JP2015101975A - 蒸気タービンプラント起動制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(構成)
図1は、本実施形態に係る蒸気タービン発電プラント100のシステム構成図である。図1に示すように、蒸気タービン発電プラント100は蒸気タービンプラント1と起動制御装置(プラント制御装置)2とで構成されている。以下、蒸気タービンプラント1及び起動制御装置2について説明する。
蒸気タービンプラント1は不図示の熱源装置、蒸気発生設備、蒸気タービン、発電機、調整装置等を備えている。
起動制御装置2は、蒸気タービンプラント1の状態量パラメータの初期値を入力し、これに基づき蒸気タービンプラント1の調整装置への指令値を計算して出力する。この機能を果たすために、起動制御装置2は、初期状態パラメータ取得回路11、記憶回路(データベース)12、操作量決定回路13、起動スケジュール生成回路14、起動制御回路15を備えている。各構成要素について次に順次説明していく。
初期状態パラメータ取得回路11は、蒸気タービンプラント1のプラント状態量に関して状態量パラメータの初期値を取得し、操作量決定回路13に出力する。蒸気タービンプラント1の状態量パラメータの初期値とは、蒸気タービンプラントの起動時における各構成機器の暖気状態を表す値である。状態量パラメータとしては、例えば、蒸気タービンプラント1が停止してから経過した時間(停止後経過時間)、蒸気タービンプラント1の被加熱部の温度、熱応力、熱変形、熱伸び、及び熱伸び差などがある。これらは計測値でも、計算値でも、事前の予測値でもよい。上述の被加熱部とは、蒸気タービンプラント1の蒸気タービンの蒸気流入部メタル、蒸気タービンのタービンロータ、蒸気タービンの車室、蒸気タービンプラント1の蒸気発生設備の伝熱管、及び蒸気発生設備の管寄せ(熱交換部)などである。
記憶回路12には、蒸気タービンプラントの状態量パラメータの初期値と、状態量パラメータの初期値に応じて設定された複数のフェーズ時間長及び制御目的量に関する制御基準値を含むプラント操作量の計画値(以降、プラント操作量)との相関関係に関するデータが2組以上格納されている。
・熱源装置の負荷上昇時間:熱源装置の負荷が一定に近い上昇率で上昇し続ける時間をいう。
・熱源装置の負荷保持時間:熱源負荷の負荷かある負荷帯でほぼ一定に保たれる時間をいう。
・蒸気タービン回転数上昇時間:蒸気タービンの回転数が一定に近い上昇率で上昇し続ける時間をいう。
・蒸気タービン回転数保持時間:蒸気タービンの回転数かある回転数でほぼ一定に保たれる時間であって、ヒートソーク時間と呼ばれる。
・蒸気タービン負荷保持時間:蒸気タービンの負荷がある負荷帯でほぼ一定に保たれる時間をいう。
・熱源装置の負荷上昇率:単位時間当たりの熱源装置の負荷の上昇量をいう。
・熱源装置の保持負荷帯:熱源負荷の負荷がほぼ一定に保たれるように予め定められた負荷帯をいう。
・蒸気タービン回転数上昇率:単位時間当たりの蒸気タービンの回転数の上昇量をいう。
・蒸気タービン保持回転数:蒸気タービンの回転数がほぼ一定に保たれるように予め定められた回転数をいう。
・蒸気タービン通気蒸気温度:蒸気タービンに通気を開始する時の蒸気温度をいう。
操作量決定回路13は、初期状態パラメータ取得回路11で取得した蒸気タービンプラント1の状態量パラメータの初期値と、記憶回路12から読み出した上述のプラント操作量との相関関係のデータとを入力し、これらに基づいて、状態量パラメータの初期値に応じてプラント操作量が連続的に変化するようなプラント操作量と状態量パラメータの初期値との関係線(後の図3参照)を決定して起動スケジュール生成回路14に出力する。ここで、本願明細書でいう「連続的に変化する」とは、連続する各フェーズにおけるプラント操作量を示す線が同じ値で繋がっていて、離散的箇所を含まないことをいう。
起動スケジュール生成回路14は、操作量決定回路13で決定されたプラント操作量を入力し、これらを基に複数のフェーズの各起動スケジュールを生成し、これら各起動スケジュールを繋ぎ合わせて蒸気タービンプラント1の起動開始から完了までの起動スケジュールを生成する。
