JP2015115997A - 短絡方向継電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】逆潮流が生じた場合であっても誤動作することのない、信頼性の高い短絡方向継電器を提供する。【解決手段】三相交流電力系統より電圧および電流を入力し、この電圧および電流の位相関係により事故点を識別する短絡方向継電器Aにおいて、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第一の短絡方向継電要素1と、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第二の短絡方向継電要素2と、逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする逆相過電流継電要素3と、を有し、第二の短絡方向継電要素2と、逆相過電流継電要素3とがともに動作した場合に二相事故と識別し、第一の短絡方向継電要素1が動作した場合に三相事故と識別する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電力系統上の事故を検出する短絡方向継電器に関する。
電力系統に事故が発生したときに、設備の損傷を防ぐために、電力系統には各種の継電器が設置されている。交流発電機、系統連系点、および交流発電機と系統連系点の間に配置され、設置点より系統側の短絡事故を検出するものに短絡方向継電器がある。短絡方向継電器は、地絡・短絡事故が生じたときの電流と電圧の位相関係を利用して、短絡事故を判定する。
短絡方向継電器は、所定の動作範囲を有する短絡方向距離要素が動作したことを条件に、遮断器への遮断指令を出力するように構成されている。短絡方向距離要素の動作範囲は、二相短絡および三相短絡を判定するための動作範囲を有し、三相交流電力系統より導入された電圧および電流の位相関係を利用して、事故点の識別を行う。
短絡方向距離要素は、三相交流電力系統より導入された電圧および電流の組み合わせにより、90°進み接続方式と30°進み接続方式とを用いることが多い。90°進み接続方式は、電流が電圧に対して90°進みの関係となる接続方式であり、例えばBC相の線間電圧を基準に、A相の電流の位相により事故方向を判定する。30°進み接続方式は、電流が電圧に対して30°進みの関係となる接続方式であり、例えばAC相の線間電圧を基準に、A相の電流の位相により事故方向を判定する。
特開2007−221930号公報
ところで、電力系統が健全時の電流位相は、短絡方向距離要素の動作範囲にある。従って、短絡方向継電器は、分散電源により系統側方向の短絡事故を検出するために設定されると、系統側に電力が送られている逆潮流の状態で動作することがある。このため、交流発電機を高圧で系統連系する場合には、逆潮流なしとすることが必須の要件となっていた。しかしながら、逆潮流なしの条件を適用すると、交流発電機で発電した電力を電力系統に送電できないため、分散電源である交流発電機を高圧系統に連系して送電することができなかった。
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。その目的は、逆潮流が生じた場合であっても誤動作することのない、信頼性の高い短絡方向継電器を提供することである。
上記のような目的を達成するための実施形態の短絡方向継電器は、三相交流電力系統より電圧および電流を入力し、この電圧および電流の位相関係により事故点を識別する短絡方向継電器において、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第一の短絡方向継電要素と、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第二の短絡方向継電要素と、逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする逆相過電流継電要素と、を有し、前記第二の短絡方向継電要素と、前記逆相過電流継電要素とがともに動作した場合に二相事故と識別し、前記第一の短絡方向継電要素が動作した場合に三相事故と識別することを特徴とすることを特徴とする。
