JP2015107680A - ステアリング装置 - Google Patents

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浩平 亀尾
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Abstract

【課題】様々な体格の運転者に合わせて操舵部材の位置を調整することが可能なステアリング装置を提供すること。【解決手段】ステアリング装置1は、操舵部材2とともに変位するアッパーチューブ11と、車体14に固定される第1ブラケット17と、アッパーチューブ11に固定された第2ブラケット18と、ロック機構19とを備える。第1ブラケット17は、チルト用長溝23が設けられた第1側板22を含む。第2ブラケット18は、テレスコ用長溝25が設けられた第2側板24を含む。ロック機構19は、チルト用長溝23およびテレスコ用長溝25を挿通した締付軸21を含んでおり、第1側板22を第2側板24に締め付ける。締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、テレスコ用長溝25の長手方向Lが、アッパーチューブ11の中心軸線C2とは非平行に延びる。【選択図】図1

Description

この発明は、ステアリング装置に関する。
下記特許文献1で開示された位置調整式操舵装置は、操舵部材が連結されたステアリングシャフトを有している。ステアリングシャフトは、ステアリングコラムに挿通されている。ステアリングシャフトおよびステアリングコラムをステアリングシャフトの軸方向に伸縮させることで、操舵部材の軸方向の位置および高さ方向の位置が調整される(いわゆるテレスコピック調整)。
特開2013−129302号公報
特許文献1では、テレスコピック調整のとき、操舵部材は、ステアリングシャフトの軸方向と平行な方向に沿って変位する。そのため、ステアリングシャフトの伸縮量に対して高さ方向における操舵部材の位置調整範囲が、制限される。これにより、運転者の体格によっては、操舵部材を高さ方向における所望の位置に調整することが困難となる虞がある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、様々な体格の運転者に合わせて操舵部材の位置を調整することが可能なステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、一端に操舵部材(2)が連結された伸縮可能なステアリングシャフト(4)と、テレスコ調整のときに、前記操舵部材とともに変位するアッパーチューブ(11)を含み、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するジャケット(8)と、第1側板(22)を含み、車体(14)に固定される第1ブラケット(17)と、前記第1側板に沿う第2側板(24,24Q,24R,24S,24T,24U)を含み、前記アッパーチューブに固定された第2ブラケット(18,18Q,18R,18S,18T,18U)と、前記第1側板に設けられた第1挿通溝(23)および前記第2側板に設けられた第2挿通溝(25)としてのテレスコ用長溝(25,25Q,25R,25S,25T,25U)を挿通した締付軸(21)と、前記締付軸の中心軸線(C1)回りに回転操作される操作レバー(20)と、を含み、前記第1側板を前記第2側板に締め付けるロック機構(19)と、を備え、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝の長手方向(L)の少なくとも一部が、前記アッパーチューブの中心軸線(C2)とは非平行に延びているステアリング装置(1,1Q,1R,1S,1T,1U)である。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、前記操舵部材側の第1端部(251)と、前記第1端部とは反対側の第2端部(252)と、を含み、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線よりも下方に配置され、且つ、前記第1端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離(D1)が、前記第2端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離(D2)よりも小さいステアリング装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、前記操舵部材側の第1端部(251)と、前記第1端部とは反対側の第2端部(252)と、を含み、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線よりも上方に配置され、且つ、前記第1端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離(D1Q)が、前記第2端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離(D2Q)よりも大きいステアリング装置である。