JP2015099787A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイレート充放電に対する耐久性が高められた非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】本発明によって得られる非水電解液二次電池は、正極シートと負極シート20とがセパレータシート40を介して重ね合わされてなる電極体を備えた非水電解液二次電池であって、セパレータシート40の少なくとも一方の表面には、無機フィラーとバインダとを有する多孔層42が形成されており、多孔層42の表面は凹凸に形成されており、該凹凸面42aの最大高低差δが0.2μm〜1.7μmである。【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関し、詳しくは、ハイレート充放電に対する耐久性が高められた非水電解液二次電池に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の非水電解液二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。この種のリチウムイオン電池の一つの典型的な構成では、正極と負極との間をリチウムイオンが行き来することによって充電および放電が行われている。リチウムイオン電池に関する従来技術として例えば特許文献1が挙げられる。
特開2002−008730号公報
ところで、リチウムイオン電池の用途のなかには、ハイレートでの放電(急速放電)を繰り返す態様で使用されることが想定されるものがある。車両の動力源として用いられるリチウムイオン電池(例えば、動力源としてリチウムイオン電池と内燃機関等のように作動原理の異なる他の動力源とを併用するハイブリッド車両に搭載されるリチウムイオン電池)は、このような使用態様が想定されるリチウムイオン電池の代表例である。しかし、従来の一般的なリチウムイオン電池は、ローレートでの充放電サイクルに対しては比較的高い耐久性を示すものであっても、ハイレート放電を繰り返す充放電パターンでは性能劣化(電池抵抗の上昇等)を起こしやすいことが知られていた。
特許文献1には、セパレータの基材上に電解液を保持する20ミクロン以下の薄層を形成することによって、正負極間の電解液不足を補い、これにより電池の放電容量を改善する技術が記載されている。しかしながら、かかる技術では、電池の放電容量を改善することはできても、ハイレート放電(例えば、車両動力源用のリチウムイオン電池等において求められるレベルの急速放電)を繰り返す充放電パターンに対する耐久性を向上させることはできなかった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ハイレート充放電に対する耐久性が高められた非水電解液二次電池を提供することである。
本願発明者は、正極および負極がセパレータを介して重ね合わされてなる電極体を備えた非水電解液二次電池において、車両動力源用の非水電解液二次電池において想定されるようなハイレートで放電と充電とを連続して繰り返すと、電池抵抗が顕著に上昇する事象がみられることに着目した。そこで、かかるハイレート充放電の繰り返しが非水電解液二次電池に及ぼす影響を詳細に解析した。
その結果、ハイレート充放電を繰り返した非水電解液二次電池では、電極体の正負極間に浸透した非水電解液の電解液量が低下すること、より詳しくは、ハイレート充放電によって電極体の正負極間に浸透した非水電解液の一部が電極の外部に押し出され、正負極間の電解液量が必要量を下回ること(即ち電解液枯れが生じること)を見出した。
このように正負極間に電解液枯れが生じると、充放電時に正負極内の電解液量が不足することから、電池全体としてのハイレート充放電性能が低下する。また、電解液量が相対的に多い部分(即ち正負極内の電解液残存部分)に電池反応が集中するため当該部分の劣化が促進される。これらの事象は、いずれもハイレート充放電サイクルに対する非水電解液二次電池の耐久性を低下させる(電池抵抗を増大させる)要因になり得る。
本発明は、かかる知見に基づいて、上記正負極間の電解液不足を解消または緩和するというアプローチによってハイレート充放電サイクルに対する非水電解液二次電池の耐久性を向上させるものである。
即ち、本発明により提供される非水電解液二次電池は、正極シートと負極シートとがセパレータシートを介して重ね合わされてなる電極体を備えた非水電解液二次電池である。上記セパレータシートの少なくとも一方の表面には、無機フィラーとバインダとを有する多孔層が形成されている。上記多孔層の表面は凹凸に形成されており、該凹凸面の最大高低差が0.2μm〜1.7μmである。
本発明の構成によれば、セパレータシートの少なくとも一方の表面に多孔層が形成され、かつ、該多孔層の表面が凹凸に形成されているので、該凹凸面に非水電解液を大量に保持できる。そのため、ハイレート充放電によって正負極内に浸透した非水電解液の一部が正負極の外部に押し出されたとしても、凹凸面に保持された非水電解液を正負極内に速やかに供給して、正負極内の電解液量を迅速に回復することができる。このことによって、ハイレート充放電に起因する正負極内の電解液不足を解消または緩和することができ、充放電サイクルに対する耐久性を向上させることができる。
好ましくは、上記凹凸面の最大高低差は0.2μm〜1.7μmである。凹凸面の最大高低差が0.2μmを下回ると、凹凸面の保液機能が低下し、上述したようなサイクル耐久性向上効果が得られない場合がある。また、凹凸面の最大高低差が1.7μmを上回ると、正負極間の電解液量のバランスが崩れ、電池反応が不均一になる。そのため、反ってサイクル耐久性が低下傾向になり得る。
