JP2015113260A - セメント瓦の製造方法 - Google Patents

セメント瓦の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015113260A
JP2015113260A JP2013256842A JP2013256842A JP2015113260A JP 2015113260 A JP2015113260 A JP 2015113260A JP 2013256842 A JP2013256842 A JP 2013256842A JP 2013256842 A JP2013256842 A JP 2013256842A JP 2015113260 A JP2015113260 A JP 2015113260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
cement
roof tile
undercoat
tile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013256842A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6328920B2 (ja
Inventor
堀江 正一
Shoichi Horie
正一 堀江
圭介 皆良田
Keisuke Kairada
圭介 皆良田
浩典 岡田
Hironori Okada
浩典 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Toryo KK
Original Assignee
Dai Nippon Toryo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Toryo KK filed Critical Dai Nippon Toryo KK
Priority to JP2013256842A priority Critical patent/JP6328920B2/ja
Publication of JP2015113260A publication Critical patent/JP2015113260A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6328920B2 publication Critical patent/JP6328920B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)

Abstract

【課題】多彩な模様を表現でき、優れた耐久性を付与することが可能なセメント瓦の製造方法を提供する。【解決手段】一次養生セメント瓦1の表面に下塗り層(A)2を形成させる第1の工程と、第1の工程より得られた一次養生セメント瓦1を120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間二次養生させる第2の工程と、第2の工程より得られたセメント瓦1’の下塗り層(A)2’の表面に印刷層(B)3を形成させ、該印刷層(B)3の表面又は該下塗り層(A)2’及び該印刷層(B)3の表面に表面保護層(C)4を形成させる第3の工程とを含むことを特徴とするセメント瓦の製造方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、セメント瓦の製造方法に関し、特には、多彩な模様を表現でき、優れた耐久性を付与することが可能なセメント瓦の製造方法に関するものである。
建築用の屋根材においては、近年、施工性及び製造コスト面の有利さから、セメント瓦の需要が高まっている。
セメント瓦は、セメント、補強繊維、骨材及び水等を混合して得られる混練物を所定形状の型内に入れ、加圧脱水成形した後、蒸気養生することにより製造されることが一般的である。このようなセメント瓦はそのままで使用されることもあるが、最近では外観上の高級化(意匠性の向上)を図るために着色して用いられることがほとんどである。
意匠性を付与する従来の方法としては、例えば、特許文献1で開示されているように、非養生セメント瓦表面にアクリル樹脂エマルション及び着色剤を含む下塗り塗料を塗装し、形成される塗膜を乾燥させた後、これを蒸気養生し、その後上塗り塗料を塗装する方法がある。この方法を用いることにより、養生時におけるエフロレッセンスや変色を防止でき、且つ耐候性及び耐久性に優れる着色セメント瓦を製造できる。
しかしながら、この方法では、着色剤を含む下塗り塗料及び上塗り塗料を塗装する際に、異なる色の複数の塗料を塗り分ける必要があり、意匠性に乏しく且つ生産性が低いといった問題点がある。
この問題を解決する方法としては、印刷技術を用いて、意匠性を付与する方法がある。印刷技術を用いることにより、デザインの設計が容易になり、少数多品種の製造を効率的に行うことができる。屋根材以外の住宅用部材では、印刷技術を用いて意匠性を付与することは一般的に行われており、例えば、特許文献2〜4が開示されている。
特許文献2では、架橋された親水性樹脂粒子を含有する塗膜(受理層)を形成した後、該塗膜表面に、結合剤を実質的に含まない水系インクを吐出する方法が開示されている。特許文献3では、基材表面に受理層、水性インクで形成されるインクジェット層、水性塗料で形成されるクリアー層をこの順に積層した化粧建築板が開示されている。また、特許文献4では、顔料を顔料重量濃度で50〜70%含有し、かつ吸湿性樹脂を配合して形成される受理層を形成した後、水性インクで形成されるインクジェット層を積層した化粧建築板が開示されている。
特開2003−238272号公報 特開2007−44614号公報 特開2007−154434号公報 特開2007−154432号公報
ところで、セメント瓦等の屋根材は住宅用部材の中でも特に耐久性が要求される部材であるため、セメント瓦用の受理層は、インク定着性と養生時の高温水蒸気に対する耐性(耐養生性)、更には耐久性を満足することが必須である。しかしながら、特許文献2、3には、インク定着性と養生時の高温水蒸気に対する耐性(耐養生性)を満足する受理層の記載が認められない。また、特許文献4では、顔料重量濃度を多く含む受理層が開示されているが、顔料重量濃度を多く含むとインクの定着性能は高くなるものの、樹脂成分が少ないために、膜の耐久性が不足する。
従って、セメント瓦に適用可能な印刷層はこれまで開示されておらず、セメント瓦に印刷方法を用いて意匠性を付与する実用的方法は見出されていない。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、多彩な模様を表現でき、優れた耐久性を付与することが可能なセメント瓦の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、下塗り層を備えた一次養生セメントを高温高圧下(120℃〜200℃で且つ飽和水蒸気圧力下)で二次養生させることにより、その後に形成させる印刷層との付着性及び定着性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のセメント瓦の製造方法は、セメント瓦と、該セメント瓦の表面に形成された下塗り層(A)と、該下塗り層(A)の表面に形成された印刷層(B)と、該印刷層(B)の表面又は該下塗り層(A)及び該印刷層(B)の表面に形成された表面保護層(C)とを備えるセメント瓦の製造方法であって、
