JP2015093462A - モールド金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品不良を低減することのできるモールド金型を提供する。【解決手段】上型11と下型12とでリードフレームLFがクランプされ、ポットから圧送された樹脂が金型パーティング面に刻設された金型カルに接続する複数の樹脂経路Lを通じて金型キャビティへ充填されるモールド金型10であって、複数の樹脂経路Lのうち、樹脂がポットから金型キャビティまでに流動する流動距離が相対的に長い樹脂経路L2は樹脂の流動方向に直交する断面が拡げられるように構成されると共に、流動距離が相対的に短い樹脂経路L1は樹脂の流動方向に直交する断面が狭められるように構成される。【選択図】図4

Description

本発明は、モールド金型に適用して有効な技術に関する。
本発明者は、例えば、特開2011−121246号公報(特許文献1)に記載のように、金型キャビティの底部に金型凸部を有するモールド金型において、金型キャビティ内でのモールド樹脂の未充填を防止するための技術を開示している。
この特許文献1に記載のモールド金型の特徴は、平面視矩形状の金型キャビティに金型ランナ・ゲートが接続する金型ゲート側の辺縁部と対向する辺縁部にキャビティ全幅に渡って刻設された第1エアベントと、これより深さが深い第2エアベントが所定位置(金型凸部と対向する位置)に刻設されたことにある。これによれば、金型キャビティの底部に金型凸部が存在するようなモールド金型であっても、第2エアベントからエアを確実に逃がすことができるので、金型キャビティ内でモールド樹脂の未充填を防止することができる。
特開2011−121246号公報
本発明者は、更なる金型キャビティ内でのモールド樹脂の未充填を防止するための検討を行っており、次のモールド金型において課題があることを新たに見出した。
本発明者が検討したモールド金型は、一対の金型でワークがクランプされ、ポットに装填された樹脂が金型カルに接続する複数の金型ランナ・ゲートを通じて一つの金型キャビティへ充填されるものである。複数の金型ランナ・ゲートは、例えば、金型カルから放射状に延在し、金型キャビティの辺縁部と接続する位置が異なるため、それぞれの長さが異なるものとなる。したがって、複数の金型ランナ・ゲートのそれぞれに対応してポット中央部から金型キャビティまで流動する樹脂の流動距離が、一定距離ではなく、異なるものとなる。
ここで、仮に、複数の金型ランナ・ゲートの流動断面積が同じ場合、金型ランナ・ゲートの長さが、短いもの(ポット中央部から、ポットから近い金型キャビティ辺縁部の中央部までのもの)から先に充填されていき、長いもの(ポット中央部から、ポットから遠い金型キャビティ辺縁部の端部までのもの)が後に充填されてしまう。すなわち、各金型ランナ・ゲートからの金型キャビティへの充填時間の差異が生じてしまう。
このため、金型キャビティ内での樹脂充填にばらつき(樹脂流動のアンバランス)が生じ、金型キャビティ内でのモールド樹脂の未充填やワイヤー流れなどによる成形品不良が発生するおそれがある。
本発明の目的は、成形品不良を低減することのできるモールド金型を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一実施形態におけるモールド金型は、一対の金型でワークがクランプされ、ポットに装填された樹脂が金型パーティング面に刻設された金型カルに接続する複数の樹脂経路を通じて金型キャビティへ充填されるモールド金型であって、前記複数の樹脂経路のうち、前記樹脂が前記ポットから前記金型キャビティまでに流動する流動距離が相対的に長い樹脂経路は当該樹脂の流動方向に直交する断面が拡げられるように構成されると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路は当該樹脂の流動方向に直交する断面が狭められるように構成されることを特徴とする。
これによれば、ポット中央部から金型キャビティまでの複数の樹脂経路の流動距離がそれぞれ異なっていても、流動断面積を異ならせて、それぞれの流動摩擦損失(必要充填圧力)を調整することで、金型キャビティ内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。したがって、金型キャビティ内でのモールド樹脂の未充填を防止して、成形品不良を低減することができる。
