JP2015110729A - ポリマー分散ポリオールおよび硬質発泡合成樹脂の製造方法 - Google Patents

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達哉 藪野
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Abstract

【課題】硬質フォーム用ポリオールとの相溶性に優れ、硬質フォームを製造できる原料として使用可能であり、フォーム収縮を抑え、ポリオール配合液中での貯蔵安定性が良好なポリマー分散ポリオールを提供するものである。
【解決手段】ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリマー分散ポリオール(Z)であって、該ポリマー微粒子が、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種との反応により形成され、前記ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量が50〜70mol%であり、前記ポリマー微粒子の質量平均分子量が10,000〜20,000であることを特徴とするポリマー分散ポリオール(Z)。
【選択図】なし

Description

本発明はポリマー分散ポリオールおよび硬質発泡合成樹脂の製造方法に関する。
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを発泡剤等の存在下で反応させて、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリイソシアヌレートフォーム等の硬質発泡合成樹脂(以下、「硬質フォーム」ともいう。)を製造することは広く行われている。
また近年環境負荷低減のために発泡剤としてハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC化合物)等の使用が規制され、また安全性のため鉛やスズを含む触媒を使用しない硬質発泡合成樹脂が求められる。
このような規制に対応する発泡剤として、ハイドロフロルオロカーボン(HFC化合物)や、ハイドロフロオロエーテル(HFE化合物)、分子内にC=C結合を有するハイドロフルオロオレフィン(HFO化合物)、シクロペンタン等の炭化水素化合物がある。また水はポリイソシアネート化合物と反応することによって炭酸ガスを生成するため、上記発泡剤と水を併用したり、発泡剤として水を単独で使用することが行われている。
安全性の問題に対応する触媒としては、アミン触媒が用いられる。
さらに、原料使用量削減によるコストダウンおよび軽量化のため、硬質フォームの低密度化が要望されているが、硬質フォームの低密度化により、硬質フォームの樹脂強度が低下し、硬質フォームの収縮が発生する問題が生じることがある。またコストダウンの目的でHFC化合物、HFE化合物やHFO化合物等を多く用いて低密度化するよりも、水を多く用いて低密度化することが求められる。さらにスプレー発泡などでは冬場(液温が10℃程度)であっても高い反応性が求められる。
特許文献1は、発泡剤としてハイドロクロロフロオロカーボン(HCFC化合物)等の規制対象発泡剤に代わる発泡剤として、HFC化合物や、炭化水素系化合物、水などを発泡剤として用いる場合に、ポリマー分散ポリオールの分散安定性が良好で、フォーム収縮を防止し、軽量化できる硬質発泡合成樹脂の製造方法が開示されている。
しかし、特許文献1の実施例において水のみを用いて示しているのは、液温20℃でゲルタイムが20秒もしくは25秒であった例か鉛触媒を用いた例のみである。
特許文献1で示された製造方法において、発泡剤として水を主として用いて低密度化し、鉛触媒等の金属触媒を用いずに反応性を高くすると、ポリオール、発泡剤、触媒およびその他の添加剤を配合したポリオールシステム液の貯蔵安定性が悪くなったり、得られる硬質フォームの寸法変化を必ずしも小さくできない場合がある。また、特許文献1で用いられているポリマー分散ポリオールの微粒子中のアクリルニトリル残基および分子量は不明である。
特許第4609179号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、硬質フォーム用ポリオールとの相溶性に優れ、硬質フォームを製造できる原料として使用可能であり、フォーム収縮を抑え、ポリオール配合液中での貯蔵安定性が良好なポリマー分散ポリオールを提供する。また、発泡剤として水を主として用いる硬質発泡合成樹脂を製造するためのポリオール配合液の貯蔵安定性が良好である硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供するものである。
発明者らは、上記課題を解決するためにポリマー分散ポリオールのポリマー微粒子中のアクリロニトリル残基の含有量、およびポリマー微粒子の分子量が、ポリオール配合液中での貯蔵安定性に影響することを見出した。特に発泡剤として水を主として用いる硬質発泡合成樹脂の製造におけるポリオール配合液の貯蔵安定性に影響することを見出した。
本発明は、下記の発明である。
[1]ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリマー分散ポリオール(Z)であって、該ポリマー微粒子が、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種との反応により形成され、前記ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量が50〜70mol%であり、前記ポリマー微粒子の質量平均分子量が10,000〜20,000であることを特徴とするポリマー分散ポリオール(Z)。
[2]前記ポリマー分散ポリオール(Z)を含有するポリオール混合物(V)、ポリイソシアネート化合物、整泡剤、および発泡剤を触媒の存在下に反応させる硬質発泡合成樹脂の製造方法。
本発明によれば、ポリオール配合液中での貯蔵安定性に優れたポリマー分散ポリオールが得られ、当該ポリマー分散ポリオールを含むポリオール混合物(V)を用いることにより軽量でもフォーム収縮がほとんどない硬質フォームを製造できる。
(ポリマー分散ポリオール(Z))
ポリマー分散ポリオール(Z)は、ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリオールである。ポリマー微粒子の含有量は分散安定性の観点からポリマー分散ポリオール(Z)の100質量%中、5〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。
