JP2015103766A - 伸縮性配線基板の製造方法 - Google Patents

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藤本 卓也
Takuya Fujimoto
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Abstract

【課題】 伸縮性貫通配線及び伸縮性回路配線を備え、伸縮の反復に対して信頼性の高い伸縮性配線基板を簡単且つ安価に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 基部と前記基部の一面に設けられた凸部とを有する下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料とからなる伸縮性貫通配線をする工程と(S100〜S106)、前記下型における前記基部の前記一面側に前記伸縮性貫通配線の側面を取り囲むように第2の伸縮性材料を充填して伸縮性基板を形成する工程と(S108〜S110)、前記伸縮性基板から前記下型を除去する工程と(S112)、前記凸部に対応するように前記伸縮性基板に形成された凹部に前記配線材料を充填することにより前記伸縮性回路配線を形成する工程と(S114)、を含むことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、伸縮性を有する伸縮性配線基板の製造方法に関する。
伸縮性を有する伸縮性配線基板として、例えば基板材料及び配線材料の両方にエラストマーが用いられた柔軟配線体が知られている(例えば、特許文献1参照)。この柔軟配線体を構成するエラストマーには硫黄、硫黄化合物及び有機過酸化物のいずれもが含まれていないので、配線に含まれる金属フィラーが硫化や酸化により劣化する可能性が低く、結果的に耐久性に優れた柔軟配線体を実現できる。
特開2012−33674号公報
上述した特許文献1に開示された従来技術の柔軟配線体では、配線体の基材と共にこの基材上に設けられた回路配線が伸縮性を有する構造となっているが、基材の表面及び裏面間を貫通する貫通配線については考慮されていない。この配線体に伸縮性及び導電性を持たせた貫通配線を形成する場合、基材に貫通孔を設け、伸縮性を有する導電性材料を貫通孔に充填することが考えられるが、貫通孔の形状や大きさによっては導電性材料が十分に充填されないおそれがある。その場合には貫通配線の導電性を確保できないだけでなく、貫通配線とその周囲の基材との密着性が不十分になり、配線体の伸縮が繰り返されることによる貫通配線の剥離や欠損が生じる可能性もある。
一方、貫通配線の形成とは別に基材の主面上すなわち表面上又は裏面上に回路配線を形成する必要がある。伸縮性を有する基材の主面上に伸縮性を有する回路配線を形成する方法として一般的には、伸縮性を有する導電性材料を塗布する方法や印刷する方法がある。いずれの方法であっても、回路配線を形成する工程を、貫通配線を形成する工程とは別に行なうことは工程を増大させる上に、貫通配線の場合と同様に配線体の伸縮の反復に起因する回路配線の基材からの剥離が発生するおそれがあり、配線体としての信頼性を低下させる可能性がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、基板の表面及び裏面間を貫通する伸縮性貫通配線及び基板の主面に形成された伸縮性回路配線を備え、伸縮の反復に対して信頼性の高い伸縮性配線基板を簡単且つ安価に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る伸縮性配線基板の製造方法は、伸縮性基板の表面及び裏面間を貫通する伸縮性貫通配線及び伸縮性基板の主面に形成された伸縮性回路配線を備える伸縮性配線基板の製造方法において、基部と前記基部の一面に設けられた凸部とを有する下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料とからなる伸縮性貫通配線を形成する工程と、前記下型における前記基部の前記一面側に前記伸縮性貫通配線の側面を取り囲むように第2の伸縮性材料を充填して伸縮性基板を形成する工程と、前記伸縮性基板から前記下型を除去する工程と、前記凸部に対応するように前記伸縮性基板に形成された凹部に前記配線材料を充填することにより前記伸縮性回路配線を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