JP2015112701A - ワイヤソーの運転再開方法 - Google Patents

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宏俊 神頭
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【課題】ワイヤの摩耗量によらず断線復帰をしてワークの切断位置に戻すことができ後工程で断線箇所の異常形状を発生させないワイヤソーの運転再開方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の溝付きローラにワイヤを巻掛けることでワイヤ列を形成し、ワイヤを軸方向に往復走行させ、ワイヤ列に押し当てることで切断するワイヤソーの運転において、切断がワイヤの断線により中断した後、切断を再開する運転再開方法であって、少なくとも1本以上のワークを切断可能な長さのワイヤであり、先端から少なくともワイヤ列が形成可能な長さまでを摩耗させた摩耗ワイヤを用意する工程と、断線したワイヤを、摩耗ワイヤに交換してワイヤ列を形成する工程と、形成されたワイヤ列における摩耗ワイヤの摩耗させた箇所がワークの切り込み位置になるように、摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開する工程を有することを特徴とするワイヤソーの運転再開方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワイヤソーによるワークの切断に係り、ワイヤの断線が発生した場合に、切断を一旦中断した後、該切断を再開するときのワイヤソーの運転再開方法に関する。
従来、半導体インゴット等のワークをウェーハ状に切り出す手段として、ワイヤソーが知られている。このワイヤソーでは、複数の溝付きローラの周囲に切断用ワイヤが多数巻掛けられることによりワイヤ列が形成されており、その切断用ワイヤが軸方向に高速駆動され、かつ、スラリが適宜供給されながらワイヤ列に対してワークが相対的に押し下げられることにより、このワークが各ワイヤ位置で同時に切断されるようにしたものである。
ここで、図2に、一般的なワイヤソーの一例の概要を示す。
図2に示すように、ワイヤソー1は、ワークWを切断するためのワイヤ2が供給側のワイヤリール6から繰り出され、溝付きローラ3に入っている。ワイヤ2がこの溝付きローラ3に300〜500回程度巻掛けられることによってワイヤ列7が形成される。更に、ワイヤ2は溝付きローラ3から巻出され、回収側のワイヤリール6’に巻き取られる。
ワークWを切断する時には、ワイヤ2を予め定められた走行距離でワイヤ軸方向に往復走行させ、ワイヤ列の供給側から回収側にワイヤ新線が徐々に供給されていく。
従って、溝付きローラ3に巻掛けされたワイヤのうち新線が供給されていく側、つまり供給側より、ワイヤが回収されていく側、すなわち回収側の方がワイヤの摩耗量が大きくなり、ワイヤ径が小さくなる。このため、回収側で切断されたウェーハの方が供給側で切断されたウェーハより厚さが厚くなる傾向にある。
そこで、溝付きローラの複数の溝間のピッチを供給側より回収側の方が狭くなるようにしたものが用いられている(特許文献1)。
ところで、ワイヤソーのワイヤには、耐摩耗、耐張力性に富み、しかも高硬度の線材、例えば、ピアノ線などが用いられ、また、溝付きローラには、ワイヤの損傷を防ぐため所定硬度の樹脂ローラが使用されているが、ワイヤの経時的な摩耗や、疲労によってワークの切断中にワイヤが断線してしまい、ウェーハの切断を継続することができない場合がある。
ワイヤソーでワークを加工中、新線供給側のワイヤリール側、または溝付きローラ上でワイヤが断線した場合、まず、ワークを回避させてから断線箇所を新線と結線する。そして、結線箇所を回収側のワイヤリール側まで送りきった後、ワークを断線時の切り込み位置に戻し、ワイヤをワークの切り込み位置に配置し切断を再開する方法が取られている。
