JP2015116081A - 回転電機製造方法、及び、照射装置 - Google Patents

回転電機製造方法、及び、照射装置 Download PDF

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Hirofumi Fujii
弘文 藤井
聡寛 田渕
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聡寛 田渕
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【課題】作業性が良好で、且つ、回転電機に対して電気的な信頼性を付与させることが可能な回転電機製造方法を提供すること。【解決手段】回転電機用コアに装着された絶縁被覆導体たるコイルの表面にワニスによって形成された被膜を硬化させる硬化工程を備えており、前記ワニスが、熱で硬化可能であり、更に、活性エネルギー線でも硬化可能であり、前記硬化工程は、前記被膜に活性エネルギー線を照射することにより、前記ワニスの粘度を増大させる照射工程と、前記ワニスの粘度が増大された前記被膜を加熱することにより、前記ワニスを硬化させる熱硬化工程とを備えており、前記回転電機用コアが、円筒状に形成されており、前記照射工程では、前記回転電機用コアの内側から前記被膜に活性エネルギー線を照射する第1照射と、前記回転電機用コアの外側から前記被膜に活性エネルギー線を照射する第2照射実施する、回転電機製造方法を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、回転電機を製造する回転電機製造方法、及び、照射装置に関する。
従来、車載用の回転電機として、エンジンの回転といった運動エネルギーを電気的なエネルギーに変換するための発電機や、バッテリーに蓄えられた電気的なエネルギーを駆動エネルギーに変換するための電動機などが知られている。
このような回転電機の主構成要素の一つであるステータ(固定子)は、一般に、複数のスロットをもつステータコア(固定子鉄心)と、このステータコアの軸方向両端からそれぞれ軸方向外側に突出するコイルエンドを形成しながらスロット内に装着されたコイル(ステータコイル)とを備えている。
前記ステータコイルは、通常、軟銅線などの導体にエナメル被膜によって絶縁被覆がされた巻線などの絶縁被覆導体によって形成されている。
また、近年において、前記コイルは、導体サイズの大きな平角エナメル線をU字状に折り曲げて、略平行する2本の直線状の脚部と該脚部の一端を接続する頭部とを有する“セグメント導体”と呼ばれる部材によって形成されたりしている(下記特許文献1参照)。
このセグメント導体型のステータを作製するのに際しては、頭部により接続された一端側とは逆側となる脚部の他端において導体を露出させた状態にしたセグメント導体を、コイルを形成させるのに必要な数だけステータコアのスロットに収容させて、しかも、両脚部の導体露出箇所がステータコアの端面よりも軸方向外側に突出した状態となるようにした後で、異なるセグメント導体の前記導体露出箇所どうしを電気溶接やロウ材溶接することによって電気的に接続させる方法で前記ステータコイルが形成されている。
ところで、このようなセグメント導体や前記巻線によって形成されたコイルに対しては、コアに対する固定、絶縁被覆の損傷防止などといった回転電機に対する信頼性確保の目的でワニス処理が行われている(下記特許文献2参照)。
前記ワニス処理は、一般的には熱硬化性のワニスを用いて実施されており、回転電機用コアに絶縁被覆導体からなるコイルを装着した後にコイルエンドやスロット内における絶縁被覆導体の表面に前記ワニスで被膜を形成させ、該ワニスを熱硬化させる方法によって実施されている。
また、前記ワニス処理は、コイルを形成している絶縁被覆導体の線間にワニスを含浸させることにより、当該線間から空隙を除去して部分放電開始電圧を向上させる目的で実施されたりもしている。
このようなワニス処理においては、低粘度なワニスを用いる方が被膜への気泡巻き込みを抑制させうるとともに当該ワニスを線間に含浸させ易い点において有利となる。
反面、低粘度なワニスを用いてワニス処理を実施すると、前記ワニスを硬化させるべく加熱を行った際に当該ワニスの粘度がさらに低下するために絶縁被覆導体に対する付着力が低下して該絶縁被覆導体表面から脱離し易くなる。
このようにして熱硬化時にワニスが絶縁被覆導体から脱離するとワニス処理を行う必要の無い箇所に硬化被膜を形成させるおそれがあり、熱硬化後に不要箇所からワニスの硬化被膜を除去する作業が必要になるおそれがある。
また、熱硬化時にワニスが絶縁被覆導体から脱離するとワニスの硬化被膜の厚みが十分に確保されないおそれがある。
従って、従来のワニス処理は、その作業性を良好なものにすることと、回転電機に対して電気的な信頼性を付与させることとの両立を図ることが困難になっている。
また、このことから従来の回転電機は、電気的信頼性に優れたものを容易に製造することが困難になっている。
特開2005−124388号公報 国際公開第WO2004/098028号公報
本発明は、上記のような問題の解決を図ることを課題としており、作業性が良好で、且つ、回転電機に対して電気的な信頼性を付与させることが可能な回転電機製造方法及び照射装置を提供し、ひいては製造容易で電気的信頼性に優れた回転電機を提供することを課題としている。
本発明は、回転電機用コアに装着された絶縁被覆導体たるコイルの表面にワニスによって形成された被膜を硬化させる硬化工程を備えており、
前記ワニスが、熱で硬化可能であり、更に、活性エネルギー線でも硬化可能であり、
前記硬化工程は、前記被膜に活性エネルギー線を照射することにより、前記ワニスの粘度を増大させる照射工程と、前記ワニスの粘度が増大された前記被膜を加熱することにより、前記ワニスを硬化させる熱硬化工程とを備え、
前記回転電機用コアが、円筒状に形成されており、
前記照射工程では、該円筒状の回転電機用コアの内側から前記被膜に対して活性エネルギー線を照射する第1照射と、前記回転電機用コアの外側から前記被膜に対して活性エネルギー線を照射する第2照射とを実施する、回転電機製造方法。