また、前記一実施形態におけるモールド金型において、前記流動距離が相対的に長い樹脂経路は、第1金型ランナ・ゲートを含んで構成され、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路は、第2金型ランナ・ゲートを含んで構成され、前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記複数の金型ランナ・ゲート間で流動断面積を異ならせていることが好ましい。例えば、前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記金型ランナ・ゲートのランナ部の幅を同一として深さを異ならせていることが好ましい。あるいは、前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記金型ランナ・ゲートのランナ部の深さを同一として幅を異ならせていることが好ましい。
これによれば、金型ランナ・ゲートのランナ部の形状(幅、深さ)を変えるだけで、金型キャビティ内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。幅方向での調整(加工)は、深さ方向の調整よりも容易に行うことができる。この幅方向の調整は、金型ランナ・ゲートの本数が多くなり、ピッチが狭くなると、スペースの関係上困難となる。このような場合には、深さ方向の調整を行うことが有効となる。
また、前記一実施形態におけるモールド金型において、前記樹脂経路の中途部であって前記金型キャビティの手前に、前記樹脂経路における樹脂の流動方向と交差する方向に延在して各該樹脂経路どうしを連絡する金型バッファが形成されており、前記流動距離が相対的に長い樹脂経路の接続位置では、前記金型バッファの深さを深くすると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路の接続位置では、前記金型バッファの深さを浅くすることが好ましい。
これによれば、キャビティの手前の金型バッファにおいても、金型キャビティ内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。
また、前記一実施形態におけるモールド金型において、前記金型カルに、該金型カルの外周に沿う方向に延在して該金型カルの底部から突起するカル突部が形成されており、前記流動距離が相対的に長い樹脂経路上では、前記カル突部が低くなるように形成されると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路上では、前記カル突部が高くなるように形成されることが好ましい。
これによれば、金型カルにおいても、金型キャビティ内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、成形品不良を低減するモールド金型を提供することができる。
本発明の一実施形態におけるモールド金型の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるモールド金型で成形された成形品を模式的に示す平面図である。 図2に示すx方向からみた成形品を模式的に示す側面図であり、(a)は第1の樹脂経路に着目したものであり、(b)は第2の樹脂経路に着目したものであり、(c)は第3の樹脂経路に着目したものである。 図2に示すA1−A1線に対応するモールド金型の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態におけるモールド金型で成形された成形品を模式的に示す平面図である。 図5に示すx方向からみた成形品を模式的に示す側面図である。 図5に示すB1−B1線に対応するモールド金型の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態におけるモールド金型で成形された成形品を模式的に示す平面図である。 図8に示すx方向からみた成形品を模式的に示す側面図である。 図8に示すC1−C1線に対応するモールド金型の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態におけるモールド金型の要部を模式的に示す斜視図である。 図11に示すモールド金型の要部を模式的に示す平面図である。 図12に示すD1−D1線に対応するモールド金型の要部を模式的に示す断面図である。
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
