以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係るリムーバブル記憶装置としての機能を果たす無線SDカード60と、外部装置としての機能を果たす画像形成装置10、および無線SDカード60と無線通信を行う携帯端末40を示す。
無線SDカード60は、持ち歩きが可能なリムーバブル記憶装置であり、自装置の記憶部62(図3参照)にアクセスするための有線I/F(interface)部65と、記憶部62にアクセスするための無線I/F部63とを備えている。無線SDカード60は、有線I/F部65のコネクタ(SDコネクタ(図4参照))で、画像形成装置10の外部メモリ接続部21(図2参照)に着脱可能に有線接続される。該有線接続が行われる場合、無線SDカード60は、有線I/F部65のコネクタ部分で画像形成装置10と電気的、機械的に接続される。
また、無線SDカード60は、無線I/F部63を使用してLAN等の無線通信によって携帯端末40と無線接続することが可能である。画像形成装置10や携帯端末40など、無線SDカード60と接続された装置は、記憶部62へのデータの読み書きが可能となる。
携帯端末40は、持ち歩きが可能な端末である。携帯端末40は、ユーザから受けた指示に従って、無線接続されている無線SDカード60に対してデータの読み書きを行う。
画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部の装置へ送信したりするスキャンジョブ、PCから送出されたデータに係る画像を記録紙に印刷して出力するプリントジョブ(印刷ジョブ)などのジョブを実行する機能を備えた、所謂、複合機である。本発明の実施の形態では、外部メモリ接続部21(図2参照)に無線SDカード60が着脱可能に有線接続されたと認識した場合に、該無線SDカード60の記憶内容を読み取って表示部31に表示する。
本発明の無線SDカード60は、有線I/F部65(図3参照)のSDコネクタ(図4参照)で画像形成装置10と有線接続(以後、有線接続を装着と呼ぶ)されている状態で、画像形成装置10が無線SDカード60は切り離されていると認識する切り離し状態と、無線SDカード60は接続されていると認識する接続状態とに、画像形成装置10との電気的な接続状態を切り替えることができる。そして、無線SDカード60は、画像形成装置10との電気的な接続状態を一時的に切り離し状態にした後、接続状態に戻す。これにより、実際に無線SDカード60を抜き差しせずとも、画像形成装置10に、装着中の無線SDカード60が抜かれ、新たに装着されたように認識させるとともに、該無線SDカード60の記憶内容を読み取らせて表示部31に表示させることができる。すなわち、画像形成装置10に無線SDカード60の記憶内容が変更されたことを自動的に検出させることができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、当該画像形成装置10の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)11を有している。CPU11にはバスを通じてROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、不揮発メモリ14と、ハードディスク装置15と、画像処理部16と、画像読取部17と、プリンタ部18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部20と、外部メモリ接続部21と、ADF(Auto Document Feeder)22と、操作パネル30とを備えている。
CPU11は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU11は、操作パネル30の表示内容の制御を行う制御部としての機能を果たす。
ROM12には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が各種処理を実行することで画像形成装置10の各機能が実現される。また、ROM12には、画像形成装置10の一連の制御をCPU11が実行するためのプログラムが格納されている。
RAM13は、CPU11がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
不揮発メモリ14は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。
ハードディスク装置15は、大容量の不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや各種アプリケーションプログラム、ユーザ情報、印刷データや画像データ、ジョブ履歴などが保存される。