る伸縮性配線基板の製造方法によれば、伸縮性基板の表面及び裏面間を貫通する伸縮性貫通配線及び伸縮性基板の主面に形成された伸縮性回路配線を備える伸縮性配線基板の製造方法において、基部と前記基部の一面に設けられた凸部とを有する下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料とからなる伸縮性貫通配線を形成した後に、前記下型における前記基部の前記一面側に前記伸縮性貫通配線の側面を取り囲むように第2の伸縮性材料を充填して伸縮性基板を形成するようにしているので、伸縮性基板に貫通孔を設ける必要がなく伸縮性貫通配線を確実に形成できると共に伸縮性貫通配線とその周囲の伸縮性基板との密着性を十分に確保でき、さらに、前記伸縮性基板から前記下型を除去した後に、前記凸部に対応するように前記伸縮性基板に形成された凹部に前記配線材料を充填することにより前記伸縮性回路配線を形成するので、伸縮性回路配線と伸縮性基板との接触面積を増大させることにより両者の密着性を十分に確保でき、伸縮の反復に対して信頼性の高い伸縮性配線基板を簡単且つ安価に製造することができる。
本発明の一実施形態においては、前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に粘性のある液状の前記配線材料を塗布した後、上型を前記下型と平行に配置して前記塗布された配線材料に接触させ、前記下型及び前記上型間の間隔を大きくすることで前記配線材料を引き延ばして半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性貫通配線を形成し、前記伸縮性基板を形成する工程では、前記下型及び前記上型間の間隙に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する。
本発明の他の実施形態においては、前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に前記配線材料をペレット状に半硬化又は硬化させたものを配置することにより前記伸縮性貫通配線を形成し、前記伸縮性基板を形成する工程では、上型を前記配線材料の上端面と接するように前記下型と平行に配置した後、前記下型及び前記上型間の間隙に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する。
本発明の更に他の実施形態においては、前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に前記配線材料をペレット状に半硬化又は硬化させたものを配置することにより前記伸縮性貫通配線を形成し、前記伸縮性基板を形成する工程では、前記伸縮性貫通配線が形成された前記下型を凹状の容器内に配置し、前記伸縮性貫通配線の上端面が露出するように前記容器内に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する。
本発明の更に他の実施形態においては、前記伸縮性貫通配線は、円柱形状、多角柱形状、台形断面形状、砂時計型断面形状、樽型断面形状、クランク型断面形状、及び斜円柱形状のいずれか1つの形状に形成されている。
本発明によれば、伸縮性基板の表面及び裏面間を貫通する伸縮性貫通配線及び伸縮性基板の主面に形成された伸縮性回路配線を備える伸縮性配線基板を製造する際に、簡単且つ安価に、伸縮の反復に対して信頼性の高い伸縮性配線基板を製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る製造方法によって製造された伸縮性配線基板の断面図である。 本発明の第1の実施形態における伸縮性配線基板の製造方法を示す工程図である。 図2の各工程を示す概略断面図である。 図2の各工程を示す概略断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る製造方法によって製造された伸縮性配線基板のバリエーションを示す断面図である。 本発明の第3の実施形態における伸縮性配線基板の製造方法を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態における伸縮性配線基板の製造方法の各工程を示す概略断面図である。
