JP2015112561A - Voc除去装置、voc除去システム、voc除去方法およびvoc除去用除去液 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項1記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項1の装置」という)は、VOCを含む被浄化ガスとVOC除去液とを接触させることにより被浄化ガスからVOCを除去するVOC除去装置である。請求項1の装置は、被浄化ガスを、通過方向に通過させるガス流路と、当該ガス流路の途中に設けられた、通過する被浄化ガスとの接触面を有するトラップ機構と、当該トラップ機構の接触面の少なくとも一部を濡らすため、当該トラップ機構にVOC除去液を供給する除去液供給機構と、を備え、当該トラップ機構は、少なくとも部分的に金属又は高伝熱性部材から構成され、当該トラップ機構を冷却する冷却機構が設けられ、当該冷却機構による当該トラップ機構の冷却により、当該トラップ機構の接触面を濡らすVOC除去液を冷却するように構成されていることを特徴とする。上記構造に加え、再利用に供するため、使用済みVOC除去液の回収機構を設けておくことが好ましい。VOC除去液にも何ら制限はないが、たとえば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)、その他の高沸点グリコールを含むVOC除去用除去液などを公的に用いることができる。被浄化ガスの通過方向に何ら制限はなく、設計者の裁量にゆだねられる。冷却機構は、VOC除去液を冷却可能なすべての機構の総称であり、その設置は除去塔の内部又は外部のいずれか一方もしくは双方でもよい。
請求項2記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項2の装置」という)は、請求項1の装置であって、前記トラップ機構には、VOC除去液で濡らす面積を拡大するためのフィン構造が設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項3の装置」という)は、請求項2の装置であって、前記フィン構造は、通過方向に沿って互いに所定間隔を隔てて横方向に並列配置された複数のフィン板を含めて構成され、前記冷却機構は、当該複数のフィン板と熱伝導接触する少なくとも1本の冷却管と、当該冷却管内に冷媒を循環供給する冷媒供給機構を含めて構成され、前記除去液供給機構は、前記フィン構造に対し、被浄化ガスの通過方向からみた上流側もしくは下流側からVOC除去液を供給するように構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項4の装置」という)は、請求項3の装置であって、前記トラップ機構が被浄化ガスの通過方向に沿って多段(たとえば、2段)設置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項4の装置」という)は、請求項1ないし4いずれかの装置であって、前記除去液供給機構は、噴霧ノズルを介してVOC除去液を供給するように構成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明に係るVOC除去装置(以下、適宜「請求項6の装置」という)は、請求項1ないし5いずれかの装置であって、前記VOC除去液は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む除去液であることを特徴とする。
請求項7記載の発明に係るVOC除去方法(以下、適宜「請求項7の方法」という)は、VOCを含む被浄化ガスとVOC除去液を接触させることにより被浄化ガスからVOCを除去するVOC除去方法において、当該VOC除去液は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む除去液であることを特徴とする。
請求項8記載の発明に係るVOC除去方法(以下、適宜「請求項8の方法」という)は、請求項7の方法であって、前記VOC除去液のガス吸収温度を、被浄化ガスの温度以下まで冷却することを特徴とする。
請求項9記載の発明に係るVOC除去用除去液(以下、適宜「請求項9の除去液」という)は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TPGME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む除去液であることを特徴とする。
請求項10記載の発明に係るVOC除去システム(以下、適宜「請求項10のシステム」という)は、請求項1ないし5いずれか記載のVOC除去装置が直列に多段接続され、先頭から最後尾まで被除去ガスが通貫するように構成されていることを特徴とする。
