実施の形態1.
本実施形態においては、トナー等の顕色剤を転写紙に付着させることにより作像し、作像された転写紙を加熱・加圧することにより転写紙に付着された顕色剤を定着させること(以下、「定着処理」とする)で画像を形成する電子写真方式の画像形成装置を例として説明する。そして、本実施形態に係る画像形成装置は、定着処理を行うための定着部に、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することで熱を発生する加熱装置である定着ヒータを備えた搭載装置として、その定着ヒータにより転写紙を加熱するようになっている。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、定着ヒータのオンとオフとの切り替えを繰り返し行うことで、消費電力の低減と画像形成動作に要する時間の短縮とを両立させるようになっている。具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、通常は定着ヒータへの電力供給を行ってオン状態とし、定着ヒータの温度が所定の温度以上となった場合に定着ヒータへの電力供給を遮断してオフ状態とすることで消費電力の低減を図るようになっている。一方、本実施形態に係る画像形成装置は、定着ヒータへの電力供給を遮断してオフ状態としている場合に、放熱によりその温度が所定の温度以下になると、定着ヒータへの電力供給を行ってオン状態とすることで定着ヒータが冷え切る前に加熱を行って画像形成動作に要する時間の短縮を図るようになっている。
このような画像形成装置において、本実施形態に係る要旨の一つは、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることにある。そのために、本実施形態に係る画像形成装置はまず、外部電源の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置は、あるタイミングで測定した外部電源の電圧値と上記基準電圧値とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置は、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、システム制御部11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disc Drive)14、パラメータメモリ15、操作表示部16、I/F17、書込部18、作像部19、定着部20がバス21を介して接続され、外部電源2に接続された電源部22を含む。
システム制御部11は、RAM13を作業領域として、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムをRAM13にロードし、RAM13にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより画像形成装置1全体の動作を制御する演算手段であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のマイクロプロセッサによって実現される。
ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM13は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、システム制御部11が情報を処理する際の作業領域として用いられる。HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
パラメータメモリ15は、電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memor)や、バッテリバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)等、画像形成装置1の電源を切っても記憶内容を保持することができるメモリであり、本実施形態に係る画像形成装置1の動作に必要な設定情報等のパラメータが格納されている。本実施形態に係るパラメータメモリ15には、具体的には、定着ヒータ切替条件設定テーブル、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルが格納されている。定着ヒータ切替制御条件設定テーブル、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルについてはそれぞれ、図3、図4を参照して後述する。
操作表示部16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースであると共に、キーボードやマウス、タッチパネル等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースでもある。I/F17は、バス21と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。
書込部18は、表面が一様に帯電された感光体ドラムにレーザーダイオードによりレーザー光を照射し、印刷するべき画像データに応じた静電潜像を形成するためのものである。作像部19は、書込部18により静電潜像が形成された感光体ドラムにトナーを付着させてトナー像を形成すると共に、その形成したトナー像を記録紙などの転写紙上に転写するためのものである。
定着部20は、回路部210、定着ヒータ220、温度センサ230含み、商用電源や家庭用電源等のAC(Alternating Current)電源である外部電源2を電力供給源として駆動する。即ち、本実施形態においては、外部電源2が電力供給部として機能する。回路部210は、システム制御部11による制御に応じて外部電源2から定着ヒータ220への電力供給を制御する。即ち、本実施形態においては、回路部210及びシステム制御部11が加熱制御装置として機能する。定着ヒータ220は、回路部210の制御により外部電源2から供給される電力に応じて熱を発生し、発生した熱によりトナー像が転写された転写紙にそのトナー像を定着させる。温度センサ230は、定着ヒータ220の温度を測定し、若しくは、定着ヒータ220の周辺温度を測定する。即ち、本実施形態においては、温度センサ230が温度測定部として機能する。尚、書込部18、作像部19、定着部20、定着ヒータ220の具体的態様については、図6及び図7を、回路部210の詳細な機能構成については、図8を、回路部210の具体的態様については、図9を参照して詳述する。
電源部22は、スイッチングレギュレータ方式により、外部電源2から供給される交流電流を、制御に用いられる+5Vの直流電流、及び、リレー駆動やステッピングモータ駆動等に用いられる+24Vの直流電流に変換して装置各部に出力する。即ち、定着ヒータ220以外の装置各部は、電源部22からの直流電流により動作する。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM13に読み出され、システム制御部11がRAM13にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1がとりうる動作状態について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1が取り得る動作状態を説明するための図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、「待機状態」、「印刷状態」、「ウォームアップ状態」のいずれかの動作状態をとりうる。
「待機状態」にある画像形成装置1は、通常は定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態としているが、定着ヒータ220の温度が定着時の温度より低い温度ではあるが所定の温度以上となった場合に定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態とすることで消費電力の低減を図るようになっている。一方で、「待機状態」にある画像形成装置1は、定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態としている場合に、放熱によりその温度が所定の温度以下になると、定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態とすることで定着ヒータ220が冷え切る前に加熱を行って印刷を開始するまでの時間の短縮を図るようになっている。このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、「待機状態」となることで、消費電力の低減と印刷を開始するまでの時間の短縮とを両立させることができるようになっている。
「印刷状態」にある画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が定着可能な温度となっており、いつでも印刷動作を開始することが可能な状態にあり、若しくは、実際に印刷動作を行っている状態にある。尚、図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、「印刷状態」において印刷動作が一定時間以上行われなかった場合、若しくは、印刷動作が完了した場合には、「待機状態」に移行する。