ここに開示される好ましい一態様では、上記多孔層は、上記無機フィラーとして無機金属化合物からなる粒子を有しており、上記金属化合物粒子の粒度分布(体積基準)における累積10%の粒径(D10)が0.2μm以上である。金属化合物粒子の累積10%の粒径(D10)が小さすぎると、粒径の小さい微小な金属化合物粒子の集合によって多孔層が形成されるため、金属化合物粒子間の結合が弱まり、多孔層の耐久性が低下する。そのため、ハイレート充放電に伴う電極体の膨張収縮による圧力を受けて凹凸面が潰れやすくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果が得られない場合がある。
また、好ましくは、上記金属化合物粒子の粒度分布(体積基準)における累積90%の粒径(D90)が4μm以下である。このように粒度分布の狭い粒径の揃った金属化合物粒子の集合によって多孔層を形成すると、金属化合物粒子間の結合が強まり、多孔層の耐久性がより向上する。そのため、ハイレート充放電に伴う電極体の膨張収縮による圧力を受けても凹凸面が潰れにくくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果をより確実に得ることができる。
ここに開示される好ましい一態様では、上記金属化合物粒子は、アルミナまたはアルミナ水和物である。これらの金属化合物粒子はモース硬度が高いため、該粒子を用いて形成された多孔層の耐久性が向上する点で特に好ましい。
ここに開示される好ましい一態様では、上記多孔層中のバインダ含有割合は、該多孔質層に含まれる固形分量(典型的には無機フィラーとバインダとその他の多孔層形成成分(例えば増粘剤)の合計量)を100質量%としたときの1.5質量%〜3質量%である。このことによって、凹凸面の最大高低差をここに開示される好ましい範囲に制御しやすくなる。
ここに開示される好ましい一態様では、上記多孔層は、上記セパレータシートの負極シートに対向する面に形成されており、該多孔層の凹凸面は少なくとも該負極シートにおける負極活物質を含む負極活物質層に対向する位置に形成されている。負極シートにおける負極活物質を含む負極活物質層は、ハイレート充放電に起因する電解液不足が生じやすい。そのため、多孔層の凹凸面を負極活物質層に対向する位置に形成することが特に有用である。
ここに開示されるいずれかの非水電解液二次電池は、車両に搭載される電池として適した性能(例えば高出力が得られること)を備え、特にハイレート充放電に対する耐久性に優れたものであり得る。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかの非水電解液二次電池を備えた車両が提供される。特に、該非水電解液二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が提供される。
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、50A以上(例えば50A〜250A)、さらには100A以上(例えば100A〜200A)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用され得ることが想定される非水電解液二次電池;理論容量が1Ah以上(さらには3Ah以上)の大容量タイプであって10C以上(例えば10C〜50C)さらには20C以上(例えば20C〜40C)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定される非水電解液二次電池;等が例示される。
図1は本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を模式的に示す側面図である。 図2は図1のII−II線断面図である。 図3は本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の電極体を模式的に示す図である。 図4は本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の要部を示す拡大断面図である。 図5は一試験例に係る膜抵抗の測定方法を説明するための図である。 図6は本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を備えた車両を模式的に示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解質の構成および製法、非水電解液二次電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
特に限定することを意図したものではないが、以下では捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを円筒型の容器に収容した形態の非水電解液リチウム二次電池(リチウムイオン電池)を例として本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の概略構成を図1〜3に示す。このリチウムイオン電池100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20が長尺状のセパレータ40を介して捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに、該捲回電極体80を収容し得る形状(円筒型)の容器50に収容された構成を有する。