一次養生セメント瓦の表面に下塗り層(A)を形成させる第1の工程と、
第1の工程より得られた一次養生セメント瓦を120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間二次養生させる第2の工程と、
第2の工程より得られたセメント瓦の下塗り層(A)の表面に印刷層(B)を形成させ、該印刷層(B)の表面又は該下塗り層(A)及び該印刷層(B)の表面に表面保護層(C)を形成させる第3の工程と
を含むことを特徴とする。
本発明のセメント瓦の製造方法の好適例においては、前記表面保護層(C)が、Si−OR基(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基である)を有する化合物及びフッ素含有樹脂の内の少なくとも一方の化合物と、紫外線吸収材料とを含む塗料を塗装して形成される。
本発明のセメント瓦の製造方法の他の好適例においては、前記下塗り層(A)が、シクロヘキシルメタクリレートと該シクロヘキシルメタクリレート以外の重合性不飽和単量体とを重合させて得られるアクリル樹脂のエマルションを含む水系塗料を塗装して形成され、且つ前記下塗り層(A)のゲル分率が50質量%以上である。
本発明によれば、下塗り層を備えた一次養生セメントを高温高圧下(120℃〜200℃で且つ飽和水蒸気圧力下)で養生し、その後、印刷層及び表面保護層を順に形成させることにより、多彩な模様を表現でき、耐久性に優れるセメント瓦を提供することができる。
本発明の製造方法によって得られるセメント瓦の一実施態様の断面図である。 本発明のセメント瓦の製造方法の一実施態様を説明する概略断面図である。
以下に、図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。本発明は、セメント瓦の製造方法であって、図1には、本発明の製造方法によって得られるセメント瓦(以下、本発明のセメント瓦ともいう)の一実施態様の断面図が示される。図1に示すセメント瓦は、セメント瓦10と、該セメント瓦10の表面に形成された下塗り層11と、該下塗り層11の表面に形成された印刷層12と、該下塗り層11及び該印刷層12の表面に形成された表面保護層13とを備える。図1では、セメント瓦10の一方の面のみに下塗り層11が形成されているが、本発明のセメント瓦は、これに限定されるものではない。また、本発明のセメント瓦の製造方法においては、一次養生セメント瓦の表面に下塗り層を形成させるため、図1に示されるように、下塗り塗料が一次養生セメント瓦表面に浸み込んだ状態で二次養生された部分14が形成されている。また、図1では、印刷層12が、下塗り層11の表面の一部に形成されており、表面保護層13は、下塗り層11及び印刷層12の表面に形成されている。本発明のセメント瓦によれば、下塗り層の表面全体が印刷層で被覆されている場合、表面保護層は、印刷層の表面にのみ形成されるが、下塗り層の一部が露出している場合、表面保護層は、印刷層の表面と、露出した下塗り層の表面に形成される。なお、図1において、セメント瓦10は厚型スレート瓦であるが、本発明のセメント瓦の製造方法は、特に限定されるものではなく、厚型スレート瓦の他、新生瓦、波形スレート等のセメント瓦が使用できる。
本発明のセメント瓦の製造方法は、以下に示す3つの工程を含むことを特徴とする。なお、図2は、本発明のセメント瓦の製造方法の一実施態様を説明する概略断面図を示す。
第1の工程:一次養生セメント瓦の表面に下塗り層(A)を形成させる工程
第2の工程:第1の工程より得られた一次養生セメント瓦を120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間二次養生させる工程
第3の工程:第2の工程より得られたセメント瓦の下塗り層(A)の表面に印刷層(B)を形成させ、該印刷層(B)の表面又は該下塗り層(A)及び該印刷層(B)の表面に表面保護層(C)を形成させる工程
<第1の工程>
本発明のセメント瓦の製造方法においては、まず、一次養生セメント瓦1の表面に下塗り層(A)2を形成させる。下塗り層(A)は、後述するように、第2の工程で多孔質化すると推測され、その結果、印刷層との付着性が向上すると考察される。また、印刷層が、二次養生後の下塗り層に吸着固定されるため、使用するインクの滲みが防止され、多彩な模様を表現することもできるようになる。
第1の工程に用いる一次養生セメント瓦1は、特に限定されるものではなく、屋根材として使用するための一次養生セメント瓦が一般的に使用でき、例えば、セメント、補強繊維、骨材と、必要に応じて水や他の添加剤とを混合して得られる混練物を成形した後、一次養生することにより得られる一次養生セメント瓦が使用できる。ここで、前述の混練物を成形する方法としては、例えば、該混練物を所定形状の型内に入れ若しくはシート上に積層して加圧成形する方法、該混練物を押し出し成形する方法、又は該混練物を抄造し加圧成形する方法等が挙げられる。また、一次養生とは、成形後の混練物を自然放置することであり、一次養生セメント瓦の含水率は、特に制限されないが、0.5〜20質量%であることが好ましい。
第1の工程で形成される下塗り層2は、一次養生セメント瓦1の表面に下塗り塗料を塗装して形成される。ここで、下塗り塗料は、特に限定されるものではないが、環境面を考慮すると、水を主溶媒として用いる水系塗料であることが好ましい。なお、水系塗料の含水率は、特に限定されるものではないが、溶媒成分に対して50質量%以上であることが好ましい。
また、第1の工程において、下塗り塗料は、アクリル樹脂エマルションを含有することが好ましい。アクリル樹脂エマルションとは、アクリル樹脂が水媒体中に分散している乳濁液であり、必要に応じて乳化剤、中和剤等の添加剤が含まれており、乳化重合法によりアクリル樹脂を水媒体中で合成することにより作製される。上記アクリル樹脂エマルションは、下塗り層の樹脂母材を構成することになる。このため、下塗り塗料中において、アクリル樹脂の含有量は10〜60質量%であることが好ましい。