また、ポリマー微粒子は後述するモノマー(M)を重合して得られる微粒子であることが好ましい。
<ベースポリオール(W)>
ベースポリオール(W)は平均の水酸基価が200〜800mgKOH/gであるポリオールを用いることが好ましく、250〜750mgKOH/gがより好ましい。ベースポリオール(W)の平均の水酸基価がこの範囲より低い場合、製造したポリマー分散ポリオール(Z)が、硬質フォームの製造に用いられる他のポリオールとの相溶性に乏しく、他のポリオールと併用するとベースポリオール(W)が分離すると共に、ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子が分離することがあるため、硬質フォーム用原料として使用することが困難になる。ベースポリオール(W)の平均の水酸基価が高い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。
ベースポリオール(W)は、水酸基価の異なるポリオール(X)とポリオール(Y)を含む混合物であることが好ましい。
<ポリオール(X)>
ポリオール(X)の水酸基価は84mgKOH/g以下が好ましく、67mgKOH/g以下がより好ましく、60mgKOH/g以下が特に好ましい。ポリオール(X)の水酸基価の下限としては、5mgKOH/g以上が好ましく、8mgKOH/g以上がより好ましい。水酸基価が84mgKOH/g以下であると、ポリマー微粒子へのグラフト化が促進されポリオール(X)中のポリマー微粒子が均一に分散する。水酸基価が5mgKOH/g以上であると、ポリマー微粒子とベースポリオールの分離が抑制される。
ポリオール(X)は、開始剤として多価アルコール類を使用し、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他の環状エーテルを付加して得られるものが好ましい。上記多価アルコール類としては特に、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類が好ましい。他の環状エーテルとしてはプロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。すなわちポリオール(X)としては、トリオール類にエチレンオキシドのみ、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを開環付加させて得られるポリエーテルポリオールであることが好ましい。
ポリオール(X)において、オキシエチレン基含有量は40質量%以上が好ましい。ただし本発明において、ポリオールのオキシエチレン基含有量とは、ポリオール分子におけるエチレンオキシド由来のオキシエチレン基の割合であり、具体的には開始剤を含めてポリオール分子内のエチレンオキシドの割合(質量%)で表す。オキシエチレン基含有量がこれより低い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。ポリオール(X)におけるオキシエチレン基含有量は、50質量%以上が好ましく、55質量%以上が特に好ましい。オキシエチレン基含有量の上限は約100質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。ポリオール(X)から選択されるポリオールは1種でも、2種以上であってもよい。
<ポリオール(Y)>
ポリオール(Y)は、水酸基価が400〜850mgKOH/gのポリオールが好ましい。ポリオール(Y)の水酸基価は400〜750mgKOH/gがより好ましい。
ポリオール(Y)から選択されるポリオールは1種のみでも、2種以上であってもよい。
ポリオール(Y)はポリエーテルポリオールであることが好ましく、開始剤として多価アルコール類を使用し、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他の環状エーテルを付加して得られるものが好ましい。特にポリオール(Y)が、窒素原子を有していない多価アルコール類を開始剤として環状エーテルを開環付加させて得られるポリエーテルポリオールであることが好ましい。ポリオール(Y)が窒素原子を有していると、ポリマー分散ポリオール(Z)の粘度が高くなる場合がある。ポリオール(Y)が窒素原子を有していないことにより、ポリマー分散ポリオール(Z)の安定性が良好となる。ポリオール(Y)を製造するための環状エーテルとしては、プロピレンオキシドのみ、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせが好ましい。
ポリオール(X)はベースポリオール(W)の100質量%中、5質量%以上含有することが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ベースポリオール(W)中のポリエーテルポリオール(X)の割合を5質量%以上とすることで、分散性(貯蔵安定性)のよいポリマー分散ポリオール(Z)が得られ易い。当該割合は10質量%以上であることが特に好ましい。上記割合の上限は、50質量%以下が好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
ポリオール(Y)はベースポリオール(W)の100質量%中、50〜95質量%含有することが好ましく、55〜80質量%含有することがより好ましい。
ベースポリオール(W)に含有されるポリオールは、ポリオール(X)およびポリオール(Y)以外のポリオールを含んでも良く、ポリオール(X)とポリオール(Y)の合計量が、ベースポリオール(W)の100質量%中の80〜100質量%であることが好ましく100質量%であることがより好ましい。ポリオール(X)とポリオール(Y)以外のポリオールとしては、脂肪族アミン化合物にアルキレンオキサイドを付加したポリオールが挙げられる。
ベースポリオール(W)の組成としては、ポリオール(X)の5〜50質量%およびポリオール(Y)の95〜50質量%からなる混合物でありことが好ましく、ポリオール(X)の10〜45質量%とポリオール(Y)の55〜90質量%からなる混合物であることがより好ましい。また、ポリオール(X)がエチレンオキシドを40質量%以上含有するアルキレンオキシドを、多価アルコール類に開環付加した水酸基価が84mgKOH/g以下のポリエーテルポリオールであり、ポリオール(Y)がエチレンオキシドのみ、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの組合せであるアルキレンオキシドを多価アルコール類に開環付加した水酸基価が400〜850mgKOH/gのポリエーテルポリオールであることが好ましい。
