JP2015101776A - 加工性に優れた高ヤング率冷延鋼鈑、電気亜鉛系めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板、及び、それらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.0005〜0.0045%、Si:0.50%以下、Mn:0.30〜1.50%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Nb:0.005〜0.040%、Ti:0.002〜0.050%、B:0.0005〜0.0050%を、特定の式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)及び{111}<112>方位のランダム強度比の平均値(B)が何れも7以上で、かつ、1/2厚と1/8厚で測定した{100}<012>方位のランダム強度比の平均値(C)が(C)≦(A)/8以下を満足する高ヤング率冷延鋼板。
【選択図】図1
Description
(i)1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)、及び、1/2厚と1/8厚で測定した{111}<112>方位のランダム強度比の平均値(B)が、何れも7以上で、かつ、
(ii)1/2厚と1/8厚で測定した{100}<012>方位のランダム強度比の平均値(C)が、(C)≦(A)/8以下を満足する
ことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
15≦100×(Mn(質量%)/2+Si(質量%)+10×P(質量%))≦90 ・・・(1)
0.010<(Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)<0.035 ・・・(2)
(1)前記[1]〜[5]の何れかに記載の成分組成を有する鋼片を1150℃以上に加熱し、次いで、
(2)仕上げ圧延の開始温度を1000〜1120℃として、880℃以上、950℃以下の温度範囲で、熱間圧延を終了し、その後、
(3)1秒以内に冷却を開始し、冷却速度20℃/秒以上で650℃以下とし、500〜600℃の温度範囲で巻き取り、次いで、
(4)酸洗後、圧下率が70〜90%の冷間圧延を施し、更に、
(5)室温から750℃までの平均加熱速度10℃/秒以上40℃/秒以下で、800℃以上900℃以下に加熱して、1秒以上保持する焼鈍を行う
ことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板の製造方法。
質量%で、C:0.0005〜0.0045%、Si:0.50%以下、Mn:0.30〜1.50%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Nb:0.005〜0.040%、Ti:0.002〜0.050%、B:0.0005〜0.0050%を、下記(1)式及び(2)式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、
(i)1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)、及び、{111}<112>方位のランダム強度比の平均値(B)が、何れも7以上で、かつ、
(ii){100}<012>方位のランダム強度比の平均値(C)が、(C)≦(A)/8以下を満足する
ことを特徴とする。
15≦100×(Mn(質量%)/2+Si(質量%)+10×P(質量%))≦90 ・・・(1)
0.010<(Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)<0.035 ・・・(2)
本発明鋼板の成分組成の限定理由について説明する。以下、「%」は「質量%」を意味する。
Cは、熱延板の結晶粒内に固溶状態で存在すると、冷延中に粒内に剪断帯を形成し、圧延方向のヤング率を低下させる{110}<001>方位を発達させる元素であるので、0.0045%以下とする。好ましくは0.004%0以下、より好ましくは0.0035%以下である。
Siは、脱酸元素であり、また、固溶強化により強度を高める元素である。0.50%を超えると、加工性の劣化を招く他、熱延中のスケール疵の原因となり、めっきの密着性を低下させるので、0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.10%以下である。Siの下限は特に規定しないが、添加効果を確実に得る点で、0.01%以上が好ましい。
Mnは、本発明鋼板において重要な元素である。Mnは、熱延終了後の冷却時の焼入れ性を高め、熱延板組織をベイネティックフェライトとするとともに、熱延板の集合組織を高める元素である。また、Mnは、焼鈍中に微量な固溶Cと共存して、冷延後の焼鈍中の回復を抑制する元素である。回復が抑制された{112}〜{111}<110>方位の加工粒からは、{557}<9 16 5>が再結晶し易く、ヤング率が向上する。
Pは、安価に強度を向上させることができる元素である。0.040%を超えると、二次加工割れの原因となり、延性を劣化させるので、0.040%以下とする。好ましくは0.030%以下、より好ましくは0.020%以下である。
Sは、MnSを形成し、加工性の劣化を招くとともに、固溶Mn量を低減する元素である。0.010%を超えると、加工性の劣化、及び、固溶Mnの低減が著しいので、0.010%以下とする。好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.005%以下である。