また、他の実施形態の短絡方向継電器は、三相交流電力系統より電圧および電流を入力し、この電圧および電流の位相関係により事故点を識別する短絡方向継電器において、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第一の位相特性と、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第二の位相特性と、を有する短絡方向継電要素と、逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする逆相過電流継電要素と、を有し、前記短絡方向継電要素は、前記逆相過電流継電要素の出力に基づいて、前記第一の位相特性と、前記第二の位相特性とを切り替えるように構成されていることを特徴とする。
第一の実施形態の短絡方向継電器の一例を示す機能ブロック図である。 第一の実施形態の短絡方向継電要素の動作範囲を説明するための図であり、(a)は第一の短絡方向継電要素の動作範囲を示し、(b)は第二の短絡方向継電要素の動作範囲を示す。 第一の実施形態の短絡方向継電器の電力系統が健全かつ逆潮流がない場合の動作を説明するための説明図である。 第一の実施形態の短絡方向継電器の電力系統が健全かつ逆潮流がある場合の動作を説明するための説明図である。 第一の実施形態の短絡方向継電器の電力系統に三相事故がある場合の動作を説明するための説明図である。 第一の実施形態の短絡方向継電器の電力系統に二相事故がある場合の動作を説明するための説明図である。 第二の実施形態の短絡方向継電器の一例を示す機能ブロック図である。 第三の実施形態の短絡方向継電要素の動作範囲を説明するための図であり、(a)は第一の短絡方向継電要素の動作範囲を示し、(b)は第二の短絡方向継電要素の動作範囲を示す。 第四の実施形態の短絡方向継電器の一例を示す機能ブロック図である。
[第一の実施形態]
[1.構成]
以下、本発明の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の短絡方向継電器Aの一例を示す機能ブロック図である。短絡方向継電器Aには、三相交流電力系統より、三相の電圧(Va、Vb、Vc)および三相の電流(Ia、Ib、Ic)が入力されている。これら電圧および電流の入力は、不図示の入力変成部を介して短絡方向継電器Aに導入される。入力変成部は、計器用変成器およびA/D変換器を含み、電圧および電流の値を短絡方向継電器Aでの処理に適した値に変換することができる。
短絡方向継電器Aは、第一の短絡方向継電要素1と、第二の短絡方向継電要素2と、逆相過電流継電要素3とを有する。90°進み接続方式の場合、線間電圧Vbc=Vb−Vcでは、電流はIaが組み合わされた位相関係により演算される。同様に、線間電圧Vcaでは電流Ibが、線間電圧Vabでは電流Icが組み合わされた位相関係が演算される。各継電要素1〜3は、これらの組み合わせで演算が行われるように構成されている。
また、第二の短絡方向継電要素2と逆相過電流継電要素3との論理積を求めるアンド回路4が設けられている。このアンド回路4と第一の短絡方向継電要素1の論理和を求めるオア回路5が設けられている。短絡方向継電器Aは、このオア回路5の出力に基づいて保護出力を行うように構成されている。以下、短絡方向継電要素をDSR、逆相過電流継電要素をI2OCRとして示す場合がある。
第一の短絡方向継電要素1は、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする継電要素である。第一の短絡方向継電要素1は、相電流Ia、Ib、Icの全ての位相関係が動作範囲内となった場合に動作するように構成されている。図2(a)に90°進み接続方式を用いた場合の、第一の短絡方向継電要素1の動作範囲を示す。図2では、線間電圧と逆潮流ありの健全時電流の関係についても示す。
第一の短絡方向継電要素1の動作範囲は、図2(a)の点線で示された領域であり、線間電圧に対して進み0〜70°に設定されている。また、三相事故時の電流存在域は線間電圧に対して0〜60°程度である。従って、動作範囲を線間電圧に対して進み0°〜70°と設定することで、三相事故時に確実に動作する短絡方向継電要素とすることができ、かつ、逆潮流ありの健全時電流については、動作範囲外とすることができる。
第二の短絡方向継電要素2は、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする継電要素である。図2(b)に90°進み接続方式を用いた場合の、第二の短絡方向継電要素2の動作範囲を示す。第二の短絡方向継電要素2の動作範囲は、図2(b)の点線で示された領域である。二相短絡時の電流存在域は広い領域にある。従って、二相事故時に確実に動作できるような動作範囲として、図2(b)に示す動作範囲を採用する。この場合、逆潮流ありの健全時電流については、動作範囲内となる。
