JP2015102174A - 湿式摩擦材 - Google Patents

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Abstract

【課題】引き摺りトルクを低減する新たな技術を提供するものであって、摩擦部材の摺動面積を減少させることなく、引き摺りトルクを低減できる湿式摩擦材を提供する。【解決手段】平板リング形状のコアプレート2と、コアプレート2の主面に配設された摩擦部材3と、を備えた湿式摩擦材1であって、コアプレート2は、外周側面21に凹凸4を備える。また、この凹凸4を構成している各凹部5は、その底から、少なくとも一方の側に隣接された凸部6の頭頂に向けて、広がる形態とすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、湿式摩擦材に関する。更に詳しくは、油の存在下で利用される湿式摩擦材であって、湿式クラッチ及び湿式ブレーキ等に組み込むことができる湿式摩擦材に関する。
従来、湿式摩擦材を用いた湿式クラッチや湿式ブレーキが、トルク伝達や制動等に利用されている。具体的には、湿式クラッチは車両等の自動変速機で利用される。この湿式クラッチは、エンジン等の駆動源で生じた駆動力を、車軸等の被動体に伝達・遮断する機能を有する。例えば、駆動源と連動されたプレート状の湿式摩擦材と、被動体と連動されたセパレータプレートとを用いる場合、湿式摩擦材とセパレータプレートとはクリアランスを介して対向配置される。このような湿式クラッチでは、潤滑油が供給されており、潤滑油はプレート間に生じる摩擦熱の吸収や摩耗防止等を担う。そして、2種のプレートが離間したまま相対回転された状態(空転状態)では、駆動力は被動体へ伝達されない。一方、2種のプレートが互いに押し付けられた状態では駆動源の駆動力が被動体へ伝達される。
このような湿式クラッチでは、応答性向上の目的等から、2種のプレート間のクリアランスは小さく設定されるが、これらは非締結状態でも離間されたまま相対回転されるため、プレート間に介在された潤滑油や、プレート内外周に在る潤滑油によって「引き摺りトルク」を生じる。即ち、空転時にもエネルギーを消費してしまうという問題がある。このため、近年、急速に進展されている低燃費化対策として引き摺りトルクの低減が課題となっている。
引き摺りトルクを低減する技術としては、下記特許文献1が知られている。
特開2009−047229号公報
上記特許文献1では、コアプレートに配設される摩擦部材(セグメントピース)を加工して、引き摺りトルクを低減する技術が開示されている。具体的には、セグメントピースの外周及び内周をR加工することで引き摺りトルクを低減できる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、引き摺りトルクを低減できる一方で、セグメントピースの加工によって摺動面積が減少するという問題がある。過度に摺動面積を減少させると、湿式摩擦材の摩擦性能が低下するおそれがある。このため、引き摺りトルクの低減と摩擦性能の向上とが相反し、引き摺りトルク低減のみを目的として、セグメントピースを加工することが困難になるという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、引き摺りトルクを低減する新たな技術を提供するものであって、摩擦部材の摺動面積を減少させることなく、引き摺りトルクを低減できる湿式摩擦材を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
請求項1の湿式摩擦材は、平板リング形状のコアプレートと、前記コアプレートの主面に配設された摩擦部材と、を備えた湿式摩擦材であって、
前記コアプレートは、外周側面に凹凸を備えることを要旨とする。
請求項2の湿式摩擦材は、請求項1の湿式摩擦材において、前記凹凸を構成している各凹部が、その底から、少なくとも一方の側に隣接された凸部の頭頂に向けて、広がる形態であることを要旨とする。
請求項3の湿式摩擦材は、請求項1又は2に記載の湿式摩擦材において、前記凹凸を構成している各凸部のうち、隣接された凸部同士の頭頂間の角度が、0.5〜11度であることを要旨とする。
請求項4の湿式摩擦材は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材において、前記凹部の深さが、0.15mm以上であることを要旨とする。
本発明の湿式摩擦材は、平板リング形状のコアプレートと、このコアプレートの主面に配設された摩擦部材とを備え、コアプレートは外周側面に凹凸を備えている。
