JP2015093426A - 撥水性フィルムの製造方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 十分な撥水性を有する撥水性フィルムを製造することが可能な撥水性フィルムの製造方法および装置を提供する。【解決手段】 装置の前準備を行う工程(ステップS1)と、素材フィルムの搬送を開始する工程(ステップS2)と、素材フィルムを加熱する工程(ステップS3)と、加熱ロールに巻き付けられたエンボスベルトと圧ロールに挟んで加圧し、加熱された素材フィルムの表面に対して、エンボスベルト表面の凹凸によりエンボス加工を行う工程(ステップS4)と、素材フィルムの表面を冷却する工程(ステップS5)と、冷却された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する工程(ステップS6)を有する。【選択図】 図2
Description
本発明は、高い撥水性を有する撥水性フィルムを製造するための方法に関する。
表面の微細構造に起因する撥水性はロータス効果として知られている。このような撥水性を実現するため、様々な技術が開発されている。一般的には、撥水性を製品表面に発現させるためには、フッ素樹脂等を塗布する化学的手法を用いるのが主流となっている(特許文献1、2参照)。
また、化学的手法としては、製品表面に撥水性のシリカ微粒子を付着させて微細な凹凸構造を形成し、食品や医療品等を収容するための非吸着性容器に応用する技術も開発されている(特許文献3参照)。
一方、物理的手法で微細な凹凸構造を容器の蓋に形成し、撥水作用により液跳ねを防止する技術も存在する(特許文献4参照)。また、フィルムに物理的に撥水性を付与させるため、微細周期構造を有する金型を利用して射出成形加工によりプラスチック成形体を作成する技術も開発されている(特許文献5参照)。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の技術のように、化学的手法を用いる場合には、人体や環境への影響を考慮しなければならないという問題がある。また、上記特許文献4、5に記載の技術では、十分な撥水性を有するフィルムを得るには至っていない。
そこで、本発明は、十分な撥水性を有する撥水性フィルムを製造することが可能な撥水性フィルムの製造方法および装置を提供することを課題とする。
本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、素材フィルムを加熱するための加熱部の加熱、加熱ロールの加熱、冷却ロールの冷却を開始する工程と、前記素材フィルムの搬送手段による搬送を開始する工程と、前記加熱部により、前記素材フィルムを加熱する工程と、前記加熱ロールと前記冷却ロールに渡って巻き付けられたエンボスベルトを用い、前記加熱された素材フィルムの表面に対して、前記加熱ロールと圧ロールによる所定の圧力で前記エンボスベルトの凹凸を転写することによりエンボス加工を行う工程と、前記冷却ロールにより、前記エンボス加工が行われた素材フィルムを冷却する工程と、前記冷却ロールにより冷却された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば、加熱部、加熱ロールを加熱しておくとともに、冷却ロールを冷却しておき、素材フィルムを加熱した後、素材フィルムを所定の速度で搬送して加熱ロールと圧ロールの間に搬送し、加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けられたエンボスベルトを用い、加熱された素材フィルムの表面に対して、加熱ロールと圧ロールによる所定の圧力でエンボスベルトの凹凸を転写することによりエンボス加工を行い、エンボス加工が行われた素材フィルムを冷却ロールにより冷却し、冷却された素材フィルムをエンボスベルトから剥離するようにしたので、エンボスベルト表面の微細な凹凸が素材フィルムに転写された後、適度な温度と引っ張り力により若干変形した凹凸が素材フィルム上に形成されることになり、撥水性の高い撥水性フィルムが得られる。特に、エンボスベルトを加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けていることにより、搬送手段による搬送を止めなくても、エンボス加工された素材フィルムは、冷却された後、適度な引っ張り力で剥離されることになる。
また、本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、前記搬送手段は、搬送ベルトを備えることを特徴とする。本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば、搬送手段が、搬送ベルトを備えるようにしたので、連続状でなく、所定の大きさに形成された素材フィルムを、搬送し撥水性フィルムを製造することが可能となる。
また、本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、前記冷却ロールの冷却温度は、0℃以上45℃以下であることを特徴とする。本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば、冷却ロールの冷却温度を0℃以上45℃以下としたので、剥離時に、適度な力で引っ張ることにより、素材フィルム上に複雑な凹凸形状を与えることが可能となる。
