JP2015104691A - 光学フィルムの製造方法および光学フィルム - Google Patents

光学フィルムの製造方法および光学フィルム Download PDF

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千代子 竹村
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Abstract

【課題】屈曲耐性および密着性に優れ、酸素等による半導体ナノ粒子の劣化を抑制できる、半導体ナノ粒子を含む光学フィルムの製造方法、ならびに該方法により製造された半導体ナノ粒子を含む光学フィルムを提供する。【解決手段】支持体上に、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化し、半導体ナノ粒子層を形成する第1工程と、前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、少なくとも表面を改質して、バリア層を形成する第2工程と、を有する、光学フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法および光学フィルムに関する。特に、半導体ナノ粒子を含む光学フィルムの製造方法、および該方法により製造された半導体ナノ粒子を含む光学フィルムに関する。
近年、半導体ナノ粒子(量子ドット)は、そのサイズ可変な(size−tunable)電子特性から商業的関心が持たれており、例えば、生体標識、太陽光発電、触媒作用、生体撮像、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、一般的な空間照明、及び電子発光ディスプレイ等、多分野での利用が非常に期待されている。
一方、半導体ナノ粒子が酸素に接触すると劣化してしまうという欠点も知られている。このような欠点に対して、半導体ナノ粒子が酸素に接触することを防止する手段が種々採用されている。
例えば、特許文献1では、第1の基板上に半導体ナノ粒子を含む光学材料インクを載せ、封入用接着材料を介して、第2の基板を当該インク上に貼り付け、前記二つの基板の内側に実質的に酸素および水を通さない障壁層を設置し、半導体ナノ粒子を密閉する方法が開示されている。
特表2013−508895号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、酸素から半導体ナノ粒子の劣化を抑制するために、上下二枚の基板を用いるため、製造された光学部品全体の厚みが厚くなる。よって、曲率半径が小さく、曲げると基材の割れや層間の剥離が生じるなど屈曲耐性が低下するという問題があった。また、障壁層と半導体ナノ粒子を含有する光学材料とは、接着材料によって貼り付けられただけの態様であるため、密着性が悪く、その結果、酸素等による半導体ナノ粒子の劣化を抑制できなくなるという問題もあった。
そこで、本発明は、屈曲耐性および密着性に優れ、酸素等による半導体ナノ粒子の劣化を抑制できる、半導体ナノ粒子を含む光学フィルムの製造方法、ならびに該方法により製造された半導体ナノ粒子を含む光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、支持体上に、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化し、半導体ナノ粒子層を形成する第1工程と、前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、少なくとも表面を改質して、バリア層を形成する第2工程とを有する、光学フィルムの製造方法によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、屈曲耐性および密着性に優れ、酸素等による半導体ナノ粒子の劣化を抑制できる、半導体ナノ粒子を含む光学フィルムの製造方法、ならびに該方法により製造された半導体ナノ粒子を含む光学フィルムが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
≪光学フィルムの製造方法≫
本発明の第一の形態によれば、支持体上に、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化し、半導体ナノ粒子層を形成する第1工程と、前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、少なくとも表面を改質して、バリア層を形成する第2工程と、を有する、光学フィルムの製造方法が提供される。
本発明の製造方法による上記作用効果の発揮のメカニズムは、以下のように推測されるが、下記に限定されるものではない。
本発明の製造方法において、第1工程では、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を用いて半導体ナノ粒子層を形成する。第2工程では、半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を用いて塗布し、少なくとも表面改質することにより、バリア層を形成する。なお、本発明において、「ヒドロポリシラザンユニット」とは、分子内にSi−N結合を有し、かつ少なくとも1つの水素原子がSiまたはNに結合しているポリシラザンユニットを意味する。このように形成されるバリア層は、酸素等をバリアする機能を有し、半導体ナノ粒子の劣化を防止することができる。また、バリア層の上にさらなる基材または基板を要することなく、光学フィルムの全体として薄膜化が達成でき、光学フィルムの屈曲耐性を向上することができる。
また、一般的に、エポキシ樹脂を硬化(重合)するのに長い時間が必要となり、このため、含有される半導体ナノ粒子が酸素等による劣化を防ぐために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で作業を行う必要があり、製造設備に対する要求が高く、コストがかかったり、製造工程の効率が下がったりする問題がある。これに対して、本発明の第2工程ではヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を少なくとも表面を改質して、バリア層を形成すると共に、前記エポキシ樹脂の硬化を促進することができる。このため、本発明では、エポキシ樹脂の硬化がより短時間で行うことができる。すなわち、第1工程では、エポキシ樹脂をある程度(例えば、バリア層形成用塗布液がその上に塗布できる程度)まで硬化させればよく、第2工程でのバリア層を形成すると共に半導体ナノ粒子層内に残存される未硬化のエポキシ樹脂の硬化を促進することができる。よって、本発明では、より効率化(低コスト化)で光学フィルムを製造することができる。
また、上述のエポキシ樹脂の硬化を促進するメカニズムは、以下のように考えられる。ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を改質する際に、アンモニアが発生する。アンモニアは、半導体ナノ粒子層内に拡散し、当該半導体ナノ粒子層内に残存する未硬化のエポキシ樹脂の硬化を促進することができる。
さらに、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を改質していくうちに、形成される改質途中のバリア層の上部(バリア層の表面に近い側)は、より高いガスバリア性を有することから、バリア層の下部(半導体ナノ粒子層に近い側)に存在する未改質のヒドロポリシラザンユニットを有する化合物の改質による生成するアンモニアは、バリア層の上部に拡散せずに、バリア層の下部に存在する半導体ナノ粒子層に拡散しやすくなり、エポキシ樹脂の硬化をより促進することができる。
加えて、半導体ナノ粒子層とバリア層との界面付近で、エポキシ樹脂の硬化反応とヒドロポリシラザンユニットを有する化合物の改質反応とを同時に進行させることによって、エポキシ樹脂とヒドロポリシラザンユニットを有する化合物との間に結合が形成されることも考えられる。形成された半導体ナノ粒子層とバリア層との層間剥離が生じにくく、半導体ナノ粒子層とバリア層との密着性の向上も期待できる。
以上のように、本発明の製造方法によって、効率化(低コスト化)で、屈曲耐性および密着性に優れ、酸素等による半導体ナノ粒子の劣化を抑制できる光学フィルムを製造することができる。
以下では、本発明の光学フィルムの製造方法に係る各工程について詳細に説明する。
{第1工程}
第1工程では、支持体上に、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化し、半導体ナノ粒子層を形成する。
〔第1の塗布液:半導体ナノ粒子層形成用塗布液〕
本発明において、第1工程に用いられる第1の塗布液は、半導体ナノ粒子層形成用塗布液であり、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む。
(エポキシ樹脂)
本発明において、第1の塗布液に含まれるエポキシ樹脂、および/またはそれが硬化されてなるエポキシ樹脂の硬化物は、半導体ナノ粒子のバインダーとしての機能を有する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル等のエポキシ基を有する単量体の単独重合体;これらエポキシ基を有する単量体と、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等の共重合可能な他の単量体との共重合体;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2,2'−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;またはエポキシ樹脂をアクリル酸、メタクリル酸等で変性したエポキシアクリレート樹脂等の変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明において、市販のエポキシ樹脂も用いられる。例えばエポキシアクリレート樹脂として、DIC(株)製の商品名:UV硬化型樹脂ユニディックV−5500およびV−5502;ケーエスエム(株)製の商品名:BAEA−100、BAEM−100、BAEM−50、BEEM−50、BFEA−50、HPEA−100、CNEA−100、PNEM−50、RNEA−100、およびTEA−100;日本ユピカ(株)社の商品名:ネオポール8026、8101、8125、8197、8250LMH、8260、8355、8360BR、および8475等を用いることができるが、これらに限定されない。
本発明において、エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上で用いてもよい。
(他のバインダー)
本発明において、第1の塗布液は、上述したエポキシ樹脂以外に、本発明の効果を損なわない限り、他のバインダーを含んでもよい。
他のバインダーとして、紫外線硬化性樹脂、樹脂モノマー、または水溶性樹脂などが用いられる。
かような紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等のラジカル重合性樹脂などが好ましく用いられる。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(DIC株式会社製)100質量部とコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)1質量部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用しても良い。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。
また、不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、ADEKA株式会社製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学株式会社製);セイカビームPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、DIC株式会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)、NKハードB−420、NKエステルA−DOG、NKエステルA−IBD−2E(以上、新中村化学工業株式会社製)等を適宜選択して利用できる。
また、具体的な化合物の例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジオキサングリコールアクリレート、エトキシ化アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、または反応性官能基を有する樹脂等が挙げられる。具体的に例えば国際公開第2013/054912号に記載されるような水溶性樹脂は好適に使用される。
