JP2015098558A - 押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ネックインが小さく、かつ、延展性が高い、高速押出しラミネート加工性にも優れたポリプロピレン系樹脂組成物と、耐落袋性と耐衝撃性に優れる積層体を提供する。【解決手段】コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなる樹脂組成物、または、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有するプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなる伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることを特徴とする押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物および積層体に関し、詳しくは、ネックインが小さくラミネート加工性に優れ、かつ、延展性が高いので高速での押出しラミネート加工性にも優れ、そして、透明性と内容物の透視性に優れる押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物および押出しラミネート加工により得られた耐落袋性と耐衝撃性に優れる積層体に関する。
従来より、食品包装用資材、工業用資材、建築用資材等として、各種樹脂フィルムやシート、各種金属箔や板、紙等の基材にエチレン系樹脂やプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂をラミネートして積層体となし、熱融着性、水蒸気遮断性、防水性、防錆性等の特性を付与することが行われ、主として、基材にアンカーコート剤を介してオレフィン系樹脂を押出しラミネートして積層体とする押出しラミネート法が用いられている。
ポリプロピレン系樹脂は、防湿性、耐ガス透過性、耐油性、耐熱性、腰の強さ等でポリエチレン系樹脂よりも優れている。一方で、ポリプロピレン系樹脂は、その分子構造が線状であり、分子量もそれほど大きくないために溶融張力が低い樹脂であって、押出しラミネート法においては、ネックインと称される、押出機ダイの幅よりも押出されたフィルムの幅が小さくなる現象が大きく、高速でのラミネートではサージング(引き取り方向に発生する厚みむら又はエッジ部の伸縮による不安定現象)を生じる等の加工性の問題があった。
このような問題を解決するため、ポリプロピレンに低密度ポリエチレンや無定形エチレン−α−オレフィン共重合体を配合することにより、上記のような加工性の問題はある程度改善されるものの、ラミネートフィルムとした時に、透明性やヒートシール強度に劣ったり、耐落袋性や耐衝撃性に劣る等の問題があった(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、その他手法として、ポリプロピレン樹脂自体に溶融張力を付与する技術が開発されている。例えば、特許文献3には、高エネルギーイオン化放射線により、ポリプロピレンに長鎖分岐を導入することで、溶融張力の向上を図る技術が開示されている。また、同様に、有機過酸化物を利用してポリプロピレン樹脂に長鎖分岐を導入する方法として特許文献4〜5等、多くの技術が開示されている。
しかしながら、高エネルギーイオン化放射線照射や有機過酸化物の使用によりポリプロピレンに長鎖分岐を導入する技術は、前者では製造時の高コスト化、黄変の問題、経時による物性変化、後者においては、有機過酸化物の分解物による汚染、臭気、黄変、製造時の安全性等の問題が有り、これらとは異なる方法での高溶融張力ポリプロピレンの製造技術が望まれていた。
近年、メタロセン触媒を利用したマクロマー共重合法が提案されている。例えば、重合第一段階(マクロマー合成工程)で特定の錯体と特定の重合条件により、末端にビニル構造をもつプロピレンマクロマーを製造し、その後、重合第二段階(マクロマー共重合工程)で特定の触媒と特定の重合条件によりプロピレンと共重合を行うことにより、高次の架橋がなく、ポリプロピレンとしての本来の化学的安定性が損なわれることなく、リサイクル性にも優れ、溶融張力改良に対してゲルの発生の懸念がない方法(マクロマー共重合法)が考案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。
しかしながら、この方法では、前段でマクロマーとして必要な末端ビニル構造を効率的に得るために、特定の錯体で比較的高温かつ低圧で重合する必要がある。その為生成するマクロマーは、分子量及び立体規則性が低いマクロマーとなってしまう。
上記した多段階重合法に対して、特定の錯体触媒でマクロマー合成工程とマクロマー共重合工程を同時に行う単段重合法が考案されている(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、この方法では、マクロマーの生成量とマクロマー共重合量が必ずしも充分ではなく、溶融物性改善の効果は不十分なレベルである。
本出願人が特許文献9および特許文献10にて開示した技術によれば、特定の複数のメタロセン触媒成分を含有する触媒の存在下に、単段重合によりプロピレン重合を行なうことで、マクロマー共重合法における先行技術の種々の問題が解決され、極めて高い溶融張力と良好な伸張粘度特性を有する長鎖分岐含有ポリプロピレン樹脂を得ることが出来る。
しかしながら、高溶融張力を有する樹脂そのものを押出しラミネートする場合、押出機内での流動性の悪さから負荷が上がり易く押出レートを上げ難かったり、押出しラミネートフィルム成形する場合に引き取りに対する延伸性が乏しくなって成形速度が上げられなかったり、フィルム外観が悪化するなど、生産性が上がらない等の問題を生じる恐れがあった。
特開昭59−75934号公報 特開平8−259752号公報 特開昭62−121704号公報 特開平6−157666号公報 国際公開第99/27007号 特表2001−525460号公報 特開平10−338717号公報 特表2002−523575号公報 特開2009−57542号公報 特開2009−275207号公報
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、ネックインが小さく、また、高速での押出しラミネート加工性に優れ、そして、耐落袋性や耐衝撃性に優れる積層体を得ることが可能な押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物および積層体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体と、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体を組み合わせることにより、または、プロピレン系重合体と、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体からなりλmaxが1.1以上である樹脂組成物が、ポリプロピレン樹脂の高い溶融張力を維持しつつ、ネックインが小さく、ラミネート加工性に優れ、かつ、延展性が高いので高速での押出しラミネート加工性にも優れ、得られたラミネート積層体は、耐落袋性に優れ、また耐衝撃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物及び積層体を提供する。
[1]コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなることを特徴とする押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有するプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなり、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることを特徴とする押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[3]プロピレン系重合体(X)が下記(i)〜(iv)に規定する要件を満たすことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
(ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
[4]さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(v)ME(メモリーエフェクト)とMFR(メルトフローレート:温度230℃、2.16kg荷重)が以下の式を満たす。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
[5]さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
[6]さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(vii)MFRが0.1g/10分以上、30g/10分以下である。
[7]
プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)のMFRが、1〜50g/10分であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[8]プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)が、以下の(viii)〜(x)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(viii)プロピレン系重合体成分(A)の融解ピーク温度Tm(A)が150〜165℃であること。
(ix)プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)全量に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の割合[W(B)]が10〜50重量%であること。
(x)プロピレン−エチレンブロック共重合体成分(B)のエチレン含量[E(B)]が、10〜85重量%であること。
[9]プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)が、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[10]基材上に、上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出ラミネート加工により積層されたことを特徴とする積層体。
[11]
上記[3]〜[6]に記載の(i)〜(vii)の要件を満たすことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の押出しラミネート用プロピレン系重合体(X)。
本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、ネックインが小さくラミネート加工性に優れ、かつ、延展性が高いので高速での押出しラミネート加工性に優れる。そして、得られたラミネート積層体は、耐落袋性に優れ、また耐衝撃性に優れる。
図1は、GPCにおける分子量分布曲線の一例を示すグラフ図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなることを特徴とする。
また、本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有するプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなり、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることを特徴とする。
[プロピレン系重合体(X)]
本発明で使用するプロピレン系重合体(X)は、コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、好ましくは伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である、長鎖分岐型のプロピレン系重合体である。
上記各特性及びプロピレン系重合体(X)の製造方法などについて、以下、具体的に説明する。
[プロピレン系重合体(X)のコモノマー]
本発明で使用するプロピレン系重合体(X)は、コモノマーとして、エチレン及び/又は1−ブテンを、総量として10.0モル%以下含有しうる。
プロピレンに少量のコモノマーを共重合させて得られるいわゆるランダム共重合体は、プロピレン単独重合体とくらべて、コモノマーによって結晶性が低下するため、柔軟性、透明性が向上するという利点があり、透明性の必要な場合には、コモノマーとして、エチレン又は1−ブテンを含有させたランダム共重合体にすることが好ましい。
しかしながら、多量にコモノマーが存在すると、結晶性が低下しすぎて融点が低下し、耐熱性を悪化させるという問題が生じてしまう。また、重合時にコモノマーが存在すると、コモノマーへの連鎖移動がβメチル脱離反応と競合し、マクロマーの生成効率が低下してしまい、結果として、溶融物性が損なわれてしまうという問題が生じる。
そこで柔軟性、透明性と、耐熱性、溶融物性のバランスよいプロピレン系重合体(X)とするためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、10モル%以下のランダム共重合体にすることが必要であり、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
また、コモノマーとして、エチレンと1−ブテンを比較した場合、同じモル%含量であっても、エチレンの方が結晶性を低下させ、融点を低下させる効果が大きい。すなわち、コモノマーが1−ブテンの場合には、エチレンの場合とくらべて、融点、耐熱性見合いでコモノマー含量を高くできる。
また、1−ブテンをコモノマーとして用いた場合には、エチレンの場合と比べて、融点見合いで、歪硬化度(λmax)でみる溶融物性の低下が小さい。その理由は、必ずしも明確ではないが、エチレンと比較して1−ブテンへの連鎖移動速度が小さいことにより、1−ブテンの場合には、コモノマー含量が高くても、マクロマー生成効率の低下が小さいためと、推定している。
したがって、エチレン/プロピレンランダム共重合体の他に、エチレンの一部を、またはすべてを1−ブテンに変えたエチレン/1−ブテン/プロピレンランダム共重合体、1−ブテン/プロピレンランダム共重合体にすることが好ましい。この場合には、コモノマーの1−ブテンを10.0モル%以下含有するように使用することがよく、好ましくは7.0モル%以下であり、更に好ましくは5.0モル%以下である。
また、上記に示した物性を損なわない限り、エチレン、1−ブテン以外のコモノマー、例えば、1−ヘキセンや3−メチル−1−ペンテン等、を使用することが出来る。
エチレン含量および1−ブテン含量の測定は、13C−NMRを用い、後述するmm測定で得られた13C−NMRスペクトルを用いて行う。
[伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)]
本発明のプロピレン系重合体(X)は、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)がそれ自体で1.1以上であるか、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)との樹脂組成物として1.1以上であることが必要である。
歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、例えば、ラミネート成形時にドローレゾナンスが起きにくい。
したがって、プロピレン系重合体(X)の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは2.0以上、より好ましくは4.0以上、さらに好ましくは6.0以上である。
または、プロピレン系重合体(X)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)との樹脂組成物の歪硬化度は1.1以上が必要であり、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は、大きくなる。
