JP2015118863A - 発光素子及びそれを用いた照明装置 - Google Patents

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学 中田
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Abstract

【課題】発光素子において、薄膜導波光として吸収ロスとなる全反射ロスと表面プラズモンロスを抑制することにより光取り出し効率を改善する。【解決手段】発光素子において、第1電極層20、発光層32を含む機能層30、第2電極層40が、この順に積層されてなる積層体を備え、第1電極層20は主成分として金属を含み、第1電極層20の機能層30側の主面20aは複数の凸部20dを有する凹凸面20bであり、主面に垂直な方向から主面を平面視したとき、凹凸面20bの周期成分は分布を構成し、当該分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、有機材料の電界発光現象を利用した発光素子、及びそれを用いた照明装置に関する。
近年、照明装置や表示装置等に用いられる次世代発光デバイスとして、面発光が可能、水銀レス、低温動作が可能、低コスト化が可能、軽量化が可能、フレキシブルな素子作製が可能、などの利点から、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)を発光材料に用いた発光素子が、大きな注目を集めている。
この発光素子として、例えば、特許文献1では、例えば図18に示す構成のものが提案されている。この発光素子は、一方の電極(陰極)201が基板204の表面に積層され、電極201の表面上に電子注入・輸送層205を介して有機発光層203が積層され、有機発光層203上に、ホール注入・輸送層206を介して他方の電極(陽極)202が積層されている。また、この発光素子は、基板204の表面側に封止部材207を備えている。この発光素子では、陽極と陰極との間に電圧が印加されると、有機発光層203に注入されるホールと電子が再結合して有機発光層203において発光を生じる。発光層203で発光した光は、光透過性電極として形成される電極202、透明体で形成される封止部材207を通して上方に出射される。いわゆる、トップエミッション型の発光素子として機能する。
特開2006−331694号公報 特開2004−31350号公報 特許第5141506号公報 特開2003−36969号公報
ところで、近年、照明装置における省電力化の要請に伴い発光素子における発光効率の向上が求められている。これに対し、例えば、特許文献1では、反射電極における反射効率を向上して電極又は基板における全反射率を70%以上として発光素子の光取り出し効率を向上する手法が開示されている。
このような、反射電極における反射効率を向上は発光素子の光取り出し効率を向上のために有効な方法の一つであるものの、省電力化に伴うニーズを十分に満たす発光素子は未だなく、さらなる改善が求められている。
本発明は、上記課題に鑑み、発光素子において、薄膜導波光として吸収ロスとなる全反射ロスと表面プラズモンロスを抑制することにより光取り出し効率を改善することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る発光素子は、第1電極層、発光層を含む機能層、第2電極層が、この順に積層されてなる積層体を備え、前記第1電極層は主成分として金属を含み、前記第1電極層の前記機能層側の主面は複数の凸部を有する凹凸面であり、前記主面に垂直な方向から前記主面を平面視したとき、前記凹凸面の周期成分は分布を構成し、当該分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有することを特徴とする。
上記した本発明の一態様の発光素子は、上記構成により、膜導波光として吸収ロスとなる全反射ロスと表面プラズモンロスを抑制することにより光取り出し効率を改善することができる。
実施の形態1に係る照明装置1の外観図である。 実施の形態1に係る照明装置1の下方側から見たヘッド部4周辺の部分外観図である。 実施の形態1に係る発光素子6の内部構成の概要を示す分解斜視図である。 実施の形態1に係る照明装置1に用いる発光素子6の内部構造を示す概略横断面図である。 実施の形態1に係る照明装置1に用いる発光素子6の封止基板70を除いた状態における概略平面図である。 実施の形態1に係る照明装置1に用いる駆動回路7と発光素子6との接続を示す概略図である。 (a)〜(e)は、実施の形態1に係る照明装置1に用いる発光素子6の製造方法の各工程を示す概略図である。 (a)〜(c)は、実施の形態1に係る照明装置1に用いる発光素子6の製造方法の各工程を示す概略図である。 発光素子における光取り出し効率の評価に用いた回折構造をなす凹凸面を有する反射電極を平面視した写真である。 発光素子における反射電極における凹凸面の周期構造と光取り出し効率との関係を示す実験結果である。 実施の形態の実施例1に係る発光素子6に用いた第1電極層20の上面を平面視したSEM画像である。 実施の形態の実施例2に係る発光素子6に用いた第1電極層20の上面を平面視したSEM画像である。 実施の形態の実施例3、4、5に係る第1電極層20の上面を平面視したSEM画像、(a)は実施例3、(b)は実施例4、(c)は実施例5を示す。 発光素子6の比較例に用いた反射電極上面を平面視したSEM画像である。 発光素子6の実施例及び比較例に用いた反射電極の凹凸面の構造体を2次元フーリエ変換して示した2次元空間周波数分布図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は比較例を示す。 発光素子6の実施例1、2及び比較例に用いた反射電極の凹凸面の構造体を示した空間周期分布図である。 発光素子6の実施例1及び比較例の配光特性を示す測定結果を示す図である。 従来の発光素子の内部構造を示す概略横断面図である。
≪本発明を実施するための形態に到った経緯について≫
発明者らは、発光素子において光取り出し効率をさらに改善するために各種の検討を行った。発光素子の発光効率の改善のために、発光材料の改善、低電圧化、光取り出し効率の向上などが検討されている。そのなかで、特に光取り出し効率の向上は発光効率を大きく改善する余地がある。
これまで、発光素子では、基材ガラスの屈折率が約1.5、透光性導電層(ITO)の屈折率が1.8〜2.0、電子輸送層、発光層、ホール輸送層などの機能層の屈折率が1.5〜1.6程度、及び空気の屈折率が1.0という構成から、発光した光が機能層内、透光性導電層内、ガラス基板内で全反射を繰り返して閉じ込められ、光取り出し効率が、約20%程度まで低下してしまうという問題があった。
こうしたなか、ボトムエミッション型の発光素子の光取り出し効率を改善するために、周期的格子構造による表面プラズモン共鳴を介して、発光効率を向上する技術が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、凹凸の周期格子構造を有する基板上に陽極層、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を順次積層していった積層体を作製し、発光層で発生する光を表面プラズモン共鳴によって増強し、発光効率を向上することが記載されている。
また、同様に発光素子において大面積に回折格子構造を形成する手法として、例えば微粒子の単粒子膜をエッチングマスクとして気相エッチングにより作製する手法が提案されている。(例えば、特許文献3)
しかしながら、特許文献2及び3に記載の手法では、以下の課題がある。
まず、ナノスケールサイズの周期構造では、特異的な波長で強く増強効果が出る。そのため、ナノスケールサイズの周期構造を、ブロードな波長分布を有する白色光を発する発光素子に適用した場合、凹凸による増強効果が波長により異なって発生する。その結果、視野角によって増強される光の波長が異なるという問題が生じる。すなわち、凹凸による増強効果の視野角依存性が大きいという課題がある。
次に、特許文献2では、フォトリソグラフィー法やレーザー加工を用いて基板上に凹凸の格子構造を形成する。しかしながら、この製法は、大面積に周期的格子構造を形成する製法として適さず、工業的な利用面において面積上の制約を受ける。
また、ボトムエミッション素子に空間周期的構造を導入する場合、特許文献3に示すようにエッチングなどで透明ガラスに直接凹凸を付けることが必要となり工業的な利用面において大きな制約となる。さらに、ボトムエミッション素子においては、基板上に形成した凹凸の形状を途中の機能層を介して反射電極まで保持する必要があるため、機能層に用いる材料及びプロセスの設計自由度を狭めることとなる。
