JP2015108416A - あと施工アンカー用アンカーボルトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような定着体は、非常に高い定着性能を発揮することができるが、アンカーボルトに引張応力が作用したときにアンカーボルトが降伏してしまってはその効果が薄れてしまう。そこで、最近では、このアンカーボルトを、PC鋼材等に用いられる高張力鋼で形成することによって降伏しにくくし、定着体の定着性能を十分に発揮できるようにしている。
しかしながら、高張力鋼の先端部を鋳造、鍛造、削り出し等の方法で所望の形状に加工するのは大変困難であるため、高張力鋼のアンカーボルトを量産するのには手間とコストがかかってしまい、工費の増加や工期の長期化の原因となっていた。
型や充填材は市販品でよく、低価格で入手することができるものを用いれば良いので、このようにすれば、芯材に型を取り付けて型の中に充填材を流し込む、或いは、型の中に充填材を流し込んだものを芯材に取り付けることにより、芯材の先端部に容易に定着体を形成することができる。
ここで用いられる「板材」には、鋼材や炭素繊維等で形成されたものが含まれる。
また、「積層」には、芯材に一枚の板を、芯材の軸方向から見たときに螺旋を描くように巻きつけることにより、軸に沿って切断したときの断面が積層されているように見えるものや、複数の板材を重ねたもの等が含まれる。
板材は市販品でよく、低価格で入手することができるものを用いれば良いので、このようにすれば、芯材に板材を巻き付けることにより、芯材の先端部に容易に定着体を形成することができる。
このようにすれば、芯材に基端側へ向かう引張応力が作用したときに、荷重受け部が先端側から定着体を支持するので、定着体から芯材が抜けてしまうのを防ぐことができる。
また、「定着体を・・形成する」には、芯材の先端において直接形成する場合と、別の場所で定着体の形に形成したものを後から心材に取り付ける場合とが含まれる。
また、芯材と板材、板材と板材とは、接着剤で貼り付ける、或いは、溶接することによって固着させる。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態のあと施工アンカー用アンカーボルト(以下アンカーボルト)の構成について説明する。図1は、本実施形態のアンカーボルト10の先端部の部分断面図である。
本実施形態のアンカーボルト10は、図1に示すように、芯材1と、芯材1の先端部(図の右端部)に設けられた定着体2からなる。
芯材1は、高張力鋼で形成された棒材(図は丸棒)である。なお、図示は省略するが、アンカーボルト10の基端部(芯材1の左端部)は、従来と同様の構成となっている。
型21は、例えば、鋼板や炭素繊維等、あと施工アンカーを設置する際に母材とアンカーボルトとの間に充填する接着剤が硬化したものよりも高い圧縮強度を有し、様々な形状に形成することができる材料で形成されている。また、型21は、軸1aを通る平面で切断したときの断面が、波形をしている。すなわち、型21の基端部(図の左端部)は、先端へと向かうに従って芯材1から遠ざかっていくように傾斜する傾斜面2a、中間部は、傾斜面2aと滑らかに連続し、先端に向かうに従って芯材1に近づくように傾斜する傾斜面2b、先端部は、傾斜面2bと滑らかに連続し、先端に向かうに従って芯材1から遠ざかるように傾斜する傾斜面2cとなっている。
次に、上記アンカーボルトの製造方法について説明する。
本実施形態では、まず、芯材1を用意する。芯材1は、加工の必要がない通常の棒材であり、市販品を用いればよい。
次に、定着体2の一部となる型21を製造する。型21の材料には、型21は、鋼材、炭素繊維等で両端に開口21b,21cを有する筒状に形成する。一方の開口21bは、芯材1を軸1aと直交する面で切断したときの断面と同じか僅かに大きい形状(円形)となるように形成し、他方の開口21cは、一方の開口21bよりも大きく広がるように形成する。また、型21の中間部を、全周に亘ってくびれた状態に形成する。
なお、上記実施形態では、型21を、板材を用いて形成したが、鋼線等の線材21aによって形成するようにしても良い。線材21aを用いる場合は、図2に示すように、バネを形成する要領で隙間なく螺旋状に曲げていくことにより形成する。このようにすると、型21の表面に凹凸ができるが、設置した際に接着剤から受ける応力は、各凹凸に分散されるので、応力が一箇所に集中し、定着体2が破壊されることはない。また、図2に一点鎖線で示したような、基端部において周回する線材21aに接する面を考えた場合、その面は、芯材1の先端に向かうに従って芯材1から遠ざかるように傾斜する。つまり、線材が太すぎなければ、線材21aの表面も、第1実施形態の傾斜面2a,2cと同様の機能を果たす傾斜面2dとして考えることができる。
