JP2015092858A - バイオマスの成分分離方法 - Google Patents

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康宏 石原
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Abstract

【課題】本発明は、植物系バイオマス中に含まれるグルカン、キシラン及びリグニンの各成分を高回収率で取り出すことのできる、バイオマスの成分分離方法を提供する。【解決手段】下記工程(1)〜工程(3)を有する、バイオマスの成分分離方法。工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、H−ファクターが3以上、1,500以下の範囲で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマスからグルカン、キシラン及びリグニンを分離する、バイオマスの成分分離方法に関する。
近年、化石資源の枯渇、環境問題への配慮などから、グルカン(C6糖成分を構成単位とする多糖)やキシラン(C5糖成分を構成単位とする多糖)、リグニンを含有する非可食バイオマスの有効活用が注目されている。
このバイオマスを原料として、糖やリグニン由来粗生成物を製造し応用する試みがなされている。
例えば、糖からはバイオ変換又は化学変換にてエタノールや乳酸、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などといった生物由来の化学物質へ変換できることが知られている。
また、リグニンからは化学修飾などによりリグニン由来芳香族化合物を製造する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、ヘミセルロースを部分的に除去して得られる固体残留物を有機溶剤で抽出しリグニンを分離し、その後、固形分残渣をアルカリ金属亜塩素酸塩で処理して、さらにアルカリ金属水酸化物で処理してセルロースを取得する方法が開示されている。
また、特許文献2では、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンの分離方法として、a)所定の温度および圧力下で、バイオマス中のリグニンを溶解させることができるアルカリ化剤をバイオマスに接触させる工程と、b)ヘミセルロースを加水分解するために、工程a)の残渣と、弱酸または水を反応させ、続いてバイオマスからこれを取り出す工程と、c)前記残存バイオマスから高反応性セルロースを得る工程と、を備えるバイオマス成分を分離する方法が開示されている。
特許文献3では糖の製造方法として、アルカリ処理物から、セルロースII型又はアルカリセルロースIV型を得た後、これらを酵素により糖化することで高い糖化収率で、糖が得られることが示されている。
特許文献4では水溶性キシラン含有多糖類の製造方法として、所定濃度のアルカリ性媒体中で加温して、得られた残渣から、所定濃度のアルカリ性媒体で抽出し、抽出物にキシナラーゼを作用させ部分加水分解して、水溶性キシラン含有多糖類を得る方法が開示されている。
特開昭50−83400号公報 特表2010−531215号公報 特開2011−10597号公報 特開2007−217661号公報
しかしながら特許文献1の手法ではセルロースの回収率は高いが、リグニンの回収率は低いという課題がある。特許文献2の方法ではセルロースの回収率の低さが課題となる。特許文献3の方法は、成分分離の観点ではグルカン成分とキシラン成分の混合糖として抽出されてしまう、といった課題がある。特許文献4の手法ではキシラン回収率が低くなるといった課題がある。
すなわち、特許文献1〜4記載の方法は、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得られるものではない。したがって、本発明は、植物系バイオマス中に含まれるグルカン、キシラン及びリグニンの各成分を高回収率で取り出すことのできるバイオマスの成分分離方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、下記工程(1)〜工程(3)を有する、バイオマスの成分分離方法に関する。
工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、H−ファクターが3以上、1,500以下の範囲で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。
工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。
工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。
本発明によれば、植物系バイオマス中に含まれるグルカン、キシラン及びリグニンの各成分を高回収率で取り出すことができる。
本発明のバイオマスの成分分離方法は、下記工程(1)〜工程(3)を有する。
工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、H−ファクターが3以上、1,500以下の範囲で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。
工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。
工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。
上記工程(1)及び工程(2)を経ることで、工程(3)でグルカン、キシラン及びリグニンの成分を高回収率で取り出すことができる。
[工程(1)]
