JP2015103695A - 相変化メモリおよび半導体記録再生装置 - Google Patents

相変化メモリおよび半導体記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】相変化メモリの性能向上を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明は、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)を含有し、かつ、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを含有する記録再生膜を備える。ここで、記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、この(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、相変化メモリおよび半導体記録再生装置に関する。
相変化メモリは、次世代不揮発性メモリ(PCRAM:(Phase-Change Random Access Memory))として期待されている。なぜなら、相変化メモリは、素子サイズの縮小化および書き変え耐性に優れているからである。しかしながら、相変化メモリにおいては、リセット電流が高いという問題がある。
この問題を解決するため、GeTe(111)/SbTe(001)超格子膜で構成される超格子相変化メモリ、通称「interfacial Phase-Change Memory (iPCM)」の提案がなされている。このような超格子相変化メモリでは、第一原理計算と検証実験により、従来のGST225(GST225:GeSbTeの略称)と呼ばれる「非晶質」と「結晶質」との間の相変化を動作メカニズムとする相変化メモリと比べて、スイッチングパワーを約1/10に低減できることが示されている。
非特許文献1、非特許文献2および特開2010−263131号公報(特許文献1)によると、GeTe(111)とSbTe(001)とからなる超格子を使用する超格子相変化メモリは、印加する電圧や電流によって、Ge原子の位置が「6配位中心位置」と「4配位中心位置」の間で可逆的に変化することを動作原理としている。この変化を、本明細書では、「Geスイッチ」と呼ぶことがある。また、GeTe(111)とSbTe(001)からなる超格子を使用する超格子相変化メモリを、簡略化して、GeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリと呼ぶことがある。
これらの文献では、Ge原子が6配位中心位置にある場合、低抵抗を示す一方、Ge原子が4配位中心位置にある場合、高抵抗を示すので、低抵抗状態をセット状態とし、高抵抗状態をリセット状態として機能させることができることが開示されている。すなわち、GeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリによれば、上述した低抵抗状態と高抵抗状態のそれぞれに、デジタル値である「0」と「1」を対応付けることにより、情報を記憶することができる。
上述した文献によると、SbTe(001)層は、SbTe[001]方向に、ファンデルワールスギャップ層(Van der Waals Gap)のあるTe層−Te層の弱結合(Weak Bond)部位を除き、Te層とSb層が交互に積層して構成される。一方、GeTe(111)層は、GeTe[111]方向に、空孔層のあるTe層−Te層の積層部位を除き、Te層とGe層が交互に積層して構成される。
さらに、上述した文献によると、「Geスイッチ」の際に、GeTe[111]方向の積層状態が「−Ge層−Te層−空孔層−Te層−Ge層−」であるGe原子の6配位中心位置の状態と、「−Te層−Ge層−空孔層−Ge層−Te層−」であるGe原子の4配位中心位置の状態との間で格子の組み換えが起こり、このことにより、GeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリでは、低電力動作が可能になることが開示されている。このとき、Ge原子の6配位中心位置の状態が低抵抗状態に対応し、Ge原子の4配位中心位置の状態が高抵抗状態に対応している。
特開2010−263131号公報
Simpson et al.,Nature Nanotechnology 6, 501 (2011) Tominaga et al.,Proceeding of the IEEE International Electron Device Meeting, San Francisco (2010), pp.22.3.1-22.3.4
現在、製品化されているGST225に代表される相変化メモリは、記録再生膜における「非晶質」状態と「結晶質」状態との間で相変化を起こさせることを動作原理としている。しかしながら、この種類の相変化メモリは、スイッチングパワーに代表される消費電力が大きく、消費電力を低減することが求められている。
この点に関し、上述したGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリが提案されている。このGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリによれば、従来の相変化メモリであるGST225に比べて、スイッチングパワーを約1/10に低減できることが実証されたが、相変化メモリの性能向上の観点から、さらなる消費電力の低減が求められている。
本発明の目的は、相変化メモリの性能向上を図ることができる技術を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態における相変化メモリは、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)を含有し、かつ、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを含有する記録再生膜を備える。ここで、記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、この(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む。
また、一実施の形態における相変化メモリは、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、元素Xを含有する記録再生膜を備える。ここで、記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、この(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む。そして、元素Xは、Ge(ゲルマニウム)、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、Si(シリコン)のいずれかの元素である。
一実施の形態における半導体記録再生装置は、複数のメモリセルを備え、複数のメモリセルのそれぞれは、(a)メモリセルを選択する選択トランジスタ、(b)選択トランジスタと電気的に接続されるメモリ部であって、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを含有する記録再生膜を含む前記メモリ部、を有する。ここで、記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、この(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む。
また、一実施の形態における半導体記録再生装置は、複数のメモリセルを備え、複数のメモリセルのそれぞれは、(a)メモリセルを選択する選択トランジスタ、(b)前記選択トランジスタと電気的に接続されるメモリ部であって、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、元素Xを含有する記録再生膜を含む前記メモリ部、を有する。ここで、記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、この(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む。そして、元素Xは、Ge、Al、Mn、Cr、Mo、Nb、V、Siのいずれかの元素である。
一実施の形態によれば、相変化メモリの性能向上を図ることができる。
実施の形態1における相変化メモリの要部であるメモリ部の模式的な構成を示す断面図である。 実施の形態1における記録再生膜を形成する方法を示す図である。 (SnXSb)Te合金相を模式的示す図である。 元素XがGeの場合において、(SnGeSb)/SbTe超格子膜のX線回折プロファイルを示す図である。 (SnGeSb)Te合金相の結晶構造を示す図である。 Sn酸化物とSb酸化物とGe酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 様々な物質からなる記録再生膜の相転移温度を示す表である。 元素XがAlの場合において、(SnAlSb)/SbTe超格子膜のX線回折プロファイルを示す図である。 (SnAlSb)Te合金相の結晶構造を示す図である。 Sn酸化物とSb酸化物とAl酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 (SnMnSb)Te合金相の結晶構造を示す図である。 (SnCrSb)Te合金相の結晶構造を示す図である。 Sn酸化物とSb酸化物とMn酸化物とCr酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 Sn酸化物とSb酸化物とMo酸化物とNb酸化物とV酸化物とSi酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 実施の形態2における半導体記録再生装置のメモリセルの構成を示す断面図である。 実施の形態2における半導体記録再生装置のメモリセルアレイの構成例を示す等価回路図である。 (a)は、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリを模した簡易素子のリード抵抗のパルス電圧依存性を示すグラフであり、(b)は、リード抵抗のダイナミック電流依存性を示すグラフである。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<関連技術の説明>
例えば、特許文献2(特願2013−048050号)および非特許文献3(Soeya et al., Appl. Phys. Lett. 103, 053103 (2013))には、Sn(錫)、Sb(アンチモン)およびTe(テルル)を含有する膜から記録再生膜を構成する相変化メモリが記載されている。具体的に、上述した特許文献2には、SnTe100−X膜とSbTe膜とを交互に積層することにより形成されたSnTe100−X/SbTe超格子膜を記録再生膜に使用する超格子相変化メモリが記載されている。ここで、特許文献2に記載されている超格子相変化メモリをSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリと呼ぶ。
