JP2015105303A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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幸二 山内
Koji Yamauchi
幸二 山内
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Abstract

【課題】環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化に際し短時間で連続的に得られる製造方法の提供。
【解決手段】環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機内で加熱することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。短時間でポリアリーレンスルフィドの高分子量化を達成し、かつ狭い分子量分布を有し、低ガス性で工業的に有用なポリアリーレンスルフィドが製造可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は環式ポリアリーレンスルフィドを加熱し、ポリアリーレンスルフィドを製造する方法に関するものであり、さらに詳しくは、環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機内で加熱溶融重合し、ポリアリーレンスルフィドを連続的に製造する方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略する場合もある)に代表されるポリアリーレンスルフィドは優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性、難燃性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有する樹脂である。また、射出成形、押出成形により各種成形部品、フィルム、シート、繊維などに成形可能であり、各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品など耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用いられている。
このポリアリーレンスルフィドの具体的な製造方法として、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンなどのポリハロ芳香族化合物とを反応させる方法が提案されており、この方法はポリアリーレンスルフィドの工業的製造方法として幅広く利用されている。しかしながら、この製造方法は高温、高圧、かつ強アルカリ条件下で反応を行うことが必要であり、さらに、N−メチルピロリドンのような高価な高沸点極性溶媒を必要とし、溶媒回収に多大なコストがかかるエネルギー多消費型で、多大なプロセスコストを必要とするといった課題を有している。
一方、ポリアリーレンスルフィドの別の製造方法として、環式ポリアリーレンスルフィドを加熱することによるポリアリーレンスルフィドの製造方法が開示されている。この方法では、高分子量で、狭い分子量分布を有し、加熱した際の重量減少が少ないポリアリーレンスルフィドを得ることが期待できるが、環式ポリアリーレンスルフィドの反応が完結するには反応に高温、長時間を有するなどの問題点があった(例えば特許文献1及び非特許文献1)。
また、環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化に際し、転化を促進する各種触媒成分(ラジカル発生能を有する化合物やイオン性化合物など)を使用する方法が知られている。特許文献2、非特許文献2には、ラジカル発生能を有する化合物として、例えば加熱により硫黄ラジカルを発生する化合物が開示されており、具体的にはジスルフィド結合を含有する化合物が開示されている。特許文献3〜5には、イオン性化合物として、例えばチオフェノールのナトリウム塩などの硫黄のアルカリ金属塩、ルイス酸として、例えば塩化銅(II)などの金属ハロゲン化物を触媒として用いる方法が開示されている。しかしながら、これらの方法を用いても、環式ポリアリーレンスルフィドの反応を完結するには高温、長時間を要するという課題があり、さらなる短時間でのポリアリーレンスルフィドの製造方法が望まれていた。
国際公開第2007/034800号(第40〜41頁) 米国特許第5869599号明細書(第29〜32頁) 特開平5−163349号公報(第2頁) 特開平5−301962号公報(第2頁) 特開平5−105757号公報(第2頁)
Polymer, vol. 37, no. 14, 1996年(第3111〜3116ページ) Macromolecules, 30, 1997年(第4502〜4503ページ)
本発明は、環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化に際し高温、長時間を要するという欠点を解決し、ポリアリーレンスルフィドを短時間で連続的に得ることのできる製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題に対し本発明は、以下の製造方法で提供する。
(1)環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機内で加熱することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(2)前記溶融混練機が押出機である上記(1)に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(3)前記押出機が二軸押出機である上記(2)に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(4)環式ポリアリーレンスルフィドの加熱温度が、環式ポリアリーレンスルフィドの溶融温度以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(5)環式ポリアリーレンスルフィドの加熱を非酸化性雰囲気で行うことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(6)環式ポリアリーレンスルフィドが下記一般式で示される環式化合物を50重量%以上含み、かつ式中の繰り返し数mが4〜50であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
