JP2014103949A - リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法 - Google Patents

リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014103949A
JP2014103949A JP2012261464A JP2012261464A JP2014103949A JP 2014103949 A JP2014103949 A JP 2014103949A JP 2012261464 A JP2012261464 A JP 2012261464A JP 2012261464 A JP2012261464 A JP 2012261464A JP 2014103949 A JP2014103949 A JP 2014103949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
reaction
enzyme
saccharification
sugar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012261464A
Other languages
English (en)
Inventor
Takafumi Kubo
貴文 久保
Yoshinori Miyata
佳典 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2012261464A priority Critical patent/JP2014103949A/ja
Publication of JP2014103949A publication Critical patent/JP2014103949A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】リグノセルロース系バイオマス原料を酵素糖化して単糖類等を製造する方法において、酵素コストの低減と生産性(反応器単位容積当たりの糖生産速度)の向上を同時に実現可能な糖の製造方法を提供する。
【解決手段】リグノセルロース系バイオマス原料を酵素で糖化して糖を製造する方法であって、以下の工程(A)、(B)および(C)を含み、工程(B)を複数回繰り返すことを特徴とする糖の製造方法。
(A)リグノセルロース系バイオマス原料、酵素および水を含む反応混合物を調製し、糖化反応を開始する工程
(B)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともリグノセルロース系バイオマス原料および水を追加して糖化反応を再開する工程
(C)糖化反応を進行させて反応混合物から糖化液を回収し、糖化反応を終了する工程
【選択図】なし

Description

本発明は、リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法に関するものであり、より詳細には、リグノセルロース系バイオマスを酵素で糖化して糖を製造する方法に関するものである。
リグノセルロース系バイオマスを糖化し、発酵原料となる単糖類を得る技術は、食料と競合しない非可食性のバイオマスの資源・エネルギー利用という観点から、極めて重要な技術である。リグノセルロース系バイオマスを糖化する方法は、硫酸等の酸を用いて加水分解する酸糖化法と、酵素を用いて加水分解する酵素糖化法に大別される。酸糖化法は反応速度が高いという利点があるが、耐酸性の反応器を必要とし、使用後の酸を中和・回収する工程が必要となる点で課題を有する。一方、酵素糖化法は、比較的マイルドな反応条件で分解反応が進行するので、酸糖化法と比較してユーティリティコストが低い、あるいは反応時における安全性が高いという利点を有する。しかしながら、酵素は高価であり、酵素コストが実用上の大きな課題となっている。
酵素コストを低減する方策として、種々の酵素リサイクルが試みられている。その一つに、糖化酵素が未分解の糖質およびリグニンに吸着することを利用して、糖化反応残渣に吸着した糖化酵素をリサイクル利用する方法がある。例えば、特許文献1には、不溶性セルロースを酵素を用いて糖化するに当たり、分解糖化処理完了後の反応混合物から糖含有液を分離、除去したのち、残存する不溶部分に原料を加え、新たに酵素を補給することなく分解糖化を行わせることが記載されている。特許文献2には、前処理が施されたリグノセルロース原料にセルロース加水分解酵素を添加して酵素糖化を行い、加水分解されず、かつ添加した酵素が付着しているリグノセルロース残渣を次回分の酵素糖化に再利用することが記載されている。特許文献3には、リグノセルロース原料及び糖化酵素から得られた糖化液中の糖化酵素をリグノセルロース原料に吸着させて回収し、回収された前記糖化酵素を用いて、リグノセルロース原料を糖化することが記載されている。このように、糖化反応残渣に吸着した糖化酵素をリサイクル利用する方法が種々提案されているが、さらなる酵素コスト低減のために、より効率よく吸着酵素をリサイクル利用する方法の開発が望まれている。
また、酵素糖化は反応時間が長い(反応速度が遅い)ので、生産性(反応器単位容積当たりの糖生産速度)が低いという実用上の課題がある。酵素糖化により高い分解率(糖収率)を得るためには、通常2〜5日程度の糖化時間を要する。そのため、高い糖収量を確保するためには巨大な反応器が必要となり、設備費が莫大となる。そこで、生産性を向上させることができれば、設備のコンパクト化が可能となり、設備費を低減することができる。使用する酵素量を増加すれば生産性が向上することは言うまでもないが、酵素コスト低減の課題解決に反するので採用できない。それゆえ、酵素コストを低減させつつ、生産性を向上させる技術の開発が強く望まれている。
また、酵素糖化特有の課題として、生成物阻害があげられる。これは、グルコース等の生成糖により酵素が阻害を受けるというもので、糖化反応が進行し糖濃度が高くなるほど阻害が大きくなり、反応速度が低下する。糖の生産性を向上させるには、この生成物阻害を低減させることも重要である。
特開昭59−213396号公報 特開2010−98951号公報 国際公開第2011−065449号
本発明は、リグノセルロース系バイオマス原料を酵素糖化して単糖類等を製造する方法において、酵素コストの低減と生産性(反応器単位容積当たりの糖生産速度)の向上を同時に実現可能な糖の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を包含する。
[1]リグノセルロース系バイオマス原料を酵素で糖化して糖を製造する方法であって、以下の工程(A)、(B)および(C)を含み、工程(B)を複数回繰り返すことを特徴とする糖の製造方法。
(A)リグノセルロース系バイオマス原料、酵素および水を含む反応混合物を調製し、糖化反応を開始する工程
(B)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともリグノセルロース系バイオマス原料および水を追加して糖化反応を再開する工程
(C)糖化反応を進行させて反応混合物から糖化液を回収し、糖化反応を終了する工程
[2]工程(B)において、下記式(1)で算出されるリグノセルロース系バイオマス原料の区間原料分解率が20〜60質量%の時点で、反応混合物から糖化液の一部を回収することを特徴とする前記[1]に記載の製造方法。
式(1):
区間原料分解率(質量%)=区間糖生成量(g)/1.1/区間開始時点の原料量(g)
(ただし区間は、前工程における反応開始または反応再開を開始時点とし、次に行う糖化液回収を終了時点とする一反応区間を意味する。)
[3]複数回繰り返す工程(B)の少なくとも1回を、以下の工程(B’)に置換することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の製造方法。
(B’)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくとも酵素および水、または少なくとも水を追加して糖化反応を再開する工程