画像処理部16は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。本発明の実施の形態では、無線SDカード60に記憶されているデータに基づいてサムネイル画像などを生成する。
画像読取部17は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部17は、例えば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動ユニットと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
プリンタ部18は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部の装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する機能を果たす。
ネットワーク通信部20は、LANなどのネットワークを通じて外部の装置との間でデータを通信する機能を果たす。
ADF22は、画像を読み取る際に、複数枚の原稿を連続して画像読取部17の原稿台に送る自動原稿給紙装置としての機能を果たす。一度に30枚程度の原稿をセットすることが可能で、原稿を読み取るごとに原稿台にセットし直す手間を省略することができる。
外部メモリ接続部21は、無線SDカード60を有線接続するためのコネクタを備えている。このコネクタは、該コネクタに無線SDカード60が接続されているか否かを検出するための挿抜検出端子23やグランド端子24(図4参照)を備えている。外部メモリ接続部21と無線SDカード60がコネクタを介して機械的に接続された場合、画像形成装置10と無線SDカード60は該コネクタを通じて電気的に接続される。外部メモリ接続部21は、電気的に接続された無線SDカード60に電源を供給する。
操作パネル30は、表示部31と、操作部32とを備えている。操作部32は、スタートボタンや戻る釦などのスイッチ部33とタッチパネル部34とを備えている。表示部31は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。本実施の形態では、操作パネル30が表示する表示内容の制御、操作パネル30による操作の受け付けに関する制御はCPU11が行う。
タッチパネル部34は、表示部31上に設けられている。タッチパネル部34は、タッチペンや指などで押下された表示部31上のタッチ位置(座標位置)を検出する。CPU11は、継続的に検出されるタッチ位置の変化(操作情報)から、フリック操作やドラッグ操作などを認識する。
図3は、無線SDカード60の概略構成を示すブロック図である。無線SDカード60は、制御部61と、記憶部62と、無線I/F部63と、電源ユニット64と、有線I/F部65とを備えて構成される。
制御部61は、無線SDカード60の動作を統括制御する。制御部61は、CPUや、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリであるFlashROMなどによって構成される。そして、このFlashROMに格納されている各種プログラムに従ってCPUが各種の処理を実行することで無線SDカード60の各機能が実現される。
記憶部62は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、記憶部62の持つ記憶領域に、無線I/F部63や有線I/F部65を使用して接続される装置(携帯端末40と画像形成装置10)から読み書きされるデータが格納される。本発明の実施の形態では、記憶部62は、ファイル領域1とファイル領域2の2つの記憶領域を持つ。
無線I/F部63は、LANなどのネットワークを通じて携帯端末40などの外部の装置との間でデータを通信する機能を果たす。本発明の実施の形態では携帯端末40と通信を行う。
有線I/F部65は、当該無線SDカード60を装着している外部装置との間でデータを通信する機能を果たす。本発明の実施の形態では、有線I/F部65の持つSDコネクタが画像形成装置10の有する外部メモリ接続部21のコネクタと接続される。SDコネクタと外部メモリ接続部21が機械的に接続されたら、無線SDカード60と画像形成装置10はコネクタの部分で電気的に接続される。無線SDカード60は、画像形成装置10と電気的に接続されている間は有線I/F部65を介して電源の供給を受ける。