Figure 2015105303
ここで、Arはアリーレン基を表す。
(7)環式ポリアリーレンスルフィドが環式ポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
本発明によれば、環式ポリアリーレンスルフィドの加熱において、従来法と比較して短時間で、連続的にポリアリーレンスルフィドが製造できる方法を提供できる。
以下に、本発明実施の形態を説明する。
(1)ポリアリーレンスルフィド
本発明におけるポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
Figure 2015105303
(R1、R2は水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリーレン基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(L)〜(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 2015105303
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィドは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 2015105303
を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィドが挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィドの好ましい分子量は、重量平均分子量で10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは17,000以上である。重量平均分子量が10,000以上では加工時の成形性が良好で、また成形品の機械強度や耐薬品性などの特性が高くなる。重量平均分子量の上限に特に制限は無いが、1,000,000未満を好ましい範囲として例示でき、より好ましくは500,000未満、さらに好ましくは200,000未満であり、この範囲内では高い成形加工性を得ることができる。
本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィドは、分子量分布の広がり、即ち重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)で表される分散度が狭い特長を有する。本発明の製法で得られるポリアリーレンスルフィドの分散度は2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、2.1以下がさらに好ましく、2.0以下がよりいっそう好ましい。分散度が2.5以下ではポリアリーレンスルフィドに含まれる低分子成分の量が少なくなる傾向が強く、このことはポリアリーレンスルフィドを成形加工用途に用いた場合の機械特性向上、加熱した際のガス発生量の低減及び溶剤と接した際の溶出成分量の低減などの要因になる傾向にある。なお、前記重量平均分子量及び数平均分子量は例えば示差屈折率検出器を具備したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を使用して求めることができる。
本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィドは、従来法と異なりN−メチルピロリドンのような溶媒を必要としないこと、また、公知のラジカル発生能を有する化合物やイオン性化合物などの触媒を使用しないことなどから、加熱加工時のガス発生量が少ない特長を有する。
このガス発生量は、一般的な熱重量分析によって求められる、下記式で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrから評価できる。
ΔWr=(W1−W2)/W1×100
なお、ΔWrは常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。
この熱重量分析における雰囲気は常圧の非酸化性雰囲気を用いる。非酸化性雰囲気とは試料が接する気相における酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性及び取り扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が特に好ましい。また、常圧とは大気の標準状態近傍における圧力のことであり、約25℃近傍の温度、絶対圧で101.3kPa近傍の大気圧条件のことである。測定の雰囲気が前記以外では、測定中のポリアリーレンスルフィドの酸化などが起こったり、実際にポリアリーレンスルフィドの成形加工で用いられる雰囲気と大きく異なるなど、ポリアリーレンスルフィドの実使用に即した測定になり得ない可能性が生じる。
また、ΔWrの測定においては50℃から330℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で昇温して熱重量分析を行う。好ましくは50℃で1分間ホールドした後に昇温速度20℃/分で昇温して熱重量分析を行う。この温度範囲はポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィドを実使用する際に頻用される温度領域であり、また、固体状態のポリアリーレンスルフィドを溶融させ、その後任意の形状に成形する際に頻用される温度領域でもある。このような実使用温度領域における重量減少率は、実使用時のポリアリーレンスルフィドからのガス発生量や成形加工の際の口金や金型などへの付着成分量などに関連する。従って、このような温度範囲における重量減少率が少ないポリアリーレンスルフィドの方が品質の高い優れたポリアリーレンスルフィドであるといえる。ΔWrの測定は約10mg程度の試料量で行うことが望ましく、またサンプルの形状は約2mm以下の細粒状であることが望ましい。