上述した特許文献2において、SnTe100−X/SbTe超格子膜は、SnTeとSbTeからなるSnTe/SbTe超格子相と、SnSbTe合金相と、Te相とを含むように構成され、SnTe/SbTe超格子相は、SnSbTe合金相とTe相で希釈されていると述べられている。そして、上述した特許文献2によると、このようなSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225と比べ、消費電力を最大約1/7070まで低減できるとしている。つまり、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリは、従来のGST225だけでなく、GeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリよりも大幅に消費電力を低減することができることになり、相変化メモリの性能向上を図る観点から非常に期待されている。
<本発明者が見出した新たな知見>
ただし、上述した特許文献2では、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリの低電力動作メカニズムについて完全に解明しておらず、(1)SnTe/Sb超格子相で低電力動作している可能性と、(2)SnSbTe合金相で低電力動作をしている可能性が考えられると説明している。
この点に関し、本発明者がさらに研究を進めた結果、この記録再生膜には、SnTe/Sb超格子相がわずかにしか存在せず、大部分はSnSbTe合金相から構成されている可能性が高いことが判明した。このため、SnTe/Sb超格子相が自己組織化超格子構造を構成しているのではなく、SnSbTe合金相が自己組織化超格子構造を構成している可能性が高いと推測されている。そして、このSnSbTe合金相に含まれる自己組織化超格子構造内で「Snスイッチ」が起こる低電力動作メカニズムによって、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225と比べ、消費電力を最大約1/7070まで低減することが可能となっている。
ここで、「自己組織化超格子構造」とは、少なくとも、ファンデルワールスギャップ層を含む第1部分格子と、空孔層を含む第2部分格子が超格子成長方向に隣接する構造を含む構造として定義される。具体的に、SnSbTe合金相の自己組織化超格子構造の積層順序は、例えば、下側から上側に向かって「−Te層−(Sn、Sb)層−Te層−ファンデルワールスギャップ層−Te層−(Sn、Sb)層−Te層−(Sn、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Sb)層−Te層−」となっている。
そして、SnSbTe合金相に含まれる自己組織化超格子構造内で「Snスイッチ」が起こる低電力動作メカニズムは、以下に示すものと考えられている。すなわち、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリに印加する電圧や電流によって、超格子成長方向の積層状態が「−(Sn、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Sb)層−」であるSn原子の6配位中心位置の状態と、超格子成長方向の積層状態が「−Te層−(Sn、Sb)層−空孔層−(Sn、Sb)層−Te層−」であるSn原子の4配位中心位置の状態との間で格子の組み換えが起こる(「Snスイッチ」)。このとき、空孔層は、Snの挿入と脱離が行なわれる層として機能し、ファンデルワールスギャップ層は、空孔層でのSnの挿入と脱離に起因する体積変化を緩和する緩衝層として機能すると考えられている。そして、このSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリによれば、印加する電圧や電流が小さくても、「Snスイッチ」が起こることから、低電力動作が可能になるのである。つまり、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリでは、Sn原子の6配位中心位置の状態と、Sn原子の4配位中心位置の状態との間でSn原子が移動しやすい状態になっているため、印加される電圧や電流が小さくても「Snスイッチ」が生じると考えられる。
<改善の余地>
このようにSn原子が移動しやすいということは、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリの低電力動作を実現する観点から有用であるが、リテンション特性、すなわち、データ保持特性の観点からは、改善の余地が存在することになる。
例えば、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリでは、Sn原子の6配位中心位置の状態が低抵抗状態に対応し、Sn原子の4配位中心位置の状態が高抵抗状態に対応している。そして、このSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリでは、低抵抗状態と高抵抗状態のそれぞれに、デジタル値である「0」と「1」とを対応付けることにより、情報を記憶している。
ところが、このSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリでは、Sn原子が動きやすいことから、例えば、比較的低い温度(85℃程度)で4配位中心位置の状態(高抵抗状態)から6配位中心位置の状態(低抵抗状態)に変化してしまう現象が生じる。この現象を本明細書では相転移と呼ぶことにすると、相転移が起こる相転移温度以上になると、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリにおいては、記憶されている情報が消失してしまうことになる。したがって、情報の保持特性を示すリテンション特性は、相転移温度が低くなるほど低下することになる。言い換えれば、相転移温度が高くなるほどリテンション特性は向上することになる。この点に関し、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリは、上述した相転移温度が低く、リテンション特性を向上する観点から改善の余地が存在するのである。
そこで、本実施の形態1では、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリにおけるリテンション特性の向上を図ることができる工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について説明することにする。
<相変化メモリのメモリ部の構成>
図1は、本実施の形態1における相変化メモリの要部であるメモリ部の模式的な構成を示す断面図である。図1に示すように、メモリ部MUは、下部電極BEを有し、この下部電極BE上にシード層SDLが形成されている。そして、このシード層SDL上に下地膜FDFが形成され、下地膜FDF上に記録再生膜MRFが形成されている。さらに、記録再生膜MRF上には、上部電極UEが形成されている。これらの膜は、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
下部電極BEは、例えば、タングステン膜(W膜)から構成され、例えば、膜厚は、100nmである。また、シード層SDLは、例えば、窒化チタン膜(TiN膜)から構成され、例えば、膜厚は、1nmである。このシード層SDLは、上方に形成される下地膜FDFと記録再生膜MRFを稠密面配向させる機能を有している。さらに、下地膜FDFは、例えば、SbTe膜から構成され、例えば、膜厚は、10nmである。この下地膜FDFも、上述したシード層SDLと同様に、上方に形成される記録再生膜MRFを稠密面配向させる機能を有している。そして、記録再生膜MRF上に形成される上部電極UEは、例えば、タングステン膜から形成され、例えば、膜厚は、50nmである。
本実施の形態1における記録再生膜MRFは、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)を含有し、かつ、元素Xを含有する膜から構成される。図2は、本実施の形態1における記録再生膜MRFを形成する方法を示す図である。図2に示すように、記録再生膜MRFは、例えば、スパッタリング法を使用することにより、自由層FRLと固定層FXLを交互に積層することにより形成される。すなわち、記録再生膜MRFは、超格子膜を構成するように形成される。
このとき、自由層FRLは、(SnXSb)Te膜から構成され、その膜厚は、例えば、約1nmである。一方、固定層FXLは、SbTe膜から構成され、その膜厚は、例えば、約4nmである。本明細書では、このような超格子膜を(SnXSb)Te/SbTe超格子膜と呼ぶことにする。この(SnXSb)Te/SbTe超格子膜の総膜厚は、例えば、45nmである。
本実施の形態1における記録再生膜MRFは、図2に示すような(SnXSb)Te/SbTe超格子膜から形成されることになるが、図2は、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜の製造方法を模式的に示すものであり、実際の記録再生膜MRFの構造は、図2に示す模式的な構造と相違する。すなわち、図2に示す方法で形成される(SnXSb)Te/SbTe超格子膜は、図2に示す構造とはなっておらず、実際には、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜は、図3に示す(SnXSb)Te合金相ALPから構成される。そして、(SnXSb)Te合金相ALPは、自己組織化超格子構造を含んでいる。このように、本実施の形態1における記録再生膜MRFは、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、元素Xを含有する(SnXSb)Te/SbTe超格子膜から構成されるが、この(SnXSb)Te/SbTe超格子膜は、自己組織化超格子構造を含む(SnXSb)Te合金相ALPが大部分を占めるように構成されていることになる。
つまり、元素Xを含有しないSnSbTe/SbTe超格子膜は、SnSbTe合金相から構成され、このSnSbTe合金相は、自己組織化超格子構造を含むように構成される。この点に関し、本実施の形態1では、元素Xを含有する場合の(SnXSb)Te/SbTe超格子膜も、(SnXSb)Te合金相ALPから構成され、この(SnXSb)Te合金相ALPは、自己組織化超格子構造を含んでいる。すなわち、本実施の形態1において添加される元素Xは、少なくとも、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜において、自己組織化超格子構造が維持される元素である必要がある(第1条件)。具体的に、このような元素Xとしては、自己組織化超格子構造に含まれる(Sn、Sb)層内に配置されて、(Sn、X、Sb)層を構成する元素を挙げることができる。