この構成により、摩擦部材の摺動面積を減少させることなく、引き摺りトルクを低減できる。即ち、コアプレートの外周側面に凹凸を備えることで、コアプレートの回転時に、外周側面が潤滑油から受ける粘性抵抗を軽減して引き摺りトルクを低減できる。具体的には、コアプレートが外周側面に凹凸を備えることで、凹部に空気が溜まり、これによって潤滑油が外周側面に与える粘性抵抗を軽減できる。一方、凸部は、凹部に油が浸入し難いようにブロックする機能を有し、凹部の空気溜まりを維持できる。この結果、外周側面と油との接触により生じていた引き摺りトルクを軽減できる。更に、この引き摺りトルクの低減は、コアプレートの加工のみで達成できるため、引き摺りトルク低減のために行う摩擦部材の加工の有無やその程度を選択でき、湿式摩擦材の設計自由度を大幅に向上できる。
本発明の湿式摩擦材は、請求項2に記載のように、凹凸を構成している各凹部が、その底から、少なくとも一方の側に隣接された凸部の頭頂に向けて、広がる形態とすることができる。
この構成、即ち、凸部の頭頂に向けて広がる形態により、凹部に浸入される油の排出を促進して、凹部により空気を溜めやすくできる。即ち、回転方向に対して後側の頭頂へ向けて凹部が広がる形態である場合、湿式摩擦材の回転によって凹部から油の排出を促すことができる。このため、凹部により空気を溜めやすくなり、引き摺りトルクを、より効果的に低減することができる。
本発明の湿式摩擦材は、請求項3に記載のように、凹凸を構成している各凸部のうち、隣接された凸部同士の頭頂間の角度を0.5〜11度とすることができる。
この構成により、頭頂間の角度が上記範囲以外の場合に比べで、凹部に浸入しようとする油を凸部がより効果的にブロックできる。このため、引き摺りトルクを、より効果的に低減できる。
本発明の湿式摩擦材は、請求項4に記載のように、凹部の深さを0.15mm以上とすることができる。
この構成により、凹部の深さが上記範囲以外の場合に比べて、凹部に空気を溜め易くできる。このため、引き摺りトルクをより効果的に低減できる。
本発明の湿式摩擦材の一例を説明する全体平面図及び一部拡大図である。 本発明の湿式摩擦材の一例を説明する全体斜視図及び一部斜視図である。 本発明の湿式摩擦材に用いられるコアプレートの一部を拡大して説明する平面図である。 本発明の湿式摩擦材に係るバリエーションを説明する一部斜視図である。 本発明の湿式摩擦材に係るバリエーションを説明する一部斜視図である。 本発明の湿式摩擦材に係るバリエーションを説明する一部斜視図である。 本発明の湿式摩擦材に係るバリエーションを説明する一部斜視図である。 本発明の湿式摩擦材に係るバリエーションを説明する一部斜視図である。 凹凸による作用を模式的に説明する説明図である。 実施例1−6及び比較例1の各々湿式摩擦材を用いて得られる引き摺りトルクと回転数との相関を示すグラフである。
以下、本発明を、図も参照しながら説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の湿式摩擦材1は、平板リング形状のコアプレート2と、コアプレート2の主面22に配設された摩擦部材3と、を備える。更に、コアプレート2は、その外周側面21に凹凸4(凹部5、凸部6)を備える(図1−図9参照)。
コアプレート2は、平板リング形状をなす。コアプレート2は、中央部が開孔されたリング形状(環形状)であればよいが、例えば、外径T(外周の直径)と内径T(スプライン内歯を除いた内周の直径)との比T/Tを1.02〜6にできる。この比は、1.07〜4が好ましく、1.1〜1.5がより好ましい。また、コアプレート2は、リング形状であるうえで平板の形態であればよいが、例えば、その厚さは0.3〜14.5mmにできる。この厚さは、0.5〜6mmが好ましく、0.7〜2.5mmがより好ましい。
また、コアプレート2は、どのような材料から形成されてもよいが、例えば、S35C、S55C、SPCC、NCH780等を用いることができる。
また、コアプレート2は、外周側面21と主面22とを有する。外周側面21は、凹凸4が形成される部位である。一方、主面22は、摩擦部材3が配設される面である。また、この主面22は、コアプレート2の表面及び/又は裏面に備えられている。
凹凸4は、コアプレート2の外周側面21に形成された凹部5と、コアプレート2の外周側面21に形成された凸部6と、から形成される。この凹部5と凸部6とは隣接して交互に配置されて凹凸4を形成している。ここで、凸部6の頭頂61はコアプレート2の外周上に位置している。