また、他のバインダーとして、上述の他に、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の熱可塑性樹脂、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂などが使用することもできる。
(半導体ナノ粒子)
本発明に係る半導体ナノ粒子とは、半導体材料の結晶で構成され、量子閉じ込め効果を有する所定の大きさの粒子をいい、その粒子径が数nm〜数十nm程度の微粒子であり、下記に示す量子ドット効果が得られるものをいう。
本発明に係る半導体ナノ粒子の粒子径としては、具体的には1〜20nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは1〜10nmの範囲内である。
このような半導体ナノ粒子のエネルギー準位Eは、一般に、プランク定数を「h」と、電子の有効質量を「m」と、半導体ナノ粒子の半径を「R」としたとき、下式(1)で表される。
式(1)で示されるように、半導体ナノ粒子のバンドギャップは、「R−2」に比例して大きくなり、いわゆる、量子ドット効果が得られる。このように、半導体ナノ粒子の粒子径を制御、規定することによって、半導体ナノ粒子のバンドギャップ値を制御することができる。すなわち、微粒子の粒子径を制御、規定することにより、通常の原子にはない多様性を持たせることができる。そのため、光によって励起させたり、光を所望の波長の光に変換して出射させたりすることができる。本発明では、このような発光性の半導体ナノ粒子材料を半導体ナノ粒子と定義する。
半導体ナノ粒子の平均粒子径は、上述したように、数nm〜数十nm程度であるが、目的とする発光色に対応する平均粒子径に制御する。例えば、赤発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径としては3.0〜20nmの範囲内に設定することが好ましく、緑発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径を1.5〜10nmの範囲内に設定することが好ましく、青色発光を得たい場合には、半導体ナノ粒子の平均粒子径を1.0〜3.0nmの範囲内に設定することが好ましい。また、平均粒子径の制御方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば半導体ナノ粒子を製造する際の反応時間によって当該半導体ナノ粒子の平均粒子径を望ましい範囲に制御することができる。
本発明に係る半導体ナノ粒子の平均粒子径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により半導体ナノ粒子の粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法や、電子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒子径を求める方法、動的光散乱法による粒径測定装置、例えば、Malvern社製、「ZETASIZERNano Series Nano−ZS」を用いて測定することができる。その他にも、X線小角散乱法により得られたスペクトルから半導体ナノ粒子の粒子径分布シミュレーション計算を用いて粒子径分布を導出する方法などが挙げられるが、本発明においては、電子間力顕微鏡(AFM)を用いて平均粒子径を求める方法が好ましい。
また、本発明に係る半導体ナノ粒子においては、アスペクト比(長軸径/短軸径)の値が、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7の範囲である。本発明に係る半導体ナノ粒子に係るアスペクト比(長軸径/短軸径)についても、例えば、電子間力顕微鏡(AFM)を用いて、長軸径及び短軸径を測定して求めることができる。なお、測定する個体数としては、300個以上であることが好ましい。
半導体ナノ粒子の添加量は、第1の塗布液全体を100質量%としたとき、0.01〜50質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜30質量%の範囲内であることがより好ましく、2.0〜25質量%の範囲内であることが最も好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、十分な輝度効率を得ることができ、50質量%以下であれば、適度な半導体ナノ粒子の粒子間距離を維持でき、量子サイズ効果を十分に発揮させることができる。
(1)半導体ナノ粒子の構成材料
半導体ナノ粒子の構成材料としては、例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の周期表第14族元素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、酸化スズ(IV)(SnO)、硫化スズ(II、IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化スズ(IV)(SnS)、硫化スズ(II)(SnS)、セレン化スズ(II)(SnSe)、テルル化スズ(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、硫化ヒ素(III)(As)、セレン化ヒ素(III)(AsSe)、テルル化ヒ素(III)(AsTe)、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)、テルル化ビスマス(III)(BiTe)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化銅(I)(CuO)、セレン化銅(I)(CuSe)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化モリブデン(IV)(MoS)、酸化タングステン(IV)(WO)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO)、酸化タンタル(V)(Ta)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化チタン(TiO、Ti、Ti、Ti等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCrSe)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCrSe)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられる。これらの中でも、SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等のIII−V族化合物半導体、Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体、As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が好ましい。さらに、Si、Ge、GaN、GaP、InN、InP、Ga、Ga、In、In、ZnO、ZnS、CdO、CdSがより好ましい。これらの物質は、毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性に優れており、また、可視光領域で純粋なスペクトルを安定して得ることができるので、発光デバイスの形成に有利である。これらの材料のうち、CdSe、ZnSe、CdSは、発光の安定性の点で好ましい。発光効率、高屈折率、安全性、経済性の観点から、ZnO、ZnSの半導体ナノ粒子が好ましい。また、上記の材料は、1種で用いるものであっても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、上述した半導体ナノ粒子には、必要に応じて微量の各種元素を不純物としてドープすることができる。このようなドープ物質を添加することにより発光特性を大きく向上させることができる。
本発明でいう発光波長(バンドギャップ)とは、無機物である半導体ナノ粒子の場合は、価電子帯と伝導帯のエネルギー差を半導体ナノ粒子におけるバンドギャップ(eV)であり、発光波長(nm)=1240/バンドギャップ(eV)で表される。
半導体ナノ粒子のバンドギャップ(eV)は、Taucプロットを用いて測定することができる。
バンドギャップ(eV)の光科学的測定手法の一つであるTaucプロットについて説明する。
Taucプロットを用いたバンドギャップ(E)の測定原理を以下に示す。
半導体材料の長波長側の光学吸収端近傍の比較的吸収の大きい領域において、光吸収係数αと光エネルギーhν(ただし、hはプランク常数、νは振動数)、及びバンドキャップエネルギーEの間には次の式(A)、が成り立つと考えられている。
したがって、吸収スペクトルを測定し、そこから(αhν)の0.5乗に対してhνをプロット(いわゆる、Taucプロット)し、直線区間を外挿したα=0におけるhνの値が求めようとする半導体ナノ粒子のバンドギャップエネルギーEとなる。
なお、半導体ナノ粒子の場合は、吸収と発光のスペクトルの差異(ストークスシフト)が小さく、また波形もシャープであるため、簡便には発光スペクトルの極大波長をバンドギャップの指標として用いることもできる。
また、他の方法として、これら有機及び無機機能材料のエネルギー準位を見積もる方法としては、走査型トンネル分光法、紫外線光電子分光法、X線光電子分光法、オージェ電子分光法により求められるエネルギー準位から求める方法及び光学的にバンドギャップを見積もる方法が挙げられる。
半導体ナノ粒子の表面は、無機物の被覆層又は有機配位子で構成された被膜で被覆されたものであるのが好ましい。すなわち、半導体ナノ粒子の表面は、半導体ナノ粒子材料で構成されたコア部と、無機物の被覆層又は有機配位子で構成されたシェル部(被覆層とも称する)とを有するコア・シェル構造を有するものであるのが好ましい。
かようなコア・シェル構造は、少なくとも2種類の化合物で形成されていることが好ましく、2種類以上の化合物でグラジエント構造(傾斜構造)を形成していても良い。これにより、塗布液中における半導体ナノ粒子の凝集を効果的に防止することができ、半導体ナノ粒子の分散性を向上させることができるとともに、輝度効率が向上し、本発明の光学フィルムを用いた発光デバイスを連続駆動させた場合に色ズレの発生を抑制することができる。また、被覆層の存在により、安定的に発光特性が得られる。
また、半導体ナノ粒子の表面がシェル部で被覆されていると、後述するような表面修飾剤を半導体ナノ粒子の表面付近に確実に担持させることができる。
シェル部の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10nmの範囲内であることが好ましく、0.1〜5nmの範囲内であることがより好ましい。
一般的に、半導体ナノ粒子の平均粒子径により発光色を制御することができ、被覆層の厚さが上記範囲内の値であれば、被覆層の厚さが原子数個分に相当する厚さから半導体ナノ粒子1個に満たない厚さであり、半導体ナノ粒子を高密度で充填することができ、十分な発光量が得られる。また、被覆層の存在により、お互いのコア粒子の粒子表面に存在する欠陥、ダングリングボンドへの電子トラップによる非発光の電子エネルギーの転移を抑制でき、量子効率の低下を抑えることができる。
(2)半導体ナノ粒子の製造方法
半導体ナノ粒子の製造方法としては、従来行われている公知の任意の方法を用いることができる。また、また、Aldrich社、CrystalPlex社、NNLab社等から市販品として購入することもできる。
例えば、高真空下のプロセスとしては、分子ビームエピタキシー法、CVD法等;液相製造方法としては、原料水溶液を、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、又はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル相中にて結晶成長させる逆ミセル法、熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結晶成長させるホットソープ法、更に、ホットソープ法と同様に、酸塩基反応を駆動力として比較的低い温度で結晶成長を伴う溶液反応法等が挙げられる。これらの製造方法から任意の方法を使用することができるが、中でも、液相製造方法が好ましい。
なお、液相製造方法において、半導体ナノ粒子の合成に際して、表面に存在する有機表面修飾剤を初期表面修飾剤という。例えば、ホットソープ法における初期表面修飾剤の例としては、トリアルキルホスフィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、アルキルアミン類、ジアルキルスルホキシド類、アルカンホスホン酸等が挙げられる。これらの初期表面修飾剤は、交換反応により上述の機能性表面修飾剤に交換することが好ましい。
