JP2015093236A - スパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法 - Google Patents

スパイラル型分離膜エレメントおよびその製造方法 Download PDF

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直紀 中島
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Abstract

【課題】分離膜対の供給流体側に高圧が作用しても、良好な分離性能を長期に安定して維持できるスパイラル型分離膜エレメントを提供する。【解決手段】分離膜間に設けられた供給流体流路を、透過流体収集管に近い端部において閉塞する封止材と、封止材における前記透過流体収集管から遠い方の端部を、透過流体収集管の長手方向に垂直な方向にまたぐように配置され、分離膜の供給流体側の面に固着する保護層と、を備えるスパイラル型分離膜エレメント。【選択図】図2

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用されるスパイラル型分離膜エレメントに関する。
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離する方法としては、様々な方法がある。例えば、海水、かん水などに含まれるイオン性物質を除くために、スパイラル型分離膜エレメントの利用が拡大している。スパイラル型分離膜エレメントに使用される分離膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などがある。これらの分離膜は、例えば、海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分および分離性能によって使い分けられている。
また、スパイラル型分離膜エレメントにおいて、分離膜を、供給流体側の面が対向する状態に折りたたんで形成した分離膜対を用いることが、知られている。これによれば、分離膜を折りたたむことによって、ネットのような流路材を、分離膜の供給流体側の面に、比較的精度良く挟み込むことができる。得られた複数の分離膜対を、分離膜の透過流体側の面同士が対向する状態で、積層し、巻回体を形成する。
各分離膜対は、一辺に折り目を有し、この折り目により、分離膜対の内側の供給流体側流路が、透過流体収集管に対し、閉塞されている。折り目の方向に直角な方向の一方の辺(透過流体収集管の長手方向に直角な一方の辺)が、上流側端板に向かい合い、折り目の方向に直角な方向の他方の辺(透過流体収集管の長手方向に直角な他方の辺)が、下流側端板に向かい合って、巻回体を形成している。各分離膜対の残りの一辺は、隣り合う分離膜対と透過流体側の面同士で接着されている。
また、特許文献1には、運転安定性と製作性の向上への一策として、分離膜を折りたたまず、封止材で閉塞することで、分離膜対を形成し、折りたたみが不十分なことに起因する分離膜欠陥や膜ずれを回避することが記載されている。
さらに、特許文献2には、接着剤で閉塞を行う際に起こる接着剤の固化に伴う分離膜の破断に対する方策として、水不透性樹脂を接着剤層よりわずかに広い範囲で分離膜に含浸させたうえで、閉塞を行う方法が記載されている。
国際公開第2012/133153号 特開2006−255672号公報
しかしながら、単に封止材を設けただけでは、分離膜の柔軟性に対して封止材の柔軟性が乏しい場合に、供給流体側の圧力による分離膜の変形が分離膜における封止材との境界に集中することで、分離膜に欠陥が生じることがあり、その結果、膜分離機能(例えば脱塩率)が低下するおそれがある。
また、膜分離機能層であるスキン層の閉塞を、膜シートの裏側からの含浸に依存している上、含浸によるスキン層閉塞の評価手段は提案されていないため、信頼性に課題がある。
そこで本発明の課題は、分離膜を折りたたまずに分離膜対を形成することで、分離膜を折りたたむことにより生じる分離膜欠陥や膜ずれの発生を回避しつつ、分離膜対の供給流体側に高圧が作用しても、膜分離機能層を直接保護することにより欠陥の発生を防止し、良好な分離性能を長期に安定して維持できるスパイラル型分離膜エレメントを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のスパイラル型分離膜エレメントは、
透過流体収集管と、
供給流体側の面と透過流体側の面とを有し、前記透過流体収集管の周囲に巻回された複数の分離膜と、
前記分離膜の供給流体側の面に沿って設けられた供給流体流路と、
前記分離膜の透過流体側の面に沿って設けられた透過流体流路と、
前記供給流体流路を、前記透過流体収集管に近い端部において閉塞する封止材と、