また、「印刷状態」にある画像形成装置1は、通常は定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態としているが、定着ヒータ220の温度が所定の温度以上になると、定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態とすることで定着ヒータ220の温度の上がり過ぎを防ぐようになっている。一方で、「印刷状態」にある画像形成装置1は、定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態としている場合に、放熱によりその温度が所定の温度以下になると、定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態とすることで定着可能な温度よりも低くなることを防ぐようになっている。
「ウォームアップ状態」にある画像形成装置1は、「待機状態」から「印刷状態」への移行過程にとりうる状態であって、定着ヒータ220の温度が定着可能な温度に達するまで電力供給を行っている状態である。そして、「ウォームアップ状態」にある画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が定着可能な温度となるまで電力供給を行った結果、定着ヒータ220の温度が定着可能な温度以上になると「印刷状態」に移行する。
また、「ウォームアップ状態」にある画像形成装置1は、通常は定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態としているが、定着ヒータ220の温度が所定の温度以上になると、定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態とすることで定着ヒータ220の温度の上がり過ぎを防ぐようになっている。一方で、「ウォームアップ状態」にある画像形成装置1は、定着ヒータ220への電力供給を遮断してオフ状態としている場合に、放熱によりその温度が所定の温度以下になると、定着ヒータ220への電力供給を行ってオン状態とすることで定着可能な温度よりも低くなることを防ぐようになっている。
次に、本実施形態に係るパラメータメモリ15に格納されている定着ヒータ切替制御条件設定テーブルについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御条件設定テーブルの一例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御条件設定テーブルは、画像形成装置1のとりうる「動作状態」毎に「切替制御条件」が設定されたテーブルである。ここで、切替制御条件とは、システム制御部11が定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件のことであり、「目標温度」及び「切替制御温度範囲」により定められる。
本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220の温度が「目標温度」に設定されている温度となるように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、画像形成装置1が「待機状態」、「ウォームアップ状態」、「印刷状態」の各動作状態にある場合、定着ヒータ220の温度がそれぞれ、Ta℃、Tb℃、Tc℃となるように外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。
また、本実施形態に係るシステム制御部11は、上述したように、定着ヒータ220の温度が「目標温度」に設定されている温度となるように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御するが、その際の具体的な制御として、定着ヒータ220の温度が「目標温度」に設定されている温度から「切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合に、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断とを切り替える。このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が「目標温度」に設定されている温度から「切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合に、定着ヒータ220のオンとオフとを切り替える。
即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、画像形成装置1が「待機状態」にある場合、定着ヒータ220がオフであるときに放熱によりその温度が(Ta−ΔTa)℃となった際に定着ヒータ220をオンに切り替え、一方、定着ヒータ220がオフである時に加熱によりその温度が(Ta+ΔTa)℃となった際に定着ヒータ220をオフに切り替える。「ウォームアップ状態」、「印刷状態」についても同様である。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記切替制御条件を、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の判断基準としている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が「目標温度」に設定されている温度から「切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合、定着ヒータ220の温度が上がり過ぎ若しくは下がり過ぎであると判断して、それらの状況に応じて定着ヒータ220のオンとオフとを切り替える。
次に、本実施形態に係るパラメータメモリ15に格納されている定着ヒータ切替制限条件設定テーブルについて、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る定着ヒータ切替制限条件設定テーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る定着ヒータ切替制限条件設定テーブルは、画像形成装置1のとりうる「動作状態」毎に「切替制限条件」が設定されたテーブルである。ここで、切替制限条件とは、システム制御部11が定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の条件のことであり、「許容電圧変動率」及び「許容電圧変動回数」により定められる。尚、本実施形態に係る「許容電圧変動率」及び「許容電圧変動回数」には、EMC(Electro Magnetic Compatibility)規制値を超えないような値が設定されている。
本実施形態に係るシステム制御部11は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値が「許容電圧変動率」に設定されている電圧変動率を超えて変動した回数をカウントし、単位時間あたりのその電圧変動回数が「許容電圧変動回数」に設定されている回数以上となった場合、その時点で、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。
即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、画像形成装置1が「待機状態」にある場合、その動作状態において測定された外部電源2から定着ヒータ220への出力電圧の電圧値がΔVa%を超えて変動した回数をカウントし、単位時間当たりのその電圧変動回数がNa回以上となった際に、その時点で、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。「ウォームアップ状態」、「印刷状態」についても同様である。
ここで、電圧変動率とは、外部電源2が正常に動作している状態でのあるタイミング、即ち、外部電源2の電圧値に変動がないタイミング、若しくは、その変動が所定値以内であるタイミング(以下、「基準タイミング」とする)で測定された外部電源2から定着ヒータ220への出力電圧の電圧値(以下、「基準電圧値」とする)に対して、基準タイミングとは異なるタイミングで測定された電圧値(以下、「測定電圧値」とする)がどれだけ変動したかを表す指標、即ち、電圧変動のことである。この「電圧変動率」は、測定電圧値を算出対象とすると、例えば、{(基準電圧値−測定電圧値)/基準電圧値}×100により算出されるが、その算出方法はこれに限らず他の手法によって算出されても良い。尚、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値の測定方法に関しては、図8及び図9を参照して後述する。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記切替制限条件を、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の判断基準としている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値が「許容電圧変動率」に設定されている電圧変動率を超えて変動した回数をカウントする。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、単位時間当たりのその変動回数が「許容電圧変動回数」に設定されている回数以上となった場合、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害が頻繁に発生している状況であると判断して、それ以上そのような弊害が発生しないように、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、省電力化を図りつつ定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。このような制御が本実施形態に係る画像形成装置1における要旨の一つである。