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る伸縮性配線基板の製造方法を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法によって製造された伸縮性配線基板1の断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態における伸縮性配線基板1の製造方法を示す工程図である。図3及び図4は、図2の各工程を示す概略断面図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る製造方法によって製造された伸縮性配線基板1は、伸縮性基板10と、伸縮性基板10の表面10aに埋め込まれるように形成された伸縮性回路配線20aと、伸縮性基板10の裏面10bに埋め込まれるように形成された伸縮性回路配線20bと、伸縮性基板10を貫通し、伸縮性回路配線20aと伸縮性回路配線20b間を導電させる伸縮性貫通配線30とからなる。
伸縮性回路配線20a、20bは、図1において手前方向から奥行方向へと延びるような直方体形状に形成されている。また、伸縮性貫通配線30は、本実施形態においては円柱形状に形成されており、伸縮性回路配線20a、20bの手前側と奥行側の中央付近に形成されている。
伸縮性回路配線20a、20b及び伸縮性貫通配線30は、第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料4により形成されている。具体的には、配線材料4は、第1の伸縮性材料に導電性材料を混練したものが用いられる。
配線材料4を構成する第1の伸縮性材料としては、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂等からなるエラストマー材料が挙げられる。このエラストマー材料は、必要に応じて加硫されていても良い。配線材料4を構成する導電性材料としては、銀フレーク等の金属材料、カーボンナノチューブ等のカーボン材料、及びイオン液体等が挙げられる。この配線材料4は、粘性のある導電性ペーストであっても良い。
導電性ペーストは、例えばニッケル、金、銀、銅、アルミニウム、鉄等から選択される少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛等から選択される少なくとも1種類の低融点の金属粒子とを含み、シリコーン、フッ素、エポキシ、アクリル、ウレタン等を主成分とするバインダ成分を混合した粘性を有するペースト部材とからなる。
このように構成された導電性ペーストは、含有された低融点の金属が所定の温度以下の温度で溶融し合金を形成することが可能で、特に銅や銀等とは伸縮性を維持したまま金属間化合物を形成することができる特性を備えて構成される。なお、導電性ペーストは、例えば粒子径がナノレベルの金、銀、銅、ニッケル等のフィラーが、上述したようなバインダ成分に混合されたナノペーストで構成することも可能である。
伸縮性基板10は、第2の伸縮性材料5により形成されている。第2の伸縮性材料5としては、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂等からなるエラストマー材料が挙げられる。このエラストマー材料は、必要に応じて加硫されていても良い。配線材料4を構成する第1の伸縮性材料及び伸縮性基板10を構成する第2の伸縮性材料5として同一の伸縮性材料を用いた場合は、互いの密着性が高まるので、伸縮性配線基板1を屈曲させたりした場合に、伸縮性貫通配線30を起点とした剥離や亀裂等の不具合を防ぐことができる。
次に、本実施形態に係る伸縮性配線基板1の製造方法について図2〜図4を参照しながら説明する。図3(a)に示すように、まず、基部2aと基部2aの一面2bに設けられた凸部2cとを有する下型2を用意し、この下型2の所定位置、すなわち伸縮性貫通配線30を形成したい位置に、例えば図示しない配線材料塗布装置(ディスペンサ)の塗布ノズル29により液状の配線材料4を塗布する(ステップS100)。図3(a)においては下型2の凸部2cの上面2dに塗布しているが、凸部2cが設けられていない基部2aの一面2bに塗布しても良いし、凸部2cの上面2dと基部2aの一面2bにまたがるように塗布しても良い。ここで、塗布される配線材料4は、第1の伸縮性材料及び導電性材料の混合比や、添加物の有無等により、所望の粘性を有する粘度に調整されている。また、下型2は、ガラス、シリコン、金属等からなり、配線材料4が付着し易い特性を備えている。なお、配線材料4の塗布方法としては、スクリーン印刷やインクジェット等の方法を利用することができるが、下型2に一定量の配線材料4を塗布することができる方法であれば特に制限はない。