また、現時点において分岐を評価する上で最も感度が高い手法と考えられており、13C−NMRで直接分岐構造を評価するのが難しい為に、その手法に替えて、歪硬化度を分岐の指標として用いた。
一般的に、高い歪硬化度を示すには、分岐の長さとして、ポリプロピレンの絡みあい分子量である7,000以上が必要とされる。骨格炭素数に換算すると、約400以上に相当する。ここでいう骨格炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。分岐長がより長くなると、溶融物性は、より向上すると考えられる。特により長い分岐鎖が導入されると、伸長粘度の測定において、より遅い歪速度領域においても、歪硬化が検出されようになると考えられている。
したがって、プロピレン系重合体(X)の分岐鎖長は、好ましくは骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、より好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上であり、更に好ましくは骨格炭素数2000(ポリプロピレン分子量換算:4.2万)以上である。
ここでいうポリプロピレン分子量換算値は、厳密にはGPCで測定される分子量値とは異なるものであるが、GPCで測定される数平均分子量(Mn)に近似している。
したがって、プロピレン系重合体(X)の分岐鎖長は、GPCで測定される数平均分子量(Mn)で好ましくは1.1万以上、より好ましくは2.1万以上、さらに好ましくは4.2万以上と、置き換えて考えられる。
ここで、歪硬化度の測定方法は、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られるが、例えば、測定方法及び測定機器の詳細は、文献Polymer 42(2001)8663に記載の方法があるが、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法1:
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
測定方法2:
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
算出方法:
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
なお、歪速度は、0.001/sec〜10.0/secの範囲で測定可能であり、歪硬化度は歪速度の違いで変化する。この歪硬化度の歪速度依存性は、導入された分岐の形態や長さで変化すると考えられる。
プロピレン系重合体の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)は、プロピレン重合に使用する触媒を構成する二種類のメタロセン錯体の選択やその量比を制御することにより、1.1以上と大きくすることができる。すなわち、2種類のメタロセン錯体の一方は、マクロマーを生成し易いものとし、もう一方は、マクロマーを重合体に取り込み易く、かつ、高分子量の重合体を生成可能なものを選択する。この時、マクロマー生成錯体の比率を大きくすることで、マクロマーの量を増やすことにより、λmaxを大きくすることができる。また共重合錯体として共重合性のよい錯体を選ぶことでλmaxを大きくすることができる。
更に、予備重合を行うことにより、重合体粒子間で長鎖分岐を均一に分布させることでλmaxの値を大きくすることができる。
λmaxの値を小さくする場合にはこの逆の操作を行う。
また、重合時において、水素を添加すると重合体中に相対的に高分子量成分が少なくなり、一本鎖当たりの分岐数が減少することによりλmaxは徐々に小さくなる。また、重合時にエチレンを添加するとマクロマーの重合速度が相対的に低下することにより分岐数が減少しλmaxの値は小さくなる。また、ブテンなどの他のコモノマーを用いた場合にも同様にマクロマーの重合速度が相対的に低下して分岐数が減少することによりλmaxの値は小さくなる。
以上言い換えると、触媒合成時に、適切な2種類の錯体の量、比を選択し、予備重合を適切に行い、重合時に水素を用いて分子量、分子量分布を調整し、エチレンやブテンといったコモノマーの種類と量を適宜選択することにより、所望のλmaxの重合体を得ることが可能である。
プロピレン系重合体(X)は、さらに以下に示す(i)〜(vii)の特性・性状を有することが好ましい。
(i)GPCで測定する分子量分布(Mw/Mn)
プロピレン系重合体(X)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、3.5以上、10.5以下の範囲であることが好ましい。
Mw/Mnは、分子量分布の広がりを表す指標であり、この値が大きいほど、分子量分布が広いことを意味する。Mw/Mnが3.5以上であると、分布が最適な為に、溶融延展性と加工性のバランスが良好となる。したがって、Mw/Mnは3.5以上が好ましく、より好ましくは4.0より大きい値である。さらに好ましくは4.5より大きい値である。一方、Mw/Mnが10.5以下であると、必要としない(低)分子量成分の量が減少して、満足する物性のものが得られる。したがって、Mw/Mnは、10.5以下が好ましく、より好ましくは8.0未満であり、更に好ましくは7.5未満である。
プロピレン系重合体のGPCで測定する平均分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Mw/Mn)は、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤をプロピレン重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。さらに、使用するメタロセン錯体の種類、錯体を2種以上使用する場合は、その量比を変えることで制御することができる。
(ii)GPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率
プロピレン系重合体(X)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、重合体全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率(W(200万以上))が0.4重量%以上、10重量%未満であることが好ましい。
上記200万以上の比率(W(200万以上))は、重合体中に含まれる非常に高い分子量成分の比率を示す指標である。非常に高い分子量成分の比率であるW(200万以上)は、GPCによって得られる積分分子量分布曲線(全量を1に規格化)において、分子量(M)が200万(Log(M)=6.3)以下までの積分値を、よく知られるように、1から減じた値として定義される。
高分子量成分の量が足りないと、溶融張力やスウェル比が小さくなるので、分子量の高い成分が必要であり、中でも非常に分子量の高い成分を少量含有することにより、効率的に成形性が改善される。この非常に分子量の高い成分には、分岐成分を含んでいると考えられる。
したがって、プロピレン系重合体(X)は、好ましくはそのW(200万以上)が0.4重量%以上であり、より好ましくは1.0重量%以上であり、更に好ましくは2.0重量%以上である。
しかしながら、この成分の比率が極端に高すぎると、流動性を悪化させてしまう。また、非常に分子量の高い成分であるために、ゲルが生成してしまい、外観を損ねるという問題が生じる。また、この成分の比率が高すぎると、溶融延展性の悪化を引き起こす。
そこで、プロピレン系重合体(X)は、好ましくは、W(200万以上)が10重量%未満であり、より好ましくは6.0重量%未満、更に好ましくは5.0重量%未満である。
プロピレン系重合体(X)のGPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率は、使用するメタロセン錯体として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、低分子量側を製造するメタロセン錯体に対する量比、プロピレン重合時に添加する水素量や重合温度の制御により、容易に調整を行なうことができる。
上記で定義される重量平均分子量(Mw)、Mw/Mn、α/β、及びW(200万以上)の値は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製は、試料をODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して、溶解させて行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
(iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)
プロピレン系重合体(X)は、昇温溶出分別(TREF)測定によって得られる溶出曲線において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下であることが好ましい。
40℃以下の温度で溶出する成分は、低結晶性成分であり、この成分の量が少ないと、結晶性が向上し、強度が向上しやすい。したがって、この量が3.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0重量%以下であり、更に好ましくは1.0重量%以下あり、特に好ましくは0.5重量%以下である。
プロピレン系重合体(X)のオルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)は、メタロセン錯体を用いることにより、一般的に低く抑えることが可能であるが、触媒の純度を一定以上に保つことに加え、触媒の製造方法や重合時の反応条件を、極端に高温にしないことやメタロセン錯体に対する有機アルミの量比を上げすぎないことが必要である。
昇温溶出分別(TREF)による溶出成分の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長:3.42μm
(iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)
プロピレン系重合体(X)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上の立体規則性を有するものであることが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
mm分率がこの値より大きいと、機械的物性が向上する。従って、mm分率は、好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
また、主鎖および側鎖の立体規則性は、後述するプロピレン系重合体の製造方法で用いられる触媒成分[A−1]および[A−2]のもつ立体規則能力によって決まる。側鎖の立体規則性が低いと、例え主鎖の結晶性が高くても全体の結晶性を落としてしまう。そこでより高剛性の重合体であるためには側鎖、主鎖とも立体規則性が高いことが好ましい。その値としては、主鎖、側鎖ともmm分率で95%以上であることが好ましい。より好ましくは96%以上であり、更に好ましくは97%以上である。
プロピレン系重合体の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)は、使用するメタロセン錯体の選択や重合温度により、容易に調整を行なうことができる。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法は、よく知られているとおりであり、具体的には特開2009−275207号公報に記載の方法に従う。
(v)メモリーエフェクト(ME)
プロピレン系重合体(X)は、メモリーエフェクト(ME)が下記式(1)を満たすことが望ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9 (1)
[式中、MEは、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
プロピレン系重合体(X)は、ポリマー中の高分子量成分の存在比率を表す指標となるメモリーエフェクト(ME)とポリマーの平均分子量を表す指標であるMFRとの相関が上記式(1)の関係にあることが好ましい。
MEは、ポリマーの非ニュートン性を表す指標であり、MEが大きいことは、その重合体に緩和時間の長い成分が存在することを示している。すなわち、同一のMFRでMEが大きい場合には、より長期緩和成分が重合体に分布していることを意味する。
また、MEは、Log(MFR)と、1次の相関を有することが経験的に知られており、一般には、分子量が大きくなるほど(すなわちMFRの値が小さくなるほど)、MEの値は大きくなる。
プロピレン系重合体(X)は、ポリマー鎖に分岐成分が存在することにより、MFR見合いでのMEが従来公知のポリマーと比較して大きく、長期緩和成分の量が多いと成形特性に優れる。より好ましくは、下記式(2)、さらには下記式(3)を満足することが好ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.20 (2)
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.40 (3)
メモリーエフェクト(ME)の測定方法としては、タカラ社製 のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値とする。
プロピレン系重合体(X)のメモリーエフェクト(ME)は、例えば、プロピレン系重合体の重合に使用される、後述のメタロセン錯体の選択やその組み合わせ、およびその量比、ならびに予備重合条件を制御することにより、調整を行なうことができる。
(vi)GPCによる分子量分布曲線から得られる分子量分布の広がりの高分子量側への偏り
プロピレン系重合体(X)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。ここで、α/βは、分子量分布の広がりの高分子量側への偏りを表す指標である。
分子量分布の広がり方に関しては、GPCによって得られる分子量分布曲線で示される。すなわち、分子量(MW)の常用対数を横軸として、縦軸に、当該MWに相当する分子の相対微分質量をプロットしたグラフが作成される。
なお、ここにいう分子量(MW)とは、プロピレン単独重合体を構成する個々の分子の分子量であって、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)とは、異なるものである。図1は、分子量分布曲線の一例を示すグラフ図である。作成したグラフからαおよびβが求められる。本発明においては、上記のように、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。
通常、単一活性点を持つ触媒で均一な重合を行った場合、分子量分布は最も確からしい分布の形状となる。この最も確からしい分布のα/βは、0.9と算出される。
したがって、プロピレン系重合体(X)の分子量分布は、単一活性点で均一な重合をした重合体の分子量分布と比べて、より高分子量側に一層広がっていることを意味している。
α/βが0.9より大きいと、相対的に高分子量成分の量が十分となるため、溶融張力が大きくなり、成形性が向上するので、分子量分布は、低分子量側よりも高分子量側において、より一層広がっていることが重要である。
したがって、本発明のプロピレン系重合体は、α/βが0.9より大きいことが好ましく、より好ましくは1.0以上であり、更に好ましくは1.1以上である。
一方、α/βが2.0未満であると、高分子量成分の量が適量となり、流動性が良好となる。また、成形時に高速で延伸した場合に溶融体が破断を起こすという、いわゆる溶融延展性の悪化が回避される。
したがって、プロピレン系重合体(X)は、α/βが2.0未満であることが好ましく、より好ましくは1.7未満であり、更に好ましくは1.6未満である。
なお、分子量分布曲線において、ピークが2つ以上現れることがある。その場合は、最大ピークを本発明におけるピークと置き換えることができる。また、H50が2つ以上現れる場合は、一番高分子量側の分子量で置き換えることができる。同様に、L50が2つ以上現れる場合は、一番低分子量側の分子量で置き換えることができる。