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項において、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して傾斜する単一の傾斜を有するステアリング装置である。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項において、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して傾斜する複数の傾斜を有するステアリング装置である。
請求項6記載の発明は、請求項5において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、第1端部を含む第1領域(51)と、第2端部を含む第2領域(52)と、前記第1領域と前記第2領域との間の中間領域(53)と、を含み、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して、前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方の傾斜角度(θ1,θ2)が、前記中間領域の傾斜角度(θ3)よりも大きくされているステアリング装置である。
請求項7記載の発明は、請求項5または6において、前記第1挿通溝は、チルト用長溝であり、前記ロック機構は、前記締付軸の外周に嵌合され、前記第1側板を締め付ける締付部材(33,38)を含み、前記締付部材は、前記第1側板の外側面に沿う締付部(36,40)と、前記締付部から延び、前記チルト用長溝に回転不能に嵌合した第1ボス(46)と、前記第1ボスから延び、前記テレスコ用長溝の回転を許容するように嵌合した第2ボス(47)と、を含むステアリング装置である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1記載の発明によれば、テレスコ調整のとき、締付軸がテレスコ用長溝の前記少なくとも一部を移動するに伴い、操舵部材は、アッパーチューブの中心軸線とは非平行な方向に変位する。したがって、アッパーチューブの中心軸線に対して、テレスコ用長溝の前記少なくとも一部が傾斜する角度を調整することによって、操舵部材の位置調整の範囲を所望に調整することができる。
その結果、様々な体格の運転者に合わせて操舵部材の位置を調整することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、テレスコ用長溝の全体がアッパーチューブの中心軸線とは平行に延びる従来の構成と比較して、ステアリングシャフトが比較的伸びた状態(締付軸が第2端部付近に到達した状態)では、より高い位置に操舵部材を変位させることができ、逆に、ステアリングシャフトが比較的縮んだ状態(締付軸が第1端部付近に到達した状態)では、より低い位置に操舵部材を変位させることができる。これにより、より身長が高い運転者およびより低い運転者に合った操舵部材の位置調整が可能となる。
請求項3記載の発明によれば、テレスコ用長溝がアッパーチューブの中心軸線の上方に配置されている構成のステアリング装置においても、より身長が高い運転者およびより低い運転者に合った操舵部材の位置調整が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、単一の傾斜を有するテレスコ用長溝を用いるので、テレスコ調整のとき、操舵部材が、一定の割合で上下に変位する。これにより、運転者による操舵部材の位置調整が容易となる。
請求項5記載の発明によれば、複数の傾斜を有するテレスコ用長溝を用いるので、テレスコ調整のとき、ステアリングシャフトの伸縮量に応じて、操舵部材を上下に段階的に変位させることができる。
請求項6記載の発明によれば、ステアリングシャフトの伸縮ストロークの両端付近において、ステアリングシャフトの伸縮量に対して、操舵部材の上下位置の変化量を大きくすることができる。これにより、操舵部材の位置調整範囲を拡げることが可能となる。
請求項7記載の発明によれば、テレスコ調整のときに、締付軸が、テレスコ用長溝の複数の傾斜間を円滑に移動することができるので、操舵部材の位置を円滑に調整することができる。