湿式摩擦材1は、この凹凸4を外周側面21に有することで、外周側面21による引き摺りトルクを低減し、湿式摩擦材1全体の引き摺りトルクを小さくできる。即ち、図9に説明するように、コアプレート2は、その外周側面21に凹凸4を備える。そして、コアプレート2は、回転時に凹部5に空気溜まり10の形成が観察されるが、これは以下の理由によるものと推測している。凹凸4の凸部6が回転すると、その回転方向に対して後ろ側に配置される凹部5には潤滑油が侵入し難くなる。つまり凸部6は凹部5への潤滑油の流入をブロックするブロック機能を有している。そして、この凸部6のブロック機能によって潤滑油の流入が抑えられた凹部5では、回転当初内在していた潤滑油が、コアプレート2の回転によって生じる遠心力や、相対的に外周を流通する潤滑油の流れによって引き起こされる負圧によりコアプレート2の外周へ移動する。潤滑油が移動された後の凹部5には凸部6のブロック機能により新たな潤滑油が補給されないため、凹部5には潤滑油のない部分が発生し、この部分が空気溜まり10となる。従って、この空気溜まり10の形成により、コアプレート2の外周側面21では、潤滑油から受ける潤滑油の粘性による粘性抵抗が減り、それによって、コアプレート2の外周側面21に発生する引き摺りトルクの低減が可能となる。
この引き摺りトルクの低減は、コアプレートの加工のみで達成できる。そのため、引き摺りトルク低減のために摩擦部材3の形状加工(例えば、前述の外周・内周のR加工)を行わない選択ができるようになる。また、コアプレート2の凹凸4の形成と、摩擦部材3の形状加工と、を併せて行うという選択もできる。後者の選択では、凹凸4を備えることによって得られる引き摺りトルクの低減効果と、摩擦部材3の形状加工によって得られる引き摺りトルクの低減効果と、を積算して得ることができる。即ち、コアプレート2の外周側面21に凹凸4を設けることによって、湿式摩擦材1の設計自由度を大幅に向上させることができる。
また、図9に説明するように、凹凸4は、これを構成している各凹部5の底51から、少なくとも一方の側に隣接された凸部6の頭頂61に向けて、広がる形態とすることができる(図1−図3及び図6−図8参照)。凹部5が、凸部6の頭頂61に向けて広がる形状となっている場合には、凹部5に浸入される潤滑油11の排出を促し、凹部5に空気溜まり10を形成しやすくできる。
凹凸4を構成する凸部6のうち、隣接された凸部6同士の頭頂61間の角度θ(図3のθ、θ’及びθ")は、特に限定されず、例えば、0.1〜20度とすることができる。また、図3における角度θ、角度θ’及び角度θ"は、各々同じ角度に揃えることもでき、異なる角度とすることもできる。例えば、全ての頭頂間の角度θを同じにすることができる(角度θと角度θ’と角度θ"とは全て同じ角度となる)。また、角度θと角度θ"とは同じ角度として、角度θ’はこれらと異なる角度にすることができる。即ち、1つ飛びに2種の異なる大きさの凹部5を1枚のコアプレート2内に共存させることができる。また、角度θとθ’を共通にしても同様である。更に、角度θと角度θ’と角度θ"とを全て異なる角度として、3種又はそれ以上の種類の異なる大きさの凹部5を共存させることができる。
上記の角度θは、上述のように、例えば、0.1〜20度の範囲で設定できるが、なかでも、0.5〜11度の角度範囲とすることが好ましい。この角度範囲では、それ以外の角度である場合に比べて、引き摺りトルクを低減する効果を特に顕著に得ることができる。この角度θは、更に、0.7〜11.0度がより好ましく、1.0〜10.5度が更に好ましい。
尚、隣接された凸部6同士の頭頂61間の角度θは、コアプレート2の軸中心(図示省略)と第1の凸部6の頭頂61を結ぶ半径Lと、コアプレート2の軸中心(図示省略)と第1の凸部6の隣接された第2の凸部6の頭頂61を結ぶ半径Lと、で形成される角度θである。
また、凹凸4を構成する凹部5の深さd(図3−図8参照)は限定されず、例えば、0.01mm以上とすることができる。また、各凹部5の深さは、各々同じ深さに揃えることもでき、異なる深さとすることもできる。例えば、1つ飛びの凹部5の深さを共通にして、2種以上の異なる深さの凹部5を共存させることができる。
上記の深さdは、上述のように、例えば、0.01mm以上の範囲で設定できるが、なかでも、0.1mm以上とすることが好ましい。この深さ範囲では、それ以下の深さである場合に比べて、引き摺りトルクを低減する効果を特に顕著に得ることができる。ここで深さdを大きくすると、摩擦部材3を配設する主面の面積が小さくなり摩擦部材3の形状が制約される。このため、深さdの最大値は摩擦部材3に要求される形状によって規定される。以上のことを考慮すると深さdは、更に、0.12〜5mmがより好ましく、0.15〜1mmが更に好ましい。
尚、凹部5の深さdは、凸部6の頭頂61を結んだ仮想外周曲線(コアプレート2の外周)を規定し、この仮想外周曲線の接線から凹部5の底51に向かった垂線を規定したときの当該仮想外周曲線と凹部5の底51との間の最大の垂線長さdである。
摩擦部材3は、コアプレート2の主面22に配設される。摩擦部材3は、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの接触程度によって、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの連動具合を調節する機能を有する。即ち、セパレータプレートに対するブレーキ機能(制動機能)や、セパレータプレートと湿式摩擦材1とを締結する機能等を有する。