尚、切替制限条件は、画像形成装置1の動作状態に関係なく一定値が設定されても良いが、本実施形態においては、図4に示すように、画像形成装置1がとりうる動作状態毎に設定されている。これは、各動作状態における定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え頻度の基準はそれぞれ異なり、また、各動作状態において外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値もそれぞれ異なるためである。
例えば、画像形成装置1が「ウォームアップ状態」にある場合、定着ヒータ220の温度が定着可能な温度に達するまで常に定着ヒータ220をオンとしているため、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え頻度は低くなる。また、画像形成装置1「ウォームアップ状態」にある場合、定着ヒータ220を急激に過熱する必要があるため、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値は高くなる。
また、例えば、画像形成装置1が「印刷状態」にある場合、転写紙への熱の移動による放熱により定着ヒータ220の温度低下が頻繁に起こり、その都度、定着ヒータ220をオフからオンに切り替える必要があるため、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え頻度は高くなる。また、画像形成装置1が「印刷状態」にある場合、定着ヒータ220を急激に過熱する必要があるが、「ウォームアップ状態」にある場合よりも高い温度から加熱を始めるため、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値は「ウォームアップ状態」に比べれば低くなる。
また、例えば、画像形成装置1が「待機状態」にある場合、放熱により定着ヒータ220の温度低下が起こるが、その放熱量は転写紙への熱の移動による放熱量に比べると低くその温度低下は「印刷状態」における温度低下よりも緩やかであるため、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え頻度は「印刷状態」に比べれば低いが、常に定着ヒータ220をオンとしている「ウォームアップ状態」に比べれば高くなる。また、画像形成装置1が「待機状態」にある場合、定着ヒータ220を過熱する必要があるが、その目標温度は「ウォームアップ状態」や「印刷状態」の目標温度よりも低く、また、その加熱速度はそれらの動作状態における加熱速度よりも遅いため、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値はそれらの動作状態に比べれば低くなる。
即ち、本実施形態においては、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え頻度は、「印刷状態」>「待機状態」>「ウォームアップ状態」の順番となり、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値は「ウォームアップ状態」>「印刷状態」>「待機状態」の順番となる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記切替制限条件を、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の判断基準としているが、その判断基準を動作状態に応じて変化させている。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えの制限が過剰となり、若しくは、不十分になることを防ぎ、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えの制限を最適化することが可能となる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。尚、図5においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、転写紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、給紙テーブル110、プリントエンジン120、排紙トレイ130、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)140、スキャナエンジン150、排紙トレイ160、ディスプレイパネル170、ネットワークI/F180を有する。また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、画像処理部103、操作表示制御部104及び入出力制御部105を有する。
給紙テーブル110は、画像形成部であるプリントエンジン120に転写紙を給紙する。プリントエンジン120は、給紙テーブル110から搬送されてきた転写紙に対して画像形成出力を実行することにより画像を描画する画像形成部である。本実施形態に係るプリントエンジン120の具体的態様としては、電子写真方式による画像形成機構である。このプリントエンジン120により画像が描画された画像形成済みの転写紙は、排紙トレイ130に排紙される。
ADF140は、原稿読取部であるスキャナエンジン150に原稿を自動搬送する。スキャナエンジン150は、光学情報を電気信号に変換する光電変換素子を含む原稿読取部であり、ADF140により自動搬送されてきた原稿、若しくは、図示しない原稿台ガラスにセットされた原稿を光学的に走査して読み取って画像情報を生成する原稿読取部である。ADF140により自動搬送されてスキャナエンジン150により読み取られた原稿は、排紙トレイ160に排紙される。
ディスプレイパネル170は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル170は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル170は、図1に示す操作表示部16によって実現される
ネットワークI/F180は、画像形成装置1がネットワークを介して管理者用端末やPC(Personal Computer)等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、FeliCa(登録商標)等のインタフェースが用いられる。このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、ネットワークI/F180を介して接続された端末から印刷依頼の画像データや、印刷要求などの各種制御コマンドを受信する。ネットワークI/F180は、図1に示すI/F17によって実現される。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12やHDD14等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM13にロードされ、それらのプログラムに従ってシステム制御部11が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。また、主制御部101は、入出力制御部105を制御し、ネットワークI/F180及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。エンジン制御部102は、プリントエンジン120、スキャナエンジン150等の駆動部を制御し若しくは駆動させる。
画像処理部103は、主制御部101の制御に従い、PDL(Page Description Language)等により記述された画像情報、例えば、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて描画情報を出力情報として生成する。この描画情報とは、CMYK(Cyan Mgenta Yellow Key Plate)のビットマップデータ等の情報であり、画像形成部であるプリントエンジン120が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
また、画像処理部103は、スキャナエンジン150から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1に格納され若しくはネットワークI/F180及びネットワークを介して他の機器に送信される情報である。尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像情報の代わりに描画情報が直接入力され、直接入力された描画情報に基づいて画像形成出力を実行することも可能である。
操作表示制御部104は、ディスプレイパネル170に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル170を介して入力された情報を主制御部101に通知する。入出力制御部105は、ネットワークI/F180及びネットワークを介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を簡略化して示す図である。図6に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、無端状移動手段である搬送ベルト305に沿って各色の各作像ユニット306が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。即ち、転写紙格納ユニット301から給紙ローラ302と分離ローラ303とにより分離給紙される転写紙304に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト305に沿って、この搬送ベルト305の搬送方向の上流側から順に、複数の作像ユニット、即ち、C版作像ユニット306C、M版作像ユニット306M、Y版作像ユニット306Y、K版作像ユニット306Kが配列されている。