上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂は、通常、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルよりなる群から選択される1種又は複数種のアクリル系モノマーを重合させて得られる重合体であるが、該アクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー以外のモノマー1種又は複数種とを共重合させて得られる共重合体も含まれる。上記アクリル樹脂としては、特に限定されず、塗料業界において通常使用されているもの単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系モノマーのうち、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記アクリル系モノマーとしては、更に、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のシリル基含有不飽和単量体も挙げられる。一方、アクリル系モノマー以外のモノマーの具体例としては、エチレン性不飽和カルボン酸、ビニル芳香族化合物、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、飽和カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。
これらの中でも、耐水性及び耐候性に優れるシクロヘキシルメタクリレートが特に好ましい。よって、上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂は、シクロヘキシルメタクリレートと該シクロヘキシルメタクリレート以外の重合性不飽和単量体とを重合させて得られるアクリル樹脂であることが好ましい。なお、モノマー全体に占めるシクロヘキシルメタクリレートの割合は、1〜60質量%であることが好ましい。
上記アクリル樹脂エマルションを構成するアクリル樹脂は、養生時に高温水蒸気にさらされるために、ガラス転移温度(Tg)が20〜100℃であることが好ましく、30〜70℃であることが更に好ましい。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差熱分析法)で測定できる。Tgが20℃未満では、養生時の熱等により下塗り層が溶融・溶出したり、ブロッキング等の不具合が起きたりする場合があり、一方、Tgが100℃を超えると、乾燥時の成膜不良を起こしやすくなる傾向がある。
また、下塗り塗料によって形成される塗膜は、ゲル分率が50質量%以上であることが好ましく、75〜90質量%であることが更に好ましい。ゲル分率が50質量%未満では、養生時の熱等により下塗り層が溶融・溶出したり、ブロッキング等の不具合が起きたりする場合があり、セメント瓦からのアルカリによるエフロレッセンスが発生し易くなる傾向がある。なお、ここでゲル分率とは、塗膜をテトラヒドロフラン溶剤中に所定時間浸漬した後に残る非溶解成分の割合(質量%)である。塗膜のゲル分率は、アクリル樹脂の架橋度を制御することにより調整できる。例えば、エチレングリコールジメタクリレート等の重合性不飽和基を複数有するモノマーと、反応性基(エポキシ基、シラノール基、カルボキシル基など)と重合性不飽和基の両方を有するモノマー(グリシジルメタクリレート、γ−メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸など)を所定量共重合することによってアクリル樹脂の架橋度を制御し、ゲル分率を調整できるが、これに限定されるものではない。
下塗り塗料は、着色剤を含有してもよい。この着色剤としては、一般の無機質顔料を代表的なものとして挙げることができるが、色によっては、耐アルカリ性及び耐候性を有する有機顔料を用いても良い。例えば、黒く着色する場合にはカーボンブラック、酸化鉄等、赤色に着色する場合には弁柄等、緑色に着色する場合には酸化クロム等、青色に着色する場合にはフタロシアニンブルー等、白色に着色する場合には二酸化チタン等を用いることができる。なお、着色剤はこれらに限定されるものではなく、通常の塗料に配合される着色剤が使用できる。下塗り層中における着色剤の含有量は、耐候性の観点より0.2〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明の製造方法によって得られるセメント瓦は、多くの場合、屋外で使用されるため、下塗り塗料は、光安定剤を含有することが好ましい。更に、下塗り塗料には、必要に応じて、有機溶媒、充填剤、硬化促進剤、増粘剤、顔料分散剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等の各種添加剤を本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
下塗り塗料は、ローラー塗装、カーテンフローコーター塗装、スプレー塗装、シャワーエアーカット塗装、真空塗装等の工業的に使用される通常の塗装方法により塗装される。なお、一次養生セメント瓦の表面に塗装するため、下塗り塗料の一部が一次養生セメント瓦に浸透する。後述する第2の工程において、下塗り塗料が一次養生セメント瓦表面の空隙部を塗膜で埋め尽くした状態で二次養生することにより、セメント瓦表面を補強することができる。
下塗り塗料の塗布量は、下塗り塗料の固形分濃度が30質量%である場合、50〜300g/mであることが好ましく、100〜200g/mであることがより好ましい。50g/mより塗布量が少ないと、下塗り塗料がすべて一次養生セメント瓦に浸透してしまい、印刷層を定着させる機能が発現しにくい場合がある。また、300g/mより塗布量が多いと、下塗り層の乾燥が進行しにくい傾向がある。また、塗布量が多すぎると、高温下でブロッキングを発生する可能性もある。但し、使用する塗料の固形分濃度に従って、好適な塗布量は決定される。
下塗り層の乾燥には、特に制限されず、熱風式乾燥炉等を使用できる。また、乾燥温度は、50〜200℃であることが好ましい。なお、下塗り層の乾燥膜厚は、1〜30μmであることが好ましい。
<第2の工程>
本発明のセメント瓦の製造方法においては、次に、第1の工程より得られた一次養生セメント瓦1を120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間二次養生する。この第2の工程により、該セメント瓦の下塗り層(A)2が多孔質化していることが推測される。つまり、第2の工程では、一次養生セメント瓦1を二次養生により硬化させ、セメント瓦1’にすると共に、下塗り層2を下塗り層2’に改質していることが推測される。第2の工程により、第3の工程で形成される印刷層を定着させる性能が顕著に向上し、使用するインクの滲みが防止されるため、多彩な模様を表現することができる。また、印刷層の付着性が向上し、印刷層の耐久性を向上させることができる。
セメント瓦の二次養生においては、120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間の処理が必要となる。飽和水蒸気圧力の雰囲気下で処理することにより、高温下での水蒸気の塗膜への浸食及びセメント瓦からの気泡発生が顕著に起こるため、下塗り層が多孔質化していると推測される。なお、セメント瓦の二次養生は、オートクレーブを用いて行われることが一般的である。二次養生時の温度が120℃未満では、印刷層の付着性が十分でない。また、二次養生時の温度が120℃未満では、セメント瓦の強度も得られない。一方、温度が200℃を超えると、耐久性のある大型の設備が必要となり、コスト面からも好ましくない。また、温度が200℃を超えると、下塗り層の樹脂の架橋及び分解が始まり、変色して模様が確認できなくなったり、下塗り層の強度、耐久性が低下したりするので適切ではない。