工程(1)は、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得る観点から、行なわれる。
<草本系バイオマス>
本発明の方法では、植物系バイオマスとして草本系バイオマスが用いられる。一般的に、植物系バイオマスは、セルロース、へミセルロース、及びリグニン等を含有する。植物系バイオマスとしては、木質系バイオマス、草本系バイオマスが挙げられるが、本発明では、工程(1)及び工程(2)におけるアルカリの処理の効果を得る観点から、草本系バイオマスを用いる。
草本系バイオマスとは、草地に生育する樹木以外の植物原料、或いは非木質の植物部位を意味する。具体的には、イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料が挙げられる。イネ科の植物原料としては、例えばサトウキビバガス、ソルガムバガス等のバガス、スイッチグラス、エレファントグラス、コーンストーバー、コーンコブ、イナワラ、ムギワラ、オオムギ、ススキ、芝、ジョンソングラス、エリアンサス、ネピアグラスが挙げられる。アオイ科の植物原料としては、例えばケナフ、ワタが挙げられる。マメ科の植物原料としては、例えばアルファルファが挙げられる。ヤシ科の植物の非木質原料としては、例えばパームヤシ空果房が挙げられる。これらの中でも、生産性及び取扱い性の観点から、好ましくはイネ科の植物原料であり、より好ましくはサトウキビバガス、コーンコブ、又はイナワラであり、更に好ましくはコーンコブ、又はイナワラであり、より更に好ましくはイナワラである。
草本系バイオマスは、粉砕処理せずに用いることもできるが、処理効率の観点から、好ましくは、粉砕処理をする。
用いられる粉砕機に特に制限はなく、例えば、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミル等が挙げられる。これらの中では、草本系バイオマスの粉砕効率、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。
粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕に用いる装置及び/又は媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられるが、セルロース含有原料の粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、鉄又はステンレスがより好ましい。
草本系バイオマスの粉砕効率の観点から、用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッド又はボールであることが好ましい。
媒体がロッドの場合には、ロッドの外径は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、また、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは40mm以下である。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望とする粒子径への効率的な低下ができるとともに、ロッドのかけら等が混入して草本系バイオマスが汚染されるおそれが少ない。
媒体がボールの場合は、ボールの外径としては、草本系バイオマスの粉砕を効率的に行う観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。
媒体の充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10容量%以上、より好ましくは30容量%以上、更に好ましくは50容量%以上であり、また、好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、更に好ましくは70容量%以下である。充填率がこの範囲内であれば、草本系バイオマスとロッド等の媒体との接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、振動ミルの攪拌部の容器の容積に対する媒体の体積をいう。
粉砕の時間は、用いる粉砕機や使用するエネルギー量等によって変わるが、草本系バイオマスの微細化の観点から、通常1分以上、好ましくは3分以上であり、また、草本系バイオマスの微細化の観点及び経済性の観点から、通常12時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは12分以下である。
<アルカリ>
工程(1)のアルカリの量は、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得る観点から、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下である。
また、工程(1)においてアルカリの量は、上記観点及び経済性の観点から、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、更により好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは20質量部以下であり、また、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得る観点から、好ましくは10質量部以上である。
工程(1)で用いられるアルカリとしては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物が挙げられ、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得る観点及び常温、常圧で取扱える等の作業性の観点から、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムなどから選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであり、更に好ましくは水酸化ナトリウムである。