ワイヤの断線の問題に対して、ワイヤの強度を改善したり(特許文献2参照)、ワイヤソーで断線の予兆を検知し切断を停止したりする方法が知られている(特許文献3参照)。このような技術により、ワイヤの断線の頻度をある程度低減できる。
特開平10―249701号公報 特開2002―256391号公報 特開2011―31355号公報
超精密ウェーハ表面制御技術、松下嘉明ら2000年2月28日(株)サイエンスフォーラム刊
しかし、近年の生産性の増加に伴いワイヤの使用負荷も増大し、断線を完全に避けることはできない。
また、断線が発生すると、切断に使用したことで摩耗したワイヤが、摩耗の無い新線に交換されるため、ワイヤの直径の差により、ワークを断線時の切り込み位置に戻すことが困難になってしまう。更に、ワークを断線時の切り込み位置に戻して切断を再開しても、ワイヤの直径の差により、ワークの切断面に溝ができてしまう。近年、ウェーハの製造コストの削減のため、後工程におけるラッピング処理時のラップ代は小さく設計されているため、ラッピング処理で上記の溝を除去することができず、大量の不良品が発生してしまうという問題を生じる。
更に、近年では、省資源化に向けて直径の小さいワイヤや平均砥粒径が小さい高番手の砥粒を使用している。このようなワイヤや砥粒を切断に使用すると、ワークの切り代が少ないため、ワイヤの断線が発生した場合、ワークの切り込み位置に直径が太い状態の新線を通すことがより一層困難になる。
また、ワイヤの摩耗量が大きい切断レシピの場合、その分ワイヤの直径が小さくなり切り代が小さくなる。切断再開後のワークの切り代が増加することにより切断部に溝が発生する。
図4は、一般的なワイヤソーにおけるワイヤ列の供給側から回収側までのワークの切り代の変化を説明する図である。
一般的にワークの切り代はワイヤの直径にスラリ中の砥粒の平均砥粒径の3倍を加えた値となることが知られている(非特許文献1)。ここで、スラリに含まれる砥粒の平均砥粒径をd、ワイヤ列の供給側のワイヤの直径(新線径)をR、回収側のワイヤの直径(摩耗径)をR、ワイヤの摩耗量をΔR(=R−R)とすると、上記のように供給側のワークの切り代はR+3d、回収側のワークの切り代はR+3d=R−ΔR+3dと表せる。このワイヤ列の回収側のワークの切り代が新線径Rより小さければ、切断再開時に、この新線をワークの切り込み位置に戻すことができない。従って、ワークを切り込み位置に戻すには、回収側の切り代が新線径R以上である必要が有る。すなわち、摩耗量ΔRが下記式を満たす必要が有る。
−ΔR+3d−R≧0 ⇔ 3d≧ΔR …(1)
従って、従来では上記(1)式を満たす一定限内の範囲にワイヤ摩耗量は限られるため、限られた切断レシピでしかワイヤを使用できず、ワイヤの有効利用ができなかった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、ワイヤソーによる半導体インゴット等のワーク切断において、ワイヤの断線によってワークの切断が途中で中断された場合でも、ワイヤの摩耗量によらずワイヤをワークの切断位置に戻すことができ、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生するのを抑制し、後工程でウェーハに断線起因の異常形状の発生を抑制できるワイヤソーの運転再開方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明によれば、複数の溝付きローラにワイヤを巻掛けることでワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に所定のサイクルで往復走行させ、前記ワイヤに切断用のスラリを供給しつつ、ワークを相対的に押し下げて、前記ワイヤ列に押し当てることで、前記ワークをウェーハ状に切断するワイヤソーの運転において、前記ワークの切断が前記ワイヤの断線の発生により途中で一旦中断した後に、該切断を再開する場合の運転再開方法であって、少なくとも1本以上の前記ワークを切断可能な長さのワイヤであり、先端から少なくとも前記ワイヤ列が形成可能な長さまでを摩耗させた摩耗ワイヤを用意する工程と、前記ワイヤの断線後に、前記断線したワイヤを、前記摩耗ワイヤに交換して再度ワイヤ列を形成する工程と、該再度形成されたワイヤ列における前記摩耗ワイヤの摩耗させた箇所が前記ワークの切り込み位置になるように、前記摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開する工程を有することを特徴とするワイヤソーの運転再開方法を提供する。
