JP2015091226A - 細胞内の酸化還元状態をモニターするための蛍光タンパク質、dna、ベクター、形質転換体、及び方法 - Google Patents

細胞内の酸化還元状態をモニターするための蛍光タンパク質、dna、ベクター、形質転換体、及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞内における酸化還元状態の変化を、励起スペクトルの解析等に依らず、より簡便に評価することが可能な分子ツールの提供。
【解決手段】蛍光タンパク質であるSirius、mTurquoise、EBFP2及びVenusからなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、上記群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間に、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)およびアルギニン(R)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質。
【選択図】図1A

Description

本発明は、細胞内における酸化還元状態をモニターするための蛍光タンパク質、DNA、ベクター、形質転換体、及び方法に関する。
細胞内では、酸化還元反応が関連する様々な事象が起こっている。例えば細胞呼吸の代謝系の最終段階に位置する電子伝達系では、NADHの酸化によって生じた電子が最終的に酸素に伝達され、水が生成する。当該電子伝達系と共役して起こる酸化的リン酸化によりATPが生成する。
植物の光合成においても酸化還元反応が起こっている。葉緑体のチラコイド膜において、クロロフィル(光合成色素)が光エネルギーを用いて水を分解し、プロトン、酸素分子及び電子を生じる。このときに生じた電子によってNADPが還元され、NADPHが生成する。さらに、チラコイド膜内外のプロトン濃度勾配を利用して、ATP合成酵素によってATPが生成する。
また、好気生物が酸素を消費する過程で発生する活性酸素種は、非常に強力な酸化作用を有し、過剰に存在すると細胞内タンパク質、酵素、細胞膜、DNAなど、細胞を構成する多くの分子を酸化変性し、細胞機能障害を引き起こし得る。
細胞内におけるこのような酸化還元事象の詳細を理解するために、細胞内の酸化還元状態をモニターできる分子ツールの開発が望まれている。
細胞内の酸化還元状態をモニターできる分子ツールとして、蛍光タンパク質である緑色蛍光タンパク質(GFP)のS147及びQ204がシステイン残基で置換された、roGFP(Redox-sensitive green fluorescent protein)が知られている(非特許文献1、2)。roGFPは、上記2つのシステイン残基中のチオール基がジスルフィド結合により結ばれた酸化型、又は上記システイン残基中のチオール基が遊離状態である還元型のいずれかの形態で存在する。酸化型と還元型の存在比は、roGFPの周囲環境の酸化還元状態に依存して変化する。当該変化は、roGFPの励起スペクトルの形状変化として検出される。roGFPの励起スペクトルには2つの励起極大波長(400nm、490nm)が存在し、当該励起波長における蛍光強度の比を測定することで、roGFPの周囲環境の酸化還元状態をモニターすることが可能となる。
Hanson G.T.et al., J.Biol.Chem., 2004, 279: 13044-13053. Lohman J.R.et.al., Biochemistry, 2008, 47, 8678-8688
しかし、roGFPを使用した場合、細胞内における酸化還元状態をモニターするには、励起スペクトルを測定し、そのスペクトル形状を解析する必要があり、手間がかかるという課題があった。このため、細胞内における酸化還元状態の変化を、蛍光顕微鏡観察等により直接評価できるような、より簡便な方法が求められていた。
したがって、本発明の目的は、細胞内における酸化還元状態の変化を、励起スペクトルの解析等に依らず、より簡便に評価することが可能な分子ツールを提供することである。
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、GFP変異体に特定のアミノ酸変異を施した蛍光タンパク質が酸化条件又は還元条件にさらされると、驚くべきことに、励起光波長を固定して測定される蛍光タンパク質の蛍光強度が著しく変化することを見出した。例えば、GFP変異体として知られているSirius(配列番号1)(Nagai,T.et al., Nature Methods, 2009, 6, 351-353)に対して特定のアミノ酸変異を施した蛍光タンパク質が酸化条件にさらされると、励起光波長を固定して測定される蛍光タンパク質の蛍光強度が著しく低下することを見出した。更に、当該蛍光タンパク質を用いれば、細胞内における酸化還元状態の変化を、その蛍光強度に基づいて測定することが可能となり、より簡便な分子ツールとして利用できることを見出し、本発明に到達した。
従って、本発明は以下の態様を有する。
[1]配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間に、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)およびアルギニン(R)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質。
[2]前記アミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)、トリプトファン(W)、アスパラギン(N)、フェニルアラニン(F)、セリン(S)およびグリシン(G)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸でさらに置換された、上記[1]に記載の蛍光タンパク質。
[3]配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がアスパラギン(N)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[4]配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、65番目のアミノ酸残基がセリン(S)で置換され、66番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、148番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸(D)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[5]配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[6]配列番号60のアミノ酸配列、又は、配列番号60に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[7]配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグリシン(G)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[8]配列番号61のアミノ酸配列、又は、配列番号61に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアルギニン(R)が挿入されたアミノ酸配列からなる、上記[2]に記載の蛍光タンパク質。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質と、第2のタンパク質とが融合されてなる、融合タンパク質。
[10]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質又は上記[5]に記載の融合タンパク質をコードするDNA。
[11]上記[9]に記載のDNAを有する組み換えベクター。
[12]上記[11]に記載の組み換えベクターにより形質転換された宿主細胞。