本発明の製法で得られるポリアリーレンスルフィドは上記にて加熱した際の重量減少率ΔWrが0.20%以下であることが好ましく、0.16%以下がより好ましく、0.13%以下がさらに好ましく、0.10%以下がよりいっそう好ましい。
ΔWrが前記範囲を超える場合は、例えばポリアリーレンスルフィドを成形加工する際に発生ガス量が多いといった問題が発生しやすくなる傾向があり好ましくなく、また、押出成形時の口金やダイス、また射出成形時の金型への付着物が多くなり生産性が悪化する傾向もあるため好ましくない。
(2)環式ポリアリーレンスルフィド
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造方法における環式ポリアリーレンスルフィドとは式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とし、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する下記一般式(O)のごとき環式化合物を、少なくとも50重量%以上含むものであり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むものが好ましい。Arとしては前記式(A)〜式(K)などで表される単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
Figure 2015105303
なお、環式ポリアリーレンスルフィド中の前記(O)式の環式化合物においては前記式(A)〜式(K)などの繰り返し単位をランダムに含んでもよいし、ブロックで含んでもよく、それらの混合物のいずれかであってもよい。これらの代表的なものとして、環式ポリフェニレンスルフィド、環式ポリフェニレンスルフィドスルホン、環式ポリフェニレンスルフィドケトン、これらが含まれる環式ランダム共重合体、環式ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましい前記(O)式の環式化合物としては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 2015105303
を80モル%以上、特に90モル%以上含有する環式化合物が挙げられる。
環式ポリアリーレンスルフィドに含まれる前記(O)式中の繰り返し数(m)に特に制限は無いが、4〜50が好ましく、4〜30がより好ましい範囲として例示でき、8以上を主成分とする前記(O)式環式化合物がよりいっそう好ましい。後述するように環式ポリアリーレンスルフィドの加熱によるポリアリーレンスルフィドへの転化は環式ポリアリーレンスルフィドが溶融解する温度以上で行うことが好ましいが、mが大きくなると環式ポリアリーレンスルフィドの溶融解温度が高くなる傾向にあるため、環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化をより低い温度で行うことができるようになるとの観点でmを前記範囲にすることは有利となる。一方でmが7以下の環式化合物は反応性が低い傾向があるため、短時間でポリアリーレンスルフィドが得られるようになるとの観点でmを8以上にすることは有利となる。
また、環式ポリアリーレンスルフィドに含まれる前記(O)式の環式化合物は、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環式化合物の混合物のいずれでもよいが、異なる繰り返し数を有する環式化合物の混合物の方が単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも溶融解温度が低い傾向があり、異なる繰り返し数を有する環式化合物の混合物の使用はポリアリーレンスルフィドへの転化を行う際の温度をより低くできるため好ましい。
環式ポリアリーレンスルフィドにおける前記(O)式の環式化合物以外の成分はポリアリーレンスルフィドオリゴマーであることが特に好ましい。ここでポリアリーレンスルフィドオリゴマーとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する線状のホモオリゴマーまたはコオリゴマーである。Arとしては前記した式(A)〜式(K)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。ポリアリーレンスルフィドオリゴマーはこれら繰り返し単位を主要構成単位とする限り、前記した式(L)〜式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。また、ポリアリーレンスルフィドオリゴマーは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、ポリフェニレンスルフィドスルホンオリゴマー、ポリフェニレンスルフィドケトンオリゴマー、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドオリゴマーとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィドオリゴマーが挙げられる。
ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの分子量としては、前述したポリアリーレンスルフィドよりも低分子量のものが例示でき、具体的には重量平均分子量で10,000未満であることが好ましく、5,000以下の低分子量であることが望ましい。このような分子量の低いポリアリーレンスルフィドオリゴマーは、その溶融解温度が低い傾向にあり、このことは環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化をより低い温度で行うことができるようになるとの観点で有利である。