このようにすれば、交換後のワイヤは予め摩耗しており直径は小さいので、ワイヤをワークの切り込み位置に戻すことができる。従って、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生するのを抑制し、断線起因の不良がウェーハに発生することを抑制できる。更に、ワーク切断時の切断レシピはほとんど制限されず、ワイヤの摩耗量に依存せずワイヤを有効利用できる。
このとき、前記断線したワイヤのワイヤ列の新線供給側におけるワイヤの直径である新線径Rと、前記断線したワイヤのワイヤ列の回収側におけるワイヤの直径である摩耗径Rを測定し、前記切断を再開する工程において、前記摩耗ワイヤで再度形成されたワイヤ列の新線供給側及び前記回収側のワイヤの直径がそれぞれ前記新線径R及び前記摩耗径Rと同じになるように、前記摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開することが好ましい。
このようにすれば、ワークの切り代より小さいとともに断線したワイヤと略同一の直径の摩耗ワイヤをワークの切り込み位置に確実に戻すことができるため、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生することをより確実に抑制できる。
またこのとき、前記交換する摩耗ワイヤを、前記断線が発生したワークの切断と同一の切断レシピで前記ワークの切断をすることで、ワイヤを摩耗させたものと交換することができる。
このようにすれば、断線したワイヤと交換する摩耗ワイヤが同一の切断レシピで使用されているため、両者の直径及び直径の変化の仕方を同じにすることができる。従って、断線時のワークの切り込み位置における各ワイヤの直径を、切断再開時に容易に再現することができる。その結果、より一層切断したウェーハに溝が発生することを抑制できる。
このとき、前記ワークの切断を再開し前記ワークの切断が完了した後に、前記摩耗ワイヤを前記断線したワイヤに再度交換してから、次のワークの切断を実施することができる。
このようにすれば、断線したワイヤに残った新線を再度切断に使用することができるため、ワイヤに掛かるコストを低減することができる。
またこのとき、前記ワイヤの断線が前記ワイヤの供給側あるいはワイヤ列中で発生した場合に、上記に記載のワイヤソーの運転再開方法を実施することができる。
本発明のワイヤソーの運転再開方法は、特にワイヤの供給側あるいはワイヤ列中で断線が発生した場合に好適である。
本発明のワイヤソーの運転再開方法であれば、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生するのを抑制し、断線起因の不良がウェーハに発生することを抑制できる。更に、切断時のワイヤの摩耗量に依存せずワイヤをワークの切り込み位置に戻すことができ、細線ワイヤや砥粒径、あるいは切断レシピはほとんど制限されず、運転を再開することができ、ワイヤを有効利用できる。
本発明のワイヤソーの運転再開方法の一例を示したフロー図である。 一般的なワイヤソーの一例を示す概略図である。 実施例、比較例の結果を示す図である。 一般的なワイヤソーにおけるワークの切り代を説明する図である。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記のように、ワイヤソーによるワークの切断中にワイヤが断線した場合、そのワークの切断を再開すると、ワイヤ列の回収側のワークの切り代よりも新線の直径の方が大きく、ワイヤを断線時の切り込み位置に戻すことができなくなってしまう。また、ワークを断線時の切り込み位置に戻して切断を再開することができても、新線の直径が太く、ワイヤの直径に差が有り、ワークの切断面に溝が発生するという問題がある。
