JP2015090290A - 保守システム - Google Patents

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康弘 米谷
一徳 水本
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一徳 水本
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Abstract

【課題】作業者に過大な負担をかけることなく、ガス濃度測定装置の保守作業を行う。【解決手段】保守システム100は、ガス分析部11と、信号出力部13と、データ取得部15と、保守端末25と、を備える。ガス分析部11は、導入された試料ガス、保守ガス及び基準ガスに基づいた検出信号を出力する。信号出力部13は、処理信号と保守出力信号とを出力する。データ取得部15は、保守作業の実行時に、保守出力信号を第1のサンプリング周期T1にて取得する。そして、データ取得部15は、取得した保守出力信号を保守データとして出力する。保守端末25は、保守データを受信し保守データの波形を表示する。保守システム100においては、第1のサンプリング周期T1は第2のサンプリング周期T2よりも短い。【選択図】図2

Description

本発明は、試料ガス中の所定成分の濃度を測定するガス濃度測定装置に関する。
従来、非分散紫外線吸収法(NDUV、Non−dispersive Ulta Violet absorption method)など、測定対象である試料ガスを通過した測定光の吸収量などに基づいて、所定成分のガス濃度測定を行うガス濃度測定装置が知られている。例えば、特許文献1には、光源部と、試料セル部と、検出部からなる紫外線吸収式(NDUV式)測定装置が開示されている。
特開2004−138467号公報
従来のNDUV式測定装置などのガス濃度測定装置においては、ガス濃度測定装置の調整又は保守作業を行う際にセンサ出力などの出力信号を観測する際、オシロスコープなどの波形測定装置が用いられていた。
このような、波形測定装置を用いて出力信号を観測するために、調整又は保守作業を行う作業者は、波形測定装置のプローブを、ガス濃度測定装置の電子基板に接続する必要があった。このような作業は、ガス濃度測定装置の筐体を開けるなどの作業が伴うので、保守作業に時間がかかっていた。
また、波形測定装置を用いて調整又は保守作業を行う際、作業者は、波形測定装置の画面を見ながらガス濃度測定装置の調整を行う必要があった。このような作業は、作業者に大きな負担を掛けることになる。なぜなら、波形測定装置の画面とガス分析装置の調整部との両方を見ながらの作業は、作業者に無駄な動作をさせることになるからである。
本発明の課題は、作業者に過大な負担をかけることなく、ガス濃度測定装置の保守作業を行うことができる保守システムを提供することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る保守システムは、ガス分析部と、信号出力部と、データ取得部と、保守端末と、を備える。ガス分析部は、導入されたガスに基づいた検出信号を出力する。信号出力部は、処理信号と保守出力信号とを出力する。処理信号とは、検出信号に対して所定の信号処理を行った信号のことを言う。保守出力信号とは、信号処理の過程における信号である。データ取得部は、保守作業の実行時に、保守出力信号を第1のサンプリング周期にて取得する。保守出力信号とは、信号出力部における信号処理の過程における信号のことを言う。そして、データ取得部は、取得した保守出力信号を保守データとして出力する。保守端末は、保守データを受信し保守データの波形を表示する。
また、保守システムにおいては、第1のサンプリング周期は第2のサンプリング周期よりも短い。第2のサンプリング周期とは、ガス分析の実行時に処理信号をサンプリングする周期である。
上記の保守システムにおいて保守作業を実行する際、まず、ガス分析部が、導入されたガスに基づいた検出信号を出力する。次に、信号出力部において、検出信号に対して所定の信号処理が行われる。このとき、信号出力部から、信号処理の過程における信号が保守出力信号として出力されている。このとき、データ取得部が、保守信号出力から出力される保守出力信号を、第1のサンプリング周期にて取得する。取得された保守出力信号は、保守データとしてデータ取得部から出力される。
