JP2015093911A - 架橋樹脂微粒子及び塗料組成物 - Google Patents

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Yumiko Hayashi
祐美子 林
森本 幸子
Sachiko Morimoto
幸子 森本
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学 山岡
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Naoya Yabuuchi
尚哉 薮内
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博文 山下
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Abstract

【課題】粘性制御の目的に好適に使用できる数平均粒子経が10〜250nmであり、安価に製造できる架橋樹脂微粒子及びそれを含有するクリア塗料組成物の提供。【解決手段】(メタ)アクリルアミド系モノマー(A)5〜50重量%、炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(B)10〜60重量%、官能基数2〜5のエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(C)2〜25重量%を含有するビニル系単量体組成物を有機溶媒中で反応させることによって得られたものであり、数平均粒子径が10〜250nmである架橋樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋樹脂微粒子及び塗料組成物に関するものである。
塗料分野においては塗装時のタレ防止、他層との混和防止等の目的のために、塗料組成物の粘性制御が重要な課題とされている。このような粘性を制御するために、架橋樹脂微粒子を配合することが行われている(例えば、特許文献1)。このような架橋樹脂微粒子は、粘性発現のためには、粒子が共存する溶剤に溶解しないものとすることが必要である。更に、塗料溶媒に好適に分散することも必要とされる。また、クリヤー塗料に配合する場合には、粒子径が小さいものとすることによって塗膜の透明性を良好なものとすることができる。
しかしながら、特許文献1に記載された架橋樹脂微粒子において、非水分散重合によって得た樹脂微粒子は粘性制御能に乏しく、クリヤー塗膜の透明性を維持できるほどの小粒経化は困難である。更に、乳化重合によって得られたものは、粒子径を小さくすることは可能だが、用途によっては溶剤置換を行って有機溶剤中に分散させる処理が必要となり、高コストになりやすいという問題がある。また、粘性を発現させる効果も必ずしも充分とは言えず、粘性発現効果が更に良好な架橋樹脂微粒子が求められている。
特許文献2においては、(メタ)アクリルアミド系モノマー及び2以上の重合性二重結合を有するモノマーを使用し、非水系分散重合によって得られた架橋樹脂微粒子が記載されている。しかし、当該文献に記載された架橋樹脂微粒子は親水性皮膜を形成するために使用されるものであり、粘性制御を目的とするものではない。更に、特許文献2に記載された架橋樹脂微粒子は、有機溶媒系の塗料への分散性が悪く、塗料中で粒子同士が凝集してしまうために、有機溶剤系塗料の粘性制御には適さない、という問題がある。
特許文献3においては、(メタ)アクリルアミド系モノマー及びN−メチロール基又はN−アルコキシメチル基を有するモノマーを使用して得られた架橋樹脂微粒子が記載されている。しかし、当該文献に記載された架橋樹脂微粒子は親水性皮膜を形成するために使用されるものであり、粘性制御を目的とするものではない。更に、特許文献3に記載された架橋樹脂微粒子は、親水性のマクロモノマーを多量に使用するため、粒子表面が強く親水化する。そのため有機溶剤系の塗料中では樹脂粒子同士が凝集し、分散性の点から溶剤系の塗料に適用することは困難である。
特許文献4においては、架橋性不飽和モノマーを一部に含み、(メタ)アクリルアミド系モノマー及び炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含有する単量体組成物を有機溶媒中で反応させて得られた架橋樹脂微粒子が開示されている。しかし、このような架橋樹脂粒子は、粒子の架橋密度を高くすることが困難であり、使用する溶媒の種類によっては膨潤しやすいという性質を有する。このため、粒子が凝集してしまうことによって、良好な粘性制御が困難になる場合がある。
特開平05−111671号公報 特開平08−003251号公報 特開平08−120003号公報 特許第5179679号
本発明は上記に鑑み、粘性制御の目的に好適に使用することができるような数平均粒子経が10〜250nmであり、安価で製造することができる架橋樹脂微粒子及びそれを含有する塗料組成物を提供することを目的とする。詳しくは、数平均粒子経10〜250nmの架橋樹脂粒子及びそれを含有する着色塗料組成物、数平均粒子径10〜100nmの架橋樹脂粒子及びそれを含有するクリヤー塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(メタ)アクリルアミド系モノマー(A)5〜50重量%、炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(B)10〜60重量%、官能基数2〜5のエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(C)2〜25重量%を含有するビニル系単量体組成物を有機溶媒中で反応させることによって得られたものであり、数平均粒子径が10〜250nmであることを特徴とする架橋樹脂微粒子である。
