JP2015108032A - 耐候性を有するサーモトロピック液晶ポリマーおよび成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記サーモトロピック液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶性構成単位と、ベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造、およびトリアジン構造からなる群から選択される少なくとも一種の構造を、構成単位の母核部分の少なくとも一部として、または構成単位の置換基として有する紫外線吸収性芳香族構成単位とを含む、サーモトロピック液晶ポリマーである。
【選択図】なし
Description
また、一般式(2)中、R2〜R6がいずれも水素原子;R2およびR4がヒドロキシル基であり、その他が水素原子;または、R2がヒドロキシル基であり、R4がアルコキシ基であり、その他が水素原子であるか、
一般式(3)中、R7〜R10がいずれも水素原子;R8が塩素原子であり、その他が水素原子;R7がアルキル基であり、その他が水素原子;またはR8がアルキル基であり、その他が水素原子であるか、または
一般式(4)中、R11〜R20がいずれも水素原子;R11およびR13がアルキル基であり、その他が水素原子;または、R11、R13、R16およびR18がアルキル基であり、その他が水素原子であってもよい。
サーモトロピック液晶性を発現する構成単位は、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族アミノカルボン酸から由来する構成単位であり、溶融成形できる液晶性ポリマーを形成できる構成単位であれば、その化学的構成については特に限定されるものではない。
例えば、その構造単位としては、表1に示す例が挙げられる。
これらのうち、好ましいYとしては、水素原子が挙げられる。
紫外線吸収性芳香族構成単位は、ベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造、およびトリアジン構造からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有する紫外線吸収性芳香族構成単位である。また、前記構造は、構成単位の母核部分の少なくとも一部として、構成単位を形成していてもよいし、構成単位の置換基として、構成単位を形成していてもよい。
例えば、一般式(1)および(2)で構成された構成単位を形成するモノマーは、p−ベンゾイルオキシ安息香酸誘導体の光フリース(Fries)転位反応と続く無水酢酸を用いたアセチル化反応により合成することができる。
また、一般式(1)および(3)で構成された構成単位を形成するモノマーは、ヘテロサイクルズ(Heterocycles)65巻6号1393ページ2005年に記載された方法により各種置換基を有する誘導体を合成することができる。
さらに、一般式(1)および(4)で構成された構成単位を形成するモノマーは、4−アセチルオキシ安息香酸−3−イルボロン酸誘導体と6−ブロモ−2,4−ジアリール−1,3,5−トリアジン誘導体のPd触媒によるクロスカップリング反応と続くカルボン酸エステル部位の加水分解によって合成することができる。
本発明の液晶ポリマーは重縮合法により合成することができる。重縮合に供するモノマーとして、各種芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸などを用いた直接重合法であってもよく、各構成単位のエステル結合部位を、アセトキシ基とカルボキシル基により置換されたモノマーを選択することで、エステル交換反応により容易にポリマーを合成してもよい。
特開平6-281646に記載の分析方法に従い、ポリマーをプロピルアミンで分解し、高速液体クロマトグラフ(島津製作所、20A)を用い、数平均分子量を求めた。
DSC分析により融点を求めた。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製 Thermo plus DSC 8230
サンプルパン:アルミニウム
昇温速度:10℃/分
測定範囲:25℃→320℃(2nd runの値を採用)
雰囲気:窒素(50mL/分)
紫外線照射前後の試験片(幅15mm)を引張試験装置(株式会社オリエンテック、テンシロンRTG-1250)を用い、チャック間の初期距離80mm、引張速度40mm/minの条件で引張試験を行い、フィルムが破断したときの過重とフィルムの厚みから引張強度を求めた。
紫外線照射は、紫外線フェードメーター(スガ試験機株式会社、U48H)を用い、ブラックパネル温度63℃、照射時間25hの条件で行った。
フィルムの厚みは、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所)を用いて求めた。
ポリマーを溶媒に溶解し、各濃度における還元粘度を測定した。還元粘度の無限希釈(濃度c→0)における極限値を算出し、固有粘度とした。
<分析条件>
装置:オストワルド粘度計
温度:60℃
溶媒:ペンタフルオロフェノール
濃度:0.025g/dL,0.05g/dL,0.075g/dL,0.1g/dL
試料をホットステージに載せ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を目視により観察し、真珠様光沢または乳白色が現れた場合、液晶性を有するとして判断した。
サーモトロピック液晶性構成単位を形成するモノマーとして、p−アセトキシ安息香酸および6−アセトキシ−2−ナフトエ酸は和光純薬(株)製を用いた。また、紫外線吸収性芳香族構成単位を形成するモノマーとして用いた4−アセトキシ−3−ベンゾイル安息香酸は、以下の方法で合成した。
500mlフラスコにp−ヒドロキシ安息香酸メチル9.1g(60mmol)、炭酸カリウム20g、脱水アセトン300mLを入れ懸濁させた。そこに塩化ベンゾイル7mLlをゆっくり滴下したのち、昇温し還流下で2時間反応させた。エバポレータで反応液からアセトンを留去したのち、クロロホルム100mLを加え、一規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えて分液し、酸成分を除去した。有機相のクロロホルムを留去して得られた粗生成物を酢酸エチル−へキサン混合液から再結晶させることで、13.8g(54mmol;収率90%)のp−ベンゾイルオキシ安息香酸を得ることができた。