<ポリマー微粒子>
[モノマー(M)]
本発明において使用される、モノマー(M)には、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれる。
重合に用いるモノマー(M)の使用比率は、得られるポリマー分散ポリオール中のポリマー組成を制御するために任意に変更することができる。
モノマー(M)として、上記重合性不飽和結合含有ニトリル、アクリル酸アルキルエステル、またはメタクリル酸アルキルエステル以外の他のモノマーを併用してもよい。
該他のモノマーとして、重合性不飽和結合を1個有するモノマーを使用することができるが、これに限らない。具体的な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(アルキルエステル以外の)アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、その他のジエン系モノマー;マレイン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和脂肪酸エステル系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;およびこれら以外のオレフィン、ハロゲン化オレフィン等が挙げられる。
上記モノマー(M)の使用量は特に限定されないが、最終的に得られるポリマー分散ポリオール(Z)におけるポリマー濃度(ポリマー微粒子の含有量)が1〜50質量%となる量であることが好ましく、特に2〜45質量%が好ましく、10〜30質量%が最も好ましい。
上記重合性不飽和結合含有ニトリル、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー(M)と、上記他のモノマーを併用する場合、他のモノマーの使用量が、モノマー(M)の全使用量のうち50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。
ポリマー分散ポリオール(Z)中のポリマー微粒子は、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の残基と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の残基を含み、前記ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量が50〜70mol%である。前記重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量が50〜70mol%であると、製造した硬質フォームの収縮の安定性が良好となる。
アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが挙げられる。またメタクリル酸アルキルエステルはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルのうち、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルが好ましく、とりわけメタクリル酸メチルがモノマーの重合性の点で好ましい。
重合性不飽和結合含有ニトリルは、はアクリロニトリル、メタクリロニトリル、1,4−ジシアノ−2−ブテン、2,4−ジシアノ−1−ブテンが挙げられ、アクリロニトリルがポリマー微粒子の安定性の点で好ましい。
ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量は50〜70mol%が好ましく、55〜70mol%がより好ましい。前記含有量が70mol%以下であると、発泡時のフォーム収縮が抑制される点で良好であり、50mol%以上であるとシステム貯蔵安定性時の分離が抑制される点で良好となる。
ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリルの含有量を前記範囲とするためには、ポリマー分散ポリオールの重合時に使用するモノマー量を調整することにより制御できる。
ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量は、核磁気共鳴分光法(NMR)または赤外線分光法(IR)等により求めることができる。例えば、NMRによるAN/MMA含有量比率は、H−NMRを用いて求めることができる。1.5〜2.0ppmのポリマー微粒子の主鎖部分に由来するピークの積分値から、1.0ppm〜1.5ppmのMMAの分岐メチル基のピークの積分値からをMMAの含有量を算出し、ポリマー微粒子の主鎖の積分値から差し引くことで含有率を算出することができる。すなわち、1.5〜2.0ppmのポリマー主鎖部分に由来するスペクトル、および、その他に含有するモノマー残基のスペクトルの強度を求め、ANおよびその他に含有するモノマー残基のスペクトルの強度の合計中の、ANのスペクトルの割合を計算することにより、重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量のmol%を得ることができる。
モノマー(M)の重合には、通常遊離基を生成して重合を開始させるタイプの重合開始剤が用いられる。具体的には例えば2,2−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過硫酸塩等がある。このうち特にAIBN、AMBNが好ましい。
重合反応は、ポリマー分散ポリオール中のポリマーの分子量を制御するために、任意に変更することができる。
またポリマー分散ポリオール(Z)中のポリマー微粒子の質量平均分子量は、10,000〜20,000である。質量平均分子量が10,000以上であると、ポリマー微粒子の耐薬品性が良好であり、20,000以下であると、システム貯蔵安定性時のポリマー微粒子の分離が抑制できる。質量平均分子量はポリマー分散ポリオールの重合時に反応温度を調整することにより制御できる。
<ポリマー分散ポリオール(Z)の製造方法>