VOC除去装置1は、ガス流路2を内部に有する除去塔3と、除去塔3の内部に配したトラップ構造5と、除去塔3の下方領域に設けた除去液受け槽6と、噴霧する除去液を貯留する除去液貯留槽9と、除去液Lを噴霧する除去液供給機構11と、から基本構成してある。好ましい実施形態として、上記構成に加え、除去液受け槽6で受けた使用済み除去液を再生して除去液貯留槽9へ送る除去液再生機構(図示を省略)を設けておくとよい。使用済み除去液を回収し再生・再利用を図ることにより、真に環境保全に寄与することができるからである。なお、VOC除去装置1は、被浄化ガスGを除去塔3の上部から注入し、下部から排気するように構成されている。これとは逆であることを妨げないが、本実施形態では、したがって、VOC除去装置1内の被浄化ガスGの通過方向は、図1の上から下方向になる。
除去塔3は、上端と下端がそれぞれ先細りする筒状の形状に構成され、図示を省略した保持構造によって起立状態が保たれている。除去塔3の断面形状は特に限定する趣旨ではないが、本実施形態では、除去液Lを万遍なくいきわたらせるため、噴霧ノズル15の噴霧域の形状に合わせ円形に構成されている。除去塔3の高さ方向ほぼ中央部には、トラップ機構5が内壁に気密状態で固定されている。内壁に対して気密になっているのは、ガス流路2内を通過する被浄化ガスGのすべてが、トラップ5内を通過するようにするためである。
トラップ機構5は、互いに所定間隔を隔てて並列配置された複数のフィン板5aを主部材とするフィン構造が構成されている。隣接するフィン板5a間が被浄化ガスの通過路になる。各フィン板5aの両面は、被浄化ガスGと接触する接触面となる。本実施形態の各フィン板5aは、20cm×20cmの厚さ1mmの矩形アルミ板で構成され、本実施形態では100枚を隙間2mmの間隔でそれぞれ被処理ガスGの通過方向に沿って配置されている。その他の仕様は、図2に示す通りである。この構造から、被浄化ガスGと接触する面(接触面)の総面積は16.2m2まで拡大する。各フィン板5aは、これらを厚み方向に貫く複数(単数の場合もある。本実施形態では144本)の冷却管7aによって支持されている。冷却管7aの中には図外から送液される冷媒が循環するように構成されている。冷媒は冷却管7aを介してフィン板5aを冷却し、冷却されたフィン板5aは、接触面を濡らすVOC除去液Lを冷却する。図2に示す仕様のトラップ機構5であれば、除去液Lを5℃前後まで冷却することができる。なお、上記した冷却管7aと冷媒7b、さらに、冷媒7bを冷却する冷却装置(図示を省略)を併せたもので、本実施形態における冷却機構6を構成する。本実施形態では採用していないが、トラップ機構5との間で冷却負担を分担する等の目的で冷却塔3の外でVOC除却液を予備冷却するための予備冷却装置を設置することも可能である。この場合の予備冷却装置は、冷却機構6の一部を構成することになる。なお、図1では、見やすくするため、トラップ板5aの形状や枚数、さらに、冷却管7aの太さや本数等を、実際と異なって表現してある(図9で同じ)。
除去液供給機構11は、除去液貯留槽9に貯留してある除去液Lを送液する送液ポンプ13と、送液ポンプ13によって送られた除去液Lを除去塔3内で噴霧する噴霧ノズル15と、により概略構成されている。図1に示すように噴霧ノズル15は、被浄化ガスGの通過方向からみたトラップ機構5の上流側に配されており、したがって、除去液Lの噴霧方向と被浄化ガスGの通過方向が順方向となる。除去液供給機構11の設計にあたり、噴霧した除去液Lがトラップ機構5のフィン板5a間に入り込み、それらの接触面を十分に濡らせるように、噴霧角や噴霧圧、除去液Lの粒径、さらに、噴霧方向と順方向に流れる被浄化ガスGの風圧や脈流の有無や程度等を総合的に考慮することが、VOCを高効率除去するためにきわめて重要である。VOC除去の効率が悪いと、大量の除去液Lが必要となるとともに、使用済みの除去液Lの量を不必要に増量してしまうからである。除去液Lの使用量の多少は、VOC除去装置1のランニングコストに大きく影響するし、使用済み除去液Lの再生負担も増大させることになる。図1に示す噴霧ノズル15の個数は、これを1個としたが、除去塔3の容積や被処理ガスGの処理量等に合わせて、適宜増やすこともできる。さらに、ノズル噴霧以外の方法を用いた除去液Lの供給を妨げるものでないことはいうまでもない。
除去液Lは、除去しようとするVOCの種類に合わせ適宜選択することになるが、除去液に対して求められる要素として、VOCの吸収率が高く、同じく吸収容量が多く、毒性がないこと、がまず挙げられる。さらに、安価であり高沸点(低揮発性)であること、分解しにくく安定であること、加えて、粘性が小さく流れやすいことも、好ましいとされる除去液に求められる要素である。本実施形態では、まず、除去液の選択を行う。
テトラエチレングリコールジメチルエーテルを含むVOC除去液を、除去液Lとして使用し、除去液温度5℃で噴霧ノズル15から噴霧した。このとき、被浄化ガスG(排気ガス)の通過方向と噴霧した除去液Lの移動方向は同じである。この場合、被浄化ガスGの通気流量1m3/min、除去液Lの噴霧流量0.97L/minの条件では、被浄化ガスGの入口温度29.1℃が、トラップ機構5(フィン板5a)の出口温度2.3℃となった。トラップ機構5のフィン板5aの冷却作用により、被浄化ガスGと除去液Lとも十分に冷やされ、5℃以下となった。