である。
本発明の回転電機製造方法は、好ましくは、製造する回転電機が、電気自動車又はハイブリッド自動車の駆動用モータであり、
前記絶縁被覆導体が、前記駆動用モータのステータコイルである。
また、本発明は、前記回転電機製造方法における前記照射工程で用いられ、
表面に前記被膜が形成された絶縁被覆導体を装着した回転電機用コアを保持する保持部と、
該保持部によって保持された回転電機用コアの前記被膜に活性エネルギー線を照射する照射部と、を備えており、
該照射部による前記照射が、前記回転電機用コアに装着されている前記絶縁被覆導体に対して該回転電機用コアの内側及び外側から実施される照射装置である。
さらに、本発明の照射装置においては、好ましくは、前記活性エネルギー線の照射位置を前記回転電機用コアの周方向に移動させ得るように、前記回転電機用コアと前記照射部とを前記回転電機用コアの中心軸周りに相対回転させる回転機構がさらに備えられている。
また、本発明の照射装置においては、好ましくは、前記保持部が前記回転電機用コアが載置される台を備え、前記回転電機用コアが中心軸方向を上下方向に向けた状態で前記台の上に載置されるべく前記保持部が構成されており、
前記照射部には、回転電機用コアの外周の直径よりも長い棒状の水銀灯が前記活性エネルギー線の線源として備えられ、該水銀灯が前記台上に載置された回転電機用コアの上方に位置し且つ長手方向が略水平方向となるように備えられている。
また、本発明の照射装置においては、好ましくは、前記回転機構が、前記台を回転させることにより、当該台上に載置した前記回転電機用コアと前記照射部とを前記相対回転させる機構である。
また、前記照射部が前記水銀灯を備える照射装置においては、好ましくは、前記照射部が、前記水銀灯を2本以上備えている。
本発明においては、熱硬化性を有するとともに活性エネルギー線によっても硬化反応を生じさせ得るワニスを用い、該ワニスの熱硬化に先立って活性エネルギー線の照射によって前記被膜を形成しているワニスの粘度を増大させることから、熱硬化時における絶縁被覆導体からのワニスの脱離を防止することができる。
また、本発明においては、前記第1照射と、前記第2照射とを実施することにより、円筒状の回転電機用コアの内側及び外側の双方とも前記被膜を形成しているワニスの粘度を増大させることから、熱硬化時における絶縁被覆導体からのワニスの脱離をより一層防止することができる。
即ち、本発明によれば、作業性が良好で、且つ、回転電機に対して電気的な信頼性を付与させることが可能な回転電機製造方法及び照射装置を提供することができ、製造容易で電気的信頼性に優れた回転電機を提供することができる。
一実施形態の回転電機製造方法において作製されるステータの一例を示した概略斜視図。 図1のステータの一部を拡大して示した概略斜視図。 図1のステータの断面構造を模式的に示した概略断面図。 セグメント導体を用いたコイル形成方法を模式的に示した概略正面図。 (a)一実施形態の照射装置を示した概略斜視図、(b)同概略平面図。 他実施形態の照射装置を示した概略斜視図。 試験例における評価用試料(試料2A)の作製方法を模式的に示した概略斜視図。
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、はじめに本発明の回転電機製造方法に関し、該製造方法によって作製する回転電機のステータの一例について図1〜3を参照しつつ説明する。
図1は、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用モータに組み込まれているステータを表す概略斜視図であり、セグメント導体によってコイルが形成されてなるステータを表す概略斜視図である。
また、図2は、図1のステータを天地逆にし、図1の矢印「x」の方向から見たステータの様子を、要部を拡大して示した概略斜視図である。
さらに、図3は、図1のステータを水平面によって切断した場合の断面構造について要部を拡大して示したもので、一つのスロットの断面状況を示した概略断面図である。
また、この図3正面視左側の丸囲いによる図は、右図Y部の概略拡大図である。
なお、図1は、前記ステータコア10の内側の中空部分が上下方向に貫通した状態となるようにステータ1を縦置きした様子を示しており、この図にも示されているように、前記ステータ1は、短い円筒形状のステータコア10と、該ステータコア10に装着されたコイル20とを有する。
即ち、図1に示したステータ1は、前記コイルエンド20a,20bがステータコア10の上下に配されており、以下においては、上側のコイルエンド20aを「第一コイルエンド」、下側のコイルエンド20bを「第二コイルエンド」、とそれぞれ呼び分けることがある。
円筒状の前記ステータコア10は、その内面側に複数条のスロット11が形成されており、この複数条のスロット11が、ステータコア10の周方向(矢印Bの方向)に所定の間隔を設けて互いに略平行するようにして配設されている。
該スロット11は、ステータコア10の全長にわたって形成されており、ステータコア10の上端面10a、及び、下端面10bには、図3に示したようなスロット11の断面形状と同形状の開口部11bが形成されている。
前記ステータコア10においては、上記のように複数のスロット11が並行することから、その間が板状となっている。
この板状突起12は、“ティース”などと呼ばれるもので、該ティース12は、ステータコア10の内側から該ステータコアの中心に向けて突出した状態で複数形成されている。
なお、前記ティース12は、突出方向先端部にステータコア10の周方向に広がる広幅に形成された広幅部12aを有しており、断面略T字状となっている。
そして、前記スロット11は、ティースの広幅部12aに該当する箇所から径方向外側がコイル収容箇所となっており、ステータコア10の内周面側においては周方向における幅が前記コイル収容箇所に比べて狭い線状開口部11aを形成させている。