ベースポリオール(W)を用いてポリマー分散ポリオール(Z)を製造する方法は、例えば2通り挙げられる。第1の方法は必要に応じて溶媒、グラフト剤の存在下、ベースポリオール(W)中で重合性不飽和結合を有するモノマー(M)を重合させ粒子をベースポリオール(W)中に析出させる方法である。第2の方法は必要に応じて粒子を安定化させるグラフト化剤の存在下、溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマー(M)を重合させ粒子を析出させた後、ベースポリオール(W)と溶媒を置換して安定な分散体を得る方法である。本発明ではどちらの方法も採用でき、ポリマー微粒子がより安定に分散する点で第1の方法が特に好ましい。
前記第1の方法でポリマー分散ポリオール(Z)を製造する場合、(ア)反応器にベースポリオール(W)の一部を仕込み、撹拌下、この反応器に残りのベースポリオール(W)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を徐々にフィードして重合を行うバッチ法と、(イ)ベースポリオール(W)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を撹拌下反応器に連続的にフィードし、同時に生成したポリマー分散ポリオールを連続的に反応器から排出する連続法があり、本発明はこのどちらの方法でも製造できる。
一般にポリマー濃度が高くなればなるほど、モノマー(M)の重合時、粒子が成長する過程での粒子同士の凝集が起こり、凝集塊が生成しやすい。これを防ぐため前記第1の方法において、溶媒の存在下でポリマー分散ポリオール(Z)の製造を行うことが好ましい。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンジルエチルエーテル、アセタール、アニソール、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル類;クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン等のアミン類;N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物類等が挙げられる。
本発明ではこれら溶媒を単独または混合して使用できる。重合性不飽和結合を有するモノマー(M)の重合が終了した後、溶媒は除去される。溶媒除去は、通常減圧加熱により行われる。しかし、常圧加熱または減圧常温下に行うこともできる。この際、溶媒とともに未反応モノマーも除去される。
上記のような製造方法でポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオール(Z)が得られるが、使用するモノマー(M)によっては安定な分散体が得にくいことがある。さらに粒子の分散安定性を良くするために、安定化剤またはグラフト化剤を使用できる。
安定化剤またはグラフト化剤としては分子内に重合性の不飽和結合を有するポリエーテル化合物が好ましい。開始剤としてビニル基、アリル基、イソプロピル基等の不飽和結合含有基を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを反応させて得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはモノオール;ポリエーテルポリオールに無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させた後、必要に応じてプロピレンオキシド、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加して得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはモノオール;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブテンジオール等の不飽和アルコールとポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物;アリルグリシジルエーテル等不飽和エポキシ化合物とポリエーテルポリオールとの反応物;等が挙げられる。
これらの化合物は水酸基を有することが好ましいがそれに限定されない。
本発明におけるポリマー分散ポリオールの製造条件としては、反応温度を100〜150℃、110〜140℃とすることが好ましい。反応温度を前記範囲内とすることで、重合時にモノマーの気化を抑制し、良好な反応性が得られる。また撹拌速度は10〜1,000回転/分、20〜500回転/分とすることが好ましい。撹拌速度を前記範囲内とすることで、反応装置内のモノマーの濃度が均一となり反応の制御が容易となる。
また反応装置としては、温度、撹拌速度を制御でき、モノマーの投入設備を備えているものであれば好適に用いることができる。反応装置の容量としては、0.005〜20mが好ましい。容量が前記範囲であれば、工業的な生産が可能である点で好ましい。
<ポリマー分散ポリオール(Z)の特性>
ポリマー分散ポリオール(Z)の水酸基価は200〜800mgKOH/gであることが好ましく、200〜750mgKOH/gであることがより好ましく、250〜750mgKOH/gであることが特に好ましい。ポリマー分散ポリオール(Z)の水酸基価は、ベースとして使用するベースポリオール(W)に比較して、低くなるのが通常である。
以上により得られるポリマー分散ポリオール(Z)は静置状態で40℃で1ケ月間以上、特に2ケ月間以上、より好ましくは3ヶ月以上分離を起すことがない分散安定性を実現できる。ポリマー分散ポリオール(Z)がこのように分散安定性に優れる理由としては、ポリマー微粒子の大きさが微細かつ均一であるためと推定できる。また、ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基を50〜70mol%、ポリマー微粒子の質量平均分子量を10,000〜20,000に制御することによりポリマー微粒子の耐薬品性が向上したことにより分散安定性が向上したものと推定できる。
(硬質フォームの製造方法)
本発明の硬質フォームは、本発明のポリマー分散ポリオールを含有するポリオール混合物(V)と、ポリイソシアネート化合物とを、整泡剤、発泡剤および触媒の存在下に反応させて得られる。
本発明において、硬質フォームを製造する手法としては、発泡装置を用いる方法でもよく、発泡装置を用いずに通常の手発泡で行う方法でもよい。発泡装置としては、高圧発泡装置、低圧発泡装置のいずれでも使用できる。また反応条件は適宜選定すればよいが、反応温度としては、0〜50℃が好ましく、15〜45℃がより好ましい。