データ取得部から保守データを受信すると、保守端末は保守データの波形を表示する。
この保守システムにおいては、保守端末に表示される保守データの波形は、保守出力信号の波形を再現できる。なぜなら、保守出力信号を取得する第1のサンプリング周期が、ガス分析の実行時において処理信号を取得する第2のサンプリング周期よりも短いからである。
これにより、保守作業を行う作業者は、保守端末に表示された保守データの波形を参照することにより、他の機器などを接続することなく、保守出力信号(検出信号に対する信号処理の過程における信号)の波形を観測できる。その結果、作業者に対して過大な負荷がかかることなく、ガス分析部の保守作業を行える。
また、第2のサンプリング周期が第1のサンプリング周期より長いことにより、ノイズなどにより処理信号が変動しても、その変動に影響されることなく、濃度測定データを取得できる。つまり、濃度測定データ用にノイズ処理することが可能となり、その結果、精度よく所定成分の濃度を測定できる。
信号出力部は、同期整流部を有していてもよい。同期整流部は、同期信号を用いて検出信号に対して同期整流処理を行う。同期信号とは、同期周期にて周期的に変化する信号である。また、同期整流処理は信号処理に含まれる。すなわち、信号出力部における信号処理の1つに、同期整流処理がある。
これにより、検出信号中の同期周期以下の周期にて変動する信号成分を取り除ける。
ガス分析部において、成分含有ガスと基準ガスとが、導入周期にて交互に導入されてもよい。成分含有ガスとは、所定の成分を含むガスのことである。基準ガスとは、ベースラインを決定するガスである。
また、検出信号は、出力信号値とベースラインとの間を、導入周期に対応する周期にて周期的に変化する信号である。出力信号値とは、成分含有ガスを測定した際の出力信号のことを言う。ベースラインとは、基準ガスを測定した際に出力される出力信号のことを言う。
これにより、出力信号のノイズを低減できる。また、ベースラインのドリフトがないので、ベースライン(ゼロ点)を長期間一定値とできる。さらに、ガス分析部を汚染する成分含有ガスが長時間にわたり導入されることがなくなるため、ガス分析部の汚染を抑制できる。
同期周期は導入周期と一致してもよい。これにより、成分含有ガスと基準ガスとを交互に導入して所定成分の濃度を測定する際、成分含有ガスと基準ガスとを入れ替える導入周期に対応して、適切な同期整流処理を行える。
ガス分析部は、照射部をさらに有していてもよい。照射部は、測定光を照射する。このとき、ガス分析部は、ガス分析部に導入されたガスを通過した測定光の強度に基づいた信号を、検出信号として出力する。
これにより、ガスに基づく検出信号を、測定光を用いて精度よく測定できる。
保守システムは、設定出力部をさらに備えていてもよい。設定出力部は、保守データに基づいてガス分析部の設定を行い、設定した設定情報を出力する。これにより、保守作業を行う作業者は、保守データの波形を参照しながら、保守データの波形が表示された保守端末を使用して、保守作業を行える。その結果、作業者に対して過大な負荷がかかることなく、ガス分析部の保守作業を行える。
保守作業は、同期信号の位相の調整を行う作業を含んでいてもよい。これにより、検出信号の変動状態などが変化して、同期整流部が検出信号を適切に同期整流できなくなった場合でも、適切に同期整流可能となるよう、同期整流部を調整できる。
作業者に過大な負担をかけることなく、ガス分析部の保守作業を行える。
保守システムの全体構成を示す図 分析ユニットの構成を示す図 同期整流部の構成を示す図 保守ユニットの構成を示す図 表示フレームの構成を示す図 保守システムにおいて同期信号シフト位相を調整する保守作業を実行する場合の処理を示すフローチャート 切替制御部の制御信号と検出部からの検出信号波形を時間軸上に示す図 切替制御部の制御信号と、直流成分を除去した後の検出信号と、同期信号波形と、同期整流後の波形とを時間軸上に示す図 適切でない同期整流信号が得られたときの同期整流信号波形を示す図 第2のサンプリング周期にて処理信号及び保守出力信号をサンプリングした場合のサンプリング波形を示す図 第1のサンプリング周期にて処理信号及び保守出力信号をサンプリングした場合のサンプリング波形を示す図
(1)第1実施形態
1.保守システムの全体構成