逆相過電流継電要素3は、逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする継電要素である。逆相電流とは、三相電流の不平衡に応じて流れる電流であり、三相電流が平衡状態となる健全時と三相事故時の際にはほとんど流れない。一方、三相電流が不平衡となる二相事故時では大きな逆相電流が流れる。従って、適切な感度設定を行い逆相電流成分が増加したときに動作させることで、二相事故でのみ動作し、かつ、逆潮流ありの健全時電流については、動作範囲外とすることができる。
以上のような第一の短絡方向継電要素1、第二の短絡方向継電要素2、逆相過電流継電要素3について、電力系統の状態に対する動作を表1に示す。表1では、継電要素が動作する場合をマル、動作しない場合をバツとして示す。
Figure 2015115997
表1からも明らかな通り、短絡方向継電器Aは、第一の短絡方向継電要素1が動作した場合には三相事故と識別でき、また、第二の短絡方向継電要素2と逆相過電流継電要素3とがともに動作した場合に二相事故と識別する構成を有している。以上の構成により、逆潮流ありの健全時電流は、第二の短絡方向継電要素2の動作範囲にあるが、逆相過電流継電要素3が不動作となるため二相事故として検出されることはない。
[2.作用]
以上のような構成を有する本実施形態の短絡方向継電器Aの作用を、健全時、逆潮流あり健全時、事故時の電流に対する動作として、図3〜6を用いて具体的に説明する。図3〜6では、図2(a)に示した第一の短絡方向継電要素1の動作範囲と、(b)に示した第二の短絡方向継電要素2の動作範囲とを重ね書きした図を用いている。従って、図3〜6に示す第一のDSR動作範囲は、第二のDSR動作範囲でもある。以下、電力系統の各状態における相電流の位相について説明する。
(1)電力系統が健全かつ逆潮流がない場合
図3は、電力系統が健全かつ逆潮流がない場合の短絡方向継電器Aの動作を説明するための図である。電力系統健全時は、相電流の位相は図3に示す通り、第一の短絡方向継電要素1および第二の短絡方向継電要素2の動作範囲外となる。また、健全時は三相電流は平衡状態となるため、逆相過電流継電装置3は動作しない。従って、保護出力は送出されない。
(2)電力系統が健全かつ逆潮流がある場合
図4は、電力系統が健全かつ逆潮流がある場合の短絡方向継電器Aの動作を説明するための図である。逆潮流ありの電力系統健全時における相電流の位相は図4に示す通りである。相電流は、第一の短絡方向継電要素1の動作範囲外となるが、第二の短絡方向継電要素2の動作範囲内となる。ここで、逆潮流の有無に関係なく、健全時は三相電流が平衡状態となることから逆相過電流継電装置3は動作しない。すなわち、アンド回路4の入力条件は成立しない。従って、保護出力は送出されない。
(3)電力系統に三相事故がある場合
図5は、電力系統に三相事故がある場合の短絡方向継電器Aの動作を説明するための図である。線間電圧をVbcとした場合を例に説明すると、相電圧Vaの位相は線間電圧より電気角90°進んでいる。このとき相電流Iaは、誘導性の線路の電圧降下の影響により、Vaより例えば電気角60°程度の遅れ位相となる。従って、電力系統に三相事故が発生した時における相電流の位相は図5に示すようになる。なお、三相事故時の場合は、相電流Ia、Ib、Ic全てが相電圧に対して遅れ位相となるため、全ての相電流について図5に示す位相関係となる。
この場合、相電流は、第一の短絡方向継電要素1および第二の短絡方向継電要素2の動作範囲内となる。ここで、三相事故時は三相とも短絡されるため、健全時の三相平衡とは異なるが、不平衡な状態にはならず何らかの平衡状態が保たれる。そのため、逆相過電流継電要素3は動作せず、アンド回路4の入力条件は成立しない。従って、三相事故が識別され、オア回路5からは、第一の短絡方向継電要素1の出力に基づき保護出力が送出される。
(4)電力系統に二相事故がある場合
図6は、電力系統に二相事故がある場合の短絡方向継電器Aの動作を説明するための図である。線間電圧をVbcとした場合を例に説明すると、ab相短絡では電流Iaは電流αの電流ベクトルとなり、第二の短絡方向継電要素2の動作範囲内となる。また、ca相短絡では電流Iaは電流βの電流ベクトルとなり、第一の短絡方向継電要素1および第二の短絡方向継電要素2の動作範囲内となる。ここで、二相事故時は三相平衡が、崩れて逆相電流が流れるため、逆相過電流継電要素3が動作する。