本発明の第1実施形態のステアリング装置の概略構成の模式図である。 図1のII−II線に沿うステアリング装置の図解的な断面図である。 (a)は、締付軸がチルト方向上端に変位し、且つテレスコ用長溝の長手方向上端に配置される状態を示した図である。(b)は、締付軸がチルト方向上端に変位し、且つテレスコ用長溝の長手方向下端に配置される状態を示した図である。 チルト調整およびテレスコ調整を行ったときの、操舵部材の位置の調整範囲を示すグラフ図である。 本発明の第2実施形態の要部を示した一部破断概略側面図である。 本発明の第3実施形態を示す図である。 (a)は、第3実施形態における第2カムの側面図である。(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線に沿う断面図である。(c)は、図7(a)のVIIc−VIIc線に沿う断面図である。 第3実施形態において、操舵部材の位置調整の範囲を示すグラフ図である。 (a)の第4実施形態は、図6の第3実施形態の変形例を示した図である。(b)の第5実施形態は、図6の第3実施形態の変形例を示した図である。 本発明の第6実施形態を示す図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2の操舵に連動して転舵輪(図示せず)を転舵するステアリング機構3とを備えている。ステアリング機構3としては、例えばラックアンドピニオン機構が用いられている。
また、ステアリング装置1は、一端に操舵部材2が連結されたステアリングシャフト4と、ステアリングシャフト4を回転可能に支持する中空のジャケット8とを備えている。
操舵部材2とステアリング機構3とは、ステアリングシャフト4およびインターミディエイトシャフト5等を介して機械的に連結されている。操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト4およびインターミディエイトシャフト5等を介してステアリング機構3に伝達されるようになっている。また、ステアリング機構3に伝達された回転は、図示しないラック軸の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪が転舵される。
ステアリングシャフト4は、例えばスプライン嵌合やセレーション嵌合によって相対摺動可能に嵌合された筒状のアッパーシャフト6とロアーシャフト7とを有している。操舵部材2は、アッパーシャフト6の一端に連結されている。また、ステアリングシャフト4は、その軸方向Xに伸縮可能である。ステアリングシャフト4は、筒状のジャケット8内に挿通されており、複数の軸受9,10を介してジャケット8によって回転可能に支持されている。
ジャケット8は、相対摺動可能に嵌合されたアッパーチューブ11とロアーチューブ12とを有している。ジャケット8は、軸方向Xに伸縮可能である。アッパーチューブ11は、軸受9を介してアッパーシャフト6を回転可能に支持している。また、アッパーチューブ11は、軸受9を介して、ステアリングシャフト4の軸方向Xに同行移動可能にアッパーシャフト6に連結されている。そのため、後述するテレスコ調整のときに、操舵部材2とともにアッパーチューブ11を変位させることができる。
ロアーチューブ12の外周に一体移動可能に固定されたロアー側のコラムブラケット13が、車体14に固定されたロアー側の固定ブラケット15に、チルト中心軸16を介して回動可能に支持されている。これにより、ジャケット8およびステアリングシャフト4は、チルト中心軸16を支点にして回動可能(チルト可能)となっている。
チルト中心軸16を支点にしてステアリングシャフト4およびジャケット8を回動(チルト)させることで、操舵部材2の位置を調整できるようになっている(いわゆるチルト調整)。また、ステアリングシャフト4およびジャケット8を軸方向Xに伸縮させることで、操舵部材2の位置を調整できるようになっている(いわゆるテレスコ調整)。
ステアリング装置1は、図示しない公知のカプセル機構を介して、二次衝突時に車体14からコラム移動方向に離脱可能に支持されたアッパー側の固定ブラケットである第1ブラケット17を備えている。また、ステアリング装置1は、アッパーチューブ11に固定されたアッパー側のコラムブラケットである第2ブラケット18と、第1ブラケット17の第1側板22を第2ブラケット18の第2側板24に締め付けてロックするロック機構19と、を備えている。ロック機構19によって両側版22,24が締め付けられることにより、ジャケット8の位置が車体14に対して固定されて、操舵部材2の位置が固定されるようになっている。ロック機構19は、運転者が手動で回転中心回りに操作可能な操作レバー20と、操作レバー20と一体回転可能であって両ブラケット17,18を挿通する締付軸21とを備えている。
具体的には、締付軸21は、第1ブラケット17の第1側板22に設けられチルト方向Yに延びる第1挿通溝としてのチルト用長溝23と、第2ブラケット18の第2側板24に設けられ軸方向Xに対して傾斜する方向に延びる第2挿通溝としてのテレスコ用長溝25とを挿通している。また、操作レバー20の回転中心は、締付軸21の中心軸線C1と一致している。