<水>
工程(1)の水の量は、グルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で得る観点、均一な撹拌混合等の作業性の観点、ならびに設備過大や加熱コスト等の経済性の観点から、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、10質量部以上、10,000質量部以下である。
上記観点から、水の量は、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、好ましくは150質量部以上、より好ましくは250質量部以上、更に好ましくは350質量部以上、更により好ましくは450質量部以上、より更に好ましくは550質量部以上、より更に好ましくは650質量部以上、より更に好ましくは750質量部以上であり、また、好ましくは8,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、更に好ましくは3,500質量部以下、更により好ましくは2,500質量部以下、より更に好ましくは1,500質量部以下である。
<H−ファクター>
工程(1)の加熱処理は、H−ファクター(以下、「HF」ともいう)が、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率の観点、経済性の観点から、3以上、1,500以下の範囲で行なう。
上記観点から、HFは、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上、更により好ましくは15以上であり、また、好ましくは1,200以下、より好ましくは1,000以下、更に好ましくは400以下、更により好ましくは300以下、より更に好ましくは100以下、より更に好ましくは50以下、より更に好ましくは30以下である。
H−ファクターは、パルプの蒸解工程における制御指標として、従来から使用されているもので、温度と時間の効果を一つの変数としたものである。
加熱処理は温度が高いと反応が促進されるとともに時間も同時に関係するため、100℃の脱リグニン反応速度を1として、他の温度における相対速度をArrheniusの式より求め、その温度における時間との積であるH−ファクターによって算出される。
本発明においては、H−ファクター(HF)はバイオマスのアルカリを用いた加熱処理で反応系に与えられた熱の総量を表す指標であり、下記式(1)により表される。HFはバイオマスとアルカリ液が接触し、かつ70℃以上になっている時間tを積分することで算出する。
Figure 2015092858
ここで、tは時間(h)、Tは絶対温度(K)、積分範囲は0〜t
例えば、H−ファクターとして3以上を満たすために、加熱処理を70℃で行った場合は、150時間程度の処理時間が必要となり、加熱処理を85℃で行った場合は、20時間程度の処理時間が必要となり、加熱処理を100℃で行った場合は、4.5時間程度の処理時間が必要となる。
従って、工程(1)の加熱処理の温度及び時間は、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率、並びにサイクルタイムの短縮、経済性の観点から、設定されるのが好ましい。
よって、工程(1)の加熱処理の温度は、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率の観点、並びにサイクルタイムの短縮の観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上、更により好ましくは100℃以上、より更に好ましくは105℃以上、より更に好ましくは110℃以上であり、また、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率及び経済性の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更により好ましくは130℃以下である。
また、工程(1)の加熱処理の時間は、上記の加熱処理の温度範囲内で維持した時間を表し、好ましくは70℃以上、180℃以下の温度範囲内で維持した時間、好ましくは80℃以上、180℃以下の温度範囲内で維持した時間、好ましくは90℃以上、180℃以下の温度範囲内で維持した時間、好ましくは100℃以上、150℃以下の温度範囲内で維持した時間、好ましくは105℃以上、150℃以下の温度範囲内で維持した時間、好ましくは110℃以上、150℃以下の温度範囲内で維持した時間である。
工程(1)の加熱処理の時間は、処理設備のスケールや昇降温速度の違いによって変化するので一概に言えないが、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率の観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上であり、また、リグニン、キシラン及びグルカンの回収率、サイクルタイムの短縮及び経済性の観点から、好ましくは50時間以下、より好ましくは28時間以下、更に好ましくは20時間以下、更により好ましくは14時間以下、より更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは5時間以下である。
[工程(2)]
工程(2)は、キシラン及びグルカンの回収率、キシラン及びグルカンそれぞれの純度を高める観点から行われる。
<アルカリ水溶液>