このステータコア10のスロット11には、U字状に折り曲げ加工された平角エナメル線からなるセグメント導体の脚部がそれぞれ4本ずつ収容されており、径方向内側から外向きに一列に並んだ状態で計4本の脚部が収容されている。
本実施形態のステータ1は、これらのセグメント導体が互いに電気的に接続されて前記コイル20が形成されている。
なお、この4本の脚部とスロット11の内壁面との間にスロット絶縁紙40が介装されており、一番内周側の平角エナメル線とティース12の広幅部12aとの間にはスロット内から線状開口部11aに蓋をするような形でウェッジ50が介装されている。
なお、前記セグメント導体は、直線状の2本の脚部と該脚部の一端を曲線状に接続する頭部とを有し、前記2本の脚部を略平行させて前記U字状に形成されている。
本実施形態のステータ1におけるコイル20は、前記頭部によって接続されている側とは逆側となる脚部の他端側に当該脚部を略S字状に屈曲させてなる屈曲部211を有しているとともに該屈曲部211の先端にエナメル被膜(絶縁被覆)が除去された導体露出部211aを有しており、異なるセグメント導体の前記導体露出部211aが溶接されることによって形成されている。
従って、前記コイル20は、前記第一コイルエンド20aをセグメント導体の前記頭部によって形成させるとともに前記第二コイルエンド20bを前記屈曲部211によって形成させている。
なお、本実施形態の前記コイル20は、前記導体露出部211aの表面に前記エナメル被膜とは別のワニスの硬化被膜が形成されて絶縁被覆が施されている。
また、本実施形態のステータ1は、この導体露出部211aに対して絶縁被覆を施しているものと同じワニスが両コイルエンド20a,20bやスロット内においてコイル線間に含浸硬化されており、前記コイル20とステータコア10のスロット内壁面との間の空隙部にも前記ワニスが含浸硬化されている。
該ワニスによる導体露出部211aにおける絶縁被膜の形成や、線間含浸は、本実施形態の自動車用モータの製造方法におけるワニス処理によって形成されている。
以下に、図4を参照しつつ、本実施形態の駆動用モータの製造方法について説明する。
本実施形態の自動車用モータの製造方法においては、複数のセグメント導体20x,20x’をステータコア10にセットしてコイル20を形成させるコイル形成工程を実施した後に、該コイルをワニス処理するワニス処理工程を実施する。
なお、以下においては、セグメント導体の脚部に関し、頭部によって接続されている一端側を脚部の“基端”と称し、他端側を脚部の“先端”と称してコイル形成工程やワニス処理工程を説明する。
前記コイル形成工程は、例えば、以下の(a)〜(d)の工程を順に行うことにより実施することができる。
(a)長さがスロット11よりも長い2本の直線状の脚部と、該脚部の一端側をアーチ状に接続する頭部とを有するU字状のセグメント導体を複数用意し、次いで用意した前記セグメント導体20x,20x’の前記脚部21x,21x’の先端におけるエナメル被膜を剥離除去し、該脚部先端に導体を露出させた導体露出部21ax,21ax’を形成させる口出し工程。

(b)前記ステータコア10のスロット11に、該スロットの内壁面に沿うように折り曲げられたスロット絶縁紙40を収容させるとともにセグメント導体20x,21x’の脚部21x,21x’の先端を前記ステータコア10の一端側からスロット絶縁紙40の内側に差し入れ、前記先端がステータコア10の他端面よりも突出するようにしてセグメント導体をスロット11に収容させる導体収容工程(図4(ロ)参照)。

(c)前記導体収容工程によってスロット11に収容させたセグメント導体20x,21x’をステータコア10の端面よりも脚部突出方向僅かに外側において周方向Bに向かって傾倒するように折り曲げた後に、前記導体露出部21ax,21ax’を含む先端部分を逆向きに折り曲げて前記屈曲部211となる部分を形成させる導体屈曲工程(図4(ハ)参照)。

(d)電気的に接続すべきセグメント導体20x,21x’の導体露出部21ax,21ax’どうしを接近させてこれらを溶接し、該セグメント導体どうしを電気的に接続して、ステータコアにコイルが装着されたコイル装着体を作製する導体接続工程。
なお、前記口出し工程(a)における絶縁被覆の除去は、カッターナイフや回転砥石などの切削工具を用いて実施することができる。
また、前記導体収容工程(b)は、例えば、複数のセグメント導体20x,20x’を、前記脚部21x,21x’の先端が上方となり前記頭部22x,22x’が下方に位置するようにして前記ステータコア10への装着状態と同様になるように配置し、この配置されたセグメント導体の上方にスロット絶縁紙40がスロット11に収容されたステータコア10を配置して、前記セグメント導体と前記ステータコアとを上下方向に相対移動させて実施することができる。
このような方法を採用することで全てのセグメント導体を一度にステータコア10に収容させることができる。
なお、本実施形態においては、このような一度の操作で全てのセグメント導体をステータコアに装着する方法に代えて、単にセグメント導体を一つずつ順番にステータコア10に収容させる方法で導体収容工程(b)を実施しても良い。
前記導体屈曲工程(c)は、例えば、前記脚部21x,21x’の先端部をスロット11から突出している部分の根元において折り曲げて周方向Bに傾倒させ、該脚部21x,21x’の先端が一旦溶接位置を通り過ぎる状態となるまで折り曲げた後に、前記導体露出部21ax,21ax’が溶接位置において軸方向Aにまっすぐに立ち上がる状態となるように再び脚部の先端側を根元の折り曲げ方向とは逆向きに折り曲げて実施することができる。
前記導体接続工程(d)は、例えば、前記導体露出部21ax,21ax’を溶接することで実施でき、該溶接としては、ティグ溶接などのアーク溶接、ガス溶接といった融接方法;スポット溶接などの圧接方法;半田等のロウ材を用いたロウ付け方法;などにより実施することができる。