本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、断線が発生したワイヤを、予め準備した先端から一定の長さ摩耗させた摩耗ワイヤに替えて、ワークの切り込み位置における交換したワイヤの直径を断線直前のワイヤの直径とほぼ一致させることにより、問題なく切断を再開できる上に、上記溝の発生を抑制できることを見出して本発明を完成させた。
まず、ワークをウェーハ状に切断するワイヤソーの運転について説明する。
図2に示すように、ワイヤソー1は、ワークWを切断するためのワイヤ2、ワイヤ2を巻掛けした複数の溝付きローラ3、切断するワークWを相対的に下方へと送り出すワーク送り機構4、切断時にワイヤ2にスラリを供給するためのスラリ供給手段5を有している。
ワイヤ2は、供給側のワイヤリール6から繰り出され、溝付きローラ3に入っている。ワイヤ2がこの溝付きローラ3に300〜500回程度巻掛けられることによってワイヤ列7が形成される。更に、ワイヤ2は溝付きローラ3から巻き出され、回収側のワイヤリール6’に巻き取られる。
溝付きローラ3とワイヤリール6、6’との間にはワイヤ2に張力を付与するためのワイヤ張力付与機構(不図示)が設けられている。
ワークWを切断する時には、ワイヤ2を予め定められた走行距離でワイヤ軸方向に往復走行させる。この際、往復走行するワイヤのそれぞれの方向への走行距離は同じではなく、片方向の走行距離の方が長くなっている。これにより、ワイヤは往復走行を続けながら長く走行する方向、すなわち図2に示すように供給側から回収側にワイヤ新線が徐々に供給されていく。
ワークWはワーク送り機構4により保持され、相対的に下方に位置するワイヤ2へと送られる。このワーク送り機構4は、ワイヤ2が当て板に到達するまでワークWを相対的に下方へと押し下げることによって、ワークWをワイヤ列7に押し当てて切断する。そして、ワークWの切断を完了させた後、ワークWの送り出し方向を逆転させることにより、ワイヤ列から切断済みワークWを引き抜くようにする。
本発明のワイヤソーの運転再開方法は、上記のワイヤソーの運転において、ワイヤ2が断線してワークWの切断を途中で一旦中断した後、該切断を再開する場合の運転再開方法である。以下、図1、図2を参照しながら詳細に説明する。
まず、ワイヤ2の断線が発生したらワークWの切断を中断し、断線位置を確認する(図1のS101)。
この時、特に、ワイヤ2の断線がワイヤ2の供給側あるいはワイヤ列7中で発生した場合に、本発明のワイヤソーの運転再開方法を実施することが有効である。
ワイヤの断線が溝付きローラ3より回収側の位置で発生した場合には、切断に直接関与しない位置でワイヤの断線部同士を結線すればよいため、供給側のワイヤリール6からワイヤ2を少量巻き出すだけでよく、ワイヤの摩耗した部分を再びワークに押し当てて切断を再開できる。
しかし、ワイヤの断線が溝付きローラ3より供給側あるいはワイヤ列7中あるいは、ワイヤ列7から回収側にワイヤの往復運動する長さ以内で発生した場合には、結線部を切断に関与しない場所に移動させる必要が有るため、供給側のワイヤリール6からワイヤを巻き出す必要が有り、切断に直接使用する部分のワイヤは新線となってしまう。このような、ワイヤの断線がワイヤの供給側あるいはワイヤ列中等で発生した場合に、本発明のワイヤソーの運転再開方法は特に有効となる。
ワイヤの断線位置を確認した後、ワークをワイヤ列から一旦退避させ(図1のS102)、断線したワイヤを除去する作業を行う(図1のS103)。
このとき、本発明では、少なくとも1本以上のワークを切断可能な長さであり、先端から少なくともワイヤ列7が形成可能な長さまでを摩耗させた摩耗ワイヤを予め用意しておく。尚、ワイヤ列7が形成可能な長さは、溝付きローラ3の溝の数N、複数の溝付きローラにワイヤを1周巻掛けるのに必要な長さLの積NLとなるので、両者を把握していればワイヤ列7が形成可能な長さは容易に算出できる。