プロピレン系重合体(X)のGPCによる分子量分布曲線から得られる分子量分布の広がりの高分子量側への偏りは、2種使用するメタロセン錯体の一方として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、重合時に添加する水素添加量の制御により容易に調整を行なうことができる。また、使用する2種のメタロセン錯体の量比を変えることでも調整することができる。
(vii)メルトフローレート(MFR)
プロピレン系重合体(X)は、温度230℃、2.16kg荷重で測定するメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上、30g/10分以下であることが好ましい。
MFRは、流動性を示す指標であり、重合体の分子量が大きくなると、この値が小さくなり、一方、分子量が小さくなると、この値は大きくなる。一般的に、この値が小さいと、流動性が悪くなって、各種成形ができなくなってしまう。したがって、MFRは、0.1g/10分以上が好ましく、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは、0.3g/10分以上である。
また、一般的に、この値が大きいと、流動性がよくなるものの、分子量が小さくなりすぎることにより、成形体にした場合に衝撃強度が低下するという機械物性の悪化を引き起こすことがある。したがって、MFRは、30g/10分以下が好ましく、より好ましくは20g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以下である。
なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS K6921−2の「プラスチック−ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準拠して、試験条件:230℃、荷重2.16kgfで測定した値である。
プロピレン系重合体(X)のメルトフローレート(MFR)は、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。
また、プロピレン系重合体(X)を重合した後に有機過酸化物減成による調整を行うこともでき、またはプロピレン系重合体(X)とプロピレン系樹脂(Y)をブレンドした後に有機過酸化物減成による調整を行うこともできる。その際に使用する有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチル−ハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル−ジパーオキシフタレート、t−ブチルパ−オキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、イソプロピルパーカーボネート等が挙げられる。
これらは、1種に限らず2種以上を組み合せて使用することができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが特に好ましい。
減成方法は、有機過酸化物を、樹脂組成物100重量部当たり、0.005〜0.1重量部用いて、両者を該樹脂の溶融温度以上の温度、例えば180〜300℃で、加熱混練すればよく、その方法としてはどのような方法も採用できるが、特に押出機中で行うのが好適である。又、有機過酸化物が結晶性ポリプロピレン樹脂に均一に分散するように、両者を加熱混練する前に、予め両者をヘンシェルミキサー(商品名)、リボンブレンダー等の混合機を用いて充分混合してもよい。更に、有機過酸化物の分散性を向上するために、有機過酸化物を適当な媒体に混合したものも使用することができる。
また、これまでにMFR、Mw/Mn、α/βおよび分子量(M)が200万以上の成分の比率等のプロピレン系重合体の分子量に関する調整方法について説明してきたが、例えば、共通する制御法として、水素量の制御を挙げることができる。水素量を増やすとプロピレン系重合体のMFRは上がり、Mn/Mn、α/β、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下する傾向を示す。
一方、重合温度を上げる、モノマー分圧を下げる方法でも、MFRを上げることが可能であり、その場合には、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下するが、Mn/Mnとα/βはあまり影響を受けない。また、MFRに対する分子量(M)が200万以上の成分の比率は、高分子量側を生成するメタロセン錯体の量や種類を変えることで制御することができる。この様に、使用する触媒や重合条件を変化させることで、これら規定の制御が可能である。
[プロピレン系重合体(X)の製造方法]
プロピレン系重合体(X)を製造する方法については、上記の溶融延展性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、例えば、制御した分岐成分を導入する方法としては、下記のような複数の錯体を用いる方法を挙げることができる。
すなわち、上記の長鎖分岐型のプロピレン系重合体を製造する方法であって、
プロピレン重合触媒として、下記の触媒成分(A)、(B)及び(C)を用いることを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(A):下記一般式(a1)で表される化合物である成分[A−1]から少なくとも1種類、および一般式(a2)で表される化合物である成分[A−2]から少なくとも1種類、選んだ2種以上の周期律表4族の遷移金属化合物
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
(B):イオン交換性層状珪酸塩
(C):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(A)、(B)及び(C)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(A)
(i)成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
Figure 2015098558
[一般式(a1)中、各々R11およびR12は、独立して、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。また、各々R13およびR14は、独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11及びY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基は、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、または、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(a1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、成分(B)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、XとYは、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
一般式(a1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(a1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、である。
(ii)成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
Figure 2015098558
[一般式(a2)中、各々R21およびR22は、独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23およびR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基である。X21及びY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウムまたはハフニウムである。]
上記R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24の、ハロゲン、ケイ素、または、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としてはフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21及びY21は、補助配位子であり、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX21及びY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基または置換ゲルミレン基である。ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(a2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
ただし、以下には煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載した。また中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基または補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(B)
次に、触媒成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(B)に含まれる。
尚、原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に、かつ、安価に入手し得る観点から、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等が挙げられる。
また、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF3、FeCl、FeC等が挙げられる。
また、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、成分(B)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する成分(C)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する成分(C)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物または市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(C)
触媒成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR11 3−qで示される化合物が適当である。
この式で表される化合物を単独で、複数種混合してまたは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R11としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R11が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、または一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
成分(C)を使用する場合、成分(A)と成分(B)を接触させる前に、成分(A)と、もしくは成分(B)と、もしくは成分(A)及び成分(B)の両方に成分(C)を接触させること、成分(A)と成分(B)を接触させるのと同時に成分(C)を接触させること、または、成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を接触させることが可能である。好ましくは、成分(A)と成分(B)を接触させる前に、触媒成分(A)、触媒成分(B)のいずれかと、または両方と、触媒成分(C)とを接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(A)、(B)および(C)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(B)に対する触媒成分(A)の使用量は、触媒成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(A)に対する触媒成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10の範囲内が好ましい。
成分[A−1]と成分[A−2]の割合は、プロピレン系重合体の特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[A−1]と[A−2]の合計量に対する[A−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。より高い歪硬化のプロピレン系重合体を製造するために、通常0.30以上であり、好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にプロピレン系重合体を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐を均一に分布させることができるためと、考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にまたは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分(C)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際または接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法または実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
またプロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレン及び/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで触媒活性と溶融物性のバランスよいプロピレン系重合体(X)を得るためには、
また、ヒートシールと歪硬化度(λmax)のよいバランスの重合体を得るためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して0.5モル%以上用いるのがよく、好ましくは1.0モル%以上であり、更に好ましくは1.5モル%以上である。ある程度の歪硬化度をもたせるためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが必要であり、好ましくは10.0モル%以下であり、更に好ましくは7.0モル%以下である。
ただし、高い結晶性で、前述したように高い歪硬化度(λmax)の重合体を得るためにはコモノマーを用いない重合が好ましい。
[プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)]
上記した分岐構造を有するプロピレン系重合体(X)とともに配合されるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)としては、後述する逐次重合法(重合ブレンド法)による混合物であっても、別々に製造されたプロピレン系重合体成分(A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)とを、混合装置、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(商品名)、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸または二軸スクリュー押出機、コニーダー等を使用して溶融混練する方法(溶融ブレンド法)による混合物であってもよいが、経済的に逐次重合法で製造する方が好ましい。