[4]工程(B)において、前工程における反応開始または反応再開から6〜30時間後に反応混合物から糖化液の一部を回収することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]酵素活性を高めるための前処理を行い、かつ、含水状態であるリグノセルロース系バイオマス原料を用いることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかのいずれかに記載の製造方法。
[6]工程(C)に続いて、以下の工程(D)を行うことを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
(D)糖化液回収後の残渣に含まれる酵素および糖を回収する工程
本発明によれば、リグノセルロース系バイオマス原料を酵素糖化して単糖類等を製造する方法において、酵素コストを低減でき、同時に生産性を向上させることができる。生産性の向上は、設備のコンパクト化および施設コストの低減に寄与するので、本発明により、従来の酵素糖化法と比較して、大幅なコストの低下を図ることができる。
本発明は、リグノセルロース系バイオマス原料を酵素で糖化して糖を製造する方法、すなわちリグノセルロース系バイオマス原料の酵素糖化による糖の製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、以下の工程(A)、(B)および(C)を含み、工程(B)を複数回繰り返すことを特徴としている。
(A)リグノセルロース系バイオマス原料、酵素および水を含む反応混合物を調製し、糖化反応を開始する工程
(B)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともリグノセルロース系バイオマス原料および水を追加して糖化反応を再開する工程
(C)糖化反応を進行させて反応混合物から糖化液を回収し、糖化反応を終了する工程
本発明の製造方法は、上記工程(A)、(B)および(C)以外の工程を含んでいてもよく、その内容は特に限定されない。
工程(A)はリグノセルロース系バイオマス原料、酵素および水を含む反応混合物を調製し、糖化反応を開始する工程である。
本発明の製造方法に用いるリグノセルロース系バイオマス原料は、リグノセルロース系バイオマスを含むものであれば特に限定されない。リグノセルロース系バイオマス(以下単に「バイオマス」と記す)は、主としてセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成されており、木本植物、草本植物、それらの加工品、それらの廃棄物等が該当する。具体的には、例えば、木材、間伐材、製材残材、建築廃材、樹皮、果房、果実殻、茎葉、わら、バガス、古紙等が挙げられる。好ましくは、アブラヤシ、ナツメヤシ、サゴヤシ、ココヤシ等のヤシ類(幹、茎葉、空果房、果実繊維)、サトウキビ(バガス、葉)、トウモロコシ(穂軸、茎葉)、ユーカリ、ポプラ、スギ等の木材(樹皮、木部)、稲わら、麦わら、スウィッチグラス、ネピアグラス、エリアンサスまたはススキである。より好ましくはヤシ類の空果房、サトウキビバガス、トウモロコシ穂軸、稲わら、麦わら、ユーカリまたはスギであり、さらに好ましくはアブラヤシの空果房である。
バイオマス原料の大きさ、形状等は特に限定されないが、裁断、粉砕等により粉体状、チップ状、細片状にしたものや、解繊により繊維状にしたものが好ましい。バイオマス原料の大きさは、最長辺の長さとして、好ましくは平均約0.1cm〜30cmであり、さらに好ましくは約1cm〜10cmである。大きさをこの範囲とすることで、高い酵素糖化性、固液分離性、移送性等を得ることができる。またバイオマス原料としては、含水状態のものを用いることが好ましい。通常、含水状態の原料を(半)連続的に糖化する場合には、含まれる水による糖液の希釈や重量増が問題になるが、本発明では特に問題にならない。したがって、含水状態のバイオマス原料を用いることは、本発明の好適な実施形態である。バイオマス原料の含水率としては、約30%〜90%であることが好ましく、約40〜80%がより好ましい。
バイオマス原料は、酵素糖化効率を高めるための前処理を行ったものを用いることが好ましい。前処理の方法は特に限定されず、例えば、アルカリ処理、酸処理、水熱処理、爆砕処理、有機溶媒処理、イオン性液体処理、マイクロ波処理、白色腐朽菌などのリグニン分解菌による処理、粉砕処理などの公知の前処理方法を適宜選択して用いることができる。前処理を行うことにより、セルロースおよびヘミセルロースへの酵素の接触が容易となり、酵素反応の効率が向上し、生産性が向上する。好ましくは水存在下でのアルカリ処理、酸処理および水熱処理であり、さらに好ましくはアルカリ処理である。本発明はアルカリ前処理との組み合わせで特に大きな効果が得られる。これは、アルカリ前処理によってリグニンが効率的に除去されるため、酵素の非特異的吸着や未分解残渣量が低減するためである。水存在下での前処理により、含水状態の前処理バイオマス原料が得られるが、この含水状態の前処理バイオマスを次の糖化工程に供することがより好ましい。これにより高い生産性と酵素糖化性を得ることができる。この場合の前処理バイオマス原料の含水率としては、約30%〜90%であることが好ましく、約40〜80%がより好ましい。この含水率範囲の前処理バイオマス原料を用いることで、酵素の浸透性が向上し高い反応速度を得ることができる。また脱水(乾燥)工程を行わずそのまま糖化工程に供することもできるため、低エネルギーかつシンプルなプロセスとすることが可能である。
アルカリ前処理方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、以下に示すアルカリ前処理方法が好ましく用いられる。
まずアルカリ水溶液を調製する。アルカリ水溶液に用いるアルカリ化合物としては、ナトリウム、カルシウム、カリウムおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物、酸化物、硫化物、炭酸塩または炭酸水素塩を好適に使用することができる。また、アンモニアを使用することもできる。好ましくは水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムまたは炭酸カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムまたは水酸化カリウムである。アルカリ化合物は1種を用いてもよく、複数種の混合物を用いてもよい。これらのアルカリ化合物を水に溶解し、アルカリ水溶液を調製する。アルカリ水溶液のアルカリ化合物濃度は、約0.1〜20%が好ましく、約0.5〜10%がより好ましく、約1〜5%がさらに好ましい。アルカリ水溶液のpHは、pH約11〜15が好ましく、pH約12〜14.5がより好ましく、pH約12.5〜14がさらに好ましい。
続いて、アルカリ水溶液をバイオマス原料と接触させ、アルカリをバイオマスに含浸させる。アルカリ水溶液の使用量は、バイオマス原料重量(水分を含まない固形分重量)に対して、約1〜30倍量が好ましく、約1〜20倍量がより好ましく、約1〜10倍量がさらに好ましい。含浸工程は常圧で行ってもよく、減圧条件または加圧条件で行ってもよい。含浸時間は、好ましくは約0.1〜10時間、より好ましくは約0.1〜3時間、さらに好ましくは約0.1〜1時間である。アルカリ含浸の後、固液分離等の方法で余剰の(含浸されない)アルカリ水溶液を除去することが好ましい。これによりアルカリの作用効率を高め、アルカリ使用量の低減や糖収率の向上を図ることができる。固液分離には、ろ過、遠心分離、遠心ろ過、サイクロン、フィルタープレス、スクリュープレス、デカンター等を使用することができる。
続いて、アルカリ含浸バイオマスに対して熱処理を行う。熱処理の温度は、約80〜250℃が好ましく、約100〜200℃がより好ましく、約140〜200℃がさらに好ましく、約160〜200℃が特に好ましい。熱処理時の圧力は、ゲージ圧で約0〜5MPaが好ましく、約0.1〜3MPaがより好ましく、約0.3〜2MPaがさらに好ましい。熱処理は酸素存在下で行ってもよい。酸素存在下で行うことで、リグニン分解を促進して糖収率を向上させることができる。