一方、トップエミッション型の発光素子の反射電極に凹凸面を導入する構成は、凹凸を反射電極から基板側まで保持する必要がないという点ではメリットがある。例えば、特許文献4では、トップエミッション型の発光素子に凹凸面を導入した構成が提案されている。そして、光散乱部を設けて光取り出し面の入射光を変えることにより外部への光取り出し効率の改善を図ることが記載されている。
しかしながら、特許文献4に示す凹凸面では、凹凸の深さはミクロンオーダーと大きいため、発光素子の特性として電流リークが生じる可能性が高まる。さらに凹凸のピッチもミクロンオーダーと大きいため、表面プラズモン損失を抑制することは困難である。加えて、反射電極に凹凸面を導入する場合、散乱効果を大きくするため凹凸の深さを大きくすると、リークが増加し素子特性が低下するという知見も得られた。
そこで、発明者らは、発光素子の光取り出し効率向上のため、反射電極に凹凸を導入することでプラズモン損失及び全反射ロスを抑制することができる点に着目した。しかしながら、上述のとおり、ブロードな波長(白色)で発光する発光素子の反射電極に周期的構造を導入する場合、特異的な波長でのみ凹凸による効果が発現するため凹凸による効果の視野角依存性が高くなるという課題が生じる。
凹凸による効果の視野角依存性の問題は、凹凸の周期成分により、プラズモン抑制及び全反射ロスの抑制効果が変化することが要因と推察される。また、リークの問題は、凹凸の深さが大きくなると電界集中効果により素子の実効膜厚が小さくなること及び凹凸の導入による電極間距離の短絡可能性が高くなることが要因と推察される。
このような課題に対し、発明者らは、発光素子において、反射電極に空間周期的構造を有さないナノスケールサイズの凹凸面を備えた発光素子を、工業的な利用可能な安価な製造方法にて実現する方法について鋭意検討を行った。そして、反射電極にリーク増加を発現しない範囲の凹凸の深さを持ち、かつ、凹凸面の周期成分に分布をもたせた新たな反射電極の構成を有した実施の形態に係る発光素子及びそれを用いた照明装置に想到したものである。実施の形態に係る発光素子では、表面プラズモン損失及び全反射ロスを抑制することにより、光取り出し効率が高く、ブロードな波長分布を有する白色光に対して凹凸による効果の視野角依存性が小さい発光素子を実現することができる。
以下、実施の形態の一態様に係る発光素子について、図面を参照しながら説明する。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本実施の形態に係る発光素子は、第1電極層、発光層を含む機能層、第2電極層が、この順に積層されてなる積層体を備え、前記第1電極層は主成分として金属を含み、前記第1電極層の前記機能層側の主面は複数の凸部を有する凹凸面であり、前記主面に垂直な方向から前記主面を平面視したとき、前記凹凸面の周期成分は分布を構成し、当該分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有することを特徴とする。係る構成により、膜導波光として吸収ロスとなる全反射ロスと表面プラズモンロスを抑制することにより、従来の発光素子に対して光取り出し効率を改善することができる。
また、別の態様では、複数の凸部及び複数の凹部は、前記第1電極層の前記主面上に不規則に配列されている構成であってもよい。係る構成により、蒸着条件又はスパッタ条件を調整することにより、工業的な利用可能な安価な製造方法にて容易に製造することができる。
また、別の態様では、前記分布における前記ピークの半値幅は50nm以上である構成であってもよい。係る構成により、ブロードな波長分布を有する白色光に対して、凹凸による効果の視野角依存性が小さい発光素子を実現することができる。
また、別の態様では、前記主面の十点平均粗さRzは1μm以下である構成であってもよい。係る構成により、凹凸の深さを小さくして素子の実効膜厚を確保することにより短絡可能性を下げ、電界集中に起因する輝度ムラや寿命低下を防止できる。
また、別の態様では、前記主面を垂直な方向から平面視したとき、前記複数の凸部を構成する各凸部の形状は、各々が他と異なる不定形形状である構成であってもよい。係る構成により、蒸着条件又はスパッタ条件を調整することにより、工業的な利用可能な安価な製造方法にて容易に製造することができる。
また、別の態様では、前記第1電極層は、銀を主成分として含む構成であってもよい。係る構成により、出射光に対して高い反射特性を有し、且つ低抵抗の第1電極層を形成できる。
また、別の態様では、前記第1電極層は、気相法により形成されている構成であってもよい。また、別の態様では、前記第1電極層は陰極であり、前記第2電極層は陽極である構成であってもよい。また、別の態様では、前記第2電極層及び前記機能層は、前記第1電極層の前記凸部に対応する位置が突出している構成であってもよい。また、別の態様では、前記第1電極層は反射電極であり、前記第2電極層は透光性導電層を含み、前記発光層が発した光は前記第2電極層を通して前記積層体の外部に出射される構成であってもよい。また、別の態様では、前記第2電極層は、さらに前記透光性導電層上に開口部を有した状態で存在する前記透光性導電層よりも導電率が高いパターン電極部を含む構成であってもよい。
また、別の形態では、上記した発光素子と、前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を供給する駆動回路とを備えた照明装置であってもよい。
また、別の態様では、さらに、基板と、前記基板上の前記積層体が配された面状領域外に、電気的に離間した第1及び第2端子部とを備え、前記第1電極層は前記第1端子部と、前記第2電極層は前記第2端子部と各々接続されている構成であってもよい。また、別の態様では、前記第1端子部及び前記第2端子部に接続され、前記第1端子部及び前記第2端子部に対し電流を供給する駆動回路とを備えた照明装置であってもよい。
≪実施の形態1≫
実施の形態1に係る照明装置1について、図1〜図8を用いて説明する。
<照明装置1の構成>
図1は、実施の形態1に係る照明装置1の外観図である。照明装置1はデスクライト型であって、ベース部2と、アーム部3と、ヘッド部4と、配線5とを有する。照明装置1においては、光の主出射方向は下方である。
(ベース部2)
ベース部2は照明装置1を机上等に安定して載置する。ベース部2の外装は樹脂の射出成型品で構成される。ベース部2の内部には照明装置1を載置した際の安定性を確保するため、必要十分量の錘が内蔵されている。また、ベース部2には発光素子6(以後、「発光素子6」と略称する)を点灯させるための駆動回路7が内蔵されている。ベース部2の上面には電源投入スイッチSW1が配される。電源投入スイッチSW1は静電容量方式で作動する。ユーザが電源投入スイッチSW1に触れると、発光素子6のオン/オフ操作が行える。ベース部2の後部には、外部より駆動回路7に電力供給するための配線5が接続されている。
(アーム部3)
アーム部3はヘッド部4を支持するとともに、ヘッド部4の位置を調節する。アーム部3はベース部2に立設され、長手方向一端に連結部3a、他端に連結部3bを備える。連結部3aはヘッド部4と連結され、連結部3bはベース部2と連結される。各連結部3a、3bはいずれも一定のトルクで開閉するヒンジ構造を有し、ユーザがヘッド部4を操作すると、これに応じてベース部2、アーム部3、ヘッド部4の間の各角度が変化する。
また、アーム部3の内部には、駆動回路7とヘッド部4内の発光素子6とをそれぞれ電気接続するための配線が内蔵されている。
(ヘッド部4)
図2は、照明装置1の下方側から見たヘッド部4周辺の部分外観図である。ヘッド部4は、図2に示すように、照明装置1の照明部である発光素子6を有する。ヘッド部4では発光素子6の出射面11が外部に露出している。ヘッド部4は、図1に示すように、出射面11を下方に向けた状態でアーム部3によって支持される。
(発光素子6)
1.構成概要
図3は、発光素子6の内部構成の概要を示す分解斜視図である。図4は、発光素子6の内部構造を示す概略図であり、図5は、発光素子6の封止基板70を除いた状態における概略平面図である。ここで、本明細書において発光素子6については、光出射方向を上方向とし、光出射方向と反対方向を下方向とする。
発光素子6は、図3に示すように、基板10上に設けられた面状領域を区画するフレーム部80内に、順に、第1電極層20、発光層を含む機能層30、第2電極層40、封止基板70を積層した状態で備えている。
第1電極層20の第2電極層40側の上面20aには凹凸面20bが形成されている。本実施形態の発光素子6は、第2電極層40側から光を取り出すトップエミッション型の発光素子である。凹凸面20bの態様については後述する。