次に、図3(b)に示すように、下型2の配線材料4が塗布された一面2bに対して基部3aと基部3aの一面3bに設けられた凸部3cとを有する上型3を平行配置して図中矢印で示すように下型2に近付け、図3(c)に示すように、近付けた上型3を配線材料4に接触させる(ステップS102)。このとき、上型3は下型2に接触しないように移動させる。図3(c)においては上型3の凸部3cの上面3dを配線材料4に接触させているが、凸部3cが設けられていない基部3aの一面3bに接触させても良い。なお、上型3は、下型2と同様に、ガラス、シリコン、金属等からなり、配線材料4が付着し易い特性を備えている。下型2及び上型3にそれぞれアライメントのためのマーク等が設けてあっても良い。
その後、図3(d)に示すように、例えば上型3を離間方向に移動させ、図中矢印で示すように相対的に下型2と上型3を離間させて配線材料4を引き延ばす(ステップS104)。こうして配線材料4を円柱状に成形したら、これを乾燥させたり所定の温度の雰囲気炉内で処理したりして、配線材料4の特性に応じた方法で半硬化又は硬化させて伸縮性貫通配線30を形成する(ステップS106)。
伸縮性貫通配線30を形成したら、図3(e)に示すように、下型2及び上型3間の隙間を塞ぐように図示しない圧力充填装置のノズル8、9を取り付け、下型2及び上型3間に第2の伸縮性材料5を隙間なく流し込む(ステップS108)。第2の伸縮性材料5の流し込みに際しては、下型2及び上型3間の中央部辺りにも第2の伸縮性材料5が隙間なく均一に到達するように、例えば減圧と加圧の圧力差を利用して流し込みが行われる。
こうして第2の伸縮性材料5を流し込んだ後、図4(a)に示すように、下型2及び上型3を残した状態のままこれを乾燥させたり所定の温度の雰囲気炉内で処理したりして、第2の伸縮性材料5の特性に応じた方法で半硬化又は硬化させて伸縮性基板10を形成する(ステップS110)。
そして、伸縮性基板10から下型2及び上型3を剥離等して除去し(ステップS112)、半硬化状態の場合は硬化させる。これにより、図4(b)に示すような凹部10c、10dが形成された伸縮性基板10と、伸縮性基板10を貫通すると共に凹部10c内及び凹部10d内において各々端面30a、30bが露出した伸縮性貫通配線30とからなる伸縮性貫通配線基板を形成する。
最後に、図4(c)に示すように、伸縮性基板10の凹部10c、10d内に配線材料4を充填することにより、伸縮性回路配線20a、20bを形成する(ステップS114)。凹部10c内に形成された伸縮性回路配線20aと凹部10d内に形成された伸縮性回路配線20bは伸縮性貫通配線30を介して導電する。これにより、図1に示すような伸縮性基板10と、伸縮性基板10の表面10aに埋め込まれるように形成された伸縮性回路配線20aと、伸縮性基板10の裏面10bに埋め込まれるように形成された伸縮性回路配線20bと、伸縮性基板10を貫通し、伸縮性回路配線20aと伸縮性回路配線20b間を導電させる伸縮性貫通配線30とからなる伸縮性配線基板1を製造することができる。
なお、下型2及び上型3はそれぞれ別体の板材であり、基部2a、3aの一面2b、3b及び/又は凸部2c、3cの上面2d、3dに凹凸加工や親水/疎水処理等の表面処理を所定のパターンで予め施しておくことにより、伸縮性貫通配線30を形成する箇所の画定をしたり、濡れ拡がり性をより精密に制御したりすることも可能である。さらに、下型2及び上型3はヒータが備えられているものであっても良い。また、上述したステップS106の工程においては、好ましくは配線材料4を半硬化させて伸縮性貫通配線30を形成する。このようにすれば、後のステップS110の工程において第2の伸縮性材料5を半硬化又は硬化させる際に、配線材料4内の第1の伸縮性材料と第2の伸縮性材料5とが伸縮性貫通配線30の形状を保ちながら溶けて混ざり合うので、より密着性を高めることができる。
更に、伸縮性貫通配線30の配線径は、上記ステップS100で塗布する配線材料4の塗布量や、下型2と上型3の離間距離或いは上型3の配線材料4への押し当て荷重等を調整することにより任意の大きさに制御することができる。