この導体接続工程(d)により全てのセグメント導体を溶接した後は、ステータコアの一端側(図4において下側)に前記頭部22x,22x’による第一コイルエンド20aが形成されるとともに前記一端側とは逆側となるステータコアの他端側において前記屈曲部211による第二コイルエンド20bが形成されることになる。
前記導体接続工程(d)によって作製されたコイル装着体は、第二コイルエンド20bにおいて導体が一部露出した状態になっていることからそのままの状態ではステータとして用いることができない。
従って、本実施形態においては、このコイル装着体に対して以下のワニス処理工程を実施し、導体露出箇所に絶縁被膜を形成させて前記駆動用モータのステータを作製する。
該ワニス処理工程は、例えば、下記(1)〜(5)の工程を順に行うことにより実施することができる。
(1)熱硬化性を有し、活性エネルギー線によっても硬化反応を生じさせることが可能なワニスを用意し、該ワニスを適度な粘度に調整するワニス準備工程。

(2)前記第二コイルエンド(導体露出部)側が下側になり、前記第一コイルエンド(頭部)側が上側になるようにしてコイル装着体を配置し、前記第一コイルエンド20aに対して前記ワニス準備工程で準備されたワニスを上側から滴下し、前記第一コイル20aを構成しているセグメント導体(頭部)の表面に前記ワニスによる被膜(ウェット被膜)を形成させるワニス滴下工程。

(3)前記ワニス滴下工程に引き続いて前記ワニスの滴下を継続させることにより、前記ステータコア10のスロット内にもワニスを含浸させ、さらに該スロットの下端から溢れ出させたワニスで前記第二コイルエンド20bにおいてもセグメント導体表面にウェット被膜を形成させる余滴工程。

(4)前記余滴工程後、両コイルエンド20a,20bに対して活性エネルギー線を照射することにより、前記ウェット被膜を形成しているワニスの粘度を増大させてゲル化させる照射工程。

(5)前記照射工程によってゲル化された被膜(ゲル被膜)を加熱することにより、前記ワニスを硬化させる熱硬化工程。
なお、前記ワニス準備工程(1)において用いる熱硬化性のワニスが、活性エネルギー線の照射によって硬化反応を示すかどうかが当該ワニスの成分などから不明である場合は予めワニス単体に対し、赤外光、可視光、紫外光といった光線、電子線、X線などの活性エネルギー線を照射し、該ワニスの粘度が向上するかどうかを確認すればよい。
また、前記ワニスは、上記例示の活性エネルギー線、又は、上記例示以外の活性エネルギー線の内、何れか一つに対して硬化反応を示せばよく、全ての活性エネルギー線によって硬化可能である必要性はない。
本実施形態のワニス処理工程においては、これらの中でも照射源を比較的容易に調達し易く、前記照射工程において厳重な管理を要しない点において前記光線により硬化可能なワニスを用いることが好ましい。
このような感光性且つ熱硬化性を有するワニスとしては、例えば、ラジカル重合可能なモノマーを主成分とし、該モノマー中に光の照射によってラジカルを発生させるラジカル発生剤を分散させたものを挙げることができる。
前記ワニス準備工程においては、ワニスを低粘度なものとする方が、前記ワニス滴下工程や前記余滴工程におけるコイル表面上でのワニスの濡れ広がりや、コイル線間等への含浸を良好にさせうる。
一方で、ワニスを高粘度なものとする方が、前記ウェット被膜の厚みを厚くさせることができるとともに線間での保持も良好になり、前記照射工程や前記熱硬化工程におけるコイル表面などからのワニスの脱離を抑制させることができる。
従って、良好なる作業性を確保しつつ電気的な信頼性の高いステータを作製するのに有利となる点においては、前記ワニスがある程度の粘度となっていることが好ましく、一般的な電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用モータに用いられるようなステータを作製する場合であれば、前記ワニスの粘度は25℃において0.05Pa・s以上10.0Pa・s以下であることが好ましく、1.0Pa・s以上5.0Pa・s以下であることがより好ましい。
なお、ここでいう「粘度」の値とは、JIS K5600−2−3:1999に規定されているコーン・プレート型粘度計(E型粘度計)を用いた測定方法により測定される値を意図しており、具体的には、試験例において示すような方法によって測定される値を意図している。
前記ワニスを上記のような好適な粘度に調整するには、溶媒、反応性希釈剤による希釈や、増粘剤を適宜添加すればよい。
前記ワニス滴下工程(2)や前記余滴工程(3)においては、前記ステータコアや前記コイルが常温(例えば、15℃〜30℃)の状態で実施することも可能であるが、例えば、前記ステータコアや前記コイルを40℃〜100℃程度に加熱しておいて線間へのワニスの含浸性を高めたり、続く照射工程におけるワニスの反応性を向上させておいたりすることも可能である。
なお、前記余滴工程(3)は、最終的に前記導体露出部において前記ワニスの硬化物による絶縁被膜が50μm〜1000μmの厚みで形成されるように実施することが好ましい。
前記絶縁被膜は厚みが薄い方が乾燥時にアウトガスを生じにくく結果としてボイドの形成が抑制されることになる。
前記導体露出部における絶縁被膜の形成厚みが50μm以上であることが好ましいのは、絶縁被膜の厚みを50μm以上確保することで、この部分を絶縁耐圧に優れたものとすることができ、ピンホール等の欠陥の発生防止も図ることができるためである。
また、前記導体露出部における絶縁被膜の形成厚みが1000μm以下であることが好ましいのは、絶縁被膜の厚みを1000μm以下とすることで、この部分にクラックを発生させるおそれを低減させることができるためである。
このような観点から絶縁皮膜の前記厚みは、100μm〜500μmであることが特に好ましい。
前記照射工程(4)は、円筒状の前記回転電機用コアの内側から前記被膜に活性エネルギー線を照射する第1照射と、前記回転電機用コアの外側から前記被膜に活性エネルギー線を照射する第2照射とを実施する工程である。
前記第1照射と前記第2照射とは、同時に実施しても別々に実施してもよい。
前記第1照射と前記第2照射とを別々に実施する場合、先に第1照射を実施した後で第2照射を実施しても、先に第2照射を実施した後で第1照射を実施してもよい。