なお、逐次重合とは、連続する二段以上の多段重合を意味する。ここでいう逐次重合法による混合物とは、成分(A)と成分(B)を逐次重合することにより得られる、通称でのブロック共重合体であり、必ずしも成分(A)と成分(B)とが完全にブロック状に共重合されたものでなくともよい。このブロック共重合体(Y)は、連続した重合によって得られてはいるが、実質的には、プロピレン系重合体成分(A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)との組合物である。しかし、ブロック共重合体(Y)は、逐次重合によって得られているため、これらの各(共)重合体をそれぞれ独立した反応器で製造した後、得られた各(共)重合体を機械的に混合した組成物に比べ、ミクロな相分離構造、または、共連続構造をとる。
前記結晶性とは、共重合体において立体規則性が高く比較的コモノマー含量が少ないことでラメラを形成することができることを意味する。すなわち、プロピレン系重合体成分(A)は、結晶性のものであって、耐熱性を発揮させ、べたつきやブリードアウトを抑制する。
一方、前記低結晶性または非晶性とは、後述するTREF等の結晶性を評価する各種の手法においてプロピレン系重合体成分(A)の有する結晶性に比べ結晶性が低いか、または結晶性が観測できないことを意味する。
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)の好ましい製造は、第1工程でプロピレン系重合体成分(A)を、第2工程でプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を逐次重合することである。以下、逐次重合法によるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)について、具体的に述べる。
(1)第1工程で得られるプロピレン系重合体成分(A)[以下、重合体成分(A)ともいう。]
本発明において、第1段階で重合される重合体成分(A)は、主に、結晶性のプロピレン単独重合体を指すが、発明の趣旨を外れない限り、プロピレンと少量の炭素数2から20の他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。ここで、他のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を例示できる。
重合体成分(A)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体中で、剛性や耐熱性に寄与する成分であることから、好ましくはプロピレン単独重合体成分である。
重合体成分(A)のコモノマー含量は、0〜15重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましく、0〜2重量%が特に好ましい。コモノマー含量を増加させると耐衝撃性が向上するとともに、製造時の重合活性が著しく増加し生産コストが低下するが、上記コモノマー含量が15重量%以下であると、耐熱性の低下が抑制され、べたつきやブリードアウトを抑制しやすくなる。また、第1工程の途中で粒子性状が悪化し重合できなくなることもない。
さらに、重合体成分(A)は、結晶性の尺度である示差走査型熱量計(DSC)による融解ピーク温度Tm(A)が、150〜165℃の範囲にあることが好ましい。Tm(A)は、第1工程終了後に少量サンプリングした重合体成分(A)に対し、常法で、示差走査型熱量計(DSC)により得られる融解ピーク温度として測定される。Tm(A)が150℃以上であると耐熱性が向上し、レトルト処理等の高温での加工を行った際にフィルムが軟化せず、または、高温加工によりフィルム同士の融着がみられない。また、フィルム成形時にはロールへ取られやすくなるなどの問題も生じない。融解ピーク温度Tm(A)の調整は、パウダー中のエチレン含量によって行なうことができる。
(2)第2工程で得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)[以下、共重合体成分(B)ともいう。]
共重合体成分(B)は、低結晶性または非晶性のものであって、本共重合体の柔軟性と耐衝撃性に寄与する成分である。この成分は、多段重合法の第2段階以降で、主にプロピレン−エチレンランダム共重合体として重合される。ここで、本発明の趣旨を外れない限り、さらに少量の他のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等と共重合させてもよい。共重合体成分(B)は、エチレン含量E(B)が通常10〜85重量%、好ましくは15〜80重量%、特に好ましくは20〜75重量%であるものである。E(B)が85重量%以下であると、ブロック共重合体の耐衝撃性が向上し、特に、低温時の耐衝撃性が向上する。E(B)が10重量%以上の場合にも耐衝撃性が向上する。
また、共重合成分(B)については、共重合体(Y)全量中に占める割合W(B)が通常10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。W(B)が50重量%以下であると、ポリマー粒子の凝集が減少し、共重合体(Y)の耐熱性が向上し、べたつきやブリードアウトを抑制しやすくなり、また、W(B)が10重量%以上であると、柔軟性と耐衝撃性に寄与する共重合体成分(B)の量が十分となり、柔軟性や耐衝撃性が向上する。
共重合体成分(B)のMFRは、クロス分別装置で求められる共重合体成分(B)の質量平均分子量MwEPRを、MFRと質量平均分子量との相関式から換算することで求められる。簡易的には、MFRの自然対数が質量平均分子量に比例することを利用して、W(B)とMFR(A)、共重合体(Y)全量全体のMFRから容易に計算でき、いずれの算出法でも本質的に差は無い。共重合体成分(B)のMFRの調整は、供給する水素量、または重合温度を調整する事によって行なうことができる。
共重合体成分(B)の共重合体(Y)全量に対する割合W(B)は、第2工程における重合量を共重合体(Y)全体の重合量で除すことで得られる。具体的には、第2工程における重合量はモノマー消費量、反応熱、反応器自体の増加質量、などから算出できるのでこれを共重合体(Y)全体の重合量で割ればよい。また反応器を直列に繋いだ連続重合の場合は、第1、第2工程における時間あたりの生産量から計算できる。また簡便な方法として、第1工程で得られた重合体成分(A)と第2工程で得られた共重合体成分(B)とを溶媒分別(例えば冷キシレン可溶分分別法)で分別し、それぞれの質量から計算することもできる。さらにTREFやCFCIR等の機器分析によって、第1工程で得られた重合体成分(A)と第2工程で得られた共重合体成分(B)の質量比を求めることもできる。
共重合体成分(B)の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などに詳細な測定法が示されている。G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)。L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)。J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)。
本発明に用いられる共重合体(Y)は、重合体成分(A)と共重合体成分(B)の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造される場合は各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。W(B)は、重合体成分(A)を製造する第一工程の製造量と、共重合体成分(B)を製造する第二工程の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A)を増やしてW(B)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。逆も又同様である。
共重合体(Y)全体のエチレン含量E(AB)は、プロトン完全デカップリング法による13C−NMRスペクトルから求めることができる。スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考にすることができる。またあらかじめ数種類のエチレン含量が異なる共重合体の標準サンプルを用意し、その13C−NMRスペクトル、赤外吸収スペクトルを測定し、それからエチレン含量を求める検量線を作成しておき、これを用いて換算してもよい。またCFC−IR(クロス分別装置とフーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析を組み合わせたもの)における検量線を作成しておき、これを用いてもよい。
第2工程の共重合体成分(B)中のエチレン含量E(B)は、共重合体全体のエチレン含量E(AB)と上述のE(A)、W(B)から下記式2にて計算できる。
(式2) E(B)=( E(AB)− E(A)×(1−E(B)) )/W(B)
共重合体(Y)のMFRは、1〜50dg/minであることが好ましい。より好ましくは3〜40g/10分、さらに好ましくは5〜30g/10分である。MFRが1〜50g/10分の範囲にあることでプロピレン系重合体(X)との相溶性が良いものとなり、押出しラミネート加工の加工性が良好であり、延展性に優れ高速での押出しラミネートが可能となる。
また、共重合体(Y)中の共重合体成分(B)の質量平均分子量は、10,000〜5,000,000であるのが好ましい。質量平均分子量が10,000以上であると、共重合体(Y)を成形した製品の耐衝撃性が向上するため好ましい。また、質量平均分子量が5,000,000以下であると、製品の外観が良好となるため好ましい。この範囲の好ましい下限は50,000、より好ましい下限は100,000である。この範囲の好ましい上限は3,000,000、より好ましい上限は1,000,000である。測定はCFC−IRによる。
[プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)の製造方法]
本発明に用いられる好ましいプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)は、以下の(vii)〜(ix)の条件を満たすように、第1工程でプロピレン系重合体成分(A)を、第2工程でプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を逐次重合することによって得られる。
(vii)プロピレン系重合体成分(A)の融解ピーク温度Tm(A)が150〜165℃であること。
(viii)プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)全量に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の割合[W(B)]が10〜50重量%であること。
(ix)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)のエチレン含量[E(B)]が、10〜85重量%であること。
(1)重合触媒
プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)は、その製造方法に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものでもよく、メタロセン系触媒により製造されたものでもよい。
チーグラー・ナッタ系触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。
一方、メタロセン触媒などのシングルサイト触媒は、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となるなど、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造するにはチーグラー系触媒より優れた触媒である。その詳細は後述する。
(2)重合方法
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)は、第1工程として結晶性のプロピレン系重合体成分(A)を製造し、第2工程として第1工程で得られた重合反応混合物の存在下、さらに低結晶性または非晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を連続して製造されるものである。
重合方法としては溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合が可能である。第1工程の重合は、結晶性のプロピレン系重合体成分(A)の重合であり、通常、スラリー重合法、または実質的に液体溶媒を用いず、各モノマーをガス状に保つ気相重合法が採用される。また、第1工程の重合の様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合も採用できる。重合方法に特に制限はないが好ましいのはバルク重合、気相重合である。好ましい気相重合様式は、媒質を使わずにガス状の単量体中で重合を行なう方法、たとえば生成ポリマー粒子をモノマー気流で流動させて流動床を形成させる方式または生成ポリマー粒子を撹拌機により反応槽において撹拌する方式である。バルク重合、気相重合が好ましいのは、系内に高沸点溶媒が存在しないため、これの除去工程が不要となるためである。
第2工程の重合工程は、第1工程の重合で得られる触媒含有のプロピレン系重合体成分(A)の存在下で、エチレン含量の高いプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を重合する工程である。重合方法に特に制限はないが好ましいのは気相重合である。気相重合が好ましいのは、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)のエチレン含量が高いため、気相プロセス以外の重合プロセスでは重合系内に存在する液体(溶媒または液体プロピレン)にプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)が溶解しやすくなり、ポリマー粒子間のべたつきを生じやすくなるからである。これは、さらに本共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の含量W(B)が高い場合、より一層助長される。したがって、連続法を用いて、まずプロピレン系重合体成分(A)をバルク法または気相法にて重合し、引き続きプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を気相法にて重合するのが特に好ましい。
(3)重合条件
(3−1)重合温度
重合温度は、通常0〜150℃である。その下限は好ましくは50℃、より好ましくは60℃であり、その上限は好ましくは90℃、より好ましくは80℃である。下限以上の温度では重合活性が低下したり、反応熱の除熱効率が悪化したりするという問題が生じない、また、上限以下の温度では生成するポリマーがべたつくという問題が生じない。この上限温度はプロピレン系重合体成分(A)の融点Tm(A)にも関係し、特にTm(A)−40℃の温度以下、中でもTm(A)−50℃の温度以下であるのが好ましい。
(3−2)重合圧力
重合圧力は一般に、0kg/cmGより大きく、2,000kg/cmG以下である。圧力の下限は好ましくは5kg/cmG、より好ましくは10kg/cmG、特に好ましくは15kg/cmGである。下限以上であると重合活性が低下し、または分子量が低下するなどの問題が生じない。好ましい上限は60kg/cmGである。気相重合は、プロピレン又はプロピレンとエチレンとの混合モノマーを導入して、気相状態を維持できる温度、圧力条件下で行われる。バルク重合は、プロピレン又はプロピレンとエチレンの混合モノマーを液状に保ちうる温度及び圧力条件下で行うのが好ましい。重合時間は、通常通常5分〜10時間であり、好ましくは15分〜7時間、より好ましくは30分〜5時間である。
(3−3)モノマーの比率