容器50は、上端が開放された有底円筒状の容器本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。容器50を構成する材質としては、アルミニウム、スチール、NiめっきSUS等の金属材料が好ましく用いられる(本実施形態ではNiめっきSUS)。あるいは、PPS、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を成形してなる容器50であってもよい。容器50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極10と電気的に接続する正極端子70が設けられている。容器50の下面には、捲回電極体80の負極20と電気的に接続する負極端子72(この実施形態では容器本体52が兼ねる。)が設けられている。容器50の内部には、捲回電極体80が図示しない非水電解液とともに収容される。
本実施形態に係る捲回電極体80は、後述するセパレータ40の構成を除いては通常のリチウムイオン電池の捲回電極体と同様であり、図3に示すように、捲回電極体80を組み立てる前段階において長尺状(帯状)のシート構造を有している。
正極シート10は、長尺シート状の箔状の正極集電体12の両面に正極活物質を含む正極活物質層14が保持された構造を有している。ただし、正極活物質層14は正極シート10の幅方向の端辺に沿う一方の側縁(図では下側の側縁部分)には付着されず、正極集電体12を一定の幅にて露出させた正極活物質層非形成部が形成されている。
負極シート20も正極シート10と同様に、長尺シート状の箔状の負極集電体22の両面に負極活物質を含む負極活物質層24が保持された構造を有している。ただし、負極活物質層24は負極シート20の幅方向の端辺に沿う一方の側縁(図では上側の側縁部分)には付着されず、負極集電体22を一定の幅にて露出させた負極活物質層非形成部が形成されている。
捲回電極体80を作製するに際しては、図3に示すように、正極シート10と負極シート20とがセパレータシート40を介して積層される。このとき、正極シート10の正極活物質層非形成部分と負極シート20の負極活物質層非形成部分とがセパレータシート40の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート10と負極シート20とを幅方向にややずらして重ね合わせる。このように重ね合わせた積層体を捲回することによって捲回電極体80が作製され得る。
捲回電極体80の捲回軸方向における中央部分には、捲回コア部分82(即ち正極シート10の正極活物質層14と負極シート20の負極活物質層24とセパレータシート40とが密に積層された部分)が形成される。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部には、正極シート10および負極シート20の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分82から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極活物質層14の非形成部分)84および負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層24の非形成部分)86には、正極リード端子74および負極リード端子76がそれぞれ付設されており、上述の正極端子70および負極端子72(ここでは容器本体52が兼ねる。)とそれぞれ電気的に接続される。
かかる捲回電極体80を構成する構成要素は、セパレータシート40を除いて、従来のリチウムイオン電池の捲回電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、正極シート10は、長尺状の正極集電体12の上にリチウムイオン電池用正極活物質を主成分とする正極活物質層14が付与されて形成され得る。正極集電体12にはアルミニウム箔その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。正極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。ここに開示される技術の好ましい適用対象として、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)を主成分とする正極活物質が挙げられる。
負極シート20は、長尺状の負極集電体22の上にリチウムイオン電池用負極活物質を主成分とする負極活物質層24が付与されて形成され得る。負極集電体22には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等が挙げられる。
正負極シート10、20間に使用される好適なセパレータシート40としては多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートが好適に使用し得る。かかるセパレータシート40には、非水電解液が含浸される。
ここで、本実施形態においては、図3に示すように、捲回電極体を構成するセパレータシート40の少なくとも一方の表面には、多孔層42が形成されている。この実施形態では、多孔層42は、セパレータシートの負極シート20に対向する面に形成されている。多孔層42は、無機フィラーとバインダとから構成され、バインダによって無機フィラー間や無機フィラーとセパレータシートとの間が結合されている。
このようにセパレータシートの負極シート20に対向する面に多孔層42を形成することによって、内部短絡時の発熱を抑制することができる。すなわち、捲回電極体内に異物が混入して微小な内部短絡が発生すると、その熱によりセパレータシート40が収縮し、内部短絡が拡大する(延いては電池が発熱する)ことが想定され得るが、このように多孔層42を設けることによって、内部短絡の拡大を防止して発熱を抑制することができる。
多孔層42を構成する無機フィラーは、耐熱性があり、かつ電池の使用範囲内で電気化学的に安定であるものが好ましい。そのような無機フィラーとしては、無機金属化合物からなる粒子が挙げられる。好適例として、アルミナ(Al)、アルミナ水和物(例えばベーマイト(Al・HO))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)、等が例示される。これらの無機金属化合物材料の一種又は二種以上を用いることができる。中でもアルミナまたはアルミナ水和物はモース硬度が高いため、多孔層の耐久性を向上できる点で好ましい。