前記照射工程(4)は、前記のように光線を照射して前記第1照射と前記第2照射とを実施することが好ましい。
前記第1照射と前記第2照射とは、光線の種類を異ならせて実施しても良いが、当該工程を実施するための装置構成を簡略化させ得る上においては光線の種類を共通させることが好ましく、なかでも、照射工程(4)は、高いエネルギーの光線を照射可能な機器が容易に調達可能である点において両照射とも紫外光を用いて実施することが好ましい。
また、該照射工程は、前記ワニスとして、紫外光の散乱に有効となるマイカ、セリサイト、タルクなどの板状鉱物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物粒子を含有するワニスを用い、該ワニスによる被膜内において光を多重反射させることにより被膜全体における硬化度の均一化を図るようにして実施してもよい。
なお、照射工程におけるワニスのゲル化は、熱硬化時の温度条件において0.05Pa・s以上の粘度を示すように実施することが好ましい。
このためには、照射工程は、少なくとも常温(25℃)における粘度が10Pa・s以上となるようにワニスをゲル化させることが好ましく、前記粘度が50Pa・s以上となるようにワニスをゲル化させることが特に好ましい。
従って、照射工程におけるワニスのゲル化は、常温(25℃)におけるゲル化前の粘度を、η0(Pa・s)、ゲル化後の常温(25℃)におけるワニスの粘度をη1(Pa・s)、熱硬化時の温度条件におけるゲル化後のワニスの粘度をη2(Pa・s)とした場合に、下記関係式(1)、(2)の内の何れかを満足させることが好ましく、下記関係式(1)、(2)の両方を満足させるように実施することがより好ましい。

η1 ≧ (η0×200) ・・・(1)
η2 ≧ η0 ・・・(2)
前記熱硬化工程(5)は、前記コイルに通電してジュール熱によるワニスの熱硬化を実施させる方法や、単にコイル装着体を加熱炉に収容して該加熱炉内で加熱する方法などにより実施することが可能である。
このワニスの硬化物により形成させる被膜(硬化被膜)は、十分な絶縁性を有することが好ましい。
なお、本明細書中における「絶縁性」とは、約0.1mm厚みの試料に対してJIS C2103:2006の6.6.3項に規定の絶縁破壊電圧の試験を実施した際に、10kV/mmの絶縁破壊強さを示すことを意味する。
そして、本実施形態における硬化被膜は、50kV/mm以上、望ましくは70kV/mm以上の絶縁破壊強さを示すワニス硬化物で形成させることが好ましく、少なくとも、前記導体露出部においては、最小被膜厚み[t(mm)]と前記ワニス硬化物の絶縁破壊強さ[VBD(kV/mm)]とが、下記関係式(3)を満足させていることが好ましい。

(2×t×VBD) ≧ 10kV ・・・(3)
本実施形態の駆動用モータ製造方法においては、上記のように作製されたステータをロータなどともにケーシングに収容させる工程が実施される。
なお、この工程は、従来のモータ製造方法と同様にして実施することができる。
従来のこの種のステータを作製するのに際しては、特開2003−244909号公報などに記載のように、前記第二コイルエンドに該当する導体露出部側を樹脂粉体中に浸漬させ樹脂粉体を流動させた状態でコイルを例えば150℃程度に加熱し、この熱により樹脂粉体を導体露出部に熱融着させて絶縁被膜を形成させた後にワニス処理が行われている。
そのため、従来のステータ製造方法においては、導体露出部に対する絶縁被膜の形成直後にワニス処理を実施しようとすると、コイルやステータコアが高温状態であるために熱硬化性のワニスがコイルやステータコアとの接触後、早期に硬化してしまい、コイル線間にワニスが十分に含浸されずに電気的な信頼性を確保することが困難になったり、不要箇所に硬化被膜が形成されて該硬化被膜の除去に多大な手間を生じさせたりしている。
一方で、樹脂粉体による絶縁被膜の形成後に十分な冷却期間を設けるとワニスの早期硬化を防止し得るものの一つのステータが完成するまでの時間を長期化させることになるためステータを容易に製造することが難しいという問題については解消させることが困難である。
本実施形態の製造方法においては、ワニスに活性エネルギー線の照射によりワニスをゲル化させることから、該ワニスの硬化被膜を従来よりも厚く確保させることができ樹脂粉体による導体露出部の絶縁被膜形成を省略させ得る。
従って、前記ワニス滴下工程や前記余滴工程をコイルやステータコアがワニスの硬化開始温度に対して十分低温となっている状態で実施することができるため、不要箇所に付着したワニスの除去も容易で且つワニスが行き渡らない箇所が形成されることを防止することができる。
また、紫外光等の活性エネルギー線の照射によるワニスのゲル化は、短時間で実施可能であるために、本実施形態の製造方法によれば、従来の方法に比べてステータを完成させるまでの時間を長期化させるおそれを抑制させ得る。
さらに、本実施形態の製造方法では、前記照射工程(4)において第1照射と、前記第2照射とを実施することにより、コイルやステータコアの影に隠れてワニスのゲル化が十分に進行しない部分が生じてしまうことを抑制させることができる。
言い換えれば、本実施形態の製造方法では、前記回転電機用コアの内側及び外側の双方とも前記被膜を形成しているワニスの粘度を増大させることができる。
従って、熱硬化時における絶縁被覆導体からのワニスの脱離をより一層防止することができる。
このように本実施形態のワニス処理方法は、作業性が良好で、且つ、自動車用の駆動モータに対して電気的な信頼性を付与させることが可能となる。
なお、作業性が良好で、且つ、電気的な信頼性を付与させることが可能となるという本発明の効果は、セグメント導体によって形成されたコイルを有するステータを作製する場合のみに発揮されるものではなく、巻線によって形成されたコイルを有するステータを作製する場合においても同じく発揮される効果である。