また、本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、前記加熱ロールの加熱温度は、55℃以上80℃以下であることを特徴とする。本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば加熱ロールの表面の加熱温度を、55℃以上80℃以下としたので、より粗い微細構造を表面に有する撥水性フィルムを製造することが可能となる。
また、本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、前記加熱部による素材フィルムの加熱温度は100℃以上300℃以下であることを特徴とする。本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば、素材フィルムの加熱温度を100℃以上300℃以下としたので、素材フィルムを焦がさず、適度に表面を溶かして、エンボス加工し易くすることが可能となる。
また、本発明に係る撥水性フィルムの製造方法は、前記エンボスベルトの表面の算術平均粗さRaは、0.1μm以上20.0μm以下であることを特徴とする。本発明の撥水性フィルムの製造方法によれば、エンボスベルトの表面の算術平均粗さRaを0.1μm以上20.0μm以下としたので、素材フィルム上に適度な微細構造の凹凸形状を与えることが可能となる。
本発明に係る撥水性フィルムの製造装置は、素材フィルムを搬送する搬送手段と、素材フィルムを加熱する加熱部と、表面を加熱する機構を有する加熱ロールと、表面を冷却する機構を有する冷却ロールと、前記加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けられ、表面に凹凸を有するエンボスベルトと、前記加熱ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを加圧する圧ロールと、前記冷却ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する剥離ロールと、を有することを特徴とする。
本発明の撥水性フィルムの製造装置によれば、素材フィルムを搬送する搬送手段と、素材フィルムを加熱する加熱部と、表面を加熱する機構を有する加熱ロールと、表面を冷却する機構を有する冷却ロールと、加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けられ、表面に凹凸を有するエンボスベルトと、加熱ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを加圧する圧ロールと、冷却ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する剥離ロールと、を有するので、エンボスベルト表面の微細な凹凸が素材フィルムに転写された後、適度な温度と引っ張り力により若干変形した凹凸が素材フィルム上に形成されることになり、撥水性の高い撥水性フィルムが得られる。特に、エンボスベルトが加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けられていることにより、搬送ベルト等の搬送手段による搬送を止めなくても、エンボス加工された素材フィルムは、冷却された後、適度な引っ張り力で剥離されることになる。
本発明によれば、十分な撥水性を有する撥水性フィルムを製造することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<1.撥水性フィルムの製造装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る撥水性フィルムの製造装置を示す図である。図1において、1は撥水性フィルムの製造装置、2は搬送ベルト、3は加熱部、4は加熱ロール、5は圧ロール、6はエンボス部、7は剥離部、8は冷却ロール、9は剥離ロール、10はエンボスベルト、Fは素材フィルム、F´は撥水性フィルムである。また、下向きの矢印、右向きの矢印および上向きの矢印は、搬送ベルト2による素材フィルムFの搬送方向を示し、右やや斜め上向きの矢印は、搬送ベルト2による撥水性フィルムF´の搬送方向を示している。
<1.撥水性フィルムの製造装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る撥水性フィルムの製造装置を示す図である。図1において、1は撥水性フィルムの製造装置、2は搬送ベルト、3は加熱部、4は加熱ロール、5は圧ロール、6はエンボス部、7は剥離部、8は冷却ロール、9は剥離ロール、10はエンボスベルト、Fは素材フィルム、F´は撥水性フィルムである。また、下向きの矢印、右向きの矢印および上向きの矢印は、搬送ベルト2による素材フィルムFの搬送方向を示し、右やや斜め上向きの矢印は、搬送ベルト2による撥水性フィルムF´の搬送方向を示している。
搬送ベルト2は、加工対象である素材フィルムFを搬送するためのベルトであり、公知の素材で構成されるベルトにより実現される。本実施形態では、フッソ樹脂ベルトを採用している。加熱部3は、素材フィルムFを加熱するためのものであり、ヒーター等の公知の加熱機構により実現される。
加熱ロール4は、圧ロール5との間でエンボスベルト10および素材フィルムFに対して加圧することにより、エンボスベルト10表面の凹凸を素材フィルムFの表面に転写してエンボス加工を行うロールである。加熱ロール4としては、ロール表面を加熱する機構を備えたものであれば、公知の種々のものを用いることができる。例えば、材質としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属を用いることができる。