こうすれば、より複雑な曲面を有する形状の定着体2を必要とする場合であっても、型21を容易に製作することができる。
以下、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。
ここでは、第1実施形態と相違する点のみ説明することとし、共通する点については説明を省略する。
まず、本実施形態のアンカーボルトの構成について説明する。図3(a)は、本実施形態のアンカーボルト10Aの先端部の部分断面図である。
本実施形態のアンカーボルト10Aは、定着体2Aが異なっている。具体的には、第1実施形態の定着体2は、型21と充填材22とで形成したものであったが、本実施形態の定着体2Aは、図3(a)に示すように、基端側を向く面24aが先端に向かうに従って芯材1から離れていく螺旋を描くように、芯材1に巻きつけられた鋼板24で形成されている。この定着体2Aを軸1aを通る平面で切断すると、複数(実際には1枚)の鋼板24が軸1aと直交する方向に階段状に積層されているように見える。このため、本実施形態の定着体2Aは、極めて高い圧縮強度を有している。また、このようにすると、型21の表面に凹凸ができるが、設置した際に接着剤から受ける応力は、各凹凸に分散されるので、応力が一箇所に集中し、定着体2Aが破壊されることはない。また、図3に一点鎖線で示したような、周回する鋼板24の基端側の角を通る面を考えた場合、その面は、芯材1の先端に向かうに従って芯材1から遠ざかるように傾斜する。つまり、鋼板24が厚すぎなければ、鋼板24の表面も、第1実施形態の傾斜面2a,2cと同様の機能を果たす傾斜面2dとして考えることができる。
次に、上記アンカーボルトの製造方法について説明する。図3(b)は、アンカーボルト10Aを製造する際の初期工程を示した図である。
本実施形態では、まず、定着体2Aとなる鋼板24を用意する。鋼板24は、直角三角形で、直角を挟む2辺のうち、一方の辺24bが他方の辺24cに対し十分に長いものを用意する。そして、鋼板24を芯材1に巻きつけていく。具体的には、図3(b)に示すように、鋼板24の他方の辺24cに沿った端部を、芯材1の先端部に、他方の辺24cと軸1aとが平行になるように、かつ直角の頂点が芯材1の先端と一致するように貼り付ける。すると、板材24の斜辺が、先端に向かうに従って軸1aから離れる方向に傾斜した状態となる。そして、鋼板24の芯材1に貼りつけた面に接着剤を塗布しながら、鋼板24を芯材1に巻きつけていく。こうすることによって、図3(a)に示したような断面を有するアンカーボルト10Aが形成される。
なお、上記実施形態では、鋼板24の他方の辺24cの側から芯材1に巻きつけていくようにしたが、図4(a)に示すように、鋼板24の一方の辺24bと斜辺とが交わる頂点の側から芯材1に巻きつけていくようにしても良い。このようにすれば、巻き付けられた鋼板24が、図4(b)に示すように、先端に向かうに従って芯材1から離れていく方向に傾斜するので、芯材1に基端側へと向かう引張応力が作用したときに、互いに接着された鋼板24と鋼板24とが剥がれにくくなって、定着体2Aが破壊されにくくなる。また、定着体2Aの表面に凹凸ができなくなるので、比較的厚い鋼板24を用いたとしても局所的に応力が作用するのを防ぐことができる。
以下、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。
ここでは、第1実施形態と相違する点のみ説明することとし、共通する点については説明を省略する。
まず、本実施形態のアンカーボルトの構成について説明する。図5は、本実施形態のアンカーボルト10Bの先端部の部分断面図である。
本実施形態のアンカーボルト10Bは、芯材1の先端部に荷重受け部3を備えている点が異なる。定着体は、第1実施形態の定着体2または第2実施形態の定着体2Aとなっており、荷重受け部3の基端側の面32aに接するように設けられている。これにより、芯材1に基端側へ向かう引張応力が作用したときに、荷重受け部3が、先端側から定着体2,2Aを支持するとともに、定着体2,2Aから芯材1が抜けてしまうのを防ぐことができる。また、荷重受け部3の基端側の面32aは、定着体2,2Aの先端側の面と略同一形状となっており、側面(芯材1の軸1aに沿う方向に延びる面)は、先端に向かうに従って芯材1から離れる方向に傾斜している。これにより、荷重受け部3の側面が定着体2の表面と連続する傾斜面となるので、荷重受け部3そのものも母材への定着効果を発揮することができる。
次に、上記アンカーボルトの製造方法について説明する。