以上のように、本実施形態によれば、伸縮性基板10の表面10a及び裏面10b間を貫通する伸縮性貫通配線30及び伸縮性基板10の裏面10bに形成された伸縮性回路配線20bを備える伸縮性配線基板1の製造方法において、基部2aと前記基部2aの一面2bに設けられた凸部2cとを有する下型2における前記凸部2cの上面2dに第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料4とからなる伸縮性貫通配線30を形成した後に、前記下型2における前記基部2aの前記一面2b側に前記伸縮性貫通配線30の側面を取り囲むように第2の伸縮性材料5を充填して伸縮性基板10を形成するようにしているので、伸縮性基板10に貫通孔を設ける必要がなく伸縮性貫通配線30を確実に形成できると共に伸縮性貫通配線30とその周囲の伸縮性基板10との密着性を十分に確保でき、さらに、前記伸縮性基板10から前記下型2を除去した後に、前記凸部2cに対応するように前記伸縮性基板10に形成された凹部10dに前記配線材料4を充填することにより前記伸縮性回路配線20bを形成するので、伸縮性回路配線20bと伸縮性基板10との接触面積を増大させることにより両者の密着性を十分に確保でき、伸縮の反復に対して信頼性の高い伸縮性配線基板1を簡単且つ安価に製造することができる。
また、下型2における凸部2cの上面2dに伸縮性貫通配線30を形成する際に、下型2における基部2aの一面2b又は凸部2cの上面2dと基部2aの一面2bにまたがるように伸縮性貫通配線30を形成するようにしても良い。
また、配線材料4として導電性ペーストを用いた場合、下型2及び上型3を移動させることで伸縮性貫通配線30を形成するので、導電性ペースト内に含まれた気泡を効果的に除去することができる。これにより、従来の貫通孔に相当する伸縮性基板10の伸縮性貫通配線30の形成箇所におけるボイドの発生を効果的に抑止することができる。
また、伸縮性貫通配線30の形成位置を下型2への配線材料4の塗布位置等により設定可能であるため、モールド装置やレーザ装置等の付加装置が不要で、安価に製造することができる。更に、下型2及び上型3間の間隙に第2の伸縮性材料5を流し込んで伸縮性基板10を形成するため、完成される伸縮性配線基板1の厚さを下型2と上型3の離間距離を調整するだけで規定することができる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る製造方法によって製造された伸縮性配線基板のバリエーションを示す断面図である。第1の実施形態においては、伸縮性配線基板1の伸縮性貫通配線30は矩形断面の円柱形状に形成されているが、配線材料4を半硬化或いは硬化している間に、配線材料4自身の粘性によって円柱形状以外の形状をとることがある。
さらに、伸縮性貫通配線の形状や寸法は、配線材料4における導電性材料の組成、塗布量、下型2及び上型3の温度、上型3の押し当て荷重、下型2及び上型3の表面処理、下型2及び上型3間の距離等の種々の要因により変化する。従って、第2の実施形態に係る各伸縮性配線基板1では、これらの要因を制御することで、図5に示すような多様な配線形状を形成することができる。
まず、伸縮性貫通配線を形成する際に、例えば配線材料4として流動性の高い粘性を備える導電性ペーストを用いるか、或いは下型2及び上型3における配線材料4の塗布位置の表面処理の寸法を変えるかする。そして、配線材料4を半硬化又は硬化させた後に伸縮性基板10及び伸縮性回路配線20a、20bを形成すると、図5(a)に示すように、台形断面形状の伸縮性貫通配線30Aが形成された伸縮性配線基板を形成することができる。ここで、台形断面形状とは、いわゆるテーパ断面形状のことで、伸縮性貫通配線30Aの周面がテーパ状に広がる又は狭まることで、台形断面のように見える形状のことをいう。
一方、例えば下型2の配線材料4に上型3を接触させた後に、下型2と上型3の離間距離を大きくとるようにして配線材料4を半硬化又は硬化させた後に伸縮性基板10及び伸縮性回路配線20a、20bを形成すると、図5(b)に示すように、砂時計型断面形状の伸縮性貫通配線30Bが形成された伸縮性配線基板を形成することができる。ここで、砂時計型断面形状とは、いわゆるくびれ断面形状のことで、伸縮性貫通配線30Bの周面が中央部に向かって凹んだ曲面となることで、砂時計型断面のように見える形状のことをいう。
また、例えば下型2の配線材料4に上型3を接触させた後に、下型2と上型3を一旦離間させてから再度近付けるようにして配線材料4を半硬化又は硬化させた後に伸縮性基板10及び伸縮性回路配線20a、20bを形成すると、図5(c)に示すように、樽型断面形状の伸縮性貫通配線30Cが形成された伸縮性配線基板を形成することができる。ここで、樽型断面形状とは、いわゆる中央部膨らみ型断面形状のことで、上記砂時計型断面形状とは逆に、伸縮性貫通配線30Cの周面が中央部ほど外側に向かって突出した曲面となることで、樽型断面のように見える形状のことをいう。