[13]細胞内の酸化還元状態をモニターする方法であって、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質、又は上記[9]に記載の融合タンパク質を細胞内に存在させ、前記蛍光タンパク質又は融合タンパク質の蛍光を検出し、検出された蛍光の蛍光強度に基づいて細胞内の酸化還元状態をモニターすることを含む方法。
本発明の蛍光タンパク質によれば、励起スペクトルを測定することなく、細胞内における酸化還元状態の変化を、蛍光タンパク質の蛍光強度に基づいて簡便にモニターすることができる。
図1Aは、本発明の蛍光タンパク質(実施例1〜10)の酸化型及び還元型のそれぞれにおける蛍光強度を示すグラフである。 図1Bは、本発明の蛍光タンパク質(実施例11〜14)の酸化型及び還元型のそれぞれにおける蛍光強度を示すグラフである。 図2Aは、本発明の蛍光タンパク質(実施例1〜10)の、酸化型及び還元型の蛍光強度の内、より高い方に対する他方の蛍光強度の比を示すグラフである。 図2Bは、本発明の蛍光タンパク質(実施例11〜14)の、酸化型及び還元型の蛍光強度の内、より高い方に対する他方の蛍光強度の比を示すグラフである。 図3Aは、Oba−Qs(oxidation balance sensed quenching protein derived from serius)(配列番号5)の、酸化型及び還元型のそれぞれにおける励起スペクトル及び蛍光スペクトルである。また、還元型から酸化型へと変換した後、再度還元型へと変換したものを、再還元型として示す。励起スペクトルは、蛍光波長425nmとし、250nm〜400nmの範囲で測定した。蛍光スペクトルは、励起光波長を375nmとして測定した。 図3Bは、Re−Qy(reduction sensed quenching protein derived from YFP)(配列番号65)の、酸化型及び還元型のそれぞれにおける励起スペクトル及び蛍光スペクトルである。励起スペクトルは、蛍光波長525nmとし、250nm〜518nmの範囲で測定した。蛍光スペクトルは、励起光波長を510nmとして測定した。 図4は、Oba−Qsの蛍光強度が、Hを添加することにより経時的に低下する様子を示すグラフである。 図5は、Oba−QsとAtGpx1との融合タンパク質の蛍光強度が、Hを添加することにより経時的に低下する様子を示すグラフである。
本明細書において、アミノ酸は、特に断らない限り1文字表記で表す。アミノ酸配列の表記は、例えば配列番号1のアミノ酸配列のN末端から147番目のアミノ酸残基であるセリンを、特に断らない限りS147と表す。他のアミノ酸残基の場合も同様に表記する。また、アミノ酸配列における置換の表記は、例えば配列番号1のS147がCに置換される場合、特に断らない限りS147Cと表す。他のアミノ酸置換の場合も同様に表記する。また、アミノ酸配列における挿入の表記は、例えばS147Cの置換がなされた配列番号1の、C147とS148との間にアスパラギン酸(D)が挿入される場合、特に断らない限りC147_S148insDと表す。他のアミノ酸挿入の場合も同様に表記する。また、配列番号1に示されるアミノ酸配列(Sirius)に複数のアミノ酸残基が同時に置換及び/又は挿入された変異体は、先頭に「Sirius」と記載し、それぞれの置換及び/又は挿入をハイフン(−)で結ぶこととする。例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列(Sirius)にS147C及びQ204Cのアミノ酸置換がなされ、さらにC147とS148との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列は、「Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insD」と表す。配列番号1に対する他の変異体も同様に表記する。また、配列番号59、60又は61に示されるアミノ酸配列に複数のアミノ酸残基が同時に置換及び/又は挿入された変異体も、先頭にそれぞれのアミノ酸配列を示す蛍光タンパク質名(「mTurquoise」、「EBFP2」又は「Venus」)を表記する以外は、配列番号1の場合と同様に表記する。
本明細書において「配列同一性」とは、2つのDNA又は2つのタンパク質間の配列の同一性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNA又はタンパク質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列同一性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム(Nucleic Acid Res.,22(22):4673-4680(1994))を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列同一性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYXや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。なお、本明細書において、配列番号1、59、60及び61のアミノ酸配列の変異体におけるアミノ酸配列の番号付けは、それぞれ配列番号1、59、60及び61のアミノ酸配列を基準として行い、配列番号44、80、81及び82の塩基配列の変異体における塩基配列の番号付けは、それぞれ配列番号44、80、81及び82の塩基配列を基準として行う。
本明細書において「励起スペクトル」とは、検出する蛍光波長を固定し、励起光の波長を連続的に変化させ、得られる蛍光強度を波長ごとにプロットしたもののことである。本明細書において「励起極大波長」とは、上記励起スペクトルにおいて、最も強い蛍光強度を与える波長のことである。励起スペクトルは分光蛍光光度計により測定される。
本明細書において「蛍光スペクトル」とは、励起光の波長を固定して、得られる蛍光強度を波長ごとにプロットしたもののことである。励起波長の違いによって、蛍光スペクトルの形状は変化することはない。通常、固定する励起波長は励起極大波長を使用する。本明細書において「蛍光極大波長」とは、上記蛍光スペクトルにおいて、最も強い蛍光強度を与える波長のことである。蛍光スペクトルのピークは励起スペクトルのピークよりも長波長側に現れる。蛍光スペクトルは分光蛍光光度計により測定される。
励起光によって励起された、酸化型及び還元型の蛍光タンパク質が放出する蛍光の蛍光強度は、分光蛍光光度計や蛍光顕微鏡などで測定することが可能である。
本明細書において「GFP変異体」とは、GFPのアミノ酸配列と高い同一性(例えば90%以上の同一性)を有し、かつ固有の蛍光特性を有する、GFPの変異体のことである。特に限定されないが、例えば、Sirius(配列番号1)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などである。またCFPにさらに変異を加えて作製されたmTurquoise(配列番号59);BFPにさらに変異を加えて作製されたEBFP2(配列番号60);YFPにさらに変異を加えて作製されたVenus(配列番号61)などの蛍光タンパク質も、GFP変異体に含まれる。
本発明の一態様は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間に、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)およびアルギニン(R)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質は、導入された上記2つのシステイン残基中のチオール基がジスルフィド結合により結ばれた酸化型、又は上記システイン残基中のチオール基が遊離状態である還元型のいずれかの形態で存在する。その半反応式は以下の通りである。
Figure 2015091226
細胞内には、過酸化水素を含む活性酸素などの電子受容体(酸化剤)、及びグルタチオンやチオレドキシンなどの電子供与体(還元剤)が存在する。これらの量は、当該細胞の存在する環境に応じて変動する。ここで本発明において、「細胞内における酸化還元状態をモニターする」とは、当該細胞内における酸化剤及び還元剤の量の変動をモニターすることである。細胞内に本願発明の蛍光タンパク質が存在する場合、当該細胞内の酸化剤存在量が増大すると、上記半反応式の平衡は酸化型へと偏る。逆に、当該細胞内の還元剤存在量が増大すると、上記半反応式の平衡は還元型へと偏る。そして、細胞内における酸化還元状態の変化は、本発明の蛍光タンパク質の蛍光強度の変化として観察される。
