JP6453013B2 - 紫外線硬化型インクジェット用インク - Google Patents
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Description
(1)下記化学式(I)で表される化合物と、アミン変性アクリレート類と、光重合開始剤を少なくとも含有する紫外線硬化型インクジェット用インクであって、下記化学式(I)で表される化合物をインク全量に対し5〜20重量%、アミン変性アクリレート類をインク全量に対して5〜20重量%、含有しており、前記化学式(I)で表される化合物が、l+m+n=1〜10を満たすカプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする、紫外線硬化型インクジェット用インクである。
(3)さらに単官能アクリレートモノマーがインク全量に対し50〜80重量%含有されていることが好ましい。
(4)前記単官能アクリレートモノマーとして、テトラヒドロフルフリルアクリレート、(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートのうちの、少なくとも1つを含有することが好ましい。
(5)前記単官能アクリレートモノマーとして、(A)テトラヒドロフルフリルアクリレートおよび/または(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートと、(B)イソボルニルアクリレートおよび/または4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートを含有することが好ましい。
(6)前記(A)および(B)の相対含有比率が、(A):(B)=3:1〜1:1であることが好ましい。
アミン変性アクリレート類を含有することで、アミノ基によって重合反応が促進され、硬度を高め、タック性を改善することが可能となる。
重合反応促進剤として、アミン化合物をインクに含有することは知られているが、通常のアミン化合物はインク硬化膜中に重合することなく存在するため、インク硬化膜の耐水性や耐薬品性を低下させるおそれがある。しかしながら、本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インクにおいては、重合反応時に、自身の有するアクリレート基によってアミン変性アクリレート類が架橋構造内に取り込まれる。これにより、アミン変性アクリレート類によるインク硬化膜の耐水性や耐薬品性の低下を抑制することができる。
また、アミン変性アクリレート類はTgが非常に低く、耐衝撃性に優れている。そのため、アミン変性アクリレート類を含有することによって、インク硬化膜に耐衝撃性を付与することも可能となる。
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット用インクに含まれるアミン変性アクリレート類としては、例えば、分子中にアミノ基およびアクリレート基1つを有するアミン変性モノアクリレート、アミノ基およびアクリレート基2つを有するアミン変性ジアクリレート、アミノ基およびアクリレート基3つを有するアミン変性トリアクリレートなどがあげられる。
なかでも、インク硬化膜の硬質性および加工性向上に特に優れる点で、アミン変性ジアクリレートが好ましい。
なかでも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートのうちの、少なくとも1つを含有することが好ましい。
テトラヒドロフルフリルアクリレートと(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートは多くの樹脂に対して溶解性が高いためにインク密着性に優れる点や、自身の粘度が低い点で好ましい。
イソボルニルアクリレートと4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートは、疎水性の剛直な構造を有するため、単官能アクリレートモノマーの中でもインク硬化膜の硬度が高い点や、耐水性低下が生じにくい点、自身の粘度が低い点で好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、チオキサントン系、ベンゾフェノン系、ケタール系、アセトフェノン系があげられ、これらを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記着色剤としては特に限定するものではないが、耐候性や耐光性の観点から顔料を使用することが好ましく、有機、無機を問わず任意のものが選択可能である。
前記分散剤としては、高分子タイプのものが好ましく、さらには、末端に酸性吸着基や塩基性吸着基を持つものが好ましい。
分散剤の添加量は、添加する着色剤の重量に対して1〜100重量%であることが好ましく10〜50重量%であることがより好ましい。1重量%未満では十分な分散効果が得られないおそれがある。一方、100重量%を超えるとインクの粘度が上昇して、インクジェットでの吐出の際に吐出不良となるおそれがある。
下記処方に従い、各材料をミキサーにて混合、ろ過することにより、実施例1の紫外線硬化型インクジェット用インクを得た。
<紫外線硬化型インクジェット用インク処方>
IRGALITE BLUE GLNF 2重量%
(チバスペシャルティケミカルズ(株)製 銅フタロシアニン;顔料)
フローレンDOPA−33 1重量%
(共栄社化学(株)製 分散剤 変性アクリル系共重合物)
A9300−1CL 10重量%
(新中村化学工業(株)製 カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート;化学式(I)l+m+n=1で表される化合物)
EBECRYL7100 15重量%
(ダイセル・オルネクス(株)製 アミン変性ヘキサンジオールジアクリレート;アミン変性アクリレート類)
ビスコートV#150 40重量%
(大阪有機化学工業(株)製 (テトラヒドロフルフリルアクリレート;単官能アクリレートモノマー)
IBXA 22重量%
(共栄社化学(株)製 イソボルニルアクリレート;単官能アクリレートモノマー)
Irgcure184 5重量%
(BASFジャパン(株)製 1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン;光重合開始剤)
Irgcure819 5重量%
(BASFジャパン(株)製 2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド;光重合開始剤)
インク処方について、実施例1にて用いた「A9300−1CL 10重量%」にかわって、A9300−3CL 10重量%(新中村化学工業(株)製 カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート;化学式(I)l+m+n=3で表される化合物)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の紫外線硬化型インクジェット用インクを得た。