これら複数の作像ユニット306C、306M、306Y、306Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。C版作像ユニット306Cはシアンの画像を、M版作像ユニット306Mはマゼンタの画像を、Y版作像ユニット306Yはイエローの画像を、K版作像ユニット306Kはブラックの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、C版作像ユニット306Cについて具体的に説明するが、他の作像ユニット306M、306Y、306KはC版作像ユニット306Cと同様であるので、その他の作像ユニット306M、306Y、306Kの各構成要素については、C版作像ユニット306Cの各構成要素に付したCに替えて、M、Y、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト305は、回転駆動される駆動ローラ307と従動ローラ308とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ307は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ307と、従動ローラ308とが、無端状移動手段である搬送ベルト305を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト305に対して、最初のC版作像ユニット306Cが、シアンのトナー画像を転写する。C版作像ユニット306Cは、感光体としての感光体ドラム309C、この感光体ドラム309Cの周囲に配置された帯電器310C、光書き込み装置311、現像器312C、感光体クリーナ(図示せず)、除電器313C等から構成されている。光書き込み装置311は、夫々の感光体ドラム309C、309M、309Y、309K(以降、総じて「感光体ドラム309」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム309Cの外周面は、暗中にて帯電器310Cにより一様に帯電された後、光書き込み装置311からのシアン画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器312Cは、この静電潜像をシアントナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム309C上にシアンのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム309Cと搬送ベルト305とが当接若しくは最も接近する位置(以下、「転写位置」とする)で、転写器315Cの働きにより搬送ベルト305上に転写される。この転写により、搬送ベルト305上にシアンのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム309Cは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器313Cにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、C版作像ユニット306Cにより搬送ベルト305上に転写されたシアンのトナー画像は、搬送ベルト305のローラ駆動により次のM版作像ユニット306Mに搬送される。M版作像ユニット306Mでは、C版作像ユニット306Cでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム309M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたシアンの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト305上に転写されたシアン、マゼンタのトナー画像は、さらに次の作像ユニット306Y、306Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム309Y上に形成されたイエローのトナー画像と、感光体ドラム309K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト305上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
このようにして搬送ベルト305上にフルカラーの中間転写画像が形成されると、転写紙格納ユニット301に収納された転写紙304が最も上のものから順に送り出され、搬送経路上でその転写紙と搬送ベルト305とが接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト305上に形成された中間転写画像がその転写紙面上に転写される。これにより、転写紙304の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された転写紙304は更に搬送され、定着ユニット316にて画像形成面に垂直な方向から挟み込まれて加圧されながら加熱されることにより画像を定着された後に外部に排出される。定着ユニット316は、図1に示す定着部20によって実現される。
このように、本実施形態においては、中間転写画像が搬送ベルト305上に形成されてその中間転写画像が転写紙に転写される方式、即ち、間接転写方式の画像形成装置を例にして説明するが、図7に示すように、転写紙に画像が直接形成される方式、即ち、直接転写方式の画像形成装置であっても適用可能である。
尚、本実施形態に係る定着ユニット316は、画像形成面に垂直な方向から転写紙を挟み込みながら回転することにより転写紙を搬送しつつ加圧するための定着ローラ316a及び316bを備える。また、本実施形態においては、定着ローラ316a及び316bの定着面上には、加熱素子が複数配列されて構成された加熱素子アレイが備えられている。定着ローラ316a及び316bが、図1に示す定着ヒータ220の具体的態様である。尚、本実施形態においては、定着ローラ316a及び316b共に加熱素子アレイを備える例について説明するが、定着ローラ316a及び316bのうち、転写紙のトナー画像が形成された面のみを加熱するように、その面に対応する定着ローラのみが上記加熱素子アレイを備えるように構成されていても良い。
次に、本実施形態に係る回路部210の機能構成について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る回路部210の機能構成を模式的に示すブロック図である。図8に示すように、本実施形態に係る回路部210は、定着ヒータ給電制御回路211、外部電源電圧ゼロクロス検知回路212、外部電源電圧測定回路213、A/D(Analog/Digital)変換回路214、定着ヒータ切替制御回路215の各回路を含む。
定着ヒータ給電制御回路211は、システム制御部11からバス21を介して入力される定着ヒータ給電制御信号Scに従って、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。ここで、定着ヒータ給電制御信号Scとは、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御するための2値のデジタル信号であって、システム制御部11からバス21を介して定着ヒータ給電制御回路に出力される。
具体的には、本実施形態に係る定着ヒータ給電制御回路211は、入力された定着ヒータ給電制御信号ScがHighの場合には、外部電源2から定着ヒータ220へ電力が供給されるように制御し、一方、入力された定着ヒータ給電制御信号ScがLowの場合には、外部電源2から定着ヒータ220へ電力が遮断されるように制御する。
尚、本実施形態に係るシステム制御部11は、画像形成装置1のメイン電源が投入されている状態においては、外部電源2から定着ヒータ220への電力供給が維持されるように定着ヒータ給電制御信号Sc(High)を出力する。但し、本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220の温度が異常値となる等、定着ヒータ220に異常が発生した場合には、外部電源2から定着ヒータ220への電力を遮断するように定着ヒータ給電制御信号Sc(Low)を出力する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220の異常発生に伴う弊害を回避することが可能となる。
外部電源電圧ゼロクロス検知回路212は、外部電源2から出力される交流電圧のゼロクロスを検知し、検知結果であるゼロクロス検知信号Szをバス21を介してシステム制御部11に出力する。システム制御部11は、ここで出力されたゼロクロス検知信号Szを、後述する定着ヒータ切替制御信号ScntlにおけるHighとLowとを切り替えるタイミングに利用する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替えの際のノイズの発生や突入電流の発生を抑えることが可能となる。
