JP2015095582A - 化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法 - Google Patents

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Katsutaka Yokoi
勝孝 横井
岡本 隆浩
Takahiro Okamoto
隆浩 岡本
優嗣 新美
Masatsugu Niimi
優嗣 新美
直希 西口
Naoki Nishiguchi
直希 西口
理 加茂
Osamu Kamo
理 加茂
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Abstract

【課題】CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができ、さらにはドレッシング性を向上させた化学機械研磨パッド、および該化学機械研磨パッドを用いた化学機械研磨方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る化学機械研磨パッドは、エポキシ樹脂硬化体を含む研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、前記エポキシ樹脂硬化体は、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、を含有する研磨層用組成物を硬化させてなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学機械研磨パッドおよび該化学機械研磨パッドを用いた化学機械研磨方法に関する。
半導体装置の製造において、優れた平坦性を有する表面を形成することができる研磨方法として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下「CMP」ともいう。)が広く用いられている。化学機械研磨は、化学機械研磨パッドと被研磨面とを摺動させながら、化学機械研磨パッドの表面に化学機械研磨用水系分散体(以下、「スラリー」ともいう。)を流下させつつ、化学機械研磨的に研磨を行う技術である。
このような化学機械研磨では、化学機械研磨パッドの性状や特性により研磨結果が大きく左右されることが知られている。一般に、化学機械研磨パッドが柔らかいと、被研磨面の表面欠陥(具体的には、スクラッチと呼ばれる引っ掻き傷状の表面欠陥)を低減させることができるが、被研磨面の局所的な平坦性は悪くなってしまう。逆に、化学機械研磨パッドが硬いと、被研磨面の平坦性は良好となるが、被研磨面のスクラッチが増大してしまう。このように被研磨面の表面欠陥の低減と被研磨面の平坦性とはトレードオフの関係があり、これらの特性を両立できる化学機械研磨パッドの材料の開発が要求されている。
このような観点から、弾性率に着目した種々の化学機械研磨パッドが提案されている。具体的には、半導体基板表面を平坦化する化学機械研磨に好適な化学機械研磨パッドとしては、ポリウレタンにフィラー状の成分を分散させた研磨パッド(例えば、特許文献1参照)、発泡ウレタンを使用した研磨パッド(例えば、特許文献2および特許文献3参照)、ポリオールやイソシアネートの使用量を調整してウレタン樹脂の架橋度を調節することにより物性値を制御した研磨パッド(例えば、特許文献4参照)等が検討されている。
また、高度な平滑度および平坦度が求められる高精度の研磨仕上げだけでなく、さらに研磨性能を向上させる観点から、エポキシ樹脂で形成された研磨パッド(例えば、特許文献5および特許文献6参照)が提案されている。
特表平8−500622号公報 特開2005−236200号公報 特許第3956364号公報 特開2007−284625号公報 特開2012−139735号公報 特開2003−80450号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている材料を用いた化学機械研磨パッドは、研磨層の高弾性率化に着目して検討されているため、CMPにおける被研磨面の平坦性を向上させることはできても、研磨欠陥の発生を十分に抑制できない場合があった。
また、通常研磨パッドを用いて多数の半導体ウエハの平坦化処理を行うと、研磨パッド
表面の微細凹凸部が摩耗して、スラリーを半導体ウエハの加工面へ供給する性能が落ちることがある。そのため、所定枚数の半導体ウエハの平坦化処理を行った後には、ドレッサーを用いて研磨パッド表面を粗面化(ドレッシング)する必要がある。ドレッシングを所定時間行うと、研磨パッド表面には無数の微細凹凸部ができ、パッド表面が毛羽立った状態となって研磨性能が回復する。上記の特許文献5や特許文献6に開示されている化学機械研磨パッドは、硬くて脆いエポキシ樹脂で形成されているため、カットレートが大きくなるという問題があった。カットレートが大きすぎると、ドレッシングの際に研磨層の表面摩耗が必要以上に大きくなって研磨パッドの寿命が短くなる傾向にある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題を解決することで、CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができ、さらにドレッシング性を向上させた化学機械研磨パッド、および該化学機械研磨パッドを用いた化学機械研磨方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る化学機械研磨パッドの一態様は、
エポキシ樹脂硬化体を含む研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、
前記エポキシ樹脂硬化体は、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、を含有する研磨層用組成物を硬化させてなることを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の化学機械研磨パッドにおいて、