励起光波長を固定して特定の波長(例えば蛍光極大波長)における蛍光強度を測定すると、本発明の蛍光タンパク質の酸化型の蛍光強度は、還元型の蛍光強度と異なる。したがって、蛍光タンパク質の蛍光強度を測定することにより、当該蛍光タンパク質が酸化型で存在しているのか、それとも還元型で存在しているのかが識別可能となり、当該蛍光タンパク質が存在する周囲環境における酸化還元状態をモニターすることができる。
本発明の蛍光タンパク質の酸化型及び還元型の蛍光強度の内、より高い方に対する他方の蛍光強度の比率は、通常80%以下であり、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、一層好ましくは50%以下、とりわけ好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下である。
本発明の蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列の147番目と148番目のアミノ酸残基との間に挿入されるアミノ酸は、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるいずれか1つである。励起光波長を固定して特定の波長(例えば蛍光極大波長)における蛍光強度を測定すると、当該アミノ酸挿入により、本発明の蛍光タンパク質の還元型の蛍光強度と酸化型の蛍光強度との間に差が生じる。当該還元型と酸化型との間の蛍光強度の差を拡大させるために、挿入されるべき上記アミノ酸としては、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はアルギニン(R)が好ましい。
本発明の蛍光タンパク質の還元型と酸化型との間の蛍光強度の差をさらに拡大させるために、本発明の蛍光タンパク質は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)、トリプトファン(W)、アスパラギン(N)、フェニルアラニン(F)、セリン(S)及びグリシン(G)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸でさらに置換されることが好ましく、アスパラギン(N)、セリン(S)及びグリシン(G)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸でさらに置換されることがより好ましい。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がアスパラギン(N)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質である。
異なる色彩の発光を有する(すなわち、極大蛍光波長が大きく異なる)、複数の酸化還元応答性蛍光タンパク質は、その色彩の違いにより、同一細胞内で同時に使用しても区別可能である。また、極大励起波長が大きく異なる酸化還元応答性蛍光タンパク質の組み合わせは、一方の蛍光タンパク質がほとんど反応できない波長の励起光を照射することで、他方の蛍光タンパク質のみの蛍光を観察することを可能とする。
本発明の蛍光タンパク質の1つは、GFP(励起極大波長395nm:蛍光極大波長510nm)において蛍光発光に関与するY66をフェニルアラニン(F)へと置換したSirius(励起極大波長355nm:蛍光極大波長424nm)をベースとして作製され得る。したがって、F66を有する本発明の蛍光タンパク質は、GFPをベースとして作製された、細胞内の酸化還元状態をモニターするための蛍光タンパク質(例えばroGFP)とは異なる蛍光特性を有するため、両者の組み合わせは、同一細胞内で同時に使用しても区別可能である。
また、本発明の蛍光タンパク質の1つは、蛍光発光に関与する66番目のアミノ酸としてトリプトファン(W)を有し、CFP(励起極大波長452nm:蛍光極大波長505nm)様の蛍光特性を有する。また、本発明の蛍光タンパク質の1つは、蛍光発光に関与する66番目及び203番目のアミノ酸としてチロシン(Y)を有し、YFP(励起極大波長513nm:蛍光極大波長527nm)様の蛍光特性を有する。また、本発明の蛍光タンパク質の1つは、蛍光発光に関与する66番目のアミノ酸としてヒスチジン(H)を有し、BFP(励起極大波長380nm:蛍光極大波長440nm)様の蛍光特性を有する。蛍光特性の異なる複数の本発明の蛍光タンパク質は、同一細胞内で同時に使用しても区別可能である。
Sirius様の蛍光特性を有する、F66を有する本発明の蛍光タンパク質においては、例えば励起光波長を365〜385nm付近に、好ましくは375nm付近に固定して、415〜435nm付近の、好ましくは425nm付近の波長における蛍光強度が測定される。また、CFP様の蛍光特性を有する、W66を有する本発明の蛍光タンパク質においては、例えば励起光波長を420〜440nm付近に、好ましくは430nm付近に固定して、470〜490nm付近の、好ましくは480nm付近の波長における蛍光強度が測定される。また、YFP様の蛍光特性を有する、Y66及びY203を有する本発明の蛍光タンパク質においては、例えば励起光波長を490〜515nm付近に、好ましくは515nm付近に固定して、520〜540nm付近の、好ましくは528nm付近の波長における蛍光強度が測定される。また、BFP様の蛍光特性を有する、H66を有する本発明の蛍光タンパク質においては、例えば励起光波長を370〜390nm付近に、好ましくは380nm付近に固定して、430〜450nm付近の、好ましくは440nm付近の波長における蛍光強度が測定される。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、65番目のアミノ酸残基がセリン(S)で置換され、66番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、148番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸(D)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる、蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号60のアミノ酸配列、又は、配列番号60に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる、蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグリシン(G)が挿入されたアミノ酸配列からなる、蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質の好ましい一実施形態は、配列番号61のアミノ酸配列、又は、配列番号61に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアルギニン(R)が挿入されたアミノ酸配列からなる、蛍光タンパク質である。
本発明の蛍光タンパク質の1つは、Siriusをベースとして作製され得る。野生型のGFPを含め、従来の蛍光タンパク質の蛍光強度は、周囲環境のpH変化に依存して変動する。しかしSiriusは、その蛍光強度がpH非依存的であることが知られている(Nagai, T. et al., Nature Methods, 2009, 6, 351-353)。したがって、Siriusを親タンパク質として作製された本発明の蛍光タンパク質は、好ましくは蛍光特性のpH感受性が低い。より好ましくは、本発明の蛍光タンパク質は、pH6.5〜8.0の範囲において蛍光特性のpH感受性が低い。ここで、「pH感受性が低い」とは、pHを変化させて、励起光波長を固定して蛍光極大波長における蛍光強度が測定されるとき、蛍光タンパク質の還元型の蛍光強度に対する酸化型の蛍光強度の比の変動率が通常70%以内のことである。