外部電源電圧測定回路213は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧を降圧した上で全波整流して平滑化した後の電圧を測定信号としてA/D変換回路214に出力する。A/D変換回路214は、外部電源電圧測定回路213から出力された上記測定信号をA/D変換してデジタル信号である電圧測定信号Vdとしてバス21を介してシステム制御部11に出力する。このようにして、本実施形態に係る外部電源電圧測定回路213及びA/D変換回路214は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値を測定する。即ち、本実施形態においては、外部電源電圧測定回路213及びA/D変換回路214が電圧値測定部として機能する。システム制御部11は、ここで出力された電圧測定信号Vdにより、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値を検知することができる。
A/D変換回路214は、上述したように、外部電源電圧測定回路213との協同により、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値を測定する他、温度センサ230から出力される測定信号をA/D変換してデジタル信号である温度測定信号Tdとしてバス21を介してシステム制御部11に出力する。このようにして、本実施形態に係る温度センサ230及びA/D変換回路214は、定着ヒータ220若しくはその周辺の温度を測定する。システム制御部11は、ここで出力された温度測定信号Tdにより、定着ヒータ220若しくはその周辺の温度を検知することができる。
定着ヒータ切替制御回路215は、定着ヒータ給電制御回路211が外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を行うように制御している状態において、システム制御部11からバス21を介して定着ヒータ切替制御信号Scntl及び定着ヒータ切替制限信号Slmtが入力された場合に、入力されたそれら信号に従って、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を定着ヒータ220へ供給するか遮断するかの切り替を制御する。即ち、本実施形態においては、定着ヒータ切替制御回路215が切替制御部として機能し、定着ヒータ切替制御信号Scntlが電力供給制御信号として機能する。
ここで、定着ヒータ切替制御信号Sctrlとは、定着ヒータ給電制御回路211が外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を行うように制御している状態において、その供給電力を定着ヒータ220へ供給するか遮断するかを切り替えるための2値のデジタル信号であって、システム制御部11からバス21を介して定着ヒータ切替制御回路215に出力される。即ち、本実施形態においては、システム制御部11が電力供給制御信号出力部として機能する。
具体的には、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、定着ヒータ切替制限信号Slmtによる定着ヒータ切替制御信号Sctrlの制限がない状態において、入力された定着ヒータ切替制御信号ScntlがHighの場合には、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を定着ヒータ220へ供給するように制御し、一方、入力された定着ヒータ切替制御信号ScntlがLowの場合には、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を遮断するように制御する。即ち、本実施形態においては、HighとLowとのシグナルが制御情報として機能する。
また、定着ヒータ切替制限信号Slmtとは、定着ヒータ切替制御信号Sctrlを制限するか否かを切り替えるための2値のデジタル信号であって、システム制御部11からバス21を介して定着ヒータ切替制御回路215に出力される。即ち、本実施形態においては、定着ヒータ切替制限信号Slmtが制御情報制限信号として機能し、システム制御部11が制御情報制限信号出力部として機能する。
具体的には、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがHighの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlを制限しないように制御し、一方、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがLowの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlをそのシグナルに関係なく全てLowに制限するように制御する。
即ち、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215においては、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがHighの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlは制限されないためそのシグナルはそのままである。一方、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215においては、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがLowの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlは制限されるためそのシグナルがHgihでもLowでも全てLowに制限されることになる。
従って、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがHighの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlに従った制御を行う。一方、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがLowの場合には、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlのシグナルに関係なく、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を遮断するように制御する。
このように、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlのシグナルを、入力された定着ヒータ切替制限信号Slmtに従って制御することで、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力の供給と遮断との切り替えを制限するか否かを切り替えることができる。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、システム制御部11において、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替えを制限したいと判断した場合、即ち、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え回数を低減したいと判断した場合、定着ヒータ切替制限信号SlmtをHighからLowに切り替えことにより定着ヒータ切替制御信号Sctrlを制限することで、上記目的を達成することが可能となる。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
尚、本実施形態に係るシステム制御部11は、通常は、定着ヒータ切替制御信号Sctrlを制限する必要がないため、即ち、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する必要がないため、定着ヒータ切替制限信号Slmtの出力シグナルをHighとしている。但し、本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ切替制御信号Sctrlを制限する必要がある場合、即ち、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する必要がある場合には、定着ヒータ切替制限信号Slmtの出力シグナルをHgihからLowに切り替える。
次に、本実施形態に係る回路部210に含まれる各回路の具体的態様について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る回路部210に含まれる各回路の具体的態様を示す回路図である。
図9に示すように、本実施形態に係る定着ヒータ給電制御回路211は、システム制御部11からバス21を介してトランジスタQ1のベースに入力される定着ヒータ給電制御信号Scに従ってリレーRY1のオンとオフとが切り替えられることで、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。
具体的には、本実施形態に係る定着ヒータ給電制御回路211は、トランジスタQ1のベースに入力された定着ヒータ給電制御信号ScがHighの場合には、リレーRY1がオンになることで外部電源2から定着ヒータ220へ電力が供給されるように制御する。一方、本実施形態に係る定着ヒータ給電制御回路211は、トランジスタQ1のベースに入力された定着ヒータ給電制御信号ScがLowの場合には、リレーRY1がオフになることで外部電源2から定着ヒータ220へ電力が遮断されるように制御する。
本実施形態に係る外部電源電圧ゼロクロス検知回路212は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧をダイオードブリッジDB1により全波整流し、全波整流したその電圧によりフォトカプラPC1のオンとオフとを切り替えることでトランジスタQ2のコレクタからゼロクロス検知信号Szをバス21を介してシステム制御部11に出力する。