また、以下の実施形態における「樹脂経路」とは、ポットと金型キャビティとの間を連絡し樹脂を流動させるものであるため、「金型カル」、「金型ランナ・ゲート」を含むものである。換言すれば、ポットに装填された樹脂が金型キャビティに充填される際に通過する経路に相当し、「流動路」と同義となる。本発明を明解にするために、以下の実施形態では、「樹脂経路」、「金型カル」、「金型ランナ・ゲート」を区別している。
(実施形態1)
本発明の実施形態1におけるモールド金型10について、図1、図2を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるモールド金型10の要部を模式的に示す断面図である。この図1では、一点鎖線(金型カル15あるいはポット13の中央部Oを示す。)を挟んだ左側の構成は、右側と同様の構成であるため、省略している。また、図2は、本実施形態におけるモールド金型10で成形された成形品100(ディゲート前のもの)を模式的に示す平面図(xy平面図)である。
なお、以下では、本発明を明解にするために、成形品100を用いてモールド金型10を説明する場合がある。また、本実施形態では、半導体装置としてのLED(light emitting diode)を製造する工程における、LEDチップ(半導体チップ)を実装するリードフレームLF(ワーク)に、LEDチップを取り囲む、すり鉢状の壁面を有するリフレクタを一括して複数成形するモールド金型10として説明する。
図1に示すように、モールド金型10は、一対の金型を構成する上型11と下型12を備えている。また、モールド金型10は、下型12の中央部に設けられたポット13と、ポット13内に設けられ、ポット内13を摺動するプランジャ14とを備えている。このモールド金型10の上型11には、金型パーティング面(金型クランプ面)から凹む、金型カル15と、金型ランナ・ゲート16と、金型キャビティ17と、エアベント溝20とが刻設(形成)されている。
金型カル15は、金型パーティング面からみた平面形状が一例として円形状(図2に示す半径rによる円形状)であり、下型11に設けられたポット13と対向する位置(互いの中心部が対向する位置)に設けられている。また、金型ランナ・ゲート16は、そのランナ部16a側で金型カル15と接続(連通)され、ゲート部16b側で金型キャビティ17と接続(連通)されている。
金型キャビティ17は、金型パーティング面からみた平面形状が矩形状(図2に示すx方向、y方向に複数配列されたチップ実装用の開口部21が設けられる矩形状)である。金型キャビティ17の辺縁部17aで金型ランナ・ゲート16が複数接続(連通)されている。図2によれば、一つの金型カル15から放射状に延在する複数(5本)の金型ランナ・ゲート16(16A、16B、16B、16C、16Cとも記す。)が一つの金型キャビティ17に接続されている。
このため、ポット13の中央部Oと金型キャビティとの間を連絡する、樹脂Rの樹脂経路Lが、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれに対応して複数存在する。図2によれば、5本の金型ランナ・ゲート16に対応して5本の樹脂経路L(L1、L2、L2、L3、L3とも記す。)が存在している。なお、図2では、樹脂経路Lにおいて、樹脂Rが流れていくその中心を破線で示している。
図2に示すように、複数の金型ランナ・ゲート16は、金型カル15から放射状に延び出して、y方向に並行となって延びて辺縁部17aの所定の位置に到達する。このため、複数の金型ランナ・ゲート16は、長さが同じでないものとなる。また、矩形状の金型カル15から同等の長さの金型ランナ・ゲート16が延び出すような場合もあるが、この場合には、樹脂Rの樹脂経路Lの距離は金型カル15に接続する位置によって異なる。したがって、金型の構成によっては、金型ランナ・ゲート16の長さが同じであっても、樹脂Rの樹脂経路Lの距離(流動距離)は、相違する場合もある。
図2に示す場合には、金型ランナ・ゲート16の始端部のあるA4線上からそれぞれが並行となるA3線上までの距離(長さ)が異なり、金型ランナ・ゲート16A、16B、16B、16C、16Cにおいて、金型ランナ・ゲート16A、金型ランナ・ゲート16B、金型ランナ・ゲート16Cの順に流動距離が長くなっている。したがって、複数の金型ランナ・ゲート16A、16B、16B、16C、16Cのそれぞれに対応する樹脂経路L1、L2、L2、L3、L3において、樹脂経路L1、樹脂経路L2、樹脂経路L3の順に流動距離が長くなる。