本実施形態では、まず、荷重受け部3を形成する。具体的には、初めに、芯材1の先端部表面にねじ山31を形成する。樹脂や充填材等を塗布して硬化させたり、鋼板を接着或いは溶接したりし、それらを削ることによって形成する。こうすれば、芯材1そのものを加工しなくて済む。そして、ねじ山31にナット32を螺合させる。本実施形態では、ボルト孔を有する2つの面のうち、一方の面32aの直径が定着体2,2A先端の直径と同程度で、側面が先端に向かうに従ってボルト孔から離れる方向に傾斜しているものを用いる。ナット32が螺合されることにより荷重受け部3が形成される。荷重受け部3が形成された後は、第1実施形態の定着体2または第2実施形態の定着体2Aを、その先端面が、荷重受け部3の基端面に接するようにして形成する。こうすることによって、図5に示したような断面を有するアンカーボルト10Bが形成される。
このようにすれば、芯材1に基端側へ向かう引張応力が作用したときに、荷重受け部3が先端側から定着体2,2Aを支持するので、定着体2,2Aから芯材1が抜けてしまうのを防ぐことができる。
例えば、上記実施形態では、定着体を、軸1aを通る平面で切断したときの断面が、軸1aに関して線対称となるテーパー状のものとしたが、非対称となるものでも良いし、片側だけ斜面を有するようなものであっても良い。
また、第1実施形態では、定着体2を芯材1の軸と平行に切断したときの断面形状が波状になるようにしたが、直線状になるようにしてもよい。そうすれば、型21の形成を容易に行うことができる。
また、第1実施形態の変形例では、一本の線材を曲げていくことによって型21を形成するようにしたが、線材でそれぞれ大きさの異なる複数の円環を作成し、それらを互いに貼り合わせていくことで形成するようにしても良い。
また、第2実施形態では、定着体の材料として鋼板を用いたが、相応の硬度を有し、接着剤で接着が可能なものであれば他の材料でも良い。
また、第2実施形態では、芯材1に一枚の直角三角形の鋼板を巻き付けていくことによって定着体2Aを形成したが、台形のものを巻きつけるようにしても良いし、それぞれ幅の異なる複数の帯状の鋼板を巻きつけることによって定着体を形成するようにしても良い。
また、第1実施形態の変形例や第2実施形態では、定着体の表面に凹凸ができる構成としたが、凹凸を充填材23等で埋め表面をなだらかな傾斜面としてもよい。
また、第3実施形態では、ナットの直径を定着体の先端の幅とほぼ同じ大きさとしたが、定着体2の先端の幅より小さくしても良い。
1 芯材
2,2A,2B 定着体
21 型
22 充填材
23 鋼板(板材)
3 荷重受け部
Claims (6)
- 接着系あと施工アンカーとして用いるアンカーボルトであって、
高張力鋼で形成された棒状の芯材と、
前記芯材の先端部の周囲に、前記芯材を母材に定着させるための接着剤が硬化したものよりも高い圧縮強度を有する材料で、表面の少なくとも一部に、先端に向かうに従って前記芯材から離れる方向に傾斜する傾斜面を有するように形成された定着体と、を備えることを特徴とするあと施工アンカー用アンカーボルト。 - 前記定着体は、
前記芯材の先端部を囲むとともに、前記傾斜面を有する筒状の型と、
前記芯材と前記型との間に充填された充填材と、によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のあと施工アンカー用アンカーボルト。 - 前記定着体は、前記芯材の軸と略直交する方向に向かって積層された板材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のあと施工アンカー用アンカーボルト。
- 前記芯材の先端部に、前記芯材の軸と直交する方向に延びる荷重受け部を備え、
前記定着体が、前記荷重受け部の、前記芯材の基端側の面に接触するように形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のあと施工アンカー用アンカーボルト。 - 接着系あと施工アンカーとして用いるアンカーボルトの製造方法において、
高張力鋼で形成された棒状の芯材の先端部の周囲に、筒状の型を、表面の少なくとも一部が、先端に向かうに従って前記芯材から離れる方向に傾斜する傾斜面となるように設け、当該型と前記芯材との間に、前記芯材を母材に定着させるための接着剤が硬化したものよりも高い圧縮強度を発現する充填材を充填し硬化させることにより、定着体を形成することを特徴とするあと施工アンカー用アンカーボルトの製造方法。 - 接着系あと施工アンカーとして用いるアンカーボルトの製造方法において、
高張力鋼で形成された棒状の芯材の先端部に、前記芯材を母材に定着させるための接着剤が硬化したものよりも高い圧縮強度を有する板材を、表面の少なくとも一部が、先端に向かうに従って前記芯材から離れる方向に傾斜する傾斜面となるように巻き付けていくことにより、定着体を形成することを特徴とするあと施工アンカー用アンカーボルトの製造方法。
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2013
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