本発明の蛍光タンパク質は、親タンパク質(Sirius、mTurquoise、Venus又はEBFP2)に対して、アミノ酸変異を導入することで作製され得る。変異の導入方法については以下で詳述する。また、本発明の蛍光タンパク質は、例えばFmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)やtBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の、有機化学的合成方法、あるいは市販されている適当なペプチド合成機を用いて製造することもできる。
本発明の蛍光タンパク質は、それ単独の形態のみに制限されるものではなく、任意の改変、修飾等を加えた態様で使用することができる。例えば、第二のタンパク質との融合、タンパク質精製を容易とするためのペプチドタグ(例えばHisタグ、HQタグ、HNタグ、HATタグ)の付加、タンパク質に対する種々の化学修飾、ポリエチレングリコール等の高分子との結合、不溶性担体への結合、リポソームへの封入など、当業者に知られている多種の手法による加工が考えられる。
本発明の一態様は、本発明の蛍光タンパク質と、第二のタンパク質とが融合されてなる、融合タンパク質である。本発明の蛍光タンパク質と、第二のタンパク質とは、所定数のアミノ酸残基で構成されるアミノ酸配列を有するリンカーを介して連結される。リンカーを構成するアミノ酸配列及びそのアミノ酸残基数は、本発明の蛍光タンパク質の機能を阻害しない限り、任意に選択され得る。例えば、可動性リンカーである(GGSGG)が挙げられる。上記第二のタンパク質としては、特に限定されないが、例えば、ペルオキシダーゼ又はグルタレドキシンがある。特に、発明の蛍光タンパク質とペルオキシダーゼ又はグルタレドキシンとを融合させたタンパク質は、融合前の本発明の蛍光タンパク質と比較して、酸化還元感受性を向上させることができる。
本発明の融合タンパク質は、本発明の蛍光タンパク質をコードするDNA、及び第二のタンパク質をコードするDNAを、リンカーをコードするDNAと連結した形で組み換えベクターに挿入し、当該ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することで作製することができる。また、本発明の蛍光タンパク質と第二のタンパク質とを別々に作製し、それらを連結することで作製することもできる。本発明の蛍光タンパク質と第二のタンパク質とを連結する時期に特に限定はなく、それらを個別に作製後速やかに連結させてもよく、又はいずれか一方のタンパク質が作製されて特定の用途に使用された後に、他方のタンパク質と連結させてもよい。
本発明の一態様は、本発明の蛍光タンパク質、又は本発明の融合タンパク質をコードするDNAである。本発発明の蛍光タンパク質をコードするDNAは、配列番号44、80、81及び82からなる群から選択される塩基配列、又は、配列番号44、80、81及び82からなる群から選択される塩基配列に対して90%以上、好ましくは、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を有する塩基配列において、本発明の蛍光タンパク質を特徴付ける置換部位のアミノ酸に対応するコドンが、それぞれのアミノ酸置換に対応するコドンに置き換えられ、かつ、147番目と148番目のアミノ酸残基に対応するコドンの間に、挿入されるべきアミノ酸に対応するコドンが挿入された塩基配列からなる。
本発明の蛍光タンパク質をコードするDNAの作製方法は、特に限定されないが、親タンパク質(Sirius、mTurquoise、Venus及びEBFP2)をコードする、配列番号44、80、81及び82からなる群から選択される塩基配列、又は、配列番号44、80、81及び82からなる群から選択される塩基配列に対して90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなるDNAを基に、PCR、部位特異的変異法その他の一般的な遺伝子工学的手法によって作製することができる。また部位特異的変異等の遺伝子工学的手法は、例えばManiatis T. et al. (Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring harbor Laboratory, New York, 1982)及びその他の、当業者に広く利用されている実験操作マニュアル書に記載されている。
本発明の一態様は、本発明の蛍光タンパク質、又は本発明の融合タンパク質をコードするDNAを有する組み換えベクターである。本発明の組み換えベクターは、環状、直鎖状等いかなる形態のものであってもよく、また本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質をコードするDNAに加え、必要ならば他の塩基配列を有していてもよい。他の塩基配列としては、エンハンサー配列、プロモーター配列、リボゾーム結合配列、コピー数の増幅を目的として使用される塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基配列、ポリA付加配列、スプライシング配列、複製開始点、選択マーカーとなる遺伝子の塩基配列等が挙げられる。
遺伝子組み換えに際しては、適当な合成DNAアダプターを用いて翻訳開始コドンや翻訳終止コドンを本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質をコードするDNAに付加したり、あるいは塩基配列内に適当な制限酵素切断配列を新たに発生させたり、あるいは消失させたりすることも可能である。これらは当業者が通常行う作業の範囲内であり、当業者は本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質をコードするDNAを基に任意かつ容易に加工することができる。
また、本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質をコードするDNAを保持するベクターは、使用する宿主に応じた適当なベクターを選択すればよい。ベクターは、自律複製ベクター、すなわち宿主細胞の染色体複製とは無関係に自律的に複製可能なベクターであってもよい。また、宿主細胞のゲノムに統合され、統合された染色体と共に複製されるものであってもよい。例えば、プラスミドの他にバクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス等の種々のウイルスを用いることが可能である。
利用可能な市販の発現ベクターとしては、pcDM8(フナコシ社製)、pcDNAI(フナコシ社製)、pcDNAI/AmP(Invitrogen社製)、EGFP−C1(Clontech社製)、pREP4(Invitrogen社製)、pGBT−9(Clontech社製)、pet23a(Novagen社製)等を例示することができる。本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質の発現は、該タンパク質をコードする遺伝子固有のプロモーター配列の制御下に発現させることができる。あるいは、本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質をコードする塩基配列の上流に別の適当な発現プロモーターを連結して使用することもできる。その様な発現プロモーターは、宿主及び発現の目的に応じて適宜選択すればよく、例えば宿主が大腸菌である場合にはT7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、λPLプロモーターなどが、宿主が酵母である場合にはPHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはSV40由来プロモーター、レトロウィルスプロモーター、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等を挙げることができる。本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質をコードするDNAを上記に例示されたプロモーターに連結する、あるいは発現ベクターに組み込む等の操作も、前記Maniatis T. et al. (Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring harbor Laboratory, New York, 1982)及びその他の実験操作マニュアル書の記載に基づいて行うことができる。