前記封止材における前記透過流体収集管から遠い方の端部を、透過流体収集管の長手方向に垂直な方向にまたぐように配置され、前記分離膜の供給流体側の面に固着する保護層と、
を備える。
本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて、前記保護層が、水不透過性を有することが好ましい。
本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて、前記保護層は、可撓性を有し、曲げ剛性が前記分離膜より小さく、引張強度が15MPa以上であることが好ましい。
本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいては、折りたたみでなく封止対向する分離膜の間における膜のずれの発生が抑制され、かつ、分離膜対の透過流体収集管側の閉塞部でのリークを抑制する。よって、本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおける分離性能は、長期間、安定した状態で維持される。
図1は、本発明のスパイラル型分離膜エレメントの一態様の一部を展開した斜視図である。 図2は、本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて用いられる、分離膜が重ね合わされて形成された分離膜対の封止部周辺の透過流体収集管に向かい合う辺に直角な方向(分離膜対の長手方向)の縦断面模式図である。 図3は、本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて用いられる分離膜対の作製方法の一例を説明する分解斜視模式図である。 図4は、本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて用いられる分離膜の一態様の断面図である。 図5は、本発明のスパイラル型分離膜エレメントにおいて用いられる分離膜対の封止部周辺の透過流体収集管に向かい合う辺に直角な方向(分離膜対の長手方向)の縦断面模式図である。
本発明のスパイラル型分離膜エレメントの実施態様の一例について、図1を参照しながら、説明する。
図1および図2(a)および図2(b)に示すように、スパイラル型エレメント1は、
透過流体収集管2(以下、「集水管」と称することがある。)と、
供給流体側の面31と透過流体側の面32とを有し、前記集水管2の周囲に巻回された複数の分離膜3と、
前記分離膜3の供給流体側の面31に沿って設けられた供給流体流路4と、
前記分離膜3の透過流体側の面32に沿って設けられた透過流体流路5と、
前記供給流体流路を、前記集水管に近い端部において閉塞する封止材9と、
前記封止材9における前記集水管2から遠い方の端部を、集水管の長手方向に垂直な方向にまたぐように配置され、前記分離膜の供給流体側の面に固着する保護層10と
を備える。
より詳細には、スパイラル型分離膜エレメント1は、
スパイラルに巻き上げられた分離膜3で形成された巻回体3a、
該巻回体3aの一方の側端に嵌合された上流側端板7と該巻回体3aの他方の側端に嵌合された下流側端板8、
前記分離膜3の一方の面に沿って設けられた供給流体流路4と前記分離膜3の他方の面に沿って設けられた透過流体流路5、および、
集水管2を含む。
前記巻回体3aは、集水管2の周囲にスパイラルに巻き上げられた分離膜対6によって形成される。1つの巻回体3aは、少なくとも1組の分離膜対6を有する。
分離膜対6は、供給流体に接する面31が互いに対向するように配置された2枚の分離膜3を有する。
隣り合う分離膜3の面31の間には、供給流体流路材41が配置される。供給流体流路材41は、流路を形成するスペーサである。こうして、分離膜対6の内部には、供給流体流路4が形成される。分離膜対6においては、集水管2に近い端部で、前記供給流体流路4が、前記集水管2に対し、前記分離膜3の端部に設けられた封止材9(図2参照)と保護層10(図2参照)とにより、閉塞されている。つまり、供給流体流路4は、分離膜3の巻回方向における内側端部において、閉塞されている。
隣り合う分離膜対6の間では、それぞれの分離膜対6に含まれる分離膜の透過流体側の面32が対向する。分離膜の透過流体側の面32の間には、透過流体流路材51が配置される。透過流体流路材51は、流路を形成するスペーサである。こうして、隣り合う分離膜対6の間には、透過流体流路5が配置される。前記透過流体流路5は、前記集水管2に対し開放されている。
以上の説明から明らかなように、巻回体3aは、分離膜3と、供給流体流路材41と、透過流体流路材51との積層体が、集水管2の周囲に巻囲されて形成されている、とも言える。
前記集水管2の長手方向の一端部2bは閉塞され、他端部2cは開放されている。他端部2cは、前記下流側端板8の外側に位置する。