上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A)は、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド及びN−ブチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1の単量体であることが好ましい。
上記(メタ)アクリレート(B)は、炭素数10〜20の直鎖状アルキル基を有する化合物から選択される少なくとも1の単量体であることが好ましい。
上記ビニル系単量体組成物は、更に、酸性官能基、塩基性官能基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1の官能基を有する単量体(D) 0〜30重量%を含有することが好ましい。
上記ビニル系単量体組成物は、更に、上記(A)(B)(C)(D)以外の不飽和単量体0〜80重量%を含有することが好ましい。
本発明は、上述した架橋樹脂微粒子を含有することを特徴とする塗料組成物でもある。
本発明の架橋樹脂微粒子は、粘性制御の目的に好適に使用することができ、透明性も良好であるように小粒子径化することも可能であり、粒子内において充分な架橋密度を有するものであることから、粒子を製造した後に膨潤や凝集を生じることもなく、安価で製造することができるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の架橋樹脂微粒子は、上述した単量体(A)〜(C)を必須とするビニル系単量体組成物を有機溶媒中で反応させて得られたものである。上記有機溶媒は、単量体がすべて可溶であり、生成する重合体が不溶であることが好ましい。
上記(メタ)アクリルアミドモノマー(A)(以下単量体(A)と記す)及び多官能(メタ)アクリレート樹脂を使用して得られた重合体は、上述したように凝集によって粒子径の制御が困難となり、粘性制御のための架橋樹脂微粒子とすることが容易ではない。しかしながら、多官能(メタ)アクリレート樹脂として官能基数2〜5のエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(C)を使用し、炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(B)(以下、これを単量体(B)と記す)を特定割合で併用して使用することによって、このような問題を改善し、粘性制御のための架橋樹脂微粒子として使用できることを見出すことによって完成したものである。
上記単量体(A)は、(メタ)アクリルアミドモノマーであり、下記一般式(1)で示されるものである。
[式中、Rは水素原子又はメチル基を表わし、RおよびRは同一又は相異して、それぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表わす]
上記式(1)のR又はRによって表わされる「炭素原子数1〜5のアルキル基」は直鎖状のもの又は分枝鎖状のもののいずれであつてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基などを挙げることができる。これらの化合物の2以上を併用して使用するものであってもよい。
上記単量体(A)は、重合原料として使用されるビニル系単量体組成物の全重量に対して5〜50重量%の割合で含有されるものである。上記単量体(A)が5重量%未満であると、凝集力が乏しいために粒子形成がなされない。また、50重量%を超えると、凝集力が過剰となり粒子間会合が生じてしまう。
上記単量体(A)の配合量の上限は、40重量%であることがより好ましく、35重量%であることが更に好ましい。上記単量体(A)の配合量の下限は、10重量%であることがより好ましく、15重量%であることが更に好ましい。
上記単量体(A)は、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジブチルメタアクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1の化合物であることがより好ましい。
N−プロピル(メタ)アクリルアミドとしては、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミドであっても、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであってもよい。N−ブチル(メタ)アクリルアミドとしては、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミドのいずれであってもよい。N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミドについてのプロピル基は、同一又は異なって、n−プロピル基であってもイソプロピル基であってもよい。N,N−ジブチルメタアクリルアミドにおけるブチル基は、同一又は異なって、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基のいずれであってもよい。
本発明においては、上記単量体(B)として炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを必須成分として使用するものである。上記単量体(B)を使用すると、アルキル基の立体的安定化効果によって、粒子の凝集を抑制することができ、微細な架橋樹脂粒子を得ることができる。
