JP2015091275A - 飲料組成物の製造方法及び飲料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる飲料組成物の製造方法及び飲料組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、熱暴露下におけるHspa4遺伝子又はNppb遺伝子の発現量を抑制する作用を高めるために使用される飲料組成物の製造方法であって、前記飲料組成物は、65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、0.05〜15mg/dlのカルシウムイオン、及び0.05〜8mg/dlのマグネシウムイオンを含んでなり、さらに10mg/dl以下のカルシウムイオン及び5.5mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすように配合することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、飲料組成物の製造方法及び飲料組成物に関する。
一般に、人間は発汗により体温調整を行っているため、日常において定期的な水分補給が必要となる。汗には、水分のみならず、ミネラル(無機質)等の微量成分も含まれている。特に気温が上昇した時又は激しい運動をした際は、大量の汗をかくため、水分補給のみならず、塩分等のミネラル分の補給も必要である。また、発汗以外に、下痢や嘔吐等により体内の電解質バランスが崩れた場合も、水分補給やミネラル分の補給が必要となる。
ところで、近年の温暖化による世界的な気温上昇は、夏季に熱中症患者数を増加させている。通常、熱環境下において熱中症となった場合、体温上昇の他、めまい、失神、頭痛、気分の悪化等の症状が生じる。さらに、症状が悪化すると、主に以下の2つのメカニズムにより身体障害を受ける。1つ目は、心臓等の主要疾患が高温により直接傷害を受け、心収縮機能障害や心筋虚血を引き起こす。2つ目が、高体温時に体熱放散のため表在血管が拡張して、相対的に臓器血流量が低下し、腸管において腸粘膜バリア破綻が生じることで、腸内細菌が脈管に流入するバクテリアルトランスロケーションが引き起こされる。それにより、敗血症、内因性エンドトキシン血症、及び高サイトカイン血症を発症し、重度の場合、多臓器不全となる。
従来より、特許文献1,2に開示されるように、水分補給において、水に電解質イオンを補充した水電解質補給飲料、例えばイオン飲料及びスポーツドリンクが知られている。特許文献1は、世界保健機構WHOの経口補液と同様にナトリウムイオンとカリウムイオンを含有する飲料組成物について開示する(特許請求の範囲、段落0003)。特許文献2は、ナトリウムイオンとカリウムイオンの他、生体内において多くの酵素反応に関与するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンをさらに配合する水電解質補給飲料について開示する(特許請求の範囲)。
特開2007−68466号公報 特開2006−304775号公報
ところが、特許文献1の飲料組成物やWHOの経口補液は、ミネラル分としてナトリウムイオンとカリウムイオンのみに着目した飲料であるため、発汗等により失われたミネラル分の補給の観点から不十分である可能性が指摘されていた。また、特許文献2の水電解質補給飲料は、電解質イオンの腸管からの吸収性の観点から含有成分の検討を行っているのみであり、生体内において、より適した飲料であるかの検討までは行われていない。
そこで、本発明の目的は、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる飲料組成物の製造方法及び飲料組成物を提供することにある。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、所定のミネラル分からなる飲料組成物が、電解質イオンの補給において、生体により適したものであることを見出したことによりなされたものである。
上記の目的を達成するために本発明の飲料組成物の製造方法は、熱暴露下におけるHspa4遺伝子又はNppb遺伝子の発現量を抑制する作用を高めるために使用される飲料組成物の製造方法であって、前記飲料組成物は、65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、0.05〜15mg/dlのカルシウムイオン、及び0.05〜8mg/dlのマグネシウムイオンを含んでなり、さらに10mg/dl以下のカルシウムイオン及び5.5mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすように配合することを特徴とする。
前記飲料組成物は、さらに4.5mg/dl以下のカルシウムイオン及び3mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすことが好ましい。前記飲料組成物は、熱中症予防、脱水症状の予防、発汗により失われた水と電解質イオンの補給のため、又は下痢若しくは嘔吐により失われた水と電解質イオンの補給のために用いられてもよい。