工程(2)のアルカリ水溶液の濃度は、キシラン及びグルカンの回収率、純度の観点から、6質量%以上、60質量%以下である。
上記観点から、アルカリ水溶液の濃度は、好ましくは7質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、上記観点及び経済性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
なお、アルカリ水溶液に用いられるアルカリ物質は、工程(1)で例示したものと同様のものが好ましく用いられる。
<温度>
工程(2)の浸漬処理は、0℃以上、50℃以下の範囲で行なわれる。キシラン及びグルカンを高回収率で得る観点及び凍結防止などの作業性の観点から、温度は、0℃以上であり、また、上記観点及び経済性の観点から、温度は、50℃以下である。
上記観点から、工程(2)の浸漬処理の温度は、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上、より更に好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは45℃以下、より好ましくは35℃以下である。
<アルカリ水溶液の量(対バイオマス固形分質量)>
工程(2)のアルカリ水溶液の量は、アルカリ一次処理バイオマスの固形分100質量部に対して、キシラン及びグルカンを高回収率で得る観点及び均一撹拌等の作業性の観点から、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは300質量部以上、更により好ましくは500質量部以上、より更に好ましくは800質量部以上である。また、キシラン及びグルカンを高回収率で得る観点及び設備過大やコスト等の経済性の観点から、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは3,000質量部以下、更に好ましくは2,000質量部以下、更により好ましくは1,200質量部以下、より更に好ましくは1,000質量部以下である。
<浸漬時間>
工程(2)の浸漬時間は、キシランを高回収率で得る観点から、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは40分以上であり、また、グルカン回収率の観点、キシラン純度の観点及び経済性の観点から、好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
なお、浸漬処理は、単に機械力を与えない状態で、工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、アルカリ水溶液中に浸漬させるだけでもよいし、浸漬処理時間の短縮の観点から、撹拌等の機械力を与えた状態で、工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、アルカリ水溶液中に浸漬させてもよい。
[工程(3)]
工程(3)では、リグニンは、工程(1)のアルカリ一次処理バイオマス、又は工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出すことで得られる。リグニン回収率の観点から、工程(1)のアルカリ一次処理バイオマス及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニンを分離することが好ましい。
キシランは、工程(1)のアルカリ一次処理バイオマス、又は工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出すことで得られる。キシラン回収率の観点から、工程(1)のアルカリ一次処理バイオマス及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してキシランを分離することが好ましい。
上記観点から、リグニン及びキシランの高い回収率の観点から、工程(1)のアルカリ一次処理バイオマス及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離することが好ましい。
当該水溶性成分は、例えば、アルカリ一次処理バイオマス又はアルカリ二次処理バイオマス(以下、これらを総称して、単に「アルカリ処理バイオマス」ともいう)の液部を分離することで取り出すことができる。また、当該水溶性成分は、前記分離に加えて、分離したアルカリ処理バイオマスの固形部を水で洗浄し、水中に溶解させて抽出し、取り出すことが好ましい。更に、得られた水溶性成分から、透析膜等によりアルカリを除いてもよい。
グルカンは、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出すことで得られる。当該水不溶性成分は、例えば、アルカリ二次処理バイオマスの固形部を分離することで取り出すことができる。また、分離された固形部を水で洗浄し、水溶性成分を取り除くことが好ましい。
[工程(4)]
本発明のバイオマスの成分分離方法は、下記工程(4)を更に有していてもよい。
工程(4):工程(3)で得られたリグニン及びキシランの混合物より、リグニン及びキシランをそれぞれ分離する工程。
リグニン及びキシランは既存の技術により、工程(3)で得られたリグニン及びキシランの混合物よりそれぞれ分離可能である。リグニンは、例えばpH制御による上記混合物の酸性化にて、リグニンを固体として析出させることにより分離できる。また、キシランは、例えば溶剤抽出法を用いることで、上記混合物からキシラン固体を析出させることにより、分離できる。
[グルカン、キシラン及びリグニン]
得られたグルカンは、例えば、酵素や酸により糖化処理をすることでグルコースを得ることができる。
また、上記グルコースは、酸又は熱処理することで5−ヒドロキシメチルフルフラール等の化学品原料として使用できる。