無線SDカード60は、画像形成装置10に機械的に接続されたまま、画像形成装置10と電気的に接続されている状態(接続状態)と、電気的に接続されていない状態(切り離し状態)とを切り替える電気的接続切り替え機能を持つ。具体的には、有線I/F部65のSDコネクタは、画像形成装置10側の外部メモリ接続部21のコネクタの挿抜検出端子23と接続される端子71aおよび外部メモリ接続部21のコネクタのグランド端子24と接続される端子71bを備えており、端子71aと端子71bとの間を短絡した状態(Close状態)と開放した状態(Open状態)に切り替える切り替え回路70(図4、5参照)を備えている。該切り替え回路70をOpen状態とClose状態で切り替えることで、前述の接続状態と切り離し状態に切り替える。Open状態で切り離し状態となり、Close状態で接続状態となる。切り替え回路70は、Close状態をデフォルトの状態とする。
電源ユニット64は、所謂、電池(バッテリ)であり、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池、あるいはキャパシタ等から構成される。電源ユニット64は、無線SDカード60が画像形成装置10と機械的に接続されているが、画像形成装置10から電源が供給されない時に、画像形成装置10の代わりに電源を内部に供給する。具体的には、無線SDカード60が切り離し状態となったことで、画像形成装置10が無線SDカード60への電源を切断した場合や、画像形成装置10が通常時よりも消費電力の少ない省電力モードに移行し、無線SDカード60への電源供給を停止した場合などに、電源を供給する。
次に、無線SDカード60と画像形成装置10が機械的、電気的に接続されている場合について説明するとともに、接続状態と切り離し状態の切り替えについて説明する。
図4(A)は、無線SDカード60が画像形成装置10に装着されている様子を示す。図4(A)では、外部メモリ接続部21の挿抜検出端子23およびグランド端子24と有線I/F部65のSDコネクタの端子71a、71bがそれぞれ機械的・電気的に接続されている。切り替え回路70はデフォルトのClose状態となっており、外部メモリ接続部21の挿抜検出端子23は無線SDカード60の内部を通じてグランド端子24に接続されている。
画像形成装置10は、挿抜検出端子23から流した電気が、無線SDカード60内の切り替え回路70を通ってグランド端子24に返ってきたら、無線SDカード60と画像形成装置10が電気的に接続されていると認識する。
図4(B)は、無線SDカード60が画像形成装置10に装着されていない様子を示す。図4(B)では、外部メモリ接続部21の挿抜検出端子23およびグランド端子24と、有線I/F部65のSDコネクタの端子71a、71bがそれぞれ機械的にも電気的にも接続されていない。
画像形成装置10は、挿抜検出端子23から流した電気が、グランド端子24に返ってこないので、無線SDカード60が画像形成装置10に電気的に接続されていないと認識する。
図5は画像形成装置10に無線SDカード60が装着されている状態で、無線SDカード60が切り替え回路70で接続状態と切り離し状態を切り替える様子を示す。
図5(A)は、無線SDカード60が接続状態である様子を示す。切り替え回路70がClose状態となっているので、画像形成装置10の挿抜検出端子23から流した電気が無線SDカード60内の切り替え回路70を通ってグランド端子24に返ってくる。これにより、画像形成装置10は無線SDカード60が接続されている(接続状態である)と認識する。
図5(B)は、無線SDカード60が切り離し状態である様子を示す。切り替え回路70がOpen状態となっているので、画像形成装置10の挿抜検出端子23から流した電気はグランド端子24に返ってこない。これにより、画像形成装置10は無線SDカード60が接続されていない(切り離し状態である)と認識する。
無線SDカード60は、画像形成装置10に装着されている状態で切り替え回路70を制御して、接続状態から一時的に切り離し状態に切り替え、一定時間(たとえば1秒など)が経過した後、再び接続状態に戻す電気的接続切り替え制御を行う。この電気的接続切り替え制御を開始するタイミングについて説明する。
無線SDカード60は、無線I/F部63を使用して携帯端末40などの外部と無線接続されて、その接続先から新たなデータが書き込まれたり、既存のデータが削除されたりする。無線SDカード60は、上記のように、無線I/F部63を使用した外部からのアクセスによって記憶部62の記憶内容が変更されたら、前述の電気的接続切り替え制御を行う。
電気的接続切り替え制御により、無線SDカード60の切り替え回路70がClose状態(接続状態)からOpen状態(切り離し状態)に切り替わったら、画像形成装置10は、無線SDカード60が切り離されたと認識する。そして、切り替え回路70が、Open状態(切り離し状態)からClose状態(接続状態)に戻ったら、画像形成装置10は、無線SDカード60が新たに接続されたと認識する。