チルト方向Yに延びるチルト用長溝23は、チルト方向Yの上端である第1端部231と、チルト方向Yの下端である第2端部232とを含む。チルト調整時に、締付軸21は、チルト用長溝23のチルト方向Yの第1端部231と第2端部232との間の所望の位置に変位する。
第1実施形態の主に特徴とするところは、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向(図1の紙面とは直交する方向)から見たときに、テレスコ用長溝25の長手方向Lが、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して(すなわちステアリングシャフト4の軸方向Xに対して)非平行である点にある。テレスコ用長溝25は、長手方向Lに関して操舵部材2側の端部である第1端部251(長手方向上端に相当)と、第1端部251とは反対側の端部である第2端部252(長手方向下端に相当)とを含む。
図1のII−II線に沿う断面図である図2に示すように、第1ブラケット17は、図示しないカプセル機構を介して車体14に離脱可能に支持された取付板26と、取付板26に沿って固定された天板27と、天板27の両端からチルト方向Yの下方に延びる一対の第1側板22とを備えている。
第2ブラケット18は、第1ブラケット17の一対の第1側板22にそれぞれ対向して一対の第1側板22の内側面に沿う一対の第2側板24と、一対の第2側板24のチルト方向Yの下端間を連結する連結板28とを備えた溝形をなしている。
締付軸21は、第1ブラケット17の両第1側板22のチルト用長溝23および第2ブラケット18の両第2側板24のテレスコ用長溝25を貫通するボルトからなる。締付軸21の一端の頭部29は、操作レバー20と一体回転可能に固定されている。締付軸21の他端に設けられたねじ部にナット30が螺合している。
操作レバー20と第1ブラケット17の一方の第1側板22との間には、操作レバー20の回転操作に伴って、チルトロックおよびテレスコロックを達成するカム機構からなる締付機構31が介在している。締付機構31は、締付軸21の外周に嵌合された環状の第1カム32と環状の第2カム33とを備えている。
第1カム32は、操作レバー20と一体回転可能に連結され、締付軸21に対する軸方向Jの移動が規制されている。第1カム32は、環状板34と、環状板34の中心孔の周囲に設けられて操作レバー20の挿通孔に一体回転可能に挿通されたボス35とを備えている。
第2カム33は、第1カム32の環状板34と対向し第1ブラケット17の一方の第1側板22の外側面に沿う締付部としての環状板36と、環状板36から軸方向に延びるボス37とを備えている。第2カム33は、締付軸21によって、締付軸21の軸方向Jに移動可能に支持されている。第2カム33は、ロック時に一方の第1側板22を対応する第2側板24に締め付ける締付部材として機能する。ボス37が第1ブラケット17の一方の第1側板22のチルト用長溝23に挿入されることにより、第1ブラケット17に対する第2カム33の回転が規制されている。
ナット30と第1ブラケット17の他方の第1側板22との間には、締付軸21の外周に嵌合された環状の締付部材38と環状の介在部材39とが介在している。締付部材38は、第1ブラケット17の他方の第1側板22の外側面に沿う締付部としての環状板40と、環状板40から延びるボス41とを備えている。締付部材38のボス41が、第1ブラケット17の他方の第1側板22のチルト用長溝23に挿通されることより、締付部材38の回転が規制されている。
介在部材39は、ナット30と締付部材38との間に介在するワッシャ42と、ワッシャ42と締付部材38との間に介在する針状ころ軸受43とを備えている。
締付軸21の軸部の外周には、例えばセレーション嵌合により締付軸21と一体回転するスリーブ44が嵌合している。スリーブ44の外周には、押上カム45が一体回転可能に設けられている。
操作レバー20の回転に伴って、第1カム32が第2カム33に対して回転することにより、第2カム33が締付軸21の軸方向Jに移動されて、第2カム33(締付部材)の環状板36と締付部材38の環状板40との間で、第1ブラケット17の両第1側板22が挟持されて締め付けられる。これにより、第1ブラケット17の各第1側板22が、第2ブラケット18の対応する第2側板24に圧接により摩擦係合されて、チルトロックおよびテレスコロックが達成される。また、押上カム45がロアーチューブ12を押し上げることにより、両チューブ11,12間のロックが達成される。
図3(a)は、締付軸21がチルト用長溝23の第1端部231(チルト方向上端)に変位し、且つテレスコ用長溝25の第1端部251(長手方向上端)に配置される状態(ステアリングシャフト4の最収縮状態に相当)を示している。