その他、得られたグルコースからエタノールを製造することができる。エタノールの製造方法としては、例えば、グルコースを発酵させることでアルコールが得られる。アルコール発酵における酵母の種類、使用量、発酵温度などの各種条件は、使用する酵母に応じて適宜設定することができる。
得られたキシランは、例えば、酵素や酸により糖化処理をすることでキシロースを得ることができる。キシロースは、例えば、キシリトール、キシルロース等の化合物への変換材料として有用に利用することができる。また、そのまま食品甘味料等として利用することができる。
リグニンは、例えば、バニリン、シリンガアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン酸、シリンガ酸、4-ヒドロキシ安息香酸などの低分子芳香族化合物への変換材料として有利に利用することができる。また、そのまま、抗菌剤、農薬、熱硬化性樹脂として利用することができる。そのほか、セメント分散剤、蓄電池用分散剤、香粧品用途の添加剤、その他の機能性材料として利用することができる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のバイオマスの成分分離方法を開示する。
<1> 下記工程(1)〜工程(3)を有する、バイオマスの成分分離方法。
工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、H−ファクターが3以上、1,500以下の範囲で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。
工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。
工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。
<2> 下記工程(1)〜工程(3)を有する、バイオマスの成分分離方法。
工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、70℃以上、180℃以下で、0.1時間以上、50時間以下で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。
工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。
工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。
<3> 草本系バイオマスが、好ましくはイネ科の植物原料であり、より好ましくはサトウキビバガス、コーンコブ、又はイナワラであり、更に好ましくはコーンコブ、又はイナワラであり、より更に好ましくはイナワラである、<1>又は<2>に記載のバイオマスの成分分離方法。
<4> 工程(1)のアルカリの量は、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、更により好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは20質量部以下であり、また、好ましくは10質量部以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<5> 工程(1)で用いられるアルカリが、好ましくはアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも一種であり、更に好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであり、より更に好ましくは水酸化ナトリウムである、<1>〜<4>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<6> 工程(1)の水の量は、草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、好ましくは150質量部以上、より好ましくは250質量部以上、更に好ましくは350質量部以上、更により好ましくは450質量部以上、より更に好ましくは550質量部以上、より更に好ましくは650質量部以上、より更に好ましくは750質量部以上であり、また、好ましくは8,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、更に好ましくは3,500質量部以下、更により好ましくは2,500質量部以下、より更に好ましくは1,500質量部以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<7> 工程(1)のH−ファクターが、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上、更により好ましくは15以上であり、また、好ましくは1,200以下、より好ましくは1,000以下、更に好ましくは400以下、更により好ましくは300以下、より更に好ましくは100以下、より更に好ましくは50以下、より更に好ましくは30以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<8> 工程(1)の加熱処理の温度が、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上、更により好ましくは100℃以上、より更に好ましくは105℃以上、より更に好ましくは110℃以上であり、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更により好ましくは130℃以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<9> 