加熱ロール4の直径は、特に限定されないが、図1の例では、直径150mmのものを使用している。加熱ロール4は、ロール表面を加熱可能な公知の加熱ロールであり、加熱ロール内部に流れている液体を加熱することにより加熱ロール表面の温度を設定した温度に調節することが可能となっている。
圧ロール5は、素材フィルムFに対して、加熱ロール4がエンボス加工を行う際に、圧力を加えるためのものであり、公知の圧ロールにより実現される。本実施形態では、ロール本体の外周面にゴム等の弾性体を巻き付けたものを採用している。圧ロール5の直径は、加熱ロール4と略同一であることが好ましい。図1の例では、加熱ロール4と同一の直径150mmのものを使用している。
冷却ロール8は、その周囲に巻き付けられたエンボスベルト10を通して、エンボス加工後の素材フィルムFを冷却するロールである。冷却ロール8としては、ロール表面を冷却する機構を備えたものであれば、公知の種々のものを用いることができる。例えば、材質としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属を用いることができる。冷却ロール8の直径も、加熱ロール4と略同一であることが好ましい。図1の例では、加熱ロール4と同一の直径150mmのものを使用している。
加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8は、いずれも中心に回転軸を有し、この回転軸を図示しない駆動機構により回転させることが可能に構成されている。また、図示しない制御機構が、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8の駆動機構を、3つのロールの周速度が同一になるように制御して駆動させる。加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8の直径を全て同一とした場合には、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8の駆動機構を、同一の角速度となるように制御して駆動させる。
エンボスベルト10は、素材フィルムFの表面に凹凸を形成するためのベルトである。エンボスベルト10としては、その外周面に賦形用の凹凸が施されたものであれば、公知の種々のものを用いることができる。例えば、材質としては、紙、金属(銅、アルミニウム、ステンレス鋼等)、合成樹脂(例えばPET等)を用いることができる。紙としては、様々な紙を用いることができ、再生紙も用いることができるが、本実施形態では、上質紙を用いている。エンボスベルト10は端の無い無端ベルトとなっており、表面に形成された凹凸が外周側を向くようにして、加熱ロール4および冷却ロール8に巻き付けられている。
エンボスベルト10の表面の凹凸は、不規則に形成されたものが好ましい。上述のように、エンボスベルト10として上質紙を用いた場合は、その表面の凹凸は不規則に形成される。ただし、表面の算術平均粗さRaが、0.1μm以上20.0μm以下、好ましくは0.5μm以上20.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以上15.0μm以下となるようなものを選択する必要がある。所定の算術平均粗さRaで不規則に凹凸を形成できるものであれば、上述のように、上質紙以外の銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、PET等の合成樹脂に対して、公知の手法で凹凸を形成したものを用いてもよい。エンボスベルト10の表面には、エンボス加工後の素材フィルムFの剥離を容易にするために、フッ素樹脂等により剥離処理を施してもよい。
剥離ロール9は、搬送ベルト2を巻き付けて、エンボス加工および冷却がなされた素材フィルムFを、エンボスベルト10から剥離するロールである。剥離ロール9としては、搬送ベルト2を巻き付けて回転することができるものであれば、公知の種々のものを用いることができる。例えば、材質としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属を用いることができる。剥離ロール9の直径は、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8と同一である必要はなく、図1の例では、直径70mmのものを使用している。
剥離ロール9も、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8と同様、中心に回転軸を有し、この回転軸を図示しない駆動機構により回転させることが可能に構成されている。また、図示しない制御機構が、剥離ロール9の駆動機構を、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8の3つのロールの周速度と同一になるように制御して駆動させる。
エンボス部6は、加熱ロール4と圧ロール5の表面が最接近する部分である。このエンボス部6において、加熱ロール4に巻き付けられたエンボスベルト10と圧ロール5の間に挟まれた素材フィルムFに対して、エンボス加工が行われる。剥離部7は、エンボス加工が行われた素材フィルムFがエンボスベルト10から剥離される部分である。
素材フィルムFは、撥水性フィルムを製造するための素材となるフィルムであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等、様々な樹脂フィルムを用いることができる。