この摩擦部材3は、どのようにコアプレート2に固定されていてもよいが、通常、コアプレート2に接合して固定される。その接合方法は限定されず、熱融着や、接着剤等を介した貼着等の方法を用いることができる。
摩擦部材3の形状は、限定されず、公知の種々の形状を採用できる。摩擦部材3は、その形状加工によって種々の形状にできる。そして、その形状によって様々に引き摺りトルクを低減することができる。このため、摩擦部材3には、各々の湿式摩擦材1の利用形態に適した適宜の加工を施した形状を採用できる。
また、摩擦部材3は、セグメントピースにして、コアプレート2の主面22の形状に従って環状に配置できる(図1−図8参照)。この場合、摩擦部材3(セグメントピース)間に間隙を設けて配設すれば、その間隙は、潤滑油を流通させるための油溝7として利用できる(図1−図8参照)。一方、予め環状に成形された1枚の摩擦部材3を、コアプレート2の主面22の形状に従ってそのまま配置した後、プレスによって必要な油溝を事後的に設けることもできる。即ち、コアプレート2に配設された摩擦部材3上から、必要な部位をプレスし、摩耗部材3と共にコアプレート2の表面を凹ませることで、その凹溝を油溝として利用できる。
摩擦部材3の構成は特に限定されないが、例えば、基材繊維と充填材を混ぜて抄造して得られた抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱硬化して得ることができる。
基材繊維としては、セルロース繊維(パルプ)、アクリル繊維、アラミド繊維等を利用できる他、各種の合成繊維、再生繊維、無機繊維、天然繊維等を利用できる。通常、この基材繊維は、平均長さ0.5〜5mm、繊維径0.1〜6μmのものが用いられる。
充填材としては、摩擦調整剤としてのカシューダスト、固体潤滑剤としてのグラファイト及び/又は二硫化モリブデン、体質顔料としてのケイソウ土等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂及び/又はその変性樹脂を用いることができる。
〔実施の形態〕
以下では、本発明を実施の形態によって説明する。尚、各実施の形態に共通する説明は省略する。
[実施の形態1]
実施の形態1の湿式摩擦材1(図1−図3参照)は、コアプレート2と、コアプレート2の主面22に配設された摩擦部材3と、を備える。更に、コアプレート2は、その外周側面21に凹凸4を備えている。
コアプレート2は、NCH780製であり、その内周に歯車状に形成されたスプライン内歯8を有している。スプライン内歯8は、湿式摩擦材1に対して回転軸となるハブの外周に配置されたスプラインと噛み合うことができるように配設される。そして、コアプレート2の外径T(凸部6の頭頂61によって規定される直径)と、コアプレート2の内径T(スプライン内歯8を除いたコアプレート2の内周によって規定される直径)との比T/Tは1.02〜6とされている。この形状により、摩擦部材3を配置する主面の面積を必要十分に確保できる。更に、コアプレート2の厚さは0.3〜14.5mmとされている。
凹凸4は、曲率半径が0.1〜3mmの円弧状の凸部6と、この凸部6に隣接された凹部5と、が交互に配置されて形成されている。凹部5は、当該凹部5の一方に隣接された頭頂61と、当該凹部5の底51と、当該凹部5の他方に隣接された頭頂61とによって滑らかに接続された曲線となっている。そして、底51は、外径T1(凸部6の頭頂61によって規定される直径)の1/2長さ(凸部6の頭頂61によって規定される半径)からd(深さ)だけ小さい長さ(T1/2−d)を半径とする仮想円上に配置されている。更に、凹部5の底51は、当該凹部5の両隣に隣接された頭頂61から等距離に配置されている。ここで底51は、仮想円上に一定の範囲を有するときは一定の範囲の部位を、仮想円上に1点を有するときはその点を指す。このような凹凸4は、ワイヤーソー等で付加できる。また、コアプレート2を製造する際の打ち抜きにより形成してもよい。
上述の凹凸4を構成する各凹部5は、その底51から、両隣に隣接された頭頂61に向けて広がる形態とされている。この形態により、凹部5に潤滑油が浸入した際に、湿式摩擦材1が回転することによって発生する遠心力や、コアプレート2の頭頂61によって規定される円周域を流通する潤滑油による負圧によって凹部5内から潤滑油を排出し易く、凹部5に空気が溜まりやすい形状となっている。