上記多孔層42に用いられるバインダは、無機フィラーを結合するためのものであり、該バインダを構成する材料自体は特に限定されず種々のものを幅広く使用することができる。好適例として、アクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、メタアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーを1種類で重合した単独重合体が好ましく用いられる。また、アクリル系樹脂は、2種以上の上記モノマーを重合した共重合体であってもよい。さらに、上記単独重合体及び共重合体の2種類以上を混合したものであってもよい。上述したアクリル系樹脂のほかに、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、等を用いることもできる。
続いて、図4を加えて、本実施形態に係る捲回電極体80について詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る捲回電極体80の捲回軸に沿う断面の一部を拡大して示す模式的断面図であって、セパレータシート40と、該セパレータシート40の表面に形成されている多孔層42と、該多孔層42に対向する負極シート20とを示したものである。
図4に示すように、負極シート20における負極活物質層24は、負極活物質粒子26と図示しないバインダとから構成され、バインダによって負極活物質粒子26間や負極活物質粒子26と負極集電体22との間が結合されている。隣り合う負極活物質粒子26間には、バインダで結着されていない部位に多数の空孔28が形成されており、この空孔28に非水電解液が保持されている(即ち非水電解液が負極活物質層内に浸透している)。
ここで、従来のリチウム二次電池においては、車両動力源用のリチウム二次電池において想定されるようなハイレートで短時間(パルス状)の放電と充電とを連続して繰り返すと、負極活物質層24内に浸透した非水電解液の一部が負極活物質層24の外部に押し出され、負極活物質層24内の電解液量が必要量を下回る(即ち電解液枯れが生じる)場合があった。
このように負極活物質層24内に電解液枯れが生じると、充放電時に負極活物質層24内の電解液量が不足することから、電池全体としてのハイレート充放電性能が低下する。また、電解液量が相対的に多い部分(即ち負極活物質層24内の電解液残存部分)に電池反応が集中するため当該部分の劣化が促進される。これらの事象は、いずれもハイレート充放電サイクルに対するリチウム二次電池の耐久性を低下させる(電池抵抗を増大させる)要因になり得る。
これに対し、本実施形態では、セパレータシート40の表面に、無機フィラーとバインダとを有する多孔層42が形成されている。多孔層42の表面は凹凸に形成されており、該凹凸面42aの最大高低差が0.2μm〜1.7μmである。この実施形態では、多孔層42は、セパレータシート40の負極シート20に対向する面に形成されており、該多孔層42の凹凸面42aは、少なくとも該負極シート20における負極活物質を含む負極活物質層24に対向する位置に形成されている。
かかる構成によれば、セパレータシート40の負極シート20に対向する面に多孔層42が形成され、かつ、該多孔層42の表面が凹凸に形成されているので、該凹凸面42aの窪み44に非水電解液を大量に保持できる。そのため、ハイレート充放電によって負極活物質層24内に浸透した非水電解液の一部が負極活物質層24の外部に押し出されたとしても、凹凸面42aの窪み44に保持された非水電解液を負極活物質層24に速やかに供給して、負極活物質層内の電解液量を迅速に回復することができる。このことによって、ハイレート充放電に起因する負極活物質層内の電解液不足を解消または緩和することができ、充放電サイクルに対する耐久性を向上させることができる。
好ましくは、上記凹凸面の最大高低差δは0.2μm〜1.7μmである。凹凸面の最大高低差δが0.2μmを下回ると、凹凸面の保液機能が低下し、上述したようなサイクル耐久性向上効果が得られない場合がある。また、凹凸面の最大高低差δが1.7μmを上回ると、正負極間の電解液量のバランスが崩れ、電池反応が不均一になる。そのため、反ってサイクル耐久性が低下傾向になり得る。凹凸面の最大高低差δは、概ね0.2μm〜1.7μmが適当であり、好ましくは0.3μm〜1.5μmであり、特に好ましくは0.5μm〜1.5μmである。
なお、好ましくは、上記多孔層42の厚み(凹凸面を含む最大厚み)dは、概ね2μm〜50μmにするとよい。多孔層42が厚すぎると、多孔層自体が抵抗成分として働くため、サイクル耐久性が低下傾向になり得る。また、多孔層42が薄すぎると、前述した内部短絡時の発熱抑制効果が得られない場合がある。多孔層の厚みdは概ね2μm〜50μmが適当であり、好ましくは2μm〜10μmであり、特に好ましくは3μm〜7μmである。
また、好ましくは、多孔層42の空孔率は、概ね40%〜70%である。多孔層42の空孔率が小さすぎると、多孔層自体が抵抗成分として働くため、サイクル耐久性が低下傾向になり得る。また、多孔層42の空孔率が大きすぎると、前述した内部短絡時の発熱抑制効果が得られない場合がある。なお、上記空孔率は、例えば、電子天秤により測定した多孔層の質量と、その見掛けの体積(例えばSEM観察により測定した多孔層の厚み×面積)と、無機フィラー、バインダ及びその他多孔層構成成分の真密度とから計算により求めることができる。