また、本発明の別の一様態では、65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、及び0.05〜15mg/dlのカルシウムイオンを含んでなり、さらに熱暴露下におけるHspa4遺伝子又はNppb遺伝子の発現量を抑制するために0.05〜4.5mg/dlのマグネシウムイオンの濃度条件を満たし、前記マグネシウムイオンが有機電解質又は無機電解質として配合されることを特徴とする飲料組成物が提供される。
本発明の飲料組成物の製造方法及び飲料組成物によれば、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。
以下、本発明を具体化した飲料組成物の一実施形態を説明する。
本実施形態の飲料組成物は、無機電解質イオン及び水の補給のために用いられる。飲料組成物中に配合される無機電解質イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びマグネシウムイオンが挙げられる。
飲料組成物中におけるナトリウムイオンの含有量は、65〜100mg/dl、好ましくは、70〜90mg/dl、より好ましくは75〜85mg/dlである。ナトリウムイオンの含有量をかかる範囲内とすることにより、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。また、特に、熱ストレス耐性をより向上させることができる。
ナトリウムイオンは、無機電解質又は有機電解質として配合することができる。飲料組成物中に配合できる無機電解質又は有機電解質は、特に限定されず、飲食品として適用可能な公知の無機又は有機のナトリウム塩を適用することができる。無機のナトリウム塩としては、例えば無機酸のナトリウム塩が挙げられ、具体的には塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。有機のナトリウム塩としては、例えばカルボン酸等の有機酸のナトリウム塩が挙げられ、具体的には、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
飲料組成物中におけるカリウムイオンの含有量は、10〜30mg/dl、好ましくは12〜28mg/dl、より好ましくは15〜25mg/dlである。カリウムイオンの含有量をかかる範囲内とすることにより、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。また、特に、熱ストレス耐性をより向上させることができる。
カリウムイオンは、無機電解質又は有機電解質として配合することができる。飲料組成物中に配合できる無機電解質又は有機電解質は、特に限定されず、飲食品として適用可能な公知の無機又は有機のカリウム塩を適用することができる。無機のカリウム塩としては、例えば無機酸のカリウム塩が挙げられ、具体的には塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。有機のカリウム塩としては、例えばカルボン酸等の有機酸のカリウム塩が挙げられ、具体的には、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、乳酸カリウム等が挙げられる。
飲料組成物中におけるカルシウムイオンの含有量は、0.05〜15mg/dl、好ましくは1.6〜13mg/dl、より好ましくは2.1〜12mg/dlである。カルシウムイオンの含有量をかかる範囲内とすることにより、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。また、特に、熱ストレス耐性をより向上させることができる。
カルシウムイオンは、無機電解質又は有機電解質として配合することができる。飲料組成物中に配合できる無機電解質又は有機電解質は、特に限定されず、飲食品として適用可能な公知の無機又は有機のカルシウム塩を適用することができる。無機のカルシウム塩としては、例えば無機酸のカルシウム塩が挙げられ、具体的には塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。有機のカルシウム塩としては、例えばカルボン酸等の有機酸のカルシウム塩が挙げられ、具体的には、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。
飲料組成物中におけるマグネシウムイオンの含有量は、0.05〜8mg/dl、好ましくは0.15〜7mg/dl、より好ましくは0.7〜6mg/dlである。マグネシウムイオンの含有量をかかる範囲内とすることにより、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。また、特に、熱ストレス耐性をより向上させることができる。
マグネシウムイオンは、無機電解質又は有機電解質として配合することができる。飲料組成物中に配合できる無機電解質又は有機電解質は、特に限定されず、飲食品として適用可能な公知の無機又は有機のマグネシウム塩を適用することができる。無機のマグネシウム塩としては、例えば無機酸のマグネシウム塩が挙げられ、具体的には塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。有機のマグネシウム塩としては、例えばカルボン酸等の有機酸のマグネシウム塩が挙げられ、具体的には、リンゴ酸マグネシウム等が挙げられる。
