butylicumを37℃、24時間培養したものを用いた。本培養は100rpmで攪拌しながら、37℃で72時間嫌気培養を行った。培養終了後、遠心分離にて菌体を沈殿させ、培養上清をn−ブタノール含有液として回収した。
Figure 0005293157
<ナノ濾過膜によるn−ブタノールの精製>
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた培養上清2Lを注入した。図2の符号7の90φナノ濾過膜として、前記ナノ濾過膜1〜3をステンレス(SUS316製)製のセルにそれぞれセットし、高圧ポンプ3の圧力をそれぞれ1MPa、3MPa、5MPaに調整し、それぞれの圧力における透過液4を回収した。原水槽1、透過液4に含まれる、n−ブタノール濃度を、参考例1と同様の条件でガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。また、糖濃度(グルコース、フルクトース、スクロース)を以下の条件で高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。
カラム:Luna5u NH2 100A(Phenomenex社製)、30℃
移動相:水:アセトニトリル=1:3、0.6mL/min
検出器:RI。
その結果を表3に示す。
Figure 0005293157
表3に示すように、すべてのナノ濾過膜、濾過圧力において、糖類が除去され、n−ブタノール溶液が得られた。また、茶褐色であった培養液から無色透明な溶液が得られたことから、その他の不純物も大部分が除去されたことが推察された。また、(式1)で示したn−ブタノールの回収率を高めるため、透過液1.5Lを回収した後、蒸留水1.5Lを加えて再度、透過液回収する、という操作を3回繰り返したところ、回収率が94%となった。
<逆浸透膜を用いて濃縮した溶液からの蒸留>
上記で得られた清浄なn−ブタノール溶液のうち、実施例2、実施例5、実施例8および実施例11について検討を行った。該溶液4.5Lを図1に示す膜濾過装置の原水槽1に入れた。図2の符号7の90φ逆浸透膜として、ポリアミド系逆浸透膜(UTC−70、東レ株式会社製)をステンレス(SUS316製)製セルに取付け、高圧ポンプ3の圧力を5MPa、原水温度を35℃に調整して膜濾過を行い、逆浸透膜透過水4を4.4L除去した。こうして得られた該濃縮液100mLを117℃にて常圧蒸留した結果を表4に示す。
Figure 0005293157
このことから、本発明により、収率良く高純度のn−ブタノールが低コストで製造可能となることが示された。
(比較例1)ナノ濾過膜による1,3−プロパンジオールの精製
次の通り、1,3−プロパンジオールを含有するモデル培養液をナノ濾過膜で濾過した。
培地は原料糖として優糖精(ムソー(株)社製):60g/L、硫酸アンモニウム:1.5g/Lを含む培地を2.5L調製し、高圧蒸気滅菌(121℃、15分)した。まず、酵母NBRC10505株を試験管で5mlの上記原料糖培地で一晩振とう培養した(前々培養)。前々培養液を新鮮な上記原料糖培地100mlに植菌し500ml容坂口フラスコで24時間振とう培養した(前培養)。この前培養液を上記原料糖培地2Lに添加し、温度調整、pH調整を行いながらジャーファメンターにて培養を行った。ジャーファメンターの運転条件を以下に示す。
反応槽容量(乳酸発酵培地量):2(L)、 温度調整:30(℃)、反応槽通気量:0.2(L/min)、反応槽攪拌速度:400rpm、pH調整:1N 水酸化カルシウムによりpH5に調整。
これを、24時間培養を行ったのち、該培養液を遠心分離して菌体を除去し、上清を回収した。該培養液に1,3−プロパンジオールが10g/Lとなるように添加した。該培養液を上記実施例2と同様にナノ濾過膜処理した。これをさらに、上記実施例2と同様に逆浸透膜を用いて濃縮し、97℃で減圧蒸留(5mmHg)を行った。
その結果、1,3−プロパンジオール蒸留収率は95%、GC純度99.7%であった。このことから、ナノ濾過膜を用いることで高純度の精製が可能であることが示唆された。しかしながら、1,3−プロパンジオールはナノ濾過膜1(UTC60)における膜透過性が26%と低かったため、ブタノールに比べて回収率が低下した。すなわち、1,3−プロパンジオールと実施例2に示したブタノールでは分子量にほぼ差がないにもかかわらず、n−ブタノールの方がナノ濾過膜透過率は高く、ブタノールの方がよりナノ濾過膜精製に適した化合物であることが示された。
本発明で用いたナノ濾過膜および逆浸透膜分離装置の一つの実施の形態を示す概要図である。 本発明で用いたナノ濾過膜および逆浸透膜分離装置の逆浸透膜が装着されたセル断面図の一つの実施の形態を示す概要図である。
符号の説明
1 原水槽
2 ナノ濾過膜または逆浸透膜が装着されたセル
3 高圧ポンプ
4 膜透過液の流れ
5 膜濃縮液の流れ
6 高圧ポンプにより送液された培養液またはナノ濾過膜透過液の流れ
7 ナノ濾過膜または逆浸透膜
8 支持板

Claims (5)

  1. ブタノール含有溶液をナノ濾過膜に通じて濾過し、透過側からブタノール含有溶液を回収する工程A、および該工程Aより得られたブタノール含有溶液を逆浸透膜に通じてブタノール濃度を高める工程Bを含む、ブタノールの製造方法。
  2. 前記ナノ濾過膜に通じて濾過するブタノール含有溶液が、微生物発酵によって得られる培養液である請求項1に記載のブタノールの製造方法。
  3. 前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミドを含む、請求項1または2に記載のブタノールの製造方法。
  4. 前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式1で示される構成成分を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のブタノールの製造方法。
    Figure 0005293157
    (式中、Rは−Hまたは−CH、nは0から3までの整数を表す。)
  5. 前記工程Bから回収された濃縮液を、さらに1Pa以上大気圧以下の圧力下において、25℃以上200℃以下で蒸留する工程Cに供する、請求項1から4のいずれかに記載のブタノールの製造方法。
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