前記(B)低応力化剤が、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂及びアセトアセタール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることができる。
[適用例3]
適用例1の化学機械研磨パッドにおいて、
前記(B)低応力化剤が、ポリオキシアルキレン及びシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する重合体のエポキシ化物であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の化学機械研磨パッドにおいて、
前記(A)エポキシ樹脂が、エポキシ環を二つ以上有する多官能エポキシ化合物であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の化学機械研磨パッドにおいて、
前記研磨層が、(C)水溶性粒子をさらに含有することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の化学機械研磨パッドにおいて、
前記研磨層が、(D)微小中空球体をさらに含有することができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例の化学機械研磨パッドは、
シリコン酸化膜を含む被研磨体を研磨する用途に用いることができる。
[適用例8]
本発明に係る化学機械研磨方法の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨する工程を含むことを特徴とする。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドによれば、CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性を格段に向上させ、かつ、研磨欠陥(スクラッチ)を格段に低減させることができる。また、本実施の形態に係る化学機械研磨パッドによれば、カットレートを小さくすることができるため、ドレッシング性を格段に向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
1.化学機械研磨パッド
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、後に詳述するが少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。本発明における「研磨層」とは、化学機械研磨工程において用いられる化学機械研磨パッドのうち、被研磨体と接触して研磨に供する面(以下、「研磨面」ともいう。)を有する層のことをいう。かかる研磨層は、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、を含有する研磨層用組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化体を含む点に特徴がある。
このようにして得られたエポキシ樹脂硬化体は、(B)低応力化剤の作用によりエポキシ樹脂硬化体特有の剛直な骨格に由来する硬くて脆いという性質を改善し、適度な硬度および弾性率を有すると共に、クラックが入りにくいという性質を示すようになる。この性質により、CMPにおいて高い研磨速度が得られると共に、被研磨面の平坦性を格段に向上させ、かつ、研磨欠陥(スクラッチ)を格段に低減させることができる。また、(B)低応力化剤を含まないエポキシ樹脂硬化体に比べてカットレートを小さくすることができ、ドレッシング性を格段に向上させることもできる。
前記研磨層は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、必要に応じて(C)水溶性粒子、(D)微小中空球体、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、加工助剤等の添加剤と、を混練機にて混練してペレット状の研磨層用組成物を得た後、この研磨層用組成物を所望のパッド概形に成型し、反応硬化させることにより成型体を得る。次いで、得られた架橋重合体の成型体をサンドペーパーで研磨し、所定の厚さに調整して、研磨層を作製することができる。
以下、本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの研磨層の作製に使用され得る成分、研磨層の形状、製造方法等について詳細に説明する。
1.1.(A)エポキシ樹脂
上述のように研磨層用組成物は、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ環を二つ以上有する多官能エポキシ化合物であることが好ましい。
このような(A)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、複素
環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂等が挙げられるが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂であることが好ましい。
(A)エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらの(A)エポキシ樹脂は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
上述の研磨用組成物における(A)成分と(B)成分の合計100質量部中に占める(A)成分の含有割合は、40〜95質量部であることが好ましく、50〜90質量部であることがより好ましい。(A)成分を上記範囲内で含有することにより、得られるエポキシ樹脂硬化体の硬度および弾性率が使用時において適度となるため、CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。
1.2.低応力化剤