さらに、ワニス処理において上記のような効果が発揮されるのは、ステータに対してワニス処理を実施する場合に限定されるものではなく、ロータ(回転子)に対してワニス処理を行う場合においても同じである。
また、上記効果は、自動車用の駆動モータにおいてのみ発揮されるものではなく、モータやジェネレータといった各種の回転電機全般に対して広く発揮される効果である。
次に、本実施形態の照射装置について説明する。
本実施形態の照射装置は、本実施形態の回転電機製造方法における前記照射工程で用いられる装置である。
図5に示すように、前記照射装置50は、表面に前記ワニスによる被膜形成がされた絶縁被覆導体を装着している回転電機用コア(コイル装着体100)が所定の姿勢に保持される保持部51と、該保持部51によって保持されたコイル装着体100の前記被膜に活性エネルギー線を照射する照射部52と、を備えている。
具体的には、本実施形態の前記照射装置50は、前記コイル装着体100を収容するのに十分な内部空間を有するチャンバー50aを備え、該チャンバー50a内の低位置に前記保持部51を有するとともに該保持部51の上方に前記照射部52を有している。
前記照射装置50は、前記コイル装着体100を載置可能な台51aにより前記保持部51を構成させている。
前記台51aは、前記チャンバー50a内の下方に配されており、前記コイル装着体100においてステータコア10の端面より突出する第一コイルエンド20aや第二コイルエンド20bを収容可能な深さと開口径とを有し、且つ、該開口径がステータコア10の外周の直径よりも小さな円形凹部をコイル装着体100の載置面となる上面側に備えた天壁部51a1を備えている。
即ち、前記台51aは、コイル装着体100を中心軸が上下方向となるように載置した際に、円形凹部内にコイルエンドを収容し、且つ該円形凹部の外側をステータコア10の下面側に当接させて前記コイル装着体100を支持し得るように構成されている。
なお、前記台51aは、ステータコア10の支持面となる円形凹部の外側が略水平面となっている。
本実施形態における前記照射装置50は、台51aの前記天壁部51a1を水平面内において軸周りに回転させる回転機構をさらに備えており、具体的には、垂直方向に延在し且つ駆動源によって回転可能となっているシャフト(図示せず)によって前記天壁部51a1を下面側から軸支させている。
即ち、前記天壁部51a1は、前記シャフトの上端部に接続されて、当該シャフトによって回転可能となって照射装置50に備えられている。
そして、前記天壁部51a1は、前記シャフトの中心を通る仮想軸AX1と前記ステータコア10の中心軸とを一致させるようにステータコア10を上面側に載置した際に当該ステータコア10が外側にはみ出さない広さを有している。
なお、本実施形態における前記台51aは、前記天壁部51a1が平面視における輪郭形状が円形であり、該天壁部51a1の外周縁から垂下する円筒状の側壁部51a2をさらに有し、全体が略円柱状に形成されている。
前記照射部52は、前記台51a上に載置されたコイル装着体100に対して前記第1照射と前記第2照射とを同時に実施し得るように照射装置50に備えられている。
具体的には、前記照射装置50の前記チャンバー50aは、前記台51aの天壁部上面と垂直方向において対向する天井壁部50a1の下面側に前記照射部52を構成する線源が取り付けられている。
本実施形態の照射装置50は、活性エネルギー線(主に紫外線)を照射するための前記線源として、ステータコア10の外周の直径よりも長い棒状の水銀灯52aを3本備えている。
水銀灯52aは、3本の長さが略等しく、3本が横並びとなるように天井壁部52a1の下面側に配されている。
より詳しくは、本実施形態における3本の前記水銀灯52aは、長手方向が略水平方向となり、且つ、互いに略平行となるように前記チャンバー50a内に配されており、該チャンバー50a内での垂直方向における位置(高さ)を共通させている。
また、3本の前記水銀灯52aは、略等間隔となるように配されており、且つ、中央に位置する一本の水銀灯を間に挟んで両側に位置する2本の水銀灯及び該水銀灯の両端どうしを結ぶ2本の仮想線によって画定される形状が矩形となるように前記チャンバー50a内に配されている。
さらに、中央に位置する水銀灯52aは、その中心を通る仮想軸AX2が前記シャフトの中心を通る仮想軸AX1と長手方向中央部において直交するようにして配されている。
従って、前記台51aの上に、前記シャフトの中心を通る仮想軸AX1と中心軸とを一致させるように前記ステータコア10を載置した場合に、中央に位置する水銀灯52aは、平面視において両端部をステータコア10よりも外側にはみ出した状態となる。
即ち、台51a上に載置されたコイル装着体100及び3本の水銀灯52aの平面視における状態を示した図5(b)からもわかるように、中央に位置する水銀灯52aは、ステータコア10を時計の文字盤に見立てた場合に3時の位置と9時の位置とを通るように配されている。
従って、本実施形態における照射装置50は、少なくとも、この中央の水銀灯52aの長手方向中央寄りの部分によって前記照射工程における第1照射を実施し、3時の位置及び9時の位置からそれぞれ外側にはみ出した部分によって第2照射を実施し得るように構成されている。
即ち、本実施形態における照射装置50は、前記のように第1照射及び第2照射を同時に実施し得るように構成されている。
このように本実施形態においては、ステータコア10の外周の直径よりも長い棒状の水銀灯52aを備えていることから、当該水銀灯52aの一部をステータコア10の内側からの光の照射に利用しつつ残部をステータコア10の外側からの光の照射に利用することができる。
これに対し、例えば、ステータコアの外周の直径よりも短い水銀灯を使用した場合、平面視においてステータコアの描く円内に前記水銀灯が収まってしまい、全く円からはみ出さない態様となる場合がある。
即ち、このような長さの水銀灯を用いた場合、コイルエンドに対して外側から光照射されない事態となることが考えられるが、本実施形態の水銀灯52aはステータコア10の外周の直径よりも長いことからこのような事態になるおそれが低い。