ここで凹部5の底51は、両隣に隣接された頭頂61間に配置されればよく、両頭頂61から等距離に配置されなくともよい。また、凹凸4は、凸部6と凹部5とがともに同じ曲率半径を有する円弧から形成されてもよい。即ち、所定の曲率半径でコアプレート2の遠心方向へ円弧状に突出された凸部6と、それと同じ曲率半径でコアプレート2の中心方向へ円弧状に凹んだ凹部5と、が滑らかに接続されてなる凹凸4であってもよい。これらの形態であっても、前述の通り、凹部5内から潤滑油を排出し易く、凹部5に空気が溜まりやすい形状であることに変わりはないからである。
この実施の形態1の湿式摩擦材1が有する凹部5は、その底51から、当該凹部5の両隣に配置された凸部6の頭頂61に向けて広がる形態となっている(図3参照)が、後述するように、本発明では、凹部5に隣接された一方の側の凸部6の頭頂61に向けてのみ広がる形態とすることもできる(図6及び図7参照)。
このような後者(片方にのみ広がった形態)の形態に対して、本実施の形態1(両側に広がった形態)は、湿式摩擦材1の回転方向に依らず潤滑油の排出を促すことができる。従って、実施の形態1の湿式摩擦材1は、回転方向を自在に設定できる。また、正回転・逆回転のいずれもの回転に対して対応できることから、設置可能箇所がより広範である。即ち、両側に広がった形態の凹部5を備えた湿式摩擦材(実施の形態1)は、その適用の自由度が高い。
更に、上記の凸部6の頭頂間の角度θ、即ち、コアプレート2の回転中心(図示省略)と所定の凸部6の頭頂61とを結ぶ線分Lと、コアプレート2の回転中心(図示省略)と所定の凸部6に隣接された他の凸部6の頭頂61とを結ぶ線分Lと、で形成される角度θは、0.5〜11度の範囲で全て同じ角度となるように設定されている。
尚、この角度θは、頭頂61間ごとに全て同じ角度であってもよいが、異なる角度であってもよい。また、凹部5の各々深さdは0.15〜3mmとされている。尚、この深さdは、凹部5ごとに全て同じ深さであってもよいが、異なる深さであってもよい。
またコアプレート2は、その両面に主面22が設けられて、この主面22に複数の摩擦部材3が接合されている。本形態の湿式摩擦材1では、コアプレート2の主面22の両面に摩擦部材3が接合されているが、コアプレート2の一方の面のみ(片面のみ)に摩擦部材3が接合されていてもよい。
この摩擦部材3は、各々が略弧状の形状をなしている。そして、複数枚の摩擦部材3は、所定の間隔を隔てて、コアプレート2上に全体として環状になるように配列されている。摩擦部材3同士の間に形成された間隙は、潤滑油の径外への排出を促す油溝7として機能される。
[実施の形態2]
実施の形態2の湿式摩擦材1(図4参照)は、実施の形態1(図3参照)と、凹凸4の形状が異なる。即ち、凹部5と凸部6とが、いずれも切り立った形状(即ち、凹部5の底51に対して略直角)をなしている。更に換言すれば、コアプレート2を平面視した場合に、凹部5と凸部6とを区切る壁211(図4参照)がコアプレート2の直径方向となるように形成されている。また、凹部5が占有するコアプレート2の外周長さ(外周方向の幅)に対して、凸部6が占有するコアプレート2の外周長さ、が大きくなるように凹凸4が形成されている。即ち、凹部5に対して、凸部6は大きく形成されている。また、凹部5は実施の形態1と同様に深さdに対応する半径で規定される円弧形状としているが、直線形状とすることや、実施の形態1のような凸部6とは反対に凸の円弧形状も有り得る。
実施の形態2の湿式摩擦材1(図4参照)は、上述の凹凸4を備えることで、凹部5に空気を溜めることができる。そして、凹部5に浸入しようとする潤滑油を凸部6がブロックする。その結果、コアプレート2の外周側面21の潤滑油から受ける粘性抵抗が減少し引き摺りトルクを小さくできる。つまり、従来の摩擦部材3によらずコアプレート2のみによっても引き摺りトルク低減効果を発揮できる。
ここで、実施の形態1における凹凸4(図3参照)と、実施の形態2における凹凸4(図4参照)と、を比べると、実施の形態1の凹凸4は、その凹部5が両隣に配置された凸部6の頭頂61に向けて広がる形態となっている(図3参照)。一方、実施の形態2における凹凸4は、その凹部5が両隣に配置された凸部6との間で切り立った壁211によって区切られている(図4参照)。この実施の形態2の凹凸4は、実施の形態1の凹凸4に比べると、凹部5内に浸入した潤滑油が、凹部5内から排出される際に、壁211に阻まれて、湿式摩擦部材1の回転による遠心力等だけでは凹部4の外へ排出され難い場合がある。この点で、実施の形態2における凹凸4よりも、実施の形態1における凹凸4の方が、凹部5から頭頂61に向かって傾斜を有していることから、この傾斜に沿って潤滑油が移動しやすくなるためより好ましい。
[実施の形態3]