分離膜エレメント1における流体の分離について説明する。まず、前記上流側端板7を通じて、前記供給流体流路4に供給流体101が供給される。供給流体101は、供給流体流路4に沿って、分離膜対6の内部を流れ、分離膜3を透過し透過流体102と、前記分離膜3を透過しなかった濃縮流体103とに分離される。濃縮流体103は、前記下流側端板8を通じて、分離膜エレメント1の外に排出される。透過流体102は、前記集水管2を通じて、分離膜エレメント1外に導出される。
上述したように、隣り合う分離膜3の面32の間は、封止材9によって接着されている。また、保護層10は、前記供給流体に接する面31と、前記封止材9の前記集水管側の反対側の端部の境界を、前記集水管側の長手方向に垂直な方向にまたいで、前記分離膜の前記供給流体に接する面上に固着されている。
封止材9および保護層10の具体的な配置について、図2(a)および図2(b)を用いて説明する。分離膜対6では、隣り合う前記分離膜3の前記供給流体に接する面31が、互いに対向するように配置される。図2(a)では、封止材9は、前記供給流体に接する面31と前記供給流体に接する面31上に固着された保護層10との両方に接着している。一方、図2(b)では、封止材9は、前記供給流体に接する面31上に固着された保護層10のみに接着している。供給流体流路4を集水管に対して閉塞する構成は、図2(a)または図2(b)のいずれであってもよい。
本発明では、上記のように、封止材9によって2枚の分離膜3が接着されて分離膜対6が形成されるので、分離膜対の形成に、分離膜の折りたたみは必要ではない。
従来の折りたたみ方式の分離膜では、折り目の部分に、分離膜の撓みが生じる。折りたたむ工程が存在すると、分離膜3の折りたたみが不十分である場合に、折り目近傍で分離膜3が撓み、巻回してスパイラル型分離膜エレメントとした場合に、折り目部分の分離機能層に欠陥が生じて、流体のリークが発生する場合がある。しかし、スパイラル型分離膜エレメント1に含まれる複数の分離膜対6は、端部が折りたたみではなく、封止により閉塞されているため、その部分における分離膜の撓みの問題が解消されている。
分離膜間を封止する方法としては、封止材を用いた接着による封止;並びに、加熱、レーザーおよび超音波などによる溶着等が挙げられる。溶着とは、分離膜3を熱によって溶かし、加圧して冷却することで接着させることを指す。分離膜間の封止には、封止の完全性および簡便性から、封止材を用いることが好ましい。
封止材とは、隣り合う2枚の分離膜の供給流体に接する2つの面31の間を、分離膜の巻回方向内側端部において、直接または保護層10の少なくとも一部を介して接着することで、分離膜間を密封できる材料を指す。特に封止材は、集水管2の長手方向に平行に配置されることが好ましい。
封止材としては、保護層と同様に、酸やアルカリなどの薬液洗浄に耐えるものであれば、特に限定されず、市販されているものを用いることができる。また、封止材の形態としては、例えば、接着剤、接着テープ、熱接着フィルムなどが挙げられる。
封止材として用いられる接着剤としては、瞬間接着剤、並びに、2液混合タイプ、ホットメルト系、熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、エマルジョン系およびエラストマー系の接着剤を含む公知の接着剤が挙げられる。
図2(a)のように、保護層10の一部を介して封止を行う場合には、封止材は、保護層10と分離膜の端部の供給流体に接する面31の両方に接着性を持つ必要があり、図2(b)のように、保護層10のみを介して封止を行う場合には、封止材は、保護層10のみに接着性を持てば良い。
また、分離膜は、加圧ろ過時に分離膜3と封止材9の境界11に屈曲変形が生じると、境界やその周辺で、特に後述の分離機能層において、微細な孔が開きやすい。こうして生じた孔からは供給流体が透過流体側に漏れ、分離性能が低下する。
さらに、特許文献2のように、分離膜端部に水不透性樹脂を含浸させて封止した場合でも、水不透性樹脂の前記集水管2から遠い方の端部やその周辺で、特に後述の分離機能層において、微細な孔が開きやすく、こうして生じた孔からは供給流体が透過流体側に漏れ、分離性能が低下する。
また、水不透性樹脂の含浸が分離機能層に達していないと十分な効果を発現しないが、含浸が分離機能層に十分に達しているかは評価し難いという課題もある。
これらの問題点に対し、分離膜3と封止材9の境界11に保護層10が設けられていることで、分離膜対6の端部が封止材9だけにより封止されている場合に比べて、分離膜3に欠陥が生じにくく、かつ、分離機能層に確実に固着しているため、供給流体の透過流体側へのリークを防止することができる。