画像形成装置10は、無線SDカード60が新たに接続されたと認識したら、その記憶内容を読み出して表示部31に表示する。ユーザは、表示部31に表示された内容を確認し、印刷するファイルなどを選択することができる。
このように、上述のような電気的接続切り替え制御を行うことで、本実施の形態に係る無線SDカード60は、画像形成装置10に装着されたままで、記憶内容を画像形成装置10に再度読み込ませることができる。これにより、ユーザが、無線SDカード60を実際に挿抜したり、画像形成装置10へ無線SDカード60の記憶内容を再度読み込みさせる指示を出したりする手間を省略することができる。
図6は、無線SDカード60が画像形成装置10に装着されているときに行う処理の概要を示す。この処理は無線SDカード60が画像形成装置10に装着されている間、繰り返し実行される。
前述したように、デフォルト状態では切り替え回路70はClose状態(接続状態)になっている。無線SDカード60が接続状態であれば、すなわち切り離し状態でなければ(ステップS101;No)、画像形成装置10と有線I/F部65を介したデータ通信を必要に応じて行い(ステップS104)、その後、無線I/F部63を介したデータ通信を必要に応じて行う(ステップS105)。
ここでは、有線I/F部65を使用する処理(ステップS104の処理)と無線I/F部63を使用する処理(ステップS105の処理)とをタイムスライス(時分割)で行うことで、事実上、有線I/F部65を介したアクセスと、無線I/F部63を介したアクセスを同時に並行して行うことを可能にしている。なお、ステップS104およびステップS105では、必ずしもデータ通信が行われる必要はない。
無線I/F部63を介して記憶内容が変更されていなければ(ステップS106;No)、本処理を終了する。無線I/F部63を介して記憶内容が変更された場合は(ステップS106;Yes)、切り替え回路70はClose状態(接続状態)からOpen状態(切り離し状態)に切り替えて(ステップS107)、本処理を終了する。
本処理は終了したら再び繰り返し行われており、2回目以降の処理では、以前の処理で切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)に切り替えられていることがある。このように切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)であれば(ステップS101;Yes)、Open状態(切り離し状態)に切り替えてから一定時間(たとえば1秒など)が経過したか否かを判定し(ステップS102)、一定時間を経過していなければ(ステップS102;No)、ステップS105に進む。
一定時間が経過したら(ステップS102;Yes)、切り替え回路70をOpen状態(切り離し状態)からClose状態(接続状態)に切り替えて(ステップS103)、ステップS105に進む。
次に、無線SDカード60が、電気的接続切り替え制御の開始を遅延させる場合について説明する。画像形成装置10が印刷などで無線SDカード60にファイルアクセスを行っている最中に、無線SDカード60が接続状態から切り離し状態に切り替わると、該印刷に支障が生じて処理を途中で中断等しなければならない。
そこで、無線SDカード60は、有線I/F部65を介した(有線通信による)データ通信中に、無線I/F部63経由で記憶内容が変更された場合は、該有線によるデータ通信中および該データ通信の終了後一定時間は電気的接続切り替え制御を行わず、有線I/F部65を介したデータ通信が終了後、一定時間が経過してから電気的接続切り替え制御を行う。これにより、有線I/F部65を介したデータ通信中に、無線SDカード60の記憶内容が変更されても、該データ通信を正常に継続することができる。
図7は、有線通信によるファイルアクセス中に、無線通信によって無線SDカード60の記憶内容が変更された場合に、電気的接続切り替え制御の開始を遅延させる様子を示している。
図7では有線通信によるファイルアクセス中に、無線通信による無線SDカード60の記憶内容の変更が行われている。有線通信によるファイルアクセスが開始してから、該ファイルアクセスが終了して一定期間t1が経過するまでの期間は、電気的接続切り替え制御が禁止される。そして、該期間の後に、電気的接続切り替え制御が行われる。
一定期間t1は、有線通信による連続アクセスがないかを待機する時間である。5秒や10秒などのような固定値でもよいが、過去に有線通信によるファイルアクセスが行われた際のアクセスパターンから、アクセス終了後に連続する次のアクセスが来ないと判断できるような時間に設定することが望ましい。
図8は、無線SDカード60が画像形成装置10に装着されてから繰り返し行う処理であって、電気的接続切り替え制御の開始を遅延させる場合に対応する処理を示す。