具体的には、例えば、前述したホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィンオキシド等の初期表面修飾剤は、機能性表面修飾剤を含有する液相中で行う交換反応により、上述の機能性表面修飾剤と交換することが可能である。
具体的には、例えば、前述したホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィンオキシド等の初期表面修飾剤は、機能性表面修飾剤を含有する液相中で行う交換反応により、下記の機能性表面修飾剤と交換することが可能である。
(機能性の表面修飾剤)
半導体ナノ粒子を含有している本発明の半導体ナノ粒子層形成用塗布液を用いて半導体ナノ粒子層を形成する際、本発明の半導体ナノ粒子層形成用塗布液においては、半導体ナノ粒子の表面近傍に、表面修飾剤が付着していることが好ましい。これにより、半導体ナノ粒子層形成用塗布液中における半導体ナノ粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、半導体ナノ粒子の製造時において、半導体ナノ粒子表面に表面修飾剤を付着させることにより、形成される半導体ナノ粒子の形状が真球度の高いものとなり、また、半導体ナノ粒子の粒子径分布を狭く抑えられるため、特に優れたものとすることができる。
本発明で適用可能な機能性の表面修飾剤としては、半導体ナノ粒子の表面に直接付着したものであっても良いし、シェル部を介して付着したもの(表面修飾剤が直接付着するのはシェル部で、半導体ナノ粒子のコア部には接触していないもの)であっても良い。
表面修飾剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;トリ(n−ヘキシル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、トリ(n−デシル)アミン等の第3級アミン類;トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物;ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類;ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類;ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類;チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;アルコール類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等が挙げられるが、半導体ナノ粒子が後述するような方法で調製されるものである場合、表面修飾剤としては、高温液相において半導体ナノ粒子の微粒子に配位して、安定化する物質であるのが好ましく、具体的には、トリアルキルホスフィン類、有機リン化合物、アミノアルカン類、第3級アミン類、有機窒素化合物、ジアルキルスルフィド類、ジアルキルスルホキシド類、有機硫黄化合物、高級脂肪酸、アルコール類が好ましい。このような表面修飾剤を用いることにより、塗布液中における半導体ナノ粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、半導体ナノ粒子の製造時において形成される半導体ナノ粒子の形状をより真球度の高いものとし、半導体ナノ粒子の粒度分布をよりシャープなものとすることができる。
また、本発明において、後述のポリシラザンを表面修飾剤として用いることもできる。
本発明において、前述のように、半導体ナノ粒子のサイズ(平均粒子径)としては、1
〜20nmの範囲内であることが好ましい。本発明において、半導体ナノ粒子のサイズと
は、半導体ナノ粒子材料で構成されたコア領域と、不活性な無機物の被覆層又は有機配位
子で構成されたシェル部および表面修飾剤で構成されるトータルのサイズを表す。表面修
飾剤やシェルが含まれない場合は、それを含まないサイズを表す。
本発明に係る第1の塗布液の調製方法は、特に限定されず、例えば、(1)半導体ナノ粒子をそのままエポキシ樹脂中に分散して、攪拌混合する方法、または(2)半導体ナノ粒子をアクリル樹脂、無機酸化物(例えば、二酸化ケイ素等)などでコーティングしてからエポキシ樹脂中に分散して攪拌混合する方法が挙げられる。
(溶媒)
また、第1の塗布液を、必要に応じて溶媒を用いて適当な粘度に調製することができる。かような溶媒としては、半導体ナノ粒子と反応しないものであれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、又はこれらを混合し利用できる。
(添加剤)
さらに、エポキシ樹脂を硬化するために、硬化する方法によって適当な添加剤を加えてもよい。ここで、エポキシ樹脂の硬化は、公知の硬化剤や公知の方法によって行うことができる。例えば、脂肪族ポリアミンやポリアミノアミド、ポリメルカプタンのような低温〜室温で硬化するタイプ、もしくは芳香族ポリアミンや酸無水物、フェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミドのような加熱硬化タイプの硬化剤、または光・紫外線照射による硬化する方法等が用いられる。なお、半導体ナノ粒子は熱に弱いため、半導体ナノ粒子の安定性の観点から、光・紫外線照射による硬化する方法がより好ましく用いられる。
本発明に係るエポキシ樹脂を光・紫外線照射による硬化させる際に、光重合開始剤を使用することができる。かような光重合開始剤としては、具体的に、ベンゾインおよびその誘導体、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。また、光重合開始剤に加えて光増感剤を用いてもよい。光増感剤としては、例えばn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。また上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明の第1工程において、第1の塗布液における半導体ナノ粒子の含有量は、特に限定されないが、例えば0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
〔塗布〕
本発明の第1工程において、第1の塗布液の塗布方式としては、特に限定されず、従来公知の湿式塗布方式を適宜選択して適用することができる。具体的には、例えばスピンコート法、ダイコート法、ローラーコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
また、塗布する際の酸素濃度は、特に限定されないが、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、1〜2000体積ppmであることが好ましく、1〜1000体積ppmであることがより好ましい。なお、本発明において、酸素濃度は、窒素やアルゴンなどの不活性ガスの添加により制御することができる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定することができる。例えば、塗布厚さは、後述する乾燥膜厚の好適な範囲内になるように、20〜2000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましい。
〔乾燥〕
本発明の第1工程において、第1の塗布液を塗布した後、形成された塗膜を乾燥させることが好ましい。乾燥することによって、当該塗膜中に含有される有機溶剤を除去することができる。この際、当該塗膜に含有された有機溶剤は、全てを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶剤を残存させる場合であっても、好適な半導体ナノ粒子層が得られる。なお、残存する有機溶剤は後に除去されうる。
乾燥の温度は、適用する支持体の熱による変形等がなければ特に限定されず、例えば50〜200℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を使用することによって設定されうる。
乾燥の時間は、乾燥温度との兼ね合いもあるが、短時間に設定することが好ましく、例えば30秒〜1時間であることが好ましく、1分〜5分であることがより好ましい。
乾燥の雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件下であってもよいが、窒素雰囲気下の条件下で行うのはより現実的かつ好ましい。各雰囲気下の酸素濃度は、特に限定されないが、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、1〜21000体積ppmであることが好ましく、1〜1000体積ppmであることがより好ましい。
乾燥後の膜厚(「乾燥膜厚」とも称する)は、20〜800μmであることが好ましく、20〜500μmであることがより好ましい。乾燥膜厚は、20μm以上であれば、半導体ナノ粒子をマトリックス(バインダー等)中に安定に保持でき、800μm以下であれば、発光効率の低下が抑制できる点で好ましい。なお、乾燥膜厚は、市販のフィルム厚み計で光学フィルムの厚さを測定した後、基材等の厚みを差し引くことによって確認できる。
〔硬化〕
本発明の第1工程において、硬化は、公知の硬化剤を用いたり、公知の硬化方法によって行うことができる。本工程において、半導体ナノ粒子層をある程度硬化させることにより、後述のバリア層を形成する際に、半導体ナノ粒子層上にバリア層形成用塗布液を均一的に塗布することができる。以下では、本発明で好適に使用される光・紫外線照射による硬化の条件について、説明する。
光・紫外線照射処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量は、通常5〜800mJ/cmの範囲であり、5〜550mJ/cmの範囲であることが好ましい。
また、硬化の雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件下であってもよいが、窒素雰囲気下の条件下で行うのはより現実的かつ好ましい。各雰囲気下の酸素濃度は、特に限定されないが、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、1〜21000体積ppmであることが好ましく、1〜1000体積ppmであることがより好ましい。
硬化時間は、硬化の方法や第1の塗布液中に存在するエポキシ樹脂の濃度等との兼ね合いもあるが、本発明において、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、10秒〜30分であることが好ましく、1分〜5分であることがより好ましい。
なお、通常エポキシ樹脂が完全に硬化するために、長時間(約1〜14日間)の硬化時間が必要である。しかしながら、かような長時間でエポキシ樹脂を硬化させると、半導体ナノ粒子が酸素によって劣化してしまう問題が顕著になってしまう。本発明では、後述する第2工程で形成するバリア層を改質することにより、エポキシ樹脂の硬化を促進することができるため、エポキシ樹脂の硬化が通常より短時間で達成することができる。
本発明の第1工程において、半導体ナノ粒子層が一部硬化されていればよく、具体的には、鉛筆硬度HB〜6Hの硬度まで硬化させることが好ましく、鉛筆硬度H〜3Hの硬度まで硬化させることがより好ましい。
{第2工程}
第2工程では、第1工程で形成した半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、少なくとも表面を改質して、バリア層を形成する。
〔第2の塗布液:バリア層形成用塗布液〕
本発明において、第2工程に用いられる第2の塗布液は、バリア層形成用塗布液であり、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む。
(ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物)
本発明において、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物とは、分子内にSi−N結合を有し、かつ少なくとも1つの水素原子がSiまたはNに結合しているポリシラザンユニットを少なくとも1つ有する化合物を意味する。具体的に、その構造内にSi−N、Si−Hおよび/またはN−H等の結合を有し、SiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。なお、本明細書において、かようなSi−N結合を有する化合物を「ヒドロポリシラザン」とも略称する。
本発明において、ヒドロポリシラザンとしては、特に制限されないが、後述の改質を考慮すると、比較的低温でセラミック化してシリカに変性し、本発明のバリア層を形成できる化合物であることが好ましく、例えば、下記の一般式(I)で表されるユニットからなる主骨格を有する化合物であることが好ましい。