蒸留装置をつけた200mL3つ口フラスコに、p−アセトキシ安息香酸19.7g、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸9.3g、4−アセトキシ−3−ベンゾイル安息香酸1.3gを投入し、窒素置換したのち、攪拌しながら250℃の塩浴で加熱し、発生する酢酸を留去しながら1時間反応させた。ついで、塩浴を280℃に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、塩浴を320℃に昇温してさらに30分間反応させたのち、フラスコ内を真空(10Torr)にすることで、さらに重合を進めた。30分後に真空を解除し、ポリマーを取出すことで、約15gを得た。その分子量および融点を測定した。また300〜330℃で熱プレスをすることで、厚さ約150μmのフィルムを作製し、UV暴露試験を実施した。暴露前後の引張強度、固有粘度の変化を測定した。その結果を表2に示す。
蒸留装置をつけた200mL3つ口フラスコに、p−アセトキシ安息香酸19.7g、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸9.3g、4−アセトキシ−3−ベンゾイル安息香酸0.4gを投入し、窒素置換したのち、攪拌しながら250℃の塩浴で加熱し、発生する酢酸を留去しながら1時間反応させた。ついで、塩浴を280℃に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、塩浴を320℃に昇温してさらに30分間反応させたのち、フラスコ内を真空(10Torr)にすることで、さらに重合を進めた。30分後に真空を解除し、ポリマーを取出すことで、約15gを得た。その分子量および融点を測定した。また300〜330℃で熱プレスをすることで、厚さ約150μmのフィルムを作製し、UV暴露試験を実施した。暴露前後の引張強度、固有粘度の変化を測定した。その結果を表2に示す。
蒸留装置をつけた200mL3つ口フラスコに、p−アセトキシ安息香酸19.7g、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸9.3g、4−アセトキシ−3−ベンゾイル安息香酸0.1gを投入し、窒素置換したのち、攪拌しながら250℃の塩浴で加熱し、発生する酢酸を留去しながら1時間反応させた。ついで、塩浴を280℃に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、塩浴を320℃に昇温してさらに30分間反応させたのち、フラスコ内を真空(10Torr)にすることで、さらに重合を進めた。30分後に真空を解除し、ポリマーを取出すことで、約15gを得ることができた。その分子量および融点を測定した。また300〜330℃で熱プレスをすることで、厚さ約150μmのフィルムを作製し、UV暴露試験を実施した。暴露前後の引張強度、固有粘度の変化を測定した。その結果を表2に示す。
蒸留装置をつけた200mL3つ口フラスコに、p−アセトキシ安息香酸19.7g、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸9.3gを投入し、窒素置換したのち、攪拌しながら250℃の塩浴で加熱し、発生する酢酸を留去しながら1時間反応させた。ついで、塩浴を280℃に昇温し、さらに1時間反応させた。次に、塩浴を320℃に昇温してさらに30分間反応させたのち、フラスコ内を真空(10Torr)にすることで、さらに重合を進めた。30分後に真空を解除し、ポリマーを取出すことで、約15gを得た。その分子量および融点を測定した。また300〜330℃で熱プレスをすることで、厚さ約150μmのフィルムを作製し、UV暴露試験を実施した。暴露前後の引張強度、固有粘度の変化を測定した。その結果を表2に示す。
特に、紫外線吸収性モノマーの量が増加すると、その引張強度が向上するため、紫外線吸収性モノマーを共重合することにより、ポリマーの耐候性を向上させるだけでなく、ポリマー自体の物理的強度についても向上することが可能である。
また、実施例1〜3のポリマーは、いずれも270℃以上の高い融点を有しているため、耐候性が高く、耐熱性、強度にも優れている。
Claims (7)
- サーモトロピック液晶性構成単位と、ベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造、およびトリアジン構造からなる群から選択される少なくとも一種の構造を、構成単位の母核部分の少なくとも一部として、または構成単位の置換基として有する紫外線吸収性芳香族構成単位とを含む、サーモトロピック液晶ポリマー。
- 請求項2のポリマーにおいて、一般式(1)中、n=0、カルボン酸残基に対してm位に置換基R1を有するとともに;
一般式(2)中、R2〜R6がいずれも水素原子;R2およびR4がヒドロキシル基であり、その他が水素原子;または、R2がヒドロキシル基であり、R4がアルコキシ基であり、その他が水素原子であるか、
一般式(3)中、R7〜R10がいずれも水素原子;R8が塩素原子であり、その他が水素原子;R7がアルキル基であり、その他が水素原子;またはR8がアルキル基であり、その他が水素原子であるか、または
一般式(4)中、R11〜R20がいずれも水素原子;R11およびR13がアルキル基であり、その他が水素原子;または、R11、R13、R16およびR18がアルキル基であり、その他が水素原子である、サーモトロピック液晶ポリマー。 - 請求項4のポリマーにおいて、一般式(A)と(B)で表される構成単位の合計が、全構成単位の50モル%以上である、サーモトロピック液晶ポリマー。
- 請求項1〜5のいずれか一項のポリマーにおいて、(サーモトロピック液晶性構成単位)/(紫外線吸収性芳香族構成単位)=99.99/0.01〜80/20の範囲である、サーモトロピック液晶ポリマー。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶ポリマーを成形してなる成形品。
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