第2電極層40は、少なくとも、機能層30に接し光透過性を有する透光性導電層39を備えていればよい。これにより、発光素子6は、第2電極層40側から光を取り出すことが可能である。図4に示した例では、第2電極層40は、透光性導電層39の他に、透光性導電層39における機能層30側とは反対側に位置し機能層30からの光取り出し用の開口部41(図5参照)を有するパターン電極部42を備えている。パターン電極部42は、透光性導電層39における機能層30側とは反対側の表面を覆い透光性導電層39よりも導電率が高い線状電極部42aと、透光性導電層39における機能層30側とは反対側の表面を露出させるようにパターン電極部42に形成されている開口部41とを有する。これにより、発光素子は、第2電極層40がパターン電極部42を備えた場合でも、第2電極層40側から光を取り出すことが可能である。
ただし、発光素子6は、透光性導電層39の抵抗による電圧降下が問題にならない場合は、第2電極層40を透光性導電層39のみで構成してもよい。なお、透光性導電層39の抵抗による電圧降下が問題にならない場合としては、例えば、発光素子6の輝度の面内均一性が仕様を満たすような場合などが挙げられる。
透光性導電層39は、平面視において、パターン電極部42が配設されている領域全体に連続して配設されている。なお、発光素子6では、この領域が発光領域50を構成する。
発光素子6は、図5に示すように、基板10の上面の周部にパターン電極部42及び透光性導電層39と電気的に接続された引出配線46を備えている。この引出配線46は、基板10の上面の発光領域50の左右に位置する端子部47と電気的に接続されている。さらに、発光素子6は、第1電極層20に第1引出配線(不図示)を介して電気的に接続された第1端子部(不図示)を備えている。第1引出配線、第1端子部は、基板10の上面側に設けられている。
また、発光素子6は、引出配線46と、機能層30及び第1電極層20との間に介在して、引出配線46と機能層30及び第1電極層20とを電気的に絶縁する絶縁層60を、基板10の上面側外周部に備えている。この絶縁層60は、基板10の上面、及び第1電極層20の側面、上面又は側面及び上面の何れか、機能層30の側面及び電極層40側表面外周部に形成されている。
発光素子6は、基板10の上面側に基板10に対向して配置される透光性を有する封止基板70を備えている。また、基板10の周部と封止基板の周部との間に介在する枠状のフレーム部80を備えた構成としてもよい。
以上により、発光素子6は、図5に示すように、発光可能な発光領域50を有する。
図6は、照明装置1に用いる駆動回路7と発光素子6との接続を示す概略図である。駆動回路7は、第1端子部45、第2端子部47に電気的に接続され、パターン電極部42及び透光性導電層39と第1電極層20との間に直流電流を供給する。駆動回路7を駆動することにより、発光素子6は光を上方に出射することができる。すなわち、発光素子6は、発光領域50からから光を上方に出射するトップエミッション型の発光素子6として機能する。
2.各部構成
以下、発光素子6の各構成要素について詳細に説明する。
[基板10]
基板10は、平面視において、本実施の形態では、例えば矩形形状とした。しかしながら、基板10の平面視形状は、矩形形状に限られず、例えば、矩形形状以外の多角形状、円形状などでもよい。基板10の縦又は横の寸法は、例えば、数十ミリメートルから数十インチ程度で、必要な発光領域50の広さ、用途、製造設備のサイズ等に応じて適宜選択すればよい。
基板10には、ガラス基板を用いている。しかしながら、これに限らず、例えば、プラスチック板や、金属板などを用いてもよい。基板10は、リジッドなものでもよいし、フレキシブルなものでもよい。
ガラス基板を用いる場合、材料として、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを用いることができる。
また、プラスチック板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどを用いることができる。プラスチック板を用いる場合は、プラスチック板の表面にSiON膜、SiN膜などが成膜されたものを用いることで、水分の透過を抑えることが好ましい。
また、金属板の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼などを用いることができる。基板10として金属板や金属箔などの導電性を有するものを用いる場合には、基板10が第1電極層20の一部を構成してもよいし、基板10が第1電極層20を兼ねる構成としてもよい。
また、発光素子は、基板10として、透明なガラス基板、透明なプラスチック板に限らず、機械的強度が高く、低コストで、ガスバリア性、耐薬品性、耐熱性などを有するものを用いることができる。
[第1電極層20]
本実施の形態に係る発光素子6では、第1電極層20が陰極を構成し、第2電極層40が陽極を構成している。この場合、第1電極層20から機能層30へ注入する第1キャリアは電子であり、第2電極層40から機能層30へ注入する第2キャリアは正孔である。第1電極層20である陰極は、機能層30中に第1電荷である電子(第1キャリア)を注入するための電極である。
陰極として機能する第1電極層20の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、第1電極層20の仕事関数とLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いるのが好ましい。
第1電極層20は、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウム、金、銅、クロム、モリブデン、パラジウム、錫など、及びこれらと他の金属との合金、例えばマグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金で構成することができる。また金属や金属酸化物、及びこれらと他の金属との混合物、例えば酸化アルミニウムからなる極薄膜(例えばトンネル注入により電子を流すことが可能な膜厚1nm以下の薄膜)と、アルミニウムからなる薄膜との積層膜として構成することもできる。
第1電極層20は、真空蒸着法等の薄膜プロセスにより作製してもよく、また、スピンコート法、ディッピング法等の湿式プロセスにより作製してもよい。
発光素子6において、第1電極層20は反射電極として機能する。この場合の材料としては、機能層30の出射光に対して高い反射特性を有し、且つ低抵抗の材料であることが望ましい。具体的にはアルミニウムや銀等が望ましい。
第1電極層20は主成分として金属を含み、第1電極層20の機能層30側の主面20a上に配置された複数の凸部20d及び凹部20cからなる凹凸面20bを有する。すなわち、主面は複数の凸部を有する凹凸面である。主面に垂直な方向から主面を平面視したとき、凹凸面20bの周期成分(例えば、複数の凸部20dの周期又は凹部20cの周期)は分布を構成し、この分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有する。また、この分布におけるピークの半値幅は50nm以上である。凹凸面20bの「周期成分が分布を構成」するとは、凹凸面20bの周期成分が、回折格子のように単一の値のみから構成されておらず、複数の異なる周期成分を含むことをさす。
さらに、主面20aの表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは1μm以下である。凹凸面20bは、成膜する金属薄膜の成膜条件を制御することによって作製可能である。第1電極層20における凹凸面20bの構成及び機能については後述する。
なお、第1電極層20が、機能層30中に第2電荷であるホール(第2キャリア)を注入するための電極である陽極を構成する場合、第1電極層20の材料としては、仕事関数の大きい金属を用いることが好ましく、第1電極層20の仕事関数とHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いるのが好ましい。
なお、本実施の形態に係る発光素子6では、第1電極層20の膜厚を80〜200nmに設定してあるが、これらの一例であって、特に限定するものではない。
[機能層30]
(1)積層構成
発光素子6においては、機能層30は、第1電極層20側から順に、発光層32、第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34を有している。ここで、第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34は、それぞれ、ホール輸送層、ホール注入層である。