熱処理後のバイオマスはそのまま反応混合物の調製に供してもよいが、洗浄によりアルカリ前処理で生成した分解物やアルカリを除去してから反応混合物の調製に供することが好ましい。洗浄溶媒としては、水が好ましい。アルコール、ケトン等の有機溶媒、あるいはpH調整のための酸類を添加した水を洗浄溶媒として使用してもよい。洗浄溶媒の使用量は、アルカリ含浸バイオマスの重量に対して、0.1〜100倍量であることが好ましく、0.5〜10倍量であることがより好ましく、1〜5倍量であることがさらに好ましい。洗浄溶媒を熱処理後のバイオマスに添加して洗浄した後、再度固液分離を行って、バイオマス原料(前処理バイオマス原料)と洗浄液(前処理液)とに分離する。洗浄操作は1回でもよく、複数回行ってもよい。
本発明の製造方法に用いる酵素は、セルロースを単糖(グルコース)に加水分解できる酵素、またはヘミセルロースを単糖(キシロース、マンノース、アラビノース等)に加水分解できる酵素を含むものであればよい。このような酵素は、一般にセルラーゼ、ヘミセルラーゼと称され、複数の酵素で構成される。本発明に用いる酵素は、セルラーゼまたはヘミセルラーゼを含むものであればよいが、糖化効率を向上させるために、両者の混合物を用いることが好ましい。セルラーゼとしては、セロビオヒドロラーゼ、β−グルカナーゼおよびβ−グルコシダーゼを含むものであることが好ましい。ヘミセルラーゼとしては、キシラナーゼおよびβ−キシロシダーゼを含むものであることが好ましい。他のヘミセルラーゼとしては、アセチルキシランエステラーゼ、α−アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、キシログルカナーゼ、ペクトリアーゼ、ペクチナーゼなどが挙げられる。また、植物細胞壁分解に関わる他の酵素、例えば、フェルラ酸エステラーゼ、クマル酸エステラーゼ、プロテアーゼなどを含んでいてもよい。これらの酵素を含有しているか否かは、各酵素の基質を用いて酵素活性を調べることにより、確認することができる。
酵素の由来は特に限定されないが、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属の微生物などに由来する酵素が挙げられ、好ましくはトリコデルマ属、アクレモニウム属、アスペルギルス属由来の酵素であり、さらに好ましくはトリコデルマ属由来の酵素である。
これらの酵素は市販されており、本発明の製造方法に好適に用いることができる。市販の酵素製剤(商品名)としては、ノボザイムズ社製のセリックシリーズ(シーテック、エイチテック等)、ノボザイム188、セルクラスト、パルプザイム、ジェネンコア社製のアクセルラーゼシリーズ(TRIO、DUET等)、マルチフェクトシリーズ、明治製菓社製のメイセラーゼ、ヤクルト社製のオノズカ、アマノエンザイム社製のセルラーゼ(A、T)などが挙げられる。好ましくはセリックシリーズおよびアクセルラーゼシリーズである。これらの酵素製剤はセロビオヒドロラーゼ、β−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼ、β−キシロシダーゼを含んでおり、原料バイオマスの組成や含有酵素活性を考慮して、単独、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。セルラーゼ活性の高い酵素製剤とヘミセルラーゼ活性の高い酵素製剤を組み合わせて用いることが好ましく、例えば、セリックシーテックシリーズ(セルラーゼが主成分)とセリックエイチテックシリーズ(ヘミセルラーゼが主成分)を組み合わせて混合して用いることが好ましい。
反応混合物の調製方法は特に限定されず、例えば、反応器内にバイオマス原料、酵素および水を添加し、混合して反応混合物を調製することができる。また、反応器外で調製した反応混合物を反応器内に移してもよい。
バイオマス原料の使用量は特に限定されないが、反応開始時には、下記式で算出される原料充填率が約60〜100%になる量を用いることが好ましい。
原料充填率(体積%)=原料見掛体積(ml)/反応器容積(ml)
より好ましくは約70〜100%、さらに好ましくは約80〜100%、特に好ましくは約90〜100%である。ここで、原料見掛体積とは、反応混合物を静置した時に、バイオマス原料が反応器中で占める体積を意味し、空隙を考慮しない見掛けの体積のことである。高い原料充填率で糖化反応を開始することにより、原料濃度を高め、反応器を有効利用して生産性を向上させることができる。
酵素の使用量は、必要な反応速度と原料への酵素吸着の程度を考慮して、工程(A)および工程(B)で使用する酵素量を設定することが好ましい。本発明では、原料に酵素を吸着させて継続的にリサイクル利用するが、吸着しにくいごく一部の酵素は工程(B)において酵素ロスとなる。この酵素ロスを勘案し、糖生産速度と酵素使用量が最適化されるように、全体の酵素使用量の配分を設定することが好ましい。
工程(A)においては、酵素の使用量は特に限定されないが、好ましくはバイオマス原料に対して、酵素活性成分の重量として約0.01〜10質量%、より好ましくは約0.05〜3質量%である。水の添加量は特に限定されないが、好ましくはバイオマス原料(乾燥重量)に対して約1〜20倍、さらに好ましくは約2〜10倍量である。
反応混合物には、酵素反応の妨げとならない限りバイオマス原料、酵素および水以外の成分を添加してもよい。例えば、テトラサイクリン、シクロヘキシミド、アジ化ナトリウムなどの薬剤を雑菌等による糖消費の抑制の目的で添加してもよい。また、pHコントロールのために、酢酸、クエン酸、コハク酸、リン酸などのバッファー成分を添加してもよい。pH調整には酸、アルカリを適宜選択して用いることができる。アルカリ前処理を行ったバイオマス原料を用いる場合には、バイオマス原料がアルカリ性になっているため、酸を使用して糖化に適したpHに調整する。この場合、使用する酸は特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、二酸化炭素などを用いることができる。好ましくは硫酸、塩酸、酢酸、二酸化炭素である。反応混合物のpHは、用いる酵素の至適pHに従って設定すればよいが、通常pH約3〜7、好ましくはpH約4.5〜6である。
また、酵素のバイオマス原料への非特異的吸着を低減させ、生産性(糖生産速度)の向上を図るために、反応混合物に添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、親水性ポリマー、タンパク質、界面活性剤、リグニン分解物などが挙げられ、好ましくは真菌や細菌などの微生物を培養して得られるタンパク質(菌体由来、および菌体外分泌タンパク質)、非イオン性の親水性ポリマー(PEG等)、非イオン性の界面活性剤(PEG鎖を有するもの等)、アルカリ前処理で得られるリグニン分解物である。
本発明において、糖化反応の開始は、反応混合物の全量が反応器に仕込まれ、所定の温度に達した時点と定義される。反応条件は、酵素による加水分解が進行する条件であれば特に限定されない。反応温度は通常約20〜80℃、好ましくは約30〜60℃である。
工程(B)は、糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともバイオマス原料および水を追加して糖化反応を再開する工程であり、複数回繰り返される。工程(B)を複数回繰り返すことにより、バイオマス原料に吸着した酵素を効率よくリサイクル使用して酵素コストを低減するともに、バイオマス原料を逐次追加して高い原料濃度を維持し、反応器を効率よく使用することで生産性を向上させることが可能となる。バイオマス原料に吸着した酵素は、新たに追加された未分解のバイオマス原料へと系中で移行するため、追加酵素が無い、もしくは少量の場合でも、酵素をリサイクルしながら継続的に糖化反応を行うことが可能である。