また、金型キャビティ17の辺縁部17aと対向する辺縁部17bでエアベント溝20が複数接続(連通)されている。また、金型キャビティ17の底部17cには、リードフレームLFをクランプするキャビティ内クランプ部17d(金型凸部)が複数配列して設けられている。キャビティ内クランプ部17dにクランプされるリードフレームLFのチップ実装面では、樹脂モールドされず、チップ実装用の開口部21が複数個形成されることとなる(図2参照)。
本実施形態では、金型キャビティ17の辺縁部17aから対向する辺縁部17bに向かって設けられたキャビティ内クランプ部17d(開口部21)と同一ライン(図2によれば、y方向)上に、金型カル15から延びてきた金型ランナ・ゲート16が辺縁部17aで到達している。このため、金型ランナ・ゲート16から送り出された樹脂Rは、金型キャビティ17内に進入すると、辺縁部17aに最も近いキャビティ内クランプ部17dに衝突して回り込みながら流れていくこととなる。
また、エアベント溝20は、金型キャビティ17の辺縁部17aから対向する辺縁部17bに向かって設けられたキャビティ内クランプ部17d(開口部21)と同一ライン(図2によれば、y方向)上に設けられている。図2では、エアベント溝20の配置を明解にするために、リードフレームLF上に破線で示している。
このようなモールド金型10でのモールド成形は、まず、上型11と下型12とでリードフレームLF(ワーク)がクランプされ、ポット13に装填された樹脂R(タブレット状、顆粒状、液状などの樹脂材)が溶融する。そして、溶融した樹脂Rは、プランジャ14により送り出されて金型カル15に接続する複数の金型ランナ・ゲート16を通じて一つの金型キャビティ17へ充填される。この際、金型キャビティ17内のエアは、エアベント溝20によって排気されるので、金型キャビティ17内での樹脂Rの未充填を防止することができる。その後、金型キャビティ17内で充填された樹脂Rを加熱・硬化してLEDのリフレクタとしての成形品部100aが略完成する。
また、本実施形態では、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれに対応してポット13の中央部Oから金型キャビティ17まで流動する樹脂Rの流動距離が異なることにより、樹脂充填のアンバランスを防止し金型キャビティ17内での樹脂Rの未充填を防止するために、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面積を異ならせている。
この点について、主に、図3、図4を参照して説明する。図3は、図2に示すx方向からみた成形品100を模式的に示す側面図であり、(a)は樹脂経路L1に着目したものであり、(b)は樹脂経路L2に着目したものであり、(c)は樹脂経路L3に着目したものである。図4は、図2に示すA1−A1線(またはA2−A2線)に対応するモールド金型10の要部を模式的に示す断面図である。なお、図4では、樹脂経路Lにおいて、樹脂Rが流れていくその中心を破線が交差する位置で示している。
本実施形態では、流体力学計算を行い、各金型ランナ・ゲート16での樹脂Rの流動摩擦損失(必要充填圧力)を算出し、その損失の差異割合に従って、各金型ランナ・ゲート16を通る樹脂Rの樹脂経路Lの流動断面積に差異を設けている。なお、例えば、流動断面積が小さくなると流動摩擦損失が大きくなり(すなわち、樹脂Rが流動しにくくなり)、樹脂Rが樹脂経路Lをゆっくり流れていくこととなる。
本実施形態では、相対的に流動距離の長い樹脂経路Lに対して流動距離の短い樹脂経路Lにおいては樹脂Rの流動方向における断面を狭めて、樹脂経路Lの流動断面積が小さくなるように、図4に示すように、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれのランナ部16aの幅を同一として高さ(深さ)を異ならせている。ここで、ランナ部16aの幅は、図4におけるランナ部16aの断面形状(すなわち、樹脂経路Lの断面形状)が台形状であるため、その高さ(深さ)の半分の位置における幅をいう。