連続共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することができ、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また生成ポリマーの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。
本発明においては、第1工程の重合における反応系内のプロピレン/エチレンのモル比[以下、モノマーモル比(A)ともいう]が100/0〜80/20にて共重合を行うのが望ましい。下限モル比の80/20においてプロピレンが80以上であると剛性が向上するため好ましい。これらの値はガスクロマトグラフで測定される。
第2工程の重合における反応系内のプロピレン/エチレンのモル比[以下、モノマーモル比(B)ともいう]が10/90〜90/10にて共重合を行うのが望ましい。下限モル比の10/90においてプロピレンが10以上であると耐衝撃性が向上するため好ましい。逆に上限のモル比90/10においてプロピレンが90以下でも同様に耐衝撃性が向上する。これらの値はガスクロマトグラフで測定される。重合系内に窒素、プロパン、イソブタンなどの不活性ガスを共存させることもできるが、多量に存在させるとモノマー分圧が低下して、低活性となるため好ましくない。これら不活性ガスの割合は20モル%以下、好ましくは10モル%以下とするのがよい。
(3−4)多段重合
重合反応は多段重合で行うのが好ましい。多段重合の例の一つとしては、直列につないだ複数の反応器の最上流反応器に触媒を連続的に供給しポリマーを連続的に抜き出しつつ後段の重合槽に移送する様式がある。また別の例としては、一つの重合槽に触媒を連続的に供給して第一段の重合を行った後でモノマーをパージし、当該重合槽内に存在する触媒を失活させることなく、第二段目の重合をおこなう方法も例示できる。いずれにおいても前の工程、前の重合から持ち込むモノマー、水素などが次の工程に与える影響を少なくなるため、工程を移す前にモノマー等のパージ量を増加したり、窒素などの不活性ガスで希釈もしくは置換することも可能であり、むしろそうするのが好ましい。
本発明における第2工程の重合反応とは、少なくとも1つの条件の重合反応後に行う重合反応を指し、例えば、プロピレン系重合体成分(A)の重合を多工程で行った後に行う共重合体成分(B)の重合も含まれる。第1工程、第2工程は、それぞれを数段階に分けることができる。具体的には複数の反応器を直列に繋いで各工程を数段階に分けて実施する方法、一つの反応器を用いて各工程を複数回のバッチで実施する方法が挙げられる。
(3−5)キラー化合物
キラー化合物とは重合触媒の活性(特に第2工程の活性)を低下、失活させる化合物である。キラー化合物は、正常な触媒粒子よりも小さいショートパス粒子を選択的に捕捉し失活させる。これにより共重合体成分(B)の含量[W(B)]が過剰である粒子の生成を抑制する。キラー化合物としては、通常、酸素、エタノール、アセトン等の極性を持った化合物が使用される。またメタロセン触媒を使用する場合は、アルミニウム化合物(スカベンジャー)と反応、相互作用する活性水素を持たず、一方メタロセン触媒のシングルサイト活性点へは相互作用する極性基を持っている化合物であってもよい。このような化合物としてはハロゲン化アルキルやエーテル、ビニルエーテル類が挙げられる。多段の連続重合においては、キラー化合物をいずれかの重合反応器に供給してもよい。好ましくは第2工程を行う反応器に供給する。第2工程を複数の反応器で実施する場合は最上流の反応器に供給するのが好ましい。W(B)が過剰である粒子が存在すると共重合体の溶融、成形時に共重合体成分(B)の成形体中への分散が不充分となり、輝点、ゲル等の発生による外観不良を生じると共に共重合体の耐衝撃性の低下を招く。また、反応器内のポリマー粒子の表面に多くのキラー化合物が作用することから、表面の活性点だけが選択的に失活し、表面のべたつき成分の量が減少し粒子間のべたつき、反応器壁への付着も抑制される。さらに、キラー化合物の添加は第2工程の重合活性の制御の手段としても用いられる。これにより共重合体全量に対する成分(B)の量[W(B)]が制御可能となる。
(3−6)第1工程終了後のポリマー粒子の粒径
本発明においては、第1工程終了後に第2工程を実施するが、エチレン含量が高くべたつきやすい共重合体成分(B)を第2工程においていかに安定的に生産するかがポイントとなる。安定生産のためには、べたつきやすいポリマー粒子の付着を防止することが必要である。そのためには第1工程終了後のポリマー粒子粒径、すなわち第2工程開始前のポリマー粒子粒径を大きくすることが重要である。ポリマー粒子の粒径が大きいと、上述のとおりキラー化合物の効果が発揮されやすくなるとともに、ポリマー粒子の比表面積が小さくなるため単位質量あたりのポリマー粒子の接触面積が小さくなるとともに、べたつきやすい共重合体成分(B)が表面にブリードアウトする(ポリマー粒子表面へ移動する)速度を遅くできる。従って第1工程終了後のポリマー粒子の平均粒径には好ましい範囲が存在し、その下限は通常800μm、好ましくは1000μm、より好ましくは1100μmである。
(3−7)第1工程終了後のポリマー粒子の微粉量
上記の条件だけでなく、ポリマー粒子の微粉もまた反応器の運転安定性に影響する。この量が多いと反応器壁への付着、移送配管での詰まり、ガス配管への飛散、フィルターの詰まりなど運転安定性に悪影響が出てくる。微粉の量は、粒径分布測定における粒径212μm以下の微粉量で表され、目開き212μmの篩でポリマー粒子を篩い、これを通過した割合で定量できる。微粉量は、好ましくは2.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、中でも0.1重量%以下である。
3.プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)の製造に適した重合触媒
(1)メタロセン系触媒
本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)を製造するには、前記のとおり、メタロセン系触媒を使用することができる。プロピレン−エチレンブロック共重合体において、分子量及び結晶性分布が広いとべたつきやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、共重合体についても、べたつき及びブリードアウトを抑制するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合させて製造するのができる。
メタロセン系触媒は、一般に、(I)共役五員環配位子を有する周期律表(短周期型)第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(II)助触媒、並びに必要に応じて使用される(III)有機アルミニウム化合物から構成される。オレフィン重合プロセスの特性によっては、粒子化が必須とされるため、さらには(IV)担体を構成要素とする場合がある。
(I)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン架橋錯体が挙げられ、これらのうち、下記一般式で表されるもの、中でもアズレン系のものが好ましい。
Figure 2015098558
(式中、Mは、Ti、ZrまたはHfである。XおよびYは、補助配位子であり、成分(II)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものである。ZおよびZ’は、置換基を有していてもよいインデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基である。Qは、ZとZ’を架橋する基である。ZおよびZ´は、さらに各環上に置換基を有していてもよい。)
ZおよびZ´としては、インデニル基またはアズレニル基、特にアズレニル基が好ましい。Qは、二つの共役五員環などの配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、具体的にはアルキレン基、シリレン基またはゲルミレン基であるのが好ましい。Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。特にジルコニウムまたはハフニウムが好ましい。XおよびYは、補助配位子であり、成分(II)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX,Yは配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、またはハロゲン原子である。メタロセン錯体の具体的化合物として、以下のものを例示することができる。
置換基が環を構成しているシクロペンタジエニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体において、アズレン系のものとしては、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4―(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、などが挙げられる。
アズレン系であって他の共役多員環配位子が異なるものとしては、ジメチルシリレ2ン[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}][1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
インデニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体としては、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルアルミニウムビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルホスフィノビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルアミノビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
置換フルオレニル配位子を1個、置換シクロペンタジエニル基を1個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体としては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドなどのジクロル体および周期律表第4族の遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体などを例示することができる。
これら具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物、またはその逆に置き換えた化合物も好適なものとして例示される。所望の共重合体の分子量が高い場合はハフニウム化合物が好ましい。上記成分(I)として好ましいのは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基またはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物、中でも炭化水素置換基を有するシリレン基、またはゲルミレン基で架橋されたものや、また置換インデニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなるものが好ましく、特に2位もしくは4位、または2位および4位に置換基を有するものが好ましい。
(II)助触媒(活性化剤成分)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させうる化合物であり、具体的には下記(II−1)〜(II−4)のものが挙げられる。
(II−1)アルミニウムオキシ化合物
(II−2)成分(I)と反応して成分(I)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(II−3)固体酸
(II−4)イオン交換性層状珪酸塩
(II−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015098558
上記の各一般式中、Rは水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(II−2)の化合物は、成分(I)と反応して成分(I)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。または、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(I)と反応して成分(I)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。ここで、成分(II−1)、成分(II−2)を担持する微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。(II−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
(II−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている層状珪酸塩が挙げられ、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。珪酸塩については、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。なおこれらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば特に問題ない。
助触媒である成分(II)としてはII−4のイオン交換性層状化合物が安定であり性能にも優れており、また空気や水と激しくは反応しないため好ましい。
(III)有機アルミニウム化合物
メタロセン触媒系に、必用に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、ハロゲンを含有しないものが使用され、具体的には次の一般式で示される化合物が使用される。
AlR3−i
(式中、RはC1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0≦i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0≦i<3とする。)
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、またはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルコキシ含有アルキルアルミニウム、さらにはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウム、中でもトリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムが好ましい。
(IV)担体
メタロセン触媒系において必要に応じ適宜用いられる担体としては、各種公知の無機または有機の微粒子状固体を挙げることができる。担体の平均粒径は、通常5〜300μm、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜250μm、特に好ましくは46〜200μmである。また、担体の比表面積は、通常50〜1,000m/g、好ましくは100〜500m/gであり、担体の細孔容積は通常0.1〜2.5cm/g、好ましくは0.2〜0.5cm/gである。無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらの混合物、たとえばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどが挙げられる。これらのうちSiOまたはAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記(II)助触媒のうち固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。具体例としては、(B−3)固体酸や(B−4)イオン交換性層状珪酸塩などが挙げられる。ブロック共重合体の粒子性状を向上させるためには各種公知の造粒を行うのが好ましい。