工程(B)において重要なのは、糖化液の回収と、バイオマス原料等の追加の順序である。本発明においては、糖化液を一部回収した後に、バイオマス原料等の追加を行うことを特徴とし、この逆は含まない。また、本発明は糖化液の回収とバイオマス原料等の追加を段階的に行う反応方法(逐次糖化法)であり、糖化液の回収とバイオマス原料との追加を同時に行う方法(連続糖化法)は含まない。
本発明は、バイオマス原料への酵素の吸着現象を利用した方法であるが、吸着現象を利用した逐次的な反応方法には、以下の2つの方法が一般に知られている。
(i)先にバイオマス原料等を追加した後に、糖化液を回収する方法
(ii)先に糖化液を回収した後、バイオマス原料等を追加する方法
方法(i)では、酵素回収率を高められるというメリットがある一方、通常得られる含水状態の前処理原料を使用する場合には、糖化液が大きく希釈されてしまうこと、また原料追加のための反応器容積が余分に必要であるというデメリットを有していた。一方、方法(ii)では、原料に吸着しない酵素(遊離酵素)は、回収した糖化液とともに失われるため、複数回のリサイクル反応や、ヘミセルロース等を含む実際のバイオマス原料に対しては、実用的でないという課題があった。
本発明者らは、方法(ii)においても、特定の領域で糖化液の回収を行うことで、上記課題が解決されることを見出した。すなわち、糖化反応進行中に糖化液の一部を回収する方法である。糖化反応が進行している領域では、未分解の原料が十分に残存しているため酵素吸着率が十分に高く、糖化液を回収しても酵素ロスは僅かであり、複数回のリサイクル反応や、実際のバイオマス原料に対しても有効であることを確認している。また本発明の方法によると、含水状態の原料でも糖化液の希釈を起こさず使用可能であり、かつ、糖化液を先に回収することで追加原料の容積が確保されるため、余分な反応器容積を必要とせず、反応容器をコンパクト化して生産効率を高められることも見出した。さらには、特定の領域で糖化液の回収とバイオマス原料等の追加を逐次的に繰り返すことで、生成糖の系外への除去と蓄積(糖濃度の低下と上昇)を効率良く行うことができ、糖による酵素の生成物阻害を低減できるというメリットも得られる。一方、連続糖化法では、高い糖濃度が維持されるため、生成物阻害の影響が更に顕著になり好ましくない。
糖化反応進行中とは、反応混合物中の単糖の生成量が実質的に増加している状態を意味し、またバイオマス原料が十分に存在している状態を意味する。糖化反応を反応初期、中期、終期の3つに分ける場合、反応中期であることが好ましい。反応中期には、酵素が原料に十分吸着しており、糖化液の一部回収を行っても酵素ロスは僅かであり、また生成糖量および糖濃度も比較的高いため、生成物阻害の低減効果も大きい。反応終期には、原料減少により酵素が遊離し始めるため、酵素ロスが大きくなる。反応初期には、生成糖量および糖濃度が低いため、生成物阻害の低減効果が小さい。
反応混合物から糖化液を回収する方法は特に限定されない。例えば、ろ過、遠心分離、遠心ろ過、サイクロン、フィルタープレス、スクリュープレス、デカンター等の固液分離法を用いることができる。固液分離により一部の糖化液と未分解のバイオマス原料を分離し、糖化液を回収する。固液分離された未分解のバイオマス原料は、反応器外へ排出してもよいが、反応器内へ留めて蓄積させることが好ましい。未分解のバイオマス原料を反応器内へ留めて蓄積させることで、原料に吸着した酵素を継続的にリサイクル使用できる。具体的には、好ましくは、ストレーナー、メッシュ等を用いたろ過であり、より好ましくは、ストレーナーやメッシュを付属した反応器を用い、未分解のバイオマス原料は反応器中に留めつつ、固液分離を行いながら糖化液を回収する方法である。糖化液は反応混合物中に含まれる液体を意味し、糖化液の一部とは、反応混合物中に含まれる液体の全部でないことを意味する。回収する糖化液の量の多少は限定されないが、反応混合物中に含まれる全液体量(質量)の約10〜90%が好ましく、約20〜80%がより好ましく、約30〜80%がさらに好ましい。
糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともバイオマス原料および水を追加する。反応容器内にバイオマス原料および水を添加して混合すればよいが、反応器外でバイオマス原料および水を混合した後に反応器内に移してもよい。工程(A)における反応混合物の調製と同様に、バイオマス原料および水以外の成分を添加してもよい。酵素は追加してもしなくてもよいが、酵素を追加することが好ましい。バイオマス原料の追加量は特に限定されないが、追加後のバイオマス原料の原料充填率(工程(A)の説明を参照)が約60〜100%になるように、バイオマス原料を追加することが好ましい。より好ましくは約70〜100%、さらに好ましくは約80〜100%、特に好ましくは約90〜100%である。
水の追加量については、バイオマス原料およびそれ以外の成分の追加量に応じて、工程(A)における反応混合物の総質量と同等となるように追加するか、あるいは、反応器の空隙部を充填するのに必要な量を追加することが好ましい。
酵素を追加する場合は、工程(A)で述べたように、原料への酵素吸着の程度(酵素ロス)を勘案し、糖生産速度と酵素使用量が最適化されるように、全体の酵素使用量の配分を設定することが好ましい。具体的には、追加酵素量が工程(A)における酵素使用量の約50質量%以下であることが好ましく、約30質量%以下であることがより好ましく、約20質量%以下であることがさらに好ましい。
追加する酵素は、工程(A)の反応混合物調製時に用いたものと同じ酵素でもよく、異なる酵素でもよい。異なる酵素を用いる場合には、追加する酵素は反応混合物調製時に用いる酵素よりヘミセルラーゼ活性が高いことが好ましい。例えば、反応混合物調製時にセリックシーテック(商品名)シリーズを用いた場合、追加時にはよりヘミセルラーゼ活性が高い酵素として、セリックエイチテック(商品名)シリーズまたは両者の混合物を用いることが好ましい。
本発明において、糖化反応の再開は、追加する成分のすべてが反応器に仕込まれ、所定の温度に達した時点と定義される。
工程(B)の繰り返し回数は、2回以上であれば特に限定されないが、2回〜10回が好ましく、2回〜5回がより好ましい。工程(B)の繰り返し回数は、未分解原料(残渣)の蓄積量を勘案しながら適宜設定することができる。
また、複数回繰り返す工程(B)の中に、原料バイオマスを追加しない工程を設けてもよい。すなわち、複数回繰り返す工程(B)の少なくとも1回を、以下の工程(B’)に置き換えてもよい。
(B’)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくとも酵素および水、または少なくとも水を追加して糖化反応を再開する工程
(B’)における酵素および水の追加量は、工程(B)で述べたものと同様である。酵素および水、または水以外の成分を添加してもよい。工程(B’)ではバイオマス原料は追加しなくてもよいが、バイオマス原料を一緒に追加してもよい。この場合のバイオマス原料の追加量は、工程(B)で述べたものと同様の原料充填率としてもよいが、より低い原料充填率としてもよい。
複数回繰り返す工程(B)の少なくとも1回を工程(B’)と置き換えればよく、2回以上を置き換えてもよい。複数回繰り返す工程(B)のどの回を工程(B’)と置き換えてもよいが、工程(B)の最終回(工程(C)の前の回)を工程(B’)と置き換えることが好ましい。
工程(B)において、糖化液の一部回収は、前工程において開始または再開した糖化反応が進行中のいずれかの時期であれば特に限定されないが、下記式で算出されるバイオマス原料の区間原料分解率が約20〜60質量%の時点で行うことが好ましい。
区間原料分解率(質量%)=区間糖生成量(g)/1.1/区間開始時点の原料量(g)
(ただし区間は、前工程における反応開始または反応再開を開始時点とし、次に行う糖化液回収を終了時点とする一反応区間を意味する。)