これにより、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜では、SnSbTe/SbTe超格子膜の低電圧動作メカニズムと同等のメカニズムによって、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電圧動作が可能となる。すなわち、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜においても、(SnXSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を生じさせることができ、これによって、超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。ここで、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリを(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリと呼ぶことにする。
<実施の形態1の特徴>
そして、本実施の形態1の特徴点は、上述した第1条件を満たす元素Xが、さらに、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素である点にある(第2条件)。これにより、本実施の形態1における(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、上述した第1条件および第2条件を満たす元素Xを導入することにより、リテンション特性の向上を図ることができる。
なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、X、Sb)層においては、元素XとTeとの結合が強いため、元素XとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、元素XとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。このことは、(Sn、X、Sb)層内に存在するSn原子が移動しにくくなることを意味し、これによって、相転移が起きにくくなる。つまり、本実施の形態1によれば、相転移が生じる相転移温度が高くなり、これによって、本実施の形態1における(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、リテンション特性を向上させることができるのである。
このように本実施の形態1によれば、リテンション特性を向上させることができるが、リテンション特性が向上する理由は、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを自己組織化超格子構造の(Sn、Sb)層に導入して、(Sn、X、Sb)層を形成することにより、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力を強くしているからである。この結果、(Sn、X、Sb)層内に存在するSn原子が移動しにくくなって、相転移温度が高くなることになるが、一方で、Sn原子が移動しにくくなるということは、一見、電圧および電流を印加することによる「Snスイッチ」の低電力動作も起きにくくなるのではないかと考えることができる。
ところが、本実施の形態1によれば、「Snスイッチ」の低電力動作も実現できるのである。以下にこの理由について説明する。上述したように、本実施の形態1では、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを自己組織化超格子構造の(Sn、Sb)層に導入して、(Sn、X、Sb)層を形成している。これにより、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強くなり、Sn原子が移動しにくくなる。このことは、電圧および電流を印加することによる「Snスイッチ」に寄与するSn原子が少なくなると考えることができる。すなわち、本実施の形態1では、元素Xを導入することによる各原子同士の結合力が強くなる結果、「Snスイッチ」で移動できるSn原子が少なくなると考えることができる。このことは、「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができることを意味し、これによって、(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリの低電力動作が可能となるのである。
さらに言えば、「Snスイッチ」で移動できるSn原子が少なくなるということは、あたかも、(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリにおいて、Snの原子%を低減することと同等であるとみなすことができる。そして、この点に関し、上述した特許文献2には、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリにおいて、Snの原子%を低くすることによって、低電力動作が加速されることが記載されている。したがって、この特許文献2からの類推によっても、本実施の形態1における(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、低電力動作が可能になると考えることができる。
以上のことから、本実施の形態1における(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、低電力動作を実現しながら、リテンション特性の向上を図ることができるという顕著な効果を得ることができる。つまり、本実施の形態1によれば、相変化メモリの性能向上を図ることができることになる。
ここで、上述したように、本実施の形態1における特徴点は、元素Xが、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素である点にある。このとき、元素Xが、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いということは、例えば、元素間の結合エネルギーの指標となる標準生成自由エネルギーの大小関係で評価することができる。つまり、元素間の結合が強いということは、結合エネルギーが大きいことを意味し、これは、標準生成自由エネルギーの絶対値が大きいことに対応する。そこで、例えば、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(Sn)とし、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(Sb)とし、元素Xの酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(X)とする。この場合、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いということは、間接的に、ΔG°(X)の絶対値が、ΔG°(Sn)の絶対値よりも大きく、かつ、ΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことに対応する。ここでは、一般的に取得が容易な酸化物の標準生成自由エネルギーを採り上げているが、酸化物における標準生成自由エネルギーの関係は、酸素原子と同族である硫黄原子との化合物である硫化物における標準生成自由エネルギーの関係と同様の傾向を示し、さらには、酸素原子および硫黄原子と同族であるテルル原子との化合物であるテルル化物においても同様の傾向を示すと考えられる。このことから、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いということは、間接的に、ΔG°(X)の絶対値が、ΔG°(Sn)の絶対値よりも大きく、かつ、ΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことに対応すると考えることができるのである。
以上のように本実施の形態1における技術的思想は、上述した第1条件および第2条件を満たす元素Xを含有する記録再生膜を備え、この記録再生膜が(SnXSb)Te合金相を有し、かつ、(SnXSb)Te合金相が自己組織化超格子構造を含むという(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリに幅広く適用することができる。
以下では、上述した第1条件および第2条件を満たす元素Xのうちの代表的な元素について、(SnXSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFとして採用することにより、(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性を改善できる点を実験データに基づきながら説明することにする。
<実施例1:元素X=Ge原子の場合>
図4は、元素XがGeの場合において、(SnGeSb)/SbTe超格子膜のX線回折プロファイルを示す図である。図4に示すように、NaCl型の(SnGeSb)Te合金相のピークのみが観測されている。このことから、(SnGeSb)/SbTe超格子膜は、大部分が(SnGeSb)Te合金相から構成されていることがわかる。そして、図4から他相が観測されていないため、Geは(SnGeSb)Te合金相の中の(Sn、Sb)層に固溶していると考えられる。
次に、図4に示すピークを有するNaCl型の(SnGeSb)Te合金相についての結晶構造解析結果を説明する。結晶構造解析には、例えば、「J. Appl. Phys.112, 034301 (2012)」に記載された方法を使用している。具体的に、この結晶構造解析においては、(I111/I222)Obs≒(I111/I222)Cal、および0.7≦S≦1(±0.1)を満たす結晶構造を探索した。ここで、I111は、(111)ピークの積分強度を示しており、I222は、(222)ピークの積分強度を示している。また、(I111/I222)Obsは、実験積分強度比であり、(I111/I222)Calは、理論積分強度比であり、Sは規則度である。
この結晶構造解析の結果、(SnGeSb)Te合金相の結晶構造として最も可能性の高い結晶構造は、例えば、図5に示すような空孔層を有するNaCl型の結晶構造であることがわかった。具体的に、(SnGeSb)Te合金相は、図5に示すように、(SnGeSb)Te[111]方向に、「−Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−ファンデルワールスギャップ層―Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層―空孔層―Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−」の順に積層された結晶構造を有していると考えられる。