以上のように、二相事故の場合、三相全ての相電流が第一の短絡方向継電要素1の動作範囲内となることは無いため、第一の短絡方向継電要素1は動作しない。一方、第二の短絡方向継電要素2と逆相過電流継電要素3とがともに動作範囲内となるため、アンド回路4の入力条件が成立する。従って、二相事故が識別され、オア回路5からは、アンド回路4の出力に基づき保護出力が送出される。
bc相が短絡した場合を想定すると、b相とc相の電圧が同等になるため線間電圧Vが低下する。そのため相電流の方向が判別できなくなる可能性がある。しかし、短絡方向継電器Aには、三相の電流と電圧が導入されているため、VcaまたはVabを線間電圧とすることで、相電流の方向を判別される。従って、保護の盲点が生じることなく、保護出力が送出される。
(5)電力系統に一相事故がある場合
電力系統の1相事故は短絡方向リレー装置の動作責務外の事故である。国内の高圧系統は多くが非接地であり,1相地絡時に流れる電流は短絡事故時に流れる電流よりもきわめて小さい。このため、第一の短絡方向継電要素1と第二の短絡方向継電要素2は動作しない。従って、保護出力は送出されない。
[3.効果]
以上のような本実施形態の短絡方向継電器Aの効果は以下の通りである。すなわち、短絡方向継電器Aは、第二の短絡方向継電要素2と、逆相過電流継電要素3とがともに動作した場合に二相事故と識別する。従って、逆潮流が生じた場合であっても誤動作することがない。以上より、確実に二相事故と三相事故を識別することができ、より信頼性の高い短絡方向継電器Aを提供することができる。逆潮流ありの場合、従来は高圧系統に交流発電機を系統連系することはできなかった。しかし、上記のような短絡方向継電器Aを用いることで、逆潮流ありの場合に、交流発電機を系統連系することが可能となる。
[第二の実施形態]
第二の実施形態の短絡方向継電器Aの一例について、機能ブロック図を図7に示す。第二の実施形態では、短絡方向継電器Aには、三相交流電力系統より、三相の電圧(Va、Vb、Vc)および二相の電流(Ia、Ic)が入力されている。なお、第一の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
第二の短絡方向継電要素3は、入力された電流IaおよびIcから、電流Ibを合成する図示しない電流演算部を備えている。短絡方向継電器Aが適用される国内の高圧系統は、非接地系統である。よって、電力系統の零相インピーダンスは大きく、事故時に流れる零相電流Ioは正相電流や逆相電流に比べて格段に小さい。短絡電流を考えると、零相電流Ioは、3Io=Ia+Ib+Ic≒0と見なすことができる。そのため、電流Ib=−(Ia+Ic)とすることができる。従って、B相電流が入力されていなくとも、電流演算部での処理により電流Ibを合成できる。第二の短絡方向継電要素3は、電流Ia、Ib、Icについて位相関係を求める。
第一の短絡方向継電要素1は、三相事故を保護対象としている。従って、導入された二相分の電流(Ia,Ic)について短絡方向演算を行う構成とすれば良い。第一の短絡方向継電要素3は、三相全ての相電流が動作範囲内となった場合に保護出力を送出する。よって、どちらか一方の電流が動作範囲外となる場合は、一相事故か二相事故であると識別することができる。従って、電流IaおよびIcの両方が動作範囲内となった場合に保護出力を送出する構成とすれば良い。なお、第二の短絡方向継電要素2と同様の電流演算部を設けて電流Ibを合成し、全ての相電流について位相関係を求める構成としてもよい。
逆相過電流継電要素3は、電流Iaおよび電流Icから逆相電流成分を演算する図示しない逆相電流演算部を備えている。対称座標法では、逆相電流は次のように定義されている。
Figure 2015115997
ただし、
Figure 2015115997
前述の通り、電流Ib=−(Ia+Ic)と見なすことができるので、逆相電流の大きさは、例えば次式で表すことができる。
Figure 2015115997
したがって,逆相過電流継電要素3は導入した二相の電流量から合成した逆相電流を用いて演算することができる。なお,逆相電流の大きさを求める方法はこれに限らず,上述の二式より得られるものであればよい。
上記のような構成を有する本実施形態の短絡方向継電器Aの作用は、上記実施形態と同様である。本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、二相にのみ電流計測器を設ければ良いため、短絡方向継電器Aの構成を簡易的かつ経済的なものとすることができる。このような短絡方向継電器Aは、受電回路の変流器が二相しか無い受電設備にも適用することが可能である。