上記同様にVOC除去液Lとしてテトラエチレングリコールジメチルエーテルを含むVOC除去用除去剤を、除去液Lとして使用し、除去液温度5℃で噴霧した場合、被浄化ガスGの通気流量1m3/min、除去液Lの噴霧流量1L/minの並流条件では、排気ガス入口温度25.2℃が、冷却フィン出口温度1.9℃となった。冷却フィンにより、被浄化ガスGと除去液Lとも十分に冷やされ、5℃以下となった。図8に示すように、被浄化ガスG中のトリクロロエチレン濃度約516ppmで、トリクロロエチレンの除去効率は79.7%となり(5℃でのTCEの理想除去効率80%)、十分に効率良く排気ガス中トリクロロエチレンを除去できることが確認できた。
図9には、先に述べたVOC除去装置1の変形例であるVOC除去装置51が示されている。VOC除去装置1のトラップ機構は1段であった点で、多段(ここでは、2段)のトラップ機構を有するVOC除去装置51と異なる点である。
図10には、先に説明したVOC除去装置が直列に多段接続されVOC除去システム101が構成されている。本実施形態の接続段数は2段であるが、必要に応じて3段以上とすることを妨げない。接続は、先頭から最後尾まで被除去ガスLが通貫するように行う。多段接続されたことにより、通貫通過する被処理ガスLとVOC除去液の接触機会が増え、さらに、それぞれのトラップ機構5でVOC除去液が冷却されるので、総体としてきわめて効率の良いVOC除去ができる。図7及び8に、二段化した場合の被浄化ガスG中のDCMとTCEの理想除去効率と吸収温度との関係を示した。
2 ガス流路
3 除去塔
5 トラップ機構
5a フィン板
6 除去液受け槽
7 冷却手段
7a 冷却管
7b 冷媒
9 除去液貯留槽
11 除去液供給機構
13 送液ポンプ
15 噴霧ノズル
51 VOC除去装置
52(Ga) ガス流路
52(Gb) ガス流路
55a トラップ機構
55b トラップ機構
101a 上流側のガス流路
101b 下流側のガス流路
G 被浄化ガス
Ga 被浄化ガス
Gb 被浄化ガス
L VOC除去液(除去液)
La VOC除去液
Lb VOC除去液
Claims (10)
- VOCを含む被浄化ガスとVOC除去液とを接触させることにより被浄化ガスからVOCを吸収除去するVOC除去装置において、
被浄化ガスを、通過方向に通過させるガス流路と、
当該ガス流路の途中に設けられた、通過する被浄化ガスとの接触面を有するトラップ機構と、
当該トラップ機構の接触面の少なくとも一部を濡らすため、当該トラップ機構にVOC除去液を、供給する除去液供給機構と、を備え、
当該トラップ機構は、少なくとも部分的に金属又は高熱伝導性部材から構成され、
当該トラップ機構を冷却する冷却機構が設けられ、
当該冷却機構による当該トラップ機構の冷却により、当該トラップ機構の接触面を濡らすVOC除去液を冷却するように構成されている
ことを特徴とするVOC除去装置。 - 前記トラップ機構には、VOC除去液で濡らす面積を拡大するためのフィン構造が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のVOC除去装置。 - 前記フィン構造は、通過方向に沿って互いに所定間隔を隔てて並列配置された複数のフィン板を含めて構成され、
前記冷却機構は、当該複数のフィン板と熱伝導接触する少なくとも1本の冷却管と、当該冷却管内に冷媒を循環供給する冷媒供給機構を含めて構成され、
前記除去液供給機構は、前記フィン構造に対し、被浄化ガスの通過方向からみた上流側もしくは下流側からVOC除去液を供給するように構成されている
ことを特徴とする請求項2記載のVOC除去装置。 - 前記トラップ機構が被浄化ガスの通過方向に沿って多段設置されている
ことを特徴とする請求項3記載のVOC除去装置。 - 前記除去液供給機構は、噴霧ノズルを介してVOC除去液を供給するように構成されている
ことを特徴とする1ないし4いずれかの請求項記載のVOC除去装置。 - 前記VOC除去液は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む除去液である
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかの請求項記載のVOC除去装置。 - VOCを含む被浄化ガスとVOC除去液を接触させることにより被浄化ガスからVOCを除去するVOC除去方法において、
当該VOC除去液は、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む除去液である
ことを特徴とするVOC除去方法。 - 前記VOC除去液のガス吸収温度を、被浄化ガスの温度以下まで冷却する
ことを特徴とする請求項7記載のVOC除去方法。 - テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)又はトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGME)を含む
ことを特徴とするVOC除去用除去液。 - 請求項1ないし5いずれか記載のVOC除去装置が直列に多段接続され、先頭から最後尾まで被除去ガスが通貫するように構成されている
ことを特徴とするVOC除去システム。
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