上記式において、区間糖生成量を1.1で割るのは加水分解で増加する水の重量を考慮するためである。区間糖生成量は、反応混合物から糖化液をサンプリングし、公知の糖定量法(例えば、HPLC等)を用いて糖の生成量を測定することにより求めることができる。なおここで、糖生成量、および原料量は、絶乾基準の重量である。
より好ましくは区間原料分解率が約20〜55質量%の時点、さらに好ましくは区間原料分解率が約20〜50質量%の時点で糖化液の回収を行う。また、1回目の糖化液回収時の区間原料分解率より、2回目以後の糖化液回収時の区間原料分解率が低いことが好ましい。したがって、1回目の糖化液回収は、区間原料分解率が約30〜60質量%の時点で行うことが好ましく、2回目以後の糖化液回収は、区間原料分解率が約20〜50質量%の時点で行うことが好ましい。工程(B’)における糖化液の一部回収時期についても、上記と同様である。
また、工程(B)において、糖化液の一部回収は、前工程における反応開始または反応再開から約6〜30時間後に行うことが好ましい。より好ましくは約6〜24時間後、さらに好ましくは約6〜20時間後に糖化液の回収を行う。工程(B’)についても同様である。
また、工程(A)および工程(B)において、バイオマス原料の原料充填率が約60〜100%の状態で反応を開始または再開し、反応を進行させて原料充填率を減少させ、次の工程(B)において、該原料充填率が約40〜80%になった時点で、反応混合物から糖化液の一部を回収することが好ましい。好ましい開始時または再開時の原料充填率については、上述のとおりである。糖化液回収時の原料充填率は、より好ましくは約40〜75%であり、さらに好ましくは約40〜70%である。また、該原料充填率の減少量(反応の開始または再開から次の工程の糖化液回収までの原料充填率の減少量)としては、20〜60%であることが好ましく、25〜60%であることがより好ましく、25〜55%であることがさらに好ましい。工程(B’)の場合も、工程(B)と同様である。
工程(C)は、糖化反応を進行させて反応混合物から糖化液を回収し、糖化反応を終了する工程である。工程(B)または(B’)から工程(C)への移行は、糖化反応速度と、未分解原料(残渣)の蓄積量を勘案して行うことが好ましい。すなわち、反応が進行してバイオマス原料濃度が低下し、かつ、工程(B)または(B’)の繰り返しにより未分解残渣が蓄積してくると、糖化反応速度が低下し、糖の生産性が低下する。また、未分解残渣が蓄積すると、物理的に原料追加が不可能になるため、この時点で工程(C)を行うことが好ましい。この観点からすると、残渣量が少ないバイオマス原料を用いることが好ましく、そのような原料を用いることで、工程(B)の繰り返し反応を長期間行うことができる。具体的には、アルカリ前処理を行ったバイオマス原料を用いることが好ましく、さらには上述のアルカリ前処理方法(アルカリ液を含浸後、固液分離にて余剰のアルカリ液を除去して加熱処理を行う)を行った原料を用いることが好ましい。この前処理方法によると、リグニンが極めて効率的に除去されるため、残渣量も少なく本発明に好適に用いることができる。
工程(C)において、糖化反応終了時点での原料充填率は、約20〜80%が好ましく、約25〜75%がより好ましく、約30〜70%がさらに好ましい。糖化液の回収の方法としては、上述の公知の固液分離法を好適に用いることができる。本工程においては、十分に固液分離して、糖化液を回収することが好ましい。
本発明において、糖化反応の終了は、工程(C)において糖化液の回収を終了した時点と定義される。
本発明の製造方法により製造される糖としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖が挙げられ、具体的には、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、セロビオース、キシロビオース、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖等が挙げられる。二糖およびオリゴ糖は、酵素等を用いて単糖化してから使用してもよい。
得られた単糖類の用途は特に限定されないが、発酵原料、化学品原料、飼料、肥料等に好適に用いることができる。発酵原料として用いる場合には、エタノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−プロパノール、乳酸、コハク酸、酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、ピルビン酸、クエン酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、各種アミノ酸、イソプレン、1,3−プロパンジオール等の化学品の発酵生産に好適に用いることができる。
本発明の製造方法において、上記工程(C)に続いて、糖化液回収後の残渣に含まれる酵素および糖を回収する工程(D)を行うことが好ましい。具体的には、例えば、残渣を水または他の溶液(例えば、バッファー、アルカリ水溶液等)で洗浄することにより、残渣に含まれる糖化液中の糖および遊離酵素を回収することができる。洗浄後の洗浄液を回収し、それまでに得られた糖化液と合わせるか、もしくは、洗浄液を別の逐次反応の仕込み(工程(A))に利用することで、生成した糖類を無駄なく回収・利用することができる。また別の工程(A)に利用する場合には、酵素リサイクルを同時に行えるため、酵素コストをさらに低減することが可能である。
さらに、残渣に吸着した酵素を回収する場合には、例えば、公知の酵素回収方法(例えば、特開2012−223113参照)を用いて酵素を回収することができる。回収した酵素をリサイクル利用することにより、酵素コストの低減を図ることができる。残渣から回収した吸着酵素は、別の工程(A)での仕込みに再利用することが好ましい。
工程(D)において、残渣からの遊離酵素および糖の回収、もしくは吸着酵素の回収を行う場合、使用するバイオマス原料はアルカリ前処理を行った原料であることが好ましく、さらには上述のアルカリ前処理(アルカリ液を含浸後、固液分離にて余剰のアルカリ液を除去して加熱処理を行う方法)を行った原料であることが好ましい。この前処理方法によると、リグニンが極めて効率的に除去されるため、残渣からの酵素回収も容易であり、本発明に好適に用いることができる。
また、工程(B)および工程(B’)にて回収した糖化液には、微量ながら糖化酵素が含まれる。本発明では、酵素をバイオマス原料に高吸着させてリサイクルするため、基本的には糖化液中に流出する酵素は僅かである。糖化液中の酵素を膜分離(限外ろ過)等の方法で分離回収してもよいが、コスト高となるため、膜分離は行わないほうが好ましい。本発明は膜分離回収を必要としないことも特徴である。
ただし、工程(C)で回収される糖化液は、比較的高い酵素量を含んでいる場合がある。これは、工程(C)では反応進行度が高いため、残存バイオマス原料が少なく、遊離酵素が増えるためである。したがって、工程(C)で回収される糖化液中の酵素をリサイクルすることは、好ましい実施形態である。
本発明の製造方法に用いる糖化反応器は特に限定されず、例えば、攪拌装置を備えた反応器、外部循環型の反応器、ドラム回転式の反応器等を用いることができる。好ましくはストレーナー、メッシュ等の固液分離機能を有する外部循環型の反応器を使用することである。この場合、バイオマス原料は基本的に反応器内に留め、糖化液を固液分離しながら外部循環させて糖化反応を進行させる。
本発明の製造方法は、固液分離機能を有する反応器を使用し、工程(A)の糖化反応開始から工程(C)の糖化反応終了まで、反応器内からバイオマス原料または残渣を反応器外に取り出すことなく同一反応器内で糖化反応を行うことが好ましい。固液分離機能を有する反応器を使用することで、工程(B)または(C)における糖化液の回収が、反応器を利用して極めて容易に行うことができるため、プロセスのシンプル化および生産性向上に寄与する。さらに固体移送および固液分離の負荷低減(工程時間、設備費)にも寄与する。