環式ポリアリーレンスルフィドが含有するポリアリーレンスルフィドオリゴマー量(重量)は、環式ポリアリーレンスルフィドが含有する前記(O)式の環式化合物よりも少ないことが特に好ましい。即ち環式ポリアリーレンスルフィド中の前記(O)式環式化合物とポリアリーレンスルフィドオリゴマーの重量比(前記(O)式の環式化合物/ポリアリーレンスルフィドオリゴマー)は1を超えることが好ましく、2.3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、9以上がよりいっそう好ましく、このような環式ポリアリーレンスルフィドを用いることで重量平均分子量が10,000以上のポリアリーレンスルフィドを容易に得ることが可能である。従って、環式ポリアリーレンスルフィド中の前記(O)式の環式化合物とポリアリーレンスルフィドオリゴマーの重量比の値が大きいほど、本発明のポリアリーレンスルフィド製造方法により得られるポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量は大きくなる傾向にあり、よってこの重量比に特に上限は無いが、該重量比が100を超える環式ポリアリーレンスルフィドを得るためには、環式ポリアリーレンスルフィド中のポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量を著しく低減する必要があり、これには多大の労力を要する。本発明のポリアリーレンスルフィド製造方法によれば該重量比が100以下の環式ポリアリーレンスルフィドを用いても重量平均分子量が10,000以上のポリアリーレンスルフィドを容易に得ることが可能である。
本発明のポリアリーレンスルフィドの製造に用いる環式ポリアリーレンスルフィドの分子量の上限値は、重量平均分子量で10,000以下が好ましく、5,000以下が好ましく、3,000以下がさらに好ましく、一方、下限値は重量平均分子量で300以上が好ましく、400以上が好ましく、500以上がさらに好ましい。
(3)ポリアリーレンスルフィドの製造方法
本発明は、環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機内で加熱し、連続的に高分子量化するポリアリーレンスルフィドの製造方法である。
本発明に用いる溶融混練機は、環式ポリアリーレンスルフィドを加熱し、スクリューなどで剪断を加えながら連続的に高重合度化を行うことができる装置であれば特に制限は無く、例えば、押出機、ニーダーなど汎用の溶融混練機を用いることができる。これらの中で、混練効果が大きく、短時間で高分子量のポリアリーレンスルフィドが得られることから、押出機が好ましく、特に二軸押出機が好ましい。
環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機を用いて加熱する温度は、環式ポリアリーレンスルフィドが溶融解する温度であることが好ましく、このような温度条件であれば特に制限はない。ただし、加熱温度が環式ポリアリーレンスルフィドの溶融解温度未満ではポリアリーレンスルフィドを得るのに長時間が必要となる傾向がある。なお、環式ポリアリーレンスルフィドが溶融解する温度は、環式ポリアリーレンスルフィドの組成や分子量、また、加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、例えば環式ポリアリーレンスルフィドを示差走査型熱量計で分析することで溶融解温度を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、180℃以上が例示でき、好ましくは220℃以上、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは260℃以上である。この温度範囲では、環式ポリアリーレンスルフィドが溶融解し、短時間でポリアリーレンスルフィドを得ることができる。一方、温度が高すぎると環式ポリアリーレンスルフィド間、加熱により生成したポリアリーレンスルフィド間、及びポリアリーレンスルフィドと環式ポリアリーレンスルフィド間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られるポリアリーレンスルフィドの特性が低下する場合があるため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。加熱温度の上限としては、420℃以下が例示でき、好ましくは400℃以下、より好ましくは380℃以下、さらに好ましくは360℃以下である。この温度囲下では、好ましくない副反応による得られるポリアリーレンスルフィドの特性への悪影響を抑制できる傾向にあり、前述した特性を有するポリアリーレンスルフィドを得ることができる。
本発明の環式ポリアリーレンスルフィドの加熱時間、すなわち溶融混練機内での滞留時間は、使用する環式ポリアリーレンスルフィドにおける前記(O)式の環式化合物の含有率や繰り返し数(m)、及び分子量などの各種特性、使用する溶融混練機の種類、スクリュー形状などの溶融混練機の形式によって異なり、さらには、加熱温度、スクリュー回転速度および、環式ポリアリーレンスルフィドの供給速度などの条件によって異なるため一様には規定できないが、前記した好ましくない副反応がなるべく起こらないように設定することが好ましい。滞留時間としては0.01〜3時間が例示でき、0.05〜1時間が好ましく、0.1〜1.0時間がより好ましく、0.1〜0.5時間が最も好ましい。このような滞留時間に設定する方法としては、環式ポリアリーレンスルフィドの溶融混練機への供給速度、スクリュー回転数を調整する方法などを例示することができる。溶融混練機内の滞留時間を上記範囲に設定することで、環式ポリアリーレンスルフィドがポリアリーレンスルフィドに十分に転化し、好ましくない副反応による得られるポリアリーレンスルフィドの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。
また、環式ポリアリーレンスルフィドの溶融混練機内での加熱は、実質的に溶媒を含まない条件下で行うことが好ましい。このような条件下で行う場合、短時間での昇温が可能であり、反応速度が高く、短時間でポリアリーレンスルフィドを得やすくなる傾向がある。ここで実質的に溶媒を含まない条件とは、環式ポリアリーレンスルフィド中の溶媒が10重量%以下であることを指し、3重量%以下がより好ましい。