<2.撥水性フィルムの製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係る撥水性フィルムの製造方法を、図2のフローチャートを用いて説明する。まず、素材フィルムFを搬送ベルト2に装着する。具体的には、加熱して素材フィルムFにラミネートする。素材フィルムFの装着後、撥水性フィルムの製造装置1を稼動させる。撥水性フィルムの製造装置1が稼動を開始すると、撥水性フィルムの製造装置1が前準備を行う(ステップS1)。具体的には、素材フィルムFを加熱するための加熱部3の加熱、加熱ロール4の加熱、冷却ロール8の冷却を、それぞれ開始する。加熱部3に対しては、100℃以上300℃以下(好ましくは150℃以上250℃以下)の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、加熱を行う。加熱ロール4に対しては、55℃以上80℃以下(好ましくは70℃以上80℃以下)の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、温度調整機構が加熱ロール4を加熱する。冷却ロール8に対しては、0℃以上45℃以下の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、この指示に従って温度調整機構が冷却ロール8を冷却する。加熱部3の加熱、加熱ロール4の加熱、冷却ロール8の冷却は、いずれを先に実行してもよい。要は、ステップS2の素材フィルム搬送開始前に、加熱部3、加熱ロール4の表面、冷却ロール8の表面が目的とする温度範囲になるように、十分に調整されていればよい。
次に、本発明の一実施形態に係る撥水性フィルムの製造方法を、図2のフローチャートを用いて説明する。まず、素材フィルムFを搬送ベルト2に装着する。具体的には、加熱して素材フィルムFにラミネートする。素材フィルムFの装着後、撥水性フィルムの製造装置1を稼動させる。撥水性フィルムの製造装置1が稼動を開始すると、撥水性フィルムの製造装置1が前準備を行う(ステップS1)。具体的には、素材フィルムFを加熱するための加熱部3の加熱、加熱ロール4の加熱、冷却ロール8の冷却を、それぞれ開始する。加熱部3に対しては、100℃以上300℃以下(好ましくは150℃以上250℃以下)の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、加熱を行う。加熱ロール4に対しては、55℃以上80℃以下(好ましくは70℃以上80℃以下)の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、温度調整機構が加熱ロール4を加熱する。冷却ロール8に対しては、0℃以上45℃以下の範囲内の所定の温度になるよう設定指示が行われ、この指示に従って温度調整機構が冷却ロール8を冷却する。加熱部3の加熱、加熱ロール4の加熱、冷却ロール8の冷却は、いずれを先に実行してもよい。要は、ステップS2の素材フィルム搬送開始前に、加熱部3、加熱ロール4の表面、冷却ロール8の表面が目的とする温度範囲になるように、十分に調整されていればよい。
続いて、加熱部3の温度が100℃以上300℃以下(好ましくは150℃以上250℃以下)の範囲内の所定の温度に達し、かつ加熱ロール4の表面温度が55℃以上80℃以下(好ましくは70℃以上80℃以下)の範囲内の所定の温度に達し、かつ冷却ロール8の表面温度が0℃以上45℃以下の範囲内の所定の温度に達した場合に、素材フィルムFの搬送を開始する(ステップS2)。具体的には、加熱ロール4、圧ロール5、冷却ロール8、剥離ロール9及び図示しない搬送ローラの回転と、搬送ベルト2の駆動を開始する。加熱ロール4の表面温度は、その表面上において略均一に加熱されるため、エンボス部6の温度も55℃以上80℃以下の範囲内の所定の温度に達していることになる。また、冷却ロール8の表面温度は、その表面上において略均一に冷却されるため、剥離部7の温度も0℃以上45℃以下の範囲内の所定の温度に達していることになる。
素材フィルムFが、搬送ベルト2による搬送により、加熱部3付近に達すると、加熱部3が素材フィルムFの表面を加熱する(ステップS3)。搬送ベルト2は、加熱部3による熱により素材フィルムFの表面が100℃以上300℃以下(好ましくは150℃以上250℃以下)の温度に達するように、十分に遅い速度で移動する。
搬送ベルト2による搬送により素材フィルムFがエンボス部6に到達すると、素材フィルムFは、加熱ロール4に巻き付けられたエンボスベルト10と圧ロール5に挟まれて加圧され、エンボスベルト10表面の凹凸によりエンボス加工が行われる(ステップS4)。エンボス加工により素材フィルムFの表面に、エンボスベルト10表面の凹凸が転写形成される。
素材フィルムFの表面に凹凸が形成された後、素材フィルムFは、搬送ベルト2とともに、図1中、右向きの矢印で示す搬送方向に搬送される。そして、素材フィルムFが冷却ロール8に達すると、冷却ロール8は、素材フィルムFの表面を冷却する(ステップS5)。搬送ベルト2による搬送速度は、上述のように、十分に遅い速度であるため、素材フィルムFの表面は、0℃以上45℃以下の範囲内まで冷却される。
素材フィルムFが、0℃以上45℃以下の範囲内まで冷却された状態で、冷却ロール8と剥離ロール9の間の剥離部7に達すると、表面に凹凸が形成された素材フィルムFは、エンボスベルト10から剥離される(ステップS6)。具体的には、冷却ロール8の回転方向と、剥離ロール9の回転方向が逆であるため、エンボスベルト10と搬送ベルト2の移動方向が異なることにより、搬送ベルト2に装着された素材フィルムFが、エンボスベルト10から剥離される。