上記一般式(I)において、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、またはアルコキシ基を表し、少なくとも1つのR、R、およびRが水素原子を表す。
ヒドロポリシラザンは、得られるバリア層の緻密性の観点から、R、R、およびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(以下、「PHPS」とも称する)であることが特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいヒドロポリシラザンによるバリア層に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。用途に応じて、適宜にパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択して良く、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環および8員環を中心とする環構造とが存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、分子量によって液体または固体の物質でありうる。当該パーヒドロポリシラザンは、市販品を使用してもよく、市販品としては、NN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NAX120、NAX110、NL120A、NL110A、NL150A、NP110、NP140(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)等が挙げられる。
低温でセラミック化するヒドロポリシラザンの別の例としては、上記一般式(I)で表されるポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
(アミン触媒および金属触媒)
また、本発明の第2工程において、第2の塗布液は、後述する改質を促進する観点から、アミン触媒および/または金属触媒を含むことができ、特にアミン触媒をさらに含むことが好ましい。アミン触媒を添加することにより、後述の改質を促進できることに加え、上述した半導体ナノ粒子層に含まれるエポキシ樹脂の硬化をより促進することもできる。
アミン触媒としては、特に制限されないが、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンが挙げられる。
金属触媒としては、特に制限されないが、白金アセチルアセトナート等の白金化合物、プロピオン酸パラジウム等のパラジウム化合物、ロジウムアセチルアセトナート等のロジウム化合物が挙げられる。
この際、添加する触媒の濃度としては、ポリシラザンを基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%の範囲である。触媒添加量を、かような範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成および膜密度の低下、膜欠陥の増大を避けることができ、さらに半導体ナノ粒子層中のエポキシ樹脂の硬化促進こともできる。
(溶媒)
本発明に係る第2の塗布液を調製する際に、溶媒を用いてもよい。かような溶媒としては、ポリシラザンと反応しないものであれば特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒;脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。より具体的に、炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いられうる。
〔塗布〕
本発明の第2工程において、第2の塗布液の塗布方式としては、特に限定されず、従来公知の湿式塗布方式を適宜選択して適用することができる。具体的に、例えばスピンコート法、ダイコート法、ローラーコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
また、塗布する際の酸素濃度は、特に限定されないが、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、1〜2000体積ppmであることが好ましく、1〜1000体積ppmであることがより好ましい。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定することができる。
〔乾燥〕
本発明の第2工程において、第2の塗布液を塗布した後、形成された塗膜を乾燥させることが好ましい。乾燥することによって、当該塗膜中に含有される有機溶剤を除去することができる。この際、当該塗膜に含有された有機溶剤は、全てを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶剤を残存させる場合であってもよく、残存する有機溶剤は後に除去されうる。
乾燥の温度は、適用する支持体の熱による変形等がなければ特に限定されず、例えば50〜200℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を使用することによって設定されうる。
乾燥の時間は、乾燥温度との兼ね合いもあるが、短時間に設定することが好ましく、例えば30秒〜15分であることが好ましく、1分〜5分であることがより好ましい。
乾燥の雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件下であってもよいが、窒素雰囲気下の条件下で行うのはより現実的かつ好ましい。各雰囲気下のその際の酸素濃度は、特に限定されないが、半導体ナノ粒子の酸素による劣化防止の観点から、1〜2000体積ppmであることが好ましく、1〜1000体積ppmであることがより好ましい。
〔改質〕
本発明において、改質とは、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物の一部または全部を、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはこれらの混合物へ転化させる反応を意味する。
改質は、積極的な処理(例えば加熱処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、および水蒸気処理の少なくとも1つの処理)によって行うか、および/または通常環境下(例えば、15〜35℃、40〜60%RHの環境)に放置することによっても行われる。生産効率や膜質の観点から、改質は、加熱処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、および水蒸気処理の少なくとも1つの処理によって行われることが好ましく、加熱処理および紫外線照射処理の少なくとも一方によって行われることがより好ましく、紫外線照射処理によって行われることがさらに好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、本発明に係る第2工程では、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物の改質度合としては、形成されるバリア層の酸素透過度が、後述する本発明の好適な範囲内になればよい。また、たとえ上述した積極的な処理によるヒドロポリシラザンユニットを有する化合物の改質が100%完了していなくても、その後通常環境下に放置することによっても改質が進行しうる。
(加熱処理)
加熱処理の方法としては、例えば、ヒートブロック等の発熱体に基板を接触させ熱伝導により加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより載置される環境を加熱する方法、IRヒーターといった赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、これらに限定されない。加熱処理を行う場合、バリア層の平滑性を維持できる方法を適宜選択すればよい。
加熱する温度としては、40〜250℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲がより好ましい。加熱時間としては、10秒〜100時間の範囲が好ましく、30秒〜1時間の範囲が好ましい。
(紫外線照射処理)
本発明にいて、「紫外線」とは、一般的に10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜375nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射されるバリア層を担持している基材または支持体がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
一般的に、紫外線照射処理時の支持体温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材または支持体が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材または支持体の特性が損なわれることになる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムや、金属等の基板の場合には、より高温での改質処理が可能である。したがって、この紫外線照射時の基材または支持体温度としては、一般的な上限はなく、基材または支持体の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射処理の雰囲気は特に制限されない。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製や株式会社エム・ディ・コム製)、UV光レーザー等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線を照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてから目的の塗膜に当てることが望ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材または支持体の形状によって適宜選定することができる。例えば、SAMCO社製のUVオゾンクリーナーUV−1、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉等の装置を使用することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材もしくは基材またはバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜60分であり、好ましくは0.5秒〜30分である。
以下では、本発明において最も好ましい改質としての真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)について詳細に説明する。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
真空紫外線の照射により、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物がシラノールを経由することなく直接酸化されることから(光量子プロセスと呼ばれる光子の作用)、当該酸化過程において体積変化が少なく、高密度で欠陥の少ない酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸化窒化ケイ素等を含む膜が得られうる。また、真空紫外線では、反応雰囲気中に存在する酸素等から高い酸化能力を有するオゾンや活性酸素が生成され、当該オゾンや活性酸素によってもポリシラザンの改質処理を行うことができる。その結果、より緻密な酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸化窒化ケイ素等の膜が得られうる。さらに、本発明において、半導体ナノ粒子層中に存在するエポキシ樹脂の硬化を促進することもできる。したがって、真空紫外線照射処理により、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が改質されて得られるバリア層は、高いバリア性を有しうる。なお、真空紫外線照射は、バリア層の塗膜形成後であればいずれの時点で実施してもよい。
真空紫外線照射処理において、受ける塗膜面での該真空紫外線の照射度は、30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。30mW/cm以上では、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm以下では、バリア層の塗膜にアブレーションを生じず、基材または支持体にダメージを与えないため好ましい。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜7000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。この範囲であれば、クラック発生や支持体の熱変形がない。