工程(B)または(C)において糖化反応を進行させる際には、反応器を利用して固液分離をしながら、糖化液を外部循環させることで効率的に反応を進行させることができる。この反応方法は液のみの移送で済むため、固体スラリーを移送、あるいは攪拌する方法に比べて、より低エネルギーで行うことができ、さらにバイオマス原料濃度も高めることができるため、生産性向上にも寄与する。また残渣の微粉化を抑制することができるため、固液分離性が高いという利点もある。
工程(A)または(B)におけるバイオマス原料等の添加の際には、反応器の上部から行うことが好ましい。糖化液の回収は、反応器の上部、中部、底部のいずれから行ってもよい。
このように、固液分離機能を有する反応器を使用することで、工程(A)の糖化反応開始から工程(C)の糖化反応終了まで、反応器内からバイオマス原料または反応残渣を反応器外に取出すことなく同一反応器内で糖化反応を行うことが可能であり、そのような反応方法が本発明の好ましい実施形態である。また工程(D)における反応残渣からの酵素および糖の回収も同一の反応器を使用して行うことが可能であり、そのような方法が好ましい。工程(B’ )は工程(B)と同様である。
また、反応装置は、残渣を反応器外へ排出する機構を有していることが好ましい。具体的には、スクリュー、圧送、スラリーポンプ等による排出機構があげられる。具体的な反応装置としては、パルプ製造で使用されるバッチ式もしくは連続式の蒸解釜等が一例としてあげられる(単行本、紙パルプ製造技術シリーズ第1巻クラフトパルプ、78ページの図参照。紙パルプ技術協会、1996年発行)。
本発明の製造方法を用いてバイオマス原料から糖を製造する場合、下記式で算出される糖化反応開始から終了までの糖生成速度(糖生産性の指標であり、反応器単位体積当たりの糖生産速度を示す。)は、1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。
糖生成速度(g/L・hr)=積算糖生成量(g)/反応器容積(L)/反応時間(hr)
本発明の製造方法を用いてバイオマス原料から糖を製造する場合、下記式で算出される糖化反応開始から終了までの酵素原単位(酵素コストの指標であり、単位重量の糖を生成するのに必要な酵素量を示す。)は、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。ただし、下記式における積算酵素量は、酵素活性成分の乾燥重量基準である。
酵素原単位(g/g)=積算酵素量(g)/積算糖生成量(g)
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実験材料〕
(1)バイオマス原料
バイオマス原料として、パーム油の搾油工程で排出されるパーム空果房(産地インドネシア、以下「EFB」と記す)を使用した。EFBには以下の処理を行って原料として用いた。すなわち、EFBをシュレッダーで処理して繊維状EFBとした後、風乾した(含水率9%)。さらに繊維状EFBを連続式カッターミルで粗粉砕し、3mmスクリーンを通過したものを取得し、続いて0.25mm以下の微粉を篩で除去したものを取得した(粗粉砕EFB)。
(2)糖化酵素
ノボザイム社製の糖化酵素セリックシーテック2(商品名、以下「酵素A」と記す)およびセリックエイチテック2(商品名、以下「酵素B」と記す)を使用した。酵素Aはセルラーゼが主成分の糖化酵素液であり、ヘミセルラーゼも含有する。酵素Bはヘミセルラーゼが主成分の糖化酵素液であり、セルラーゼも含有する。
〔分析方法〕
糖化液中の生成糖量の定量分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を使用して行った。カラムはShodex(登録商標)Sugar KS−801(商品名、配位子交換クロマトグラフィ用カラム、粒径6μm、使用最大圧力5.0MPa、常用流量0.5〜1.0ml/分、昭和電工社製)を用い、示差屈折計(RI)にて検出を行った。移動相として純水を用い、カラム温度60℃にて分析を行った。
生成糖類としては、グルコース、キシロース、アラビノース、キシロビオースが検出され、これらを合計した値を糖生成量とした。
〔評価指標〕
(1)原料充填率
原料充填率(体積%)=原料見掛体積(ml)/反応器容積(ml)
バイオマス原料固体が反応器容積に占める見掛けの体積割合を示す。
(2)区間原料分解率
区間原料分解率(質量%)=区間糖生成量(g)/1.1/区間開始時点の原料量(g)
本発明の製造方法において、各反応区間におけるバイオマス原料の分解率を示す。1.1で割るのは加水分解で増加する水の重量を考慮するためである。
(3)積算糖収率
積算糖収率(質量%)=積算糖生成量(g)/積算原料量(g)
本発明の製造方法において、糖化反応開始からある区間までの糖生成量を積算して重量収率で表したものである(対積算原料量)。積算糖生成量は各区間の糖生成量の和であり、積算原料量は各区間で加えられたバイオマス原料(前処理品)の和である。
(4)積算糖生成速度
積算糖生成速度(g/L・hr)=積算糖生成量(g)/反応器容積(L)/反応時間(hr)
本発明の製造方法において、糖化反応開始からある区間までを積算した糖生産性を表す指標であり、反応器単位体積当たりの糖生産速度である。高いほど糖生産性が高いことを示す。積算糖生成量は各区間の糖生成量の和である。
(5)積算酵素原単位
積算酵素原単位(g/g)=積算酵素量(g)/積算糖生成量(g)
本発明の製造方法において、糖化反応開始からある区間までを積算した酵素使用効率を表す指標である。単位重量の糖を生成するのに必要な酵素量を示し、低いほど酵素の使用効率が高い(酵素コストが低い)ことを示す。
<実施例1>
(1)アルカリ前処理
1Lビーカー中に粗粉砕EFBを80.0g(絶乾重量)取り、アルカリ液として3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を800g加えた。ビーカーを室温にて減圧下に3分間置いて解圧する操作を3回繰り返し、アルカリ液をEFB内部に浸透させた。続いてろ過を行い、アルカリ液を含浸した固体EFB(アルカリ含浸EFB)260.9gと余剰のアルカリ液とに固液分離した。
アルカリ含浸EFBを500mlのジャケット加熱式高圧反応器に充填し、密閉した後、内温100〜115℃(ジャケットのオイル温度120℃)にて1時間加熱処理を行った。加熱後のEFBを取出し、800mlのイオン交換水を加えて攪拌混合(10分間)し、可溶化成分を溶出させ、さらにろ過により固体EFBと洗浄水とに固液分離する水洗操作を行った。この水洗操作を合計3回繰り返した。ただし3回目では、攪拌混合の際に10%酢酸水溶液を用いて系のpHを5.0に調整する操作を行った。最終3回目の固液分離後に、含水状態の固体EFBを202.9g取得した(前処理品A)。一部を乾燥して調べたところ、前処理品Aの固形分濃度は26.1%(含水率は73.9%)であった。前処理品Aは冷蔵庫内で保存し、反応の際は一部を取り出して使用した。
(2)反応混合物の調製および逐次糖化
〔反応器〕
糖化に用いる反応器(固液分離機能を有する)を以下のように作製した。プラスチック製シリンジ(テルモ社製、容量10ml、底部ルアーコック型、容量目盛有り)のプランジャーを取り外した筒部を用い、筒の底部に固液分離用の円形金網(17mmφ、100メッシュ)を固定し、出口(ルアーコック側)をストッパーで封じた。
〔反応混合物の調製〕
EFB前処理品A5.07g(絶乾重量1.32g)、0.2M酢酸緩衝液(pH5.0)2.5ml、0.1%シクロヘキシミド0.5ml、1%テトラサイクリン塩酸塩0.05ml、酵素A125mg、最後に水を添加し総重量を10.0gに調整した。なお酵素液は高粘度のため水で5倍希釈してから所定量加えた。
〔逐次糖化・区間1(反応開始〜反応24時間→糖化液回収1)〕
上記反応混合物を仕込んだ反応器をシリコンゴム栓で密閉し、さらにテフロン(登録商標)テープでシールをした。45℃に保温したインキュベーター(タイテック社、バイオシェーカーBR−40LF型)中、チューブローテーター(井内製作所、TR−350型)に反応器をセットし、20rpmで回転させながら糖化反応を開始した。なお反応開始時点での原料EFBの見掛け体積をシリンジ目盛りより読取ったところ9.0mlであり、充填率は90%であった。