[第三の実施形態]
第三の実施形態の短絡方向継電器Aは、第一の短絡方向継電要素1および第二の短絡方向継電要素2の接続方法を30°進み接続方式としたものである。接続方式を30°進み接続方式とした場合、線間電圧と相電流の組み合わせが変わるため、各継電要素の位相特性が90°進み接続方式の場合と異なる。なお、第一の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
第一の短絡方向継電要素1は、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする継電要素である。第一の短絡方向継電要素1は、相電流Ia、Ib、Icの全ての位相関係が動作範囲内となった場合に動作するように構成されている。図8(a)に30°進み接続方式を用いた場合の、第一の短絡方向継電要素1の動作範囲を示す。図8では、線間電圧と逆潮流ありの健全時電流の関係についても示す。
第一の短絡方向継電要素1の動作範囲は、図8(a)の点線で示された領域であり、線間電圧に対して進み0〜70°に設定されている。また、三相事故時の電流存在域は線間電圧に対して0〜60°程度である。従って、動作範囲を線間電圧に対して進み0°〜70°と設定することで、三相事故時に確実に動作する短絡方向継電要素とすることができ、かつ、逆潮流ありの健全時電流については、動作範囲外とすることができる。
第二の短絡方向継電要素2は、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする継電要素である。図8(b)に30°進み接続方式を用いた場合の、第二の短絡方向継電要素2の動作範囲を示す。第二の短絡方向継電要素2の動作範囲は、図8(b)の点線で示された領域である。二相短絡時の電流存在域は広い領域にある。従って、二相事故時に確実に動作できるような動作範囲として、図8(b)に示す動作範囲を採用する。この場合、逆潮流ありの健全時電流については、動作範囲内となる。
上記のような構成を有する本実施形態の短絡方向継電器Aの作用は、第一の実施形態と同様である。本実施形態によれば,第一の実施形態の効果を30°進み接続方式を採用した場合にも得ることができる。従来の短絡方向継電器では、第一の短絡方向継電要素1と第二の短絡方向継電要素2の接続方式を同一とする必要があった。しかし、短絡方向継電器Aを用いることにより、例えば第一の短絡方向継電要素1を30°接続方式で接続し、第二の短絡方向継電要素2を90°接続方式で接続することができる。
[第四の実施形態]
第四の実施形態の短絡方向継電器Aの一例について、機能ブロック図を図9に示す。第四の実施形態では、短絡方向継電器Aは、短絡方向継電要素6と逆相過電流継電要素3とを有する。なお、第一の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
短絡方向継電要素6は、第一の位相特性と第二の位相特性とを有する。第一の位相特性は、三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする位相特性である。第一の位相特性としては、図2(a)および図8(a)に示す位相特性を用いることができる。第二の位相特性は、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする位相特性である。第二の位相特性としては、図2(b)および図8(b)に示す位相特性を用いることができる。
第一の位相特性と第二の位相特性は、外部条件の入力により切替可能に構成されている。本実施形態では、短絡方向継電要素6は、逆相過電流継電要素3の出力に基づいて、第1の位相特性と、第2の位相特性とを切り替えるように構成されている。逆相過電流継電要素3は、三相平衡が保たれる健全時および三相事故時は動作しない一方、三相不平衡となる二相事故の場合には動作する。
従って、短絡方向継電要素6は、以下のように位相特性を切り替える。
(1)逆相過電流継電要素3が動作しない場合には、短絡方向継電要素6は位相特性を第一の位相特性に切り替える。
(2)逆相過電流電要素3が動作した場合には、短絡方向継電要素6は位相特性を第二の位相特性に切り替える。