<第3の工程>
本発明のセメント瓦の製造方法においては、次に、第2の工程より得られたセメント瓦1’の下塗り層(A)2’の表面に印刷層(B)3を形成させ、該印刷層(B)3の表面、又は該下塗り層(A)2’及び該印刷層(B)3の表面に表面保護層(C)4を形成させる。上記印刷層3の形成には、一般的な印刷方式を利用できるため、多彩な模様を表現することが可能である。印刷方式としては、スクリーン印刷、ダイレクト印刷、インクジェット方式等が挙げられる。セメント瓦の表面形状が複雑な場合は非接触の印刷方式が好ましく、インクジェット方式が特に好ましい。インクジェット方式は、複雑な意匠を簡易に形成することができ、また少量多品種の生産に適する。また、インクジェットプリンタについては、インクの種類により適宜選択する必要があるものの、例えば、インクオンデマンド方式によりインクを噴出させる方式のものを挙げることができ、ピエゾ方式やサーマル方式が挙げられる。
第3の工程で形成される印刷層3は、下塗り層(A)2’の表面にインクを印刷して形成される。第3の工程に用いるインクには、特に制限されず、水系インク、有機溶剤系インク、活性エネルギー線硬化型インク等の各種インクが利用できる。ここで、活性エネルギー線硬化型インクとは、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化できるインクを指す。上記インクに使用する着色剤は、耐候性を考慮し、耐候性に優れた着色顔料を含むことが好ましい。上記水系インクには、例えば、着色顔料と、必要に応じてバインダー樹脂、水、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール等の溶媒、分散剤、消泡剤、表面調整剤等の配合剤とが含まれる。上記有機溶剤系インクには、例えば、着色顔料と、必要に応じてバインダー樹脂、γ−ブチロラクトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶剤、分散剤、消泡剤、表面調整剤等の配合剤とが含まれる。上記活性エネルギー線硬化型インクには、例えば、着色顔料と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の重合性化合物と、必要に応じて分散剤、消泡剤、表面調整剤等の配合剤とが含まれる。
第3の工程で形成される表面保護層4は、上塗り塗料を塗装して形成されるが、下塗り層の表面全体が印刷層で被覆されている場合、表面保護層は、印刷層の表面にのみ形成され、下塗り層の一部が露出している場合、表面保護層は、印刷層の表面と、露出した下塗り層の表面に形成される。なお、表面保護層は、下塗り層及び印刷層を保護する性能を有しており、耐候性を付与することができる。
第3の工程に用いる上塗り塗料は、Si−OR基(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基である)を有する化合物及びフッ素含有樹脂の内の少なくとも一方の化合物と、紫外線吸収材料とを含む塗料であることが好ましい。Si−OR基を有する化合物又はフッ素含有樹脂を用いることにより、耐候性を向上させることができる。ここでいうSi−OR基を有する化合物は、例えば、(i):ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラン化合物の部分加水分解縮合物、(ii):ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラン化合物とシリル基含有ビニル系樹脂を複合化した樹脂、(iii):ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラン化合物と水酸基含有樹脂(例えば、アクリルポリオールなど)を複合化した樹脂、(iv):ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラン化合物とシリカ等の微粒子を複合化した樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではない。耐候性の観点から、表面保護層中におけるSi−OR基を有する化合物の含有量は、10〜90質量%であることが好ましく、一方、表面保護層中におけるフッ素含有樹脂の含有量は、30〜99.5質量%であることが好ましい。Si−OR基を有する化合物とフッ素含有樹脂の両方を含む場合、表面保護層中の総含有量は、10〜99.5質量%であることが好ましい。Si−OR基を有する化合物及びフッ素含有樹脂は、溶剤媒体中に溶解した形態又は水媒体中に分散した形態で使用される。後者は強制乳化法、相転換法、乳化重合法により作製される。また2液硬化系として使用することも可能である。
また、上塗り塗料には紫外線吸収剤が配合されることが好ましい。上塗り塗料に紫外線吸収剤が配合されることにより、屋外に設置されたセメント瓦が太陽光に曝される際、上塗り塗膜が紫外線を吸収して印刷層に紫外線が到達するのを防止するため、耐候性をより向上させることができる。紫外線吸収剤としては有機系又は無機系の一般的な材料が使用でき、有機系としてはベンゾトリアゾール系、トリアジン系、蓚酸アニリド系等が代表的である。無機系としては酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の微粒子が代表的である。紫外線吸収剤の添加量は、表面保護層中に対して0.5〜10質量%が好ましい。
上塗り塗料は、特に限定されるものではないが、環境面を考慮すると、水を主溶媒として用いる水系塗料であることが好ましい。なお、水系塗料の含水率は、特に限定されるものではないが、溶媒成分に対して50質量%以上であることが好ましい。
上塗り塗料には、上記フッ素含有樹脂以外の合成樹脂をエマルションの形態で配合してもよい。例えば、合成樹脂エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコーン樹脂エマルション等が挙げられる。
上塗り塗料には、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、硬化触媒、光安定剤、顔料分散剤、消泡剤、表面調整剤、沈降防止剤、防カビ剤、防腐剤、増粘剤、成膜助剤等の各種添加剤を本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。また、表面保護層外観の向上や意匠性付与のため、シリカ系艶消し剤、骨材、樹脂ビーズ、ガラスビーズ等を配合することができる。
上塗り塗料は、下塗り塗料で例示した通常の塗装方法により塗装される。上塗り塗料の乾燥には、特に制限されず、熱風式乾燥炉等を使用できる。なお、表面保護層の乾燥膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。5μmより膜厚が薄いと、表面保護性能が得られない場合がある。また、50μmより膜厚が厚いと、層の形成が難しくなる傾向がある。