本発明の硬質フォームの製造方法は、スプレー発泡が特に好ましい。これはスプレー発泡において、軽量化、および、臭気改良の要求が特に強く、本発明による改善効果が特に大きいためである。スプレー発泡による製造方法は種々の方法が知られているが、このうち、特に配合液をミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡が好ましい。ここでスプレー発泡とは、ポリオール混合物(V)を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを吹き付けながら反応させる発泡方法であり、触媒等の選定により反応を短時間で完結させることを特徴とする。ポリイソシアネート化合物以外の配合物は、ポリオール組成物に含有させることができる。
スプレー発泡は、建築現場において壁、天井等に硬質フォームの断熱材を施工する際に採用されることが多い。スプレー発泡は、工事現場にて直接硬質フォームを製造することから、工事コストを抑制できる、凹凸のある施工面にも隙間なく施工できる等の長所を有する。具体的な施工例としては、マンション、オフィスビル、プレハブ冷凍倉庫等の断熱材が挙げられ、また近年は高気密用戸建住宅の断熱材としても採用されつつある。
<ポリオール混合物(V)>
硬質発泡合成樹脂製造の原料として用いられるポリオール混合物(V)は、本願発明のポリマー分散ポリオール(Z)を0.1質量%以上含む。
さらにポリオール混合物(V)における上記ポリマー微粒子の割合(含有量)が該ポリオール混合物(V)の全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましい。ポリマー微粒子の割合がこれより少ない場合、低温および高温の寸法安定性に優れた硬質フォームは得られにくい。上記ポリマー微粒子の割合は、ポリオール混合物(V)の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
ポリマー分散ポリオール(Z)は単独で硬質フォームの原料として使用でき、また他のポリオールと混合して使用することもできる。すなわちポリオール混合物(V)の100質量%が上記ポリマー分散ポリオール(Z)であってもよいが、原料の粘度が比較的低く製造時の操作性が高いことから通常硬質フォームの原料として使用されている後述するポリオール(E)と混合して使用することが好ましい。例えばポリマー微粒子の含有量が25質量%であるポリマー分散ポリオール(Z)を用いる場合に、ポリオール混合物(V)のうちのポリマー分散ポリオール(Z)の割合は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
該ポリオール混合物(V)の平均の水酸基価は100〜800mgKOH/gであることが好ましく、200〜750mgKOH/gが特に好ましい。
<ポリオールE>
ポリオール(E)としては、ポリエステルポリオール(E1)、ポリエーテルポリオール(E2)、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー(E3)等を使用できる。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。ポリオール(E)の水酸基価としては、100〜800mgKOH/gが好ましい。この範囲であれば、ポリオール混合物(V)の水酸基価が100〜800mgKOH/gとすることができる。
ポリオール(E)として、前記ベースポリオール(W)で用いたものと同じポリオールを用いてもよい。
ポリエーテルポリオール(E2)としては、水酸基数が2〜8の多価アルコール類、多価フェノール類、およびアミン類などの開始剤に、アルキレンオキシドまたはテトラヒドロフランなどの環状エーテルを開環付加したものが挙げられる。
これらのうち、アミン類を開始剤にして、アルキレンオキシドを開環付加したものが好ましい。アミン類としては、脂肪族アミン、芳香族アミンなどが挙げられるが、芳香族アミンが好ましく、特にフェノール類と、アルデヒド類と、アミン類とを縮合反応させて得られるマンニッヒ縮合物が好ましい。マンニッヒ縮合物を開始剤としたポリエーテルポリオール(E21)を含有すると、硬質フォームを断熱材などとして用いる場合に被着剤との接着性が良好となる。
ポリエステルポリオール(E1)としては、例えば、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオールが挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、多価アルコールと、脂肪族多価カルボン酸若しくは芳香族多価カルボン酸との重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステル(ラクトン、ラクチド)の重合、ポリカルボン酸無水物への環状エーテルの重付加、廃ポリエチレンテレフタレートのエステル交換反応等により得ることができる。ポリエステルポリオール(E1)としては、芳香族ポリエステルポリオール(E11)が好ましい。芳香族ポリエステルポリオールを含有すると、難燃性が良好となる。
末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー(E3)としては、例えばアクリル共重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、ブタジエンを単独で重合して、またはブタジエンと他のモノマーを共重合して得られる末端に水酸基を有する液状のポリブタジエンポリオール等がある。
<発泡剤>
本発明においては、発泡剤として、水、炭素数2〜8の炭化水素化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン、不活性ガスからなる群から選ばれる1種または2種以上を併用して使用する。
前記炭化水素化合物としては、炭素数4〜6の炭化水素化合物がより好ましく、例としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を併用して使用できる。発泡剤として用いるこれらの炭化水素化合物の使用量としては、ポリオール100質量部に対して、炭化水素化合物の合計が5〜40質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