ここで、機能層30は、少なくとも発光層32を含んでいればよく、発光層32以外の、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層、インターレイヤー、第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34などは適宜設ければよい。
発光層32は、単層構造でも多層構造でもよい。例えば、所望の発光色が白色の場合には、発光層中に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよく、青色正孔輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。
なお、本実施の形態に係る発光素子6では、発光層32の膜厚を60〜200nm、第2キャリア輸送層33の膜厚を5〜30nm、第2キャリア注入層34の膜厚を10〜60nmにそれぞれ設定しているが、これらの数値は一例であって、特に限定するものではない。
(2)材料
A)発光層32
発光層32の材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体など、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したものなどや、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、及びこれらの誘導体、あるいは、1−アリール−2、5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、及びこれらの発光性化合物からなる基を分子の一部分に有する化合物などが挙げられる。また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆる燐光発光材料、例えばイリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体、ユーロピウム錯体などの発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物若しくは高分子も好適に用いることができる。
これらの材料は、必要に応じて、適宜選択して用いることができる。発光層32は、塗布法(例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することが好ましい。ただし、発光層32の成膜方法は、塗布法に限らず、例えば、真空蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって発光層32を成膜してもよい。
B)ホール輸送層
ホール輸送層の材料としては、LUMO(Lowest UnoccupiedMolecular Orbital)準位が小さい低分子材料や高分子材料を用いることができる。例えば、ポリビニルカルバゾール(PVCz)や、ポリピリジン、ポリアニリンなどの側鎖や主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体などの芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、ホール輸送層の材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNB、TFB(Poly[(9,9−dioctylfluorenyl−2,7−diyl)−co−(4,4’−(N−(4−sec−butylphenyl))diphenyl amine)])などを用いることが可能である。
C)ホール注入層
ホール注入層の材料としては、例えば、チオフェン、トリフェニルメタン、ヒドラゾリン、アミールアミン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニルアミンなどを含む有機材料が挙げられる。具体的には、たとえば、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、TPDなどの芳香族アミン誘導体などで、これらの材料を単独で用いてもよいし、2種類以上の材料を組み合わせて用いてもよい。このようなホール注入層は、塗布法(スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することができる。
[第2電極層40]
第2電極層40は、上述のとおり、機能層30に接し且つ光透過性を有する透光性導電層39と、機能層30からの光を取り出す開口部41を有するパターン電極部42とを備えている。
A)透光性導電層39
透光性導電層39の材料としては、例えば、Alなど金属の透光性を有する薄膜や、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)等の透明酸化物、カーボンナノチューブなどを挙げることができる。また、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリカルバゾールなどの導電性高分子材料を用いることができる。また、透光性導電層39の導電性高分子材料としては、導電性を高めるために、例えば、スルホン酸、ルイス酸、プロトン酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属などのドーパントをドーピングしたものを採用してもよい。ここで、透光性導電層39は、抵抗率がより低いほうが好ましく、抵抗率が低いほど、横方向(面内方向)への通電性が向上し、発光層32に流れる電流の面内ばらつきを低減することが可能となり、輝度むらを低減することが可能となる。
なお、本実施の形態に係る発光素子6では、透光性導電層39の膜厚を200〜400nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって、特に限定するものではない。
B)パターン電極部42
B−1)材料
パターン電極部42は、金属の粉末と有機バインダとを含む電極からなる。この種の金属としては、例えば、銀、金、銅などを用いることができる。これにより、発光素子6は、第2電極層40が、導電性透明酸化物により形成された薄膜の場合に比べて、第2電極層40のパターン電極部42の抵抗率及びシート抵抗を小さくすることが可能となり、輝度むらを低減することが可能となる。なお、第2電極層40のパターン電極部42の導電性材料としては、金属の代わりに、合金や、カーボンブラックなどを用いることも可能である。
パターン電極部42は、例えば、金属の粉末に有機バインダ及び有機溶剤を混合させたペースト(印刷インク)を、例えばスクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより印刷して形成することができる。有機バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
B−2)寸法及び形状
パターン電極部42は、所定間隔離間した線状電極部42aと開口部41とから構成される。パターン電極部42は、図5に示すように、線状電極部42a、が格子状(網状)に形成されており、複数(図5に示した例では、6×6=36)の開口部41を有している。ここで、パターン電極部42は各開口部41の各々の平面視形状が矩形形状であり、パターン電極部42における線状電極部42aは格子状に形成されている。
[引出配線、端子部]
発光素子6は、上述のとおり、図5に示すように、基板10の上面の周部にパターン電極部42及び透光性導電層39と電気的に接続された第2引出配線46を備えている。この第2引出配線46は、基板10の上面の発光領域50の左右に位置する第2端子部47と電気的に接続されている。さらに、発光素子6は、第1電極層20に第1引出配線(不図示)を介して電気的に接続された第1端子部(不図示)を備えている。第1引出配線、第1端子部は、基板10の上面側に設けられている。
発光素子6では、第1及び第2引出配線及び第1及び第2端子部の材料は、第2電極層40のパターン電極部42と同じ材料を採用している。しかしながら、特に限定するものではない。同じ材料を用いた場合には、第1及び第2引出配線及び第1及び第2端子部とパターン電極部42とを同時に形成することが可能となる。第1及び第2端子部は、単層構造に限らず、2層以上の積層構造としてもよい。
なお、第1電極層20において機能層30と第2電極40とが積層されていない部分(不図示)を第1端子部としてもよい。また、発光素子は、基板10を金属板や金属箔により形成して、その露出部分を第1端子部としてもよい。第2引出配線46及び第2端子部47は、基板10の上面側に設けられているが、これに限らず、基板10が金属箔により形成されている場合、第2端子部47を後述の絶縁層60及び基板10それぞれの一部とともに基板10の下面側に折り返してもよい。