起動制御回路15は、起動スケジュール生成回路14で生成された起動スケジュールに基づいて蒸気タービンプラント1の調整装置への指令値を計算して出力する。言い換えれば、起動制御回路15は熱源装置の負荷、蒸気タービンの回転数、蒸気タービンの負荷などの制御目的量を起動スケジュール生成回路14で作成された起動スケジュールに追従させる。プラント制御方法としては、例えば、熱源装置の負荷状態についての起動スケジュールを入力し、熱源装置の負荷の変化量を基に、熱源装置の負荷状態を調整する調整装置への指令値を計算し出力する方法や、熱源装置内流体温度についての起動スケジュールを入力し、熱源装置に供給する熱源媒体の量を基に、熱源媒体の供給量を調整する調整装置(バルブ)への指令値を計算し出力する方法など、公知の制御方法を適用することができる。
次に、起動スケジュールの生成動作について説明する。以下では、停止後経過時間を状態量パラメータとして採用した場合における熱源装置の負荷の起動スケジュールの生成動作を例示する。
・フェーズP1:熱源装置の負荷が0%で保持される段階。
・フェーズP2:熱源装置の負荷が0%から保持負荷帯L%まで引き上げられる段階。
・フェーズP3:熱源装置の負荷が保持負荷帯L%で保持される段階。
・フェーズP4:熱源装置の負荷が保持負荷帯L%から100%まで引き上げられる段階。
・停止後経過時間θのデータ(停止後経過時間θd)
・停止後経過時間θdに応じて設定された各フェーズ時間長τ1(θd)、τ2(θd)、τ3(θd)、τ4(θd)のデータ
・保持負荷帯L
の相関関係に関するデータを1組として、2組以上のデータを格納している。これらデータは、対応付けられた1組みの停止後経過時間θd、各フェーズ時間長τ1(θd)〜τ4(θd)、保持負荷帯Lを含む行(または列)を複数有する配列形式(以降、停止後経過時間θd、各フェーズ時間長τ(θd)、保持負荷帯Lの対応表)で記憶回路12に格納されている。ここで、τ1(θd)はフェーズP1の時間長、τ2(θd)はフェーズP2の時間長、τ3(θd)はフェーズP3の時間長、τ4(θd)はフェーズP4の時間長である(以降、これらを各フェーズ時間長τ(θd)と記す)。
フェーズ時間長τ(θ)の演算方法の一例として線形補間方法を以下に示す。
(i)停止後経過時間θが、停止後経過時間θd(1)未満の場合、フェーズ時間長τ(θ)=τ(θd(1))とする。
(ii)停止後経過時間θが、停止後経過時間θd(2)以上で、停止後経過時間θd(N−1)未満の場合、フェーズ時間長τ(θ)を下式より計算する。
θd(n)≦θ<θd(n+1)において、
以下の例は、図2に示した熱源装置の負荷の起動スケジュールLH(t)を作成する方法である。
(i)起動開始後経過時間tが、0以上で、τ1(θ)未満の段階(フェーズP1)、
(i)起動開始後経過時間tが、Στ(m−2)以上で、Στ(m−1)未満の段階(フェーズP(m−1))、
(1)計算処理の簡略化
本実施形態では、蒸気タービンプラントの起動開始後経過時間を複数のフェーズに区切ることで、例えば熱源装置の負荷上昇時間や熱源装置の負荷保持時間などのフェーズ時間長を起動スケジュールの生成の基礎として有効に活用することができる。さらに、記憶回路12に格納する状態量パラメータの初期値とプラント操作量との相関関係に関するデータには、例えば従来のモード別起動の起動スケジュールに用いられていた実績値のデータを有効的に活用することができる。そのため、予測計算を多用する場合に比べて複雑な計算処理を必要とせず、蒸気タービンプラントの状態量パラメータの初期値に応じた起動スケジュールを簡便に生成することができる。
図3は蒸気タービンプラントの停止後経過時間θとフェーズ時間長τ(θ)との関係を示す図である。図3において、実線は本実施形態の場合におけるフェーズ時間長τ(θ)の推移を示しており、点線はモード別起動の場合におけるフェーズ時間長τ(θ)の推移を示している。図3に示すように、モード別起動の場合、同一モードでは停止後経過時間θの値に関わらずフェーズ時間長τ(θ)が一定であり、特に各モードにおいて停止後経過時間θの値が小さい条件では必要以上にフェーズ時間長τ(θ)が長く設定されている。それに対し、本実施形態において、操作量決定回路13で計算されるフェーズ時間長τ(θ)は、停止後経過時間θに応じて連続的に変化する。これにより、起動所要時間が停止後経過時間θに応じて連続的に変化する起動スケジュールLH(t)を生成できる。また、上述の実績値のデータを有効的に活用することができる。この実績値は制約条件を満たした運用実績下の値である。そのため、任意の停止後経過時間θに応じて制約条件を満足しながら蒸気タービンプラントの所要起動時間を短縮し得る起動スケジュールを作成することができる。なお、記憶回路12に格納する状態量パラメータの初期値とプラント操作量との相関関係に関するデータは上述の実績値に限られない。例えば、適当な実績値がない場合には理論値を用いてもよい。この場合でも、制約条件を考慮して設定された理論値であれば実績値と同様に制約条件を満足した起動スケジュールが得られる。