上記凹凸面の最大高低差δは、該多孔層に用いられる金属化合物粒子の粒径サイズ(平均粒径や粒度分布(広いか狭いか))を変えることによって調整することができる。一般に粒子サイズが大きくなるとその充填効率が低下するので、凹凸面の最大高低差が増大する傾向がある。したがって、金属化合物粒子の粒径サイズ(平均粒径や粒度分布)を変えることによって、凹凸面の最大高低差を制御することができる。すなわち、金属化合物粒子の粒径サイズ(平均粒径や粒度分布)を適切に選択することによって、凹凸面の最大高低差が0.2μm≦δ≦1.7μmを満たす多孔層を形成することができる。
特に限定されるものではないが、金属化合物粒子のレーザ回折・散乱法に基づく平均粒径(D50)は、概ね0.4μm〜2μmであることが好ましい。このことによって、凹凸面の最大高低差δをここに開示される好ましい範囲に制御しやすくなる。
また、好ましくは、上記金属酸化物粒子のレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布(体積基準)における累積10%の粒径(D10)が0.2μm以上である。金属化合物粒子の累積10%の粒径(D10)が小さすぎると、粒径の小さい微小な金属化合物粒子の集合によって多孔層42が形成されるため、金属化合物粒子間の結合が弱まり、多孔層42の耐久性が低下する。そのため、ハイレート充放電に伴う捲回電極体の膨張収縮による圧力を受けて、凹凸面42aが潰れやすくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果が得られない場合がある。金属化合物粒子の累積10%の粒径(D10)は概ね0.2μm以上が適当であり、好ましくは0.24μm以上であり、特に好ましくは0.3μm以上である。
また、好ましくは、上記金属酸化物粒子のレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布(体積基準)における累積90%の粒径(D90)が4μm以下である。このように粒度分布の狭い粒径の揃った金属化合物粒子の集合によって多孔層42を形成すると、金属化合物粒子間の結合が強まり、多孔層42の耐久性がより向上する。そのため、ハイレート充放電に伴う捲回電極体の膨張収縮による圧力を受けても、凹凸面42aが潰れにくくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果をより確実に得ることができる。金属化合物粒子の累積90%の粒径(D90)は概ね4μm以下が適当であり、好ましくは3.5μm以下であり、特に好ましくは2.9μm以下である。
ここに開示される好ましい最大高低差δの値を満たす凹凸面を実現する他の方法としては、多孔層を形成するときの形成条件を適切に選択する方法が挙げられる。例えば、多孔層は、金属酸化物粒子、バインダ、その他の多孔層形成成分(例えば増粘剤)を適当な溶媒に分散した多孔層形成用塗料をセパレータシートの片面または両面に塗布した後、該塗布物を乾燥風により乾燥することにより形成され得る。この場合、上記乾燥温度や乾燥風速等の乾燥条件を選択することにより、凹凸面の最大高低差δを制御することができる。すなわち、乾燥温度や乾燥風速等の乾燥条件を適切に選択することにより、凹凸面の最大高低差δが0.2μm≦δ≦1.7μmを満たす多孔層を形成することができる。特に限定されるものではないが、上記乾燥温度は概ね40℃以上(例えば40℃〜80℃)に設定するとよい。また、上記乾燥風速は概ね17m/s以上(例えば17m/s〜22m/s)に設定するとよい。このことによって、凹凸面の最大高低差をここに開示される好ましい範囲に制御しやすくなる。
その他、凹凸面の最大高低差δを適切な範囲に調整する方法としては、上記多孔層形成用塗料の固形分率やバインダ量を変える方法が挙げられる。多孔層形成用塗料の固形分率やバインダ量が多くなると粘度が増大するので、塗布面の平滑性が悪くなる。そのため、凹凸面の最大高低差δが増大傾向になる。したがって、多孔層形成用塗料の固形分率やバインダ量を変えることにより、凹凸面の最大高低差δを制御することができる。すなわち、多孔層形成用塗料の固形分率やバインダ量を適切に選択することによって、凹凸面の最大高低差δが0.2μm≦δ≦1.7μmを満たす多孔層を形成することができる。特に限定されるものではないが、多孔層形成用塗料の固形分率は凡そ40質量%以上(典型的には40〜50質量%)であることが好ましい。また、バインダの含有割合は、多孔層形成用塗料に含まれる固形分量(典型的には無機フィラーとバインダとその他の多孔層形成成分の合計量)を100質量%としたときの凡そ1.5質量%以上(典型的には1.5〜4.5質量%)であることが好ましい。このことによって、凹凸面の最大高低差をここに開示される好ましい範囲に制御しやすくなる。なお、上述した凹凸面の最大高低差δを制御する方法は、それぞれ単独であるいは組み合わせて使用することができる。
なお、上記多孔層形成用ペーストに用いられる溶媒としては、N‐メチルピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等の有機系溶媒またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、水または水を主体とする混合溶媒であってもよい。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
また、上記多孔層形成用塗料は、無機フィラーとバインダのほかに、必要に応じて使用され得る一種または二種以上の材料を含有することができる。そのような材料の例として、多孔層形成用塗料の増粘剤として機能するポリマーが挙げられる。増粘剤として機能するポリマーとしては、例えばカルボキシルメチルセルロース(CMC)が好ましく用いられる。該増粘剤の含有割合は、多孔質層形成用塗料に含まれる固形分量を100質量%としたときの凡そ1.5質量%以下とすることが好ましく、凡そ1質量%以下(例えば凡そ0.5〜1質量%)とすることが好ましい。