真空紫外線光源としては、Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
これのうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でヒドロポリシラザンユニットを有する化合物(例えば、パーヒドロポリシラザン)の改質を実現できる。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、1〜10000体積ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは1〜5000体積ppmの範囲、更に好ましく1〜1000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点からドライ窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
プラズマ処理
本発明において、改質として用いられるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、ガスバリア性(特に酸素バリア性)が優れる観点から、プラズマイオンを注入する方法が好ましい。
プラズマイオン注入法としては、(A)外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、バリア層の塗膜の表面部に注入する方法、又は(B)外部電界を用いることなく、前記塗膜に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、バリア層の塗膜の表面部に注入する方法が好ましい。
前記(A)の方法においては、イオン注入する際の圧力(プラズマイオン注入時の圧力)を0.01〜1Paとすることが好ましい。プラズマイオン注入時の圧力がこのような範囲にあるときに、簡便にかつ効率よく均一にイオンを注入することができ、目的の機能性膜を効率よく形成することができる。
前記(B)の方法は、減圧度を高くする必要がなく、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮することができる。また、前記塗膜全体にわたって均一に処理することができ、負の高電圧パルス印加時にプラズマ中のイオンを高エネルギーで塗膜の表面部に連続的に注入することができる。さらに、radio frequency(高周波、以下、「RF」と略す。)や、マイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、バリア層の塗膜に負の高電圧パルスを印加するだけで、塗膜の表面部に良質のイオン注入層を均一に形成することができる。
前記(A)及び(B)のいずれの方法においても、負の高電圧パルスを印加するとき、すなわちイオン注入するときのパルス幅は、1〜15μsecであるのが好ましい。パルス幅がこのような範囲にあるときに、より簡便にかつ効率よく、均一にイオンを注入することができる。
また、プラズマを発生させるときの印加電圧は、好ましくは−1〜−50kV、より好ましくは−1〜−30kV、特に好ましくは−5〜−20kVである。
注入されるイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の
希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫
黄等のイオン;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系ガス類のイオン、などが挙げられる。
また、注入されるイオンの注入量は、形成するフィルムの使用目的(必要なガスバリア性、透明性等)等に合わせて適宜に決定すればよい。
(水蒸気処理)
本発明において、改質として用いられる水蒸気処理は、公知の方法を用いることができ、例えば、60〜85℃、90%RHに設定された高温高湿のオーブン内に、一定時間投入する方法、または公知の過熱水蒸気処理によって行うことができる。また、過熱水蒸気処理を行う方法として、例えばヘルシオ(商品名;シャープ(株)製)のような市販のオーブンを用いることができる。
≪光学フィルム≫
本発明の他の形態によれば、上述の方法によって製造された光学フィルムが提供される。以下では、本発明の光学フィルムについて詳細に説明する。
本発明の光学フィルムは、支持体上に、エポキシ樹脂の硬化物および半導体ナノ粒子を含む半導体ナノ粒子層と、前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を改質して形成されるバリア層と、を有する。
本発明において、上述した製造方法によって製造された光学フィルムは、複数の態様を有することができる。例えば、バリア層において、原料であるヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が一部のみ改質されていてもよく、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が全て改質されていてもよい。また、半導体ナノ粒子層において、原料であるエポキシ樹脂が一部のみが硬化されていてもよく、エポキシ樹脂が完全に硬化されていてもよい。
より詳細に本発明の光学フィルムの態様を分類するために、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が一部のみ改質されている時のバリア層の態様を「A」とし、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が全て改質されている時のバリア層の態様を「B」とし、エポキシ樹脂が一部のみが硬化されている時の半導体ナノ粒子層の態様を「X」とし、エポキシ樹脂が全て硬化されている時の半導体ナノ粒子層の態様を「Y」とすると、本発明の光学フィルムは、下記のAX、AY、BX、BYの四種類の態様を有することができる。
「AX」:ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が一部のみ改質されている時のバリア層とエポキシ樹脂が一部のみが硬化されている時の半導体ナノ粒子層とを有する光学フィルムの態様;
「AY」:ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が一部のみ改質されている時のバリア層とエポキシ樹脂が全て硬化されている時の半導体ナノ粒子層とを有する光学フィルムの態様;
「BX」:ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が全て改質されている時のバリア層とエポキシ樹脂が一部のみが硬化されている時の半導体ナノ粒子層とを有する光学フィルムの態様;
「BY」:ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物が全て改質されている時のバリア層とエポキシ樹脂が全て硬化されている時の半導体ナノ粒子層とを有する光学フィルムの態様。
また、形成された光学フィルムは、AX、AY、またはBXの態様であっても、その後経時的に、態様Aの改質または態様Xの硬化が進行する可能性があるため、AXがBXもしくはAY、または最終的にBYに変化することができ、同様にAYがBY、BXがBYに変化することができる。本発明の光学フィルムは、これらの全ての態様を包含する。
また、本発明の光学フィルムが態様AXである際に、バリア層が改質領域と未改質領域とを含むことが好ましく、さらに当該改質領域が膜厚方向で半導体ナノ粒子層とは離れる側に存在し、当該未改質領域が膜厚方向で半導体ナノ粒子層と隣接する側に存在することがより好ましい。これは、前述したように、当該未改質領域は、さらに改質される余地があって、アンモニアを発生することができ、当該改質領域には、さらなる改質はされず、ガスバリア性が高い領域であり、ガスバリア層としての役割のみならず、未改質領域を維持し、または発生したアンモニアを閉じ込め、結果として膜厚方向で下に存在する半導体ナノ粒子層への拡散を促進する役割を持つことから好ましい。なお、前述の改質領域には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはこれらの混合物が存在し、前述の未改質領域には、Si−HやN−H等が残るヒドロポリシラザン、またはパーヒドロポリシラザン等が存在し、アンモニアを発生する余地がある。
以下では、本発明の光学フィルムの各構成について詳細に説明する。
{支持体}
本発明に用いられる支持体は、特に限定されず、例えばガラス基板、金属箔、ガスバリア性フィルム等が挙げられる。ガスバリア性および屈曲耐性の観点から、本発明に係る支持体として、ガスバリア性フィルムがより好ましく用いられる。
ガラス基板としては、例えば、石英ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、ソーダガラス基板、無アルカリガラス基板等が挙げられる。金属箔としては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、チタン(Ti)および、これらの合金等の金属箔が挙げられる。
本発明において、酸素による半導体ナノ粒子の劣化を防ぐ観点から、支持体の酸素透過度は、5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。また、支持体の水蒸気透過度は、60℃、90%RH(相対湿度)で、5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。
また、本発明において、支持体は、可撓性を有することが好ましい。なお、本明細書において「可撓性」とは柔軟性があり、力を加えるとたわんで変形するが、力を取り除くと元の形状にもどる性質をいい、具体的にはJIS K7171:2008に規定される曲げ弾性率が、例えば、1.0×10〜4.5×10[N/mm]以下であることをいう。
支持体として好適に用いられるガスバリア性フィルムについて、以下で説明する。
〔ガスバリア性フィルム〕
本発明において、ガスバリア性フィルムは、基材およびガスバリア層を有する。ガスバリア性フィルムは、基材とガスバリア層との間に、ガスバリア層の上に、またはガスバリア層が形成されていない基材の他方の面に他の部材をさらに含んでもよい。ここで、他の部材として、特に限定されず、従来のガスバリア性フィルムに使用される部材が同様にしてあるいは適宜修飾して使用することができる。例えば、中間層、平滑層、ハードコート層、ブリードアウト防止層等の機能化層が挙げられる。
また、本発明において、ガスバリア層は、基材の少なくとも一方の面に形成されていればよい。このため、ガスバリア性フィルムは、基材の一方の面にガスバリア層が形成される形態、および基材の両面にガスバリア層が形成される形態双方を包含する。
(基材)
本発明に用いられるガスバリア性フィルムは、通常、基材として、プラスチックフィルムまたはシートが用いられ、無色透明な樹脂からなるフィルムまたはシートが好ましく用いられる。用いられるプラスチックフィルムは、ガスバリア層などを保持できるフィルムであれば材質、厚さなどに特に限定はなく、使用目的などに応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの基材は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる基材の膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
また、上述した基材の上面および/または下面には、適宜その他の層が形成されていてもよい。例えば、アンカーコート層、平滑層、およびクリアハードコート層等が挙げられる。これらのうち、基材の両面にクリアハードコート層を形成することが好ましい
(アンカーコート層)
本発明に用いられる基材の表面には、接着性(密着性)の向上を目的として、アンカーコート層を易接着層として形成してもよい。アンカーコート層の構成材料、形成方法等は、特開2013−52561号公報の段落「0229」〜「0232」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
(平滑層)
基材表面の粗面を平坦化し、凹凸やピンホールを埋めるために、基材とガスバリア層との間に平滑層を設けてもよい。平滑層は突起等が存在する基材の粗面を平坦化するために、あるいは基材に存在する突起により、ガスバリア層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。平滑層の構成材料、形成方法、表面粗さ、膜厚等は、特開2013−52561号公報の段落「0233」〜「0248」に開示される材料、方法等が適宜採用される。