実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)は、凹凸4の形状が実施の形態1(図3参照)と異なる。即ち、実施の形態2の湿式摩擦材1(図4参照)と同様に、凹部5と凸部6とが、いずれも切り立った形状(凹部5の底51に対して略直角)をなしている。一方、実施の形態2の湿式摩擦材1(図4参照)とは、凹部5及び凸部6が各々占有するコアプレート2の外周長さ(外周方向の幅)の点において異なっている。即ち、実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)は、凹部5が占有するコアプレート2の外周長さが、凸部6が占有するコアプレート2の外周長さ、よりも大きくされている。即ち、凸部6に対して凹部が大きく形成されている。
実施の形態3における凹凸4(図5参照)と、実施の形態2における凹凸4(図4参照)と、を比べると、実施の形態3の凹凸4(図5参照)は、凹部5が凸部6よりも大きく形成されている点で異なる。即ち、実施の形態2の凹凸4(図4参照)は、凹部5が凸部6よりも小さく形成されている。これらの2種のうちでは、実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)が好ましい。これは、実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)では、凸部6に対して凹部5が大きく形成されていることによって、凹部5に溜まる空気の体積を増やすことができ、結果として外周側面21の潤滑油から受ける粘性抵抗を大きく低減して、引き摺りトルクを小さくできるからである。
尚、上述の実施の形態2で説明したのと同様に、実施の形態1における凹凸4(図3参照)と、実施の形態3における凹凸4(図5参照)と、を比べた場合も、切り立った壁211(図5参照)によって区切られていないという点で実施の形態1が好ましい。
[実施の形態4]
実施の形態4の湿式摩擦材1(図6参照)は、凹凸4の形状が実施の形態1(図3参照)と異なる。即ち、実施の形態4の湿式摩擦材1(図6参照)は、凹凸4を構成している凹部5が、その底51から、一方の側に隣接された凸部6の頭頂61に向けてのみ広がる形態とされている。即ち、湿式摩擦材1の回転方向を前側とした場合に、凹部5の後側に配置された凸部6の頭頂61に向けて広がる斜面212を有している。この斜面212を有することにより、凹部5に潤滑油が浸入しても、湿式摩擦材1の回転が低回転で遠心力が大きく働かない場合には斜面212に沿って潤滑油がコアプレート2の外周方向へ押し出され、回転が高回転になると遠心力が大きく作用して凹部5から潤滑油を排出し易くできる。即ち、斜面212を通じて潤滑油を径外へ排出し易くして、凹部5に空気をより溜めやすくできる。その結果、潤滑油が外周側面21に及ぼす影響を大きく低減させることが可能となり、引き摺りトルクを小さくできる。即ち、凹部5が一方の側の凸部6の頭頂61に向けて広がる形態であることにより、実施の形態2の湿式摩擦材1(図4参照)や、実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)に比べて、引き摺りトルクを低減しやすい形態となっている。尚、凹部5の形状は実施の形態1や実施の形態2と同様な円弧形状や直線形状とすることができる。
[実施の形態5]
実施の形態5の湿式摩擦材1(図7参照)は、凹凸4の形状が実施の形態1(図3参照)と異なる。即ち、実施の形態5の湿式摩擦材1(図7参照)は、凹凸4を構成している凹部5が、その底51から、一方の側に隣接された凸部6の頭頂61に向けてのみ広がる形態とされている。即ち、湿式摩擦材1の回転方向を前側とした場合に、凹部5の後側に配置された凸部6の頭頂61に向けて広がる斜面212を有していて、実施の形態4(図6参照)と同様である。この斜面212を有することによる効果については、実施の形態4の湿式摩擦材1(図6参照)と同様であり、前述の通りである。
ここで、実施の形態5の湿式摩擦材1(図7参照)は、実施の形態4(図6参照)と同様に斜面212を有している。また、実施の形態5の湿式摩擦材1(図7参照)の凸部6は、図7下部に点線で囲って図示したように、実施の形態1(図3参照)における凸部6の半分(図7下部に点線内の斜線部分)を削り取った形態となっている。即ち、実施の形態5の湿式摩擦材1(図7参照)が有する斜面212は、実施の形態1(図3参照)と同じである。
そして、実施の形態5(図7参照)の斜面212と、実施の形態4(図6参照)の斜面212と、を比べると、前者の方が後者に比べて斜面212が緩く、また、距離が長く形成されている。即ち、実施の形態5(図7参照)の斜面212と凹部5の底51(底面)とで形成される角度は、実施の形態4(図6参照)の斜面212と凹部5の底51(底面)とで形成される角度よりも、大きい。この角度は、凹部5に浸入した潤滑油を排出という観点からは大きい方が好ましい。尚、凹部5の形状は実施の形態1や実施の形態2と同様な円弧形状や直線形状とすることができる。
[実施の形態6]