そして、(SnGeSb)Te合金相の結晶構造においては、印加電圧および印加電流に応じて、空孔層という空間を使用して、「−Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−」状態であるSn原子の6配位中心位置(As−dep.状態)と、「−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Ge、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−」状態であるSn原子の4配位中心位置との間で積層構造が変化する可能性がある。つまり、(SnGeSb)Te合金相に存在する空孔層で、Snの挿入と脱離が行なわれる「Snスイッチ」が生じる可能性が高い。
また、上側の結晶構造に含まれている空孔層は「Snスイッチ」する上で重要な空間層である一方、下側の結晶構造においては、「Snスイッチ」の際の体積変化を吸収する緩衝層として機能するために必要な空間であるファンデルワールスギャップ層である可能性が高い。すなわち、(SnGeSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含んでいる可能性が高いことがわかる。
このことから、(SnGeSb)/SbTe超格子膜は、自己組織化超格子構造を含む(SnGeSb)Te合金相から構成されており、この(SnGeSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、低電圧動作が可能となると考えられる。つまり、元素XがGeの場合、Geは、(SnGeSb)Te合金相の自己組織化超格子構造に含まれる(Sn、Sb)層内に配置されて、(Sn、Ge、Sb)層を構成しており、Geが上述した第1条件を満たしていると考えられる。
このように、本実施例1において添加されるGeは、少なくとも、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜において、添加しても自己組織化超格子構造を破壊せずに維持する第1条件を満たす元素であることがわかる。これにより、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜では、SnTe100−X/SbTe超格子膜の低電圧動作メカニズムと同等のメカニズムによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電圧動作が可能となる。すなわち、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜においても、(SnGeSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。
続いて、Geによれば、上述した第2条件も満たしており、これによって、(SnGeSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、リテンション特性の向上を図ることができる点について説明する。
図6は、Sn酸化物とSb酸化物とGe酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。図6に示すように、広い温度範囲(300K〜800K)にわたって、Ge酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Ge)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、GeとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。
したがって、本実施例1で導入するGeは、上述した第1条件および第2条件を満たす元素であり、このGeが導入された(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225に比べて充分な低電力動作を維持しつつ、リテンション特性の向上を図ることができる。なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いGeが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、Ge、Sb)層においては、GeとTeとの結合が強いため、GeとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、Ge、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、GeとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、Ge、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。この結果、Sn原子の揺らぎを改善することができ、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができる。
具体的に、図7は、様々な物質からなる記録再生膜の相転移温度を示す表である。このときの相転移温度とは、温度上昇によって、相変化メモリのリセット状態からセット状態に構造が変化する温度として定義される。リセット状態とセット状態は、それぞれ、記録再生膜の高抵抗状態と低抵抗状態に対応しており、例えば、デジタル値の「0」と「1」が対応付けられている。これにより、相変化メモリの記録再生膜に情報(データ)が記憶されることになる。そして、上述した相転移温度とは、例えば、温度変化によって、リセット状態がセット状態に変化してしまう温度であり、これによって、記録再生膜に記憶されている情報が消失してしまうことになる。したがって、データ保持特性を示すリテンション特性は、相転移温度が低いほど低下し、相転移温度が高いほど向上することになる。つまり、記録再生膜の相転移温度を測定することによって、相変化メモリのリテンション特性を評価することができるのである。
図7において、SnTe/SbTe超格子膜は、特許文献2に記載されているSnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリの記録再生膜であり、SnTe/SbTe超格子膜の相転移温度が85℃であることが示されている。一方、図7において、GST225膜は、従来のGST225と呼ばれる相変化メモリの記録再生膜であり、GST225膜の相転移温度が145℃であることが示されている。また、図7において、GeTe/SbTe超格子膜は、例えば、特許文献1に記載されたGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリの記録再生膜であり、GeTe/SbTe超格子膜の相転移温度が165℃であることが示されている。以上のことから、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリの相転移温度は、GST225の相転移温度やGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリの相転移温度よりもかなり低いことがわかる。このことは、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性が、GST225のリテンション特性やGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリのリテンション特性よりも劣化していることを意味している。
一方、図7において、Sn25Ge25Te50/SbTe超格子膜は、本実施例1における(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリの記録再生膜の一例であり、Sn25Ge25Te50/SbTe超格子膜の相転移温度が150℃であることが示されている。また、Sn45GeTe50/SbTe超格子膜は、本実施例1における(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリの記録再生膜の他の一例であり、Sn45GeTe50/SbTe超格子膜の相転移温度も150℃であることが示されている。したがって、SnTe/SbTe超格子膜の相転移温度に比べて、Sn25Ge25Te50/SbTe超格子膜の相転移温度やSn45GeTe50/SbTe超格子膜の相転移温度が高くなっており、かつ、GST225膜の相転移温度やGeTe/SbTe超格子膜の相転移温度と同等であることがわかる。
このことは、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性が、Geを導入することにより、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性から大幅に向上していることを意味する。さらに、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性が、GST225のリテンション特性やGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリのリテンション特性と同等であることを意味している。したがって、本実施例1における(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、リテンション特性が実用に耐えうるレベルにまで向上していることが定量的に裏付けられていることがわかる。
ところで、図2は、記録再生膜MRFを形成する方法を示す図であり、記録再生膜MRFは、例えば、スパッタリング法を使用することにより、自由層FRLと固定層FXLを交互に積層することにより形成され、自由層FRLは、(SnXSb)Te膜から構成される。ここで、本実施例1では、元素XをGeとし、自由層FRLを(SnGeSb)Te膜から形成している。そして、本実施例1で形成される(SnGeSb)Te膜は、SnとGeとSbとをあわせた原子%とTeの原子%とがおおよそ50%対50%になる組成比で形成されている。
ここで、特許文献2(特許文献2の図24参照)においては、Snの原子%が50原子%の場合のSnTe100−X/SbTe超格子膜中におけるNaCl型のSnSbTe合金相の結晶構造が示されている。したがって、特許文献2からの類推によって、本実施例1のように、SnとGeとSbとをあわせた原子%とTeの原子%とがおおよそ50%対50%になる組成比の(SnXSb)Te膜を使用して、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜を形成する場合、形成される(SnGeSb)Te合金相は、NaCl型であることが予想され、実際に、(SnGeSb)/SbTe超格子膜のX線回折プロファイルを示す図4から、NaCl型の(SnGeSb)Te合金相が形成されていることがわかる。そして、上述した結晶構造解析によると、(SnGeSb)Te合金相の結晶構造として最も可能性の高い結晶構造は、例えば、図5に示すような空孔層を有するNaCl型の結晶構造であることが明らかになり、空孔層を有するNaCl型の結晶構造が自己組織化超格子構造と機能している。この結果、本実施例1で使用しているGeが上述した第1条件を満たしていることになり、(SnGeSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。さらには、本実施例1で使用しているGeは、図6から第2条件も満たしており、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができることになる。