まず、無線SDカード60が、接続状態であれば、すなわち切り離し状態でなければ(ステップS201;No)、画像形成装置10と有線I/F部65を介したデータ通信を可能とする(ステップS204)。
直前の一定時間(図7の一定期間t1)内に有線通信によるデータ通信が行われているか否かを調べ(ステップS205)、行われている場合は(ステップS205;Yes)、切り替え禁止フラグをONにして(ステップS207)、ステップS208に進む。直前の一定時間内に有線通信によるデータ通信が行われていない場合は(ステップS205;No)、切り替え禁止フラグをOFFにする(ステップS206)。
その後、無線I/F部63を介したデータ通信を可能とする(ステップS208)。図6の処理でも、有線I/F部65を使用する処理(ステップS204の処理)と無線I/F部63を使用する処理(ステップS208の処理)とをタイムスライス(時分割)で行うことで、事実上、有線I/F部65を介したアクセスと、無線I/F部63を介したアクセスを同時並行に行うことを可能にする。ステップS204およびステップS208にて、必ずしもデータ通信が行われる必要はない。
無線I/F部63を介して記憶内容が変更されていなければ(ステップS209;No)、ステップS211に進む。無線I/F部63を介して記憶内容が変更された場合は(ステップS209;Yes)、変更フラグをONにして(ステップS210)、ステップS211へ進む。ステップS211では、切り替え禁止フラグがONか否かを判定する。切り替え禁止フラグがONであれば(ステップS211;No)、本処理を終了する。
切り替え禁止フラグがOFFならば(ステップS211;Yes)、変更フラグがONか否かを判定する(ステップS212)。変更フラグがOFFであれば(ステップS212;No)、本処理を終了する。変更フラグがONであれば(ステップS212;Yes)、切り替え回路70をClose状態(接続状態)からOpen状態(切り離し状態)に切り替えて(ステップS213)、変更フラグをOFFにし(ステップS214)、本処理を終了する。
本処理は終了したら再び繰り返し行われており、2回目以降の処理では、以前の処理で切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)に切り替えられていることがある。このように切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)であれば(ステップS201;Yes)、Open状態(切り離し状態)に切り替えてから一定時間(たとえば1秒など)が経過したか否かを判定し(ステップS202)、一定時間が経過していなければ(ステップS202;No)、ステップS208に進む。
一定時間が経過したら(ステップS202;Yes)、切り替え回路70をOpen状態(切り離し状態)からClose状態(接続状態)に切り替えて(ステップS203)、ステップS208に進む。
次に、無線通信によって無線SDカード60の記憶内容が変更される場合について説明する。画像形成装置10が、印刷などで無線SDカード60にファイルアクセスを行っている最中に、無線通信によってそのアクセス対象のファイルが変更された場合、該印刷に支障が生じて処理を途中で中断等しなければならない。
そこで、無線SDカード60は、有線I/F部65を介するデータの読み書きは、記憶部62のファイル領域1内に限定する(画像形成装置10からは、ファイル領域1のみが見えるようにする)とともに、無線I/F部63経由で記憶内容が変更される場合は、該変更の内容を記憶部62のファイル領域2に一時的に保存する。その後、電気的接続切り替え制御にて、接続状態から切り離し状態に切り替えたとき、ファイル領域2に記憶している変更の内容をファイル領域1に反映させる。反映が終了したら、電気的接続切り替え制御の続きを実行して、切り離し状態から接続状態に戻す。これにより、有線I/F部65を介したファイルアクセス中に、無線通信にて該ファイルを対象とする変更が行われても、該データ通信を正常に継続することができる。
図9は、携帯端末40からの無線通信により無線SDカード60の記憶内容が変更される場合のデータフローを示す。携帯端末40から受けた変更の内容はファイル領域2に書き込む(S1)。
次に、接続状態から切り離し状態へ切り替える(S2)。制御部61は電源ユニット64から電源を供給して、ファイル領域2に書き込まれた変更の内容をファイル領域1に反映させ(S3)、切り離し状態から接続状態への切り替えを行う(S4)。その後、画像形成装置10は、ファイル領域1の内容を新たに読み出す。なお、画像形成装置10からは、ファイル領域1のみが見える。また、ファイル領域2に書き込まれた変更の内容をファイル領域1に反映させたら、制御部61はその内容はファイル領域2から削除する。