特に、本実施形態の水銀灯52aは、長手方向がステータコア10の中心軸方向に直交するように配置させることで、平面視において前記円内に収まる配置となることをより確実に防止し得る。
なお、3時−9時の位置を通る前記水銀灯52aの中央部分が専らコイルエンドの内側に光を照射するのに対し、当該水銀灯52aの3時の位置から外側にはみ出した部分は、12時の位置から6時の位置にかけてコイルエンドに外側から光を照射するものの6時の位置から12時の位置にかけてはコイルエンドに内側からも光を照射することになる。
前記水銀灯52aの9時の位置から外側にはみ出した部分についても、3時の位置から外側にはみ出した部分と同じで、コイルエンドに対して内外から光を照射することになる。
従って、照射部52は、3時−9時の位置を通る前記水銀灯52aだけで構成させると、通常、コイルエンドに内側から照射される光に比べて外側から照射される光の量が不足し易いことになる。
そこで、本実施形態においては、コイルエンドの内外の光照射線量を均一化させ得るように3本の水銀灯52aによって照射部52を構成させている。
即ち、図5(b)に示しているように、両側の2本の水銀灯52aをそれぞれステータコア10の12時の位置及び6時の位置近くを通って延在するように配置する事で、これらの水銀灯が発する光の多くをコイルエンドに対する外側からの光照射に利用することができる。
さらに、本実施形態においては、台51a上に載置された前記コイル装着体100と前記照射部52とが前記ステータコア10の中心軸周りに相対回転される回転機構が備えられているために、前記水銀灯52aによる光の照射位置を前記ステータコア10の周方向に移動させ得る。
従って、本実施形態の照射装置50は、コイルエンドへの光の照射を、周方向においても均一化させることができる。
即ち、前記照射工程は、本実施形態の照射装置50を使って実施することで、被膜を形成しているワニスのゲル化状態をコイル装着体全体において均一なものとさせ得る。
なお、本実施形態においては、回転時においてコイル装着体100を安定した状態にさせ易いことから前記のような台51aにより照射装置50の保持部51を構成させているが、例えば、前記保持部51は、前記チャンバー50aの天井壁部52a1から吊り下げた吊り具によって構成させてもよい。
この場合、コイル装着体を保持させた前記吊り具を回転させる回転機構を採用すれば、照射部とコイル装着体とを相対回転させることができる。
また、コイル装着体側を固定しておき、照射部側を回転させて照射部とコイル装着体とを相対回転させることも可能である。
さらには、前記照射装置は、図6に示すように、回転軸方向を水平方向とした2本のローラR1,R2で保持部を構成させ、前記ローラR1,R2の回転軸方向に離間した2つの光源52axを前記ローラR1,R2の上方に配して照射部を構成させた態様とすることもできる。
この場合、ステータコアの中心軸AX3が水平方向となり、且つ、2つの前記光源間に位置するようにコイル装着体100xを前記ローラ上に載置し、該ローラR1,R2を回転させることによりコイル装着体100xと光源52axとを相対回転させつつ前記照射工程を実施させることができる。
また、本実施形態の回転電機製造方法によれば、とりわけ前記コイルが複数のセグメント導体を電気的に接続してなるものである場合には、異なるセグメント導体の前記導体露出部211aが溶接された溶接部の厚みを厚くさせやすいので、溶接部の絶縁性を高くすることができるという利点を有する。
なお、本実施形態の回転電機製造方法及び照射装置は、上記例示以外にも種々変更を加えうることは説明するまでもなく当然の事柄である。
以下に試験例を示して本発明をより具体的に説明する。
(ワニス)
ワニス処理を行うためのワニスとして、以下の(A)〜(C)を混合して感光性且つ熱硬化性を有するワニスを調製した。
(A)日東シンコー社製のコイルワニス(型名「NV−2040」、25℃における粘度:80mPa・s)100質量部
(B)日東シンコー社製の促進剤(型名「No.2」)0.3質量部
(C)日東シンコー社製の触媒(型名「No.15」)1質量部
(粘度測定)
上記の「NV−2040」の粘度は、以下のような測定により求めた。
測定器:東機産業社製のE型粘度計、型名「RE80U」
コーンの角:48分
コーンの直径:48mm
コーン回転数:100rpm
(評価実験1:ワニス処理模擬実験)
(試料1Aについての評価)
幅:3.2mm、厚み:1.8mmの平角エナメル線(日立マグネットワイヤ社製、商品名:OFC−AIW(P2C))を約10cm長さに切り出し、2%伸長後、片端から2cmの区間にわたってエナメル被膜を剥離して銅導体を露出させた部分(導体露出部)を形成させ評価用試料(試料1A)とした。
前記ワニス((A)〜(C)混合物)を収容させた槽を用意し、前記試料1Aを導体露出部が下端となるように保持した状態で前記の槽に室温で浸漬させ、導体露出部全体が液面下に没した時点で前記試料1Aを引き上げ、その状態で10分間保持した。
次いで、この試料1Aを上下逆向きにしてワニスの付着した導体露出部側が上端となるようにし、このワニス付着箇所に対し250Wの超高圧水銀灯による光照射を3分間実施し、導体露出部を被覆しているワニスの粘度を増大させた。
この光照射した試料1Aを、再びワニス付着部分が下端となるように保持した状態でオーブン中で90℃30分、150℃30分の合計60分の加熱を行い、ワニスの熱硬化を実施し、前記導体露出部に前記ワニスの硬化物からなる絶縁被膜を形成させた。
そして、導体露出部の中間位置(エナメル線の末端から1cm内側の位置)においてエナメル線の3.2mm幅の面に形成された絶縁被膜の厚みを測定した。
(試料1Bについての評価)
また、光照射を実施しなかった点を除いて試料1Aと同様に作製した試料1Bに関しても同様に絶縁被膜の厚みを測定した。
結果を、下記表1に示す。
Figure 2015116081
(評価実験2:ワニスの含浸及び脱離防止)
(試料2Aについての評価)