また、供給流体流路が、分離膜と分離可能なネット等の流路材で形成されていて、かつ、後述するように供給流体流路材が封止材9から外れて配置されている場合、分離膜がスパイラル状に巻かれると、供給流体流路材のエッジ部が膜面を傷つけることがある。保護層10には、分離膜を、供給流体流路材のエッジ部との接触から保護する効果もある。
保護層10は、もしも分離機能層に欠陥が生じた場合に、水不透過性を有していれば、欠陥をシールし、リークを防止できる効果があるため、水不透過性を有していることが好ましい。
また、保護層10の柔軟性が前記分離膜3より小さければ、分離膜3の、保護層10との境界に屈曲変形が起こり、分離膜3の表層に設けられた分離機能層301に欠陥が生じる虞があるため、保護層10は可撓性を有しており、かつ、前記分離膜3より柔軟性が大きい、すなわち、曲げ剛性が小さいことが好ましい。
また、保護層10自体に欠陥が生じないよう、保護層10の引張強度は、15MPa以上であることが好ましい。一方、引張り強度が大きい物質は、柔軟性が小さくなる傾向にあるので、保護層10の引張強度は、15MPa以上200MPa以下であることがより好ましい。
保護層10を設ける方法(つまり分離膜を保護する方法)としては、粘着テープや熱接着フィルムの貼付、接着剤の塗布等が挙げられる。この中では、端部位置の精度の良さ、乾燥の不要さ、厚みの均一性、水不透過性を有している点から、粘着テープを用いた保護が好ましい。
粘着テープとは、5〜150μm程度の厚みを有し、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリイミドフィルム等の合成樹脂フィルムや、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔を基材とし、そのような基材の上にゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等の粘着剤を塗布してなるようなものである。スパイラル型分離膜エレメント1においては、酸やアルカリなどの薬液洗浄に耐えるものであれば、特に限定されず、市販されているものを用いることができる。なかでも、粘着剤としては、水に濡れたときの粘着力の低下が少なく、比較的安価でもあるアクリル系粘着剤であることが好ましい。
分離膜3の長手方向における封止材9の幅をW1、封止材9の前記集水管側の反対側の端部(図2(a)および図2(b)での左端部)から保護層10の前記集水管側の反対側の端部(図2(a)および図2(b)での左端部)の距離をW2、保護層10の前記集水管側の反対側の端部(図2での左端部)の分離膜端部からの距離をW3として、図2(a)および図2(b)中に示す。
W1は、大きい方が、加圧ろ過中に供給流体によってかけられる圧力に対して優れた耐久性を実現することができるので、供給流体の透過流体側への流入を抑制することができる。また、W1は、小さい方が、分離に関わる分離膜3の面積(すなわち、有効膜面積)を広く確保することができる。そのため、これらのバランスを考慮すると、W1は、5mm以上100mm以下であることが好ましい。W1は、10mm以上50mm以下であることがより好ましい。
W2は、大きい方が、加圧ろ過中に供給流体によって圧力がかけられたときに分離膜3と封止材9の間で分離機能層を保護する効果が高い。一方で、W2が小さい方が、分離に関わる分離膜3の面積(すなわち、有効膜面積)を大きく確保することができる。そのため、これらのバランスを考慮すると、W2は、10mm以上50mm以下であることが好ましい。
W3は、小さい方が、分離に関わる分離膜3の面積(すなわち、有効膜面積)を大きく確保できるので、W1とW2の効果を考慮したうえでできるだけ小さいほうが好ましく、(W3=W1+W2)であることがより好ましい。
また、図2に示す分離膜対における分離膜の供給流体に接する面31同士の距離Hは、低すぎると、供給流体が流入したときの分離膜対6の膨らみに、封止材9による接着部が耐えきれず、破損や膜に傷が生じる場合がある。高すぎると、スパイラル型分離膜エレメント1に装填できる分離膜対6の数が少なくなる。そのため、封止材9の高さ(厚さ)Hは、10μm以上500μm以下が好ましく、100μm以上200μm以下がより好ましい。
流体流路を流路材で形成する態様は、特に限定されない。高圧下での運転でも良好に分離膜エレメントとして機能することを前提に、塩濃度が高い海水をろ過する場合に、流体流路を流路材で形成することが特に好ましい。
供給流体流路材としては、例えば、ネットが用いられる。また、透過流体流路材としては、例えば、トリコットが用いられる。供給流体流路材および透過流体流路材は、分離膜に固着する樹脂により分離膜と一体化したパターンとして設けられてもよい。