上記単量体(B)において、炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては特に限定されるものでなく、塗料分野において公知のものを広く使用することができる。具体的には、例えば、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのなかでも、炭素数10〜20のものであることがより好ましく、直鎖状のアルキル基を有するものが更に好ましい。炭素数8未満のものでは、粒子の安定化能が乏しいものとなってしまう。炭素数が24を超えるものを使用すると、塗料用樹脂との相溶性が低下し、溶剤の揮散に伴って分散性が低下し凝集物化することによる著しい外観不良を生じたりするおそれがある。
上記単量体(B)は、重合原料として使用されるビニル系単量体組成物の全重量に対して10〜60重量%の割合で配合されるものであることが好ましい。配合量が10重量%未満であると、安定化能に乏しいため、凝集物を生じやすく、60重量%を超えると、例えば塗料用樹脂等の併用成分との相溶性が低下し、塗料中に凝集物を生じやすいという問題がある。
上記単量体(B)の配合量の上限は、45重量%であることがより好ましい。上記単量体(B)の配合量の下限は、20重量%であることがより好ましい。
上記単量体(C)は、官能基数2〜5のエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(C)であり、2以上の多官能(メタ)アクリレートのうち、少なくとも一部にエチレンオキサイドからなる構成単位を有するものである。このような多官能(メタ)アクリレートを使用することによって、架橋反応が粒子内部で進行するため、粒子間反応による凝集を抑制することが可能であり、微細な粒子群を得ることができるという点で好ましいものである。
官能基数2のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等を好ましく用いることができる。
官能基数3のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの例は、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
官能基数4のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの例は、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
官能基数5のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの例は、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加変性ペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記単量体(C)は、重合原料として使用されるビニル系単量体組成物の全重量に対して2〜25重量%の割合で配合されるものであることが好ましい。配合量が2重量%未満であると、架橋密度が低いために粒子間融着を起こしやすく、25重量%を超えると重合中に粒子間架橋が進行するために凝集物を生じやすい。上記下限は3重量%であることが好ましく、上記上限は20重量%であることがより好ましい。
本発明の架橋樹脂粒子は、上述した単量体(A)〜(C)に加えて、酸性官能基、塩基性官能基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1の官能基を有する単量体(D)を含む単量体組成物の重合によって得られたものであってもよい。このような単量体(D)を使用することによって、顔料との親和性が良好になり、外観の良好な塗膜が得られる。更に、種々の架橋反応にも寄与することができるため、塗膜強度に優れるという利点もある。
上記単量体(D)を使用する場合、単量体組成物中に0〜30重量%であることが好ましく、0〜20重量%であることがより好ましい。30重量%を超えると、塗料組成物とした場合に塗膜の耐水性や耐候性が低下するおそれがある。本発明の架橋樹脂微粒子においては、単量体(D)の配合量の下限は特に限定されるものではないが、2重量%以上であることが好ましい。
上記単量体(D)として使用できる水酸基含有ビニル単量体(D−1)としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをε−カプロラクトンによって開環させたもの(ダイセル化学工業社製プラクセルFA及びFMシリーズ)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記単量体(D)として使用できる上記酸性官能基含有ビニル単量体(D−2)としては特に限定されず、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体、前記水酸基含有単量体とフタル酸無水物又はトリメリット酸無水物との反応物等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記単量体(D)として使用できる上記塩基性官能基含有ビニル単量体(D−3)としては特に限定されず、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の架橋樹脂粒子は、上述した単量体(A)〜(C)、必要に応じて使用する単量体(D)に加えて、必要に応じてその他の単量体(E)を含む単量体組成物の重合によって得られたものであってもよい。上記単量体(E)は、単量体組成物中に0〜80重量%の割合で含まれることが好ましく、0〜60重量%であることがより好ましい。上記単量体(E)が80重量%を超えると、粒子の粘性制御能が不充分となるおそれがある。
上記単量体(E)としては、公知の任意のビニル重合性単量体を使用することができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマーの他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、スチレン等を挙げることができる。これらの配合量は、0〜15重量%であることが好ましい。また、このような単量体として単量体(C)に該当しない多官能(メタ)アクリレートを使用するものであってもよいが、配合量は0〜5重量%であることが好ましく、0〜2重量%であることがより好ましい。