これにより、撥水性フィルムF´が得られる。そして、剥離された撥水性フィルムF´は、搬送ベルト2の駆動とともに、そのまま移動して搬出される。剥離部7の温度を所定の温度以下にしておくことにより、剥離の際、素材フィルムFの表面には、適度な引っ張り力が加わる。このため、撥水性フィルムF´の表面には、エンボスベルト10の凹凸とは形状が異なる凹凸が形成される。このようにして得られた撥水性フィルムF´は、良好な撥水性を有することになる。
次に、本発明の実施例について説明する。
[エンボスベルト]
エンボスベルト10として上質紙を採用した。エンボスベルト10となる上質紙の表面には、微細かつ不規則な凹凸が形成されており、エンボスベルト10の表面を、JISB0601:2001に準拠して測定したところ、算術平均粗さRaは3.00μmであった。
[エンボスベルト]
エンボスベルト10として上質紙を採用した。エンボスベルト10となる上質紙の表面には、微細かつ不規則な凹凸が形成されており、エンボスベルト10の表面を、JISB0601:2001に準拠して測定したところ、算術平均粗さRaは3.00μmであった。
上記上質紙を、加熱ロール4と冷却ロール8に渡って巻き付けた後、両端を重ねて糊付けすることにより無端のエンボスベルト10を作成した。そして、以下の条件で撥水性フィルムを製造した。
[条件]
素材フィルムの表面温度:250℃
エンボス加工時のエンボスベルトの表面温度:70℃
素材フィルムの搬送速度:1m/分
エンボス加工を行う際の圧力:0.6MPa
剥離時の冷却ロールの表面温度:25℃
素材フィルムの表面温度:250℃
エンボス加工時のエンボスベルトの表面温度:70℃
素材フィルムの搬送速度:1m/分
エンボス加工を行う際の圧力:0.6MPa
剥離時の冷却ロールの表面温度:25℃
上記[条件]において、素材フィルムの表面温度は、加熱部3による加熱後、エンボス部6に到達する前の温度である。また、エンボス加工時のエンボスベルトの表面温度は、図1のエンボス部6の温度に対応し、剥離時の冷却ロールの表面温度は、図1の剥離部7の温度に対応する。
図3は、上記[条件]による場合のエンボスベルトの表面画像、および製造された撥水性フィルムの表面画像を示す図である。図3(a)は、エンボスベルト10の表面画像、図3(b)は、撥水性フィルムの表面画像を示す。図3(a)に示すように、エンボスベルトの表面は、上質紙の表面であるため、細かい繊維が複雑に絡まった状態となっている。所定の温度に加熱した後、加熱しながらエンボス加工し、冷却後に剥離して得られた撥水性フィルムは、図3(b)に示すように、表面粗さは、継承しつつも、凹凸形状としては、エンボスベルトと大きく異なった状態となっている。
[結果]
上記条件により製造された撥水性フィルムの表面を、JISB0601:2001に準拠して測定したところ、算術平均粗さRaは、3.00μmであった。水に対する撥水性については、協和界面科学社製の角度測定器「ANGLE CONTROLLER SA−30DM」により測定したところ、接触角が130°であり、撥水性は極めて高いものとなった。製造された撥水性フィルムは、算術平均粗さRaが0.1μm以上20.0μm以下、好ましくは0.5μm以上20.0μm以下、さらに好ましくは、5.0μm以上15.0μm以下であれば、高い撥水性を発揮する。
上記条件により製造された撥水性フィルムの表面を、JISB0601:2001に準拠して測定したところ、算術平均粗さRaは、3.00μmであった。水に対する撥水性については、協和界面科学社製の角度測定器「ANGLE CONTROLLER SA−30DM」により測定したところ、接触角が130°であり、撥水性は極めて高いものとなった。製造された撥水性フィルムは、算術平均粗さRaが0.1μm以上20.0μm以下、好ましくは0.5μm以上20.0μm以下、さらに好ましくは、5.0μm以上15.0μm以下であれば、高い撥水性を発揮する。
上記のようにして作成された撥水性フィルムを容器として用いた際、内容物を収納した状態の断面図を図4に示す。図4において、内容物は水系のものである。実際には、本発明により製造された撥水性フィルムは、不規則な凹凸が形成されることになるが、図4の例では、説明の便宜上、比較的規則的に凹凸が形成されたものを示している。図4に示すように、表面の算術平均粗さRaが0.5μm以上20.0μm以下、より好ましくは、5.0μm以上15.0μm以下である撥水性フィルムの凹凸の窪んだ部分に、空気層が形成されることにより、ロータス効果を発揮する。このため、水系の内容物が撥水性フィルムに付着する程度を低減することができる。
以上、本発明の好適な実施形態、実施例について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、撥水性フィルムの製造装置が、搬送ベルト2を備える構成とし、素材フィルムFを搬送ベルト2にラミネートして搬送するようにしたが、搬送ベルト2を備えない構成としてもよい。
図5は、搬送ベルトを備えない構成の撥水性フィルムの製造装置を示す図である。図5中、図1に示した撥水性フィルムの製造装置と同一の構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。図5において、1´は搬送ベルトを備えない構成の撥水性フィルムの製造装置である。素材フィルムFは、図1とは異なり、連続状となっている。撥水性フィルムの製造装置1´は、搬送ロール等の図示しない搬送手段を、素材フィルムFの搬送方向の両側に備えており、搬送手段を駆動することにより、素材フィルムFを搬送する。