このような多孔層形成用塗料をセパレータシート40の表面に塗布し、乾燥することにより、セパレータシート40の表面に多孔層42を形成する。その際、多孔層形成用塗料に含まれる無機フィラーの粒径(粒度分布)、バインダ量、固形分率、及び/又は多孔層形成用塗料を乾燥するときの乾燥条件(例えば、乾燥温度や乾燥風速の乾燥条件)を上記最大高低差δが実現されるように設定し、その設定された条件に沿って多孔層42を形成するとよい。これにより、凹凸面の最大高低差δが0.2μm≦δ≦1.7μmを満たす多孔層を形成することができる。
このようにして多孔層42をセパレータシート40の表面に形成したら、正極シート10と負極シート20とを2枚のセパレータシートを介して捲回し、捲回電極体80を作製する。そして、捲回電極体80を容器本体52に収容し、その容器本体52内に適当な非水電解液を配置(注液)する。容器本体52内に上記捲回電極体80と共に収容される非水電解液としては、従来のリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiClO等のリチウム塩を好ましく用いることができる。例えば、ECとEMCとDMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を好ましく用いることができる。
上記非水電解液を捲回電極体80とともに容器本体52に収容し、容器本体52の開口部を蓋体54で封止することにより、本実施形態に係るリチウムイオン電池100の構築(組み立て)が完成する。なお、容器本体52の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができる。その後、該電池のコンディショニング(初期充放電)を行う。必要に応じてガス抜きや品質検査等の工程を行ってもよい。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1:無機フィラーの粒度分布調整>
無機フィラーとしての金属化合物粉末を、ジェットミル(ホソカワミクロン社製)を用いて風圧0.2MPaで5分間粉砕し、気流式粉体分級装置(クマエンジニアリング社製)を用いて4μm以下に分級した。得られた金属化合物粉末の粒度分布(D10、D90)をレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装社製)により測定した。
また、本試験では、表1に示すように、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、α―アルミナ、チタニアのいずれかとなる5種類の金属化合物粉末を用いて上記手順により粒度分布(体積基準)における累積10%径(D10)および累積90%径(D90)がそれぞれ異なる金属化合物粉末を作製した(サンプル1〜15)。
Figure 2015099787
<試験例2:多孔層形成用塗料の調製>
上記試験例1で作製した各種の金属化合物粉末を用いて多孔層形成用塗料を調製した。具体的には、サンプル1では、無機フィラーとしての炭酸マグネシウム粉末と、アクリル系バインダ水溶液(固形分率45質量%)と、増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CMC)粉末とを用意し、無機フィラーとバインダと増粘剤との質量比が97.8:1.5:0.7となり固形分率が約40質量%となるように水中で混合した。該混合物を高速攪拌分散機(クレアミックス:Mテクニック社製)で15000rpm、5分間、予備混練し、次いで、20000rpm、15分間、本混練することにより、多孔層形成用塗料を調製した。
また、サンプル2〜15では、サンプル1と同様にして、ただし、多孔層形成用塗料の固形分率とバインダ量(多孔層形成用塗料中の全固形分に占めるバインダの含有割合)を表1のように異ならせつつ、上記手順により多孔層形成用ペーストを調製した。
<試験例3:多孔層の形成>
上記試験例2で作製した各種の多孔層形成用塗料を用いて長尺状のセパレータシート40(厚み20μm)の片面にグラビアロールにより塗布して乾燥することにより多孔層42を形成した。塗布条件としては、セパレータシートの走行速度Aを3m/minとし、グラビアロールの回転速度Bを3.8m/minとし、セパレータシートの走行速度Aに対するグラビアロールの回転速度Bの比率(速比=B/A)を1.27とし、多孔層形成用塗料の塗布量が約0.7mg/cm(固形分基準)となるように調節した。また、上記乾燥は、乾燥風を用いた熱風乾燥方式により行った。具体的には、乾燥風の乾燥温度および乾燥風速を表1のように各サンプルで異ならせつつ、上記手順により多孔層を形成した。セパレータシートとしては、ポリエチレン(PP)の単層構造、もしくはポリプロプレン(PE)−ポリエチレン(PE)−ポリプロプレン(PP)の3層構造を使用した。
上記得られたサンプル1〜15の多孔層の断面を電子顕微鏡(SEM)によって観察し、その表面凹凸(凹凸面)の最大高低差δを測定した。具体的には、サンプリング抽出を行い、基準長さ3cmにおける凹凸面の最も高いところと、最も低いところとの距離(間隔)を最大高低差δとした。サンプリング抽出は、TD方向(Transverse Direction)で均等間隔に3箇所を選定し、そのMD方向(Machine Direction)に基準長さ3cm間隔で3箇所を選定した(合計9箇所)。そして、それぞれの基準長さ3cmにおける凹凸面の最大高低差δを測定し、それらの平均値を求めた。
<試験例4:膜抵抗の測定>