図4に示すように、本実施形態では、各金型ランナ・ゲート16のランナ部16aの幅は、同一である。そして、例えば、樹脂経路L2に対して流動距離の短い樹脂経路L1においては樹脂Rの流動方向における断面を狭めて、樹脂経路L1の流動断面積が小さくなるように、金型ランナ・ゲート16Bに対して金型ランナ・ゲート16Aのランナ部16aの高さ(深さ)を低く(浅く)している。逆に言えば、樹脂経路L1に対して流動距離の長い樹脂経路L2においては樹脂Rの流動方向における断面を拡げて、樹脂経路L1の流動断面積が大きくなるように、金型ランナ・ゲート16Aに対して金型ランナ・ゲート16Bのランナ部16aの高さ(深さ)を高く(浅く)している。また、例えば、樹脂経路L3に対して流動距離の短い樹脂経路L2の流動断面積が小さくなるように、金型ランナ・ゲート16Cに対して金型ランナ・ゲート16Bのランナ部16aの高さ(深さ)を低く(浅く)している。
このように、金型ランナ・ゲート16のランナ部16aの形状を変えて、樹脂経路Lの流動断面積に差異を設けることで、ポット13の中央部Oから金型キャビティ17までの流動距離に差異があっても、各樹脂経路Lの損失(流動抵抗)を合わせることができ、流速を合わせることができる。このため、放射状に広がる複数の金型ランナ・ゲート16を通って、一つの金型キャビティ17へ樹脂Rを充填させる場合であっても、樹脂Rを金型キャビティ17内で均一に流動させ、充填のアンバランスを解消することができる。すなわち、金型キャビティ17内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。
したがって、金型キャビティ17内での樹脂R(成形品部100a)の未充填を防止して、成形品不良を低減することができる。特に、本実施形態のようなLEDのリフレクタ成形や、その後のLED製造工程におけるレンズ成形に用いられるような粘度が低い樹脂Rを用いる場合、流動差が大きくなる傾向があるため特に有効である。
(実施形態2)
前記実施形態1では、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面積を異ならせるにあたり、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれのランナ部16aの幅を同一として深さを異ならせた場合について説明した。本実施形態では、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれのランナ部16aの深さを同一として幅を異ならせる場合について、図5〜図7を参照して説明する。
図5は、本実施形態におけるモールド金型10で成形された成形品100(ディゲート前のもの)を模式的に示す平面図(xy平面図)である。図6は、図5に示すx方向からみた成形品100を模式的に示す側面図である。図7は、図5に示すB1−B1線に対応するモールド金型10の要部を模式的に示す断面図である。なお、図7では、樹脂経路Lにおいて、樹脂Rが流れていくその中心を破線が交差する位置で示している。
本実施形態では、相対的に流動距離の長い樹脂経路Lに対して流動距離の短い樹脂経路Lの流動断面積を小さくするにあたり、図7に示すように、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれのランナ部16aの高さ(深さ)を同一として幅を異ならせている。ここで、ランナ部16aの幅は、図7におけるランナ部16aの断面形状(すなわち、樹脂経路Lの断面形状)が台形状であるため、その高さ(深さ)の半分の位置における幅をいう。
図7に示すように、本実施形態では、各金型ランナ・ゲート16のランナ部16aの高さ(深さ)は、同一である。そして、例えば、樹脂経路L2に対して流動距離の短い樹脂経路L1においては樹脂Rの流動方向における断面を狭めて、樹脂経路L1の流動断面積が小さくなるように、金型ランナ・ゲート16Bに対して金型ランナ・ゲート16Aのランナ部16aの幅を狭くしている。また、例えば、樹脂経路L3に対して流動距離の短い樹脂経路L2の流動断面積が小さくなるように、金型ランナ・ゲート16Cに対して金型ランナ・ゲート16Bのランナ部16aの幅を狭くしている。
このように、金型ランナ・ゲート16のランナ部16aの形状を変えて、樹脂経路Lの流動断面積に差異を設けることで、ポット13の中央部Oから金型キャビティ17までの流動距離に差異があっても、各樹脂経路Lの損失を合わせることができ、また、流速を合わせることができる。このため、樹脂Rを金型キャビティ17内で均一に流動させることができる。すなわち、金型キャビティ17内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。したがって、金型キャビティ17内での樹脂R(成形品部100a)の未充填を防止して、成形品不良を低減することができる。