本実施形態では、テレスコ用長溝25は、チルト方向Yに関してアッパーチューブ11の中心軸線C2よりも下方に配置されている。テレスコ用長溝25は、長手方向Lの全域にわたって一様な傾斜(単一の傾斜)を有している。
図3(a)に示すように締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第1端部251との距離D1と、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第2端部252との距離D2とが異なる。具体的には、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第1端部251との距離D1が、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第2端部252との距離D2よりも小さい(D1<D2)。
図3(b)は、締付軸21がチルト用長溝23の第1端部231(チルト方向上端)に変位し、且つテレスコ用長溝25の第2端部252(長手方向下端)に配置される状態(ステアリングシャフト4の最伸長状態に相当)を示している。
図3(b)において、チルト用長溝23の第1端部231(チルト方向上端)に位置する締付軸21の中心軸線C1に対しての、操舵部材2の高さ(最大高さに相当)が、高さHmaxで示されている。操舵部材2の位置として、例えば、操舵部材2とアッパーシャフト6との交点2Aの位置を採用することができる。
一方、図3(b)において、想像線である二点鎖線で示される従来のテレスコ用長溝25Pは、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して平行に延びている。その従来のテレスコ用長溝25Pにおいて、長手方向下端に配置される締付軸21Pの中心軸線C1Pに対する、操舵部材2の高さ(最大高さに相当)が、高さhmaxで示されている。
図3(b)に示される状態は、テレスコ用長溝25がチルト方向Yに関してアッパーチューブ11の中心軸線C2よりも下方に配置される第1の条件、締付軸21がチルト用長溝23の第1端部231(チルト方向上端)に変位した第2の条件、およびステアリングシャフト4が最伸長状態である第3の条件が満たされた場合に相当する。
前記第1〜第3の条件が満たされた状態で、D1<D2の関係を満たすテレスコ用長溝25を用いる第1実施形態では、締付軸21の中心軸線C1に対する操舵部材2の高さは高さHmaxとなる。この高さHmaxは、従来例における、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して平行に延びるテレスコ用長溝25Pを用いる場合の操舵部材2の高さhmaxと比較して、高い(Hmax>hmax)。
図示していないが、前記第1の条件、締付軸21がチルト用長溝23の第2端部232(チルト方向下端)に変位した第4の条件、およびステアリングシャフト4が最収縮状態である第5の条件が満たされた状態で、第1実施形態では、締付軸21の中心軸線C1に対する操舵部材2の高さは、従来例における、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して平行に延びるテレスコ用長溝25Pを用いる場合の操舵部材2の高さと比較して、低い。
図4は、チルト調整およびテレスコ調整を行ったときの、操舵部材2の位置(交点2Aの位置)の調整範囲を示すグラフ図である。図4において、横軸は、車両の後方の位置を示し、縦軸は、高さ方向の位置を示している。
図4に示すように、実線で示される第1実施形態の平行四辺形状の調整範囲Aは、破線で示される前記従来例における平行四辺形状の調整範囲Bに対して、ハッチングで示した領域A1(締付軸21がチルト用長溝23の第1端部231付近にあり且つテレスコ用長溝25の第2端部252付近にある場合の操舵部材2の調整領域)において、より高い位置での調整が可能である。
また、第1実施形態の調整範囲Aは、従来例の調整範囲Bに対して、ハッチングで示した領域A2(締付軸21がチルト用長溝23の第2端部232付近にあり且つテレスコ用長溝25の第1端部251付近にある場合の操舵部材2の調整領域)において、より低い位置の調整が可能である。
第1実施形態によれば、従来の構成と比較して、ステアリングシャフト4が比較的伸びた状態(締付軸21が第2端部252付近に到達した状態)では、より高い位置に操舵部材2を変位させることができ、逆に、ステアリングシャフト4が比較的縮んだ状態(締付軸21が第1端部251付近に到達した状態)では、より低い位置に操舵部材2を変位させることができる。これにより、より身長が高い運転者およびより低い運転者に合った操舵部材2の位置調整が可能となる。