また、特許文献2(特許文献2の図25参照)においては、Snの原子%が低くなった場合(5原子%、10原子%、20原子%、35原子%)、SnTe100−X/SbTe超格子膜中におけるSnSbTe合金相の結晶構造は、NaCl型ではなく、hcp(hexagonal closest packed)六方晶型の結晶構造になることが示されている。したがって、特許文献2からの類推によって、本実施例1において、SnとGeとSbとをあわせた原子%がTeの原子%よりもかなり低くなる組成比の(SnXSb)Te膜を使用して、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜を形成する場合、形成される(SnGeSb)Te合金相は、hcp六方晶の結晶構造になることが予想される。そして、この場合も、特許文献2からの類推によって、(SnGeSb)Te合金相の結晶構造として最も可能性の高い結晶構造は、例えば、空孔層を有するhcp六方晶型の結晶構造であることが推測され、空孔層を有するhcp六方晶型の結晶構造が自己組織化超格子構造と機能すると考えられる。この場合も、本実施例1と同様に、Geが上述した第1条件を満たしていることになり、(SnGeSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができると考えられる。さらに、Geは、図6から第2条件も満たしており、これによって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができることになる。
特に、特許文献2の説明から、SnとGeとSbとをあわせた原子%がTeの原子%よりもかなり低くなる組成比の(SnGeSb)Te膜を使用すれば、「Snスイッチ」の低電力動作が加速されると類推することができる。したがって、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでのリテンション特性の向上を図りながら、かつ、充分な低電力動作を実現する観点からは、SnとGeとSbとをあわせた原子%がTeの原子%よりもかなり低くなる組成比の(SnGeSb)Te膜を使用して、(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜を形成することが望ましいと考えることができる。
さらに、本実施例1で説明したメカニズムによれば、GeとTeとの結合が強いため、GeとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、Ge、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まることによってリテンション特性を向上できる。このことを考慮すると、SnとGeとSbとをあわせた原子%がTeの原子%よりもかなり低くなる組成比の(SnGeSb)Te膜を使用し、かつ、各原子同士の化学結合力を強める機能を有するGeの原子%を固溶限界の範囲内で増加させることにより、効率的にリテンション特性の向上を図りながら、かつ、充分な低電力動作を実現することができると考えられる。以上のことは、後述する実施例2〜実施例4にも同様に当てはまる。
<実施例2:元素X=Al原子の場合>
図8は、元素XがAlの場合において、(SnAlSb)/SbTe超格子膜のX線回折プロファイルを示す図である。図8に示すように、NaCl型の(SnAlSb)Te合金相のピークのみが観測されている。このことから、(SnAlSb)/SbTe超格子膜は、大部分が(SnAlSb)Te合金相から構成されていることがわかる。そして、図8から他相が観測されていないため、Alは(SnAlSb)Te合金相の中の(Sn、Sb)層に固溶していると考えられる。
次に、図8に示すピークを有するNaCl型の(SnAlSb)Te合金相についての結晶構造解析結果を説明する。結晶構造解析には、例えば、「J. Appl. Phys.112, 034301 (2012)」に記載された方法を使用している。具体的に、この結晶構造解析においては、(I111/I222)Obs≒(I111/I222)Cal、および0.7≦S≦1(±0.1)を満たす結晶構造を探索した。ここで、I111は、(111)ピークの積分強度を示しており、I222は、(222)ピークの積分強度を示している。また、(I111/I222)Obsは、実験積分強度比であり、(I111/I222)Calは、理論積分強度比であり、Sは規則度である。
この結晶構造解析の結果、(SnAlSb)Te合金相の結晶構造として最も可能性の高い結晶構造は、例えば、図9に示すような空孔層を有するNaCl型の結晶構造であることがわかった。具体的に、(SnAlSb)Te合金相は、図9に示すように、(SnAlSb)Te[111]方向に、「−Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−ファンデルワールスギャップ層―Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層―空孔層―Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−」の順に積層された結晶構造を有していると考えられる。
そして、(SnAlSb)Te合金相の結晶構造においては、印加電圧および印加電流に応じて、空孔層という空間を使用して、「−Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−」状態であるSn原子の6配位中心位置(As−dep.状態)と、「−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Al、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−」状態であるSn原子の4配位中心位置との間で積層構造が変化する可能性がある。つまり、(SnAlSb)Te合金相に存在する空孔層で、Snの挿入と脱離が行なわれる「Snスイッチ」が生じる可能性が高い。
また、上側の結晶構造に含まれている空孔層は「Snスイッチ」する上で重要な空間層である一方、下側の結晶構造においては、「Snスイッチ」の際の体積変化を吸収する緩衝層として機能するために必要な空間であるファンデルワールスギャップ層である可能性が高い。すなわち、(SnAlSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含んでいる可能性が高いことがわかる。
このことから、(SnAlSb)/SbTe超格子膜は、自己組織化超格子構造を含む(SnAlSb)Te合金相から構成されており、この(SnAlSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、低電圧動作が可能となると考えられる。つまり、元素XがAlの場合、Alは、(SnAlSb)Te合金相の自己組織化超格子構造に含まれる(Sn、Sb)層内に配置されて、(Sn、Al、Sb)層を構成しており、Alが上述した第1条件を満たしていると考えられる。
このように、本実施例2において添加されるAlは、少なくとも、(SnAlSb)Te/SbTe超格子膜において、添加しても自己組織化超格子構造を破壊せずに維持する第1条件を満たす元素であることがわかる。これにより、(SnAlSb)Te/SbTe超格子膜では、SnTe100−X/SbTe超格子膜の低電圧動作メカニズムと同等のメカニズムによって、(SnAlSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電圧動作が可能となる。すなわち、(SnAlSb)Te/SbTe超格子膜においても、(SnAlSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。
続いて、Alによれば、上述した第2条件も満たしており、これによって、(SnAlSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、リテンション特性の向上を図ることができる点について説明する。
図10は、Sn酸化物とSb酸化物とAl酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。図10に示すように、広い温度範囲(300K〜800K)にわたって、Al酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Al)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、AlとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。
したがって、本実施例2で導入するAlは、上述した第1条件および第2条件を満たす元素であり、このAlが導入された(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225に比べて充分な低電力動作を維持しつつ、リテンション特性の向上を図ることができる。なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いAlが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、Al、Sb)層においては、AlとTeとの結合が強いため、AlとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、Al、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、AlとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、Al、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。この結果、Sn原子の揺らぎを改善することができ、これによって、(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができる。
具体的に、図7において、Sn45AlTe50/SbTe超格子膜は、本実施例2における(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリの記録再生膜の一例であり、Sn45AlTe50/SbTe超格子膜の相転移温度が145℃であることが示されている。したがって、SnTe/SbTe超格子膜の相転移温度に比べて、Sn45AlTe50/SbTe超格子膜の相転移温度が高くなっており、かつ、GST225膜の相転移温度やGeTe/SbTe超格子膜の相転移温度と同等であることがわかる。