[封止基板70]
封止基板70はカバー基板として機能する。本実施の形態では、封止基板70として、ガラス基板を用いているが、これに限らず、例えば、プラスチック板などを用いてもよい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを採用することができる。また、プラスチック板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどを採用することができる。なお、基板10が、ガラス基板により構成されている場合には、封止基板70を、基板10と同じ材料のガラス基板により構成することが好ましい。
また、本実施の形態では、封止基板70として、平板状のものを用いているが、これに限らず、基板10との対向面に、基板10上に形成された機能層30、第2電極層40等を含む積層体を収納する収納凹所を形成したものを用い、上記対向面における収納凹所の周部を全周に亘って基板10側と接合するようにしてもよい。この場合は、別部材のフレーム部80を用いる必要がなくなるという利点がある。一方、平板状の封止基板70と枠状のフレーム部80とを別部材により構成している場合には、封止基板70に要求される光学的な物性(光透過率、屈折率など)と、フレーム部80に要求される物性(ガスバリア性など)との両方の要求を各別に満たす材料を採用することが可能になるという利点がある。
[フレーム部80]
本実施の形態に係る発光素子6では、基板10の周部と封止基板70の周部との間に介在する枠状のフレーム部80を備えた構成としている。フレーム部80の材料としては、例えば、ポリイミド、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
フレーム部80と基板10の上面側とを接合する第1接合材料としては、エポキシ樹脂を用いているが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂などを採用してもよい。第1接合材料として用いるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、紫外線硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、第1接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。ここで、フレーム部80は、基板10の上記一表面側に対して、フレーム部80における基板10側との対向面を全周に亘って気密的に接合してある。
また、フレーム部80と封止基板70とを接合する第2接合材料としては、エポキシ樹脂を用いているが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂、フリットガラスなどを採用してもよい。第2接合材料として用いるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、紫外線硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、第2接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。ここで、フレーム部80は、封止基板70に対して、フレーム部80における封止基板70との対向面を全周に亘って気密的に接合してある。
[絶縁層60]
絶縁層60の材料としては、例えば、ポリイミド、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。このような絶縁層60は、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などによって成膜することができる。または、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの光硬化性樹脂に吸湿剤を含有させたものを用いることができる。吸湿剤としては、アルカリ土類金属の酸化物や硫酸塩が好ましい。
絶縁層60は、基板10と第2引出配線46及び第2端子部47との間に介在する部分に設けてある。
<発光素子6の製造方法>
次に、発光素子6の製造方法を図7、図8を用いて説明する。図7(a)〜(e)、図8(a)〜(c)は、発光素子6の製造方法の各工程を示す概略図である。
準備した基板10の一方の面に、例えば、真空蒸着法等の薄膜プロセス又は塗布法等の湿式プロセスに基づき、第1電極層20を形成する(図7(a)(b))。
このとき、蒸着条件を制御することにより第1電極層20の上面に凹凸面20aを形成する。第1電極層20表面に形成する凹凸面20aは、成膜する金属薄膜の成膜条件を制御することによって作製する。
蒸着法等の気相法により凹凸を形成する場合、例えば、蒸着速度、基板温度、基板の種類、基板の表面エネルギー制御、蒸着材料の種類、蒸着時の圧力、蒸着時のガス量、ガス種類によって凹凸の形状を制御することができる。
凹凸形状の制御手法は、基板と蒸着材料の種類により異なり、例えば基板と蒸着材料の表面エネルギー差が大きい場合(基板上での結晶成長が抑制される場合)は、蒸着速度が大きく、基板温度が高くすることにより凹凸面を構成する凸部及び凹部の大きさ(以後、「凹凸サイズ」と略称する)を大きくすることができる。また、基板と蒸着材料の相互作用が比較的小さな場合は、基板温度が高いとき、凹凸サイズが小さくなる。
但し、凹凸サイズは、例えば圧力及び蒸着時のガス流入量など表面エネルギー差以外の要因によって異なり、各条件が凹凸サイズに与える影響はこれらの関係により変化する。また、蒸着時の圧力及び蒸着時のガスによっては、蒸着材料の結晶性を制御することで凹凸サイズを制御することも可能となる。
また、スパッタ法を用いてもスパッタ条件により凹凸の形成を制御することができ、例えば、電源の種類(DC、RF)、ターゲット−サンプル距離、投入電力、成膜時のガス量、ガスの種類(Ar、O2など)、基板温度、基板の種類、成膜時の真空度、基板の表面エネルギー制御、ターゲット材料の種類、スパッタ時の圧力などによって凹凸サイズが変化する。
さらに、第1電極層20の表面に凹凸を形成する方法は、蒸着法やスパッタ法に限らず、その他の方法であってもよい。例えば、第1電極層20表面に形成する凹凸面20aは、EBリソグラフィー、ナノインプリント法、μコンタクトプリントなどのトップダウン手法や、有機材料の自己組織化やシリカ粒子の自己配列やバックリング手法などのボトムアップ手法により基板10上に凹凸を有したテンプレートを作製し、その上に、反射電極を成膜することにより作製してもよい。これにより、第1電極層20表面は、下地のテンプレートの凹凸を保持し、凹凸面を形成することもできる。また、粗化めっきや金属粒子及び金属ワイヤーの凝集構造をテンプレート或いは直接凹凸利用することにより、凹凸形状を有する構造を作製してもよい。
次に、第1電極層20上に、塗布法(例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など)のような湿式プロセスに基づきインクを塗布し溶媒を乾燥させて発光層32を形成する。さらに、同様な製法にて第2キャリア輸送層33(ホール輸送層)、第2キャリア注入層34(ホール注入層)を形成する(図7(c))。
次に、基板10の上面の周縁付近に、第1電極層20、発光層32、ホール輸送層33、ホール注入層34の外周と接触するように絶縁層60を、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などに基づきインクを塗布し溶媒を乾燥させて形成する(図7(d))。
次に、ホール注入層34上に、塗布法に基づきインクを塗布し溶媒を乾燥させて透光性導電層39を形成する(図7(e))。
次に、透光性導電層39上に、例えば、塗布法に基づきインクを塗布し溶媒を乾燥させて格子状のパターン電極部42を形成する(図8(a))。
次に、基板10の上面の左方周縁に、パターン電極部42及び透光性導電層39と接触するように第1引出配線46を、例えば、塗布法に基づきインクを塗布し溶媒を乾燥させて形成する。併せて、基板10の上面の周縁に第2引出配線46と連続して第2端子部47を形成する。(図8(b))。
次に、基板10の周部に枠状のフレーム部80を形成する。フレーム部80の材料は、例えば、ポリイミド、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂などを用い、エポキシ樹脂等からなる接合材料を用いてフレーム部80と基板10の上面とを接合する。さらに、ガラス基板又はプラスチック板などを用いた封止基板70を、エポキシ樹脂等からなる接合材料を用いてフレーム部80の上面と接合し、基板10を覆う封止基板70を配設する図8(c))。