そして、断線したワイヤを除去した後、断線したワイヤが巻きつけられている供給側のワイヤリール6を、摩耗ワイヤが巻きつけられたワイヤリールと交換し、再度ワイヤ列7を形成する(図1のS104)。この時、回収側のリール6’は取り換えることなくそのまま継続して使用し、回収側のリール6’の断線したワイヤに、摩耗ワイヤを結線してワイヤ列7を再度形成することができる。
このとき、摩耗ワイヤは、断線が発生したワークの切断と同一の切断レシピでワークの切断をすることで、ワイヤを摩耗させたものとして、断線したワイヤと交換することができる。
このように、断線が起こった切断と同一の切断レシピで使用したワイヤを、交換用の摩耗ワイヤとして用意しておけば、ワイヤの直径及び直径の変化の仕方を断線直後の状態とほぼ同じにすることができ、断線時のワークの切り込み位置におけるワイヤの直径を、切断再開時に容易に再現することができる
この摩耗ワイヤは、例えば、通常のワークの切断において、供給側のワイヤリール6に、少なくとも1本のワークの切断が行えるだけの新線を残し、少なくともワイヤ列7が形成可能な長さ分の摩耗したワイヤを供給側のワイヤリール6に巻き戻すことで、摩耗ワイヤを巻きつけたワイヤリールを用意することができる。
次に、再度形成されたワイヤ列における摩耗ワイヤの摩耗させた箇所が、ワークの切り込み位置になるように摩耗ワイヤを移動させてから(図1のS105)、切断を再開する(図1のS106)。この際、ワイヤの位置は、例えばレーザー変位計等の測定機でワイヤの直径を測定しながら位置合わせをすることができる。
このようにすれば、交換後のワイヤは予め摩耗しており直径は小さいので、ワイヤをワークの切り込み位置に容易に戻すことができる。従って、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生するのを抑制できる。また、断線起因の不良がウェーハに発生することを抑制できる。更に、摩耗したワイヤで切断を再開するため、切断レシピはほとんど制限されず、切断時のワイヤの摩耗量に依存せずワイヤを有効利用することができる。
また、断線が発生した直後のワークの切り込み位置になるように摩耗ワイヤを移動させ、切断を再開する際には、断線したワイヤのワイヤ列の新線供給側におけるワイヤの直径である新線径Rと、断線したワイヤのワイヤ列の回収側におけるワイヤの直径である摩耗径Rを測定し、摩耗ワイヤで再度形成されたワイヤ列7の新線供給側及び回収側のワイヤの直径がそれぞれ新線径R及び摩耗径Rと同じになるように、摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開することが好ましい。こうすれば、より正確に切断再開時のワイヤ径を断線前と同じに再現できる。この場合も、ワイヤの位置は、例えばレーザー変位計等の測定機でワイヤの直径を測定しながら位置合わせをすることができる。
こうして、ワークの切断代以下の直径の摩耗ワイヤをワークの切り込み位置に確実に戻すことができるため、運転再開後に切断したウェーハに溝が発生することをより確実に抑制できる。しかも、このような本発明であれば、例え使用したワイヤが細線のものであったり、使用した砥粒がきめ細かい粒径のものであったりして、もともと切断代が少ないものであったとしても、確実に切断を再開することができ、ウェーハに段差が発生することもない。
そして、断線が発生した際に切断されていたワークWの切断を完了する(図1のS107)。
ワークWの切断が完了した後、摩耗ワイヤを巻きつけたワイヤリールをワイヤソー1から取り外して、断線が発生したワイヤリール6を再度設置することで、摩耗ワイヤを断線したワイヤに再度交換してから、次のワークの切断を実施することが好ましい(図1のS108、S109)。
このようにすれば、断線が発生したワイヤリール6に残った新線を次のワークの切断に使用できるため、未使用のワイヤを無駄にすることがない。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、以下の実施例、比較例において、dは平均砥粒径(μm)、ΔRは新線径(μm)と摩耗径(μm)の差(R−R)、すなわちワイヤの摩耗量を表し、例えばd=0.30×ΔRは、dがΔRの0.3倍であるワイヤの摩耗条件で切断したことを示している。