(構成)
図4は本実施形態に係る蒸気タービン発電プラント101のシステム構成図である。図4において、上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図4において、操作量決定回路13は、第1実施形態と同じ要領で各フェーズ時間長τ(θ)を演算し、これを所要起動時間計算回路21に出力する。
所要起動時間計算回路21は、操作量決定回路13が演算した各フェーズ時間長τ(θ)の総和として所要起動時間Φ(θ)を計算する。図2の起動スケジュールのひな型の場合、所要起動時間Φ(θ)はフェーズP1〜P4の各フェーズ時間長τ1(θ)〜τ4(θ)の総和として以下のように計算される。
Φ(θ)=τ1(θ)+τ2(θ)+τ3(θ)+τ4(θ)
起動完了時刻T3の計算方法
図11は蒸気タービンプラント1の起動開始時刻T2、所要起動時間Φ(θ)、起動完了時刻T3の関係を示す図である。図11に例示するように、起動完了時刻T3は起動開始時刻T2と所要起動時間Φ(θ)の和として計算される。
図4に示すように、出力回路22は、所要起動時間計算回路21で計算された所要起動時間Φ(θ)または起動完了時刻T3を入力し、出力装置に出力する。出力装置の出力方法は、蒸気タービンプラント1を管理するオペレータが出力内容を確認できればよく、ディスプレイ表示、印刷媒体表示、音声通知等の公知の出力方法を適用することができる。
上記構成により、本実施形態では上述した第1実施形態で得られる各効果に加えて、次の効果が得られる。
(構成)
図6は本実施形態に係る蒸気タービン発電プラント102のシステム構成図である。図6において、上記第2実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
起動開始時刻計算回路31は、所要起動時間計算回路21から出力される停止後経過時間θm及び所要起動時間Φ(θm)の対応表と、入出力回路32(後述する)から出力される蒸気タービンプラントのオペレータが入力した起動完了時刻(以降、所望起動完了時刻Tn4)とを入力し、所望起動完了時刻Tn4で起動完了するために蒸気タービンプラント1の起動を開始すべき時刻(以降、起動開始すべき時刻Tn2)を計算して入出力回路32に出力する。以下、起動開始すべき時刻Tn2の計算方法の一例を説明する。
図14に示すように、起動開始時刻計算回路31は、停止後経過時間θmと所要起動時間Φ(θm)の対応表に基づき停止後経過時間θmごとに蒸気タービンプラント1の停止時刻T1から次の起動の起動完了時刻T3までの時間(以降、非稼動時間Ω)を計算する。具体的には、図11に示すように、非稼動時間Ωは停止後経過時間θと所要起動時間Φ(θ)との和として計算される(非稼動時間Ω=停止後経過時間θ+所要起動時間Φ(θ))。
次に、起動開始時刻計算回路31は、予め用意された、入力の列及び入力の列と同じ長さの出力の列を備え、入力された値を入力の列から検索し、検索した行における(入力された値に対応する)出力の列の値を出力する関数に対し、入力の列にステップS1で計算された、停止後経過時間θmに応じた非稼動時間Ωmを設定し、出力の列に停止後経過時間θmを設定し、停止後経過時間θを計算する関数を生成する。
次に、起動開始時刻計算回路31は、蒸気タービンプラント1の停止時刻T1から所望起動完了時刻Tn4までの時間(以降、所望非稼動時間Ωn)及び停止時刻T1から起動開始すべき時刻Tn2までの時間(以降、待機すべき時間θn)を計算する。以下、所望非稼動時間Ωn及び待機すべき時間θnの計算方法についてそれぞれ説明する。
図12は蒸気タービンプラントの停止時刻T1、所望起動完了時刻Tn4、所望非稼動時間Ωn等の関係を示す図である。図12に示すように、所望非稼動時間Ωnは、所望起動完了時刻Tn4と停止時刻T1の差として計算される。