実施の形態6の湿式摩擦材1(図8参照)は、凹凸4の形状が実施の形態1(図3参照)と異なる。即ち、実施の形態6の湿式摩擦材1(図8参照)は、凹凸4を構成している凹部5が、その底51から、両方の側に隣接された凸部6の頭頂61に向けて広がった形態である点では同様である。しかし、広がり方が、凸部6の一方の側と他方の側とで異なっている。即ち、回転方向に対して前側に配置された斜面213と、回転方向に対して後側に配置された斜面212と、の形状が異なっており、凸部6は左右対称の形状をなしていない。このような形態では、回転方向に対して後側に配置された斜面212は、回転方向に対して前に配置された斜面213よりも、なだらかであることが好ましい。即ち、実施の形態6(図8参照)の斜面212と凹部5の底51(底面)とで形成される角度は、実施の形態6(図8参照)の斜面213と凹部5の底51(底面)とで形成される角度よりも大きいことが好ましい。
尚、斜面212を有することによる効果については、実施の形態4(図6参照)における場合と同様である。更に、凹部5の形状は実施の形態1や実施の形態2と同様な円弧形状や直線形状とすることができる。
〔試験例〕
以下では、本発明を試験例によって説明する。
[1]湿式摩擦材
(1)コアプレート
前述の実施の形態1の形状を有し、NCH780製、板厚0.96mm、外直径166mm(凸部の頭頂を繋いだ最外径)、内直径140mmの平板リング状を有する実施例1−6及び比較例1の7種類のコアプレートを用意した。このうち、実施例1−6のコアプレートは、外周側面に凹凸を備え、この凹凸の凸部は曲率半径が1mmのR形状をなしたコアプレートである(図1参照)。一方、比較例1は、外周側面に凹凸を備えないコアプレートである。更に、実施例1−6のコアプレートの凸部間角度(隣接された凸部同士の頭頂間の角度)及び凹部の深さは、各々以下の通りである。
実施例1:凸部間角度1.5度、凹部深さ0.1mm、
実施例2:凸部間角度1.5度、凹部深さ0.2mm
実施例3:凸部間角度 10度、凹部深さ0.1mm
実施例4:凸部間角度 10度、凹部深さ0.2mm
実施例5:凸部間角度 12度、凹部深さ0.1mm
実施例6:凸部間角度 12度、凹部深さ0.2mm
(2)摩擦部材
上記の形態の実施例1−6及び比較例1のコアプレートの表裏の主面に、片側40ピースずつ(1枚のコアプレートに合計80ピースを備える)の摩擦部材を配設した。各摩擦部材は、プレステンパーされたコアプレートの表面に、加圧加熱により接合されている。また、各摩擦部材は、パルプ及びアラミド繊維等の繊維基材と、カシューダスト等の摩擦調整剤と、珪藻土等の充填剤と、を抄造して得られた抄紙体に、熱可硬化性樹脂(樹脂結合剤)を含浸させて加熱硬化したものである。更に、摩擦部材は、各々巾10mm×高さ10mmの形状であり、実施例1−6及び比較例1とも全て材質は同じである。
更に、油溝の巾(隣接された摩擦部材同士の間の離間距離)は1.5mmとした。
Figure 2015102174
[2]引き摺りトルクと回転数との相関
上記[1]で得られた実施例1−6及び比較例1の湿式摩擦材の各3枚を、下記条件下でSAE摩擦試験機を用いて、その回転数500−4000rpmの間で測定した。得られた結果を表1及び図10にグラフにして示した。
自動変速機潤滑油(Automatic Transmission Fluid、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは当該登録商標とは無関係に以下「ATF」と略す。)油温:40℃、ATF油量:1000mL/分(軸芯潤滑)の環境下で、湿式摩擦材の集合体の回転速度を500〜4000rpmまで変化させ、500rpm、1500rpm、2000rpm、2500rpm、3000rpm、4000rpmの各7点において引き摺りトルク(N・m)を測定した。また、測定時間は15秒/各回転、繰返し回数は5回とした。
[3]試験例の効果
上記[2]の実験では、コアプレート2の少なくとも上側に位置される凹部5には、空気が溜まった状態で回転される現象が観察された。更に、凸部6が、凹部5の間に定期的に配置されていることにより、凸部6が凹部5への潤滑油の浸入を抑制している現象が観察された。
表1及び図10の結果から、比較例1の湿式摩擦材(凹凸4を有さない)に対して、実施例1−6の湿式摩擦材(凹凸4を有する)は、いずれの回転数においても、引き摺りトルクが小さくなっていることが分かる。即ち、コアプレート2の外周側面21に凹凸4を備えることで、引き摺りトルクを低減できることが分かる。
また、「実施例1(凸部間角度1.5度)と実施例3(凸部間角度10度)と実施例5(凸部間角度12度)」、「実施例2(凸部間角度1.5度)と実施例4(凸部間角度10度)と実施例6(凸部間角度12度)」、の各3つの実施例を組にして比較すると、いずれの組においても凸部間角度が小さい方が、引き摺りトルク低減効果に優れている。このことから、凸部間角度は12度を超える角度よりも12度以下が好ましく、12度よりも1.5〜10度の方が好ましく、10度よりも1.5度の方が好ましいことが分かる。