加熱部3において、素材フィルムFは、加熱部3付近の表面が順次加熱され、エンボス部6へと送られる。エンボス加工および冷却後は、剥離部7においてエンボスベルト10から剥離される。剥離後の部分は、撥水性フィルムF´となる。
本発明に係る撥水性フィルムの製造方法により製造された撥水性フィルムは、食品を始めとして、様々な内容物を収容するための容器を構成するものとして利用することができる。
1、1´・・・撥水性フィルムの製造装置
2・・・搬送ベルト
3・・・加熱部
4・・・加熱ロール
5・・・圧ロール
6・・・エンボス部
7・・・剥離部
8・・・冷却ロール
9・・・剥離ロール
10・・・エンボスベルト
F・・・素材フィルム
F´・・・撥水性フィルム
2・・・搬送ベルト
3・・・加熱部
4・・・加熱ロール
5・・・圧ロール
6・・・エンボス部
7・・・剥離部
8・・・冷却ロール
9・・・剥離ロール
10・・・エンボスベルト
F・・・素材フィルム
F´・・・撥水性フィルム
Claims (7)
- 素材フィルムを加熱するための加熱部の加熱、加熱ロールの加熱、冷却ロールの冷却を開始する工程と、
前記素材フィルムの搬送手段による搬送を開始する工程と、
前記加熱部により、前記素材フィルムを加熱する工程と、
前記加熱ロールと前記冷却ロールに渡って巻き付けられたエンボスベルトを用い、前記加熱された素材フィルムの表面に対して、前記加熱ロールと圧ロールによる所定の圧力で前記エンボスベルトの凹凸を転写することによりエンボス加工を行う工程と、
前記冷却ロールにより、前記エンボス加工が行われた素材フィルムを冷却する工程と、
前記冷却ロールにより冷却された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する工程と、
を有することを特徴とする撥水性フィルムの製造方法。 - 前記搬送手段は、搬送ベルトを備えることを特徴とする請求項1に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記冷却ロールの冷却温度は、0℃以上45℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記加熱ロールの加熱温度は、55℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記加熱部による素材フィルムの加熱温度は100℃以上300℃以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 前記エンボスベルトの表面の算術平均粗さRaは、0.1μm以上20.0μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撥水性フィルムの製造方法。
- 素材フィルムを搬送する搬送手段と、
素材フィルムを加熱する加熱部と、
表面を加熱する機構を有する加熱ロールと、
表面を冷却する機構を有する冷却ロールと、
前記加熱ロールと冷却ロールに渡って巻き付けられ、表面に凹凸を有するエンボスベルトと、
前記加熱ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを加圧する圧ロールと、
前記冷却ロールに接近して設けられ、搬送手段により搬送された素材フィルムを前記エンボスベルトから剥離する剥離ロールと、
を有することを特徴とする撥水性フィルムの製造装置。
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JP2013234029A Pending JP2015093426A (ja) | 2013-11-12 | 2013-11-12 | 撥水性フィルムの製造方法および装置 |
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JP (1) | JP2015093426A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019121767A (ja) * | 2018-01-11 | 2019-07-22 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド及びその製造方法 |
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2013
- 2013-11-12 JP JP2013234029A patent/JP2015093426A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019121767A (ja) * | 2018-01-11 | 2019-07-22 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド及びその製造方法 |
JP7110598B2 (ja) | 2018-01-11 | 2022-08-02 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールド及びその製造方法 |
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