まず、第1実施形態に係る保守システム100の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、保守システムの全体構成を示す図である。
保守システム100は、ガス中の所定成分の濃度を測定する装置の保守を行うシステムである。保守システム100は、分析ユニット1と保守ユニット2とを備える。
分析ユニット1は、ガスを導入可能である。そして、分析ユニット1は、導入されたガスに基づいた信号を出力する。
本実施形態において、分析ユニット1に導入可能なガスは、成分含有ガス(後述)と、基準ガス(後述)である。
成分含有ガスは、分析ユニット1において分析の対象となる所定成分を含むガスである。成分含有ガスに含有されている所定成分としては、例えば、窒素化合物(NOx、NHなど)、硫黄化合物(SOx)、炭素化合物(CO、COなど)のガスである。これらの所定成分が、例えば、窒素又は空気などに含有したガスが、成分含有ガスである。従って、成分含有ガスとしては、排気ガスなどの試料ガス(測定対象となるガス)、及び、上記の所定成分が予め決められた濃度だけ窒素又は乾燥空気などに混合した混合ガス(スパンガスなど)などがある。ここでは、特に後者の混合ガスを「保守ガス」と呼ぶこともある。
本実施形態においては、成分含有ガスは、試料ガス又は保守ガスである。
基準ガスは、分析ユニット1における検出信号(後述)のベースラインを決定するガスである。従って、基準ガスとしては、測定対象となる試料ガスの所定成分以外の成分が選択できる。例えば、基準ガスとしては、窒素又は乾燥空気を選択できる。
分析ユニット1は、保守ユニット2(後述)と信号送受信可能に接続されている。従って、分析ユニット1は、保守ユニット2に対して信号(保守データ(後述))を出力できる。また、分析ユニット1は、保守ユニット2から信号を受信できる。
なお、分析ユニット1の構成の詳細については後述する。
保守ユニット2は、分析ユニット1の保守作業を行うための装置である。そのため、保守ユニット2は、分析ユニット1に信号送受信可能に接続されている。このため、保守ユニット2は、分析ユニット1から、分析ユニット1において出力される出力信号(保守データ)を受信できる。
また、保守ユニット2においては、保守ユニット2の保守端末25(図4)に受信した上記出力信号を表示可能となっている。後述するように、保守端末25にて受信する出力信号は保守データである。よって、保守端末25は、保守データの波形を表示できる。
さらに、本実施形態の保守ユニット2においては、保守端末25を用いて、分析ユニット1の各種設定を行えるようになっている。従って、保守作業を行う作業者は、保守端末に表示されている保守データの波形に基づいて、保守端末25を用いて、分析ユニット1の各種設定を実行できる。
上記のように、保守ユニット2は分析ユニット1と信号送受信可能に接続されている。このため、保守ユニット2は、作業者により設定された分析ユニット1の各種設定を、分析ユニット1に送信できる。これにより、作業者は、保守ユニット2の保守端末25を操作するだけで分析ユニット1の保守作業を行える。その結果、作業者に対して作業時に過大な負荷がかかることがなくなる。
なお、保守ユニット2と分析ユニット1とは、LAN(Local Area Network)及び/又はWAN(Wide Area Network)などのネットワークを用いて信号送受信可能に接続されていてもよい。これにより、分析ユニット1の設置場所とは異なる場所においても、保守ユニット2を使用できる。
なお、保守ユニット2の構成の詳細については後述する。
2.分析ユニットの全体構成
次に、本実施形態の分析ユニット1の構成について、図2を用いて説明する。図2は、分析ユニット1の構成を示す図である。まず、分析ユニット1の全体構成について説明する。
分析ユニット1は、ガス分析部11と、信号出力部13と、データ取得部15と、測定信号取得部17と、を備える。ガス分析部11は、ガス(本実施形態においては、上記の成分含有ガス(試料ガス又は保守ガス)及び基準ガス)を導入可能になっている。そのため、ガス分析部11は、導入された上記ガスに基づいた検出信号を出力する。
信号出力部13は、ガス分析部11と信号送受信可能に接続されている。これにより、信号出力部13は、ガス分析部11から検出信号を入力できる。
また、信号出力部13は、入力した検出信号に対して所定の信号処理を行った処理信号と、上記の信号処理の過程における保守出力信号とを出力する。