(実施形態3)
前記実施形態1、2では、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面積を異ならせるにあたり、複数の金型ランナ・ゲート16のそれぞれのランナ部16aの形状を異ならせた場合について説明した。本実施形態では、複数の金型ランナ・ゲート16の終端部(ゲート部16b)を通過した後において、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面における高さを異ならせる場合について、図8〜10を参照して説明する。
図8は、本実施形態におけるモールド金型10で成形された成形品100(ディゲート前のもの)を模式的に示す平面図(xy平面図)である。図9は、図8に示すx方向からみた成形品100を模式的に示す側面図である。図10は、図8に示すC1−C1線に対応するモールド金型10の要部を模式的に示す断面図である。なお、図10では、金型バッファ22における、金型ランナ・ゲート16に対応する樹脂経路Lの位置を破線で示している。
本実施形態におけるモールド金型10の上型11には、金型パーティング面(金型クランプ面)から凹む、金型バッファ22(金型フローキャビティともいう。)が刻設(形成)されている。金型バッファ22は、金型キャビティ17へ樹脂Rを送る中途部であって金型キャビティ17の手前に設けられ、金型キャビティ17と複数の金型ランナ・ゲート16との間で接続され、複数の金型ランナ・ゲート16と交差する方向(x方向)に延在している。すなわち、金型バッファ22は、複数の樹脂経路L上の樹脂Rの流入方向であって金型ランナ・ゲート16の延在方向と交差する方向に延在して各金型ランナ・ゲート16どうしを連絡している。
なお、本実施形態では、金型バッファ22の深さ(高さ)は、金型キャビティ17の深さ(高さ)よりも浅く(高く)している(図9参照)。これは、金型キャビティ17内での樹脂流動のアンバランスを防止するためである。
そして、金型バッファ22の底部では、延在する方向(x方向)の両端部(金型ランナ・ゲート16Cが対向する)で深さが最も深く、中央部(金型ランナ・ゲート16Aが対向する)で深さが最も浅くなるように、徐々に深さが直線的に変化している(傾斜している)。換言すれば、金型バッファ22の深さは、樹脂Rの流動距離が最も長い樹脂経路Lの接続位置では深さが最も深く、樹脂Rの流動距離が最も短い樹脂経路Lの接続位置では深さが最も浅くなるように形成されている。なお、金型バッファ22の底部の変化は、直線的に限らず、曲線的、段階的であってもよい。
このように、本実施形態では、相対的に流動距離の長い樹脂経路Lに対して流動距離の短い樹脂経路Lにおいては樹脂Rの流動方向における断面を狭めることで樹脂経路Lの流動断面を狭めるにあたり、図10に示すように、金型バッファ22の深さをx方向に従って異ならせている。
例えば、樹脂経路L2に対して流動距離の短い樹脂経路L1上における樹脂Rの流動方向に直交する断面を狭めるように、金型ランナ・ゲート16Bと対向する金型バッファ22の部分に対して金型ランナ・ゲート16Aと対向する金型バッファ22の部分の深さを浅くしている。また、例えば、樹脂経路L3に対して流動距離の短い樹脂経路L2上における樹脂Rの流動方向に直交する断面を狭めるように、金型ランナ・ゲート16Cと対向する金型バッファ22の部分に対して金型ランナ・ゲート16Bと対向する金型バッファ22の部分の深さを浅くしている。
このように、金型バッファ22によって、複数の金型ランナ・ゲート16の終端部(ゲート部16a)を通過した後の樹脂経路Lの断面において深さに差異を設けることで、ポット13の中央部Oから金型キャビティ17までの流動距離に差異があっても、各樹脂経路Lの損失を合わせることができ、また、流速を合わせることができる。このため、樹脂Rを金型キャビティ17内で均一に流動させることができる。すなわち、金型キャビティ17内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。したがって、金型キャビティ17内での樹脂R(成形品部100a)の未充填を防止して、成形品不良を低減することができる。
(実施形態4)