(クリアハードコート(CHC)層)
クリアハードコート層は、基材とガスバリア層との密着性向上、高温高湿下での基材およびガスバリア層の膨張・収縮の差から生じる内部応力の緩和、ガスバリア層を設ける下層の平坦化、基材からのモノマー、オリゴマー等の低分子量成分のブリードアウト防止等の機能を有する。
クリアハードコート層は、感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成されうる。
前記感光性樹脂組成物は、通常、感光性樹脂、光重合開始剤、および溶媒を含む。
前記感光性樹脂としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限されないが、ラジカル反応性不飽和結合を有するアクリレート化合物を含有する樹脂、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いられうる。
前記光重合開始剤としては、特に制限されないが、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられうる。
前記溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、安息香酸メチル等のエステル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、または2種以上を混合して用いてもよい。
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてさらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、無機粒子、感光性樹脂以外の樹脂等の添加剤が添加されていてもよい。
これらのうち、好ましい添加剤の一つは、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」とも称する)である。前記光重合性を有する感光性基としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基が挙げられる。反応性シリカ粒子が有する光重合性を有する感光性基と、感光性樹脂が有する重合性不飽和基とが反応することによってガスバリア層との密着性が向上しうる。
前記反応性シリカ粒子としては、特に制限されないが、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが有する加水分解性シリル基を加水分解することによって、シリカ粒子とシリルオキシ基を生成して得られたもの、すなわち、重合性不飽和基修飾加水分解性シランとシリカ粒子とが化学的に結合したものでありうる。前記加水分解性シリル基としては、特に制限されないが、アルコキシシリル基;アセトキシシリル基等のカルボキシレートシリル基;クロロシリル基等のハロゲン化シリル基;アミノシリル基;オキシムシリル基;ヒドリドシリル基が挙げられる。なお、重合性不飽和基としては、特に制限されないが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
前記反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmであることが好ましく、0.001〜0.01μmであることがより好ましい。反応性シリカ粒子が、上記範囲の平均粒子径を有することにより、感光性樹脂組成物に含有されうる後述のマット剤と組み合せて用いることで、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性およびハードコート性を有しうる。
前記反応性シリカ粒子を感光性樹脂組成物中に含む場合、反応性シリカ粒子は、20〜60質量%で含有されることが好ましい。反応性シリカ粒子が20質量%以上含有されると、ガスバリア層との密着性が向上しうることから好ましい。一方、反応性シリカ粒子が60質量%以下であると、高温高湿環境下におけるフィルムの変形が抑制され、これに伴うクラックの発生を抑制しうることから好ましい。
また、感光性樹脂組成物はマット剤を含んでもよい。マット剤を含有することによって光学特性が調整されうる。
マット剤としては、特に制限されず、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等が用いられうる。前記マット剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用されうる。
さらに感光性樹脂組成物は、感光性樹脂以外の樹脂を含んでもよい。当該感光性樹脂以外の樹脂としては、特に制限されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
また、感光性樹脂組成物は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えばJSR株式会社製のOPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)等が挙げられるが、これらに限定されない。
感光性樹脂組成物の基材への塗布方法としては、特に制限されないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等の湿式コーティング法、または蒸着法等の乾式コーティング法が挙げられる。
塗布によって得られた塗膜を電離放射線を照射して硬化させることによりクリアハードコート層が形成されうる。なお、電離放射線は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の真空紫外光、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線が使用されうる。
クリアハードコート層の膜厚としては、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。クリアハードコート層の膜厚が1μm以上であると、ガスバリア性フィルムの耐熱性が向上しうることから好ましい。一方、クリアハードコート層の膜厚が10μm以下であると、フィルムの光学特性が好適に調整され、また、ガスバリア性フィルムのカールを抑制しうることから好ましい。
また、基材上にアンカーコート層、平滑層、またはクリアハードコート層等その他の層が1層以上形成される場合、基材およびその他の層の総膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
(ガスバリア層)
本発明で用いられるガスバリア層の材料としては、特に制限されず、様々な無機バリア材料を使用することができる。無機バリア材料の例としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、セリウム(Ce)およびタンタル(Ta)からなる群より選択される少なくとも1種の金属の単体、上記金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸化炭化物などの金属化合物が挙げられる。
前記金属化合物のさらに具体的な例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、アルミニウムシリケート(SiAlO)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ケイ素、酸素含有炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸化ホウ化ジルコニウム、酸化ホウ化チタン、およびこれらの複合体などの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属酸化ホウ化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ならびにこれらの組み合わせなどの無機バリア材料が挙げられる。酸化インジウムスズ(ITO)、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート(SiAlO)、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素およびこれらの組み合わせは、特に好ましい無機バリア材料である。ITOは、それぞれの元素成分を適切に選択することによって導電性になり得るセラミック材料の特殊部材の一例である。
また、本発明に係るガスバリア層は、有機ポリマーを含む有機層を含んでいてもよい。すなわち、前記ガスバリア層は、上記無機バリア材料を含む無機層と有機層との積層体であってもよい。
有機層は、例えば、有機モノマーまたは有機オリゴマーを支持体に塗布し、層を形成し、続いて例えば、電子ビーム装置、UV光源、放電装置、またはその他の好適な装置を使用して重合および必要に応じて架橋することにより形成することができる。また、例えば、フラッシュ蒸発および放射線架橋可能な有機モノマーまたは有機オリゴマーを蒸着した後、前記有機モノマーまたは前記有機オリゴマーからポリマーを形成することによっても、有機層は形成されうる。コーティング効率は、支持体を冷却することにより改善され得る。有機モノマーまたは有機オリゴマーの塗布方法としては、例えば、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スプレーコーティング(例えば、静電スプレーコーティング)などが挙げられる。また、無機層と有機層との積層体の例としては、例えば、国際公開第2012/003198号、国際公開第2011/013341号に記載の積層体などが挙げられる。
本発明において、ガスバリア性フィルムは、単一層のガスバリア層を有していてもよく、2層以上の同様なガスバリア層または異なるガスバリア層を積層して有していてもよい。また、本発明に係るガスバリア層が2層以上積層している場合には、同じ形成方法によって形成されるガスバリア層であってもよく、異なる形成方法によって形成されるガスバリア層であってもよい。
本発明に係るガスバリア層の膜厚は、10〜500nmであることが好ましく、20〜300nmであることがより好ましい。ガスバリア層の膜厚が10nm以上であると、膜厚が均一にできまた高いガスバリア性が得られることから好ましい。一方、ガスバリア層の膜厚が500nm以下であると、クラックを抑制できることから好ましい。
本発明に係るガスバリア層の形成方法は、特に限定されないが、物理気相成長法(PVD法)、スパッタ法、化学気相成長法(CVD法)、または原子層堆積法(ALD法)などの気相成膜法、または無機化合物を含む塗布液、好ましくはポリシラザンを含む塗布液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(以下、単に「塗布法」とも称する)が好ましく用いられる。
本発明において、ガスバリア層の塗布法による形成方法は、上述のバリア層の形成方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、本発明に係るバリア層を形成する際に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を必須原料として用いるが、ここでのガスバリア層を形成する際に、原料に対して特別な要求はない。すなわち、上述した好適な一般式(I)で表されるユニットからなる主骨格を有する化合物において、「少なくとも1つのR、R、およびRが水素原子を表す」という条件が要求されない。
以下では、ガスバリア層の気相成膜法による形成方法について説明する。
《気相成膜法》
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜などの薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法など)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス(通常はアルゴン)を、例えば酸化ケイ素(SiO)などのターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、支持体に付着させる方法である。このとき、チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、支持体上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、支持体表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式などが挙げられる。特に限定されるものではないが、成膜速度や処理面積の観点から、真空プラズマCVD法または大気圧プラズマCVD法などのプラズマCVD法を適用することが好ましい。