本実施形態の飲料組成物は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの濃度条件について、さらに少なくとも一方のイオン濃度が、上述した各イオン濃度の上限より低い濃度、より詳しくは以下に示される濃度以下であることが必要である。具体的には、カルシウムイオンが10mg/dl以下、好ましくは4.5mg/dl以下、より好ましくは3mg/dl以下である。マグネシウムイオンが5.5mg/dl以下、好ましくは3mg/dl以下、より好ましくは2.5mg/dl以下である。
このように、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくとも一方のイオンの濃度を低減させることにより、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。また、特に、熱ストレス耐性をより向上させることができる。
次に、上記のように構成された本実施形態の飲料組成物の製造方法を説明する。
本実施形態の飲料組成物は、各無機電解質を水に溶解し、各無機電解質イオンが所定濃度範囲となるよう調整することにより製造することができる。
次に、上記のように構成された本実施形態の飲料組成物の作用を説明する。
本実施形態の飲料組成物は、無機電解質イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びマグネシウムイオンをバランスよく含有する。そのため、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。例えば、熱中症の予防若しくは治療、脱水症状の予防若しくは治療、発汗により失われた水と電解質イオンの補給のため、又は下痢若しくは嘔吐により失われた水と電解質イオンの補給のために用いられる。本実施形態の飲料組成物は、生体の電解質イオンの補給により、特に、熱ストレスに対する耐性を向上させることができる。したがって、熱中症の予防のために、より好ましく適用することができる。
本実施形態の飲料組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の飲料組成物は、無機電解質イオンとして、所定量のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及びマグネシウムイオンをバランスよく含有する。したがって、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。
(2)好ましくは、本実施形態の飲料組成物は、生体の水と電解質イオンの補給のために用いることができる。例えば、熱中症又は脱水症状の予防効果の向上及び回復効果の向上を図ることができる。したがって、熱中症の予防若しくは治療、又は脱水症状の予防若しくは治療のために好ましく適用することができる。
(3)好ましくは、本実施形態の飲料組成物は、生体の水と電解質イオンの補給のために用いることができる。例えば、生体の水分バランス等の体液恒常性の維持に寄与することができる。したがって、発汗により失われた水と電解質イオンの補給のため、又は下痢若しくは嘔吐により失われた水と電解質イオンの補給のために好ましく適用することができる。
(4)本実施形態の飲料組成物は、摂取により熱ストレスに対する耐性を向上させることができる。したがって、上述したように熱中症や脱水症の予防の他、熱中症や脱水症によって生じる各症状、例えばめまい、失神、頭痛、及び気分の悪化の予防や回復のために好ましく適用することができる。
(5)本実施形態の飲料組成物は、摂取により熱ストレスに対する耐性を向上させることができる。よって、熱中症によって生じる心収縮機能障害や心筋虚血等の各症状の発症の予防や回復のために好ましく適用することができる。同様に、熱中症によって生じる敗血症、内因性エンドトキシン血症、及び高サイトカイン血症等の各症状の発症の予防や回復のために好ましく適用することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の飲料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖やデキストリン、食物繊維、多糖類等の糖類、香料、ステビア、アスパルテーム、糖アルコール等の甘味料、色素、安定剤、ビタミン類、アミノ酸類、上記以外の各種ミネラル、植物性油脂及び動物性油脂等の油性成分等の添加剤、並びに果汁等を適宜配合してもよい。
・上記実施形態の飲料組成物の包装形態は、特に限定されず、公知の包装形態、例えばペットボトル等の合成樹脂製の容器、ガラス瓶、金属缶、及び紙パックに充填する構成を採用することができる。
・上記実施形態の飲料組成物の摂取量は、特に限定されず、目的、体調、性別、体重、摂取時の体内の水分バランス等に応じ適宜決定される。
・上記実施形態の飲料組成物の摂取方法は、特に限定されず、例えば経口摂取、経鼻摂取、経腸摂取等の方法を採用することができる。