以上の工程により、発光素子6を完成する。
<照明装置1の基本動作>
ユーザが電源投入スイッチSW1を操作して照明装置1を駆動させる。駆動回路7は、配線5を介して外部より直流電力を発光素子6における発光領域に供給する。具体的には、上述のとおり、駆動回路7の出力は、発光素子6の第1端子部45及び第2端子部47と各々電気的に接続されている。そのため、駆動回路7が駆動されると、発光素子6の第2電極層40のパターン電極部42及び透光性導電層39から第1電極層20に至る経路に直流電流が供給される。
このときの発光素子6への印加電圧は、例えば5Vである。陰極である第1電極層20に供給された電子は発光領域50内に存する発光層32に送られる。陽極である第2電極層40に供給されたホールは第2キャリア注入層34、第2キャリア輸送層33を介して選択発光領域内に存する発光層32に送られる。電子とホールとが発光層32で再結合することにより選択発光領域において発光が生じる。
発光層32から上方に出射された光は透光性の第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34、第2電極層40を介して発光領域50内に存する封止基板70に入射する。一方、発光層32から下方に出射された光は発光領域50内に存する第1電極層20の上面20aにおいて上方に反射する。各光は封止基板70中の光散乱粒子によって様々な方向に散乱され、均一な面発光となって発光素子6から出射される。これにより、発光素子6は、発光領域50から光を上方に出射するトップエミッション型の発光素子として機能する。
<凹凸面の周期成分と光取り出し効率との関係についての評価>
第1電極層20の凹凸面の周期成分が光取出し効率に与える影響を見るため、第1電極層20の表面に回折格子を形成した供試サンプルを作成し評価を行った。その結果について以下説明する。図9は、光取り出し効率の評価に用いた周期的な回折格子を有する反射電極の供試サンプルを平面視した写真である。図9に示す供試サンプルは、蒸着により形成したアルミの表面に周期約1000nmの一定間隔を隔てて配置された複数の凹部がエッチングにより形成された周期凹凸を有する構造を有する。図9に示す図中黒く見える部分が凹部であり、凹部がxy方向に等間隔に周期的に配置された回折格子を構成している。凹部の深さは約100nmである。
この凹部の周期を異ならせた供試サンプルを、発光素子6における第1電極層20の代わりに反射電極として用いた実験用の発光素子を作成し光取り出し効率を測定した。図10は、発光素子の反射電極における凹凸面の周期と光取り出し効率との関係を示す実験結果である。図10における縦軸は、周期的凹凸面を有する反射電極を用いた発光素子からの光取り出し効率の、凹部を有さない比較例に係る反射電極を用いた発光素子からの光取り出し効率に対する比率(光取り出し効率比)をあらわす。図10に示すように、光取り出し効率比は、凹凸面の周期が300nmを超え5000nm未満の範囲において、凹部を有さない比較例を上回る結果となり、600nm以上1000nm以下の範囲にピークを有する。これによると、発光素子6における第1電極層20の代わりに反射電極における凹凸面の周期が300nm〜5000nmの範囲で光取出し効率比が向上することがわかる。その理由は、以下のように考察できる。
すなわち、励起子のエネルギーと金属表面の自由電子が結合する表面プラズモンポラリトンとなり、伝搬中に熱失活することで、表面プラズモン損失となる。これに対し、伝搬中の表面プラズモンポラリトンを熱失活より前に凹凸と干渉させることにより、表面プラズモンを伝播光として再輻射することができる。そのために、プラズモンの減衰よりも小さな周期である5000nm以下の範囲で反射電極に構造体を形成することが有効となる。これにより、表面プラズモンロスが抑制でき、光取出し効率比が向上するものと考えられる。
一方、凹凸面の周期が300nm以下において光取出し効率比が低下する理由は、モスアイ効果により反射電極の反射率が低くなるためと考えられる(特開2008−203812号公報等参照のこと)。他方、入射される光の波長に対して相対的に大きな周期では回折角が小さくなり、全反射ロス抑制の効果が小さくなるものと考えられる。
<凹凸の深さと電流リークの関係>
発光素子6はナノスケールの膜厚で作製される。そのため、発光素子6の反射電極である第1電極層20にミクロンオーダーの凹凸を導入するとリークが増加する。また、凹凸の深さが500nm以上となる場合、プラズモンが局在化するためプラズモン損失が増加する。また、電界分布が不均一となり電界集中に起因する輝度ムラにより寿命が短くなる。そのため凹凸の深さは1000nm以下である必要がある。
<評価試験>
本実施の形態に係る発光素子6を用いて評価を行った。その結果について以下説明する。
(発光素子6に係る実施例の製造方法)
[実施例1]
実施の形態に係る発光素子6の実施例1として、図1に示した構成の発光素子6を製造した。この実施例1の発光素子の製造条件は、以下の通りである。
製造にあたっては、まず、図7(a)に示すように、基板10として厚みが0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製の「No.1737」)を用意した。
次に、図7(b)に示すように、基板10の一表面上に、真空蒸着法により、膜厚が100nmのアルミニウム膜からなる第1電極層20としての陰極を形成する第1工程を行った。ガラス基板表面は、Hexamethyldisilazane(Sigma−Aldrich製)による表面処理を行うことで表面エネルギーを制御しており、さらに蒸着時の蒸着条件を変更することで、図7(b)に示すように、凹凸面20aの形状を制御している。基板温度は室温であり、蒸着速度は、0.2nm/secであり、基板は回転することで膜厚の面内均一性を確保した。本手法により作製した凹凸面を構成する凹凸面20bの周期成分はは400nmにピークを有する構造となった。
第1工程の後には、図7(c)に示すように、機能層30を形成する第2工程を行った。第2工程では、発光層32、第2キャリア輸送層33であるホール輸送層、第2キャリア注入層34であるホール注入層を順次形成した。
発光層32の形成にあたっては、赤色高分子材料(アメリカンダイソース社製の「Light Emitting polymer ATS111RE」)をTHF溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を、第1電極層20上に膜厚が約200nmになるようにスピンコーターで塗布し、100℃で10分間の焼成を行うことによって発光層32を得た。なお、発光層32の屈折率は、約1.8である。
第2キャリア輸送層33であるホール輸送層の形成にあたっては、まず、TFB(アメリカンダイソース社製の「Hole Transport Polymer ADS259BE」)をTHF溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を発光層32上に膜厚が約12nmになるようにスピンコーターで塗布してTFB被膜を作製し、このTFB被膜を200℃で10分間の焼成を行うことによって、ホール輸送層を得た。なお、ホール輸送層の屈折率は、約1.8である。
第2キャリア注入層34であるホール注入層の形成にあたっては、ホール輸送層上にPEDOT−PSS(HERAEUS社製の「CLEVIOUS P VP AI4083」、PEDOT:PSS=1:6)とイソプロピルアルコールを1:1で混合した溶液をPEDOT−PSSの膜厚が約100nmになるようにスピンコーターで塗布し、150℃で10分間の焼成を行うことにより、第2キャリア注入層34としてのホール注入層を得た。なお、ホール注入層の屈折率は、約1.5とした。
第2工程の後には、図7(d)に示すように、絶縁層60を形成する第3工程を行った。この第4工程では、スクリーン版をマスクとして、イミド系樹脂(OPTMATE製の「HRI1783」で、屈折率が、1.78、濃度が18%)を塗布してから、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することで、絶縁層60を成膜した。
第3工程の後には、図7(e)に示すように、導電性高分子層からなる透光性導電39を形成する第4工程を行った。この第4工程では、高導電タイプのPEDOT−PSS(HERAEUS社製の「CLEVIOUS SHT」)をスクリーン印刷法により塗布してから、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することで、透光性導電39を得た。なお、透光性導電39の屈折率は、約1.43である。