有機固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体の固体を例示することができる。
以上の触媒の各成分(I)〜(IV)の例示においては、触媒各成分が本発明の本質をなすものではないので、煩雑で冗長な列挙を避けて、簡潔に代表的な例示にとどめている。本発明においては、例示された以外の同等の成分も内包されることは当然のことであり、これらが排除される理由は何もない。
(2)予備重合
本発明の触媒は、粒子性の改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すのが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用するのが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にまたは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が採用される。予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間の範囲であるのが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(II)1質量部に対し、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は特に制限されないが、通常0℃〜100℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には有機溶媒等の液体中で実施することもでき、むしろそうするのが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方がメタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、上記各成分の接触の際、または接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、リスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
[プロピレン系重合体(X)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)の割合]
本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物における前記プロピレン系重合体(X)と上記プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)の割合は、(X)及び(Y)の合計100重量%基準で、プロピレン系重合体(X)3〜50重量%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)97〜50重量%である。このような範囲にすることで、ネックインが小さくラミネート加工性に優れ、延展性が高く高速押出しラミネート加工性にも優れ、そして、透明性と内容物の透視性に優れる押出しラミネート用樹脂組成物とすることができる。
好ましい組成の範囲としては、成分(X)5〜50重量%、成分(Y)95〜50重量%、より好ましい範囲は、成分(X)10〜40重量%、成分(Y)90〜60重量%である。
[その他成分]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、プロピレン系重合体(X)及びプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)以外のその他の樹脂(例えば、ポリエチレン系重合体、各種エラストマー等)、また、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、ワックス、防かび剤、抗菌剤、フィラー、発泡剤などの添加剤を配合してもよい。
[押出しラミネート]
本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、基材の表面に溶融押出しラミネート加工(押出しラミネート)され、ラミネート積層体を製造するために使用される。
押出しラミネート加工は、予め製造した基材の表面上に、Tダイより押出した溶融樹脂膜を、基材上に連続的に被覆・圧着する方法で、被覆と接着を同時に行う成形加工法である。通常基材の片側表面にラミネート加工するが、必要に応じて両側にラミネートすることもできる。
基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1―ペンテン、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6・66、ポリアミド12等ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂のフィルムまたはシート等、紙、アルミや鉄などの金属箔も挙げられる。
また、熱可塑性樹脂フィルム又はシートは、一軸もしくは二軸延伸が施されていてもよく、特に二軸延伸ポリプロピレンが好ましい。また、これを紙と積層したものも好ましい。
基材の厚さは、通常5〜100μm程度である。
基材の形態は、フィルムやシートに限定されず、織布、不織布のような形状であってもよい。また、基材は単層構造であっても複層構造であってもよい。複層構造の基材の作成方法としては特に限定されるものではなく、共押しフィルム法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出しラミネート法、サーマルラミネート法等が挙げられる。
また、これら基材には、予めアンカーコート加工、金属蒸着加工、コロナ放電処理加工、印刷加工等の各種フィルム加工処理を施されていてもよい。
基材上に本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物を押出しラミネートする際、樹脂組成物の溶融押出温度は、通常180〜320℃、好ましくは200〜310℃である。320℃以下であると成形性が良好である。
押出しラミネートは、通常基材の片側表面に対して行うが、必要に応じて両側に押出しラミネートすることができる。
形成されたポリプロピレン系樹脂組成物層の厚みは、通常1〜250μm、好ましくは3〜200μm、特に好ましくは5〜150μmである。
押出しラミネート加工により得られた積層体には、さらに、金属蒸着加工、コロナ放電処理加工、印刷加工等の各種フィルム加工処理を施すことができる。
[積層体]
得られた積層体は、各種食品や飲料、医薬・医療品、化粧品、衣料、文具及びその他産業資材や工業資材等の包装用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において使用したポリプロピレン系樹脂組成物とその構成成分、押出しラミネーション成形性や積層体の諸物性は、下記の評価方法に従って、測定、評価した。
[各プロピレン系重合体の物性]
(1)メルトフローレートMFR(単位:g/10分)
JIS K6921−2:1997の付属書準拠、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。なお、ポリエチレン系樹脂については、測定温度は190℃である。
(2)分子量分布Mw/Mn
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(3)GPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(4)昇温溶出分別(TREF)40℃以下の温度での溶出量(単位:wt%)
前述した方法に従って、TREF測定により求めた。
(5)mm分率(単位:%)、エチレン含量(単位:wt%)
日本電子社製超伝導核磁気共鳴装置GSX−400(400MHz)、FT−NMRを用い、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に記載の方法でmm分率を測定した。
また、mm分率測定で得られた13C−NMRスペクトルを用いて、エチレン含量を測定した。
(6)歪み硬化度λmax
伸張粘度測定は以下の条件で行った。
・装置:Rheometorics社製Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
λmaxの算出法の詳細は、前述した通りである。
(7)ME(メモリーエフェクト)
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値として算出した。この値は、Log(MFR)と相関する値であり、この値が大きいと、スウェルが大きく射出成形したときの製品外観がよくなることを示す。
(8)α/β
前述した方法に従って、GPC測定により求めた。
(9)融点(単位:℃)
示差操作熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(10)プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)中の第1工程のプロピレン系重合体成分(A)中のエチレン含量E(A)の算出
特開2003−73426号公報に記載の13C−NMRによるエチレン含量測定法により算出した標準サンプルのエチレン含量をもとに、赤外吸収スペクトルでの700−760cm−1の範囲のピークの高さI[absorbance]とエチレン含量E(A)[重量%]との関係式(下記式[1])を算出しこれを用いて算出した。
第1工程終了時にあらかじめ5gのプロピレン系重合体成分(A)を抜き出しておき、190℃プレス成形にてこれの0.5mmのシートを作成しこれの赤外吸収スペクトルを測定した。下記式[1]中のD[mm]はシート厚みであり10μm単位まで正確に測定した数値を用いた。
式[1] E(A)=5×I/D + 0.0613
(11)プロピレン−エチレン系ブロック共重合体(Y)中のゴム(第2工程のエチレン−プロピレン共重合体(B):EPR)含量(=W(B))、EPR中のエチレン含量(E(B))及びEPRの質量平均分子量(MwEPR)の測定方法。
クロス分別装置(ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100)、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析(FT−IR パーキンエルマー社製 1760X)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を、特開2005−220235号公報と同様の方法で組合せ(これをCFC−IRと略す)、同様に測定、解析した。CFC−IRの40℃可溶分の量からW(B)を、CFC−IRの40℃可溶分中のエチレン含量からE(B)を求めた。
[押出しラミネーションの成形性]
(1)延展性:
ポリプロピレン系樹脂組成物を、口径35mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が290℃になるように設定した押出しラミネート装置を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅300mm、ダイリップ開度0.7mmで引き取り加工速度が10m/分の場合に被覆厚みが15μmになるように押出量を調整して押し出し、幅400mm、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:パイレンフィルム−OT P2161)上に、引き取り速度を10m/分から上昇させながら押出しラミネート加工を行い、安定して被覆加工ができる最高加工速度(単位:m/min)を延展性とした。延展性が高いほど、高速での押出しラミネート加工性が優れる。
(2)ネックイン:
上記したように、押出しラミネート装置を用い、加工速度が10m/分で、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:パイレンフィルム−OT P2161)上に押出しラミネート被覆厚みが15μmの積層体を作成し、ダイス幅と得られた積層体中の樹脂組成物層の幅の差(単位:mm)をネックインとした。ネックインが小さいほど、有効製品幅が広くなり、押出しラミネート加工性が優れる。
[積層体物性]
<落袋衝撃試験>
得られた積層フィルムを、MD 140mm×TD 170mmの大きさに2枚切り取り、MDを揃えて二軸延伸ポリプロピレンフィルム面を外側になるように配置し、MD 2辺、TD 1辺を10mm幅で熱圧着(条件:200℃、2kg/cm、1.0秒)して試験袋を得た。次いで、水道水250mlを充填した。そして、残りTD 1辺も10mm幅で同様に熱圧着して水道水充填試験袋を得た。
得られた水道水充填試験袋を3℃にて1週間冷蔵保存した。冷蔵保存後のサンプルを最終シール部(最後にシールした一辺)が上になるように、コンクリートの床上120cmの高さから連続で20回の垂直落下を行った後、破袋の有無を確認した。なお、当該実験は複数試料に対して行い、評価結果は、「破袋数/n(n:落袋試験に用いた袋の数)」の様に表す。
<耐衝撃性>
雰囲気温度0℃にてJIS P8134に準拠した装置を用い、上記方法でレトルト殺菌を施したフィルムを用い、フィルム試験片を直径50mmのホルダーに固定し、25.4mmの半球型の金属製貫通部で打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(J)を測定し、フィルム厚みで除して求めた。
[使用樹脂]
実施例及び比較例に使用したプロピレン系重合体(X)としては、後記製造例1〜3で製造されたプロピレン系重合体(X−1)〜(X−3)を使用した。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)としては、後記製造例(Y−1)〜(Y−4)で製造されたプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y−1)〜(Y−4)および(Y−5)を使用した。
また、プロピレン単独重合体として、以下のY−5を使用した。
Y−5:
日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)SA1」
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=25、Tm=158℃
また、低密度ポリエチレンとして、以下のLDPE−1を使用した。
LDPE−1;
旭化成ケミカルズ社製L6810
MFR=10.5(190℃、2.16kg荷重)、Tm=107℃
[製造例1:プロピレン系重合体X−1の製造)]
[触媒成分[A−1]の合成例1]
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(1−1)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(1−2)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(1−3)2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8gg(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(1−4)ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(1−5)ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる同定値を以下に記す。
H−NMR(C6D6)同定結果
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
[触媒成分[A−2]の合成例2]:
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様に、実施した。
[触媒成分[B]の合成例]
イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製、商品名ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後にろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイト220gを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