・上記実施形態の飲料組成物の適用形態としては、特に限定されず、例えばイオン飲料、スポーツドリンク、清涼飲料、経口補液、ミネラル飲料等の形態が適用される。
・上記実施形態の飲料組成物は、生体の電解質イオンの補給において、生体により適したものとすることができる。参考例として、摂取時に電解質イオンを補給することができる形態であれば、摂取時以外は飲料組成物以外の形態を採用してもよい。例えば、上記実施形態の別の一様態として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩を含有する飲料用組成物であって、前記飲料用組成物を水に溶解した際、65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、0.05〜15mg/dlのカルシウムイオン、及び0.05〜8mg/dlのマグネシウムイオンを含んでなり、さらに10mg/dl以下のカルシウムイオン及び5.5mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たす飲料組成物として用いられる飲料用組成物として構成してもよい。かかる飲料用組成物は、例えば粉末、顆粒状又はタブレットの形態で提供され、飲用時に水に溶解した後、摂取することができる。かかる構成により、保存性、携帯性をより向上させることができる。尚、摂取形態として、電解質を水に溶解した飲料組成物を容器詰とした構成が好ましく適用される。かかる構成により、摂取者により本実施形態の電解質イオン濃度からなる飲料組成物を調製する必要がなく、より正確な濃度で本実施形態の電解質イオン濃度からなる飲料組成物を容易に摂取することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
<試験例1:飲料組成物を摂取した際の生体適用性の評価>
熱ストレスに応じて発現することが知られているヒートショックプロテインを指標として、かかる遺伝子の熱ストレス(熱暴露)後の発現を追跡することにより、飲料組成物を摂取した際の生体適用性を評価した。
(1)試験動物
9週齢のWistar系雄ラット(体重290±15g、日本クレア社)を使用した。室温にて飼育し、実験の1週間前から試験飲料組成物を自由摂取させた。
(2)熱暴露
各試験飲料組成物を摂取したラットについて、ペントバルビタール腹腔内投与(50mg/kg)による麻酔後に、熱暴露を行った。熱暴露は、内部温度37.0±0.5℃、酸素濃度21.0%及び二酸化炭素濃度0.04%に調整したマルチガスインキュベータ(APMW-36、ASTEC社製)内において90分間行った。熱暴露終了後、ペントバルビタールを腹腔内に過量投与し(150mg/kg)、安楽死させた後、心臓を摘出し、左心室自由壁を分離し、細片化したものをRNAlater(Applied Biosystems社製)で一昼夜撹拌及び振とうし、その後、使用時以外は−80℃で冷凍保存した。尚、非熱暴露群は、麻酔後に熱暴露を行わず室温で90分間放置することにより実施した。
(3)ヒートショックプロテインのmRNA発現量の定量
ヒートショックプロテインとして、Hspa4及びNppbの発現量に着目した。Hspa4は、ストレスタンパクであり、生体への細胞障害性の刺激の後にそのストレス強度に比例して亢進することが知られている。Nppbは、心房及び心室内圧上昇等の心負荷が直接刺激となり、心筋の張力が増加することにより血中に分泌されるペプチドホルモンである。熱暴露後のNppbの有意な増加は、熱負荷の継続による持続的な心拍数増加に伴い、拡張期時間が短縮することで心内圧が上昇し、心筋が過剰に伸展される等の心負荷が比較的早期の段階から生じた可能性を示唆している。Hspa4又はNppbの発現量の低下は、心臓への熱耐性が生じ、心負荷が軽減された可能性を示唆している。
参考例1として水及び参考例2として市販のスポーツドリンク(ポッカ社製、塩JOYサポート)を試験飲料組成物として、試験動物に摂取させた場合のHspa4及びNppbの発現量を測定した。塩JOYサポートは、無機電解質イオンとしてナトリウムイオン81.0mg/dl、カリウムイオン20.7mg/dl、カルシウムイオン11.0mg/dl、マグネシウムイオン6.1mg/dl、及び塩素イオン12.5mg/dlを含有する。熱暴露群及び非熱暴露群のそれぞれについて試験した。尚、熱暴露群は、参考例1がn=14、参考例2がn=14、非熱暴露群は、参考例1がn=7、参考例2がn=11とした。
mRNA発現量の定量は、まず、上記左心室の自由壁30mgをMicroSmash(MS-100、TOMY社製)で粉砕し、QuickGene800(FUJIFILM社製)でtotal RNAを抽出した。続いてtotal RNAからRevatra Ace qPCR RT Master Mix(TOYOBO社製)によりComplement DNA(cDNA)を合成し、STEP One Real-Time PCR System(Applied Biosystems社製)を用い、Hspa4及びNppbの遺伝子についてcDNAを鋳型として定量的PCR法によりmRNA発現量を定量した。プライマは、Primer3 version 0.4.0で設計し、北海道システムサイエンス社に合成を依頼した。PCR反応系は、SYBRGREEN Realtime PCR Master Mix-Plus-(TOYOBO社製)5μL、各プライマ0.5μLとした。反応条件は、95℃15秒、60℃1分で45サイクル行った。尚、内部標準は、アクチンβを用いた。結果を表1に示す。表中の数値は平均±標準誤差を示す。各群を二元配置分散分析法(two-way ANOVA)で解析した結果を併せて示す。二元配置分散分析法により交互作用に有意差を認めた場合は単純主効果検定を、交互作用がなく主効果に有意差が生じた場合には、Tukey法にて多重比較した。