上述のように研磨層用組成物は、(B)低応力化剤を含有する。本発明における「低応力化剤」とは、研磨層用組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化体の内部応力を低減させることのできる添加剤のことをいう。
(B)低応力化剤としては、エポキシ樹脂硬化体の内部応力を低減できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセタール樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン(ウレタン樹脂、ウレタンゴム)、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ化ポリブタジエン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、アミン末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリルゴム、(メタ)アクリル−ブタジエン−スチレンゴム等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセタール樹脂、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましく、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂がより好ましい。
アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂とは、ポリビニルアルコールに酸触媒を用いてアルデヒドを反応させてアセタール化することにより得られた化合物のことをいう。アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂としては、特に制限されるものではなく、下記一般式(1)で表される化合物を使用することができる。
Figure 2015095582
(式(1)中、Rはアルキル基を表し、l、m、nはそれぞれ正の整数であり、かつ、l+m≠0、n=10〜50である。)
アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂の水酸基含有量は、10〜50モル%であることが好ましく、20〜40モル%であることがより好ましく、25〜35モル%であることが特に好ましい。水酸基含有量が上記範囲にあると、アルキルアセタール化ポリビニルアルコールの水酸基と(A)エポキシ樹脂のエポキシ基とが反応することで架橋構造が構築できるので、弾性率をコントロールしやすい。
アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂のアセチル基含有量は、特に制限されないが、3以下であることが好ましい。
また、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化度は、60モル%以上であることが好ましい。60モル%未満であると、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂の親水性が増大し、CMPにおける耐水性が低下するため好ましくない。
アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂の製造方法としては、特に制限されるものではないが、ポリビニルアルコールに酸触媒を用いてアルデヒドを反応させてアセタール化し、中和した後、弱酸又はアルコールを用いて金属イオンを低減化することにより製造することができる。
上記アルデヒドとしては、特に制限されないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。上記酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。上記中和の方法としては、中和剤を用いる方法や熱水や蒸留水や脱イオン水等で洗浄する方法が挙げられる。上記中和剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上述の研磨層用組成物における(A)成分と(B)成分の合計100質量部中に占める(B)成分の含有割合は、通常60〜5質量部であり、50〜10質量部であることが好ましい。(B)成分を上記範囲内で含有することにより、得られるエポキシ樹脂硬化体の硬度および弾性率が使用時において適度となるため、CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。また、(B)成分を上記範囲で含有することにより、カットレートを小さくすることができるため、ドレッシングの際に研磨層の表面摩耗が適度に抑制されるため研磨パッドの寿命が長くなり、ウエハ研磨時の研磨層の毛羽立ちが持続することで研磨速度の高い状態を維持できる。
1.3.(C)水溶性粒子
上述のように研磨層用組成物には、(C)水溶性粒子(以下、「(C)成分」ともいう
。)を添加してもよい。(C)水溶性粒子は、研磨層中に粒子状で分散して存在し、CMPの際に化学機械研磨用水系分散体(スラリー)と接触することで脱離して、研磨層の表面近傍に該スラリーを保持することのできる空孔(ポア)を形成することができる。この脱離は、スラリー中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤してコロイド状となることで生じるものであってもよい。
(C)水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨パッドとしたときのパッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。このことにより、被研磨面に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上することができ、より高い研磨平坦性が得られる。したがって、(C)水溶性粒子は、化学機械研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる観点から、中実体であることが好ましい。