環式ポリアリーレンスルフィドの加熱に用いる溶融混練機内の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、減圧条件下で行うことも好ましい。これにより環式ポリアリーレンスルフィド間、加熱により生成したポリアリーレンスルフィド間、及びポリアリーレンスルフィドと環式ポリアリーレンスルフィド間などで架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは環式ポリアリーレンスルフィドが接する気相における酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が好ましい。非酸化性雰囲気とする方法としては、例えば、溶融混練機に一つ以上のベント口を設置し、ベント口より上記不活性ガスを導入することにより不活性ガス雰囲気とすることが可能である。また、減圧条件下とは溶融混練装置系内が大気圧よりも低いことを指し、上限として50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。下限としては0.1kPa以上が例示でき、0.2kPa以上がより好ましい。減圧条件が好ましい下限以上では、環式ポリアリーレンスルフィドの含まれる分子量の低い前記(O)式の環式化合物が揮散しにくく、一方好ましい上限以下では、架橋反応など好ましくない副反応が起こりにくい傾向にあり、前述した特性を有するポリアリーレンスルフィドを得ることができる。減圧条件下とする方法としては、溶融混練機に一つ以上のベント口を設置し、ベント口より排気する方法を例示することができる。ベント口からの排気の方法は、特に制限が無く、ナッシュポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプをはじめとする、公知の減圧・真空装置を用いることができる。
前記した環式ポリアリーレンスルフィドの加熱は繊維状物質の共存下で行うことも可能である。ここで繊維状物質とは細い糸状の物質のことであって、天然繊維のごとく細長く引き延ばされた構造である任意の物質が好ましい。繊維状物質存在下で環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの高分子量化を行うことで、ポリアリーレンスルフィドと繊維状物質からなる複合材料構造体を容易に作成する事ができる。このような構造体は、繊維状物質によって補強されるため、ポリアリーレンスルフィド単独の場合に比べて、例えば機械物性に優れる傾向にある。
本発明に用いられる強化繊維に特に制限はないが、好適に用いられる強化繊維としては、一般に、高性能強化繊維として用いられる耐熱性及び引張強度の良好な繊維があげられる。例えば、その強化繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維が挙げられる。この内、比強度、比弾性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が最も良好なものとして例示できる。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じて、あらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張強度450kgf/mm、引張伸度1.6%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。
また、前記した環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの高分子量化は充填剤の存在下で行うことも可能である。充填剤としては、例えば非繊維状ガラス、非繊維状炭素や、無機充填剤、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナなどを例示できる。
また、成形加工の際に添加剤として本発明の目的を損なわない範囲で耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、有機顔料、無機顔料、蛍光増白剤、滑剤、離形剤、難燃剤、抗菌剤、制電剤、核化剤、撥水剤、防カビ剤、消臭剤、ブロッキング防止剤などを添加することができる。
さらに同様に本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂およびエラストマーを混合して使用できる。熱可塑性樹脂としては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。エラストマーとしては、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
<分子量の測定>
ポリアリーレンスルフィドおよび環式ポリアリーレンスルフィドの分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を算出し、分子量分布はMw/Mnより算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学 SSC−7100
カラム名:センシュー科学 GPC3506
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)。
<転化率の測定>
環式ポリフェニレンスルフィドのポリフェニレンスルフィドへの転化率の算出は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて下記方法で行った。
環式ポリアリーレンスルフィドの加熱により得られた生成物約10mgを250℃で1−クロロナフタレン約5gに溶解させた。室温に冷却すると沈殿が生成した。孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いて1−クロロナフタレン不溶成分を濾過し、1−クロロナフタレン可溶成分を得た。得られた可溶成分のHPLC測定により、未反応の環式ポリアリーレンスルフィド量を定量し、環式ポリアリーレンスルフィドのポリアリーレンスルフィドへの転化率を算出した。HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム:Mightysil RP−18 GP150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nm)。