本実施形態に係る外部電源電圧測定回路213は、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧をトランスT1で降圧した上で、ダイオードブリッジDB2により全波整流してコンデンサC2により平滑化した後、その平滑化した電圧を測定信号としてA/D変換回路214に出力する
本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、ANDゲートG1において、システム制御部11からバス21を介して入力される定着ヒータ切替制御信号Scntlと、システム制御部11からバス21を介して入力される定着ヒータ切替制限信号Slmtとの論理積である制限後定着ヒータ切替制御信号StlをトランジスタQ3のベースに出力する。
ここで、制限後定着ヒータ切替制御信号Stlとは、定着ヒータ給電制御回路211が外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を行うように制御している状態において、定着ヒータ切替制御信号Scntlの代わりに、その供給電力を定着ヒータ220へ供給するか遮断するかを切り替えるための2値のデジタル信号であって、上述したように、定着ヒータ切替制御信号Scntlと定着ヒータ切替制限信号Slmtとの論理積である。
従って、定着ヒータ切替制限信号SlmtがHighの場合、即ち、実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215が定着ヒータ切替制御信号Scntlを制限しないように制御する場合、定着ヒータ切替制御信号Scntlと制限後定着ヒータ切替制御信号Stlとのシグナルは同じである。一方、定着ヒータ切替制限信号SlmtがLowの場合、即ち、実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215が定着ヒータ切替制御信号Scntlを制限するように制御する場合、定着ヒータ切替制御信号Scntlのシグナルに関係なく制限後定着ヒータ切替制御信号StlのシグナルはLowとなる。
そして、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、トランジスタQ3のベースに入力される制限後定着ヒータ切替制御信号Stlに従ってフォトトライアックPT1を介してトライアックTA1のオンとオフとが切り替えられることで外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。
具体的には、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、制限後定着ヒータ切替制御信号StlがHighの場合には、トライアックTA1がオンになることで定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を定着ヒータ220へ供給するように制御する。一方、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、制限後定着ヒータ切替制御信号StlがLowの場合には、トライアックTA1がオフになることで定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を遮断するように制御する。
従って、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制限信号SlmtがHighの場合、即ち、実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215が定着ヒータ切替制御信号Scntlを制限しないように制御する場合、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlに従った制御を行う。一方、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、定着ヒータ切替制限信号SlmtがLowの場合、即ち、実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215が定着ヒータ切替制御信号Scntlを制限するように制御する場合、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlのシグナルに関係なく、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力を遮断するように制御する。
このように、本実施形態に係る定着ヒータ切替制御回路215は、入力された定着ヒータ切替制御信号Sctrlのシグナルを、入力された定着ヒータ切替制限信号Slmtに従って制御して制限後定着ヒータ切替制御信号StlをトランジスタQ3のベースに出力することで、定着ヒータ給電制御回路211による外部電源2から定着ヒータ220への供給電力の供給と遮断との切り替えを制限するか否かを切り替えることができる。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、システム制御部11において、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替えを制限したいと判断した場合、即ち、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え回数を低減したいと判断した場合、定着ヒータ切替制御信号Sctrlを定着ヒータ切替制限信号Slmtにより制限した制限後定着ヒータ切替制御信号Stlに従って外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御することで、上記目的を達成することが可能となる。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
このように構成された画像形成装置1において、本実施形態に係る要旨の一つは、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることにある。そのために、本実施形態に係る画像形成装置1はまず、外部電源2の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、あるタイミングで測定した外部電源2の電圧値と上記基準電圧とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害が頻繁に発生している状況であると判断して、それ以上そのような弊害が発生しないように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際にはまず、システム制御部11は、基準電圧測定イベントが発生したか否かを判断する(S1001)。ここで、基準電圧測定イベントとは、画像形成装置1に基準電圧値を測定させるためのイベントであって、外部電源2が正常に動作している状態でのあるタイミング、即ち、外部電源2の電圧値に変動がないタイミング、若しくは、その変動が所定値以内であるタイミング(基準タイミング)で発生する。この基準タイミングは、例えば、起動処理完了、省エネ復帰処理完了、印刷ジョブ受信をトリガとして発生し、若しくは、定着ヒータ220がオフ状態のときに発生する。
システム制御部11は、S1001の判断処理において、基準電圧測定イベントが発生したと判断すると(S1001/YES)、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値を外部電源電圧測定回路213に測定させ(S1002)、その電圧値を基準電圧値として、動作状況記録テーブルに記録する(S1003)。
ここで、動作状況記録テーブルについて、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る動作状況記録テーブルの一例を示す図である。図11に示すように、本実施形態に係る動作状況記録テーブルは、画像形成装置1のとりうる「動作状態」毎に「動作状況」が記録されたテーブルである。この「動作状況」とは、定着ヒータ220の切り替え制御に関わる動作状況を指し、「電圧変動回数」及び「基準電圧値」により定められる。
このような動作状況記録テーブルにおいて、本実施形態に係るシステム制御部11は、基準タイミングにおいて外部電源電圧測定回路213に測定させ、その時の電圧値を基準電圧値として「基準電圧値」に記録し、また、単位時間あたりにカウントした電圧変動回数を「電圧変動回数」に記録する。即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、基準タイミングにおいて外部電源電圧測定回路213に測定させた基準電圧値Vsを「基準電圧値」に記録し、また、「待機状態」、「ウォームアップ状態」、「印刷状態」の各動作状態において単位時間あたりにそれぞれカウントした電圧変動回数Ca、Cb、Ccを「電圧変動回数」に記録する。尚、この動作状況記録テーブルは、RAM13やHDD14に記憶される。
システム制御部11は、S1001の判断処理において、基準電圧測定イベントが発生していないと判断すると(S1001/NO)、電圧変動率算出イベントが発生したか否かを判断する(S1004)。ここで、電圧変動率算出イベントとは、画像形成装置1に電圧変動率を算出させるためのイベントであって、基準タイミングとは異なるタイミングで発生し、例えば、待機状態、ウォームアップ状態、印刷状態のときに発生する。
システム制御部11は、S1004の判断処理において、電圧変動率算出イベントが発生していないと判断すると(S1004/NO)、本実施形態に係る画像形成装置1は、そのまま、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を終了する。