(C)水溶性粒子を構成する材料は特に限定されないが、例えば有機系水溶性粒子および無機系水溶性粒子が挙げられる。有機系水溶性粒子としては、デキストリン、シクロデキストリン、マンニット、糖類(乳糖等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、でんぷん、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルフォン化ポリイソプレン、スルフォン化イソプレン共重合体等から形成されたものが挙げられる。無機系水溶性粒子としては、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム、酸化亜鉛等から形成されたものが挙げられる。これらの中でも、有機系水溶性粒子を用いることが好ましく、シクロデキストリンを用いることが特に好ましい。これらの水溶性粒子は、上記各材料を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、所定の材料からなる一種の水溶性粒子であってもよく、異なる材料からなる二種以上の水溶性粒子であってもよい。
(C)水溶性粒子の平均粒径は5〜80μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。上記範囲内の平均粒径を有する水溶性粒子を用いることにより、研磨層表面に形成されるポアの化学機械研磨用水系分散体の保持能力とパッドの機械的強度とのバランスに優れた研磨層が得られる。
(C)水溶性粒子の含有割合は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることが特に好ましい。上記範囲内の含有割合とすることにより、良好な研磨特性を示す研磨層が得られる。
1.4.(D)微小中空球体
上述のように研磨層用組成物には、(D)微小中空球体(以下、「(D)成分」ともいう。)を添加してもよい。「微小中空球体」とは、熱可塑性樹脂からなる外殻(ポリマー殻)と、外殻に内包される低沸点炭化水素とからなる未発泡の加熱膨張性微小球状体を、加熱膨張させたものをいう。前記ポリマー殻としては、特開昭57−137323号公報等に開示されているように、例えば、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。同様に、ポリマー殻に内包される低沸点炭化水素としては、例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、石油エーテル等を用いることができる。具体例として、ポリマー殻部分がアクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体からなり、該殻内にイソブタンガスが内包された商品名:EXPANCEL461DE(エクスパンセル社製)(粒径:20〜40μm)、EXPANCEL551DE(エクスパンセル社製)(粒径:30〜50μm)が挙げられる。上記微小中空球体を用いることにより、独泡率を高め、これによりスラリーやスラッジのパッド内部への浸透が抑えられ、砥
粒やスラッジの凝集、固化によるスクラッチの発生を防止することができる。
前記(D)成分の粒径に特に制限はないが、研磨層中での平均気泡径が好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmとなるように調整することが好ましい。また、前記(D)成分の含有割合は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、1〜10質量部、好ましくは2〜4質量部となるように添加することが好ましい。(D)成分の量が上記範囲よりも少ないと硬度が大きくなる傾向にあり、逆に上記範囲よりも過剰に添加すると該球体同士がくっついて破裂し、連続気泡が生じやすくなり、独泡率が低下する傾向がある。
また、上記の成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来使用されている発泡剤を、前記微小中空球体と併用してもよく、下記混合工程中に前記各成分に対して非反応性の気体を吹き込んでもよい。該発泡剤としては、水や、炭素数5又は6の炭化水素を主成分とする発泡剤が挙げられる。該炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサンなどの鎖状炭化水素や、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素が挙げられる。
1.5.その他の添加剤
上述の研磨層用組成物には、硬化剤、硬化促進剤、加工助剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに添加してもよい。以下、主な添加剤について説明する。
1.5.1.硬化剤
上述の研磨層用組成物には、前述の成分と共に、硬化剤をさらに添加することが好ましい。硬化剤としては、取り扱いの容易さの観点から、多価カルボン酸無水物が好ましい。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族又は脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられる。
これらの硬化剤は、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の添加量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、エポキシ基と硬化剤に含まれる官能基とが実質的にすべて反応する量を添加することが好ましい。
1.5.2.硬化促進剤
上述の研磨層用組成物には、前述の成分と共に、硬化促進剤を添加することが好ましい。硬化促進剤は、上述の硬化剤(多価カルボン酸無水物)のエポキシ樹脂硬化作用を促進させる効果に優れている観点から、イミダゾール系化合物であることが好ましい。