待機すべき時間θnは、ステップS2で生成された非稼動時間Ωを入力として待機時間θを出力する関数に上述で計算された所望非稼動時間Ωnを入力して計算される。この計算で出力される待機すべき時間θnは、図12に示す関係により、停止時刻T1から起動開始すべき時刻Tn2までの時間となる。
次に、起動開始時刻計算回路31は、起動開始すべき時刻Tn2を、図12に示す関係により、停止時刻T1とステップS3で計算された待機すべき時間θnの和として計算する。
入出力回路32は、蒸気タービンプラント1を管理するオペレータが入力装置を介して入力した所望起動完了時刻Tn4を入力し、起動開始時刻計算回路31に出力する。また、起動開始時刻計算回路31で計算された、所望起動完了時刻Tn4に起動を完了するための起動開始すべき時刻Tn2を入力し、出力装置に出力する。オペレータから入力装置への入力方法は、キーボード入力等の公知の入力方法を適用することができる。また、入出力回路32から出力装置への出力方法は、ディスプレイ表示、印刷媒体表示、音声通知等の公知の出力方法を適用することができる。
上記構成により、本実施形態では上述した各実施形態で得られる各効果に加えて、次の効果が得られる。
(構成)
図7は本実施形態に係る蒸気タービン発電プラント103のシステム構成図である。図7において、上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図7に示すように、プラント状態量計算回路41は蒸気タービンプラント1のプラント状態量と制限値との偏差δ(θ)を計算し、データベース更新回路42(後述する)に出力する。
図7に示すように、データベース更新回路42は、プラント状態量計算回路41から出力されたプラント状態量と制限値との偏差δ(θ)を入力し、また、操作量決定回路13で計算された停止後経過時間θとこれに応じた各フェーズ時間長τ(θ)を入力し、偏差δ(θ)の大きさが予め決定された規定値以上である場合には記憶回路12に信号を出力し、偏差δ(θ)が小さくなるように記憶回路12のデータベースを更新する。例えば、データベース更新回路42は、偏差δ(θ)に余裕があればフェーズ時間長τ(θ)を短くし、差δ(θ)に余裕がなければフェーズ時間長τ(θ)を長くするような、停止後経過時間θとフェーズ時間長τ(θ)との対応関係を生成し、記憶回路12に既に同じ停止後経過時間θに対応するフェーズ時間長τ(θ)がある場合には上書きして更新する。
ここで、制限値との差の反映係数βは予め定められた値であり、温度の計測誤差や、熱応力、熱変形、熱伸びなどの計算精度や、制限値の設定精度などが考慮されている。
・偏差δ(θ)が余裕幅α2以上の場合、データベース更新回路42は、偏差δ(θ)と余裕幅α2との差から以下の式に基づき、フェーズ時間長τ(θ)が短くなるような更新フェーズ時間長τa(θ)を計算し(ステップS4)、ステップS5に移る。
次に、データベース更新回路42は、記憶装置12に同じ停止後経過時間θに対応するフェーズ時間長τ(θ)が既に格納されているかどうか判断する(ステップS5)。同じ停止後経過時間θに対応するフェーズ時間長τ(θ)が格納されている場合にはステップS6に進み、格納されていない場合にはステップS7に進む。
上記構成により、本実施形態では上述した第1実施形態で得られる各効果に加えて、次の効果が得られる。
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び置換をすることも可能である。
停止後経過時間θからフェーズ時間長τ(θ)を計算する近似式を生成し、この近似式に基づき各フェーズ時間長τ(θ)を計算する。この近似式を生成する際には、線形式、非線形式等の式を予め決定し、式を構成する各項の係数を記憶回路12に格納された停止後経過時間θdと各フェーズ時間長τ(θd)との対応表に基づき決定する。なお、操作量決定回路13が予め上述の近似式を格納していれば起動制御装置2は記憶回路12を備えていなくてもよい。この場合、新たなデータを蓄積して今後の起動制御に活用することはできないが、既存のデータを最大限活用することにより起動制御装置2をより低コストで構築できる。