工程(1)の加熱処理の時間が、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上であり、また、好ましくは50時間以下、より好ましくは28時間以下、更に好ましくは20時間以下、更により好ましくは14時間以下、より更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは5時間以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<10> 工程(2)のアルカリ水溶液の濃度が、好ましくは7質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である、<1>〜<9>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<11> 工程(2)の浸漬処理が、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上、より更に好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは45℃以下、より好ましくは35℃以下である、<1>〜<10>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<12> 工程(2)のアルカリ水溶液の量は、アルカリ一次処理バイオマスの固形分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは300質量部以上、更により好ましくは500質量部以上、より更に好ましくは800質量部以上であり、また、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは3,000質量部以下、更に好ましくは2,000質量部以下、更により好ましくは1,200質量部以下、より更に好ましくは1,000質量部以下である、<1>〜<11>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<13> 工程(2)の浸漬時間が、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは40分以上であり、また、好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは3時間以下である、<1>〜<12>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
<14> 下記工程(4)を更に有する、<1>〜<13>のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
工程(4):工程(3)で得られたリグニン及びキシランの混合物より、リグニン及びキシランをそれぞれ分離する工程。
以下の実施例において、「%」は特に説明のない場合、ロッド充填率を除き「質量%」を意味する。
(1)バイオマス中のグルカン含有量、キシラン含有量の測定(原料及び生成物)
バイオマス試料300mg(乾燥質量)に72質量%硫酸3mlを加え、30℃の水浴中で1時間静置した。その後、イオン交換水84mlを用いて、ガラス製耐圧ビンに移し、120℃1時間、オートクレーブにて加熱処理した。得られた処理液にイオン交換水を加え100mlに調整した。液の一部を取り出し、炭酸カルシウムによってpH5〜6まで中和し、遠心分離により固液分離して上清を取得した。上清中のグルコース及びキシロース量を、HPLCを用いて下記の条件で定量し、下記式(2)、(3)よりグルカン及びキシラン含有量を算出した。
なお、オートクレーブ処理によるグルコースの残存率は下記式(4)から求めた。すなわち、グルコース0.5g、72質量%硫酸3ml、イオン交換水84mlのグルコース標準溶液を作成し、半量について上記のオートクレーブ処理を行い、処理前後のグルコース濃度の変化から算出した。キシロースの残存率についても、式(4)と同様に算出した。
グルカン含有量(%)=[{上清中グルコース濃度(g/ml)/(グルコース残存率×0.9)}/バイオマス試料濃度(g/ml(0.3g/100ml))]×100 ・・・(2)
キシラン含有量(%)=[{上清中キシロース濃度(g/ml)/(キシロース残存率×0.88)}/バイオマス試料濃度(g/ml(0.3g/100ml))]×100 ・・・(3)
グルコース残存率=処理後標準液のグルコース濃度/処理前標準液のグルコース濃度 ・・・(4)
<HPLC測定条件>
カラム:Transgeomic ICSep ICE−ION−300(TCI社)
カラム温度:40℃
溶離液:0.0085Nの硫酸水溶液
流速:0.4ml/min、検出器:RI
(2)バイオマス中の灰分量の測定
電気炉(アズワン社、ROP−001)で空のるつぼを600℃まで加熱後、デシケーター中で放冷し、るつぼの風袋を秤量した。次にサンプル250mg(乾燥質量)をるつぼに加え、600℃で4時間強熱した。デシケーター中で放冷後、秤量し、風袋質量から増加した質量を灰分量とした。
(3)バイオマス中のリグニン含有量の測定(原料及び生成物)
バイオマス試料300mg(乾燥質量)に72質量%硫酸3mlを加え、30℃の温浴中で1時間静置した。