本発明の一態様は、本発明の組み換えベクターにより形質転換された宿主細胞である。宿主細胞の例としては、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌、バチラス(Bacillus)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌、エルウニア(Erwinia)属細菌、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属細菌、ストレプトミセス(Streptomyces)属微生物、ザイモモナス(Zymomonas)属微生物、サッカロミセス(Saccharomyces)属酵母等の微生物、カイコなどの昆虫細胞、HEK293細胞、MEF細胞、Vero細胞、Hela細胞、CHO細胞、WI38細胞、BHK細胞、COS−7細胞、MDCK細胞、C127細胞、HKG細胞、ヒト腎細胞株等の動物細胞を挙げることができる。
宿主細胞に組み換えベクターを導入する方法としては、前記のManiatis T. et al. (Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring harbor Laboratory, New York, 1982)を初めとする実験操作マニュアル書に記載されている方法、例えば、エレクトロポレーション法、プロトプラスト法、アルカリ金属法、リン酸カルシウム沈澱法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等により行うことができる。Sf9やSf21等の昆虫細胞の利用については、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992)、及び、BIO/TECHNOLOGY vol. 6, 1988, page 47等に記載されている。
本発明の蛍光タンパク質又は本発明の融合タンパク質は、本発明の組み換えベクターを前記の宿主細胞内で発現させ、宿主細胞或いは培地から目的とするタンパク質を回収し、精製することによって得ることができる。タンパク質を精製する方法としては、タンパク質の精製に通常使用されている方法の中から適切な方法を適宜選択して行うことができる。すなわち、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等、通常使用され得る方法の中から適切な方法を適宜選択し、必要によりHPLCシステム等を使用して適当な順序で精製を行えば良い。
本発明の一態様は、細胞内の酸化還元状態をモニターする方法であって、本発明の蛍光タンパク質、又は融合タンパク質を前記細胞内に存在させ、前記蛍光タンパク質又は融合タンパク質の蛍光を検出し、検出された蛍光の蛍光強度に基づいて細胞内の酸化還元状態をモニターすることを含む方法である。当該方法において、細胞内に本発明の蛍光タンパク質、又は融合タンパク質を存在させるためには、本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質をコードするDNAを有する組み換えベクターを細胞へと形質転換し、当該細胞内で本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質を発現させるか、或いは、本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質を細胞内へ直接導入する。本発明の蛍光タンパク質又は融合タンパク質を細胞内へ直接導入する方法は特に限定されないが、例えば、カチオン性脂質をベースとしたタンパク質導入試薬などを使用して行われる。また、エレクトロポレーション法やマイクロインジェクション法によっても行われる。
上記における、蛍光タンパク質又は融合タンパク質の蛍光の検出は、特に限定されないが、例えば蛍光顕微鏡を使用して、又は分光蛍光光度計を使用して行われる。例えば検出される蛍光の蛍光強度を測定し、全てが酸化型となっている場合の当該タンパク質の蛍光強度、及び/又は全てが還元型となっている場合の当該タンパク質の蛍光強度と、測定された蛍光強度とを比較することで、細胞内の酸化還元状態がモニターできる。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は決して以下の実施例に限定されるものではなく、適宜変更を加えて実施することが可能である。
以下の比較例及び実施例において、親タンパク質(Sirius、mTurquoise、Venus及びEBFP2)からの変異体の作製は、部位特異的突然変異誘発法により行われた。使用されるプライマーの配列を以下の表1に示す。
Figure 2015091226
Figure 2015091226
ここで、表1及び2におけるプライマー名は「Primer_プライマー番号(F/R)−導入される変異(導入される順)」として表記される。「F」はフォワードプライマー、「R」はリバースプライマーを示す。例えば、Primer_4(F)−C147_S148insD(配列番号20)は、フォワードプライマーであり、C147_S148insDを導入するためのプライマーであることを示す。また、Primer_5(F)−C147_S148insD−I146N(配列番号22)は、フォワードプライマーであり、C147_S148insDが導入された後に、I146Nを導入するためのプライマーであることを示す。また、Primer_13(F)−Q65S+F66Wは(配列番号38)は、フォワードプライマーであり、Q65S及びF66Wを同時に導入するためのプライマーであることを示す。また、Primer_15(F)−C147_S148insE−S148D−I146G(配列番号42)は、フォワードプライマーであり、C147_S148insEが導入され、S148Dが導入された後に、I146Gを導入するためのプライマーであることを示す。その他のプライマーも同様に表記される。
比較例1:Sirius−S147C−Q204C(配列番号2)の作製
国際公開第2009/020197号に記載の方法で作製されたSiriusをコードするDNA(配列番号44)を、pet23a(Novagen社製)に組み込んだベクター(pet23a/Sirius)を鋳型として、PrimStar(登録商標)Mutagenesis Basal Kit(タカラバイオ社製)を使用した部位特異的突然変異誘発法により、Sirius(配列番号1)のS147C及びQ204Cのアミノ酸変異に対応する塩基配列の変異を配列番号44に導入した。
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、及び配列番号16及び17の組み合わせを使用した。
pet23a/Sirius 10pgを鋳型として、上記プライマー、並びにPrimeSTAR(登録商標)Max Premixを用いてPCR(50μl反応系)を行った。PCRは、98℃、10秒のDNA変性、55℃、15秒のアニーリング反応及び72℃、20秒の伸長・連結反応を1サイクルとして30サイクル行った。
作製した変異体を大腸菌BL21(DE3)に形質転換してLB +50μMアンピシリンプレート培地で一晩培養後、20mlの2×YT培地に植菌して37℃で約3時間前培養した。これを、1Lの2×YT培地に植菌して37℃で本培養し、吸光度0.4〜0.6のときに、終濃度1mMのIPTGを加え、培養温度を25℃に下げて一晩培養した。培養後の菌体を遠心により回収して、20mM Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、フレンチプレスを用いて破砕後、20000×Gで30分遠心して、Sirius−S147C−Q204Cを含む上清を得た。
上記の上清を70℃で30分間加熱し、大腸菌由来のタンパク質を変性させた。その後、20000×Gで15分間遠心し、変性タンパク質を除去した。遠心後の上清をTOYOPEARL Butyl−650カラム(東ソー社製)にアプライし、20%〜0%の間で溶出液中の硫酸アンモニウム濃度を連続的に低下させてフラクションを分取した。分画したフラクション中で夾雑物の少ない部分を一晩20mM Tris−HCl(pH8.0)溶液中で透析した後、Amicon Ultra 10K(メルクミリポア社製)を用いて濃縮し、Sirius−S147C−Q204Cを得た。得られたタンパク質を、終濃度20%になるようにグリセロールを加えて液体窒素で凍結し、保存した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号45とする。