表1に示されるように、Hspa4遺伝子について、熱暴露・上記市販のスポーツドリンク摂取間において、有意な相互作用を認め、熱暴露による発現量の増加は、上記市販のスポーツドリンクの摂取により有意に抑制されたことが確認された。Nppb遺伝子の発現量は、熱暴露により有意に増加し、上記市販のスポーツドリンクの摂取により有意に低下するという主効果が認められた。熱暴露による発現量の増加は、上記市販のスポーツドリンクの摂取により有意に抑制されたことが確認された。
(4)飲料組成物中の無機電解質イオンを変化させた場合の生体適用性の評価
市販のスポーツドリンク(ポッカ社製、塩JOYサポート)の無機電解質イオンの濃度を、表2,3に示されるように変化させた場合の生体適用性について評価した。下記表2,3に記載の各例の組成からなる試験飲料組成物を実験の1週間前から試験動物に自由摂取させた(n=5)。その後、上記(2)熱暴露欄及び(3)ヒートショックプロテインのmRNA発現量の定量欄に従い、熱暴露後のHspa4及びNppbの遺伝子の発現量について同様に測定した。各群におけるHspa4及びNppbの遺伝子の発現量について、コントロールとして水を摂取した比較例1の群より得られた数値を1とした場合の相対値を求めた。結果を表2,3に示す。得られた数値は平均±標準偏差で表記する。
表2,3に示されるように、各実施例の構成により、Hspa4及びNppbの遺伝子の発現量が大幅に低下することが確認される。カルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度が低下することにより、Hspa4及びNppbの遺伝子の発現量がさらに低下する傾向が示された。但し、例えば発汗により生体の水分が失われる場合、ナトリウムイオンとカリウムイオンの他、カルシウムイオンとマグネシウムイオン等の微量元素も同時に失われるため、微量元素の補給も必要であると思われる。以上により、本実施形態の飲料組成物は、好ましくはスポーツ等の発汗動作前に摂取することにより、熱中症や脱水症状を予防できることが示唆された。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、0.05〜15mg/dlのカルシウムイオン、及び0.05〜8mg/dlのマグネシウムイオンを含んでなり、さらに10mg/dl以下のカルシウムイオン及び5.5mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすことを特徴とする熱ストレス耐性向上剤。従って、この(a)に記載の発明によれば、生体の熱ストレスに対する耐性を向上させることができる。

Claims (4)

  1. 熱暴露下におけるHspa4遺伝子又はNppb遺伝子の発現量を抑制する作用を高めるために使用される飲料組成物の製造方法であって、
    前記飲料組成物は、65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、0.05〜15mg/dlのカルシウムイオン、及び0.05〜8mg/dlのマグネシウムイオンを含んでなり、
    さらに10mg/dl以下のカルシウムイオン及び5.5mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすように配合することを特徴とする飲料組成物の製造方法。
  2. 前記飲料組成物は、さらに4.5mg/dl以下のカルシウムイオン及び3mg/dl以下のマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも一つの濃度条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の飲料組成物の製造方法。
  3. 前記飲料組成物は、熱中症予防、脱水症状の予防、発汗により失われた水と電解質イオンの補給のため、又は下痢若しくは嘔吐により失われた水と電解質イオンの補給のために用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料組成物の製造方法。
  4. 65〜100mg/dlのナトリウムイオン、10〜30mg/dlのカリウムイオン、及び0.05〜15mg/dlのカルシウムイオンを含んでなり、
    さらに熱暴露下におけるHspa4遺伝子又はNppb遺伝子の発現量を抑制するために0.05〜4.5mg/dlのマグネシウムイオンの濃度条件を満たし、
    前記マグネシウムイオンが有機電解質又は無機電解質として配合されることを特徴とする飲料組成物。
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