また、図5に示すように、供給流体流路材がネット等の分離膜とは分離可能な部材41である場合、供給流体流路材41は、封止材9が接着しないように配置されることが好ましい。つまり、供給流体流路材41の集水管2に近い方の端部は、封止材9よりも集水管2から遠い位置に配置されることが好ましい。これによって、封止材9が固化することで収縮したときに、供給流体流路材41が引っ張られることが無く、供給流体流路材41の位置が精度良く決まるという効果が得られる。また、供給流体流路材41の厚みより封止材9の厚みを大きくする必要がなくなり、それぞれの部材の厚みを独立して決めることが可能となる。
一方、流体流路を分離膜の表面に高低差を付与して形成した分離膜は、分離膜の供給流体側や透過流体側での流体の流動抵抗が小さくなるため、特に高い造水性能が要求されるかん水をろ過する場合に、好ましく用いられる。
流体流路を形成するために、分離膜の表面に高低差を有する部分、例えば、凹凸を形成する方法は、特に限定されない。例えば、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工などによる凹凸形成方法が挙げられる。エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工の場合では、分離膜の成形後に、40℃乃至150℃で分離膜に熱処理を施すことで、形成された凹凸形状の保持性を向上させることができる。
スパイラル型分離膜エレメント1に積層されて装填される分離膜対6の数は、本発明の効果が達成される範囲で、適宜選定される。それらの中に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、従来の折りたたみ構造の分離膜対が含まれていても良い。
図4に示したように、分離膜3としては、ポリアミドなどの架橋高分子からなる分離機能層301、ポリスルホンなどの高分子からなる多孔性支持膜302、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子からなる不織布303で構成されており、この順で、供給流体側から透過流体側に亘り積層された複合半透膜が好適に用いられる。
(脱塩率(TDS除去率))
式:TDS除去率(%)=100×{1−(透過流体中のTDS濃度/供給流体中のTDS濃度)}に基づき求めた。
(分離膜対回収率)
スパイラル型分離膜エレメントの集水管の一端を閉塞した。そのスパイラル型分離膜エレメントを水中に浸漬して、他端から0.3MPaの圧力で空気を供給した。供給開始から3分経過後に気泡が水中に漏れ出していた場合、リークが発生したものとみなした。リークが発生した分離膜対数をカウントして、(エアーリークが発生しなかった分離膜対数/評価に供した分離膜対数×100%)の値を回収率とした。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec)上に、ポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を、180μmの厚みで、室温(25℃)にて、キャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持膜(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後に、多孔性支持膜ロールから多孔性支持膜を巻きだし、ポリスルホン表面に、m−PDA1.8重量%、ε−カプロラクタム4.5重量%の水溶液を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け、支持膜表面から余剰の水溶液滴を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.06重量%を含む25℃のn−ヘキサン溶液を、表面が完全に濡れるように、塗布した。その後、膜から、余剰の溶液滴をエアーブローで除去し、50℃の熱水で洗浄して、3.5%のグリセリン水溶液に1分浸漬した後、100℃の熱風オーブンで1分間処理し、半乾燥状態の分離膜ロールを得た。
次に、得られた分離膜(各分離膜は、集水管長手方向における分離膜幅W4:300mm×集水管長手方向と垂直方向における分離膜長さL:955mmの面積を有する)に、ポリプロピレンフィルムにアクリル系接着剤を塗布してなる粘着テープを保護層として、W3:30mmとなるように貼付した。このとき、粘着テープの引張強度は82.5MPaで、厚みは50μmである。
得られた2枚の分離膜を供給流体側同士が対面になるように配置し、その間に供給流体流路材としてネットを挟み、接着剤(東レ・ファインケミカル株式会社製、商品名 ケミットR−248)を封止材として用い、図2(b)の形態になるように、幅W1:15mm、W2:15mmとなるように、接着させて分離膜対を得た。