[触媒調製及び予備重合]
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理モンモリロナイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理モンモリロナイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒56.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.82であった(予備重合触媒1)。
[重合例1]
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに水素7.0NL(0.63g)、エチレンを0.54kg添加し、トリイソブチルアルミニウム(0.12mol:濃度50g/Lのヘプタン溶液を0.47L)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで予備重合触媒1を1.9g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のモノマーをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、22.3kgの重合体を得た。
触媒活性は11700gPP/g触媒であった。MFRは6.7g/10分(dg/min)、ポリマー中のエチレン含量は0.92wt%であった。
[製造例2:プロピレン系重合体X−2の製造)]
[重合例2]
添加する水素を4.7NL(0.42g)、エチレンを0.56kg、にする以外は重合例1と同様に実施した。その結果20.1kgの重合体を得た。
触媒活性は10600gPP/g触媒であった。MFRは2.1g/10分(dg/min)、ポリマー中のエチレン含量は0.93wt%であった。
[製造例3:プロピレン系重合体X−2の製造)]
[重合例3]
添加する水素を7.5NL(0.67g)、エチレンを0.56kg、使用する予備重合触媒1を1.5gにする以外は、重合例1と同様に実施した。その結果19.9kgの重合体を得た。
触媒活性は13300gPP/g触媒であった。MFRは9.7g/10分(dg/min)、ポリマー中のエチレン含量は0.95wt%であった。
[プロピレン系重合体(X−1)〜(X−3)のペレット(X−1)〜(X−3)の製造]
製造例1〜3で製造したプロピレン系重合体(X−1)〜(X−3)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名「IRGANOX1010」、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名「IRGAFOS 168」、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、プロピレン系重合体(X)のペレット(X−1)〜(X−5)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
これらのペレット(X―1)〜(X―3)について、エチレン含量、MFR、Mw/Mn、GPC分子量200万以上成分量、TREF40℃以下溶出量、mm、λmax、ME、α/βの評価を行った。
評価結果を表1に示した。
Figure 2015098558
[Y製造例1〜4(プロピレン−エチレンブロック共重合体Y−1〜4の製造)]
[Y製造例1 触媒合成]
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを40ml、フタル酸ジ−エチルを10ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。
次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分のTi含量は1.7質量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを固体成分として100g(0.036molTi)導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなるように調整した。SiCl50mlを加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、[CH=CH]−SiMeを25ml、(i−Pr)Si(OMe)を18ml、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をトリエチルアルミニウムとして40g(0.35mol)添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。
分析したところ、固体成分には、Tiが0.9質量%、(i−Pr)Si(OMe)が6.7質量%含まれていた。
(2)予備重合
上記で得られた固体成分100g(0.019molTi)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。
上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなるように調整した。スラリーを10℃に冷却した後、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をトリエチルアルミニウムとして15g(0.132mol)を添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。
次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分を得た。
この固体触媒成分は、固体成分1gあたり2.0gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(b)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが0.8質量%、(i−Pr)Si(OMe)が6.4質量%含まれていた。
(3)プロピレン系ブロック共重合体の製造
[Y製造例1 重合]
第一工程
3Lオートクレーブを、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。その後、トリエチルアルミニウム400mg、水素を9400NmL、プロピレンを750g導入した。槽内の温度を70℃に保ったところで、上記で得た固体触媒成分を、予備重合体を除いた値で3.0mgを高圧のアルゴンを用いて圧入することにより1段目の重合を開始した。第一工程の重合中、系内の温度を70℃に保った。
1時間経過後、系内の未反応のプロピレンをパージし、窒素を用いて昇圧降圧を繰り返すことにより系内を窒素で置換し反応を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて第一工程後の重合体10gを回収し分析をおこなった。
第二工程
その後、上記の窒素置換したオートクレーブを75℃で大気圧に保持した後、水素、プロピレン、次いでエチレンをすばやく加え、第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧1.9MPaに保ち、75℃を保持した。この第二工程の重合の平均ガス組成は、C:25mol%、H:5mol%であった。
その後、系内の未反応の混合ガスをパージし、窒素置換を繰り返すことで2段目の反応を停止した。オートクレーブを開放することによりプロピレン系重合体305gを得た。
得られた重合体は、上記分析方法を用いて、各種インデックスの測定を行った。その結果を表2に記す。
[Y製造例2 重合]
第一工程
3Lオートクレーブを、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。その後、トリエチルアルミニウム400mg、水素を4800NmL、プロピレンを750g導入した。槽内の温度を70℃に保ったところで、Y製造例1で得た固体触媒成分を、予備重合体を除いた値で3.5mgを高圧のアルゴンを用いて圧入することにより1段目の重合を開始した。第一工程の重合中、系内の温度を70℃に保った。
1時間経過後、系内の未反応のプロピレンをパージし、窒素を用いて昇圧降圧を繰り返すことにより系内を窒素で置換し反応を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて第一工程後の重合体10gを回収し分析をおこなった。
第二工程
その後、上記の窒素置換したオートクレーブを75℃で大気圧に保持した後、水素、プロピレン、次いでエチレンをすばやく加え、第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧1.9MPaに保ち、75℃を保持した。この第二工程の重合の平均ガス組成は、C:55mol%、H:5mol%であった。
その後、系内の未反応の混合ガスをパージし、窒素置換を繰り返すことで2段目の反応を停止した。オートクレーブを開放することによりプロピレン系重合体198gを得た。
得られた重合体は、上記分析方法を用いて、各種インデックスの測定を行った。その結果を表2に記す。
[Y製造例3 触媒の合成]
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド(メタロセン化合物A)の合成
4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、1−ブロモ−4−t−ブチル−ベンゼン40g(0.19mol)、ジメトキシエタン(DME)400mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.46mol/Lのt−ブチルリチウム−ペンタン溶液260ml(0.38mol)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら5時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート46ml(0.20mol)を含むDME溶液100mlを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水100mlを加え、30分間攪拌した後、炭酸ナトリウム50g−蒸留水150mlの水溶液、4−ブロモインデン30g(0.15mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム5g(4.3mmol)を順に加え、その後、低沸成分を除去し80℃で5h加熱した。
反応液を氷水1L中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン37g(収率98%)を淡黄色液体として得た。
2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン37g(0.15mol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)400ml、蒸留水11mlを加え、そこにN−ブロモスクシンイミド35g(0.20mol)を徐々に加え、そのまま室温で1h攪拌した。
反応液を氷水1L中に注ぎ、そこから3回トルエンで抽出を行った。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、1000mlのガラス製反応容器中でp−トルエンスルホン酸4.3g(22mmol)を加え、水分を除去しながら2h加熱還流させた。
反応液を分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン46g(収率95%)を淡黄色固体として得た。
2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成
1000mlのガラス製反応容器に、メチルフラン13.8g(0.17mol)、DME400mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.52mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液111ml(0.17mol)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート41ml(0.18mol)を含むDME溶液100mlを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え、30分間攪拌した後、炭酸ナトリウム54g−蒸留水100ml水溶液、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン46g(0.14mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム 5g(4.3mmol)を順に加え、その後、低沸成分を除去しながら加熱し80℃で3h加熱した。
反応液を氷水1L中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ヘキサンで再結晶を行い2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン30.7g(収率66%)を無色結晶として得た。
ジメチルビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)シランの合成
1000mlのガラス製反応容器に、2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン22g(66mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.60mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液42ml(67mmol)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再びドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却し、1−メチルイミダゾール0.3ml(3.8mmol)を加え、ジメチルジクロロシラン4.3g(33mmol)を含むTHF溶液100mlを滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)シランの淡黄色固体22g(収率92%)を得た。
ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
300mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)シラン11g(16mmol)、ジエチルエーテル200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.60mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液20ml(32mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻し3時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン200ml、ジエチルエーテル10mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム3.7g(16mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチルフリル))−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ジルコニウムジクロライド(メタロセン化合物A)のラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として1.3g(収率9%)得た。
H−NMR値(CDCl) ラセミ体:δ1.14(s,6H),δ1.33(s,18H),δ2.41(s,6H),δ6.05(d,2H),δ6.27(d,2H),δ6.80(dd,2H),δ6.92(d,2H),δ7.08(s,2H),δ7.31(d,2H),δ7.44(d,4H),δ7.58(d,4H)。