比較例2:Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insA(配列番号3)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、並びに配列番号18及び19の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号46とする。
実施例1:Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insD(配列番号4)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、並びに配列番号20及び21の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号47とする。
実施例2:Oba−Qs(Sirius−I146N−S147C−Q204C−C147_S148insD)(配列番号5)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号20及び21、並びに配列番号22及び23の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号20及び21を用いてC147_S148insDに対応する変異を導入した後に、配列番号22及び23の組み合わせを使用してI146Nに対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号48とする。
実施例3:Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insE(配列番号6)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、並びに配列番号24及び25の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号49とする。
実施例4:Sirius−I146N−S147C−Q204C−C147_S148insE(配列番号7)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号24及び25、並びに配列番号26及び27の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号24及び25を用いてC147_S148insEに対応する変異を導入した後に、配列番号26及び27の組み合わせを使用してI146Nに対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号50とする。
実施例5:Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insL(配列番号8)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、並びに配列番号28及び29の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号51とする。
実施例6:Sirius−S147C−Q204C−C147_S148insR(配列番号9)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、並びに配列番号30及び31の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号52とする。
実施例7:Sirius−I146F−S147C−Q204C−C147_S148insR(配列番号10)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号30及び31、並びに配列番号32及び33の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号30及び31を用いてC147_S148insRに対応する変異を導入した後に、配列番号32及び33の組み合わせを使用してI146Fに対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号53とする。
実施例8:Sirius−I146N−S147C−Q204C−C147_S148insR(配列番号11)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号30及び31、並びに配列番号34及び35の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号30及び31を用いてC147_S148insRに対応する変異を導入した後に、配列番号34及び35の組み合わせを使用してI146Nに対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号54とする。
実施例9:Sirius−I146S−S147C−Q204C−C147_S148insR(配列番号12)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号30及び31、並びに配列番号36及び37の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号30及び31を用いてC147_S148insRに対応する変異を導入した後に、配列番号36及び37の組み合わせを使用してI146Sに対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号55とする。
実施例10:roCFP(Sirius−Q65S−F66W−I146G−S147C−S148D−Q204C−C147_D148insE)(配列番号13)の作製
変異を導入するためのプライマーとして、配列番号14及び15の組み合わせ、配列番号16及び17、配列番号24及び25、配列番号38及び39、配列番号40及び41、並びに配列番号42及び43の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。ただし、配列番号24及び25の組み合わせを用いてC147_S148insEに対応する変異を導入し、そして、配列番号40及び41の組み合わせを用いてS148D対応する変異を導入した後に、配列番号42及び43の組み合わせを用いてI146G対応する変異を導入した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号56とする。
実施例11:Oba−Qc(mTurquoise−I146G−S147C−Q204C−C147_D148insE)(配列番号62)の作製
mTurquoiseをコードするDNA(配列番号80)を、pet23a(Novagen社製)に組み込んだベクター(pet23a/mTurquoise)を鋳型として、変異を導入するためのプライマーとして、配列番号73及び74の組み合わせ、並びに配列番号78及び79の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。
実施例12:Oba−Qb(EBFP2−N146L−S147C−Q204C−C147_H148insD)(配列番号63)の作製
EBFP2をコードするDNA(配列番号81)を、pet23a(Novagen社製)に組み込んだベクター(pet23a/EBFP2)を鋳型として、変異を導入するためのプライマーとして、配列番号66及び67の組み合わせ、並びに配列番号68及び69の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。得られたOba−Qbを、C末端にpet23a由来のヒスチジンタグを含む配列(LEHHHHHH)を含む状態で実施例15に使用した。なお、GFP及びその変異体のC末端側の11アミノ酸は、一般的に蛍光特性に関与しない部分であり、その先に他のタンパク質を連結しても蛍光特性は変化しないことが知られている。