<ポリアリーレンスルフィドの加熱時重量減少率の測定>
ポリアリーレンスルフィドの加熱時重量減少率は熱重量分析機を用いて下記条件で行った。なお、試料は2mm以下の細粒物を用いた。
装置:パーキンエルマー社製 TGA7
測定雰囲気:窒素気流下
試料仕込み重量:約10mg
測定条件
(a)プログラム温度50℃で1分保持
(b)プログラム温度50℃から350℃まで昇温。この際の昇温速度20℃/分
参考例1(環式ポリアリーレンスルフィドの調製)
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を14.03g(0.120モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した48重量%水溶液12.50g(0.144モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)615.0g(6.20モル)、及びp−ジクロロベンゼン(p−DCB)18.08g(0.123モル)を仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素ガス下に密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。この段階で、反応容器内の圧力はゲージ圧で0.35MPaであった。次いで200℃から270℃まで約30分かけて昇温した。この段階の反応容器内の圧力はゲージ圧で1.05MPaであった。270℃で1時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率は93%、反応混合物中のイオウ成分がすべて環式PPSに転化すると仮定した場合の環式PPS生成率は18.5%であることがわかった。
得られた内容物500gを約1500gのイオン交換水で希釈したのちに平均目開き10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。フィルターオン成分を約300gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分攪拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。
得られた固形物を円筒濾紙に仕込み、溶剤としてクロロホルムを用いて約5時間ソックスレー抽出を行うことで固形分に含まれる低分子量成分を分離した。
抽出操作後に円筒濾紙内に残留した固形成分を70℃で一晩減圧乾燥しオフホワイト色の固体を約6.98g得た。分析の結果、赤外分光分析(装置:日本分光IR−810型赤外分光光度計)における吸収スペクトルより、フェニレンスルフィド構造からなる化合物であり、また、重量平均分子量は6,300であった。
クロロホルム抽出操作にて得られた抽出液から溶媒を除去した後、約5gのクロロホルムを加えてスラリーを調製し、これを約300gのメタノールに攪拌しながら滴下した。これにより得られた沈殿物を濾過回収し、70℃で5時間真空乾燥を行い、1.19gの白色粉末を得た。得られた白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンスルフィド単位からなる化合物であることを確認した。また、得られた白色粉末について、以下の測定方法による分析を行った。
<環式ポリフェニレンスルフィドの組成測定>
環式ポリフェニレンスルフィドに含まれる異なる繰り返し単位数の環式ポリフェニレンスルフィドの比率は、HPLCを用いて定性定量分析を行なった。HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム:Mightysil RP−18 GP150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nm)
また上記HPLC測定により成分分割した各ピークの定性は、成分分割した成分のマススペクトル分析、分取クロマトにより分割した各成分のMALDI−TOF−MSおよびGPCによる分子量情報より行い、環状4量体から12量体までの定性を行った。
<融解ピーク温度および融解熱量の測定>
パーキンエルマー製DSC7を用いて熱的特性を測定した。測定においては下記条件を用いた。
・50℃×1分ホールド
・50℃から360℃へ昇温,昇温速度20℃/分(ここでの吸熱におけるピーク温度をを融解ピーク温度とする。またこの融解ピークの面積から融解に要した融解熱量を算出する。)
・360℃×1分 ホールド
・360℃から100℃へ降温,降温速度20℃/分
得られた白色粉末は、赤外分光分析および、HPLC分析より、p−フェニレンスルフィド単位を主要構成単位とし繰り返し単位数4〜13の環式化合物を約98重量%含むことがわかった。また、DSC測定の結果、217℃に融解ピークが認められ、その融解熱量は22J/gであることがわかり、本発明のポリアリーレンスルフィドの製造に好適に用いられる環式ポリフェニレンスルフィドであることが判明した。なお、GPC測定を行った結果、環式ポリフェニレンスルフィド混合物は室温で1−クロロナフタレンに全溶であり、重量平均分子量は900であった。
実施例1
参考例1で得られた環式ポリフェニレンスルフィドを、スクリュー径15mm、L/D=45のベント付き二軸押出機(テクノベル社製 KZW15−45HG型)に供給し、連続的に加熱処理し、ポリフェニレンスルフィドを製造した。スクリュー回転数は10rpm、環式ポリフェニレンスルフィドの供給量は3g/分、シリンダ温度300℃にて、ベント部から真空ポンプを用いて1.3kPaに減圧し、吐出されたストランドを水槽で冷却した後、ペレタイザーでカッティングして、不透明な茶色のペレットを得た。この時の押出機内の環式ポリフェニレンスルフィドの平均滞留時間は60分であった。生成物は1−クロロナフタレンに250℃で全溶であった。HPLC測定の結果、転化率は80%であった。GPC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークと生成したポリマー(ポリフェニレンスルフィド)のピークが確認できた。得られたポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量は62,000、分散度は2.2、100℃〜330℃の加熱時重量減少率(ΔWr)は0.064%であった。