上記試験例3で作製した各種の多孔層42が設けられたセパレータシート40を用いてリチウム二次電池(ラミネートセル)を作製し、その膜抵抗(Rs)を測定した。具体的には、図5に示すように、多孔層42およびセパレータシート40に非水電解液を含浸させ、これを面積35mm、厚み1mmの2枚の銅板62に挟み込み、ラミネートセル60を作製した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させたものを用いた。そして、銅板62の上下から50cN・mのトルク圧を加えつつ、ラミネートセル60の交流インピーダンスを25℃で測定し、得られたCole−Coleプロットから膜抵抗(Rs)を抽出した。交流インピーダンスの測定条件については、交流印加電圧5mV、周波数範囲10000Hz〜1Hzとした。なお、上記セルは、2枚の銅板62で挟むセパレータシートが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製した。そして、交流インピーダンス法で抵抗値を測定し、得られたセルの抵抗値をセパレータシートの枚数に対してプロットし、直線近似してセパレータシート1枚当たりの膜抵抗(Rs)を求めた。
表1から明らかなように、凹凸面の最大高低差を0.2μm≦δ≦1.7μmとしたサンプル1〜11については膜抵抗が1.6Ω以下となり、サンプル12〜15に比べて膜抵抗が大幅に低減した。特に最大高低差を0.5μm≦δ≦1.5μmにすることによって、1.2Ω以下という極めて低い膜抵抗を実現できた。
<試験例5:ハイレート耐久性試験>
上記試験例3で作製した各種の多孔層42が設けられたセパレータシート40を用いてリチウム二次電池を構築し、そのハイレート耐久性を評価した。リチウム二次電池は、以下のようにして作製した。
正極活物質としてのLi1.15Ni0.33Mn0.33Co0.33粉末と導電材としてのアセチレンブラック(AB)とバインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が88:10:2となるようにN−メチルピロリドン(NMP)中で混合して、正極活物質層用ペーストを調製した。この正極活物質層用ペーストを長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体12)の両面に帯状に塗布して乾燥することにより、正極集電体12の両面に正極活物質層14が設けられた正極シート10を作製した。正極活物質層用ペーストの塗布量は、両面合わせて約17.2mg/cm(固形分基準)となるように調節した。
また、負極活物質としての黒鉛粉末とバインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と増粘剤としてのカルボキシルメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が98.6:0.7:0.7となるように水に分散させて負極活物質層用ペーストを調製した。この負極活物質層用ペーストを長尺シート状の銅箔(負極集電体22)の両面に塗布し、負極集電体22の両面に負極活物質層24が設けられた負極シート20を作製した。負極活物質層形成用ペーストの塗布量は、両面合わせて約11.1mg/cm(固形分基準)となるように調節した。
そして、正極シート10及び負極シート20を2枚のセパレータシート40を介して捲回することによって捲回電極体80を作製した。その際、セパレータシート表面の多孔層42と負極シート20とが対向するように配置した。このようにして得られた捲回電極体80を非水電解液とともに電池容器50(ここでは18650型の円筒型を使用した。)に収容し、電池容器50の開口部を気密に封口した。非水電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を使用した。このようにしてリチウム二次電池100を組み立てた。その後、常法により初期充放電処理(コンディショニング)を行って評価用のリチウム二次電池を得た。
以上のように得られたリチウム二次電池のそれぞれに対し、20Cで10秒間のCC放電を繰り返す充放電パターンを付与し、充放電サイクル試験を行った。具体的には、室温(約25℃)環境下において、20Cで10秒間のCC放電を行い、5秒間の休止後、5Cで40秒間のCC充電を行う充放電サイクルを10000回連続して繰り返した。
そして、上記充放電サイクル試験前におけるIV抵抗(リチウムイオン電池の初期の抵抗)と、充放電サイクル試験後におけるIV抵抗とから抵抗増加率を算出した。ここで、充放電サイクルの前後におけるIV抵抗は、それぞれ、25℃、30Cでパルス放電を行ったときの放電10秒後の電圧降下から算出した。なお、抵抗増加率(%)は、[(充放電サイクル試験後のIV抵抗−充放電サイクル試験前のIV抵抗)/充放電サイクル試験前のIV抵抗]×100により求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、凹凸面の最大高低差が0.2μmを下回るサンプル12,13については抵抗増加率が200%を超えた。また、凹凸面の最大高低差が1.7μmを上回るサンプル14,15についても抵抗増加率が200%を超えた。これに対し、凹凸面の最大高低差を0.2μm≦δ≦1.7μmとしたサンプル1〜11の電池は、ハイレート充放電を10000サイクル繰り返した後でも抵抗はほとんど上昇せず、抵抗増加率は15%以下と低い値を示した。特に最大高低差を0.5μm≦δ≦1.5μmにすることによって、6%以下という極めて低い抵抗増加率を達成できた。この結果から、凹凸面の最大高低差を0.2μm≦δ≦1.7μm(好ましくは0.5μm≦δ≦1.5μm)にすることによって、ハイレート充放電に対するリチウム二次電池の耐久性が向上することが確認できた。
<試験例6:異物内部短絡試験>
上記試験例5と同様にしてリチウム二次電池を作製し、異物内部短絡試験を実施した。異物内部短絡試験は、高さ0.2mm×幅0.1mmで各辺1mmのL字形のニッケル小片を用いてJISC8714に準じて行った。そして、異常発煙に至ったNG品の有無を調べた。結果を表1に示す。ここでは発煙なしを○、発煙ありを×で表わしている。