その他、例えば下型2の配線材料4に上型3を接触させた後に、下型2と上型3を離間させてから相対的に面方向に平行移動させて配線材料4を半硬化又は硬化させた後に伸縮性基板10及び伸縮性回路配線20a、20bを形成すると、配線材料4の特性や平行移動の移動量或いは移動速度等を調整することで、図5(d)に示すようなクランク型断面形状の伸縮性貫通配線30Dや、図5(e)に示すような斜円柱形状の伸縮性貫通配線30Eが形成された伸縮性配線基板を形成することができる。
このように、第2の実施形態に係る伸縮性配線基板は、上記の伸縮性貫通配線30A〜30Eのように種々の形状で形成された伸縮性配線を簡単な製造工程で備えることができる。これにより、応力緩和作用の向上と共に、伸縮性貫通配線30の導電率の設定自由度や配線パターンのパターン形成自由度を高めることが可能となる。
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態における伸縮性配線基板の製造方法を示す斜視図である。第1及び第2の実施形態においては、液状の配線材料4を用いて伸縮性貫通配線30を形成したが、例えば配線材料4の粘度や硬度を調整することで、予めペレット状に成形したものを伸縮性貫通配線30として用いるようにしても良い。
具体的には、例えば図6(a)に示すように、所望の形状の穴部41が形成されたペレット型40に配線材料4を充填した後、配線材料4を穴部41から押し出す。これにより、図6(b)に示すようなペレット状に形成された円柱状の伸縮性貫通配線30F、五角柱状の伸縮性貫通配線30G、三角柱状の伸縮性貫通配線30H等の所望の形状の伸縮性貫通配線を形成することができる。なお、ペレット型40の穴部41の形状を変更すれば、種々の形状に対応することも可能である。
そして、本実施形態においては、次のように伸縮性配線基板を形成することができる。すなわち、図6(c)に示すように、例えばペレット状に形成された円柱状の伸縮性貫通配線30F等を、下型2の所定位置に一つずつ配置したり、自己組織化法を用いて所定位置に配置したり、或いはペレット型40から直接押し出して配置したりすることにより形成する。図6(c)においては下型2の凸部2cの上面2dに配置しているが、凸部2cが設けられていない基部2aの一面2bに配置しても良い
このとき、下型2における基部2aの一面2b及び/又は凸部2cの上面2dには、必要に応じて伸縮性貫通配線30F等の配置位置に密着層が形成されていても良い。
そして、図示は省略するが、形成された伸縮性貫通配線30F等をスペーサとして利用するか、又は別途スペーサを用いて上型3を伸縮性貫通配線30F等上に載置する。その後、上述したように、下型2及び上型3間に第2の伸縮性材料5を流し込んで半硬化又は硬化させて伸縮性基板10を形成した後に、伸縮性回路配線を形成すれば、第3の実施形態に係る伸縮性配線基板を形成することができる。
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態における伸縮性配線基板の製造方法の各工程を示す概略断面図である。第3の実施形態においては、ペレット状の伸縮性貫通配線30F等を下型2及び上型3間のスペーサとして用い、第2の伸縮性材料5を流し込んで伸縮性基板10を形成したが、第4の実施形態においては、下型2のみを用いて伸縮性基板10を形成するようにしている。
具体的には、図7(a)に示すように、下型2の所定位置に図中矢印で示すようにペレット状の伸縮性貫通配線30F等を配置することにより形成し、図7(b)に示すように、形成された伸縮性貫通配線30F等と共に下型2を隙間なく受け入れ可能な凹状の収容部51が形成された容器50内にこれらを配置する。図7(a)においては伸縮性貫通配線30F等を下型2の凸部2cの上面2dに形成しているが、凸部2cが設けられていない基部2aの一面2bに形成しても良い
そして、図7(c)に示すように、図示しない充填装置の充填ノズル59から容器50の収容部51内に第2の伸縮性材料5を、伸縮性貫通配線30F等の端面30aが第2の伸縮性材料5の表面と同一レベルで露出するように流し込む。その後、流し込んだ第2の伸縮性材料5を半硬化又は硬化させて伸縮性基板10を形成し、下型2と共に伸縮性基板10を容器50から取り出して下型2を除去した後に、伸縮性回路配線を形成すれば、上述したような上型3を用いずに第4の実施形態に係る伸縮性配線基板を形成することができる。