Alは、脱酸元素であるとともに、変態点を著しく高める元素である。0.10%を超えると、γ域圧延が困難となるので、0.10%以下とする。加工性を確保する点で、0.07%以下が好ましい。下限は特に限定しないが、脱酸効果を確実に確保する点で、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。
Nは、高温でTiとTiNを形成し、γ相での再結晶を抑制する元素である。0.006%を超えると、TiNの量が増えすぎて加工性が劣化するので、0.006%以下とする。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.002%以下である。
Nbは、熱間圧延においてγ相を加工した際の再結晶を顕著に抑制し、γ相での加工集合組織の形成を顕著に促す元素である。また、Nbは、巻取中にNbCを形成して、固溶Cを低減し、深絞り性の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上、より好ましくは0.015%以上である。
Tiは、深絞り性とヤング率の向上に寄与する重要な元素である。Tiは、γ相高温域で窒化物を形成し、前述のNbと同様に、熱間圧延において、γ相を加工した際の再結晶を抑制する元素である。また、Tiは、巻取中にTiCとして析出して固溶C量を低減し、特に、深絞り性を向上させる元素である。更に、Tiは、高温でTiNを形成して、BNの析出を抑制して、固溶Bの確保に寄与し、ヤング率の向上に好ましい集合組織の発達を促進する元素である。
Bも、Mn、Tiと同様に、本発明鋼板において重要な元素である。Bは、焼入れ性、及び、熱延板のミクロ組織と集合組織を最適化する作用をなす元素である。添加効果を得るため、0.0005%以上とする。好ましくは0.0007%以上、より好ましくは0.0010%以上である。
下記(1)式について説明する。
15≦100×(Mn(質量%)/2+Si(質量%)+10×P(質量%))≦90 ・・・(1)
下記(2)式について説明する。
0.010<(Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)<0.035 ・・・(2)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)]を規定する関係式である。換算固溶Ti量が0.010以下の場合、熱延中又は巻取り中に、固溶Cが、Ti炭化物及び/又はNb炭化物として十分に固定されないために、熱延板の結晶粒界に偏析する以上の固溶Cが残存してしまう。その結果、冷延中に剪断帯が形成され、冷延焼鈍後に、圧延方向のヤング率を低下させる{110}<001>方位が発達する。
Cr:0.005〜0.500%
W:0.005〜0.500%
Mo、Cr、Wは、いずれも焼入れ性を向上させる元素である。添加効果を得るため、いずれも、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、Moが0.100%を超え、Crが0.500%を超え、及び/又は、Wが0.500%を超えると、延性や溶接性が低下するので、Moは0.100%以下とし、Crは0.500%以下とし、Wは0.500%以下とする。好ましくは、Moは0.050%以下、Crは0.250%以下、Wは0.250%以下である。
Cuは、耐食性やスケールの剥離性を向上させる元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.500%を超えると、析出強化による過度の強度上昇を招くので、0.500%以下とする。好ましくは0.300%以下である。
Niは、鋼板強度を高めるとともに、靭性を向上させる元素である。添加効果を得るため、0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.500%を超えると、延性が劣化するので、0.500%以下とする。好ましくは0.300%以下である。
本発明鋼板において、結晶方位のランダム強度比を限定する理由について説明する。本発明鋼板においては、1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)、及び、1/2厚と1/8厚で測定した{111}<112>方位のランダム強度比の平均値(B)が、何れも7以上で、かつ、1/2厚と1/8厚で測定した{100}<012>方位のランダム強度比の平均値(C)が、(C)≦(A)/8を満足する。
次に、本発明鋼板の機械特性(ヤング率、平均r値、全伸び)の限定理由について説明する。
本発明鋼板の製造方法について説明する。
(1)本発明鋼板の成分組成と同じ成分組成を有する鋼片を1150℃以上に加熱し、次いで、
(2)仕上げ圧延の開始温度を1000〜1120℃として、880℃以上、950℃以下の温度範囲で、熱間圧延を終了し、その後、
(3)1秒以内に冷却を開始し、冷却速度20℃/秒以上で650℃以下とし、500〜600℃の温度範囲で巻き取り、次いで、
(4)酸洗後、圧下率が70〜90%の冷間圧延を施し、更に、
(5)室温から750℃までの平均加熱速度10℃/秒以上40℃/秒以下で、800℃以上900℃以下に加熱して、1秒以上保持する焼鈍を行う
ことを特徴とする。
次に、本発明電気亜鉛めっき鋼板、本発明溶融亜鉛めっき鋼板、及び、本発明合金化溶融亜鉛めっき鋼板について説明する。
表1に示す成分組成を有する鋼を溶製して鋼片を製造した。なお、表1中の空欄は、元素量が検出限界未満であることを意味する。
0.01<(Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)<0.035