また、第1実施形態では、単一の傾斜を有するテレスコ用長溝25を用いるので、テレスコ調整のとき、操舵部材2が、一定の割合で上下に変位する。これにより、運転者による操舵部材2の位置調整が容易となる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態の要部を示した一部破断概略側面図である。図5の第2実施形態の構成要素において、図3(a)、(b)の第1実施形態と同じ構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(以下の図6〜図10において同様。)。
図5に示すように、第2実施形態のステアリング装置1Qでは、第2ブラケット18Qの第2側板24Qに設けられたテレスコ用長溝25Qは、チルト方向Yに関してアッパーチューブ11の中心軸線C2よりも上方に配置されている。テレスコ用長溝25Qは、長手方向Lの全域にわたって一様な傾斜(単一の傾斜)を有している。
締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2とテレスコ用長溝25Qの第1端部251との距離D1Qと、アッパーチューブ11の中心軸線C2とテレスコ用長溝25Qの第2端部252との距離D2Qとが異なる。具体的には、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第1端部251との距離D1Qが、アッパーチューブ11の中心軸線C2と第2端部252との距離D2Qよりも大きい(D1Q>D2Q)。
第2実施形態によれば、テレスコ用長溝25Qがアッパーチューブ11の中心軸線C2の上方に配置されている構成のステアリング装置1Qにおいても、より身長が高い運転者およびより低い運転者に合った操舵部材2の位置調整が可能となる。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態を示す図である。
図6を参照して、第3実施形態のステアリング装置1Rでは、第2ブラケット18Rの第2側板24Rに設けられたテレスコ用長溝25Rが、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して傾斜する複数の傾斜を有している。テレスコ用長溝25Rは、長手方向Lに関して、操舵部材2側の第1端部251と、第1端部251とは反対側の第2端部252とを含む。テレスコ用長溝25Rは、長手方向Lに関して、第1端部251を含む第1領域51と、第2端部252を含む第2領域52と、第1領域51と第2領域52との間の中間領域53とを含んでいる。
テレスコ用長溝25Rの長手方向は、長手方向L1と、長手方向L2と、長手方向L3とを含む。締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、第1領域51の長手方向L1、第2領域52の長手方向L2および中間領域53の長手方向L3は、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対してそれぞれ傾斜角度θ1、傾斜角度θ2および傾斜角度θ3をもって傾斜している。第3実施形態では、傾斜角度θ1および傾斜角度θ2は、同じ角度であり、傾斜角度θ3よりも大きくされている。
第3実施形態によれば、複数の傾斜を有するテレスコ用長溝25Rを用いるので、テレスコ調整のとき、ステアリングシャフト4の伸縮量に応じて、操舵部材2を上下に段階的に変位させることができる。
図7(a)は、第3実施形態にける第2カム33Rの側面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線に沿った断面図であり、図7(c)は、図7(a)のVIIc−VIIc線に沿った断面図である。
図7(a)を参照して、第3実施形態の第2カム33Rは、締付部としての環状板36から軸方向に延びた第1ボス46と、第1ボス46から軸方向に延びた第2ボス47と、を含んでいる。
図7(b)を参照して、軸直角断面で切断した第1ボス46の断面は、平行四辺形状であり、チルト用長溝23に回転不能に嵌合している。
図7(c)を参照して、軸直角断面で切断した第2ボス47の断面は、円形状である。そのため、第2ボス47は、テレスコ用長溝25Rの回転を許容するように嵌合している。
そのため、テレスコ調整のときに、締付軸21が、テレスコ用長溝25の複数の領域51〜53の傾斜間を円滑に移動することができるので、操舵部材2の位置を円滑に調整することができる。
図8は、第3実施形態において、操舵部材2の位置調整の範囲ARを示すグラフ図である。
テレスコ用長溝25Rを用いることにより、ステアリングシャフト4の伸縮ストロークの両端付近において、ステアリングシャフト4の伸縮量に対して、操舵部材2の上下位置の変化量を大きくすることができる。これにより、図8に示すように操舵部材2の位置調整範囲を拡げることが可能となる。