1・・・伸縮性配線基板
2・・・下型
2a・・・基部
2b・・・一面
2c・・・凸部
2d・・・上面
3・・・上型
3a・・・基部
3b・・・一面
3c・・・凸部
3d・・・上面
4・・・配線材料
5・・・伸縮性材料
8・・・ノズル
10・・・伸縮性基板
10a・・・表面
10b・・・裏面
10c、10d・・・凹部
20a、20b・・・伸縮性回路配線
29・・・塗布ノズル
30、30A〜30H・・・伸縮性貫通配線
30a、30b・・・端面
40・・・ペレット型
41・・・穴部
50・・・容器
51・・・収容部
59・・・充填ノズル

Claims (5)

  1. 伸縮性基板の表面及び裏面間を貫通する伸縮性貫通配線及び伸縮性基板の主面に形成された伸縮性回路配線を備える伸縮性配線基板の製造方法において、
    基部と前記基部の一面に設けられた凸部とを有する下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に第1の伸縮性材料及び導電性材料を含む配線材料とからなる伸縮性貫通配線を形成する工程と、
    前記下型における前記基部の前記一面側に前記伸縮性貫通配線の側面を取り囲むように第2の伸縮性材料を充填して伸縮性基板を形成する工程と、
    前記伸縮性基板から前記下型を除去する工程と、
    前記凸部に対応するように前記伸縮性基板に形成された凹部に前記配線材料を充填することにより前記伸縮性回路配線を形成する工程と、を含む
    ことを特徴とする伸縮性配線基板の製造方法。
  2. 前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、
    前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に粘性のある液状の前記配線材料を塗布した後、上型を前記下型と平行に配置して前記塗布された配線材料に接触させ、前記下型及び前記上型間の間隔を大きくすることで前記配線材料を引き延ばして半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性貫通配線を形成し、
    前記伸縮性基板を形成する工程では、
    前記下型及び前記上型間の間隙に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の伸縮性配線基板の製造方法。
  3. 前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、
    前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に前記配線材料をペレット状に半硬化又は硬化させたものを配置することにより前記伸縮性貫通配線を形成し、
    前記伸縮性基板を形成する工程では、
    上型を前記配線材料の上端面と接するように前記下型と平行に配置した後、前記下型及び前記上型間の間隙に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の伸縮性配線基板の製造方法。
  4. 前記伸縮性貫通配線を形成する工程では、
    前記下型における前記基部の前記一面及び/又は前記凸部の上面に前記配線材料をペレット状に半硬化又は硬化させたものを配置することにより前記伸縮性貫通配線を形成し、
    前記伸縮性基板を形成する工程では、
    前記伸縮性貫通配線が形成された前記下型を凹状の容器内に配置し、前記伸縮性貫通配線の上端面が露出するように前記容器内に前記第2の伸縮性材料を流し込んで半硬化又は硬化させることにより前記伸縮性基板を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の伸縮性配線基板の製造方法。
  5. 前記伸縮性貫通配線は、円柱形状、多角柱形状、台形断面形状、砂時計型断面形状、樽型断面形状、クランク型断面形状、及び斜円柱形状のいずれか1つの形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の伸縮性配線基板の製造方法。
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