・・・(2)
ここで、rL:圧延方向のr値
r45:45°方向のr値
rC:圧延直角方向のr値
Claims (13)
- 質量%で、C:0.0005〜0.0045%、Si:0.50%以下、Mn:0.30〜1.50%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Al:0.10%以下、N:0.006%以下、Nb:0.005〜0.040%、Ti:0.002〜0.050%、B:0.0005〜0.0050%を、下記(1)式及び(2)式を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成を有する冷延鋼板であって、
(i)1/2厚と1/8厚で測定した{557}<9 16 5>方位のランダム強度比の平均値(A)、及び、1/2厚と1/8厚で測定した{111}<112>方位のランダム強度比の平均値(B)が、何れも7以上で、かつ、
(ii)1/2厚と1/8厚で測定した{100}<012>方位のランダム強度比の平均値(C)が、(C)≦(A)/8以下を満足する
ことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
15≦100×(Mn(質量%)/2+Si(質量%)+10×P(質量%))≦90 ・・・(1)
0.010<(Ti(質量%)+48/93×Nb(質量%)
−48/14×N(質量%))−48/12×C(質量%)<0.035 ・・・(2) - 前記成分組成が、更に、質量%で、Mo:0.005〜0.100%、Cr:0.005〜0.500%、W:0.005〜0.500%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
- 前記成分組成が、更に、質量%で、Cu:0.005〜0.500%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
- 前記成分組成が、更に、質量%で、Ni:0.005〜0.500%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
- 前記成分組成が、更に、質量%で、Ca:0.0005〜0.1000%、REM:0.0005〜0.1000%、V:0.001〜0.100%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
- 前記冷延鋼板において、圧延直角方向のヤング率が225GPa以上で、圧延方向及び圧延方向に対して45°方向のヤング率が何れも208GPa以上で、かつ、平均r値が1.5以上、全伸びが38%以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、電気亜鉛系めっきが施されていることを特徴とする加工性に優れた高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする加工性に優れた高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼鈑の表面に、合金化溶融亜鉛めっきが施されていることを特徴とする加工性に優れた高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板を製造する方法であって、
(1)請求項1〜5の何れか1項に記載の成分組成を有する鋼片を1150℃以上に加熱し、次いで、
(2)仕上げ圧延の開始温度を1000〜1120℃として、880℃以上、950℃以下の温度範囲で、熱間圧延を終了し、その後、
(3)1秒以内に冷却を開始し、冷却速度20℃/秒以上で650℃以下とし、500〜600℃の温度範囲で巻き取り、次いで、
(4)酸洗後、圧下率が70〜90%の冷間圧延を施し、更に、
(5)室温から750℃までの平均加熱速度10℃/秒以上40℃/秒以下で、800℃以上900℃以下に加熱して、1秒以上保持する焼鈍を行う
ことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板の製造方法。 - 請求項7に記載の加工性に優れた高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項10に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板の製造方法で製造した鋼板の表面に電気亜鉛系めっきを施すことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率電気亜鉛系めっき冷延鋼板の製造方法。
- 請求項8に記載の加工性に優れた高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項10に記載の加工性に優れた高ヤング率冷延鋼板の製造方法で製造した鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
- 請求項9に記載の加工性に優れた高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板を製造する方法であって、請求項12に記載の加工性に優れた高ヤング率溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼板に、450〜600℃の温度範囲で10秒以上の熱処理を施すことを特徴とする加工性に優れた高ヤング率合金化溶融亜鉛めっき冷延鋼板の製造方法。
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