前記実施形態3では、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面における深さを異ならせるにあたり、複数の金型ランナ・ゲート16の終端部(ゲート部16b)を通過した後で対応する場合について説明した。本実施形態では、複数の金型ランナ・ゲートの始端部を通過する前において、複数の樹脂経路Lのそれぞれの流動断面積を異ならせる場合について、図11〜13を参照して説明する。
図11は、本実施形態における上型11(モールド金型10)の要部(金型カル15周辺)を模式的に示す斜視図である。図12は、図11に示す上型11の要部を模式的に示す平面図(xy平面図)である。図13は、図12に示すD1−D1線に対応する上型11の要部(金型カル15)を模式的に示す断面図である。なお、図13では、金型カル15における、金型ランナ・ゲート16に対応する樹脂経路Lの位置を破線で示している。
本実施形態における金型カル15は、その中央部で取り換え可能な円柱状のカルブロック23で構成されている。このカルブロック23(金型カル15)には、金型ランナ・ゲート16の手前で金型カル15の底部15aから突起して、複数の金型ランナ・ゲート16の始端部に沿う方向に延在するカル突部24(平面視においては一部が切り欠かれた環状のもの)が形成されている。すなわち、樹脂経路Lの中途部の金型カル15に、金型カル15の外周に沿う方向に延在して金型カル15の底部15aから突起するカル突部24が形成されている。
そして、カル突部24は、金型ランナ・ゲート16Aが対向する部分(樹脂経路L1に対応する部分)で底部15aからの高さが最も高く、金型ランナ・ゲート16Cが対向する部分(樹脂経路L3に対応する部分)で底部15aからの高さが最も低くなるように、徐々に高さが段階的に変化している。なお、金型バッファ22の底部の変化は、段階的に限らず、直線的、曲線的であってもよい。
このように、本実施形態では、相対的に流動距離の長い樹脂経路Lに対して流動距離の短い樹脂経路Lの流動断面を狭めるにあたり、カル突部24の高さを金型カル15の外周(複数の金型ランナ・ゲートの始端部)に沿う方向に従って異ならせている。
例えば、樹脂経路L2に対して流動距離の短い樹脂経路L1上における樹脂Rの流動方向に直交する断面を狭めるようにカル突部24の高さを高くしている。また、例えば、樹脂経路L3に対して流動距離の短い樹脂経路L2上における樹脂Rの流動方向に直交する断面を狭めるようにカル突部24の高さを高くしている。
このように、カル突部24を有するカルブロック23によって、複数の金型ランナ・ゲート16の始端部を通過する前の樹脂経路L上の断面において金型カル15の深さに差異を設けることで、ポット13の中央部Oから金型キャビティ17までの流動距離に差異があっても、各樹脂経路Lの損失を合わせることができ、また、流速を合わせることができる。このため、樹脂Rを金型キャビティ17内で均一に流動させることができる。すなわち、金型キャビティ17内での樹脂充填のバランスを均一にすることができる。したがって、金型キャビティ17内での樹脂R(成形品部100a)の未充填を防止して、成形品不良を低減することができる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態1〜4では、一つの金型カルから一つの金型キャビティまで延在して設けられた複数の金型ランナ・ゲートを備えたモールド金型に適用した場合について説明した。これに限らず、複数の金型キャビティのそれぞれに対応する複数の金型ランナ・ゲートを備えたモールド金型にも適用することができる。これによれば、各金型キャビティで成形される成形品のばらつきを低減し、成形品不良を低減することができる。
前記実施形態1〜4では、複数の樹脂経路のそれぞれの流動断面積や各部の深さを異ならせる構成を別々に説明した。これに限らず、前記実施形態1〜4で説明した構成を、組み合わせることができる。この場合、流体力学計算を行い、各金型ランナ・ゲートでの樹脂の流動摩擦損失(必要充填圧力)を算出し、その損失の差異割合に従って、各樹脂経路の流動断面積に差異を設けるようにすればよく、パッケージ形態や樹脂Rの使用量に応じて適宜に組み合わせて用いることができる。
前記実施形態1〜4では、金型キャビティ17の底部にキャビティ内クランプ部17d(金型凸部)を有するモールド金型10に適用した場合について説明した。これに限らず、金型キャビティの底部に金型凸部のないモールド金型にも適用することができる。