イミダゾール系化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル
−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
これらの硬化促進剤は、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。本発明に用いられる硬化促進剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、通常0.1〜5質量部であり、0.5〜2質量部であることが好ましい。
1.5.3.加工助剤
上述の研磨層用組成物には、前述の成分と共に、加工助剤(離型剤)を添加してもよい。加工助剤を添加することにより、所定の型に成型された架橋重合体を型から容易に取り出すことができる。
加工助剤(離型剤)としては、シリコーンオイル、フッ素系離型剤、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル等が挙げられる。
1.6.研磨層の形状および物性
研磨層の平面形状は、特に限定されないが、例えば円形状、多角形状等とすることができ、使用する研磨装置に応じて適宜選択することができる。研磨層の平面形状が円形状である場合、その大きさは、好ましくは直径150mm〜1200mm、より好ましくは直径500mm〜1000mmである。研磨層の厚さは、好ましくは0.5mm〜5.0mm、より好ましくは1.0mm〜3.0mm、特に好ましくは1.5mm〜3.0mmである。
研磨層の研磨面には、複数の凹部を形成してもよい。前記凹部は、CMPの際に供給されるスラリーを保持し、これを研磨面に均一に分配すると共に、研磨屑や使用済みのスラリー等の廃棄物を一時的に滞留させ、外部へ排出するための経路となる機能を有する。
凹部の深さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.1mm〜2.5mm、特に好ましくは0.2mm〜2.0mmとすることができる。凹部の幅は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.1mm〜5.0mm、特に好ましくは0.2mm〜3.0mmとすることができる。研磨面において、隣接する凹部の間隔は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.05mm〜100mm、特に好ましくは0.1mm〜10mmとすることができる。また、凹部の幅と隣り合う凹部の間の距離との和であるピッチは、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.15mm〜105mm、特に好ましくは0.6mm〜13mmとすることができる。凹部は、前記範囲内の一定の間隔を設けて形成されたものであることができる。前記範囲の形状を有する凹部を形成することで、被研磨面のスクラッチ低減効果に優れ、寿命の長い化学機械研磨パッドを製造することができる。
前記各好ましい範囲は、各々の組合せとすることができる。すなわち、例えば深さが0.1mm以上、幅が0.1mm以上、間隔が0.05mm以上であることが好ましく、深さが0.1mm〜2.5mm、幅が0.1mm〜5.0mm、間隔が0.05mm〜100mmであることがより好ましく、深さが0.2mm〜2.0mm、幅が0.2mm〜3.0mm、間隔が0.1mm〜10mmであることが特に好ましい。
前記凹部を加工するための工具は、特開2006−167811号公報、特開2001−18164号公報、特開2008−183657号公報等に記載されている形状の多刃工具を用いることができる。使用する工具の切削刃は、ダイヤモンドあるいは、Ti、Cr、Zr、V等の周期表第4、5、6族金属から選択された少なくとも1種の金属元素と、窒素、炭素および酸素から選択された少なくとも1種の非金属元素と、で構成されるコ
ーティング層を有してもよい。さらにコーティング層は1層設ける場合に限らず、材料を違えて複数層設けてもよい。このようなコーティング層の膜厚は、0.1〜5μmが好ましく、1.5〜4μmがより好ましい。コーティング層の成膜には、アークイオンプレーティング装置等の公知の技術を工具材質、コーティング材質等に応じて適時選択して使用することができる。
研磨層のショアD硬度は、好ましくは35〜100であり、より好ましくは50〜90である。このような硬さとすることで、十分な研磨速度と良好な表面状態の被研磨面を与える研磨層が得られる。なお、研磨層のショアD硬度は、JIS K6253に準拠した方法で測定することができる。
研磨層のカットレートは、10μm/分以下であることが好ましく、8μm/分以下であることがより好ましく、6μm/分以下であることが特に好ましい。カットレートが上記範囲を超える場合には、研磨層の表面摩耗が必要以上に大きくなって研磨パッドの寿命が短くなる傾向にある。
1.7.研磨層の製造方法
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの研磨層は、以下のようにして作製することができる。まず、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、必要に応じて(C)水溶性粒子、(D)微小中空球体、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、加工助剤等の添加剤と、を混練機にて混練してペレット状の研磨層用組成物を得た後、この研磨層用組成物を所望のパッド概形に成型し、反応硬化させることにより成型体を得る。次いで、得られた架橋重合体の成型体をサンドペーパーで研磨し、所定の厚さに調整し、研磨層を作製することができる。
研磨層用組成物は、上述の各成分を適当な混練機により混練する方法により調製することができる。混練機としては、公知のものを使用することができ、例えばロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機が挙げられる。