インク処方について、実施例1にて用いた「A9300−1CL 10重量%」にかわって、A9300−6CL 10重量%(新中村化学工業(株)製 カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート;化学式(I)l+m+n=6で表される化合物)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の紫外線硬化型インクジェット用インクを得た。
各インク処方を、表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜7の紫外線硬化型インクジェット用インクを得た。
各インク処方を、表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜2の紫外線硬化型インクジェット用インクを得た。
各実施例および比較例の紫外線硬化型インクジェット用インクを用いてインクジェット加飾を行い、インクジェット加飾物を作製した。このとき使用した基材およびインクジェット加飾条件を下記に示す。
<基材作成条件>
鋼板 SPCC−ダル鋼板
前処理 リン酸亜鉛化成被膜処理
塗料 イノバックPCMシリーズノンブロックタイプ
(神東塗料(株)製 ポリエルテル樹脂系粉体塗料)
膜厚 50μm
焼き付け条件 240℃×2分
<付与条件>
ヘッド加熱温度 50℃
ノズル径 40μm
印加電圧 85V
パルス幅 10μs
駆動周波数 15kHz
解像度 400×800dpi
インク付与量 20g/m2
柄 5mm×5mm格子柄
<硬化条件>
ランプ種類 メタルハライドランプ
出力 120W/cm
照射時間 0.3秒×8回照射
照射高さ 3mm
このとき365nmにおけるピーク照度は、400mW/cm2、積算光量900mJ/cm2であった。
作製した各インクジェット加飾物に対し、JIS K5600−5−6に準じ、100マスの碁盤目状クロスカット(1mm幅)を行い、テープ剥離にて剥がれなかったマス数によって、インクの密着性を下記基準により評価した。評価結果を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:100マス
△:95〜99マス
×:94マス以下
作製した各インクジェット加飾物に対し、屈曲試験機を使用して屈曲試験(180度曲げ)を行い、そのときのT数を測定した。なお、T数とは、180度曲げにより形成したU字型の隙間に入れることのできる、試験基材と同じ厚みの基材の枚数をさす。次いで、得られた結果より、下記基準に従い、各インクジェット加飾物の加工性を評価した。評価結果およびT数を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:0T〜1T
△:2T
×:3T以上
JIS K5600−5−4に準じて、作製した各インクジェット加飾物の表面に対する鉛筆硬度を測定した。次いで、得られた結果より、下記基準に従い、各インクジェット加飾物の硬度を評価した。評価結果およびキズがついた時の鉛筆硬度を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:2Hでもキズがつかない
△:H〜2Hでキズがつく
×:Fでキズがつく
作製した各インクジェット加飾物の表面に対し、指触試験を行った。その結果を、下記評価基準に基づき評価した。結果を表1に示す。
○:加飾部分にタックを感じない
×:加飾部分にタックを感じる
作製した各インクジェット加飾物の表面に対し、IPAを用いたワイピングを30往復行い、インクジェット加飾物表面の膨潤や白化・色移りについて観察した。次いで、結果を下記基準により評価した。評価結果を表1に示す。
○:膨潤や白化・色移りがない
×:膨潤や白化・色移りが確認できる
作製した各インクジェット加飾物を、沸騰水に2時間浸漬させ、インクジェット加飾物表面の膨潤や白化について観察した。次いで、結果を下記基準により評価した。評価結果を表1に示す。
○:膨潤や白化がない
×:膨潤や白化が確認できる
作製した各インクジェット加飾物に対して、JIS K5600−5−3に準じ、デュポン式衝撃試験機(R=1/2インチ(12.70mm)、重り500g、高さ50cm)を用いて衝撃試験を行い、試験を実施したインクジェット加飾物表面(塗膜)を、ルーペおよび肉眼にて観察した。次いで、結果を下記基準により評価した。評価結果を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:塗膜に割れが発生していない
△:ルーペで確認可能なレベルの割れが確認できる
×:肉眼で確認可能なレベルの割れが確認できる
耐水性(耐沸騰水性)試験を実施した後の各インクジェット加飾物に対して、耐衝撃性評価と同様の衝撃試験を行い、試験を実施したインクジェット加飾物表面(塗膜)を、ルーペおよび肉眼にて観察した。評価結果を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:塗膜に割れが発生していない
△:ルーペで確認可能なレベルの割れが確認できる
×:肉眼で確認可能なレベルの割れが確認できる
耐衝撃性評価1および2で得られた結果から、下記基準に従い、インクジェット加飾物表面の耐劣化性について評価した。評価結果を表1に示す。(△以上を合格とした。)
○:耐衝撃性評価2において、耐衝撃性評価1とほぼ同じ程度の結果が得られた
△:耐衝撃性評価2において、耐衝撃性評価1よりわずかに劣る結果が得られた
×:耐衝撃性評価2において、耐衝撃性評価1より明らかに劣る結果が得られた
一方、比較例1および2の紫外線硬化型インクジェット用インクを用いたインクジェット加飾物は、いずれも、加工性と高い要求性能(インク密着性、硬度(硬質性)、タック性(低タック性)、耐薬品性、耐水性、耐衝撃性、耐劣化性)との両立性を満足させるものではなかった。
Claims (6)
- 前記アミン変性アクリレート類が、アミン変性ジアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
- さらに単官能アクリレートモノマーがインク全量に対し50〜80重量%含有されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
- 前記単官能アクリレートモノマーとして、テトラヒドロフルフリルアクリレート、(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートのうちの、少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
- 前記単官能アクリレートモノマーとして、(A)テトラヒドロフルフリルアクリレートおよび/または(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートと、(B)イソボルニルアクリレートおよび/または4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレートを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
- 前記(A)および(B)の相対含有比率が、(A):(B)=3:1〜1:1であることを特徴とする、請求項5に記載の紫外線硬化型インクジェット用インク。
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