このことは、(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性が、Alを導入することにより、SnTe100−X/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性から大幅に向上していることを意味する。さらに、(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性が、GST225のリテンション特性やGeTe(111)/SbTe(001)超格子相変化メモリのリテンション特性と同等であることを意味している。したがって、本実施例2における(SnAlSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、リテンション特性が実用に耐えうるレベルにまで向上していることが定量的に裏付けられていることがわかる。
<実施例3:元素X=Mn原子、Cr原子の場合>
本実施例3では、元素Xとして、Mn原子およびCr原子を使用する例について説明する。MnおよびCrは、テルル化物に対して固溶する特性を有していると考えられる。このことから、MnやCrが自己組織化超格子構造の(Sn、Sb)層に固溶して、自己組織化超格子構造を破壊することなく、(Sn、Mn、Sb)層や(Sn、Cr、Sb)層を形成すると考えることができる。
したがって、元素Xが、Mn原子やCr原子の場合も、実施例1で説明したGe原子や、実施例2で説明したAl原子と同様の結晶構造になる可能性が高いと考えられる。つまり、図11に示すように、(SnMnSb)Te合金相は、(SnMnSb)Te[111]方向に、「−Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−ファンデルワールスギャップ層―Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層―空孔層―Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−」の順に積層された結晶構造を有していると考えられる。
そして、(SnMnSb)Te合金相の結晶構造においては、印加電圧および印加電流に応じて、空孔層という空間を使用して、「−Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−」状態であるSn原子の6配位中心位置(As−dep.状態)と、「−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Mn、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−」状態であるSn原子の4配位中心位置との間で積層構造が変化する可能性がある。つまり、(SnMnSb)Te合金相に存在する空孔層で、Snの挿入と脱離が行なわれる「Snスイッチ」が生じる可能性が高い。
また、上側の結晶構造に含まれている空孔層は「Snスイッチ」する上で重要な空間層である一方、下側の結晶構造においては、「Snスイッチ」の際の体積変化を吸収する緩衝層として機能するために必要な空間であるファンデルワールスギャップ層である可能性が高い。すなわち、(SnMnSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含んでいる可能性が高いことがわかる。
このことから、(SnMnSb)/SbTe超格子膜は、自己組織化超格子構造を含む(SnMnSb)Te合金相から構成されており、この(SnMnSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、低電圧動作が可能となると考えられる。つまり、元素XがMnの場合、Mnは、(SnMnSb)Te合金相の自己組織化超格子構造に含まれる(Sn、Sb)層内に配置されて、(Sn、Mn、Sb)層を構成しており、Mnが上述した第1条件を満たしていると考えられる。
このように、本実施例3において添加されるMnは、少なくとも、(SnMnSb)Te/SbTe超格子膜において、添加しても自己組織化超格子構造を破壊せずに維持する第1条件を満たす元素であることがわかる。これにより、(SnMnSb)Te/SbTe超格子膜では、SnTe100−X/SbTe超格子膜の低電圧動作メカニズムと同等のメカニズムによって、(SnMnSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した(SnMnSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電圧動作が可能となる。すなわち、(SnMnSb)Te/SbTe超格子膜においても、(SnMnSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnMnSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。
続いて、Mnによれば、上述した第2条件も満たしており、これによって、(SnMnSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、リテンション特性の向上を図ることができる点について説明する。
図13は、Sn酸化物とSb酸化物とMn酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。図13に示すように、広い温度範囲(300K〜800K)にわたって、Mn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Mn)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、MnとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。
したがって、本実施例3で導入するMnは、上述した第1条件および第2条件を満たす元素であり、このMnが導入された(SnMnSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225に比べて充分な低電力動作を維持しつつ、リテンション特性の向上を図ることができる。なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いMnが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、Mn、Sb)層においては、MnとTeとの結合が強いため、MnとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、Mn、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、MnとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、Mn、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。この結果、Sn原子の揺らぎを改善することができ、これによって、(SnMnSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができる。
同様に、(SnCrSb)Te合金相は、図12に示すように、(SnCrSb)Te[111]方向に、「−Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−ファンデルワールスギャップ層―Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層―空孔層―Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−」の順に積層された結晶構造を有していると考えられる。
そして、(SnCrSb)Te合金相の結晶構造においては、印加電圧および印加電流に応じて、空孔層という空間を使用して、「−Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−」状態であるSn原子の6配位中心位置(As−dep.状態)と、「−Te層−空孔層−Te層−(Sn、Cr、Sb)層−Te層−空孔層−Te層−」状態であるSn原子の4配位中心位置との間で積層構造が変化する可能性がある。つまり、(SnCrSb)Te合金相に存在する空孔層で、Snの挿入と脱離が行なわれる「Snスイッチ」が生じる可能性が高い。
また、上側の結晶構造に含まれている空孔層は「Snスイッチ」する上で重要な空間層である一方、下側の結晶構造においては、「Snスイッチ」の際の体積変化を吸収する緩衝層として機能するために必要な空間であるファンデルワールスギャップ層である可能性が高い。すなわち、(SnMnSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含んでいる可能性が高いことがわかる。
このことから、(SnCrSb)/SbTe超格子膜は、自己組織化超格子構造を含む(SnCrSb)Te合金相から構成されており、この(SnCrSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、低電圧動作が可能となると考えられる。つまり、元素XがCrの場合、Crは、(SnCrSb)Te合金相の自己組織化超格子構造に含まれる(Sn、Sb)層内に配置されて、(Sn、Cr、Sb)層を構成しており、Crが上述した第1条件を満たしていると考えられる。
このように、本実施例3において添加されるCrは、少なくとも、(SnCrSb)Te/SbTe超格子膜において、添加しても自己組織化超格子構造を破壊せずに維持する第1条件を満たす元素であることがわかる。これにより、(SnCrSb)Te/SbTe超格子膜では、SnTe100−X/SbTe超格子膜の低電圧動作メカニズムと同等のメカニズムによって、(SnCrSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した(SnCrSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電圧動作が可能となる。すなわち、(SnCrSb)Te/SbTe超格子膜においても、(SnCrSb)Te合金相に含まれる自己組織化超格子構造での「Snスイッチ」を低電力で生じさせることができ、これによって、(SnCrSb)Te/SbTe超格子相変化メモリでの低電力動作を実現することができる。
続いて、Crによれば、上述した第2条件も満たしており、これによって、(SnCrSb)/SbTe超格子膜を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、リテンション特性の向上を図ることができる点について説明する。