実施例13:Re−Qc(mTurquoise−I146W−S147C−Q204C−C147_D148insG)(配列番号64)の作製
mTurquoiseをコードするDNA(配列番号80)を、pet23a(Novagen社製)に組み込んだベクター(pet23a/mTurquoise)を鋳型として、変異を導入するためのプライマーとして、配列番号70及び71の組み合わせ、並びに配列番号72及び73の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。得られたRe−Qcを、C末端にpet23a由来のヒスチジンタグを含む配列(LEHHHHHH)を含む状態で実施例15に使用した。
実施例14:Re−Qy(Venus−N146W−S147C−Q204C−C147_H148insR)(配列番号65)の作製
VenusをコードするDNA(配列番号82)を、pet23a(Novagen社製)に組み込んだベクター(pet23a/Venus)を鋳型として、変異を導入するためのプライマーとして、配列番号74及び75の組み合わせ、並びに配列番号76及び77の組み合わせを使用した他は、比較例1と同様にして作製した。得られたRe−Qyを、C末端にpet23a由来のヒスチジンタグを含む配列(LEHHHHHH)を含む状態で実施例15に使用した。
実施例15:蛍光タンパク質の蛍光強度の測定
実施例1〜14並びに比較例1及び2で作製した蛍光タンパク質の1μM溶液を調製し、分光蛍光光度計FP−8500(日本分光株式会社)を使用して各蛍光タンパク質の蛍光強度を測定した。蛍光タンパク質の還元型の蛍光強度を測定する場合は、蛍光強度測定前に1 mM ジチオスレイトール(DTT)存在下で15分間室温で蛍光タンパク質を保温し、あらかじめ還元型とした。蛍光タンパク質の酸化型の蛍光強度を測定する場合は、蛍光強度測定前に、50μM塩化銅存在下にて15分間室温で蛍光タンパク質を保温し、あらかじめ酸化型とした。
比較例1及び2、並びに実施例1〜9で作製した蛍光タンパク質においては、分光蛍光光度計の感度をmediumに設定し、蛍光波長425nmとし、励起・蛍光バンド幅を共に5nmに設定して、250nm〜400nmの範囲で励起スペクトルを測定した。極大蛍光波長(375nm付近)における各蛍光タンパク質の蛍光強度を記録した。
実施例10、11及び13で作製した蛍光タンパク質の蛍光強度は、蛍光波長480nmで250〜460nmの範囲で励起スペクトルを測定し、極大励起波長(430nm付近)における蛍光タンパク質の蛍光強度を記録した。
実施例12で作製した蛍光タンパク質の蛍光強度は、蛍光波長440nmで250〜500nmの範囲で励起スペクトルを測定し、極大励起波長(380nm付近)における蛍光タンパク質の蛍光強度を記録した。
実施例14で作製した蛍光タンパク質の蛍光強度は、蛍光波長525nmで250〜518nmの範囲で励起スペクトルを測定し、極大励起波長(515nm付近)における蛍光タンパク質の蛍光強度を記録した。
各蛍光タンパク質の酸化型及び還元型の蛍光強度を図1A及びBに示す。
また、各蛍光タンパク質の還元型及び酸化型の蛍光強度の内、いずれか高い方に対する他方の蛍光強度との比を図2A及びBに示す。
比較例1(Sirius−S147C−Q204C)の場合、酸化型と還元型とで蛍光強度に差はなかった。しかし、比較例1の蛍光タンパク質の147番目と148番目のアミノ酸の間に特定のアミノ酸(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)又はアルギニン(R))を挿入することで、還元型と比較して酸化型の蛍光強度が低下した(実施例1、3、5及び6)。特に、実施例1の蛍光タンパク質では、還元型に対する酸化型の蛍光強度比率が約40%であった。しかし、147番目と148番目のアミノ酸の間にアラニン(A)を挿入した場合には、還元型と酸化型との間で蛍光強度に差はなかった(比較例2)。
実施例1、3、5及び6の蛍光タンパク質の146番目のアミノ酸を、特定のアミノ酸(アスパラギン(N)、フェニルアラニン(F)、セリン(S))でさらに置換した。その結果、還元型と比較して酸化型の蛍光強度がさらに低下した(実施例2、4及び7〜9)。特に、実施例2の蛍光タンパク質は、還元型に対する酸化型の蛍光強度比率が20%以下であった。実施例2の蛍光タンパク質が酸化されたときに示すこのような極めて顕著な消光効果に基づいて、本明細書では当該タンパク質をOba−Qs(oxidation balance sensed quenching protein derived from serius)とも呼ぶ。
実施例10で作製した蛍光タンパク質(roCFP)は、実施例3の蛍光タンパク質にさらに変異を施したものである。具体的には、CFPの構造を参考として蛍光発光に関与するアミノ酸に変異を導入することで、CFP様の蛍光特性を示すようになった(励起極大波長435nm、蛍光極大波長480nm)。これは、Sirius変異体である実施例1〜9の蛍光タンパク質の蛍光特性(励起極大波長約375nm、蛍光極大波長約425nm)とは大きく異なる。なお、還元型と比較して酸化型の蛍光強度が低い点という本発明の蛍光タンパク質の特徴は失われていない(図1A及び2A)。したがって、実施例10の蛍光タンパク質と実施例1〜9のいずれか1つの蛍光タンパク質とを同時に使用すれば、従来よりも示差性に優れた解析が可能となり得る。
実施例11及び実施例12で作製した蛍光タンパク質は、親タンパク質として、それぞれmTurquoise及びEBFP2を採用した変異体である。それぞれ、mTurquoise及びEBFP2の蛍光特性を保持しつつ、還元型と比較して酸化型の蛍光強度が低い点という本発明の蛍光タンパク質の特徴は失われていない(図1B及び2B)。実施例11及び12の蛍光タンパク質が酸化されたときに示す極めて顕著な消光効果に基づいて、本明細書では実施例11及び12の蛍光タンパク質を、それぞれOba−Qc(oxidation balance sensed quenching protein derived from CFP)及びOba−Qb(oxidation balance sensed quenching protein derived from BFP)とも呼ぶ。
実施例13及び実施例14で作製した蛍光タンパク質は、親タンパク質として、それぞれmTurquoise及びVenusを採用した変異体である。それぞれ、mTurquoise及びVenusの蛍光特性を保持していた。そして驚くべきことに、実施例1〜12の蛍光タンパク質とは異なり、酸化型と比較して還元型の蛍光強度が著しく低下することが明らかとなった(図1B及び2B)。実施例13及び14の蛍光タンパク質が還元されたときに示すこのような極めて顕著な消光効果に基づいて、本明細書では実施例13及び14の蛍光タンパク質を、それぞれRe−Qc(reduction sensed quenching protein derived from CFP)及びRe−Qy(reduction sensed quenching protein derived from YFP)とも呼ぶ。
図3Aは、Oba−Qs(配列番号5)の、酸化型及び還元型のそれぞれにおける励起スペクトル及び蛍光スペクトルである。また、還元型から酸化型へと変換した後、再度還元型へと変換したものを、再還元型として示す。励起スペクトルは、蛍光波長425nmとし、250nm〜400nmの範囲で測定した。蛍光スペクトルは、励起光波長を375nmとして測定した。図3Aで示される通り、本発明の蛍光タンパク質の励起スペクトルの極大励起波長における蛍光強度は、蛍光スペクトルの極大蛍光波長における蛍光強度とほぼ同一である。したがって、励起スペクトル測定により得られた極大蛍光波長(430nm付近)における蛍光強度の値は、蛍光スペクトルの極大励起波長における蛍光強度の値と同等とみなすことができる。
図3Bは、Re−Qy(配列番号65)の、酸化型及び還元型のそれぞれにおける励起スペクトル及び蛍光スペクトルである。励起スペクトルは、蛍光波長525nmとし、250nm〜518nmの範囲で測定した。蛍光スペクトルは、励起光波長を510nmとして測定した。図3AのOba−Qsの場合と異なり、Re−Qyの還元型の励起スペクトル及び蛍光スペクトルにおける蛍光強度は、酸化型の励起スペクトル及び蛍光スペクトルにおける蛍光強度と比較して著しく低下した。