前記のハイドロフルオロカーボンとしては、炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4が特に好ましく、例としては1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等が挙げられる。このうち、HFC−245faの単独使用、HFC−245faとHFC−365mfcとの併用、HFC−134aとHFC−245faとの併用、HFC−134aとHFC−365mfcとの併用、およびHFC−134aとHFC−245faとHFC−365mfcとの併用が好ましい。これらハイドロフルオロカーボンの使用量は、ポリオール100質量部に対してハイドロフルオロカーボンの合計が5〜100質量部となる割合が好ましく、5〜75質量部がより好ましい。ハイドロフルオロカーボンを2種以上併用する場合、各ハイドロフルオロカーボンの使用量は、ポリオール100質量部に対して各々0.1〜70質量部が好ましい。
ハイドロフルオロエーテルとしては、炭素数2〜8が好ましく、炭素数2〜4が特に好ましく、例としては1,1,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−236pc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−347mcc)等が挙げられる。
ハイドロフルオロエーテルの使用量は、ポリオール100質量部に対してハイドロフルオロエーテルの合計が1〜100質量部となる割合が好ましく、5〜75質量部がより好ましい。ハイドロフルオロエーテルを2種以上併用する場合、各ハイドロフルオロエーテルの使用量は、ポリオール100質量部に対して各々0.1〜70質量部が好ましい。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4が特に好ましく、例としてはZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)、E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−プロペン(HCFC−1233zd)等が挙げられる。
ハイドロフルオロオレフィンの使用量は、ポリオール100質量部に対してハイドロフルオロオレフィンの合計が1〜100質量部となる割合が好ましく、5〜75質量部がより好ましい。ハイドロフルオロエーテルを2種以上併用する場合、各ハイドロフルオロオレフィンの使用量は、ポリオール100質量部に対して各々0.1〜70質量部が好ましい。
前記の不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス等が挙げられる。中でも炭酸ガスが好ましい。不活性ガスの添加状態は液状態、超臨界状態、亜臨界状態のいずれでも構わない。不活性ガスは水なしで使用することもできるが、水と併用して使用するのが好ましい。不活性ガスの使用量は、ポリオール100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
本発明において、炭素数2〜8の炭化水素化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルは、各々水なしで使用することもできるが、水と併用して使用するのが好ましい。
本発明においては、特に、発泡剤として、水を単独で使用するか、水と不活性ガスを併用することが好ましい。水と併用する不活性ガスは炭酸ガスがより好ましい。発泡剤として水を単独で使用するか、水と不活性ガスとを併用した場合に、本発明における特定のポリオール混合物(V)を用いると、寸法安定性が良好となり好ましい。
発泡剤として水を使用する場合、その使用量は、ポリオール混合物(V)100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。水の使用量が1質量部未満であると、得られた硬質フォームが軽くなりにくく好ましくない。また使用量が20質量部を超えて多いと、水とポリオール混合物(V)との混合性が悪くなりやすく好ましくない。
<ポリイソシアネート化合物>
本発明において、ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はないが、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートまたはこれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。このうち、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。
ポリイソシアネート化合物の使用量は、ポリオール混合物(V)およびその他の活性水素化合物の活性水素の合計数に対するイソシアネート基の数の100倍で表して(通常この100倍で表した数値をイソシアネート指数という)、50〜300が好ましい。
ここで、触媒としてウレタン化触媒を主に用いるウレタン処方においては、ポリイソシアネート化合物の使用量はイソシアネート指数で、50〜140が好ましく、60〜130がより好ましい。また触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を主に用いるイソシアヌレート処方においては、ポリイソシアネート化合物の使用量はイソシアネート指数で、120〜300が好ましく、150〜250がより好ましい。
<触媒>
本発明において用いられる触媒としては、ウレタン化反応を促進する触媒であれば特に制限はない。例えば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、2種以上を併用してもよい。
またイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を併用してもよく、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩や、アミン触媒としては4級アンモニウム類、トリアジン類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、2種以上を併用してもよい。
また硬質フォームの製造方法としてスプレー法(以下、スプレー発泡ということもある)を採用する場合には、反応を短時間で完結させるために、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒を併用してもよい。該有機金属触媒の使用量は、ポリオール混合物(V)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
<整泡剤>