上述した線形補間方法又は近似式を用いる方法により停止後経過時間θを変化させて任意の複数の停止後経過時間θとこれらに対応するフェーズ時間長τ(θ)とを予め計算しておく。一方で、入力の列及び入力の列と同じ長さの出力の列を備え、入力された値を入力の列から検索し、検索した行における(入力された値に対応する)出力の列の値を出力する関数を事前に用意する。そして、この関数の入力の列と出力の列に、上述の任意の停止後経過時間θとこれに対応するフェーズ時間長τ(θ)をそれぞれ設定し、停止後経過時間θを入力としてフェーズ時間長τ(θ)を出力とする関数を生成する。そして、この関数を用いて停止後経過時間θからフェーズ時間長τ(θ)を計算する。なお、操作量決定回路13が上述の関数を備えていれば、起動制御装置2は記憶回路12を備えていなくてもよい。この場合、上述の近似式を用いる計算方法と同様に、新しいデータを蓄積して活用することはできないが、既存のデータを最大限活用することにより起動制御装置2をより低コストで構築できる。
停止後経過時間θから所要起動時間Φ(θ)を計算する近似式を生成し、この近似式に基づき所要起動時間Φ(θ)を計算する。この近似式を生成する際には、線形式、非線形式等の式を予め決定されし、式を構成する各項の係数を、記憶回路12に格納された停止後経過時間θdとこれに応じて設定された各フェーズ時間長τ(θd)との対応表に基づき決定する。この各項の係数は、例えば停止後経過時間θdから各フェーズ時間長τ(θd)を計算する近似式の各項の係数をそれぞれ総和すればよい。あるいは、操作量決定回路13で停止後経過時間θから各フェーズ時間長τ(θ)を計算する近似式が用いられている場合には、この近似式に基づいて停止後経過時間θから所要起動時間Φ(θ)を計算する近似式の各項の係数を決定する。停止後経過時間θから所要起動時間Φ(θ)を計算する近似式の各項の係数は、例えば停止後経過時間θから各フェーズ時間長τ(θ)を計算する近似式の各項の係数をそれぞれ総和すればよい。なお、所要起動時間計算回路21が、上述の停止後経過時間θから所要起動時間Φ(θ)を計算する近似式を備えていれば、操作量決定回路13から各フェーズ時間長τ(θ)に関する信号を出力する必要がないため信号処理を簡略化することができる。
上述した、全てのフェーズ時間長τ(θ)を総和する方法や近似式を用いる方法などにより、停止後経過時間θを変化させて任意の複数の停止後経過時間θとこれらに対応する所要起動時間Φ(θ)とを予め計算しておく。一方で、入力の列及び入力の列と同じ長さの出力の列を備え、入力された値を入力の列から検索し、検索した行における(入力された値に対応する)出力の列の値を出力する関数を事前に用意する。そして、この関数の入力の列と出力の列に、上述の任意の停止後経過時間θとこれに対応する所要起動時間Φ(θ)をそれぞれ設定し、停止後経過時間θを入力として所要起動時間Φ(θ)を出力する関数を生成する。そして、この関数を用いて停止後経過機時間θから所要起動時間Φ(θ)を計算する。なお、所要起動時間計算回路21が上述の関数を備えていれば、操作量決定回路13から各フェーズ時間長τ(θ)に関する信号を出力する必要がないため信号処理を簡略化することができる。
2 起動制御装置
11 初期状態パラメータ取得回路
12 記憶回路
13 操作量決定回路
14 起動スケジュール生成回路
15 起動制御回路
Claims (10)
- 熱源媒体で低温流体を加熱して高温流体とする熱源装置と、
前記高温流体との熱交換により蒸気を発生させる蒸気発生設備と、
前記蒸気で駆動される蒸気タービンとを備えた蒸気タービンプラントの起動制御装置において、
前記蒸気タービンプラントのプラント状態量に関して状態量パラメータの初期値を取得する初期状態パラメータ取得回路と、
前記蒸気タービンプラントの起動開始から完了までの複数のフェーズの時間長及び制御目的量に関する制御基準値を含むプラント操作量と前記状態量パラメータの初期値との相関関係を格納した記憶回路と、
前記初期状態パラメータ取得回路で取得した状態量パラメータの初期値と前記記憶回路に格納された前記相関関係とを基に前記状態量パラメータの初期値に応じた複数のフェーズの各時間長及び制御基準値を決定する操作量決定回路と、
前記操作量決定回路で演算された前記複数のフェーズの各時間長及び前記制御基準値を基に前記制御目的量について前記複数のフェーズの各起動スケジュールを生成し、前記複数のフェーズの各起動スケジュールを繋ぎ合わせて前記蒸気タービンプラントの起動開始から完了までの起動スケジュールを生成する起動スケジュール生成回路と、