図10は、無線SDカード60が画像形成装置10に装着されてから繰り返し行う処理であって、図8の処理に、ファイル領域2に書き込まれた変更の内容をファイル領域1に反映させる処理を加えた処理の流れ図である。
まず、無線SDカード60が接続状態であれば、すなわち切り離し状態でなければ(ステップS301;No)、画像形成装置10と有線I/F部65を介したデータ通信を可能とする(ステップS304)。
直前の一定時間(図7の一定期間t1)内に有線通信によるデータ通信が行われているか否かを調べ(ステップS305)、行われている場合は(ステップS305;Yes)、切り替え禁止フラグをONにして(ステップS307)、ステップS308に進む。有線通信によるデータ通信では、ファイル領域1に対してデータの読み書きが行われる。
直前の一定時間内に有線通信によるデータ通信が行われていない場合は(ステップS305;No)、切り替え禁止フラグをOFFにする(ステップS306)。
その後、無線I/F部63を介したデータ通信を可能とする(ステップS308)。無線I/F部63を介して記憶内容を変更するアクセスを受けた場合には、該変更の内容はファイル領域2に書き込まれる。
図10の処理でも、有線I/F部65を使用する処理(ステップS304の処理)と無線I/F部63を使用する処理(ステップS308の処理)とをタイムスライス(時分割)で行うことで、事実上、有線I/F部65を介したアクセスと、無線I/F部63を介したアクセスを同時並行に行うことを可能にする。ステップS304およびステップS308にて、必ずしもデータ通信が行われる必要はない。
無線I/F部63を介して記憶内容が変更されていなければ(ステップS309;No)、ステップS311に進む。無線I/F部63を介して記憶内容が変更された場合は(ステップS309;Yes)、変更フラグをONにする(ステップS310)。そして、切り替え禁止フラグがONか否かを調べ(ステップS311)、ONであれば(ステップS311;No)、本処理を終了する。
切り替え禁止フラグがOFFであって(ステップS311;Yes)、変更フラグがOFFであれば(ステップS312;No)、本処理を終了する。変更フラグがONであれば(ステップS312;Yes)、切り替え回路70をClose状態(接続状態)からOpen状態(切り離し状態)に切り替える(ステップS313)。そして、ファイル領域2に書き込まれている変更の内容をファイル領域1に反映させ(ステップS314)、変更フラグをOFFにして(ステップS315)、本処理を終了する。
本処理は終了したら再び繰り返し行われており、2回目以降の処理では、以前の処理で切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)に切り替えられていることがある。このように切り替え回路70がOpen状態(切り離し状態)であれば(ステップS301;Yes)、Open状態(切り離し状態)に切り替えてから一定時間(たとえば1秒など)が経過したか否かを判定し(ステップS302)、一定時間が経過していなければ(ステップS302;No)、ステップS308に進む。
一定時間が経過したら(ステップS302;Yes)、切り替え回路70をOpen状態(切り離し状態)からClose状態(接続状態)に切り替えて(ステップS303)、ステップS308に進む。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、無線通信機能を持つSDカード(無線SDカード60)について説明したが、第2の実施の形態では、無線通信機能を持たない汎用のSDカード(以後、汎用SDカード80と呼ぶ)を記憶部62の代わりに使用して、無線SDカード60と同様に電気的接続切り替え制御を行うアダプタ90(図11参照)について説明する。
なお、第2の実施の形態においても画像形成装置10のハードウェア構成は第1の実施の形態と同じである。また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点を説明し、同一部分の説明は適宜省略する。
図11は、汎用SDカード80と、画像形成装置10と、携帯端末40と、アダプタ90を示す。
第2の実施の形態における汎用SDカード80は、無線SDカード60における記憶部62と有線I/F部65とを備えて構成される。
アダプタ90は、汎用SDカード80と画像形成装置10の間に介在して両者の接続を補助するために用いられる中間装置である。アダプタ90は、後述する接続部92(図12参照)に汎用SDカード80を装着して使用される。また、アダプタ90は、後述する有線I/F部95のコネクタで、画像形成装置10の外部メモリ接続部21に着脱可能に有線接続される。汎用SDカード80が装着された状態で、該有線接続が行われると、汎用SDカード80と画像形成装置10は電気的に接続される。そして、画像形成装置10は有線I/F部95を介して汎用SDカード80に対するデータの読み書きが可能となる。