なお、本発明のセメント瓦の製造方法において用いる下塗り塗料、インク、上塗り塗料は、必要に応じて適宜選択される各種配合剤を常法に従い混合することにより調製できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
1.下塗り塗料の調製
<アクリル樹脂エマルションの調製>
表1の配合処方に従い、通常の乳化重合法によって、アクリル樹脂を合成し、アクリル樹脂エマルションを調製した。詳細には、反応釜に水を仕込んで攪拌し、80℃に加温した後、重合開始剤を投入し、水と乳化剤とモノマーとを予め高速乳化させた混合物を2時間かけて滴下した。反応開始より5時間後に冷却し、混合物をアンモニアにて中和し、アクリル樹脂エマルション1及び2を得た。アクリル樹脂エマルション1中のアクリル樹脂はガラス転移温度(Tg)が50℃であり、アクリル樹脂エマルション2中のアクリル樹脂はTgが35℃であった。
(ガラス転移温度)
アクリル樹脂のガラス転移温度については、JIS K7121(2012)に準拠するDSC法(示差熱分析法)で測定した。
<下塗り塗料の調製>
表2に示す配合処方に従い、アクリル樹脂エマルションをタンクに投入し、攪拌しながら、成膜助剤、水、消泡剤、防腐剤、増粘剤、着色剤を順次添加し、下塗り塗料1及び2を調製した。
(ゲル分率)
下塗り塗料により形成される塗膜のゲル分率を以下の方法により測定した。
先ず、ポリプロピレン板に下塗り塗料を塗装し、硬化させて下塗塗膜を形成する。そして、該ポリプロピレン板から下塗塗膜を剥離させ、下塗塗膜の質量(Wc)を測定する。その後、該塗膜をテトラヒドロフランに浸漬し、25℃で48時間放置した後に、200メッシュのステンレススチール製金網で濾過した残渣塗膜を110℃で60分間乾燥し、残渣塗膜の質量(Wd)を測定し、以下の式に従ってゲル分率(質量%)を求める。
ゲル分率(質量%)=(Wd/Wc)×100
2.印刷層用インクの調製
<有機溶剤系インクの調製>
表3に示す配合処方に従い、各原料を混合して得られた混合物をサンドミルで3時間練合して、各色の有機溶剤系インクを調製した。
<水系インクの調製>
表4に示す配合処方に従い、各原料の混合物を、0.5mm径ジルコニアビーズを25%充填したガラス瓶に配合し、ペイントシェーカーで10時間処理して、各色の水系インクを調製した。
<紫外線硬化型インクの調製>
表5に示す配合処方に従い、各原料の混合物をビーズミルにて5時間練合し、各色の紫外線硬化型インクを調製した。
3.表面保護層用塗料の調製
<上塗り塗料>
表6に示す配合処方に従い、攪拌容器にアクリルシリコーン樹脂エマルションを仕込み、攪拌しながら順次添加剤を投入し、十分に撹拌することにより、上塗り塗料1を調製した。同様の方法により、上塗り塗料2も調製した。
4.セメント瓦の製造
(実施例1)
<工程1、2>
上記下塗り塗料1を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料1を一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)の表面に塗布量が100g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を備えた一次養生セメント瓦を作製した。その後、その一次養生セメント瓦を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、1時間かけて温度120℃及び圧力0.20MPa(120℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、12時間保持し、その後、圧力を開放し、2時間かけて室温まで冷却し、二次養生を行った。二次養生後の瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は3〜8μmであった。
<工程3>
表4に示される水系インクのセットを備えたピエゾ方式のラージフォーマット用インクジェットプリンタを用い、60℃以上に加熱した状態のセメント瓦の下塗り層表面に、インク液滴を付着させ、レンガ調の印刷層を形成した。次に、上記上塗り塗料1を水にて20質量%希釈し、希釈後の上塗り塗料1を、露出した下塗り層及び印刷層の表面に乾燥膜厚が20μmになるようにスプレー塗装し、表面保護層を形成させた。
(実施例2)
<工程1、2>
上記下塗り塗料2を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料2を一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)の表面に塗布量が150g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を備えた一次養生セメント瓦を作製した。その後、その一次養生セメント瓦を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、2時間かけて温度180℃及び圧力1.0MPa(180℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、8時間保持し、その後、圧力を開放し、3時間かけて室温まで冷却し、二次養生を行った。二次養生後の瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は10〜20μmであった。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(実施例3)
<工程1、2>
上記下塗り塗料1を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料1を一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)の表面に塗布量が200g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を備えた一次養生セメント瓦を作製した。その後、その一次養生セメント瓦を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、3時間かけて温度200℃及び圧力1.55MPa(200℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、5時間保持し、その後、圧力を開放し、4時間かけて室温まで冷却し、二次養生を行った。二次養生後の瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は10〜30μmであった。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(実施例4)