原子層堆積法(Atomic Layer Deposition、ALD法)は、複数の低エネルギーガスの支持体表面に対する化学吸着および化学反応を利用する方法である。スパッタ法やCVD法が高エネルギー粒子を利用するがゆえに生成した薄膜のピンホールや損傷を引き起こしてしまうのに対して、この方法では複数の低エネルギーガスを利用する方法であるためピンホールや損傷が生じることが少なく高密度の単原子膜が得られるという利点がある(特開2003−347042号公報,特表2004−535514号公報,国際公開第2004/105149号パンフレット)。
{半導体ナノ粒子層}
本発明において、半導体ナノ粒子層は、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化することによって形成されうる。
本発明に係る半導体ナノ粒子層は、エポキシ樹脂の硬化物および半導体ナノ粒子を含む。本明細書において、エポキシ基樹脂を有する樹脂の硬化物とは、エポキシ樹脂を硬化反応させて得られる硬化物を意味する。
本発明に係る半導体ナノ粒子層膜厚が、20〜800μmであることが好ましく、20〜500μmであることがより好ましい。半導体ナノ粒子層の膜厚が20μm以上であるのは、半導体ナノ粒子をマトリックス(例えば、バインダー)中に安定に維持できる観点から好ましい。また半導体ナノ粒子層の膜厚が800μm以下であるのは、発光効率の低下が抑制できる観点から好ましい。なお、本発明に係る半導体ナノ粒子層の膜厚は、市販のフィルム厚み計を用いて、光学フィルムの厚さを測定した後、基材等の厚みを差し引くことによって確認できる。
本発明に係る半導体ナノ粒子層において、半導体ナノ粒子の固形分濃度は、光学フィルムの用途に応じて適宜に調整することができ、例えば、半導体ナノ粒子層全体に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、半導体ナノ粒子層を少なくも1層を有していることを特徴とするが、当該半導体ナノ粒子層は、2層以上設けられている構成であってもよい。2層以上の半導体ナノ粒子層を有する場合には、各々の半導体ナノ粒子層には、それぞれ異なる発光波長を有する半導体ナノ粒子が含有されていてもよい。
{バリア層}
本発明において、バリア層は、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、改質することによって形成されうる。
本発明に係るバリア層は、半導体ナノ粒子層を保護する機能を有し、特に酸素から半導体ナノ粒子層の劣化を防止する機能を有する。
本発明に係るバリア層は、例えばJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。
本発明に係るバリア層の膜厚は、10nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましく、20〜800nmであることがさらに好ましい。本発明において、バリア層の膜厚が10nm以上であれば、十分なガスバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、バリア層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
本発明において、バリア層は、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物(例えば、ポリシラザン)が改質されなるSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック(ポリシラザンの改質体とも称する)のうち少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、その他、必要に応じて公知の無機粒子、触媒として添加するアミン化合物、またはその他の金属触媒等の添加剤を含んでいてもよい。これらの中、本発明に係るバリア層は、アミン化合物を含むことがより好ましい。これは、本発明に係るバリア層を形成する際に、改質を促進でき、さらに半導体ナノ粒子層に含まれるエポキシ樹脂の硬化をより促進できる観点から、アミン化合物であるアミン触媒を添加することが好ましいからである。
{その他の層}
また本発明において、本発明の効果を損なわない限り、支持体としてのガスバリア性フィルムの基材とガスバリア層との間、支持体と半導体ナノ粒子層との間、または半導体ナノ粒子層とバリア層との間には、さらに中間層を形成してもよい。中間層は、それぞれの層または支持体もしくは基材の間の接着性を向上させる機能を有することが好ましく、また半導体ナノ粒子層とバリア層との間に存在する際に、バリア層を形成する際に発生するアンモニアガスが半導体ナノ粒子層への拡散を阻害しないものであることが好ましい。市販の易接着層付きの支持体または基材も好ましく用いることができる。
また、本発明の光学フィルムは、上述したアンカーコート層、平滑層などを含有していてもよい。
さらに、本発明の製造方法によって作製する光学フィルムには、バリア層のほかに、乾式ガスバリア膜を設けてもよい。たとえば乾式ガスバリア膜の上に本発明に係るバリア層を設けることで、塗布による均質な膜により乾式ガスバリア膜の有する微細な欠陥の補修などによる相乗効果によりガスバリア性の更なる向上が期待できる。
乾式ガスバリア膜には、Si、Ta、Nb、Al、In、W、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ca、Na、B、Pb、Mg、P、Ba、Ga、Ge、Li、K、Zrから選ばれる1種以上の金属原子を含む酸化物または窒化物、窒酸化物、炭化物を主成分として含む膜を用いることができ、酸化ケイ素、窒酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミ、酸化ケイ素アルミ、窒酸化ケイ素アルミ、ZTO、ITO、ZnOが好ましく用いられる。またこれらの膜には一定割合の炭素が含有されていてもよく、膜厚方向に組成変化のある傾斜膜でもよい。
乾式ガスバリア膜の製造方法としては、物理蒸着法(真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法など)や化学蒸着法(PECVD、Cat−CVD、大気圧プラズマ法、ALD法など)を用いることができる。
≪用途≫
本発明の光学フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ用の光学フィルムとして用いることができる。より具体的に、例えばテレビ、パソコン、ダブレット、携帯電話など多分野で利用することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
また、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、下記操作において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
本発明の光学フィルムを作製するにあたり、半導体ナノ粒子層を形成する支持体として、以下のようにして作製したガスバリア性フィルムを用いた。
〔ガスバリア性フィルムの作製〕
まず、厚さ50μmのポリエステルフィルムの両面に、UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材(JSR株式会社製、OPSTAR Z7535)を塗布し、乾燥後、UV硬化を行うことで(乾燥条件:80℃3分間、乾燥後膜厚:4μm、硬化条件:高圧水銀ランプ、1.0J/cm)、クリアハードコート層を両面に設けたポリエステルフィルム基材を作製した。
次いで、上記で得られたポリエステルフィルム基材の一方のクリアハードコート層上に、以下のようにしてガスバリア層を形成し、ガスバリア性フィルムを形成した。
(ガスバリア層の形成)
以下のようにして調製された、ガスバリア層形成用塗布液としてのパーヒドロポリシラザン(PHPS)塗布液をスピンコート法により、上記基材のクリアハードコート層上に塗布した後、60℃にて1分間乾燥して得られた膜に、以下に示す処理条件にて真空紫外線(VUV光)照射処理を施すことで、膜厚300nmのガスバリア層を形成した。なお、膜厚は、TEM(Transmission Electron Microscope:透過電子顕微鏡)の断面写真より、明確な界面が見られることで確認できた。
なお、ガスバリア層の形成において、塗布および乾燥は、窒素雰囲気下(酸素濃度500体積ppmのグローボックス内)で行われた。以下も同様である。
(ガスバリア層形成用塗布液の調製)
ガスバリア層形成用塗布液として、無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のNN120−20)と、5質量%のアミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を含有し、パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のNAX120−20)と、を混合することで、パーヒドロポリシラザン(PHPS)濃度に対してアミン触媒の含有量が1.0質量%になるように調整した塗布液を調製した。
(真空紫外線(VUV光)照射処理条件)
真空紫外線(VUV光)の照射処理としては、下記の照射装置を用いて、ランプと試料との間隔(Gapともいう)を6mmとなるように、試料を設置し、照射した。また照射時間は可動ステージの可動速度を調整して変化した。
また、真空紫外線(VUV光)照射時の酸素濃度の調整は、照射庫内に導入する窒素ガス、および酸素ガスの流量をフローメーターにより測定し、庫内に導入するガスの窒素ガス/酸素ガス流量比により調整した。
真空紫外線照射装置:ステージ可動型キセノンエキシマ照射装置(MDエキシマ社製、MECL−M−1−200)
照度:140mW/cm(172nm)
ステージ温度:60℃
処理環境:ドライ窒素ガス雰囲気下
処理環境の酸素濃度:0.1%(1000体積ppm)
ステージ可動速度と搬送回数:20mm/秒で35回搬送
エキシマ光露光積算量:6500mJ/cm
〔半導体ナノ粒子の作製〕
(半導体ナノ粒子の合成)
(半導体ナノ粒子Aの合成)
ミリスチン酸インジウム0.1mmol、ステアリン酸0.1mmol、トリメチルシリルホスフィン0.1mmol、ドデカンチオール0.1mmol、ウンデシレン酸亜鉛0.1mmolを、オクタデセン8mlとともに三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で還流を行いながら300℃で1時間加熱し、InP/ZnS(半導体ナノ粒子A)を得た。
半導体ナノ粒子Aを透過型電子顕微鏡により直接観察することで、InPの表面をZnSが覆ったコア・シェル構造であることを確認した。なお、本明細書中、コア・シェル構造を有する半導体ナノ粒子の表記法として、例えばコアがInP、シェルがZnSの場合、InP/ZnSと表記する。また、当該観察により、上記で合成したInP/ZnS半導体ナノ粒子は、コア部の粒子径が2.1〜3.8nmであり、コア部の粒子径分布が6〜40%であった。ここで、当該観察には、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡JEM−2100を用いた。
また、半導体ナノ粒子Aを含むオクタデセン溶液を測定することで、InP/ZnS半導体ナノ粒子Aの光学特性を得た。すなわち、発光ピーク波長が、430〜720nmであり、発光半値幅が、35〜90nmであることを確認した。発光効率が、最大で70.9%に達した。ここで、InP/ZnS半導体ナノ粒子Aの発光特性の測定には、JOBIN YVON社製の蛍光分光光度計FluoroMax−4を使用し、InP/ZnS半導体ナノ粒子Aの吸収スペクトル測定には、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4100を用いた。
(半導体ナノ粒子Bの合成)
Se粉末0.7896gを、トリオクチルホスフィン(TOP)7.4gへ添加し、得られた混合物を150℃まで加熱して(窒素気流下)、TOP−Seストック溶液を調製した。別途、酸化カドミウム(CdO)0.450gおよびステアリン酸8gをアルゴン雰囲気下で、三口フラスコ中で150℃まで加熱した。CdOが溶解した後、このCdO溶液を室温まで冷却した。このCdO溶液に、トリオクチルホスフィンオキサイド(TOPO)8gおよび1−ヘプタデシル−オクタデシルアミン(HDA)12gを添加し、得られた混合物を再び150℃まで加熱し、ここで、上記で調製したTOP−Seストック溶液を素早く添加した。その後、チャンバーの温度を220℃まで加熱し、さらに一定の速度で120分間かけて250℃まで上昇させた(0.25℃/分)。その後、温度を100℃まで下げ、酢酸亜鉛二水和物を添加攪拌し溶解させた後、ヘキサメチルジシリルチアンのトリオクチルホスフィン溶液を滴下し、数時間攪拌を続けて反応を終了させ、CdSe/ZnS(半導体ナノ粒子B)を得た。