また、アダプタ90は、無線I/F部93(図12参照)を使用してLAN等の無線通信によって携帯端末40等と無線接続することが可能である。該無線接続が行われると、携帯端末40は、アダプタ90の無線I/F部93を介して汎用SDカード80に対するデータの読み書きが可能となる。
第2の実施の形態では、アダプタ90は、無線SDカード60における記憶部62に代えて接続部92を備え、接続部92に接続された汎用SDカード80を記憶部62の代わりに使用することで、無線SDカード60と同様の機能を果たす。これにより、第2の実施の形態では、汎用SDカード80を使用して、第1の実施の形態における無線SDカード60と同様の機能を得ることができる。アダプタ90では、複数の汎用SDカードを使い分けすることで、それぞれを無線SDカード60とする場合に比べて、コストを抑えることができる。
図12は、アダプタ90の概略構成を示すブロック図である。アダプタ90は、制御部91と、接続部92と、無線I/F部93と、電源ユニット94と、有線I/F部95とを備えて構成される。
制御部91は、アダプタ90の動作を統括制御する。制御部91は、CPUや、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリであるFlashROMなどによって構成される。そして、このFlashROMに格納されている各種プログラムに従ってCPUが各種の処理を実行することでアダプタ90の各機能が実現される。
無線I/F部93は、LANなどのネットワークを通じて携帯端末40などの外部の装置との間でデータを通信する機能を果たす。本発明の実施の形態では携帯端末40と通信を行う。
接続部92は、該接続部92に装着されている汎用SDカード80との間でデータを通信する機能を果たす。接続部92は、汎用SDカード80を有線接続するためのコネクタを備えている。接続部92のコネクタと、汎用SDカード80の持つコネクタが機械的に接続された場合、アダプタ90と汎用SDカード80は電気的に接続される。なお制御部91は、接続部92に汎用SDカード80が装着されているか否かを判断する。
有線I/F部95は、当該アダプタ90を装着している外部装置との間でデータを通信する機能を果たす。本発明の実施の形態では、有線I/F部95の持つコネクタは、外部メモリ接続部21のコネクタに機械的・電気的に接続される。アダプタ90は、画像形成装置10と電気的に接続されている間は有線I/F部95を介して電源が供給される。
本発明の実施の形態では、アダプタ90は、画像形成装置10に機械的に接続されたまま、画像形成装置10と電気的に接続されている状態(接続状態)と、電気的に接続されていない状態(切り離し状態)とを切り替える電気的接続切り替え機能を持つ。具体的には、有線I/F部95のコネクタは、第1の実施の形態と同様の切り替え回路70を備え、該切り替え回路70をOpen状態とClose状態で切り替えることで接続状態と切り離し状態を切り替える。Open状態で切り離し状態となり、Close状態で接続状態となる。切り替え回路70は、Close状態をデフォルトの状態とする。
電源ユニット94は、所謂、電池(バッテリ)であり、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池あるいはキャパシタ等から構成される。電源ユニット94は、アダプタ90が画像形成装置10と機械的に接続されているが、画像形成装置10から電源が供給されない時に、該画像形成装置10の代わりに電源を供給する。具体的には、アダプタ90が切り離し状態となったことで、画像形成装置10がアダプタ90への電源を切断した場合や、画像形成装置10が通常時よりも消費電力の少ない省電力モードに移行し、アダプタ90への電源供給を停止した場合などに、電源を供給する。
アダプタ90が、切り離し状態と接続状態を切り替える制御について図13を例に説明する。図13は、アダプタ90が切り離し状態と接続状態を切り替える様子を示す。
アダプタ90は、汎用SDカード80が接続部92に装着されていない状態で、有線I/F部95の持つコネクタと、外部メモリ接続部21が機械的に接続している場合は、切り離し状態になるように切り替え回路70を制御する。そして、汎用SDカード80が接続部92に装着されている状態で、有線I/F部95の持つコネクタと、外部メモリ接続部21が機械的に接続している場合は、接続状態になるように切り替え回路70を制御する。たとえば、アダプタ90は、接続部92に装着されている汎用SDカード80が使用中に抜かれた場合は、接続状態から切り離し状態に切り替える。