実施例16:Oba−QsとAtGpx1との融合タンパク質(Oba−Qs−AtGpx1)(配列番号57)の作製
実施例2で作製された、pet23aにOba−Qsに対応する塩基配列が挿入されたベクター(oba−Qs/pet23aと称する)に対して、シロイナズナのグルタチオンペルオキイダーゼ1(AtGpx1)に対応する塩基配列を挿入した。さらに、Oba−Qに対応する塩基配列とAtGpx1に対応する塩基配列との間に、可動性リンカーである(GGSGG)に対応する塩基配列を挿入した。得られたベクターを、Oba−Qs−AtGpx1/pet23aと称する。
Oba−Qs−AtGpx1/pet23aを、大腸菌BL21(DE3)に形質転換してLB +50μMアンピシリンプレート培地で一晩培養後、20mlの2×YT培地に植菌して37℃で約3時間前培養した。これを、1Lの2×YT培地に植菌して37℃で本培養し、吸光度0.4〜0.6のときに、終濃度1mMのIPTGを加え、培養温度を25℃に下げて一晩培養した。培養後の菌体を遠心により回収して、20mM Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、フレンチプレスを用いて破砕後20000×Gで30分遠心して、Oba−Qs−AtGpx1を含む上清を得た。
得られた上清を、Ni−NTAカラム(QIAGEN社製)にアプライし20mMイミダゾール−20mM Tris−HCl(pH8.0)を含む洗浄バッファーで洗浄後、100mMイミダゾール、20mM Tris−HCl(pH8.0)を用いて溶出した。分画したフラクション中で夾雑物の少ない部分を一晩20mM Tris−HCl(pH8.0)溶液中で透析した後、Amicon Ultra 10K(メルクミリポア社製)を用いて濃縮し、Oba−Qs−AtGpx1を得た。得られた融合タンパク質を、終濃度20%になるようにグリセロールを加えて液体窒素で凍結し、保存した。なお、得られたタンパク質をコードするDNAを配列番号58とする。
実施例17:Hの添加による、Oba−Qs及びOba−Qs−AtGpx1の蛍光強度の経時変化の測定
あらかじめ500μMのDTTで還元した10μMのOba−Qs溶液、及びOba−Qs−AtGpx1溶液(いずれも脱気済み)を、50mMのトリシンバッファーで100倍に希釈したもの(タンパク質の終濃度100nM)をそれぞれサンプルとして使用した。分光蛍光光度計FP−8500(日本分光株式会社)を使用して各サンプルの蛍光強度を測定した。分光蛍光光度計の感度をmediumに設定し、励起波長375nmとし、励起・蛍光バンド幅を共に5nmに設定して、蛍光波長425nmにおける蛍光強度を10秒ごとに測定した。測定開始1分後に所定の濃度のHを加え、蛍光強度の経時変化を観察した(図4、5)。
Oba−Qs単体(図4)では、測定開始100秒後(10mMのH添加40秒後)に蛍光強度は30%程度低下した。一方、Oba−Qs−AtGpx1(図5)では、測定開始100秒後(10mMのH添加40秒後)に蛍光強度は60%も低下した。本発明の蛍光タンパク質をペルオキシダーゼと融合することで、酸化還元感受性をさらに向上させることができた。
本発明の蛍光タンパク質は、励起スペクトルを測定することなく、細胞内における酸化還元状態の変化を、蛍光強度に基づいて簡便にモニターすることができる。また、蛍光特性の異なる複数の本発明の蛍光タンパク質を同時に使用すると、従来よりも示差性に優れた解析が可能となる。

Claims (13)

  1. 配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列、又は、配列番号1、59、60及び61からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間に、グリシン(G)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)及びアルギニン(R)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列からなる蛍光タンパク質。
  2. 前記アミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)、トリプトファン(W)、アスパラギン(N)、フェニルアラニン(F)、セリン(S)及びグリシン(G)からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸でさらに置換された、請求項1に記載の蛍光タンパク質。
  3. 配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がアスパラギン(N)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  4. 配列番号1のアミノ酸配列、又は、配列番号1に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、65番目のアミノ酸残基がセリン(S)で置換され、66番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、148番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸(D)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  5. 配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がグリシン(G)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグルタミン酸(E)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  6. 配列番号60のアミノ酸配列、又は、配列番号60に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がロイシン(L)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアスパラギン酸(D)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  7. 配列番号59のアミノ酸配列、又は、配列番号59に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にグリシン(G)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  8. 配列番号61のアミノ酸配列、又は、配列番号61に対して90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列において、146番目のアミノ酸残基がトリプトファン(W)で置換され、147番目及び204番目のアミノ酸残基がシステイン(C)で置換され、かつ147番目と148番目のアミノ酸残基との間にアルギニン(R)が挿入されたアミノ酸配列からなる、請求項2に記載の蛍光タンパク質。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質と、第2のタンパク質とが融合されてなる、融合タンパク質。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質又は請求項5に記載の融合タンパク質をコードするDNA。
  11. 請求項10に記載のDNAを有する組み換えベクター。
  12. 請求項11に記載の組み換えベクターにより形質転換された宿主細胞。
  13. 細胞内の酸化還元状態をモニターする方法であって、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光タンパク質、又は請求項9に記載の融合タンパク質を細胞内に存在させ、前記蛍光タンパク質又は融合タンパク質の蛍光を検出し、検出された蛍光の蛍光強度に基づいて細胞内の酸化還元状態をモニターすることを含む方法。
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