図13は、Sn酸化物とSb酸化物とCr酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。図13に示すように、広い温度範囲(300K〜800K)にわたって、Cr酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Cr)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、CrとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。
したがって、本実施例3で導入するCrは、上述した第1条件および第2条件を満たす元素であり、このCrが導入された(SnCrSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225に比べて充分な低電力動作を維持しつつ、リテンション特性の向上を図ることができる。なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強いCrが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、Cr、Sb)層においては、CrとTeとの結合が強いため、CrとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、Cr、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、CrとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、Cr、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。この結果、Sn原子の揺らぎを改善することができ、これによって、(SnCrSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができる。
<実施例4:元素X=Mo原子、Nb原子、V原子、Si原子の場合>
本実施例4では、元素Xとして、Mo原子、Nb原子、V原子あるいはSi原子を使用する例について説明する。Mo、Nb、V、Siは、テルル化物に対して固溶する特性を有していると考えられる。このことは、Mo、Nb、V、Siが自己組織化超格子構造の(Sn、Sb)層に固溶して、自己組織化超格子構造を破壊することなく、(Sn、Mo、Sb)層や(Sn、Nb、Sb)層や(Sn、V、Sb)層や(Sn、Si、Sb)層を形成すると考えられる。したがって、元素Xが、Mo原子、Nb原子、V原子あるいはSi原子の場合も、実施例1で説明したGe原子や、実施例2で説明したAl原子や、実施例3で説明したMn原子およびCr原子と同様の結晶構造になる可能性が高いと考えられ、上述した第1条件を満たしていると考えられる。
続いて、Mo、Nb、V、Siによれば、上述した第2条件も満たしており、これによって、(SnXSb)/SbTe超格子膜(X=Mo、Nb、V、Si)を記録再生膜MRFに使用した超格子相変化メモリによれば、リテンション特性の向上を図ることができる点について説明する。
図14は、Sn酸化物とSb酸化物とMo酸化物とNb酸化物とV酸化物とSi酸化物のそれぞれの標準生成自由エネルギーの温度依存性を示すグラフである。図14に示すように、広い温度範囲(300K〜800K)にわたって、Mo酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Mo)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、MoとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。同様に、Nb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Nb)の絶対値やV酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(V)の絶対値やSi酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Si)の絶対値が、Sn酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sn)の絶対値や、Sb酸化物の標準生成自由エネルギーΔG°(Sb)の絶対値よりも大きいことがわかる。このことは、間接的に、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりも、MoとTeとの結合力や、NbとTeとの結合力や、VとTeとの結合力や、SiとTeとの結合力が強いということを意味していることになる。
したがって、本実施例4で導入するX(X=Mo、Nb、V、Si)は、上述した第1条件および第2条件を満たす元素であり、この元素Xが導入された(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリによれば、従来のGST225に比べて充分な低電力動作を維持しつつ、リテンション特性の向上を図ることができる。なぜなら、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xが導入されている自己組織化超格子構造の(Sn、X、Sb)層においては、元素XとTeとの結合が強いため、元素XとTeとの結合の波動関数の染み出しが生じ、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるからである。言い換えれば、元素XとTeとの結合が強いということは、電子雲が広がることを意味し、この広がった電子雲の影響によって、(Sn、X、Sb)層内の各原子同士の化学的結合力が強まるのである。この結果、Sn原子の揺らぎを改善することができ、これによって、(SnXSb)Te/SbTe超格子相変化メモリのリテンション特性の向上を図ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、前記実施の形態1における相変化メモリを使用した半導体記録再生装置について説明する。
<メモリセルの構成>
図15は、本実施の形態2における半導体記録再生装置のメモリセルの構成を示す断面図である。図15において、本実施の形態2におけるメモリセルMC1は、例えば、単結晶シリコンからなる半導体基板1Sの主面に形成され、メモリセルMC1を選択する選択トランジスタSTである電界効果トランジスタと、選択トランジスタSTの上方に形成されたメモリ部MUとを備えている。メモリセルMC1では、メモリ部に含まれる記録再生膜MRFの原子配列または原子位置の変化により、記録再生膜MRFの電気抵抗を低抵抗状態と高抵抗状態との間で変化させて情報を記録する。
以下の説明では、記録再生膜MRFの抵抗が相対的に低い状態(低抵抗状態)を「セット状態」と呼び、記録再生膜MRFの抵抗が相対的に高い状態(高抵抗状態)を「リセット状態」と呼ぶことにする。また、記録再生膜MRFを高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる動作を「セット動作」と呼び、記録再生膜MRFを低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる動作を「リセット動作」と呼ぶことにする。
なお、本実施の形態2では、半導体基板1Sを用いる例について説明するが、半導体基板1Sに代えて、ガラス基板やそのほかの各種の基板上に半導体層が形成された基板を用いることもできる。
以下に、本実施の形態2におけるメモリセルMC1の具体的な構成について説明する。図15に示すように、半導体基板1Sの主面上には、ゲート絶縁膜GOXを介して、ゲート電極GEが形成され、半導体基板1S内には、ゲート電極GEを挟むようにドレイン領域DRとソース領域SRが形成されている。ドレイン領域DR、ソース領域SR、および、ゲート電極GEは、電界効果トランジスタからなる選択トランジスタSTを構成している。そして、ゲート電極GEの両側の側壁には、サイドウォールスペーサSWが形成されており、このサイドウォールスペーサSWも選択トランジスタの一部を構成している。
ゲート電極GEは、図15では図示を省略するものの、例えば、タングステン(W)等からなるワード線と電気的に接続されており、ドレイン領域DRは、後述するように、配線M1a(M1)およびメモリ部MUを介して、ビット線BLと電気的に接続されている。
半導体基板1Sの主面には、ドレイン領域DRまたはソース領域SRに接して素子分離領域STIが形成されており、半導体基板1S上には、ゲート電極GEおよび素子分離領域STIを覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILD1が形成されている。
層間絶縁膜ILD1上には、例えば、金属膜からなる配線M1が形成されており、この配線M1は、層間絶縁膜ILD1を貫通するように形成されたコンタクトプラグCP1を介して、ドレイン領域DRあるいはソース領域SRと電気的に接続されている。コンタクトプラグCP1は、例えば、タングステン膜から構成されている。
層間絶縁膜ILD1上には、配線M1を覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILD2が形成されている。層間絶縁膜ILD2のうち、ドレイン領域DRと電気的に接続された配線M1aの上部には、層間絶縁膜ILD2を貫通するように、下部電極BEが形成されている。この下部電極BEは、配線M1aと電気的に接続されている。
層間絶縁膜ILD2上には、記録再生膜MRFが形成されている。この記録再生膜MRFには、例えば、前記実施例1〜4で説明した(SnXSb)Te/SbTe超格子膜が用いられている。この記録再生膜MRFは、下部電極BEと電気的に接続されている。すなわち、記録再生膜MRFは、下部電極BE、配線M1aおよびコンタクトプラグCP1を介して、ドレイン領域DRと電気的に接続されている。また、記録再生膜MRF上には、上部電極UEが形成されており、この上部電極UEは、記録再生膜MRFと電気的に接続されている。そして、上述した下部電極BE、記録再生膜MRF、および、上部電極UEによってメモリ部MUが形成され、このメモリ部MUは、選択トランジスタSTと電気的に接続されていることになる。
層間絶縁膜ILD2上には、記録再生膜MRFおよび上部電極UEを覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILD3が形成されている。この層間絶縁膜ILD3のうち、上部電極UEの上部には、層間絶縁膜ILD3を貫通するように、例えば、タングステン等からなるコンタクトプラグCP2が形成されている。このコンタクトプラグCP2は、上部電極UEと電気的に接続されている。