一方、システム制御部11は、S1004の判断処理において、電圧変動率算出イベントが発生したと判断すると(S1004/YES)、外部電源2から定着ヒータ220へ出力される交流電圧の電圧値を外部電源電圧測定回路213に測定させて(S1005)、そのときの測定電圧値を対象として電圧変動率ΔVrを算出し(S1006)、画像形成装置1の動作状態を判断する(S1007)。
システム制御部11は、S1007の判断処理において、画像形成装置1の動作状態が待機状態であると判断すると(S1007/A)、S1005の処理で算出された電圧変動率ΔVrと、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルに設定されている「待機状態」の「許容電圧変動率」ΔVaとを比較してそれらの大小関係を判断する(S1008)。このようにして、本実施形態に係るシステム制御部11は、基準電圧値と測定電圧値との差が許容範囲を超えているか否かを判断する。即ち、本実施形態おいては、システム制御部11が判断部として機能する。
システム制御部11は、S1008の判断処理において、ΔVrがΔVa以下であると判断すると(S1008/NO)、本実施形態に係る画像形成装置1は、そのまま、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を終了する。
一方、システム制御部11は、S1008の判断処理において、ΔVrの方がΔVaよりも大きいと判断すると(S1008/YES)、動作状況記録テーブルに記録されている「待機状態」の「電圧変動回数」Caに1を加算する(S1009)。本実施形態に係るシステム制御部11は、このようにして電圧変動回数をカウントする。即ち、本実施形態においては、システム制御部11が回数カウント部として機能する。
そして、システム制御部11は、動作状況記録テーブルに記録されている「待機状態」の「電圧変動回数」Caに1を加算すると、その「電圧変動回数」Caと、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルに設定されている「待機状態」の「許容電圧変動回数」Naとを比較してそれらの大小関係をする(S1010)。システム制御部11は、S1010の判断処理において、CaがNa以下であると判断すると(S1010/NO)、本実施形態に係る画像形成装置1は、そのまま、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を終了する。
一方、システム制御部11は、S1010の判断処理においてCaの方がNaよりも大きいと判断すると(S1010/YES)、定着ヒータ切替制限信号Slmtの出力シグナルをHighからLowに切り替える(S1017)。本実施形態に係るシステム制御部11は、このようにして定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
そして、システム制御部11は、切替制限解除イベントの発生を待って(S1018/NO)、切替制限解除イベントが発生すると(S1018/YES)、定着ヒータ切替制限信号Slmtの出力シグナルをLowからHighに切り替える(S1019)。本実施形態に係るシステム制御部11は、このようにして定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え制限を解除する。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、そのまま、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を終了する。
ここで、切替制限解除イベントとは、画像形成装置1に定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え制限を解除させるためのイベントであって、例えば、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え制限が開始されてから所定の期間だけ経過した際に発生し、若しくは、ユーザ操作により強制的に解除命令が入力された際に発生する。
また、システム制御部11は、S1007の判断処理において、画像形成装置1の動作状態がウォームアップ状態であると判断した場合(S1007/B)、若しくは、印刷状態であると判断した場合(S1007/C)、動作状況記録テーブル及び定着ヒータ切替制限条件設定テーブルを参照する際の動作状態のみが異なるだけで、S1008〜S1010、及び、S1017〜S1019と同様の処理が行われる。
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることにある。そのために、本実施形態に係る画像形成装置1はまず、外部電源2の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、あるタイミングで測定した外部電源2の電圧値と上記基準電圧とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害が頻繁に発生している状況であると判断して、それ以上そのような弊害が発生しないように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、省電力化を図りつつ定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置1は、消費電力が大きな定着ヒータのオンとオフとの切り替えの際に発生する急激な電流変化による電源電圧の変動を低減させ、また、突入電流を低減させることが可能となる。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1は、頻繁に繰り返される電流変動によって電源交流電圧に変動が生じ、周囲の照明にちらつきが発生する所謂フリッカ現象が生じたり、周辺機器にノイズが発生したりする等といったことを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータのオンとオフとの切り替えが頻繁に繰り返されることにより、定着部20が内蔵している電源装置及び加熱用回路への負荷が増大してそれらの製品寿命が短くなったり、発生した突入電流が他の周辺回路に流れ込んでノイズが発生したりする等といったことを低減させることが可能となる。
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータをオフ状態からオン状態へと高速で切り替えるために定着ヒータを素早く加熱しようとして大電流を一気に供給した結果、電力が供給過剰になって、定着装置が内蔵している電源装置及び加熱用回路に発熱や破損が発生し、若しくは、定着ヒータの温度が上昇しすぎて定着ヒータの製品寿命が短くなったり、周辺機器が高温に晒されたりする恐れがあるといったことを低減させることが可能となる。
尚、本実施形態においては、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルには許容電圧変動率が設定されており、基準電圧値と測定電圧値との電圧変動率がその許容電圧変動率を超えたか否かを判断することで基準電圧値と測定電圧値との差が許容範囲を超えているか否かを判断する例について説明した。この他、定着ヒータ切替制限条件設定テーブルには許容電圧変動率の替わりに許容電圧変動値が設定されており、基準電圧値と測定電圧値との差の絶対値がその許容電圧変動値を超えたか否かを判断することで基準電圧値と測定電圧値との差が許容範囲を超えているか否かを判断するように構成されていても良い。
また、本実施形態においては、加熱装置である定着ヒータ220を備えた電子写真方式の画像形成装置を例として説明したが、転写紙に吐出されたインクを加熱して乾燥させるための乾燥装置を加熱装置として備えたインクジェット式の画像形成装置や、供給される電力に応じて発熱することで加熱する加熱装置に共通して適用可能である。
また、本実施形態においては、商用電源や家庭用電源等のAC電源から供給される電力により駆動する画像形成装置1を例として説明したが、蓄電装置や乾電池等のDC(Direct Current)電源から供給される電力により駆動する画像形成装置であっても適用可能である。このような場合、電力供給源である外部電源2からは直流電圧が出力されるため、回路部210には外部電源電圧ゼロクロス検知回路212が必要なくなる。
また、本実施形態おいては、基準電圧値と測定電圧値との電圧変動率が許容範囲以上となった回数が、単位時間当たりに所定の回数を超えた場合、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する例について説明した。この他、規定時間内における電圧変動率が許容範囲以上となった回数が、単位時間当たりに所定の回数を超えた場合、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限するように構成されていても本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
これは、上記規定時間内における最大電圧値を基準電圧値とし、最低電圧値を測定電圧値として定義する、若しくは、上記規定時間内における最低電圧値を基準電圧値とし、最大電圧値を測定電圧値として定義すると、本実施形態と同様の構成となるためである。
ここで、規定時間として、例えば、フリッカの規定であるIEC(International Electrotechnical Commission)61000−3−3により規定されている。
実施の形態2.