(実施例1)
図2に示すようなワイヤソーを使用して、d=0.30×ΔRとなる摩耗条件の切断レシピで直径200mmのシリコンインゴットの切断を行った。そして、ワークの下端部から100mmの切り込み位置を切断中に、溝付きローラよりも供給側の位置で断線を発生させた。そして、図1に示すような、本発明のワイヤソーの運転再開方法で、ワークの切断を再開した。このとき、供給側のワイヤリールを、あらかじめ用意しておいた摩耗ワイヤを巻きつけたワイヤリールに交換することで、断線したワイヤを、先端から少なくともワイヤ列が形成可能な長さまでをd/0.30=ΔRだけ摩耗させた摩耗ワイヤに交換した。そして、ワイヤリールから摩耗ワイヤを巻き出し、ワイヤ列を再度形成し、摩耗ワイヤの摩耗させた箇所がワークの切り込み位置になるように、摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開した。そして、切断完了後、ウェーハの表面形状を測定した。その結果を図3に示す。
その結果、ワークの切り込み位置にワイヤ列を嵌めて切断をすることができ、図3に示すように、ウェーハ表面に溝が発生しておらず、切断後の後工程の加工により不良は発生しなかった。またこの時の摩耗量は、ΔR>3dの範囲の値であったが問題なくワークの切り込み位置にワイヤ列を嵌めて切断を再開できた。このように、従来のように摩耗量を制限した切断レシピにせずとも、ワークの切り込み位置にワイヤ列を嵌めて切断を再開できる上、ウェーハに段差も発生しないことが確認された。
(実施例2)
図2に示すようなワイヤソーを使用して、d=0.40×ΔRとなる摩耗条件の切断レシピで直径200mmのシリコンインゴットの切断を行った。そして、ワークの下端部から100mmの切り込み位置を切断中に、溝付きローラよりも供給側の位置で断線を発生させた。そして、図1に示すような、本発明のワイヤソーの運転再開方法で、ワークの切断を再開した。このとき、供給側のワイヤリールを、あらかじめ用意しておいた摩耗ワイヤを巻きつけたワイヤリールに交換することで、断線したワイヤを、先端から少なくともワイヤ列が形成可能な長さまでをd/0.40=ΔRだけ摩耗させた摩耗ワイヤに交換した。そして、ワイヤリールから摩耗ワイヤを巻き出し、ワイヤ列を再度形成し、摩耗ワイヤの摩耗させた箇所がワークの切り込み位置になるように、摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開した。そして、切断完了後、ウェーハの表面形状を測定した。その結果を図3に示す。
その結果、ワークの切り込み位置にワイヤ列を嵌めて切断をすることができ、図3に示すように、ウェーハ表面に溝が発生しておらず、切断後の後工程の加工により不良は発生しなかった。
(比較例1)
実施例1と同様に、図2に示すようなワイヤソーを使用して、d=0.30×ΔRとなる摩耗条件の切断レシピで直径200mmのシリコンインゴットの切断を行った。そして、ワークの下端部から100mmの切り込み位置を切断中に、溝付きローラよりも供給側の位置で断線を発生させた。そして、断線したワイヤを、摩耗させたワイヤに交換せず、そのまま断線箇所を結線し、再度ワイヤ列を形成した。このとき、供給側のワイヤリールからワイヤを巻き出して結線部を溝付きローラよりも回収側の位置まで移動させたため、ワイヤ列のワークの切断に関与する部分のワイヤは新線となっていた。
その後、ワークの切り込み位置に再度形成したワイヤ列を嵌めようとしたが、特にワークの後半でワイヤの直径がワークの切り代より大きいため、ワイヤ列を嵌めることはできず切断を再開できなかった。
(比較例2)