研磨層用組成物が(C)水溶性粒子を含有するものである場合、混練時の温度において(C)水溶性粒子が固体であることが好ましい。あらかじめ上述の好ましい平均粒径範囲に分級した水溶性粒子を用い、水溶性粒子が固体である条件下で混練することにより、水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径で分散させることができる。したがって、使用する高分子マトリックス材の加工温度に応じて、(C)水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
研磨層用組成物を所望のパッド概形に成形する方法としては、例えば所望の概形と契合する金型を用いて成形する方法、組成物をシート状に成形し次いでこれを所望の形状に切り出す方法等を挙げることができる。
上記パッド概形の成形にあたって研磨層用組成物に加熱処理を施すことにより、(A)成分および(B)成分の硬化反応を同時に行うことができる。この加熱処理を行う温度としては、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃であり、加熱処理の時間としては、好ましくは3〜60分、より好ましくは5〜30分である。
このようにしてパッド概形を成形した後、切削加工により研磨面に前述したような凹部を形成してもよい。また、凹部となるパターンが形成された金型を用いて上述した研磨層用組成物を金型成形することにより、研磨層の概形と共に凹部を同時に形成することもできる。
1.8.化学機械研磨パッドの構成
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドの構成としては、少なくとも一方の面に研磨層を備えていれば特に限定されない。本実施の形態に係る化学機械研磨パッドは、前述した研磨層のみで構成される場合もあるが、研磨層の研磨面とは反対面に支持層を設けることもできる。
支持層は、化学機械研磨パッドにおいて、研磨装置用定盤に研磨層を支持するために用いられる。支持層は、接着層であってもよいし、接着層を両面に有するクッション層であってもよい。
接着層は、例えば粘着シートからなることができる。粘着シートの厚さは、50μm〜250μmであることが好ましい。50μm以上の厚さを有することで、研磨層の研磨面側からの圧力を十分に緩和することができ、250μm以下の厚さを有することで、凹凸の影響を研磨性能に与えない程度に均一な厚みを有する化学機械研磨パッドが得られる。
粘着シートの材質としては、研磨層を研磨装置用定盤に固定することができれば特に限定されないが、研磨層より弾性率の低いアクリル系またはゴム系の材質であることが好ましい。粘着シートの接着強度は、化学機械研磨パッドを研磨装置用定盤に固定することができれば特に限定されないが、「JIS Z0237」の規格で粘着シートの接着強度を測定した場合、その接着強度が好ましくは3N/25mm以上、より好ましくは4N/25mm以上、特に好ましくは10N/25mm以上である。
クッション層は、研磨層よりも硬度が低い材質からなれば、その材質は特に限定されず、多孔質体(発泡体)または非多孔質体であってもよい。クッション層としては、例えば、発泡ポリウレタン等を成形した層が挙げられる。クッション層の厚さは、好ましくは0.1mm〜5.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mmである。
2.化学機械研磨方法
本実施の形態に係る化学機械研磨方法は、上述の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨する工程を含むことを特徴とする。本実施の形態に係る化学機械研磨方法によれば、上述の化学機械研磨パッドを用いているため、CMPにおいて高い研磨速度を示すと共に、被研磨面の平坦性の向上と研磨欠陥(スクラッチ)の低減とを両立させることができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨パッドを使用して化学機械研磨できる材料としては、特に制限されず、例えば基板材料、配線材料、ビアプラグ材料、電極材料、絶縁材料、バリアメタル材料等が挙げられる。基板材料としては、単結晶シリコン等;配線材料としては、タングステン、アルミニウム、銅等およびこれらのうちの1種以上と他の金属からなる合金;ビアプラグ材料としては、上記配線材料として例示したと同様のもの;電極材料としては、多結晶シリコン、非晶質シリコン等;絶縁材料としては、SiO系絶縁材料、低誘電率の有機系絶縁材料、水素含有多孔質絶縁材料(HSQ−SOG)等;バリアメタル材料としては、窒化ケイ素、窒化タンタル、窒化チタン等の窒化物系材料、タンタル、チタン、タングステン等の金属系材料等を、それぞれ挙げることができる。化学機械研磨の対象となる被研磨体は、上記の材料のうちの一種または二種以上から構成されたものであることができる。上述の化学機械研磨パッドは、研磨対象である膜種としてSiO系絶縁材料(シリコン酸化膜)を含む被研磨体を研磨する場合に、研磨時における硬度や弾性率が適度となる。そのため、研磨対象としては、SiO系絶縁材料(シリコン酸化膜)を含む被研磨体であることが特に好ましい。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法によれば、例えば微細素子分離(STI)、ダマシン配線の形成、ビアプラグの形成、層間絶縁膜の形成等のための平坦化を行うことができる。上記微細素子分離を行うための研磨においては、SiO系絶縁材料を研磨することができる。また、ダマシン配線の形成では、研磨初期においては配線材料を、研磨後期においては配線材料および絶縁体材料ならびに任意的にバリアメタルを、それぞれ研磨することができる。さらにビアプラグ形成においてはビアプラグ材料の研磨を、層間絶縁膜の形成においてはSiO系絶縁材料、低誘電率の有機系絶縁材料、水素含有多孔質絶縁材料等の研磨を、それぞれ行うことができる。