上記のような構成を有する本実施形態の短絡方向継電器Aの作用は、基本的には第一の実施形態と同様である。ただし、本実施形態の短絡方向継電要素6では、逆相過電流継電要素3が動作しない場合には、第一の位相特性に切り替えて三相事故についてのみ短絡方向演算を行うこととなる。また、逆相過電流継電要素3が動作する場合には、第二の位相特性に切り替えて二相事故についてのみ短絡方向演算を行うこととなる。従って、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、継電要素を少なくすることが可能となり、短絡方向継電器Aの構成を簡易的かつ経済的なものとすることができる。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、第一の短絡方向継電要素1および第一の位相特性の動作範囲を三相事故が起きた場合の位相関係とし、第二の短絡方向継電要素2および第二の位相特性の動作範囲を二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係として、単純化して説明している。動作範囲は電流がゼロの時に誤動作しないように考慮されていても良い。また、事故様相によっては,位相判定の基準となる線間電圧が低下する。短絡方向継電器は数ボルト程度の電圧があれば位相判定は可能であるが、電圧が略ゼロとなる場合に備えて事故前の線間電圧の位相を数サイクル記憶してその間に位相判定を行う構成としてもよい。
(2)短絡方向継電要素と逆相過電流継電要素の構成はアナログ回路で実現しても良いし、マイコンを用いたディジタルリレーのソフトウエア演算で実現してもよい。短絡方向継電要素を構成する際に、ハードウェアで処理する範囲をどのように設定するかは、特定の態様には限定されない
(3)上記実施形態では、保護出力による遮断の動作についての説明は省略したが、保護出力により直ちに遮断器を引き外す構成としても良い。他には、保護出力によって,図示しない反限時過電流リレーを起動して、遮断器の引き外しを反限時過電流リレーの動作によって行うこともできる。
(4)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
A…短絡方向継電器
1…第一の短絡方向継電要素
2…第二の短絡方向継電要素
3…逆相過電流継電要素
4…アンド回路
5…オア回路
6…短絡方向継電要素

Claims (5)

  1. 三相交流電力系統より電圧および電流を入力し、この電圧および電流の位相関係により事故点を識別する短絡方向継電器において、
    三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第一の短絡方向継電要素と、
    二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第二の短絡方向継電要素と、
    逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする逆相過電流継電要素と、を有し、
    前記第二の短絡方向継電要素と、前記逆相過電流継電要素とがともに動作した場合に二相事故と識別し、
    前記第一の短絡方向継電要素が動作した場合に三相事故と識別することを特徴とすることを特徴とする短絡方向継電器。
  2. 三相交流電力系統より電圧および電流を入力し、この電圧および電流の位相関係により事故点を識別する短絡方向継電器において、
    三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第一の位相特性と、二相事故および三相事故が起きた場合の位相関係を動作範囲とする第二の位相特性と、を有する短絡方向継電要素と、
    逆相電流が起きた場合の位相関係を動作範囲とする逆相過電流継電要素と、を有し、
    前記短絡方向継電要素は、前記逆相過電流継電要素の出力に基づいて、前記第一の位相特性と、前記第二の位相特性とを切り替えるように構成されていることを特徴とする短絡方向継電器。
  3. 前記三相交流電力系統から二相分の電流を入力し、
    前記二相分の電流から、残りの一相の電流を合成する演算部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の短絡方向継電器。
  4. 前記第一の短絡方向継電要素と、前記第二の短絡方向継電要素の少なくとも一方の接続方式が90°進み接続であることを特徴とする請求項1記載の短絡方向継電器。
  5. 前記第一の短絡方向継電要素と、前記第二の短絡方向継電要素の少なくとも一方の接続方式が30°進み接続であることを特徴とする請求項1記載の短絡方向継電器。
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