本発明においては、単官能単量体は、親水性が高い分子量が400以上の単量体は実質的に使用しないことが好ましい。親水性が高い分子量400以上の単量体を使用すると、溶剤中での分散性が著しく低下するため溶剤系塗料での使用が不可能となるおそれがあるという点で好ましくないものである。使用しないことが好ましい単量体としては、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有するモノエチレン性モノマー等を挙げることができる。
本発明の架橋樹脂微粒子は、上述したビニル系単量体組成物を有機溶媒中で反応させることによって得られたものである。上記有機溶媒は、単量体がすべて可溶であり、生成する重合体が不溶であることが好ましい。よって、使用する単量体と得られる樹脂粒子の溶解性を考慮しつつ、組成に応じて有機溶媒を選択することができる。使用する有機溶媒としては特に限定されず、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;メチルイソブチルケトン、ジ(イソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチルセロソルブ、エチル−3−エトキシプロピオネート等のエーテル系溶媒;シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒等を挙げることができる。更に、これらの2種以上の混合溶媒を使用してもよい。また、一部に水を含有するものであってもよい。但し、アルコール系溶剤については、架橋性を阻害するおそれがあるため、2級又は3級のアルコールが反応性が低いという点でより好ましい。2級アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、3級アルコール系溶媒としては、ターシャリーブチルアルコール等を挙げることができる。
本発明の重合体微粒子の製造に際しては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエートなどの過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタノイツク酸)などのアゾ化合物;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス(N−N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス(N−N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリドなどのアミジン化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫化物系開始剤あるいはこれにチオ硫酸ナトリウム、アミン等を併用した系等が挙げられる。これらの開始剤はそれぞれ単独で使用することができ又は2種以上併用することもできる。その使用量は、通常、モノマーの合計量に対して0.2〜5重量%の範囲内とすることができる。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50〜約160℃、特に70〜130℃の範囲内の温度が適当であり、また、反応時間は0.5〜10時間程度とすることができる。
なお、引用文献1等では、有機溶媒中での重合に際して安定化剤を配合することが行われているが、本発明の架橋樹脂微粒子の製造においては、このような安定化剤を使用しなくても重合を行うことができるため、安定化剤は必須成分ではない。
本発明の架橋樹脂微粒子は、着色塗料に用いる場合は数平均粒子径が10〜250nmであることが好ましい。このような範囲内のものとすることで、塗料添加剤として使用した時に良好な粘性制御剤として使用することができる。数平均粒子径10nm未満の粒子を製造しようとすると、重合時の固形分率を下げる必要があり、生産性や経済性に乏しいものである。数平均粒子径が250nmを超えると、粘性制御能に乏しくなる点で好ましくない。
クリヤー塗料の粘性制御に使用する場合等のように、塗膜の透明性が要求される場合は、数平均粒子径を100nm以下とすることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、数平均粒子径は光散乱法によって測定した値である。
より具体的には、大塚電子社製EPAR−1000によって測定した数平均粒子径である。
本発明の架橋樹脂微粒子は、例えば、塗料の粘性制御剤、耐摩耗性耐擦り傷性改良剤、光学フィルム用充填剤、光学材料用充填剤、等に使用することができる。
本発明の架橋樹脂微粒子は、上述したとおり塗料における粘性制御剤として使用できるものであり、本発明の架橋樹脂微粒子を含有する塗料組成物も本発明の一つである。このような塗料組成物としては特に限定されず、溶剤系のクリヤー塗料、溶剤系の着色剤含有ベース塗料等において好適に使用することができる。
上記溶剤系のクリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、及び、ポリイソシアネート化合物やメラミン樹脂等の硬化剤を含有する塗料組成物等を挙げることができる。
このような塗料組成物において架橋樹脂微粒子は、塗料固形分の全量に対して、0.5〜15重量%の割合で含まれることが好ましい。当該範囲内とすることで、所望の粘性挙動を発現することが可能であり、塗装時のタレ防止等に効果を発揮することができるという点で好ましいものである。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「重量部」、「重量%」を意味する。