本実施の形態に係る化学機械研磨方法においては、市販の化学機械研磨装置を用いることができる。市販の化学機械研磨装置としては、例えば、型式「EPO−112」、型式「EPO−222」(以上、株式会社荏原製作所製);型式「LGP−510」、型式「LGP−552」(以上、ラップマスターSFT社製);型式「Mirra」(アプライドマテリアル社製);型式「ReflexionLK」(株式会社AMAT製)等が挙げられる。
また、化学機械研磨用水系分散体としては、化学機械研磨の対象となる被研磨体に応じて適宜最適なものを選択することができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.実施例1
3.1.1.化学機械研磨パッドの研磨層の製造
(A)成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、「jER 1004AF」)60質量部、(B)成分としてアルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂(積水化学株式会社製、商品名「エスレック BM−1」)40質量部、(C)成分としてβ−サイクロデキストリン(塩水港製糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」)30質量部、可塑剤として(積水化学工業株式会社製、商品名「可塑剤 G−260」)10質量部、加工助剤としてステアリン酸(花王株式会社製、商品名「ルナック S−90V」)3質量部を、あらかじめ120℃に加熱された押出機にて150℃、120rpmの条件で混練した。その後、硬化剤として酸無水物(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュア YH−307」)15質量部、硬化促進剤としてイソブチル−2−メチルイミダゾール(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュア IBMI12」)1質量部を添加し、さらに120℃、60rpmで混練し、研磨層用組成物を調製した。この研磨層用組成物を、金型内にて170℃で20分間加熱して成型し、直径600mm、厚さ2.8mmの円盤状の成型体を得た。次いで、この成型体の一方の面に、切削加工機(株式会社加藤機械製)を用いて、溝幅1.5mm、ピッチ4.0mm、溝深さ1.0mmの、研磨面の中心を中心とする同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドの研磨層を製造した。このようにして得られた研磨層をそのまま化学機械研磨パッドとして使用した。
3.1.2.化学機械研磨の評価
上記で製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置(型式「EPO−112」、株式会社荏原製作所製)に装着し、8インチシリコン酸化膜付きウエハを被加工膜として、以下の条件で研磨した。
・化学機械研磨用水系分散体:CMS4301/CMS4302(JSR株式会社製)
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:100ml/分
・ヘッド押し付け圧:30kPa
・定盤回転数:100rpm
・ヘッド回転数:107rpm
(1)ショアD硬度の測定
上記で得られた化学機械研磨パッドのショアD硬度を、JIS K6253に準拠した方法で測定した。その結果を表1に示した。
(2)研磨速度の評価
研磨速度は、光学式膜厚計(Nanometrics社製、型式「NanoSpec6100」)を用いて以下の手順にて測定した。すなわち、被加工膜である8インチシリコン酸化膜付きウエハについて、外周5mmを除いて直径方向に均等に21点の特定点を設定し、これら特定点について研磨前後のシリコン酸化膜の厚さの差と研磨時間から各点における研磨速度を算出し、その平均値をもって研磨速度とした。その結果を表1に示した。
(3)平坦性の評価
被研磨体として、8インチ「SEMATECH 864パターン(SVTC製)」を用いて化学機械研磨を行うことにより、ピッチ100μmパターン凸部の膜厚7000Åを除去した際のパターン密度50%凹部の段差について、精密段差計(KLA−TENCOR社製、型式「HRP−240」)を使用して測定することで、段差量(Å)を測定し、これを平坦性評価の指標とした。その結果を表1に示した。なお、平坦性評価の基準は下記の通りであり、Aは良好、Bは可、Cは不可を意味する。
A:段差量が0Å超300Å以下。
B:段差量が300Å超500Å以下。
C:段差量が500Å超。
(4)スクラッチ数の評価
化学機械研磨後のシリコン酸化膜につき、欠陥検査装置(KLA−TENCOR社製、「KLA2351」)を用いて、ウエハ全面におけるスクラッチの個数を測定し、欠陥検査を行った。その結果を表1に示した。なお、スクラッチ数の基準は下記の通りであり、Aは良好、Bは可、Cは不可を意味する。
A:スクラッチ数が0個以上30個未満。
B:スクラッチ数が30個以上50個未満。
C:スクラッチ数が50個以上。
(5)カットレートの測定
上記で製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置(型式「EPO−112」、株式会社荏原製作所製)に装着し、#100ドレッサー(旭ダイヤモンド工業株式会社製)を用いてテーブル回転数20rpm、ドレッシング回転数12rpm、ドレッシング荷重10kgfの条件でドレッシングを60分間行った。ドレッシング前後の化学機械研磨パッドについて、化学機械研磨パッドの中心を通る直線上における50mm毎の間隔の10点につき、デプスゲージを用いて化学機械研磨パッドの溝深さを測定した。ドレッシング前後の化学機械研磨パッドの溝深さ(μm)の差を磨耗量として、これにドレッシングを行った時間(60分)で除した値をカットレート(μm/分)とした。その結果を表1に示した。なお、このカットレートは、化学機械研磨パッドのライフの指標とすることができ、好ましくは10μm/分以下,より好ましくは8μm/分以下、特に好ましくは6μm/分以下である。
3.2.実施例2〜5、比較例1〜2