前記起動スケジュール生成回路で生成された前記起動スケジュールに従って前記蒸気タービンプラントへの指令値を生成し前記蒸気タービンプラントに出力する起動制御回路とを備えることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項1に記載の起動制御装置において、
前記フェーズ時間長は、前記熱源装置の負荷上昇時間、前記熱源装置の負荷保持時間、前記蒸気タービンの回転数上昇時間、前記蒸気タービンの回転数保持時間、及び前記蒸気タービンの負荷保持時間の少なくとも一つであり、前記制御目的量は、前記熱源装置の負荷上昇率、前記熱源装置の保持負荷帯、前記蒸気タービンの回転数上昇率、前記蒸気タービンの保持回転数、及び前記蒸気タービンの通気蒸気温度の少なくとも一つであることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項1に記載の起動制御装置において、
前記プラント状態量は、前記蒸気タービンプラントの停止後経過時間、前記蒸気タービンプラントの被加熱部の温度、熱応力、熱変形、及び熱伸び差の少なくとも一つであることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項1に記載の起動制御装置において、
前記操作量決定回路から出力された前記複数のフェーズの時間長に基づき、前記蒸気タービンプラントの所要起動時間又は起動完了時刻を計算する所要起動時間計算回路と、
所要起動時間計算回路で計算された前記所要起動時間又は前記起動完了時刻を出力装置に出力する出力回路とを備えることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項4に記載の起動制御装置において、
入力装置及び出力装置との間で信号を授受する入出力回路と、
前記入力装置から前記入出力回路に入力された前記蒸気タービンプラントの前記所望起動完了時刻と、前記状態量パラメータの初期値及び前記所要起動時間計算回路で計算された前記所要起動時間とに基づき、前記所望起動完了時刻に前記蒸気タービンプラントの起動を完了するために起動を開始すべき時刻を計算して前記入出力回路を介して前記出力装置に出力する起動開始時刻計算回路とを備えることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項1に記載の起動制御装置において、
前記蒸気タービンのプラント状態量の少なくとも一つを計算し、予め決められた制限値との偏差を計算するプラント状態量計算回路と、
前記偏差の大きさが予め決定された規定値以上である場合に前記偏差が小さくなるように前記記憶回路のデータベースを更新するデータベース更新回路とを備えることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項6に記載の起動制御装置において、
前記プラント状態量は、前記蒸気タービンの被加熱部に発生する温度差、熱応力、前記蒸気タービンの回転部と静止部との熱伸び差、及び前記蒸気タービンの車室の変形量の少なくとも一つであることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項4に記載の起動制御装置において、
前記出力装置には、前記出力回路からの信号に基づき、前記蒸気タービンプラントの停止時刻、計画している起動開始時刻、前記計画している起動開始時刻で起動した場合の起動完了時刻を含めた、前記状態量パラメータの初期値と前記起動完了時刻との関係を示すグラフが表示されることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項5に記載の起動制御装置において、
前記出力装置には、前記入出力回路からの信号に基づき、前記蒸気タービンプラントの停止時刻、前記所望起動完了時刻、前記起動開始すべき時刻を含めた、前記状態量パラメータの初期値と前記起動完了時刻との関係を示すグラフが表示されることを特徴とする起動制御装置。 - 請求項1に記載の起動制御装置と、
前記蒸気タービンプラントとを備えることを特徴とする蒸気タービン発電プラント。
Priority Applications (5)
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