表1に示すように、凹凸面の最大高低差を0.2μm≦δ≦1.7μmとしたサンプル1〜11については、異常発煙に至る電池が全くなく、安全性に優れた電池であることが確認できた。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上述した実施形態では、多孔層42がセパレータシート40の負極シート20に対向する面に形成されている場合を示したがこれに限定されず、セパレータシートの正極シートに対向する面(あるいはセパレータシートの両面)に形成してもよい。
また、ここで開示される好ましい最大高低差δの値を満たす凹凸面を有する多孔層がセパレータの表面に設けられた構成が採用される限りにおいて、構築されるリチウム二次電池の形状(外形やサイズ)には特に制限はない。外装がラミネートフィルム等で構成される薄型シートタイプであってもよく、電池外装ケースが円筒形状や直方体形状の電池でもよく、或いは小型のボタン形状であってもよい。
なお、ここに開示されるいずれかのリチウム二次電池100は、車両に搭載される電池として適した性能(例えば高出力が得られること)を備え、特にハイレート充放電に対する耐久性に優れたものであり得る。したがって本発明によると、図6に示すように、ここに開示されるいずれかのリチウム二次電池100を備えた車両1が提供される。特に、該リチウム二次電池100を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両1(例えば自動車)が提供される。
また、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、50A以上(例えば50A〜250A)、さらには100A以上(例えば100A〜200A)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用され得ることが想定されるリチウム二次電池100;理論容量が1Ah以上(さらには3Ah以上)の大容量タイプであって10C以上(例えば10C〜50C)さらには20C以上(例えば20C〜40C)のハイレート放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定されるリチウム二次電池;等が例示される。
本発明の構成によれば、ハイレート充放電に対する耐久性が高められた非水電解液二次電池を提供することができる。
また、好ましくは、上記金属化合物粒子のレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布(体積基準)における累積10%の粒径(D10)が0.2μm以上である。金属化合物粒子の累積10%の粒径(D10)が小さすぎると、粒径の小さい微小な金属化合物粒子の集合によって多孔層42が形成されるため、金属化合物粒子間の結合が弱まり、多孔層42の耐久性が低下する。そのため、ハイレート充放電に伴う捲回電極体の膨張収縮による圧力を受けて、凹凸面42aが潰れやすくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果が得られない場合がある。金属化合物粒子の累積10%の粒径(D10)は概ね0.2μm以上が適当であり、好ましくは0.24μm以上であり、特に好ましくは0.3μm以上である。
また、好ましくは、上記金属化合物粒子のレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布(体積基準)における累積90%の粒径(D90)が4μm以下である。このように粒度分布の狭い粒径の揃った金属化合物粒子の集合によって多孔層42を形成すると、金属化合物粒子間の結合が強まり、多孔層42の耐久性がより向上する。そのため、ハイレート充放電に伴う捲回電極体の膨張収縮による圧力を受けても、凹凸面42aが潰れにくくなり、上述したようなサイクル耐久性向上効果をより確実に得ることができる。金属化合物粒子の累積90%の粒径(D90)は概ね4μm以下が適当であり、好ましくは3.5μm以下であり、特に好ましくは2.9μm以下である。
ここに開示される好ましい最大高低差δの値を満たす凹凸面を実現する他の方法としては、多孔層を形成するときの形成条件を適切に選択する方法が挙げられる。例えば、多孔層は、金属化合物粒子、バインダ、その他の多孔層形成成分(例えば増粘剤)を適当な溶媒に分散した多孔層形成用塗料をセパレータシートの片面または両面に塗布した後、該塗布物を乾燥風により乾燥することにより形成され得る。この場合、上記乾燥温度や乾燥風速等の乾燥条件を選択することにより、凹凸面の最大高低差δを制御することができる。すなわち、乾燥温度や乾燥風速等の乾燥条件を適切に選択することにより、凹凸面の最大高低差δが0.2μm≦δ≦1.7μmを満たす多孔層を形成することができる。特に限定されるものではないが、上記乾燥温度は概ね40℃以上(例えば40℃〜80℃)に設定するとよい。また、上記乾燥風速は概ね17m/s以上(例えば17m/s〜22m/s)に設定するとよい。このことによって、凹凸面の最大高低差をここに開示される好ましい範囲に制御しやすくなる。

Claims (1)

  1. 正極シートと負極シートとがセパレータシートを介して重ね合わされてなる電極体を備えた非水電解液二次電池であって、
    前記セパレータシートの少なくとも一方の表面には、無機フィラーとバインダとを有する多孔層が形成されており、
    前記多孔層の表面は凹凸に形成されており、該凹凸面の最大高低差が0.2μm〜1.7μmである、非水電解液二次電池。
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