(第4実施形態)
図9(a)の第4実施形態は、図6の第3実施形態の変形例である。
具体的には、第4実施形態のステアリング装置1Sにおいて、第2ブラケット18Sの第2側板24Sに設けられたテレスコ用長溝25Sは、第3実施形態のテレスコ用長溝25Rから第2領域52を排除したものである。
(第5実施形態)
図9(b)の第5実施形態は、図6の第3実施形態の変形例である。
具体的には、第5実施形態のステアリング装置1Tにおいて、第2ブラケット18Tの第2側板24Tに設けられたテレスコ用長溝25Tは、第3実施形態のテレスコ用長溝25Rから第1領域51を排除したものである。
(第6実施形態)
図10の第6実施形態は、図6の第3実施形態の変更例である。
図10を参照して、第6実施形態のステアリング装置1Uにおいて、第2ブラケット18Uの第2側板24Uに設けられたテレスコ用長溝25Uの中間領域53Uの長手方向L3Uは、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2とは平行に延びている。一方、第1領域51の長手方向L1および第2領域52の長手方向L2は、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2とは非平行に延びている。また、第1領域51および第2領域52は、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、操舵部材2側に向かうにつれて、アッパーチューブ11の中心軸線C2から離れるように中心軸線C2に対して傾斜している。
以上のように、テレスコ用長溝25Uは、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、長手方向Lの少なくとも一部(長手方向L1およびL2)が中心軸線C2とは非平行に延びている。アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して、テレスコ用長溝25の少なくとも一部が傾斜する角度(傾斜角度θ1およびθ2)を調整することによって、アッパーチューブ11が如何なる角度を向けて車体50に取り付けられていても、操舵部材2の位置調整の範囲を所望に調整することができる。
その結果、様々な体格の運転者に合わせて操舵部材2の位置を調整することが可能となる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1実施形態のように、テレスコ用長溝25がアッパーチューブ11の中心軸線C2よりも下方に配置されている構成のステアリング装置1に、第3実施形態以降の実施形態のようにテレスコ用長溝25が複数の傾斜を有する構成を適用することも可能である。
また、第1実施形態において、テレスコ用長溝25の長手方向Lは、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して非平行であればよく、第1端部251と中心軸線C2との距離D1が第2端部252と中心軸線C2との距離D2よりも大きくてもよい。第2実施形態以降の実施形態では、距離D1が距離D2よりも小さい構成を適用してもよい。これにより、運転者の好みに合わせて操舵部材2の位置を変更することができる。
また、テレスコ用長溝25は、4以上の複数の傾斜を有していてもよい。
また、テレスコ用長溝25は、長手方向Lに関して、4以上の領域を含んでいてもよい。この場合、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、テレスコ用長溝25の少なくとも一部(一の領域)が、アッパーチューブ11の中心軸線C2に対して非平行であればよい。
また、テレスコ用長溝25は、必ずしも段階的に傾斜角度θを有している必要はなく、締付軸21の中心軸線C1とは平行な方向から見たときに、長手方向Lにおいて傾斜角度θが連続的に変化する円弧形状等であってもよい。
また、チルト用長溝23は、必ずしも設けられている必要はなく、テレスコ用長溝25のみが設けられていればよい。その場合、締付軸21は、チルト用長溝23の代わりに第1側板22に形成された円形状の第1挿通溝を挿通している。締付軸21は、当該第1挿通溝によって回転可能に支持されていればよく、当該第1挿通溝内で上下または前後に相対移動可能である必要はない。