<工程1、2>
実施例2と同様の方法により、工程1及び2を行った。
<工程3>
表4に示される水系インクのセットに代えて表3に示される有機溶剤系インクのセットを用い、表面保護層の乾燥膜厚を20μmから10μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(実施例5)
<工程1、2>
実施例2と同様の方法により、工程1及び2を行った。
<工程3>
表5に示される紫外線硬化型インクのセットを備えたピエゾ方式のラージフォーマット用インクジェットプリンタを用い、40℃に加温した状態のセメント瓦の下塗り層表面に、インク液滴を付着させた。その後、メタルハライドランプによりUV光を、ピーク強度500mW/cm、積算光量300mJ/cmとなるように、照射してインクを硬化させることにより、レンガ調の印刷層を形成した。次に、上記上塗り塗料1を水にて20質量%希釈し、希釈後の上塗り塗料1を、60℃に加温した状態のセメント瓦の露出した下塗り層及び印刷層の表面に乾燥膜厚が20μmになるようにスプレー塗装し、表面保護層を形成させた。
(実施例6)
<工程1、2>
実施例2と同様の方法により、工程1及び2を行った。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、印刷層を形成した。次に、上記上塗り塗料2を水にて20質量%希釈し、希釈後の上塗り塗料2を、露出した下塗り層及び印刷層の表面に乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、表面保護層を形成させた。
(比較例1)
<工程2>
下塗り塗料を塗装せずに、セメント瓦の二次養生を行った。具体的には、一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、2時間かけて温度180℃及び圧力1.0MPa(180℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、8時間保持し、その後、圧力を開放し、3時間かけて室温まで冷却した。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(比較例2)
<工程2>
比較例1と同様の方法により、工程2を行った。
<工程2’>
上記下塗り塗料2を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料2を二次養生後のセメント瓦の表面に塗布量が150g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を形成させた。瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は15〜25μmであった。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(比較例3)
<工程1、2>
上記下塗り塗料1を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料1を一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)の表面に塗布量が150g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を備えた一次養生セメント瓦を作製した。その後、その一次養生セメント瓦を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、1時間かけて温度110℃及び圧力0.14MPa(110℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、12時間保持し、その後、圧力を開放し、2時間かけて室温まで冷却し、二次養生を行った。二次養生後の瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は10〜20μmであった。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(比較例4)
<工程1、2>
上記下塗り塗料1を固形分濃度が30質量%になるように水にて希釈し、希釈後の下塗り塗料1を一次養生セメント瓦(一般的な新生瓦材)の表面に塗布量が150g/mになるようにスプレー塗装し、熱風乾燥炉にて120℃雰囲気内で3分間乾燥させ、下塗り層を備えた一次養生セメント瓦を作製した。その後、その一次養生セメント瓦を、オートクレーブに入れ、加熱水蒸気を注入し、3時間かけて温度220℃及び圧力2.32MPa(220℃での飽和水蒸気圧力)まで昇温及び昇圧させ、5時間保持し、その後、圧力を開放し、4時間かけて室温まで冷却し、二次養生を行った。二次養生後の瓦を断面観察した結果、下塗り層の膜厚は10〜20μmであった。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、工程3を行った。
(比較例5)
<工程1、2>
実施例2と同様の方法により、工程1及び2を行った。
<工程3>
実施例1と同様の方法により、印刷層を形成した。なお、表面保護層の形成は行っていない。
5.性能評価
実施例1〜6及び比較例1〜5で作製されたセメント瓦について、外観、耐候性及び耐久性を下記の方法により評価した。結果を表7〜8に示す。
<外観(意匠性)評価>
セメント瓦に施されたレンガ調の模様について下記の基準に従い目視にて判定した。
○ 印刷層ににじみがなく、発色も良好である。
×1 インクの一部がセメント瓦にまで浸み込み、発色不足となる。
×2 印刷層がにじみ、所望の意匠を施すことができない。
×3 下塗り層が褐色に変色し、レンガ調の模様が確認できない。
<耐候性評価>
沖縄県内にて、水平面に対して25度傾斜した架台上に、セメント瓦を貼り付け、2年間の曝露試験を行い、セメント瓦を目視にて評価した。なお、比較例3は耐久性評価の結果が悪く、比較例4は下塗り層の黄変により外観評価の結果が悪いため、耐候性評価を行わなかった。
○ 曝露前と変化なし
×1 セメント瓦上に形成された層が剥離する。
×2 印刷層の剥離により、印刷層の色調の変化が顕著である。
<耐久性評価>
セメント瓦に対して、凍結融解試験機((株)マルイ製MIT−1682−A3型)を用い、凍結融解サイクルを300回行い、試験後の層の状態を目視にて判定した。なお、凍結融解サイクルは、−20℃の空気中で2時間の凍結段階と、20℃の水中で1時間の融解段階とからなる。
○ セメント瓦及び層にクラック及び剥離が発生しない。
×1 層にクラック又は剥離が発生する。
×2 層にクラック又は剥離が発生する共に、セメント瓦にもクラックが発生する
1 一次養生セメント瓦
1’ セメント瓦
2 下塗り層
2’ 二次養生処理後下塗り層
3 印刷層
4 表面保護層
10 セメント瓦
11 下塗り層
12 印刷層
13 表面保護層
14 下塗り塗料が一次養生セメント瓦表面に浸み込んだ状態で養生された部分