本発明においては良好な気泡を形成するため整泡剤を用いる。整泡剤としては例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。整泡剤の使用量は、適宜選定すればよいが、ポリオール混合物(V)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
<その他の配合剤>
本発明では、上述したポリオール混合物(V)、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、整泡剤の他に、任意の配合剤が使用できる。配合剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
<硬質フォームの特性>
本発明により製造される硬質フォームは、本発明のポリマー分散ポリオール(Z)を用いるので、水を多く用いることにより低密度とし、軽量であり、触媒として金属触媒を用いない処方であっても、フォームの収縮がほとんどなく、寸法安定性に優れるという特徴を有する。本発明により製造される硬質フォームの密度はコア密度で15〜40kg/mが好ましく、18〜30kg/mが特に好ましい。これらの軽量の硬質フォームで本発明の硬質フォームの製造方法は特徴的に効果(特に寸法安定性)を発現する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
表中で処方を表した部分の数値の単位は質量部である。実施例および比較例で用いた原料は、各表に示した通りであるが、その詳細は以下の通りである。また略号として、ANはアクリロニトリル、MMAはメタクリル酸メチル、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシド、EO基含有量はオキシエチレン基含有量をそれぞれ表す。AMBNは2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを表し、重合開始剤である。
(ベースポリオール(W))
ベースポリオール(W)として、下記ポリオールX1とY1との混合物、またはX1とY1とY2との混合物を用いた。
・ポリオールX1:グリセリンにPOとEOとをランダムに付加して得られる水酸基価が50mgKOH/g、EO基含有量70質量%のポリエーテルポリオール
・ポリオールY1:グリセリンにPOのみを付加して得られる水酸基価が650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
(実施例1〜4、比較例1〜3:ポリマー分散ポリオール(Z)の製造例)
5L加圧反応槽に表1に示したポリオール混合物のうち70質量%を仕込み、設定の重合温度に加熱しながら残りのポリオール混合物、表1に示したモノマーおよびAMBNの混合物を撹拌しながら2時間かけてフィードし、全フィード終了後同温度下で約0.5時間撹拌を続けた。反応終了後、加熱しながら、20Paで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオール(Z)を製造した。
なお、設定の重合温度は、ポリマーの分子量を調整するために、任意に設定した。
それぞれの例における諸条件、および製造したポリマー分散ポリオールのAN残基の割合(単位:mol%)、ポリマー分子量(質量平均分子量:Mw)、粘度、水酸基価、分散安定性を表1に示す。
なお、ここでの「粘度」は、東機産業社製「BLII型粘度計」で測定した場合の、25℃における粘度(mPa・s)である。
「水酸基価」は、JIS K1557(2007年版)に準拠して測定した値(OHV、単位はmgKOH/g)である。
「分散安定性」は、70℃で30日間静置した後の外観(分離状態)を目視で観察し、下記評価基準により評価した。
○:均一な分散溶液であった。
×:ポリマー微粒子とポリオールとが分離していた。
「AN残基の割合」は、製造したポリマー分散ポリオールから遠心分離によりポリマー成分を単離した後、得られたポリマー成分を重ジメチルスルホキシドに溶解し、NMR(JNM−AL300 FT−NMR装置;日本電子株式会社製)にて、測定核を水素とて測定した値である。
ポリマー分子量は、製造したポリマー分散ポリオールを0.05g採取した後、10mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、サイズ排除クロマトグラフィー(HLC−8320;東ソー株式会社製)を用いて測定した。測定に使用したカラムは、東ソー株式会社製のTSK−GEL SuperMultipore AW−5000、AW−4000、AW−3000、AW−2500を直列に連結したもので、カラム温度は、40℃とした。移動相にはN,N−ジメチルホルムアミドを用い、流速は毎分0.50mLとした。
Figure 2015110729
実施例1〜4、および比較例1〜3で製造したポリマー分散ポリオールを、表2では、Z1〜Z7と表記する。
(実施例5〜10、比較例4〜7:硬質フォームの製造例)
表2に示す配合で、硬質フォームの製造を実施した。ポリオール混合物(ポリマー分散ポリオールと他のポリオールの混合物)、発泡剤、および以下の触媒、整泡剤、難燃剤を添加、混合してポリオール組成物を調製した。
表2中のポリマー分散ポリオール以外の原料は、以下の通りである。
・ポリオールE11:水酸基価が250mgKOH/gの芳香族ポリエステルポリオール。(商品名:PHANTOL 6304、日立化成工業社製)。
・ポリオールE21:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの0.75モルおよびジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られた反応生成物を開始剤として、PO、EOをこの順で開環付加重合させて得られた、水酸基価300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。アルキレンオキシドの付加量は、ノニルフェノールの1モルに対し17.1モルである。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は54質量%である。25℃における粘度は550mPa・s。
・難燃剤:トリスクロロプロピルホスフェート(商品名:ファイロールPCF、スプレスタジャパン社製)。
・発泡剤:水
・整泡剤:シリコーン系整泡剤(商品名:SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)。
・触媒A:反応型泡化触媒、商品名:TOYOCAT RX−7、東ソー社製)。
・触媒B:トリアジン系イソシアヌレート化触媒(商品名:POLYCAT 41、エアプロダクツ社製)。