実施例1と同様に、図2に示すようなワイヤソーを使用して、d=0.40×ΔRとなる摩耗条件の切断レシピで直径200mmのシリコンインゴットの切断を行った。そして、ワークの下端部から100mmの切り込み位置を切断中に、溝付きローラよりも供給側の位置で断線を発生させた。そして、断線したワイヤを、摩耗させたワイヤに交換せず、そのまま断線箇所を結線し、ワイヤ列を再度形成した。このとき、供給側のワイヤリールからワイヤを巻き出して結線部を溝付きローラよりも回収側の位置まで移動させたため、ワイヤ列のワークの切断に関与する部分のワイヤは新線となっていた。
その後、ワークの切り込み位置に再度形成したワイヤ列を嵌めることは困難であったが、ワイヤ列を嵌めこみ切断を再開した。
そして、切断完了後、ウェーハの表面形状を測定した。その結果を図3に示す。比較例2では、ワークの切り込み位置に再びワイヤ列を嵌め込み、切断を再開できたが、図3に示すように、ウェーハの表面の切断を再開した100mmの切り込み位置に深い溝ができてしまい、後工程で不良が発生してしまった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…ワイヤソー、 2…ワイヤ、 3…溝付きローラ、
4…ワーク送り機構、 5…スラリ供給手段、 6、6’…ワイヤリール、
7…ワイヤ列、 W…ワーク。

Claims (5)

  1. 複数の溝付きローラにワイヤを巻掛けることでワイヤ列を形成し、前記ワイヤを軸方向に所定のサイクルで往復走行させ、前記ワイヤに切断用のスラリを供給しつつ、ワークを相対的に押し下げて、前記ワイヤ列に押し当てることで、前記ワークをウェーハ状に切断するワイヤソーの運転において、前記ワークの切断が前記ワイヤの断線の発生により途中で一旦中断した後に、該切断を再開する場合の運転再開方法であって、
    少なくとも1本以上の前記ワークを切断可能な長さのワイヤであり、先端から少なくとも前記ワイヤ列が形成可能な長さまでを摩耗させた摩耗ワイヤを用意する工程と、
    前記ワイヤの断線後に、前記断線したワイヤを、前記摩耗ワイヤに交換して再度ワイヤ列を形成する工程と、
    該再度形成されたワイヤ列における前記摩耗ワイヤの摩耗させた箇所が前記ワークの切り込み位置になるように、前記摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開する工程を有することを特徴とするワイヤソーの運転再開方法。
  2. 前記断線したワイヤのワイヤ列の新線供給側におけるワイヤの直径である新線径Rと、前記断線したワイヤのワイヤ列の回収側におけるワイヤの直径である摩耗径Rを測定し、
    前記切断を再開する工程において、前記摩耗ワイヤで再度形成されたワイヤ列の新線供給側及び前記回収側のワイヤの直径がそれぞれ前記新線径R及び前記摩耗径Rと同じになるように、前記摩耗ワイヤを移動させてから切断を再開することを特徴とする請求項1に記載のワイヤソーの運転再開方法。
  3. 前記交換する摩耗ワイヤを、前記断線が発生したワークの切断と同一の切断レシピで前記ワークの切断をすることで、ワイヤを摩耗させたものと交換することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤソーの運転再開方法。
  4. 前記ワークの切断を再開し前記ワークの切断が完了した後に、前記摩耗ワイヤを前記断線したワイヤに再度交換してから、次のワークの切断を実施することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤソーの運転再開方法。
  5. 前記ワイヤの断線が前記ワイヤの供給側あるいはワイヤ列中で発生した場合に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤソーの運転再開方法を実施することを特徴とするワイヤソーの運転再開方法。
JP2013258235A 2013-12-13 2013-12-13 ワイヤソーの運転再開方法 Active JP6080753B2 (ja)

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