Claims (3)

  1. セメント瓦と、該セメント瓦の表面に形成された下塗り層(A)と、該下塗り層(A)の表面に形成された印刷層(B)と、該印刷層(B)の表面又は該下塗り層(A)及び該印刷層(B)の表面に形成された表面保護層(C)とを備えるセメント瓦の製造方法であって、
    一次養生セメント瓦の表面に下塗り層(A)を形成させる第1の工程と、
    第1の工程より得られた一次養生セメント瓦を120〜200℃の温度で且つ飽和水蒸気圧力下で5〜12時間二次養生させる第2の工程と、
    第2の工程より得られたセメント瓦の下塗り層(A)の表面に印刷層(B)を形成させ、該印刷層(B)の表面又は該下塗り層(A)及び該印刷層(B)の表面に表面保護層(C)を形成させる第3の工程と
    を含むことを特徴とするセメント瓦の製造方法。
  2. 前記表面保護層(C)が、Si−OR基(ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基である)を有する化合物及びフッ素含有樹脂の内の少なくとも一方の化合物と、紫外線吸収材料とを含む塗料を塗装して形成されることを特徴とする請求項1に記載のセメント瓦の製造方法。
  3. 前記下塗り層(A)が、シクロヘキシルメタクリレートと該シクロヘキシルメタクリレート以外の重合性不飽和単量体とを重合させて得られる、アクリル樹脂のエマルションを含む水系塗料を塗装して形成され、且つ前記下塗り層(A)のゲル分率が50質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント瓦の製造方法。
JP2013256842A 2013-12-12 2013-12-12 セメント瓦の製造方法 Active JP6328920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013256842A JP6328920B2 (ja) 2013-12-12 2013-12-12 セメント瓦の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013256842A JP6328920B2 (ja) 2013-12-12 2013-12-12 セメント瓦の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015113260A true JP2015113260A (ja) 2015-06-22
JP6328920B2 JP6328920B2 (ja) 2018-05-23