前記実施形態1〜4では、ワークとしてリードフレームLFに対するモールド金型10に適用した場合について説明した。これに限らず、ワークとしてワイヤボンディング接続やフリップチップ接続されたLEDや一般の半導体チップなどの電子部品が実装された基板(セラミックス基板、樹脂基板、金属基板など)に対するモールド金型にも適用することができる。
前記実施形態1〜4では、1つのポット13から1つの金型キャビティ17に樹脂Rを充填する場合について説明した。これに限らず、樹脂Rの必要量に応じて、複数のポット13から1つの金型キャビティ17に樹脂Rを充填する構成としてもよいし、1つのポット13から複数の金型キャビティ17に樹脂Rを充填する構成としてもよい。これらの場合においても、ポット13から金型キャビティ17までにおいて樹脂Rが通過する流動距離に応じて、その樹脂経路における流動断面積や各部の深さを異ならせることで前記の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、前記実施形態1〜4では、上型11に金型カル15などを形成し、下型12にポット13などを設けたモールド金型10に適用した場合について説明した。これに限らず、上型と下型の構成を逆にし、上型にポットなどを設け、下型に金型カルなどを形成したモールド金型にも適用することができる。
10 モールド金型
11 上型
12 下型
13 ポット
15 金型カル
16 金型ランナ・ゲート
17 金型キャビティ
22 金型バッファ
24 カル突部

Claims (6)

  1. 一対の金型でワークがクランプされ、ポットに装填された樹脂が金型パーティング面に刻設された金型カルに接続する複数の樹脂経路を通じて金型キャビティへ充填されるモールド金型であって、
    前記複数の樹脂経路のうち、前記樹脂が前記ポットから前記金型キャビティまでに流動する流動距離が相対的に長い樹脂経路は当該樹脂の流動方向に直交する断面が拡げられるように構成されると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路は当該樹脂の流動方向に直交する断面が狭められるように構成されることを特徴とするモールド金型。
  2. 請求項1記載のモールド金型において、
    前記流動距離が相対的に長い樹脂経路は、第1金型ランナ・ゲートを含んで構成され、
    前記流動距離が相対的に短い樹脂経路は、第2金型ランナ・ゲートを含んで構成され、
    前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記複数の金型ランナ・ゲート間で流動断面積を異ならせていることを特徴とするモールド金型。
  3. 請求項2記載のモールド金型において、
    前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記金型ランナ・ゲートのランナ部の幅を同一として深さを異ならせていることを特徴とするモールド金型。
  4. 請求項2記載のモールド金型において、
    前記第2金型ランナ・ゲートに対して前記第1金型ランナ・ゲートの流動断面積が小さくなるように、前記金型ランナ・ゲートのランナ部の深さを同一として幅を異ならせていることを特徴とするモールド金型。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモールド金型において、
    前記樹脂経路の中途部であって前記金型キャビティの手前に、前記樹脂経路における樹脂の流動方向と交差する方向に延在して各該樹脂経路どうしを連絡する金型バッファが形成されており、
    前記流動距離が相対的に長い樹脂経路の接続位置では、前記金型バッファの深さを深くすると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路の接続位置では、前記金型バッファの深さを浅くすることを特徴とするモールド金型。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のモールド金型において、
    前記金型カルに、該金型カルの外周に沿う方向に延在して該金型カルの底部から突起するカル突部が形成されており、
    前記流動距離が相対的に長い樹脂経路上では、前記カル突部が低くなるように形成されると共に、前記流動距離が相対的に短い樹脂経路上では、前記カル突部が高くなるように形成されることを特徴とするモールド金型。
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