45℃で24時間反応した時点で冷却して反応を一時停止し、ルアーコック側出口より糖化液を回収した。回収した糖化液量は6.5gであり、反応器中の反応混合物量は3.5gであった。なお糖化液回収の際は、上部より固形分を圧搾し、底部金網で固液分離しながら出口より糖化液を回収した。糖化液回収後のEFB見掛体積は4.5mlであり、充填率は45%に低下した。
回収した糖化液をHPLCにて分析したところ、グルコース、キシロース、アラビノースおよびキシロビオースが検出された。それらを合計した糖濃度は7.3%であり、糖生成量(区間糖生成量)は0.73gであった。なお糖生成量は回収した糖化液中の糖量に、残渣中に含まれる糖量(=ウェットの残渣重量と糖化液の糖濃度から算出)を合計した値であり、糖化反応によって生成した糖の総量を示している。また糖生成量より、未分解の残存原料量は0.66gと見積もられた(残存原料量=仕込みの原料量−糖生成量/1.1、1.1で割るのは加水分解で増加する水の重量を考慮するため)。したがって、区間1における区間原料分解率は50%(対仕込み、絶乾基準)となった。
〔逐次糖化・区間2(原料等追加1→反応24〜48時間→糖化液回収2)〕
続いて原料等の追加操作を行った。EFB前処理品A2.54g(絶乾重量0.66g)、酵素A16mg、0.2M酢酸緩衝液1.5mlを追加し、最後に水で総重量を10.0gに再調整して反応器を密閉した。合計のEFB原料量(残存原料量+追加原料量)は1.32g、原料見掛体積は9.0mlとなり、原料充填率は90%に上昇した。
45℃での糖化反応を再開し、更に24時間(合計48時間)反応した時点で区間1と同様に糖化液を回収し、糖化液を6.1g取得した。原料見掛体積は4.9mlであり、原料充填率は49%であった。回収した糖化液の糖濃度は6.8%であり、区間2における正味の糖生成量(区間糖生成量)は0.43gであった(区間1からの持込み糖量を差し引いた値)。未分解の残存原料量は0.93gと見積もられ、区間2における区間原料分解率は30%となった(区間2開始時点の原料量に対する分解率)。
〔逐次糖化・区間3(原料等追加2→反応48〜72時間→糖化液回収3)〕
続いて原料等の追加操作を区間2と全く同じ方法で行った。合計のEFB原料量は1.59g、原料見掛体積は9.4mlとなり、原料充填率は94%であった。
45℃での糖化反応を再開し、更に24時間(合計72時間)反応した時点で糖化液を回収し、糖化液を5.6g取得した。原料見掛体積は5.4mlであり、原料充填率は54%であった。回収した糖化液の糖濃度は6.9%であり、区間糖生成量は0.41gであった。未分解の残存原料量は1.21gと見積もられ、区間3における区間原料分解率は24%となった(区間3開始時点の原料量に対する分解率)。
〔逐次糖化・区間4(酵素等追加3→反応72〜120時間→反応終了)〕
続いて酵素等の追加操作を行った。すなわち、区間2と同様の操作において原料EFBを追加せず、酵素A16mg、緩衝液および水を追加して総重量を10.0gに再調整した。
45℃での糖化反応を再開し、更に48時間(合計120時間)反応した時点で糖化液を回収し、反応を終了した。原料見掛体積は3.5mlであり、原料充填率は35%であった。回収した糖化液の糖濃度は6.5%であり、区間4における区間糖生成量は0.35gであった。未分解の残存原料量は0.89gと見積もられ、区間4における区間原料分解率は26%となった(区間4開始時点の原料量に対する分解率)。
(3)結果まとめ
実験条件と結果をまとめて表1に示す。本実施例は、4区間で構成される逐次糖化反応であり、原料充填率は約30〜100%、区間原料分解率は約20〜50%の範囲で実施された。また積算糖収率、積算糖生成速度、及び積算酵素原単位を算出して表1に合わせて示した。最終的に反応全体では、積算糖収率が73wt%、糖生成速度が1.6g/L・hr、酵素原単位が0.090g/g(酵素液基準)であった。なお、表1の下部の注釈は、表2〜7についても同様である。
Figure 2014103949
<実施例2>
表2に示した実験条件で実施例1と同様に逐次的な糖化反応を実施した。ただしここでは追加する酵素サンプルとして、酵素Aと酵素B(ヘミセルラーゼが主成分)の1:1混合液を使用した。結果を合わせて表2に示す。本実施例では、原料充填率は約30〜100%、区間原料分解率は約20〜50%の範囲で実施された。最終的に反応全体では、積算糖収率が78wt%、糖生成速度は1.7g/L・hr、酵素原単位は0.085g/gであった。
Figure 2014103949
<実施例3>
表3に示した実験条件で実施例1と同様に逐次的な糖化反応を実施した。ただしここでは追加する酵素量を増やし、反応終了時間を変更して実験を行った。結果を合わせて表3に示す。本実施例では、原料充填率は約30〜100%、区間原料分解率は約20〜50%の範囲で実施された。最終的に反応全体では、積算糖収率が76wt%、糖生成速度は2.1g/L・hr、酵素原単位は0.13g/gであった。
Figure 2014103949
<実施例4>
表4に示した実験条件で実施例1と同様に逐次的な糖化反応を実施した。ただしここでは仕込時の酵素量を増やし、糖化液回収/原料等追加のタイミングを変更して実験を行った。結果を合わせて表4に示す。本実施例では、原料充填率は約30〜90%、区間原料分解率は約10〜60%の範囲で実施された。最終的に反応全体では、積算糖収率が76wt%、糖生成速度は2.1g/L・hr、酵素原単位は0.13g/gであった。
Figure 2014103949
<実施例5>
実施例1と全く同様にEFBのアルカリ前処理工程を行った。ただしここではアルカリ含浸EFBの加熱条件を変更し、内温175〜185℃で15分、加熱処理を行った。実施例1と同様に水洗、pH調整操作を行い、最終的に含水状態の前処理EFB(前処理品B)を207.4g取得した。一部を乾燥して調べたところ、前処理品Bの固形分濃度は23.4%(含水率は76.6%)であった。
続いて表5に示した実験条件で実施例1と同様に逐次的な糖化反応を実施した。ただしここでは原料EFBサンプルとして、上記前処理品Bを使用し(未処理のEFB基準で実施例1と同量使用。すなわち実施例1の0.92倍量)、追加する酵素に酵素Aと酵素Bの1:1混合液を用い、かつ糖化液回収/原料等追加のタイミングを変更して実験を行った。結果を合わせて表5に示す。本実施例では、原料充填率は約30〜80%、区間原料分解率は約30〜60%の範囲で実施された。最終的に反応全体では、積算糖収率が85wt%、糖生成速度は2.6g/L・hr、酵素原単位は0.083g/gであった。
Figure 2014103949
<実施例6>
表6に示した実験条件で実施例5(前処理品B使用)と同様に逐次的な糖化反応を実施した。ただし、ここでは原料等追加の際には酵素を全く追加せず、かつ、糖化液回収/原料等追加のタイミングを変更して実験を行った。結果を合わせて表6に示す。本実施例では、原料充填率は約30〜80%、区間原料分解率は約30〜60%の範囲で実施された。最終的に反応全体では、積算糖収率が82wt%、糖生成速度は2.5g/L・hr、酵素原単位は0.089g/gであった。
Figure 2014103949
<比較例1>
一般的なバッチ反応で糖化反応を実施した。すなわち実施例1と全く同様に仕込を行って反応開始し、途中、糖化液回収/原料等追加操作を行わずに、72時間、糖化反応を継続した。ただし途中3回のサンプリングを行い、反応進行度を確認した。実験条件と結果を合わせて表7に示す。最終的に反応72時間で糖収率が74wt%、糖生成速度は1.4g/L・hr、酵素原単位は0.13g/gであった。
Figure 2014103949
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

Claims (6)

  1. リグノセルロース系バイオマス原料を酵素で糖化して糖を製造する方法であって、以下の工程(A)、(B)および(C)を含み、工程(B)を複数回繰り返すことを特徴とする糖の製造方法。