また、アダプタ90は、接続部92に装着されている汎用SDカード80の記憶内容が、無線通信によるアクセスで変更されたら、切り替え回路70を、接続状態から切り離し状態に切り替え、その後、一定時間(たとえば1秒など)が経過した後、接続状態に戻す(電気的接続切り替え制御を行う)。これにより、画像形成装置10はアダプタ90が一度切り離され、新たに接続されたと認識し、アダプタ90に装着されている汎用SDカード80の記憶内容を再度読み込む。
本発明の実施の形態に係るアダプタ90は、画像形成装置10に装着されたままで、接続部92に接続されている汎用SDカード80の記憶内容を、画像形成装置10に再度読み込ませることができる。具体的には、アダプタ90あるいは汎用SDカード80の挿抜や、画像形成装置10への読み込みの指示などを省略することができる。これにより、ユーザが、アダプタ90(あるいは汎用SDカード80)を実際に挿抜したり、画像形成装置10へ汎用SDカード80の記憶内容を再読み込みさせる指示を出したりする手間を省略することができる。すなわち、画像形成装置10に汎用SDカード80の記憶内容が変更されたことを自動で検出させることができる。
なお、本発明の実施の形態では、アダプタ90は、無線I/F部93を介したアクセスで汎用SDカード80の記憶内容が変更された場合に前述の電気的接続切り替え制御を行う。
次に、アダプタ90が、電気的接続切り替え制御の開始を遅延させる場合について説明する。第1の実施の形態と同じく、アダプタ90は、有線I/F部95を介した有線によるデータ通信中に、無線I/F部93経由で汎用SDカード80の記憶内容が変更された場合は、該有線によるデータ通信中および該データ通信の終了後一定時間は電気的接続切り替え制御を行わず、有線I/F部95を介したデータ通信が終了後、一定時間が経過してから電気的接続切り替え制御を行う。
また、アダプタ90は、汎用SDカード80内の記憶領域をファイル領域1とファイル領域2に分けておき、有線I/F95を介するデータの読み書きは、該ファイル領域1内に限定する(画像形成装置10からは、ファイル領域1のみが見えるようにする)とともに、無線I/F部93経由で記憶内容が変更される場合は、該変更の内容をファイル領域2に保存する。その後、電気的接続切り替え制御にて、接続状態から切り離し状態に切り替えたとき、ファイル領域2に記憶している変更の内容をファイル領域1に反映させる。反映が終了したら、電気的接続切り替え制御の続きを実行して、切り離し状態から接続状態に戻す。これにより、有線I/F部95を介したファイルアクセス中に、無線通信にて該ファイルを対象とする変更が行われても、該データ通信を正常に継続することができる。
なお、アダプタ90は、アクセスを高速化するなどの目的で読み書きするデータを一時的に記憶するキャッシュメモリなどを持っていてもよい。このキャッシュメモリは、有線I/F部95、または無線I/F部93を介するアクセスが行われた場合に読み書きされるデータを保持する。なお、アダプタ90を介して画像形成装置10と汎用SDカード80が接続中に、該汎用SDカード80が抜かれた場合は、キャッシュメモリの内容をクリアする。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
本発明の実施の形態では、リムーバブル記憶装置の例として無線SDカード60および汎用SDカード80を例に説明したが、SDカード以外のリムーバブル記憶装置でもよい。たとえばUSB(Universal Serial Bus)メモリなどでもよい。
本発明の第1の実施の形態では、記憶部62の記憶領域をファイル領域1とファイル領域2に分け、ファイル領域2を外部から無線通信で変更された内容を記憶するためのバッファメモリとして使用したが、記憶部62とは別にバッファメモリを備え、ファイル領域2の代わりに使用してもよい。第2の実施の形態の場合、アダプタ90内にバッファメモリ(前述のキャッシュメモリを併用してもよい)を設け、汎用SDカード80内のファイル領域2の代わりに使用してもよい。
本発明の実施の形態では、画像形成装置10からリムーバブル記憶装置(無線SDカード60、汎用SDカード80)へのファイルアクセスが開始してから、該ファイルアクセスが終了して一定期間が経過するまでの期間中は、電気的接続切り替え制御(接続状態と切り離し状態の切り替え)を禁止したが、ファイルアクセスが終了した直後に電気的接続切り替え制御を行ってもよい。
本発明の実施の形態では、無線通信による記憶内容の変更が行われる際には、常にファイル領域2にその変更の内容を一時保存していたが、該一時保存は、有線通信によって外部装置からリムーバブル記憶装置へのアクセスを受けている間のみ行ってもよい。この場合、無線通信中の有線による変更を禁止する。