次に、得られた分離膜対の透過流体側の表面上に、透過流体流路材として、トリコット(厚み:300μm、溝幅:200μm、畦幅:300μm、溝深さ:105μm)を積層し、さらに、分離膜対、トリコットを積層し、すなわち、スパイラル型分離膜エレメントでの有効面積が1.0mになるように、2枚の分離膜対と2枚のトリコットからなる分離膜対積層体を作製した。ここで、分離膜の透過流体側における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離を200個についてカウントし、その平均値をピッチとした。
その後、透過流体流路材の端部を集水管に巻き付けながら、分離膜対積層体を、スパイラル状に巻き付けたスパイラル型分離膜エレメントを作製し、得られた巻回体の外周に、フィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取り付け、フィラメントワインディングを行い、2インチエレメントを作製した。
得られたエレメントを圧力容器に入れて、供給流体を食塩0.05重量%の食塩水、運転圧力3.5MPa、運転温度25℃、pH7で運転(回収率15%)したところ、造水量および脱塩率は、2.02m/日および98.5%、分離膜対回収率は、99.3%であった。
<実施例2>
比較例3では、保護層がポリエチレンフィルムにアクリル系接着剤を塗布してなる粘着テープで、の引張強度が29.5MPaである以外は、全て実施例1と同様に、2インチエレメントを作製した。実施例1と同じ条件で運転したところ、造水量および脱塩率は、2.05m/日および98.1%、分離膜対回収率は、99.4%であった。
<比較例1>
比較例1では、保護層を設けず封止材のみで分離膜対を作成した以外は、全て実施例1と同様に、2インチエレメントを作製した。実施例1と同じ条件で運転したところ、造水量および脱塩率は、2.03m/日および90.3%、分離膜対回収率は、99.1%であった。
<比較例2>
比較例2では、保護層がポリエチレンフィルムにアクリル系接着剤を塗布してなる粘着テープで、引張強度が12.7MPaである以外は、全て実施例1と同様に、2インチエレメントを作製した。実施例1と同じ条件で運転したところ、造水量および脱塩率は、2.02m/日および92.7%、分離膜対回収率は、99.2%であった。
本発明のスパイラル型分離膜エレメントは、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
1 スパイラル型分離膜エレメント
2 透過流体収集管(集水管)
2a 流体収集孔(集水孔)
2b 透過流体収集管の一端部(集水管の一端部)
21 巻回体の上流側端部
22 巻回体の下流側端部
3 分離膜
3a 巻回体
31 供給流体に接する面(分離膜の供給流体側の面)
32 透過流体に接する面(分離膜の透過流体側の面)
301 分離機能層
302 多孔性支持膜
303 不織布
4 供給流体流路
41 分離膜と分離可能な供給流体流路材(供給流体流路)
5 透過流体流路
51 分離膜と分離可能な透過流体流路材(透過流体流路)
6 分離膜対
7 上流側端板
8 下流側端板
9 封止材
10 保護層
11 分離機能層と封止材の境界
101 供給流体
102 透過流体
103 濃縮流体
L: 透過流体収集管(集水管)の長手方向に垂直な方向における分離膜長さ
W1 分離膜対を作製する際の封止材の幅
W2 封止材端部から保護層端部までの距離
W3 分離膜端部から保護層端部までの距離
W4 透過流体収集管(集水管)の長手方向に水平な方向における分離膜長さ

Claims (3)

  1. 透過流体収集管と、
    供給流体側の面と透過流体側の面とを有し、前記透過流体収集管の周囲に巻回された複数の分離膜と、
    前記分離膜の供給流体側の面に沿って設けられた供給流体流路と、
    前記分離膜の透過流体側の面に沿って設けられた透過流体流路と、
    前記供給流体流路を、前記透過流体収集管に近い端部において閉塞する封止材と、
    前記封止材における前記透過流体収集管から遠い方の端部を、透過流体収集管の長手方向に垂直な方向にまたぐように配置され、前記分離膜の供給流体側の面に固着する保護層と、
    を備える分離膜エレメント。
  2. 前記保護層が、不透過性を有することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル型分離膜エレメント。
  3. 前記保護層は可撓性を有し、曲げ剛性が前記分離膜より小さく、引張強度が15MPa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスパイラル型分離膜エレメント。
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