試料1A、1Bと同じ平角エナメル線(日立マグネットワイヤ社製、商品名:OFC−AIW(P2C)、幅:3.2mm、厚み:1.8mm)を20cm長さに切断したもの4本とを用意し、この4本の平角エナメル線を2列2段に束ねた試料(試料2A)を作製した。
なお、図7に示すように、この試料2A(TA2)は、束ねた4本の平角エナメル線(E)の両端部を糸で縛って作製し、且つ、厚み0.13mmで大きさ数ミリ角のスペーサー(図示せず)を所定の間隔で挟み込むことによって線間に隙間を形成させるようにして作製した。
作製した試料2Aを室温(25℃)とし、長さ方向が垂直方向となるように支持し、上端に室温状態の前記ワニスを0.2ml滴下し、同じ姿勢のまま10分間保持した後に、オーブンに収容させた。
そして、該オーブン中で90℃30分、150℃30分の合計60分の加熱を行い、ワニスの熱硬化を実施し、平角エナメル線の線間において前記ワニスの硬化物からなる被膜を形成させた。
このときオーブン中にアルミホイルを試料2Aの下方に配置しておき、60分間の前記加熱後にアルミホイルを目視にて観察することで、熱硬化中におけるワニスの脱離の有無を確認した。
また、前記加熱後に試料2Aを分解し、ワニスの滴下を行った上端から、下端に向けてどの程度の距離までワニスが到達しているかを計測し、この到達距離[D1(cm)]を試料長さ(20cm)で除した百分率によりワニスの含浸性を評価した。
(試料2Bについての評価)
試料2Aと同様にして作製した試料2Bに対し、試料2Aと同様に上端に前記ワニスを0.2ml滴下し、同じ姿勢のまま10分間保持した後に、この試料2Bの下方から250Wの超高圧水銀灯による光照射を3分間実施した。
この光照射した試料2Bを、試料2Aと同様にアルミホイルをセットしたオーブン中で90℃30分、150℃30分の合計60分の加熱し、該加熱中におけるワニスの脱離状況を確認した。
また、試料2Aと同様に試料上端からのワニスの到達距離により含浸性についての評価を行った。
(試料2Cについての評価)
試料2A、試料2Bと同様にして作製した試料2Cに対し、試料2Aと同様に上端に前記ワニスを0.2ml滴下し、同じ姿勢のまま10分間保持した後にオーブン中で90℃30分、150℃30分の合計60分の加熱を実施して前記ワニスを熱硬化させ、ワニスの脱離状況の確認とワニスの含浸性の計測とを実施した。
ただし、この試料2Cは、温度が150℃となるように加熱してワニスの前記滴下を実施した。
結果を、下記表2に示す。
Figure 2015116081
上記の結果からも、本発明によれば作業性が良好で、且つ、回転電機に対して電気的な信頼性を付与させることが可能な回転電機製造方法が提供され、製造容易で電気的信頼性に優れた回転電機が提供され得ることがわかる。
10:ステータコア、11:スロット、20:コイル、20x:セグメント導体、
50:照射装置、51:台、52:照射部

Claims (8)

  1. 回転電機用コアに装着された絶縁被覆導体たるコイルの表面にワニスによって形成された被膜を硬化させる硬化工程を備えており、
    前記ワニスが、熱で硬化可能であり、更に、活性エネルギー線でも硬化可能であり、
    前記硬化工程は、前記被膜に活性エネルギー線を照射することにより、前記ワニスの粘度を増大させる照射工程と、前記ワニスの粘度が増大された前記被膜を加熱することにより、前記ワニスを硬化させる熱硬化工程とを備え、
    前記回転電機用コアが、円筒状に形成されており、
    前記照射工程では、該円筒状の回転電機用コアの内側から前記被膜に対して活性エネルギー線を照射する第1照射と、前記回転電機用コアの外側から前記被膜に対して活性エネルギー線を照射する第2照射とを実施する、回転電機製造方法。
  2. 製造する回転電機が、電気自動車又はハイブリッド自動車の駆動用モータであり、
    前記絶縁被覆導体が、前記駆動用モータのステータコイルである請求項1に記載の回転電機製造方法。
  3. 前記コイルが、複数のセグメント導体を電気的に接続してなるものである請求項1又は2に記載の回転電機製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機製造方法における前記照射工程で用いられ、
    表面に前記被膜が形成された絶縁被覆導体を装着した回転電機用コアを保持する保持部と、
    該保持部によって保持された回転電機用コアの前記被膜に活性エネルギー線を照射する照射部と、を備えており、
    該照射部による前記照射が、前記回転電機用コアに装着されている前記絶縁被覆導体に対して該回転電機用コアの内側及び外側から実施される照射装置。
  5. 前記活性エネルギー線の照射位置を前記回転電機用コアの周方向に移動させ得るように、前記回転電機用コアと前記照射部とを前記回転電機用コアの中心軸周りに相対回転させる回転機構がさらに備えられている請求項4に記載の照射装置。
  6. 前記保持部が前記回転電機用コアが載置される台を備え、前記回転電機用コアが中心軸方向を上下方向に向けた状態で前記台の上に載置されるべく前記保持部が構成されており、
    前記照射部には、回転電機用コアの外周の直径よりも長い棒状の水銀灯が前記活性エネルギー線の線源として備えられ、該水銀灯が前記台上に載置された回転電機用コアの上方に位置し且つ長手方向が略水平方向となるように備えられている請求項4又は5に記載の照射装置。
  7. 前記回転機構が、前記台を回転させることにより、当該台上に載置した前記回転電機用コアと前記照射部とを前記相対回転させる機構である請求項5又は6記載の照射装置。
  8. 前記照射部が、前記水銀灯を2本以上備える請求項6又は7記載の照射装置。
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JP2018064421A (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 トヨタ自動車株式会社 回転電機のステータ

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