第4工程の後には、図8(a)に示すように、パターン電極部42を形成する第5工程を行った。この第5工程では、線幅が50μm、スペース幅が500μmのスクリーン版をマスクとしてAgペーストを塗布してから、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することで、パターン電極部42を形成した。この第5工程では、絶縁層60とパターン電極部42とが互いの厚み方向において重なるようにアライメントを行ってパターン電極部42を形成した。なお、第5工程で用いるスクリーン版には、第1引出配線、第1端子部、第2引出配線46及び第2端子部47それぞれを形成するための開孔部が形成されている。そして、図8(b)に示すように、本実施例では、第5工程において、パターン電極部42だけでなく、第1引出配線、第1端子部、第2引出配線46及び第2端子部47も形成した。なお、実施例1の発光素子では、透光性導電39とパターン電極部42とからなる第2電極層40が陽極を構成している。
実施例1の発光素子の製造にあたっては、第5工程までが終了した後に、第6工程を行った。第6工程では、まず、基板10を露点−80℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックス内へ大気に暴露することなく搬送した。一方、封止基板70とフレーム部80とを一体に備えた無アルカリガラス製の封止キャップのフレーム部80に紫外線硬化型のエポキシ樹脂製のシール剤を塗布したものを用意する。そして、グローブボックス内で、封止キャップと基板10とで機能層30が形成された素子の部分を囲むように封止キャップを基板10にシール剤で張り合わせることによって、発光素子を得た(図8(c))。
[実施例2]
実施例2は、実施例1とは第1電極層20(陰極)の構成が異なる。具体的には、図7(b)に示す第1工程において、基板の表面エネルギーを制御するため、ガラス基板上にスパッタ法によりITOを150nm作製した。ITO成膜後の基板に対し、次の条件でAlを蒸着した。基板温度は室温であり、蒸着速度は、0.1nm/secであり、基板は回転することで膜厚の面内均一性を確保した。本手法により作製した凹凸面の周期成分は500nmにピークを有する構造となった。
[実施例3]
実施例3は、実施例1と同様のガラス基板において、スパッタ成膜による凹凸面形成の実施例を示す。図7(b)に示す第1工程において、電源をDC、投入パワーを100W、ターゲット−サンプル距離を100mm固定にて100nm成膜したAlを作製した。その他のスパッタ条件は以下となる。
バックグラウンド10e−5Pa台
スパッタ圧力0.5Pa
スパッタガスAr99.99%
流量12.0SCCM
ターゲットAl99.999%
基板Si(100)
基板温度(水冷:20C程度)
[実施例4]
実施例4は、第1工程において、投入パワーを100Wから300Wに変化する以外は実施例3と同じ製造条件で製造した。、
[実施例5]
実施例5は、第1工程において、電源をDCからRFに変化させる以外は実施例4と同じ製造条件で製造した。
[比較例]
比較例は、実施例1と反射電極(陰極)の構成が異なる。具体的には、従来技術の蒸着条件で陰極を形成した。蒸着速度は0.01nm/sec、基板温度は室温、蒸着時の真空度は10-4以下で蒸着を実施した。
(各実施例における第1電極上面のSEM観察)
実施例1から5及び比較例それぞれにおける第1電極層20上面の凹凸面20aの状態を評価した。下記に示すような結果が得られた。
図11及び図12は、実施例1及び2に係る発光素子6に用いた第1電極層20の上面を平面視したSEM画像である。図13は、実施例3、4、5に係る第1電極層20の上面を平面視したSEM画像、(a)は実施例3、(b)は実施例4、(c)は実施例5を示す。図14は、比較例に係る発光素子に用いた反射電極上面を平面視したSEM画像である。
図11に示すように、実施例1では、の第1電極層20の上面に概ね数百nmオーダーの周期を有して不規則に配置された複数の凸部及び複数の凹部からなる凹凸面20bが形成されていることを確認できた。本手法により作製した凹凸面20aのサイズは400nmにピークを有する構造となった。詳細は後述する。
また、ITO上にアルミを蒸着した実施例2では、図12に示すように、実施例1とほぼ同様に不規則に配置された複数の凸部及び複数の凹部からなる凹凸面20bが形成されていることを確認できた。これに対し、比較例では、図14に示すように、凹凸面の周期成分(例えば、凸部又は凹部の周期)は概ね300nm以下の粒状の凹凸が形成されていることを確認できた。
また、スパッタ成膜により作製した実施例3、4、5では、図13(a)、(b)、(c)に示すように、スパッタ条件により周期を制御できることを確認できた。
(各実施例における凹凸面のフーリエ変換による空間周波数分布について)
図15は、発光素子6の実施例及び比較例に用いた反射電極の凹凸面をフーリエ変換して示した空間周波数分布図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は比較例を示す。具体的には、図15(a)、(b)に示すように、実施例1及び2では、凹凸面の空間周波数は2次元平面内において、概ね300nmから500nmの周期分布に対応する空間周波数に分布している。また、凹凸面の周波数は、実施例1及び2ともに、2次元平面内においては方向性を有さず原点から見て全ての方向に同程度の分布を形成している。これに対し、比較例では空間周波数の分布はプロットされず、少なくとも400nm〜5000nmの周期に対応する空間周波数にピークを有さないことが確認できる。比較例では凹凸面の各凹凸の面方向の大きさが測定装置の解像度以下となり、空間周波数分布図の範囲外にプロットされる(不図示)ことに基づく。
(各実施例における構造体の周期分布)
次に、実施例1、2及び比較例の凹凸面の周期分布を示す。ここで、凹凸面の周期分布とは、凹凸面のフーリエ変換により作成した空間周波数分布において、300nm〜5000nmの周期分布を最大値で規格化して示したものをさす。
比較例では300nm〜5000nmの範囲でピークを有さないが、実施例1、2では300nm〜5000nmの範囲でピークを有することが確認できた。図16は、発光素子6の実施例1、2及び比較例に用いた反射電極の凹凸面の周期を示した周期分布図である。図16に示すように、実施例1では、約400nmに対応する周期成分のピークを有し、実施例2では、約500nmに周期成分のピークを有した。また、ピークの約50%の値を示す分布の幅の半分をピークの半値幅とすると。実施例1及び2では、半値幅は約400nm以上であった。これに対し、比較例では、300nmから5000nmの範囲には、周期分布は確認されていない。上述のとおり、比較例では凹凸面の各凹凸の面方向のサイズが小さく周期成分が図16の範囲外にプロットされる(不図示)ことに基づく。
これにより、実施例1、2に係る発光素子では、以下のことが確認された。すなわち、第1電極層20の機能層30側の主面上に配置された複数の凸部20d及び複数の凹部20cを有し、主面20aを垂直な方向から平面視したとき、凹凸面の周期成分は分布を構成し、この分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有している。また、このピークの半値幅は400nm以上である。
(各実施例における光取り出し効率比について)
実施例1、2及び比較例1それぞれの発光素子について、光取り出し効率を測定したところ、下記の表1に示すような結果が得られた。
表1において、「光取り出し効率比」とは、比較例の発光素子の光取り出し効率を1.0としたときの実施例1及び2の発光素子の光取り出し効率を相対値であらわしたものである。
光取り出し効率の測定にあたっては、実施例1、2及び比較例のそれぞれの発光素子の第2端子部47と第1端子部45との間に、DC電源(ケースレイ社製の2400)から電流密度が10mA/cm2の定電流を流し、半球レンズから出射される全放射束を積分球により計測し、その計測結果に基づいて光取り出し効率を求めた。また、光取出し効率の測定にあたっては、実施例1、2及び比較例それぞれの発光素子の第2端子部47と第1端子部45との間に、DC電源(ケースレイ社製の2400)から電流密度が10mA/cm2の定電流を流し、0°〜80°の角度方位での発光輝度を輝度計(トプコン社製のSR−3)で測定することで算出した。
表1に示すように、実施例1及び2では、各々1.4及び1.3倍と高い光取り出し効率を有していることが確認された。これにより、実施例1及び2の発光素子では、比較例の発光素子に比べて、光取り出し効率が向上していることが分かる。そして、その理由は以下のように推定される。