その後、イオン交換水84mlを用いて、ガラス製耐圧ビンに移し、120℃1時間、オートクレーブにて加熱処理した。処理後、耐圧瓶内の黒色沈殿をあらかじめ質量を測定しておいたガラスろ過器(SIBATA社 1GP16)を用いて吸引ろ過した。得られた沈殿物は100℃の水約300ml、次いで25℃の水約300mlで洗浄後、80℃送風乾燥機中で一昼夜乾燥した。得られた乾燥粉体の灰分量を上記手法により測定し、乾燥粉体質量から灰分量を差し引いた質量を酸不溶性リグニン量とした。ろ液は光路長1mmセルを用いて205nm吸光度を測定した。ブランクの吸光度(72%硫酸とイオン交換水の混合液(3/84 v/v)の205nm吸光度)を差し引いて、カバ由来のリグニンのモル吸光係数113l/g・cm(参照 日本木材学会編 木質科学実験マニュアル)を用いて、ろ液中に溶存している試薬リグニン相当量を算出し、その量を酸可溶性リグニン量とした。酸不溶性リグニンと酸可溶性リグニン両者の合計量を用いて、下記式(5)から、バイオマス中のリグニン含有量(%)を求めた。
リグニン含有量(%)=[{酸不溶性リグニンと酸可溶性リグニン両者の合計(g)}/バイオマス試料質量(g(0.3g))]×100 ・・・(5)
(4)H−ファクターの算出
H−ファクター(HF)は、上記式(1)により算出した。
実施例1
(バイオマス原料の粗粉砕処理)
バイオマス原料としてサトウキビバガス〔サトウキビの搾りかす、グルカン含有量34.9質量%、キシラン含有量21.2質量%、リグニン含有量29.9質量%〕を乾燥質量として100g計り取り、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製「MB−1」:容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、ロッド充填率57%)に投入し、5分間粉砕処理することで粗粉砕処理バガスを得た。
(アルカリ2段処理−1段階目(工程(1)))
粗粉砕処理バガス100質量部(乾燥質量)に対し、処理液全体として水940質量部、水酸化ナトリウム15質量部となるよう水酸化ナトリウム及びイオン交換水を加え、オートクレーブ(トミー精工社、LSX−700)にて、室温(25℃)から120℃まで約40分で昇温を行った後、120℃で2時間保持した後(実施例の表中では、この時間を保持時間と表す。)、約1時間自然放冷を行い、70℃を下回った時点でアルカリ一次処理混合物を回収した(加熱処理温度の70℃以上、180℃以下の範囲内で維持した時間3.5時間)。この際のH−ファクターは20である。アルカリ1次処理混合物に対し、ろ過・イオン交換水洗浄を行い、アルカリ一次処理バガスの固形部及びろ液を得た(工程(3))。
(アルカリ2段処理−2段階目(工程(2)))
上記工程で得られたアルカリ一次処理バガスの固形部100質量部(乾燥質量)に対し、12質量%水酸化ナトリウム水溶液900質量部を加え、25℃で1時間攪拌した。処理後、ろ過・イオン交換水洗浄によりアルカリ二次処理バガスの固形部及びろ液を得た(工程(3))。
(組成分析)
アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))のろ液を凍結乾燥し得られた固形分の質量(g)と、固形分中のリグニン含有量(%)を測定し、1段階目のリグニンの含有量(g)を求め、アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))のろ液を凍結乾燥し得られた固形分の質量(g)と、固形分中のリグニン含有量(%)を測定し、2段階目のリグニン含有量(g)を求めた。原料バガスのリグニン含有量(g)に対し、1段階目と2段階目のリグニン含有量(g)の合計が占める割合を、下記式(8)よりリグニン回収率(質量%)として求めた。
また、アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))のろ液を凍結乾燥し得られた固形分の質量(g)と、固形分中のキシラン含有量(%)を測定し、1段階目のキシランの含有量(g)を求め、アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))のろ液を凍結乾燥し得られた固形分の質量(g)と、固形分中のキシラン含有量(%)を測定し、2段階目のキシラン含有量(%)を求めた。原料バガスのキシラン含有量(g)に対し、1段階目と2段階目のキシラン含有量(g)の合計が占める割合を、下記式(7)よりキシラン回収率(質量%)として求めた。
また、アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))で得られた固形部を凍結乾燥し得られた固形分の質量(g)と固形分中のグルカン含有量(%)からグルカンの含有量(g)を求め、原料バガスのグルカン含有量(g)に対し、工程(2)で得られた固形部のグルカン含有量(g)が占める割合を、下記式(6)よりグルカン回収率(質量%)として求めた。
結果を表1に示す。
グルカン回収率(質量%)=(工程(2)で得られた固形部のグルカン含有量(g)/原料バイオマス中のグルカン含有量(g))×100 ・・・(6)
キシラン回収率(質量%)=(1段階目と2段階目のキシラン合計含有量(g)/原料バイオマス中のキシラン含有量(g))×100 ・・・(7)
リグニン回収率(質量%)=(1段階目と2段階目のリグニン合計含有量(g)/原料バイオマス中のリグニン含有量(g))×100 ・・・(8)
実施例2〜9(1段階目(工程(1))処理条件)
アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))の処理条件を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例10〜13(2段階目処理条件)
アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))の処理条件を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例14(2段階目処理時間の変更)
アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))の処理時間を4.5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例15(2段階目水酸化ナトリウム水溶液の液量の変更)
アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))に使用する12質量%水酸化ナトリウム水溶液の量を400質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例16(原料の変更)
使用する草本系バイオマス原料をイナワラ〔グルカン含有量29.5質量%、キシラン含有量19.7質量%、リグニン含有量26.0質量%〕に変え、アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))の処理条件を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例17(原料の変更)
使用する草本系バイオマス原料をコーンコブ〔グルカン含有量30.5質量%、キシラン含有量29.4質量%、リグニン含有量25.4質量%〕に変えた以外は、実施例1と同様の方法でグルコースの製造を行った。結果を表1に示す。
比較例1
アルカリ2段処理の1段階目処理(工程(1))を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
比較例2
アルカリ2段処理の2段階目処理(工程(2))を実施せず、表1に示す処理条件としたこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
比較例3〜7(1段階目(工程(1))処理条件)
アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))の処理条件を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
比較例8〜9(2段階目(工程(2))処理条件)
アルカリ2段処理の2段階目(工程(2))の処理条件を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
比較例10〜13(原料の変更)
使用するバイオマス原料を表1に示す原料に変更し、アルカリ2段処理の1段階目(工程(1))の処理条件を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で各成分の回収率の確認を行った。結果を表1に示す。
原料組成:
マツの木質部〔グルカン含有量40.1質量%、キシラン含有量20.8質量%、リグニン含有量30.6質量%〕
ウメの木質部〔グルカン含有量23.8質量%、キシラン含有量11.5質量%、リグニン含有量35.1質量%〕
モモの木質部〔グルカン含有量23.4質量%、キシラン含有量13.1質量%、リグニン含有量36.0質量%〕
カキの木質部〔グルカン含有量22.0質量%、キシラン含有量12.2質量%、リグニン含有量31.1質量%〕
Figure 2015092858
表1に示すように、アルカリ2段処理を本願で規定する範囲内で実施した場合、草本系バイオマスからグルカン、キシラン及びリグニンを高回収率で同時に製造することができる。
本発明のバイオマスの成分分離方法は、生産性に優れ、草本系バイオマスからグルカン、キシラン及びリグニンを効率的に得ることができる。これらはバイオ変換又は化学変換を介して各種化学品原料として使用できる。

Claims (6)

  1. 下記工程(1)〜工程(3)を有する、バイオマスの成分分離方法。
    工程(1): 草本系バイオマスを、該草本系バイオマスの固形分100質量部に対し、8質量部以上、70質量部以下のアルカリ、及び10質量部以上、10,000質量部以下の水により、H−ファクターが3以上、1,500以下の範囲で加熱処理して、アルカリ一次処理バイオマスを得る工程。
    工程(2): 工程(1)で得られたアルカリ一次処理バイオマスを、濃度6質量%以上、60質量%以下のアルカリ水溶液中に0℃以上、50℃以下で浸漬処理して、アルカリ二次処理バイオマスを得る工程。
    工程(3): 工程(1)のアルカリ一次処理バイオマスの水溶性成分及び工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水溶性成分を取り出してリグニン及びキシランを分離し、工程(2)のアルカリ二次処理バイオマスの水不溶性成分を取り出してグルカンを分離する工程。
  2. 工程(1)の加熱処理の温度が、70℃以上、180℃以下である、請求項1に記載のバイオマスの成分分離方法。
  3. 工程(1)の加熱処理の時間が、0.1時間以上、50時間以下である、請求項2に記載のバイオマスの成分分離方法。
  4. 下記工程(4)を更に有する、請求項1〜3のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
    工程(4):工程(3)で得られたリグニン及びキシランの混合物より、リグニン及びキシランをそれぞれ分離する工程。
  5. 工程(1)及び工程(2)のアルカリが、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物である、請求項1〜4のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
  6. 工程(1)及び工程(2)のアルカリが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかに記載のバイオマスの成分分離方法。
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