更に、「実施例1(凹部深さ0.1mm)と実施例2(凹部深さ0.2mm)」、「実施例3(凹部深さ0.1mm)と実施例4(凹部深さ0.2mm)」、「実施例5(凹部深さ0.1mm)と実施例6(凹部深さ0.2mm)」、の各2つの実施例を組にして比較すると、いずれの組においても後者の方の引き摺りトルク低減効果に優れている。このことから、凹部5の深さは0.1mmよりも0.2mmの方が好ましいことが分かる。
そして、実施例1−6の湿式摩擦材(凹凸4を有する)を比較すると、実施例2及び実施例4は、他の実施例に比べて引き摺りトルクを低減する効果が著しく優れている。このことから、凸部間角度と凹部深さとを比較した場合には、凹部深さの大きさによる引き摺りトルク低減効果の方が、凸部間角度の大きさによる引き摺りトルク低減効果よりも、影響が大きいことが分かる。
更に、実施例2と実施例4とを比較すると、実施例2は、500〜1000rpmの低回転域と、2500〜4000rpmの高回転域と、においては実施例4よりも、引き摺りトルク低減効果が優れていることが分かる。一方、実施例4は、1500〜2500rpmの中回転域において実施例2よりも、引き摺りトルク低減効果が優れていることが分かる。このことから、実施例2の形状の凹凸4と、実施例4の形状の凹凸4と、を1枚のコアプレート内に併存させることもできる。即ち、例えば、実施例2の形状の凹凸4と、実施例4の形状の凹凸4と、を交互に配置して全体として、これらの異なる凹凸を併存させることができる。
更に、比較例1と実施例2との比較、及び、比較例1と実施例4との比較、から本湿式摩擦材1の引き摺りトルクの低減効果は、低回転時にも優れているが、高回転時には更に優れた効果を発揮できることが分かる。
即ち、比較例1と実施例2との比較した場合、各回転数での引き摺りトルクの低減率は、500rpmで24.8%、1000rpmで23.7%、1500rpmで28.0%、2000rpmで29.4%、2500rpmで46.0%、3000rpmで47.4%、4000rpmで54.4%、である。この結果から、500rpmでの低減率に対して、4000rpmでの低減率は2.2倍に達している。即ち、高回転時には低回転時の2倍以上の効果が発揮されたことが分かる。
同様に、比較例1と実施例4との比較した場合、各回転数での引き摺りトルクの低減率は、500rpmで19.6%、1000rpmで21.8%、1500rpmで33.5%、2000rpmで37.0%、2500rpmで34.0%、3000rpmで28.4%、4000rpmで35.4%、である。この結果から、実施例2の湿式摩擦材に比べると、高回転時の効果は小さくなっているものの、それでも、500rpmでの低減率に対して、4000rpmでの低減率は1.8倍となっている。即ち、高回転時には低回転時の1.8倍の効果が発揮されたことが分かる。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
本発明の湿式摩擦材の用途は特に限定されず、例えば、自動車(四輪自動車、二輪自動車等)、鉄道車両、船舶、飛行機等において広く適用される。このうち自動車用品としては、自動変速機(オートマチックトランスミッション、AT)に好適に用いられる。本湿式摩擦材は、変速機内で1枚のみ用いられてもよく、複数枚が用いられてもよいが、複数枚が用いられることが好ましい。本湿式摩擦材は、1つの変速機内でより多く用いられる方が、積算的に大きな効果を得ることができる。即ち、湿式摩擦材の利用枚数が多い湿式多板クラッチにおいてより効果的に引き摺りトルクを低減できる。
1;湿式摩擦材、
2;コアプレート、21;外周側面、22;主面、
3;摩擦部材(セグメントピース)、
4;凹凸、
5;凹部、51;凹部の底、
6;凸部、61;凸部の頭頂、
7;油溝、
8;スプライン内歯。

Claims (4)

  1. 平板リング形状のコアプレートと、前記コアプレートの主面に配設された摩擦部材と、を備えた湿式摩擦材であって、
    前記コアプレートは、外周側面に凹凸を備えることを特徴とする湿式摩擦材。
  2. 前記凹凸を構成している各凹部は、その底から、少なくとも一方の側に隣接された凸部の頭頂に向けて、広がる形態である請求項1に記載の湿式摩擦材。
  3. 前記凹凸を構成している各凸部のうち、隣接された凸部同士の頭頂間の角度は、0.5〜11度である請求項1又は2に記載の湿式摩擦材。
  4. 前記凹部の深さは、0.15mm以上である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材。
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