研磨層用組成物の各成分の種類および含有割合を表1に記載のものに変更したこと以外は、上記実施例1と同様にして実施例2〜5および比較例1の化学機械研磨パッドを作製し、上記実施例1と同様にして化学機械研磨パッドの評価を行った。
比較例2では、市販の化学機械研磨パッド(ROHM&HAAS社製、商品名「IC1000」、熱架橋ポリウレタン樹脂により研磨層が作製されているもの)を使用し、上記実施例1と同様にして化学機械研磨パッドの評価を行った。
3.3.化学機械研磨パッドの評価結果
下表1に、各実施例および各比較例で用いた研磨層用組成物の組成ならびに各評価試験の評価結果を示す。
Figure 2015095582
なお、表1中、研磨層用組成物の組成の欄に記した略称は、それぞれ下記のものを意味する。また、表1中「−」は、該当欄に相当する成分を使用しなかったことを意味する。
(A)エポキシ樹脂
・jER 1004AF(三菱化学株式会社製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
(B)低応力化剤
・エスレック BM−1(積水化学工業株式会社製、商品名、ブチラール樹脂、水酸基含有量:約34モル%、アセチル基含有量:3モル%以下、ブチラール化度:65±3モル%)
・エスレック KS−5(積水化学工業株式会社製、商品名、アセトアセタール樹脂、水酸基含有量:約25モル%、アセチル基含有量:3モル%以下、アセタール化度:74±3モル%)
・グリシエールPP−300P(三洋化成工業株式会社製、商品名、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)
・KF−105(信越化学工業株式会社製、商品名、エポキシ変性シリコーンオイル)
(C)水溶性粒子
・β−シクロデキストリン(塩水港製糖株式会社製、商品名「デキシパールβ−100」、平均粒径15μm)
可塑剤
・G−260(積水化学工業株式会社製、商品名「可塑剤 G−260」)
加工助剤
・ステアリン酸(花王株式会社製、商品名「ルナック S−90V」)
硬化剤
・酸無水物(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュア YH−307」)
硬化促進剤
・イミダゾール(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュア IBMI12」、イソブチル−2−メチルイミダゾール)
上記実施例の評価結果から明らかなように、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、を含有する研磨層用組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化体を含む研磨層を備えた化学機械研磨パッドを使用することで、シリコン酸化膜を高研磨速度で研磨することができ、被研磨面の平坦性を格段に向上させ、かつ、研磨欠陥(スクラッチ)を格段に低減できることが判った。また、カットレートを小さくできることも判った。
一方、比較例1〜2では、被研磨面の平坦性および研磨欠陥(スクラッチ)の低減のいずれか一方または双方のレベルが不十分であることが判った。また、比較例1の化学機械研磨パッドの研磨層は、(B)低応力化剤を含有しない研磨層用組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化体のため、硬くて非常に脆く、カットレートが非常に大きくなることが判った。このことから、比較例1の化学機械研磨パッドは、寿命が短く、コストアップだけでなく、生産性にも優れないと考えられる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂硬化体を含む研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、
    前記エポキシ樹脂硬化体は、(A)エポキシ樹脂と、(B)低応力化剤と、を含有する研磨層用組成物を硬化させてなることを特徴とする、化学機械研磨パッド。
  2. 前記(B)低応力化剤が、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール樹脂及びアセトアセタール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. 前記(B)低応力化剤が、ポリオキシアルキレン及びシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する重合体のエポキシ化物である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  4. 前記(A)エポキシ樹脂が、エポキシ環を二つ以上有する多官能エポキシ化合物である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッド。
  5. 前記研磨層が、(C)水溶性粒子をさらに含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッド。
  6. 前記研磨層が、(D)微小中空球体をさらに含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッド。
  7. シリコン酸化膜を含む被研磨体を研磨する用途に用いられる、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッド。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨する工程を含むことを特徴とする、化学機械研磨方法。
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CN110303424A (zh) * 2018-03-20 2019-10-08 长鑫存储技术有限公司 改善上电极板在化学机械研磨工艺中刮伤的方法及设备

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