1…ステアリング装置、1Q…ステアリング装置、1R…ステアリング装置、1S…ステアリング装置、1T…ステアリング装置、1U…ステアリング装置、2…操舵部材、4…ステアリングシャフト、8…ジャケット、11…アッパーチュー、14…車体、17…第1ブラケット、18…第2ブラケット、18Q…第2ブラケット、18R…第2ブラケット、18S…第2ブラケット、18T…第2ブラケット、18U…第2ブラケット、19…ロック機構、20…操作レバー、21…締付軸、22…第1側板、23…第1挿通溝、23…チルト用長溝、24…第2側板、24Q…第2側板、24R…第2側板、24S…第2側板、24T…第2側板、24U…第2側板、25…第2挿通溝、25…テレスコ用長溝、25Q…テレスコ用長溝、25R…テレスコ用長溝、25S…テレスコ用長溝、25T…テレスコ用長溝、25U…テレスコ用長溝、251…第1端部、252…第2端部、33…第2カム、36…環状板、38…締付部材、40…環状板、46…第1ボス、47…第2ボス、51…第1領域、52…第2領域、53…中間領域、C1…中心軸線、C2…中心軸線、D1…距離、D1Q…距離、D2…距離、D2Q…距離、θ1…傾斜角度、θ2…傾斜角度、θ3…傾斜角度

Claims (7)

  1. 一端に操舵部材が連結された伸縮可能なステアリングシャフトと、
    テレスコ調整のときに、前記操舵部材とともに変位するアッパーチューブを含み、前記ステアリングシャフトを回転可能に支持するジャケットと、
    第1側板を含み、車体に固定される第1ブラケットと、
    前記第1側板に沿う第2側板を含み、前記アッパーチューブに固定された第2ブラケットと、
    前記第1側板に設けられた第1挿通溝および前記第2側板に設けられた第2挿通溝としてのテレスコ用長溝を挿通した締付軸と、前記締付軸の中心軸線回りに回転操作される操作レバーと、を含み、前記第1側板を前記第2側板に締め付けるロック機構と、を備え、
    前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝の長手方向の少なくとも一部が、前記アッパーチューブの中心軸線とは非平行に延びているステアリング装置。
  2. 請求項1において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、前記操舵部材側の第1端部と、前記第1端部とは反対側の第2端部と、を含み、
    前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線よりも下方に配置され、且つ、前記第1端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離が、前記第2端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離よりも小さいステアリング装置。
  3. 請求項1において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、前記操舵部材側の第1端部と、前記第1端部とは反対側の第2端部と、を含み、
    前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線よりも上方に配置され、且つ、前記第1端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離が、前記第2端部と前記アッパーチューブの前記中心軸線との距離よりも大きいステアリング装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して傾斜する単一の傾斜を有するステアリング装置。
  5. 請求項1〜3の何れか一項において、前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記テレスコ用長溝は、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して傾斜する複数の傾斜を有するステアリング装置。
  6. 請求項5において、前記テレスコ用長溝は、長手方向に関して、第1端部を含む第1領域と、第2端部を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の中間領域と、を含み、
    前記締付軸の前記中心軸線とは平行な方向から見たときに、前記アッパーチューブの前記中心軸線に対して、前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方の傾斜角度が、前記中間領域の傾斜角度よりも大きくされているステアリング装置。
  7. 請求項5または6において、前記第1挿通溝は、チルト用長溝であり、
    前記ロック機構は、前記締付軸の外周に嵌合され、前記第1側板を締め付ける締付部材を含み、
    前記締付部材は、前記第1側板の外側面に沿う締付部と、前記締付部から延び、前記チルト用長溝に回転不能に嵌合した第1ボスと、前記第1ボスから延び、前記テレスコ用長溝の回転を許容するように嵌合した第2ボスと、を含むステアリング装置。
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