半導体ナノ粒子Aと同様に、半導体ナノ粒子Bを透過型電子顕微鏡により直接観察することで、CdSeコア部の表面をZnSシェルが覆ったコア・シェル構造であることを確認した。また、CdSe/ZnS半導体ナノ粒子Bは、コア部の粒子径が2.0〜4.0nmであり、コア部の粒子径分布が6〜40%であることを確認した。
また半導体ナノ粒子Aと同様に測定を行い、半導体ナノ粒子Bの光学特性を得た。すなわち、発光ピーク波長が、410〜700nmであり、発光半値幅が、35〜90nmであることを確認した。発光効率が、最大で73.9%に達した。
(半導体ナノ粒子Cの合成)
半導体ナノ粒子Aの0.4mL(約70mgが無機である)を真空下で乾燥させた。その後、0.6mLのオルトケイ酸トリエチル(TEOS)を注入して半導体ナノ粒子Aを溶解し、澄明な溶液を形成し、窒素気流下一晩のインキュベーションのために保持した。その後、当該溶液を、50mLフラスコ中10mLの逆マイクロエマルション(シクロヘキサン/CO−520、18ml/1.35g)中に、600rpmの攪拌下で注入した。得られた混合物を15分間攪拌し、その後0.1mLの4%NHOHを注入し、反応を開始させた。翌日に遠心分離して反応を停止させ、固相を収集した。得られた粒子を、20mLのシクロヘキサンで2度洗浄し、その後真空下で乾燥させ、シリカで覆われた半導体ナノ粒子Cを得た。
半導体ナノ粒子Aと同様に分析したところ、半導体ナノ粒子Cは、粒径70〜100nmのシリカ粒子の中に半導体ナノ粒子Aが内包していることを確認できた。また、発光ピーク波長が、390〜700nmであり、発光半値幅が、35〜90nmであることを確認した。発光効率が、最大で70.1%に達した。
<実施例1>
[本発明の光学フィルム1の作製]
上記で作製したガスバリア性フィルムの上に、1)半導体ナノ粒子層と、2)バリア層とを、この順に形成することによって本発明の光学フィルム1を作製した。
1)半導体ナノ粒子層の形成
上記で得られた半導体ナノ粒子Aを、赤色と緑色とに発光するように、粒径を調整し、赤色成分を0.75mg、緑色成分を4.12mgトルエン溶媒に分散させ、更にDIC(株)製のUV硬化型樹脂ユニディックV−5500に、光重合開始剤イルガキュア819(BASFジャパン製)を、固形分比(質量%)で樹脂/開始剤:95/5になるように調整したUV硬化樹脂溶液を加え、半導体ナノ粒子Aの質量含有率が1質量%になる半導体ナノ粒子層形成用塗布液を調製した。
上記半導体ナノ粒子層形成用塗布液を、上記で作製したガスバリア性フィルムのガスバリア層を有する面の上に乾燥膜厚100μmになるように、バーコード法により塗布し、60℃3分間乾燥後、硬化条件:0.5J/cmにて、高圧水銀ランプを用いて硬化を行い、半導体ナノ粒子層を形成した。
なお、半導体ナノ粒子層の形成において、塗布、乾燥、および硬化は、窒素雰囲気下(酸素濃度500体積ppmのグローボックス内)で行われた。以下も同様である。
2)バリア層の形成
1)で形成した半導体ナノ粒子層上に、前述したガスバリア性フィルムにおけるガスバリア層の形成と同様にして、バリア層形成用塗布液として、前述のパーヒドロポリシラザン(PHPS)塗布液を半導体ナノ粒子層上に塗布し、乾燥して得られたシラザン結合含有膜に、真空紫外線(VUV光)を照射することで、バリア層を形成した。
<実施例2>
[本発明の光学フィルム2の作製]
上記光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子Aを半導体ナノ粒子Bに変更したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム2を作製した。
<実施例3>
[本発明の光学フィルム3の作製]
上記光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子Aを半導体ナノ粒子Cに変更したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム3を作製した。
<実施例4>
[本発明の光学フィルム4の作製]
上記光学フィルム1の作製において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)塗布液を半導体ナノ粒子層上に塗布した後に、60℃にて30分間加熱することでバリア層を形成したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム4を作製した。
<実施例5>
[本発明の光学フィルム5の作製]
光学フィルム4の作製において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)塗布液の代わりに、以下のバリア層形成用塗布液を使用したこと以外は、光学フィルム4の作製と同様にして、本発明の光学フィルム5を作製した。
(バリア層形成用塗布液)
バリア層形成用塗布液として、パラジウム触媒含有のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のNL120−20)を用いた。
<実施例6>
[本発明の光学フィルム6の作製]
光学フィルム4の作製において、(PHPS)塗布液の代わりに、以下のバリア層形成用塗布液を使用したこと以外は、光学フィルム4の作製と同様にして、本発明の光学フィルム6を作製した。
(バリア層形成用塗布液)
バリア層形成用塗布液として、無触媒のパーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のNN120−20)を用いた。
<実施例7>
[本発明の光学フィルム7の作製]
光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子層上にパーヒドロポリシラザンを塗布した後、60℃にて1分間乾燥して得られた膜に、以下の条件にて紫外線(UV光)照射処理を施すことでバリア層を形成したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム7を作製した。
(紫外線(UV光)照射処理条件)
紫外線照射装置:(UVオゾンクリーナー UV−1、SAMCO社製)
ランプ:低圧水銀ランプ(185nm、254nm)
酸素供給量:0.5L/分
ステージ温度:60℃
照射時間:30分
<実施例8>
[本発明の光学フィルム8の作製]
光学フィルム1の作製において、真空紫外線(VUV光)照射処理後に得られるバリア層の膜厚が600nmになるように、パーヒドロポリシラザン塗布液の塗布条件(スピンコート法における回転数)を調整したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム8を作製した。
<実施例9>
[本発明の光学フィルム9の作製]
光学フィルム1の作製において、真空紫外線(VUV光)照射処理後に得られるバリア層の膜厚が50nmになるように、パーヒドロポリシラザン塗布液の濃度をジブチルエーテルで希釈することで調整したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム9を作製した。
<実施例10>
[本発明の光学フィルム10の作製]
光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子層の乾燥膜厚が50μmになるように塗布したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム10を作製した。
<実施例11>
[本発明の光学フィルム11の作製]
光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子層の乾燥膜厚が300μmになるように塗布したこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、本発明の光学フィルム11を作製した。
<比較例1>
[比較の光学フィルム12の作製]
光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子層上にバリア層を形成しなかったこと以外は、光学フィルム1の作製と同様にして、比較の光学フィルム12を作製した。
<比較例2>
[比較の光学フィルム13の作製]
光学フィルム1の作製において、半導体ナノ粒子層形成用塗布液をガスバリア性フィルムのガスバリア層を有する面の上に塗布し、乾燥した後、UV硬化を行う前に、支持体として用いたものと同じガスバリア性フィルムを、バリア層を有する面側が半導体ナノ粒子層に接するようにラミネートした。その後、同様の条件にてUV硬化を行うことで、2枚のガスバリア性フィルム間に半導体ナノ粒子層が挟まれた構成を有する比較の光学フィルム13を作製した。
<評価>
上記のようにして作製した光学フィルム1〜13について、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(初期発光効率の評価)
光学フィルム1〜13を405nmの青紫光で励起したときに、色温度が7000Kの白色発光のそれぞれの初期発光効率を測定した。測定には、大塚電子株式会社製の発光測定システムMCPD−7000を用いた。
(耐久性の評価)
上記作製した光学フィルム1〜13のそれぞれに対し、
1)大気環境下で1000時間
2)85℃、85%RHの環境下で200時間
の加速劣化処理を施した後、上記初期発光効率と同様にして1)および2)の加速劣化処理後のそれぞれの発光効率を測定し、各光学フィルムにおける加速劣化処理前の初期発光効率に対する加速劣化処理後の発光効率の比(加速劣化処理後の発光効率/初期発光効率)を求め、下記の基準で評価した。
○:比が0.95以上
○△:比が0.90以上〜0.95未満
△:比が0.80以上〜0.90未満
△×:比が0.50以上〜0.80未満
×:比が0.50未満
(屈曲性の評価)
上記作製した各光学フィルム1〜13のそれぞれに対し、直径50mmの曲率になるように180度の角度で1000回の屈曲を繰り返すことで屈曲処理を施した。
屈曲処理後、上記初期発光効率と同様にして屈曲処理後のそれぞれの発光効率を測定し、各光学フィルムにおける屈曲処理前の初期発光効率に対する屈曲処理後の発光効率の比(屈曲処理後の発光効率/初期発光効率)を求め、下記の基準で評価した。
○:比が0.95以上
○△:比が0.90以上〜0.95未満
△:比が0.80以上〜0.90未満
△×:比が0.50以上〜0.80未満
×:比が0.50未満
表1に示すように、本発明の光学フィルムは、比較例の光学フィルムに比べ、いずれも屈曲耐性および密着性に優れ、加速劣化処理をされても酸素等による半導体ナノ粒子の劣化はなく、発光効率を維持できることが分かった。

Claims (10)

  1. 支持体上に、エポキシ樹脂および半導体ナノ粒子を含む第1の塗布液を塗布し、乾燥し、硬化し、半導体ナノ粒子層を形成する第1工程と、
    前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を含む第2の塗布液を塗布し、乾燥し、少なくとも表面を改質して、バリア層を形成する第2工程と、
    を有する、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記第2の塗布液が、アミン触媒をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記支持体が、ガスバリア性フィルムである、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記改質が、加熱処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、および水蒸気処理の少なくとも1つの処理によって行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記第1工程および第2工程は、酸素濃度が1〜1000体積ppmの条件下で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 支持体上に、エポキシ樹脂の硬化物および半導体ナノ粒子を含む半導体ナノ粒子層と、
    前記半導体ナノ粒子層上に、ヒドロポリシラザンユニットを有する化合物を改質して形成されるバリア層と、
    を有する光学フィルム。
  7. 前記バリア層が、アミン化合物をさらに含む、請求項6に記載の光学フィルム。
  8. 前記支持体が、ガスバリア性フィルムである、請求項6または7に記載の光学フィルム。
  9. 前記バリア層が、改質領域と未改質領域と、を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  10. 前記半導体ナノ粒子層の膜厚が、20〜800μmであり、
    前記バリア層の膜厚が、10nm〜1μmである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム。
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