実施例1
還流管、攪拌羽根、温度調節計、窒素導入口、滴下ロートを備えた1Lのセパラブルフラスコに酢酸ブチル160.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル160.0gを仕込み、温度を120℃に上げた。次いで、アクリルアミド40.0g 、SR499(サートマー社製エトキシ化(6モル)トリメチロールプロパントリアクリレート)20.0g、ヒドロキシエチルアクリレート30.0g、アクリル酸10.0g、アゾビスイソブチロニトリル3.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル100.0gの混合液(1)、並びに、ノニルメタクリレート50.0g、エチルアクリレート 50.0g、酢酸ブチル160.0gの混合液(2)を用意し、それぞれ滴下ロートに入れて反応器に装着した。それぞれの混合液を3時間かけて滴下し、更に1時間反応を継続し、ここに、アゾビスイソブチロニトリル0.6g、酢酸ブチル20.0gの混合液を30分かけて滴下し、1時間後に冷却を開始した。
実施例2〜6,比較例1〜11
表1に示す組成によって、実施例1と同様に架橋樹脂粒子を合成した。
(数平均粒子径の測定)
動的光散乱法(大塚電子株式会社製 FPAR−1000)にて測定し、光散乱強度から得られる数平均粒子径の値を用いた。
製造例1 リン酸基含有アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。
製造例2
表2に示した配合で均質になるまで混合した。
<粘度の測定>
製造例2のベース塗料の粘度をB型粘度計を用いて測定した。
60回転での粘度(V60)と6回転での粘度(V6)を測定し、V6/V60の値を構造粘性の指標とした。
V6/V60の値によって評価は以下の4段階に分類した。結果を表2に示す。
3.5〜4.0 ◎
3.0〜3.5 ○
2.5〜3.0 △
2.0〜2.5 ×
<テストピースの作成>
イソプロピルアルコールでワイプしたポリプロピレン基材に、日本ビー・ケミカル(株)製プライマー:RB−116を乾燥膜圧が5〜10μmになるように塗装し、次いで製造例2のベース塗料を乾燥膜厚が30〜35μmになるように塗装した。更に、日本ビー・ケミカル(株)製クリヤー塗料:R-290を乾燥膜厚が20〜25μmになるように塗装し、10分室温にて静置後、90℃で20分焼き付けた。評価は24時間放置後に行った。
<輝度の測定>
上述した方法によって得られたテストピースについて、関西ペイント(株)製メタリック感測定装置LMR−200を用い、FF値(フリップフロップ性)を測定した。評価は、FF値によって以下の4段階に分類した。結果を表3に示す。
FF値 判定
1.77〜1.67 ◎
1.67〜1.57 ○
1.57〜1.47 △
1.47〜1.37 ×
表3の結果から、本発明の架橋樹脂微粒子を含有する塗料組成物は、粘性制御が行われており、メタリック塗料における顔料の配向が制御されることによるフリップフロップ性が良好なものとなることが明らかである。
<架橋密度(膨潤度)の比較>
実施例13 比較例19
粒子径の測定に際し、粒子分散液を表4に示した各溶剤で測定可能範囲にまで希釈し、24時間放置後、大塚電子(株)製EPAR−1000を用いて粒子径を測定した。結果を表4に示す。
実施例の粒子は溶剤種依存性がなく、溶剤の膨潤が抑制されている。これに対し、比較例の粒子は希釈溶剤種によって、膨潤や収縮現象がみられる。従って、実施例3の粒子は比較例1の粒子よりも高架橋密度であることを示している。
本発明の架橋樹脂微粒子は、各種用途に使用することができるものであるが、特に塗料用の粘性制御剤として好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリルアミド系モノマー(A) 5〜50重量%、
    炭素数8〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(B) 10〜60重量%
    官能基数2〜5のエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(C) 2〜25重量%
    を含有するビニル系単量体組成物を有機溶媒中で反応させることによって得られたものであり、
    数平均粒子径が10〜250nmであることを特徴とする架橋樹脂微粒子。
  2. (メタ)アクリルアミド系モノマー(A)は、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド及びN−ブチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1の単量体である請求項1記載の架橋樹脂微粒子。
  3. (メタ)アクリレート(B)は、炭素数10〜20の直鎖状アルキル基を有する化合物から選択される少なくとも1の単量体である請求項1又は2記載の架橋樹脂微粒子。
  4. ビニル系単量体組成物は、更に、酸性官能基、塩基性官能基及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1の官能基を有する単量体(D) 0〜30重量%
    を含有する請求項1,2又は3記載の架橋樹脂微粒子。
  5. ビニル系単量体組成物は、更に、上記(A)(B)(C)(D)以外の不飽和単量体0〜80重量%を含有する請求項1〜4のいずれか1に記載の架橋樹脂微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1に記載の架橋樹脂微粒子を含有することを特徴とする塗料組成物。

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