実施例2
押出機の温度を320℃とした以外は実施例1と同様に実施し、不透明な茶色のペレットを得た。押出機内の環式ポリフェニレンスルフィドの平均滞留時間は60分であった。生成物は1−クロロナフタレンに250℃で全溶であった。HPLC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドのポリフェニレンスルフィドへの転化率は97%であった。GPC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークと生成したポリマー(ポリフェニレンスルフィド)のピークが確認できた。得られたポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量は68,000、分散度は1.9、100℃〜330℃の加熱時重量減少率(ΔWr)は0.054%であった。
実施例3
押出機のシリンダ温度を340℃とし、供給量を6g/分、スクリュー回転数を20rpmにした以外は実施例1と同様に実施し、不透明な茶色のペレットを得た。押出機内の環式ポリフェニレンスルフィドの平均滞留時間は30分であった。生成物は1−クロロナフタレンに250℃で全溶であった。HPLC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドのポリフェニレンスルフィドへの転化率は95%であった。GPC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークと生成したポリマー(ポリフェニレンスルフィド)のピークが確認できた。得られたポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量は68,000、分散度は1.9、100℃〜330℃の加熱時重量減少率(ΔWr)は0.052%であった。
比較例1
参考例1で得られた環式ポリフェニレンスルフィド100mgをガラス製アンプルに仕込み、アンプル内を窒素で置換した。300℃に温調した電気炉内にアンプルを設置し60分間加熱した後、アンプルを取り出し室温まで冷却し、茶色の樹脂状生成物を得た。生成物は1−クロロナフタレンに250℃で全溶であった。HPLC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドのポリフェニレンスルフィドへの転化率は54%であることがわかった。GPC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークと生成したポリマー(PPS)のピークが確認でき、得られたポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量は62,300、分散度は1.8、100℃〜330℃の加熱時重量減少率(ΔWr)は0.15%であることがわかった。
比較例2
電気炉での加熱温度を340℃に変更した以外は比較例1と同様の操作を行い、茶色の樹脂状生成物を得た。生成物は1−クロロナフタレンに250℃で全溶であった。HPLC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドのポリフェニレンスルフィドへの転化率は92%であることがわかった。GPC測定の結果、環式ポリフェニレンスルフィドに由来するピークと生成したポリマーのピークが確認でき、得られたポリフェニレンスルフィドの重量平均分子量は68,200、分散度は2.0、100℃〜330℃の加熱時重量減少率(ΔWr)は0.11%であった。
環式ポリフェニレンスルフィドをバッチ式の攪拌翼付き反応装置で加熱する場合、ポリフェニレンスルフィドへの転化を完結に近づけるには高温、長時間の反応が必要であることがわかった。
参考例1および実施例1〜3から溶融混練機を用いることで、低温、短時間で転化率の高いポリフェニレンスルフィドを連続的に製造することができる。また、実施例1〜3で得られたポリフェニレンスルフィドはΔWrを小さくすることができる。一方、比較例1、2および実施例1〜3の転化率および、ΔWrの比較から、押出機を用いない場合は、転化率が低く、得られるポリフェニレンスルフィドのΔWrが大きいことがわかる。

Claims (7)

  1. 環式ポリアリーレンスルフィドを溶融混練機内で加熱することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 前記溶融混練機が押出機である請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 前記押出機が二軸押出機である請求項2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 環式ポリアリーレンスルフィドの加熱温度が、環式ポリアリーレンスルフィドの溶融温度以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 環式ポリアリーレンスルフィドの加熱を非酸化性雰囲気で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  6. 環式ポリアリーレンスルフィドが下記一般式で示される環式化合物を50重量%以上含み、かつ式中の繰り返し数mが4〜50であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
    Figure 2015105303
    ここで、Arはアリーレン基を表す。
  7. 環式ポリアリーレンスルフィドが環式ポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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