実施の形態1においては、単位時間当たりの電圧変動回数が定着ヒータ切替制限条件設定テーブルの「許容電圧変動回数」を超えた場合、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限する例について説明した。この場合、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となるが、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替え制限の実施中においては消費電力が高くなってしまうことになる。
そこで、本実施形態においては、単位時間当たりの電圧変動回数が定着ヒータ切替制限条件設定テーブルの「許容電圧変動回数」を超えた場合、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替えが一切行われないようにその切り替えを制限するのではなく、その切り替え頻度が低減するようにその切り替えを制限する例について説明する。この場合、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させ、かつ、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替え制限の実施中においても消費電力を低減させることが可能となる。
即ち、本実施形態に係る画像形成装置においては、更なる省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることを要旨の一つとしている。そのために、本実施形態に係る画像形成装置はまず、外部電源の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置は、あるタイミングで測定した外部電源の電圧値と上記基準電圧とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置は、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替え頻度が低減するようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させ、かつ、外部電源から定着ヒータへの電力の供給と遮断との切り替え制限の実施中においても消費電力を低減させることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係るパラメータメモリ15に格納されている定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルについて、図12を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルの一例を示す図である。
図12に示すように、本実施形態に係る定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルは、画像形成装置1のとりうる「動作状態」毎に「制限後切替制御条」が設定されたテーブルである。ここで、制限後切替制御条とは、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態において、システム制御部11が定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件のことであり、「制限後目標温度」及び「制限後切替制御温度範囲」により定められる。
本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態において、定着ヒータ220の温度が「制限後目標温度」に設定されている温度となるように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、画像形成装置1が「待機状態」、「ウォームアップ状態」、「印刷状態」の各動作状態にある場合、定着ヒータ220の温度がそれぞれ、Ta’℃、Tb’℃、Tc’℃となるように外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御する。尚、このTa’℃、Tb’℃、Tc’℃はそれぞれ、定着ヒータ切替制御条件設定テーブルに設定されている「目標温度」Ta℃、Tb℃、Tc℃と同じ温度であっても良いが、画像形成装置1の動作に影響を及ばさない範囲でより低い温度に設定されことで、省電力化を図りつつ定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減することが可能となる。
また、本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態において、上述したように、定着ヒータ220の温度が「制限後目標温度」に設定されている温度となるように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給を制御するが、その際の具体的な制御として、定着ヒータ220の温度が「制限後目標温度」に設定されている温度から「制限後切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合に、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断とを切り替える。このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が「制限後目標温度」に設定されている温度から「制限後切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合に、定着ヒータ220のオンとオフとを切り替える。
即ち、本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態において、画像形成装置1が「待機状態」にある場合、定着ヒータ220がオフであるときに放熱によりその温度が(Ta’−ΔTa’)℃となった際に定着ヒータ220をオンに切り替え、一方、定着ヒータ220がオフである時に加熱によりその温度が(Ta’+ΔTa’)℃となった際に定着ヒータ220をオフに切り替える。「ウォームアップ状態」、「印刷状態」についても同様である。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記制限後切替制限条件を、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の判断基準としている。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220の温度が「制限後目標温度」に設定されている温度から「制限後切替制御温度範囲」に設定されている温度だけ上下した場合、定着ヒータ220の温度が上がり過ぎ若しくは下がり過ぎであると判断して、それらの状況に応じて定着ヒータ220のオンとオフとを切り替える。
ここで、本実施形態においては、定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルに設定されている「制限後切替制御温度範囲」ΔTa’、ΔTb’、ΔTc’はそれぞれ、定着ヒータ切替制御条件設定テーブルに設定されている「切替制御温度範囲」ΔTa、ΔTb、ΔTcよりも大きくなるように設定されている。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態においては、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されていない状態よりも、その切り替えの頻度を低減させること可能となる。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えが制限されている状態における消費電力を低減させることが可能となる。本実施形態に係る画像形成装置1はこのような制御を要旨の一つとしている。
尚、本実施形態に係るシステム制御部11は、通常は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する必要がないため、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件は定着ヒータ切替制御条件設定テーブルである。但し、本実施形態に係るシステム制御部11は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する必要がある場合には、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件を、定着ヒータ切替制御条件設定テーブルから定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルに切り替える。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1においては、更なる省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることを要旨の一つとしている。そのために、本実施形態に係る画像形成装置1はまず、外部電源2の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、あるタイミングで測定した外部電源2の電圧値と上記基準電圧とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害が頻繁に発生している状況であると判断して、それ以上そのような弊害が発生しないように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替え頻度が低減するようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させ、かつ、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替え制限の実施中においても消費電力を低減させることが可能となる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図13に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1が、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際には、図10において説明した処理S1001〜S1016と同様の処理を行う(S1301〜S1316)。そして、システム制御部11は、S1310、S1313、S1316の判断処理においてそれぞれ、CaがNa以下であると判断し(S1310/NO)、若しくは、CbがNb以下であると判断し(S1313/NO)、若しくは、CcがNc以下であると判断すると(S1316/NO)、本実施形態に係る画像形成装置1は、そのまま、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する際の処理を終了する。
一方、システム制御部11は、S1310、S1313、S1316の判断処理においてそれぞれ、Caの方がNaよりも大きいと判断し(S1310/YES)、若しくは、Cbの方がNbよりも大きいと判断し(S1313/YES)、若しくは、Ccの方がNcよりも大きいと判断すると(S1316/YES)、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件を、定着ヒータ切替制御条件設定テーブルから定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルに切り替える(S1317)。即ち、本実施形態においては、システム制御部11が設定温度変更部として機能する。本実施形態に係るシステム制御部11は、このようにして定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させることが可能となる。
そして、システム制御部11は、切替制限解除イベントの発生を待って(S1318/NO)、切替制限解除イベントが発生すると(S1318/YES)、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えを制御する際の条件を、定着ヒータ制限後切替制御条件設定テーブルから定着ヒータ切替制御条件設定テーブルに切り替える(S1319)。本実施形態に係るシステム制御部11は、このようにして定着ヒータ220のオンとオフとの切り替え制限を解除する。
以上、説明したように、本実施形態に係る本実施形態に係る画像形成装置1は、更なる省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替え回数を低減させることを要旨の一つとしている。そのために、本実施形態に係る画像形成装置1はまず、外部電源2の電圧値に変動がない若しくはその変動が所定値以内であるときの電圧値を基準電圧値として測定する。そして、本実施形態に係る画像形成装置1は、あるタイミングで測定した外部電源2の電圧値と上記基準電圧とを比較して、許容範囲以上に電圧変動があるか否かを判断するといった処理を異なるタイミングにおいて都度行い、許容範囲以上に電圧変動があると判断した回数をカウントする。
このようにして上記回数をカウントした結果、単位時間当たりの上記回数が所定の回数を超えた場合、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着ヒータ220のオンとオフとの切り替えに伴う弊害が頻繁に発生している状況であると判断して、それ以上そのような弊害が発生しないように、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替え頻度が低減するようにその切り替えを制限する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、省電力化を図りつつ定着ヒータのオンとオフとの切り替えに伴う弊害を低減させ、かつ、外部電源2から定着ヒータ220への電力の供給と遮断との切り替え制限の実施中においても消費電力を低減させることが可能となる。