Family

ID=53527402

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013256842A Active JP6328920B2 (ja) 2013-12-12 2013-12-12 セメント瓦の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6328920B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016159443A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 ケイミュー株式会社 塗装基材及び塗装基材の製造方法
JP6047211B1 (ja) * 2015-09-25 2016-12-21 大日本塗料株式会社 印刷物の製造方法
KR101717282B1 (ko) * 2016-10-12 2017-03-17 최봉수 강도 및 내구성이 향상된 시멘트기와 제조방법

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58147447A (ja) * 1982-02-25 1983-09-02 Dainippon Toryo Co Ltd 着色セメント瓦の製造方法
JPH09110559A (ja) * 1995-10-17 1997-04-28 Toagosei Co Ltd セメント系基材の塗装方法
JP2002226284A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Sekisui Chem Co Ltd セメント瓦
JP2003238272A (ja) * 2002-02-21 2003-08-27 Kubota Corp 着色セメント瓦の製造方法
JP2005089567A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 Nippon Tokushu Toryo Co Ltd セメント基材の塗装方法及び下塗り塗料
JP2005145026A (ja) * 2003-11-20 2005-06-09 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 瓦記名システム
JP2007152149A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Dainippon Toryo Co Ltd 意匠性建材の製造方法
JP2008546896A (ja) * 2005-06-30 2008-12-25 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 定義された反応性を有するシリコーン樹脂
JP2010234366A (ja) * 2009-03-09 2010-10-21 Dainippon Toryo Co Ltd 意匠性建材及びその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58147447A (ja) * 1982-02-25 1983-09-02 Dainippon Toryo Co Ltd 着色セメント瓦の製造方法
JPH09110559A (ja) * 1995-10-17 1997-04-28 Toagosei Co Ltd セメント系基材の塗装方法
JP2002226284A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Sekisui Chem Co Ltd セメント瓦
JP2003238272A (ja) * 2002-02-21 2003-08-27 Kubota Corp 着色セメント瓦の製造方法
JP2005089567A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 Nippon Tokushu Toryo Co Ltd セメント基材の塗装方法及び下塗り塗料
JP2005145026A (ja) * 2003-11-20 2005-06-09 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 瓦記名システム
JP2008546896A (ja) * 2005-06-30 2008-12-25 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 定義された反応性を有するシリコーン樹脂
JP2007152149A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Dainippon Toryo Co Ltd 意匠性建材の製造方法
JP2010234366A (ja) * 2009-03-09 2010-10-21 Dainippon Toryo Co Ltd 意匠性建材及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016159443A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 ケイミュー株式会社 塗装基材及び塗装基材の製造方法
JP6047211B1 (ja) * 2015-09-25 2016-12-21 大日本塗料株式会社 印刷物の製造方法
JP2017061099A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 大日本塗料株式会社 印刷物の製造方法
KR101717282B1 (ko) * 2016-10-12 2017-03-17 최봉수 강도 및 내구성이 향상된 시멘트기와 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP6328920B2 (ja) 2018-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW201231570A (en) Colored aqueous UV curable coating composition
CN104693941A (zh) 用于水泥复合制品的涂料系统
CN103642318B (zh) 一种用于非吸收性基材的耐水煮的uv光固化喷墨墨水及其制备方法
JP6545336B2 (ja) 化粧方法
CN104194613A (zh) 可重涂的紫外光固化彩色一涂银粉涂料及其制备方法
CN104178017A (zh) 一种用于马口铁的光热双重固化白可丁及其涂装方法
JP6328920B2 (ja) セメント瓦の製造方法
CN103113822B (zh) 具有露珠效果的紫外光固化涂料及其制备方法和涂覆方法
JP2017180018A (ja) 建築板
JP6341794B2 (ja) 化粧方法
CN111902295B (zh) 印刷物
CN108504171A (zh) 一种uv-led玻璃基材白色油墨及其制备方法
JP6453013B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用インク
CN102924987A (zh) 一种热-紫外光双重固化水性有色涂层组合物
JP6353888B2 (ja) 印刷層付き基材の製造方法
JP2007154431A (ja) 化粧建築板
JP7068818B2 (ja) インク受理層用塗料、塗膜、積層体、活性エネルギー線硬化性インク、及び塗料・インクセット
JP6909753B2 (ja) 印刷物
JP5952610B2 (ja) 化粧建築板の製造方法
JP2017115434A (ja) 建築板及び塗料組成物
JP7025288B2 (ja) 印刷物
JP2018003329A (ja) 建築板及び塗料組成物
CN102702852B (zh) 用于玻璃基材印刷的uv油墨及其制备方法
JP4827259B2 (ja) 凹凸模様を有する化粧板の製造方法
CN101547876A (zh) 用于水泥复合制品的涂料系统

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20161013

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20161013

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171003

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180419

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6328920

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150