すなわち、第1電極層20(陰極)界面で束縛された表面プラズモンエネルギーは、その分散曲線が伝搬光の分散曲線と交差しないことから、平坦な陰極においては伝搬光に変換されることはない。しかし、凹凸面20bに周期構造があると、表面プラズモンポラリトンの分散曲線と伝搬光が交差することになるため、表面プラズモンエネルギーが伝搬光として輻射される。実施の形態に係る発光素子6に用いた第1電極層20の凹凸面20bの構造は300nm〜5000nmに周期成分を有しているため、表面プラズモンエネルギーを伝搬光に変換することができ、表面プラズモンエネルギーに対応した角度で輻射されることで、光取り出し効率が向上したと考えられる。
また、発光素子6では、第1電極20の主面20aに、凹凸面の周期成分にナノスケールサイズの分布を持たせたことにより、特定の視野角に出射される特定の波長の反射光において生じる減衰を防止しつつ、全体として全反射による増幅の効果が得られ光取り出し効率が向上したと考えられる。
(各実施例における視野角依存性について)
図17は、発光素子6の実施例及び比較例の配光特性を示す測定結果を示す図であり、□(A)は実施例1、破線(B)は均等拡散配向の場合、○は回折構造導入時の配向を示す。図17に示すように、実施例1では、比較例において±45°付近に生じていた配光のピークが解消し、ほぼ均等拡散配光に近い配光特性を実現できている。実施例1では、凹凸面の周期に分布を持たせたことにより、上述のとおり、回折構造導入時の配向に対し視野角依存性が大きく改善した。
これは、以下の理由に基づくと考えられる。すなわち、凹凸構造導入による視野角依存性の悪化は、ナノスケールサイズの規則的な周期格子構造を用いた従来の発光素子において、特定の角度に出射される特定波長の反射光が増幅又は減衰されることにより生じていた。発光素子6では、上述のとおり、第1電極20の主面20aに、凹凸面の周期に所定の分布を持たせたことにより、特定の角度において特定波長の反射光に特異的な増幅又は減衰が生じることを抑制することにより視野角依存性が改善したものと考えられる。
本実施の形態では、上述のとおり、凹凸面の周期成分のピークの半値幅が約400nmであった。しかしながら、回折格子による規則的な周期を排除して視野角依存性を解消するためには、凹凸面の周期に分布における半値幅は約50nm以上であればよい。この範囲であれば特定波長あるいは特定角度における特異的な増幅又は減衰を抑制できるため、回折格子の規則性に起因する視野角角度依存性が減少する。
<その他の変形例>
以上、実施の形態に係る発光素子及び照明装置について説明したが、例示した発光素子及び照明装置を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施の形態で示した例に限られないことは勿論である。
(1)実施の形態に係る発光素子では、機能層30は、第1電極層20側から順に、発光層32、第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34を有し、第2キャリア輸送層33、第2キャリア注入層34は、それぞれ、ホール輸送層、ホール注入層とする構成としている。
しかしながら、実施の形態に係る発光素子における機能層30は、上記した例に限らず、例えば、第1電極層20と発光層32との間に、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層を設けた構成としてもよい。第1電極層20が陰極を構成し、第2電極層40が陽極を構成している本実施の形態の場合には、第1キャリア注入層は、電子注入層であり、第1キャリア輸送層は、電子輸送層である。
(2)上記各実施の形態1では、照明装置をデスクライト型としたが、当然ながら本発明の照明装置はこれに限定されず、他の形式としてもよい。例えばダウンライト型や電球型のいずれかとすることができる。
(3)各実施の形態及び各変形例は、構造上矛盾しない範囲において、このうちのいずれかと互いに組み合わせてもよい。
(4)上記実施形態で説明した発光素子は、例えば、照明用の発光素子として好適に用いることができるが、照明用に限らず、他の用途に用いることも可能である。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上述の実施形態において説明した各図は、模式的なものであり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際のものの寸法比を反映しているとは限らない。発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
さらに、発光素子、照明装置においては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について当該技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本発明の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。尚、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
本発明の発光素子及びそれを用いた照明装置は、例えば屋内外で使用される照明装置や、公共設備で使用されるデジタルサイネージ、広告塔等に幅広く利用することができる。特に、光源として複数の異なる発光領域を選択的に発光させる用途に有用である。
1 照明装置
2 ベース部
3 アーム部
4 ヘッド部
5 配線
6 発光素子
7 駆動回路
10 基板
20 第1電極層
20a 主面
20b 凹凸面
20c 凹部
20d 凸部
30 機能層
32 発光層
33 第2キャリア輸送層
34 第2キャリア注入層
39 透光性導電層
40 第2電極層
41 開口部
42 パターン電極部
42a 線状電極部
45 第1端子部
46 第2引出配線
47 第2端子部
50 発光領域
60 絶縁層
70 封止基板
80 フレーム部

Claims (11)

  1. 第1電極層、発光層を含む機能層、第2電極層が、この順に積層されてなる積層体を備え、
    前記第1電極層は主成分として金属を含み、前記第1電極層の前記機能層側の主面は複数の凸部を有する凹凸面であり、
    前記主面に垂直な方向から前記主面を平面視したとき、前記凹凸面の周期成分は分布を構成し、当該分布は300nm以上5000nm以下の範囲にピークを有する
    発光素子。
  2. 複数の凸部は、前記第1電極層の前記主面上に不規則に配列されている
    請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記分布における前記ピークの半値幅は50nm以上である
    請求項1に記載の発光素子。
  4. 前記主面の十点平均粗さRzは1μm以下である
    請求項1に記載の発光素子。
  5. 前記主面を垂直な方向から平面視したとき、前記複数の凸部を構成する各凸部の形状は、各々が他と異なる不定形形状である
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  6. 前記第1電極層は、銀を主成分として含む
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  7. 前記第1電極層は、気相法により形成されている
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  8. 前記第1電極層は陰極であり、前記第2電極層は陽極である
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  9. 前記第2電極層及び前記機能層は、前記第1電極層の前記凸部に対応する位置が突出している
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  10. 前記第1電極層は反射電極であり、前記第2電極層は透光性導電層を含み、前記発光層が発した光は前記第2電極層を通して前記積層体の外部に出射される
    請求項1から4の何れか一項に記載の発光素子。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の発光素子と、
    前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を供給する駆動回路とを備えた
    照明装置。
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