    (A)リグノセルロース系バイオマス原料、酵素および水を含む反応混合物を調製し、糖化反応を開始する工程
    (B)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくともリグノセルロース系バイオマス原料および水を追加して糖化反応を再開する工程
    (C)糖化反応を進行させて反応混合物から糖化液を回収し、糖化反応を終了する工程
  2. 工程(B)において、下記式(1)で算出されるリグノセルロース系バイオマス原料の区間原料分解率が20〜60質量%の時点で、反応混合物から糖化液の一部を回収することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
    式(1):
    区間原料分解率(質量%)=区間糖生成量(g)/1.1/区間開始時点の原料量(g)
    (ただし区間は、前工程における反応開始または反応再開を開始時点とし、次に行う糖化液回収を終了時点とする一反応区間を意味する。)
  3. 複数回繰り返す工程(B)の少なくとも1回を、以下の工程(B’)に置換することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
    (B’)糖化反応進行中に反応混合物から糖化液の一部を回収した後、反応混合物に少なくとも酵素および水、または少なくとも水を追加して糖化反応を再開する工程
  4. 工程(B)において、前工程における反応開始または反応再開から6〜30時間後に反応混合物から糖化液の一部を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 酵素活性を高めるための前処理を行い、かつ、含水状態であるリグノセルロース系バイオマス原料を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程(C)に続いて、以下の工程(D)を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
    (D)糖化液回収後の残渣に含まれる酵素および糖を回収する工程
JP2012261464A 2012-11-29 2012-11-29 リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法 Pending JP2014103949A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012261464A JP2014103949A (ja) 2012-11-29 2012-11-29 リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012261464A JP2014103949A (ja) 2012-11-29 2012-11-29 リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014103949A true JP2014103949A (ja) 2014-06-09

Family

ID=51025981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012261464A Pending JP2014103949A (ja) 2012-11-29 2012-11-29 リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014103949A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101826964B1 (ko) * 2016-08-23 2018-02-07 한국화학연구원 목질계 바이오매스의 고부하 효소당화 방법 및 이를 위한 당화 반응기

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101826964B1 (ko) * 2016-08-23 2018-02-07 한국화학연구원 목질계 바이오매스의 고부하 효소당화 방법 및 이를 위한 당화 반응기

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9574212B2 (en) Process comprising sulfur dioxide and/or sulfurous acid pretreatment and enzymatic hydrolysis
WO2010050223A1 (ja) 糖類を製造する方法及びエタノール製造方法
CN106011199B (zh) 一种农作物秸秆的预处理方法
JP4958166B2 (ja) 酸素存在下におけるアルコールによる植物系バイオマスの処理方法
WO2012088108A1 (en) Process for the production of alcohols from biomass
WO2012047832A2 (en) Process for the production of alcohols from biomass
JP5714396B2 (ja) バイオマスの糖化方法
CN106574440B (zh) 用于水解木质纤维素材料的方法
JP5828913B2 (ja) バイオマスの糖化方法
JP2009125050A (ja) 草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法及びパームヤシ空果房を原料とするエタノール製造方法
US20210340578A1 (en) Acid bisulfite pretreatment
JP5662724B2 (ja) 木質系バイオマスの糖化方法
US9902982B2 (en) Continuous countercurrent enzymatic hydrolysis of pretreated biomass at high solids concentrations
KR20110046090A (ko) 바이오 연료 및 바이오 화학물질 제조용 전처리 장치, 및 이를 이용한 전처리 공정과 바이오 연료 및 바이오 화학물질의 제조 공정
US10138505B2 (en) Process for the production of organic compounds from plant species
Sun et al. Two-step pretreatment of corn stover silage using non-ionic surfactant and ferric nitrate for enhancing sugar recovery and enzymatic digestibility of cellulose
JP2014158437A (ja) リグノセルロース系バイオマスの糖化液、及びその製造方法と使用方法
WO2014012017A2 (en) Two-loop dilute preprocessing and pretreatment of cellulosic feedstocks
KR102044012B1 (ko) 유기용매 복합전처리 공정을 통한 목질계 바이오매스의 전수 활용방법
JP2014103949A (ja) リグノセルロース系バイオマスからの糖の製造方法
KR101847983B1 (ko) 순차적 산­염기 전처리를 통한 셀룰로즈 함량이 증가된 팜 열매 껍질 섬유질 유래 바이오매스의 제조방법
JP2011083238A (ja) 樹皮原料から糖類を製造する方法
Tinôco Biotechnology Development of Bioethanol from Sweet Sorghum Bagasse
KR20190028095A (ko) 목질계 바이오매스의 효소 반응성을 높이는 방법
JP2010115171A (ja) 樹皮原料から糖類を製造する方法