層間絶縁膜ILD3上には、例えば、タングステン等からなるビット線BLが形成されている。このビット線BLは、コンタクトプラグCP2と電気的に接続されている。すなわち、記録再生膜MRFは、上部電極UEおよびコンタクトプラグCP2を介して、ビット線BLと電気的に接続されている。したがって、選択トランジスタSTのドレイン領域DRは、コンタクトプラグCP1、配線M1a、下部電極BE、記録再生膜MRF、上部電極UEおよびコンタクトプラグCP2を介して、ビット線BLと電気的に接続されていることになる。なお、ビット線BLは、さらに他の回路と電気的に接続されている。
なお、図15では、1つのメモリセルMC1について、ビット線BLが延在する方向に沿った断面図の一例を示しているが、実際には、半導体基板1S上に、上述したメモリセルMC1と同様の構成をした複数のメモリセルが、平面視において、アレイ状に配置されている。
<メモリセルアレイの構成>
次に、本実施の形態2における半導体記録再生装置のメモリアレイの構成例について説明する。図16は、本実施の形態2における半導体記録再生装置のメモリセルアレイMA1の構成例を示す等価回路図である。
図16に示すように、本実施の形態2における半導体記録再生装置は、第1方向に延在する複数のワード線WL(WL1〜WL5)、第1方向と交差する第2方向に延在する複数のビット線BL(BL1〜BL4)、および、各ワード線WLと各ビット線BLが交差する領域に配置された複数のメモリセルMC1を含むメモリセルアレイMA1を備えている。複数のメモリセルMC1のそれぞれは、選択トランジスタSTと、記録再生膜を含むメモリ部MUとを備えている。選択トランジスタSTのドレイン領域DRは、メモリ部MUを介して、ビット線BLと電気的に接続されている。また、選択トランジスタSTのソース領域SRは、例えば、基準電位(GND電位)に接地されている。
なお、図16では、記録再生膜を含むメモリ部MUを電気抵抗として表示している。また、図16では、図示を簡単にするために、各ワード線WLと各ビット線BLが交差する領域に配置された複数のメモリセルMC1のうち1つにのみ符号を付している。
<メモリセルアレイの動作>
本実施の形態2におけるメモリセルアレイMA1は、上記のように構成されており、以下に、その動作について説明する。具体的に、メモリセルアレイMA1は以下に示すように動作する。
例として、前記実施例1に記載されたXがGe原子の場合の(SnGeSb)Te/SbTe超格子膜を記録再生膜に用いた場合について説明する。図17(a)は、(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリを模した簡易素子のリード抵抗のパルス電圧依存性を示すグラフであり、図17(b)は、リード抵抗のダイナミック電流依存性を示すグラフである。このとき、セット電圧は、例えば、約0.20Vであり、リセット電圧は、例えば、約0.46Vであった。また、セット電流は、例えば、約4μAであり、リセット電流は、例えば、約10μAであった。この簡易素子を(SnGeSb)Te/SbTe超格子相変化メモリの記録再生膜に用いた場合について説明する。
まず、図16に示す選択セルSMCであるメモリセルMC1のゲート電極に接続されたワード線WL1に、例えば、2Vを印加し、選択セルSMCの選択トランジスタSTをオン状態にする。また、選択セルSMCのドレイン領域DRにメモリ部MUを介して接続されたビット線BL1に、リセット動作時には、例えば、0.5Vを印加し、セット動作時には、例えば、0.2Vを印加し、読み出し動作時には、例えば、0.05Vを印加する。そして、ワード線WL1以外のワード線WL2、WL3、WL4、および、WL5の電位を、例えば、0Vとし、ビット線BL1以外のビット線BL2、BL3、および、BL4の電位を、例えば、0Vとする。
このとき、選択セルSMCでは、選択トランジスタSTがオン状態であるため、メモリ部MUの記録再生膜に電流が流れる。リセット動作の際には、選択セルSMCの記録再生膜に流れる電流(リセット動作用のプログラミング電流)によって、記録再生膜の原子配列または原子位置を変化させる。この結果、記録再生膜の抵抗値を高抵抗状態に変化させることにより、リセット動作が完了する。
一方、セット動作の際には、選択セルSMCの記録再生膜に流れる電流(セット動作用のプログラミング電流)によって、記録再生膜の原子配列または原子位置を変化させる。この結果、記録再生膜の抵抗値を低抵抗状態に変化させることにより、セット動作が完了する。読み出し動作の際には、選択セルSMCの記録再生膜に流れる電流値を判定することにより、情報の読み出しを行なう。
これに対し、ビット線BL2、BL3、および、BL4のいずれかに接続され、かつ、ワード線WL1に接続されたメモリセルでは、ビット線BL2、BL3、および、BL4の電位が0Vであり、記録再生膜の両端に電位差が生じないため、記録再生膜に電流が流れず、動作しないことになる。また、ビット線BL1、BL2、BL3、および、BL4のいずれかに接続され、かつ、ワード線WL2、WL3、WL4、および、WL5のいずれかに接続されたメモリセルでは、選択トランジスタがオフ状態となり、電流が流れないため、動作しない。このように、メモリセルアレイMA1では、選択セルSMC以外のメモリセルを不活性状態にしながら、対象となる選択セルSMCについて活性状態にすることにより、選択セルSMCについて、リセット動作、セット動作、あるいは、読み出し動作を実施することができる。
なお、上述したメモリセルアレイMA1の動作では、前記実施例1に記載された記録再生膜に用いた場合を例に挙げて、ワード線WLやビット線BLに印加する電圧を具体的に例示した。したがって、前記実施例2〜4に記載された記録再生膜に用いた場合においては、ワード線WLやビット線BLに印加する具体的な電圧値は相違することになるが、基本的なメモリセルアレイMA1の動作は、上述した動作と同様に行なうことができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、相変化メモリを含む半導体記録再生装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。なお、現在、実用化されているGST225に代表される相変化メモリに替わって、本発明の相変化メモリが半導体記録再生装置に適用される可能性が高い。
1S 半導体基板
ALP (SnXSb)Te合金相
BE 下部電極
BL ビット線
BL1 ビット線
BL2 ビット線
BL3 ビット線
BL4 ビット線
CP1 コンタクトプラグ
CP2 コンタクトプラグ
DR ドレイン領域
FDF 下地膜
FRL 自由層
FXL 固定層
GE ゲート電極
GOX ゲート絶縁膜
IDL1 層間絶縁膜
IDL2 層間絶縁膜
IDL3 層間絶縁膜
MC1 メモリセル
MA1 メモリセルアレイ
MRF 記録再生膜
MU メモリ部
M1 配線
M1a 配線
SDL シード層
SMC 選択セル
SR ソース領域
ST 選択トランジスタ
STI 素子分離領域
SW サイドウォールスペーサ
UE 上部電極
WL ワード線
WL1 ワード線
WL2 ワード線
WL3 ワード線
WL4 ワード線
WL5 ワード線

Claims (10)

  1. Sn、Sb、Teを含有し、かつ、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを含有する記録再生膜を備え、
    前記記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、
    前記(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む、相変化メモリ。
  2. 請求項1に記載の相変化メモリにおいて、
    前記元素Xは、Ge、Al、Mn、Cr、Mo、Nb、V、Siのいずれかの元素である、相変化メモリ。
  3. 請求項1に記載の相変化メモリにおいて、
    Sn酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(Sn)とし、
    Sb酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(Sb)とし、
    元素Xの酸化物の標準生成自由エネルギーをΔG°(X)とする場合、
    前記ΔG°(X)の絶対値は、前記ΔG°(Sn)の絶対値よりも大きく、かつ、前記ΔG°(Sb)の絶対値よりも大きい、相変化メモリ。
  4. 請求項1に記載の相変化メモリにおいて、
    前記自己組織化超格子構造は、少なくとも、ファンデルワールスギャップ層を含む第1部分格子と、空孔層を含む第2部分格子が超格子成長方向に隣接する構造を含む、相変化メモリ。
  5. 請求項4に記載の相変化メモリにおいて、
    前記空孔層は、Snの挿入と脱離が行なわれる層として機能し、
    前記ファンデルワールスギャップ層は、前記空孔層でのSnの挿入と脱離に起因する体積変化を緩和する緩衝層として機能する、相変化メモリ。
  6. 請求項1に記載の相変化メモリにおいて、
    前記記録再生膜の下層に、SbTeを含む下地膜が形成されている、相変化メモリ。
  7. 請求項6に記載の相変化メモリにおいて、
    前記下地膜の下層にシード層が形成されている、相変化メモリ。
  8. Sn、Sb、Teを含有し、かつ、元素Xを含有する記録再生膜を備え、
    前記記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、
    前記(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含み、
    前記元素Xは、Ge、Al、Mn、Cr、Mo、Nb、V、Siのいずれかの元素である、相変化メモリ。
  9. 複数のメモリセルを備え、
    前記複数のメモリセルのそれぞれは、
    (a)メモリセルを選択する選択トランジスタ、
    (b)前記選択トランジスタと電気的に接続されるメモリ部であって、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、SnとTeとの結合力やSbとTeとの結合力よりもTeとの結合力が強い元素Xを含有する記録再生膜を含む前記メモリ部、
    を有し、
    前記記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、
    前記(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含む、半導体記録再生装置。
  10. 複数のメモリセルを備え、
    前記複数のメモリセルのそれぞれは、
    (a)メモリセルを選択する選択トランジスタ、
    (b)前記選択トランジスタと電気的に接続されるメモリ部であって、Sn、Sb、Teを含有し、かつ、元素Xを含有する記録再生膜を含む前記メモリ部、
    を有し、
    前記記録再生膜は、(SnXSb)Te合金相を有し、
    前記(SnXSb)Te合金相は、自己組織化超格子構造を含み、
    前記元素Xは、Ge、Al、Mn、Cr、Mo、Nb、V、Siのいずれかの元素である、半導体記録再生装置。
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