・触媒C:第4級アンモニウム塩とエチレングリコールの混合物(商品名:TOYOCAT−TRX、東ソー社製)。
・イソシアネート:ポリメリックMDI(MDIとクルードMDIの混合物、商品名:コロネート1130、日本ポリウレタン工業社製、25℃における粘度:130mPa・s、イソシアネート基含有率:31質量%)。
調製したポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを液温10℃で混合し、1Lのポリエチレンカップ内で自由発泡し、硬質フォームを発泡、製造した。
(硬質フォームの物性評価および、システム貯蔵安定性評価)
実施例5〜10および比較例4〜7の各例で得られた硬質フォームの、コア密度(単位:kg/m)、および高温高湿収縮度(単位:%)を評価した。また、ポリマー分散ポリオールの配合液中での安定性評価を実施し、その結果を表2に示す。
・反応性:ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、混合液が泡立ちを始めるまでの時間をクリームタイム(秒)、混合液が発泡し始め、フォームの上昇が停止する時間をライズタイム(秒)とした。
・コア密度:得られた硬質フォームのコア部を、縦(X)70mm×横(Y)70mm×厚み(T)70mmの立方体に切断し、質量と体積から密度(単位:kg/m)を算出した。
・寸法安定性:縦(X)70mm×横(Y)70mm×厚み(T)70mmに切り出した硬質フォームを、70℃、95%RHの環境下に保持し、24時間経過後に、縦(X)、横(Y)、厚み(T)の変化率を測定した。評価基準は、以下の通り。
良好:縦(X)、横(Y)、厚み(T)の変化率の合計の絶対値が10未満である
不良:縦(X)、横(Y)、厚み(T)の変化率の合計の絶対値が10以上である
・システム貯蔵安定性評価:ポリオール組成物を、40℃の環境下に静置し、30日後に静置したポリオール組成物を用い硬質フォームを製造した。製造した硬質フォームの寸法変化率を測定した。評価基準は、以下の通り。
良好:縦(X)、横(Y)、厚み(T)の変化率の合計の絶対値が10未満である
不良:縦(X)、横(Y)、厚み(T)の変化率の合計の絶対値が10以上である
Figure 2015110729
実施例1〜4で得られたポリマー分散ポリオールは、ポリマー微粒子中のアクリロニトリル残基の含有量が50〜70mol%であり、分子量が10,000〜20,000であったので、表2の実施例5〜10に示したように、ポリオールシステム液の貯蔵安定性および、硬質フォームの寸法安定性が良好であった。ポリマー微粒子中のアクリロニトリル残基の含有量が本願発明の上限より多い比較例1で得られたポリマー分散ポリオールZ5を用いた比較例4は、寸法安定性が悪かった。また、ポリマーの分子量が本願発明の下限値より小さい比較例2で得られたポリマー分散ポリオールZ6を用いた比較例5は、ポリオールシステム液の貯蔵安定性が悪かった。またポリマー微粒子中のアクリロニトリル残基の含有量が本願発明の下限値より小さい比較例3で得られたポリマー分散ポリオールZ7を用いた比較例6および比較例7は、ポリオールシステム液の貯蔵安定性が悪かった。
本発明のポリマー分散ポリオールは硬質フォームの製造に用いることができ、貯蔵安定性が良好なので、ポリオールシステム液として貯蔵することがあるスプレー発泡に好適に用いられる。また本発明のポリマー分散ポリオールを用いて得られる硬質フォームは、住宅、倉庫、自動車、冷凍庫、冷蔵庫等の断熱材、建材の充填剤として用いることができる。

Claims (8)

  1. ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリマー分散ポリオール(Z)であって、該ポリマー微粒子が、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種との反応により形成され、前記ポリマー微粒子中の重合性不飽和結合含有ニトリル残基の含有量が50〜70mol%であり、前記ポリマー微粒子の質量平均分子量が10,000〜20,000であることを特徴とするポリマー分散ポリオール(Z)。
  2. 前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基が炭素数1〜6のアルキル基である請求項1に記載のポリマー分散ポリオール(Z)。
  3. 前記メタクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メチルである、請求項1または2に記載のポリマー分散ポリオール(Z)。
  4. 前記ベースポリオール(W)が、水酸基価が84mgKOH/g以下でありかつオキシエチレン基含有量40質量%以上のポリエーテルポリオール(X)を5〜50質量%含有し、水酸基価が400〜850mgKOH/gであるポリエーテルポリオール(Y)を95〜50質量%含有し、該ベースポリオール(W)の平均水酸基価が200〜800mgKOH/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー分散ポリオール(Z)。
  5. ポリマー分散ポリオール(Z)中のポリマー微粒子の含有量が5〜50質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー分散ポリオール(Z)。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー分散ポリオール(Z)を0.1質量%以上含有するポリオール混合物(V)と、ポリイソシアネート化合物とを、整泡剤、発泡剤および触媒の存在下に反応させる硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  7. 前記触媒がアミン触媒であり、発泡剤が水である、請求項6に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  8. 前記ポリオール混合物(V)が、フェノール類と、アルデヒド類と、アミン類とを縮合反応させて得られるマンニッヒ縮合物にアルキレンオキシドを付加して得られる、水酸基価が100〜800mgKOH/gのポリエーテルポリオール(E21)をさらに含有する、請求項6または7に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
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