スメクタイト族イオン交換性層状珪酸塩の化学処理(酸処理および塩処理)
酸処理:セパラブルフラスコに蒸留水1130gと96%硫酸750gを加え、内温を90℃に保ち、そこに造粒モンモリロナイトである水澤化学社製ベンクレイSL(平均粒径19μm、300g)を添加し2時間処理した。懸濁液を1時間で室温まで冷却し、蒸留水で洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10000以下であった。
塩処理:セパラブルフラスコで硫酸リチウム1水和物210gを蒸留水520gに溶かし、そこに、濾過した酸処理粘土を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水3000mlを加え5分間室温で撹拌した。このスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水2500mlを加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返し、得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイトを得た。
メタロセン化合物Aを用いた触媒調製(触媒A)
内容積1Lのフラスコに上記で得た化学処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン65ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35ml(25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mlに調整した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液3.3ml(2.4mmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。さらに、メタロセン化合物A223mg(293μmol)のトルエン60ml溶液を加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記ヘプタンスラリーにヘプタン340mlを加え、内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを10g/時の一定速度で120分間供給した。プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持した。その後、残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5ml(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を30.5g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.96であった。
[Y製造例3 重合]
触媒Aによるプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合
第一工程:内容積3Lの撹拌式オ−トクレ−ブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、水素400ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温しその温度を維持した。触媒Aをn−ヘプタンにスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)20mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を置換した。
第二工程:その後、内温を60℃でプロピレンを0.76MPaまで導入し、続いてエチレンを1.8MPaまで導入し内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、1時間重合反応を制御した。その結果、粒子性状の良い332gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体が得られ、MFRは20(dg/min)であった。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成はプロピレン/エチレン=49/51であった。
得られた重合体は、上記分析方法を用いて、各種インデックスの測定を行った。その結果を表2に記す。
[Y製造例4 重合]
触媒Aによるプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合
第一工程で触媒Aを30mg使用し、水素を324ml添加した。第二工程のプロピレン/エチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成がプロピレン/エチレン=28/72となるように調節し、20分間重合反応を制御した以外は、Y製造例3と同様に操作した。その結果、325gのプロピレン−プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
得られた重合体は、上記分析方法を用いて、各種インデックスの測定を行った。その結果を表2に記す。
Figure 2015098558
(実施例1)
X−2:10重量部とY−1:90重量部をヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、スクリュー径30mmΦの押出機にて220℃の温度で溶融押出してペレット化した。得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚20μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例2)
X−2とY−1の比率を20重量部と80重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例3)
X−2とY−1の比率を40重量部と60重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例4)
X−1:20重量部とY−1:80重量部をヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、スクリュー径30mmΦの押出機にて220℃の温度で溶融押出してペレット化した。得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚20μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例5)
X−3:30重量部とY−1:70重量部を実施例1と同様にして、混合した後、溶融押出してペレット化し、得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚20μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例6)
X−2:20重量部とY−2:80重量部を実施例1と同様にして、混合した後、溶融押出してペレット化し、得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚20μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例7)
X−2:20重量部とY−3:80重量部を実施例1と同様にして、混合した後、溶融押出してペレット化し、得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅400mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(実施例8)
X−2:20重量部とY−4:80重量部をヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、スクリュー径30mmΦの押出機にて220℃の温度で溶融押出してペレット化した。得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(比較例1)
X−3:100量部を口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層したが、10m/minではサージングが激しく製膜ができなかった。
(比較例2)
Y−1:100量部を口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
(比較例3)
Y−5:100量部を口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層したが、10m/minではサージングが激しく製膜ができなかった。
(比較例4)
Y−5:90重量部とLDPE−1:10重量部をヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、スクリュー径30mmΦの押出機にて220℃の温度で溶融押出してペレット化した。得られたペレットを口径35mmの押出機に装着した幅300mmのTダイから、樹脂温度290℃で押出し、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に肉厚15μm、速度10m/minで積層した。
得られた積層体の品質を評価した。
これらの評価結果をまとめて表3に示した。
Figure 2015098558
[実施例と比較例の結果の考察]
表3における実施例1〜8から明らかなように、本発明によるラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、耐落袋性と耐衝撃性を維持したまま、延展性が高く、ネックインが小さく、ラミネート加工性が向上することがわかる。
一方で、分岐構造を有するプロピレン系重合体(X)のみを用いた場合は、製膜できなかった(比較例1)。また、プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)のみを用いた場合は、ネックインが大きく延展性が低くなりすぎるために好ましくない(比較例2)。さらに、プロピレン単独重合体のみを用いた場合は、製膜できなかった(比較例3)。そして、プロピレン単独重合体および低密度ポリエチレンを用いた場合は、ネックインが小さくラミネート加工性に優れ、かつ、延展性が高いので高速での押出しラミネート加工性にも優れるものの、これを用いた積層体は、耐落袋性と耐衝撃性に劣るために好ましくない(比較例4)。
本発明の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物は、ネックインが小さくラミネート加工性に優れ、かつ、延展性が高いので高速での押出しラミネート加工性にも優れ、そして、これを用いた積層体は、耐落袋性と耐衝撃性に優れるので、各種食品や飲料、医薬・医療品、化粧品、衣料、文具及びその他産業資材や工業資材等の包装用途に好適に用いることができ、産業上の利用性は極めて高いものがある。

Claims (11)

  1. コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有し、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であるプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなることを特徴とする押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. コモノマーとしてエチレン及び/又は1−ブテンを総量として10.0モル%以下含有するプロピレン系重合体(X)3〜99重量%と、プロピレン系重合体成分(A)およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)1〜97重量%からなり、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることを特徴とする押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系重合体(X)が下記(i)〜(iv)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以上、10.5以下である。
    (ii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
    (iii)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
    (iv)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
  4. さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(v)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (v)ME(メモリーエフェクト)とMFR(メルトフローレート:温度230℃、2.16kg荷重)が以下の式を満たす。
    (ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
    [式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
  5. さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(vi)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (vi)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
  6. さらに、プロピレン系重合体(X)が、下記(vii)に規定する要件を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (vii)MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1g/10分以上、30g/10分以下である。
  7. プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)のMFRが、1〜50g/10分であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)が、以下の(viii)〜(x)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (viii)プロピレン系重合体成分(A)の融解ピーク温度Tm(A)が150〜165℃であること。
    (ix)プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)全量に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の割合[W(B)]が10〜50重量%であること。
    (x)プロピレン−エチレンブロック共重合体成分(B)のエチレン含量[E(B)]が、10〜85重量%であること。
  9. プロピレン−エチレンブロック共重合体(Y)が、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の押出しラミネート用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  10. 基材上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出ラミネート加工により積層されたことを特徴とする積層体。
  11. 請求項3〜6に記載の(i)〜(vii)の要件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の押出しラミネート用プロピレン系重合体(X)。
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