なお、信号出力部13の構成については、後ほど説明する。
データ取得部15は、信号出力部13の出力B(後述)に電気的に接続されている。従って、データ取得部15は、出力Bから、信号出力部13における上記の信号処理の過程における信号(保守出力信号)を入力できる。図2に示す例では、出力Bからは、同期整流部1301(後述)から出力された信号(すなわち、同期整流処理後の検出信号)が出力される。
データ取得部15は、入力された信号を、第1のサンプリング周期Tにてサンプリングして出力する。すなわち、データ取得部15は、保守出力信号(本実施形態においては、同期整流処理後の検出信号)を第1のサンプリング周期Tにてサンプリング(取得)する。そして、データ取得部15は、取得した保守出力信号を保守データとして出力する。
データ取得部15としては、例えば、所定の周期にてアナログ信号を取得し、取得したアナログ信号をデジタル信号として出力するA/D変換器などを用いることができる。
測定信号取得部17は、信号出力部13の出力A(後述)に電気的に接続されている。すなわち、測定信号取得部17は、信号平滑部1303(後述)の出力に電気的に接続されている。従って、測定信号取得部17は、分析ユニット1においてガス分析を実行中に(試料ガスの所定成分の濃度の測定において)、処理信号(同期整流処理され、さらに信号平滑化処理された検出信号)を第2のサンプリング周期T毎にサンプリングする。そして、測定信号取得部17は、上記サンプリングした出力信号を、濃度測定データとして出力する。
これにより、分析ユニット1内、又は、分析ユニット1に接続された端末などにおいて、上記の濃度測定データに基づき、試料ガス(成分含有ガス)の所定成分のガス濃度を算出できる。
測定信号取得部17としては、例えば、所定の周期にてアナログ信号を取得し、取得したアナログ信号をデジタル信号として出力するA/D変換器などを用いることができる。
また、データ取得部15における第1のサンプリング周期Tは、測定信号取得部17における第2のサンプリング周期Tよりも短く設定されている。これにより、データ取得部15は、保守データにおいて保守出力信号の波形を再現できる。なお、第1のサンプリング周期Tを第2のサンプリング周期Tよりも短くする効果については、後述する。
一方、第2のサンプリング周期Tを十分大きくすることにより、ノイズなどにより信号平滑部1303から出力される信号が変動しても、その変動に影響されることなく、処理信号を取得できる。つまり、濃度測定データ用にノイズ処理することが可能となり、その結果、精度よく所定成分の濃度を測定できる。
また、以下に示す例においては、分析ユニット1は、1のガス分析部11と1の信号出力部13を備えているが、これに限られない。分析ユニット1は、所定成分毎に複数のガス分析部11と複数の信号出力部13と、を備えていてもよい。
以下、ガス分析部11及び信号出力部13のそれぞれの構成について説明していく。
2−1.ガス分析部の構成
まず、分析ユニット1のガス分析部11の構成について、図2を用いて説明する。図2は、分析ユニット1の詳細構成を示す図である。
図2に示す分析ユニット1において用いられているガス分析部11は、NDUV法を用いた所定成分の濃度を測定するためのガス濃度測定装置である。しかし、ガス分析部11としては、NDUV法を用いたものに限られず、例えば、非分散赤外線吸収法(NDIR、Non−Dispersive InfraRed absorption method)を用いたガス濃度測定装置、又は、化学発光法(CLD、Chemical Luminescence Detection method)を用いたガス濃度測定装置などを用いることもできる。
また、分析ユニット1が複数のガス分析部11を備える場合は、それぞれのガス分析部11におけるガス濃度測定法は異なっていてもよい。
また、以下に示す例においては、ガス分析部11は、成分含有ガスとして、上記の試料ガスと保守ガスとを導入可能となっている。試料ガスは、ガス分析部11においてガス分析を実行する際に導入されるものとする。一方、保守ガスは、ガス分析部11において保守作業を実行する際に導入されるものとする。
ガス分析部11は、試料セル1101と、照射部1103と、検出部1105と、第1ガス切替部1107と、第2ガス切替部1109と、切替制御部1111と、を有する。
試料セル1101は、2つのガス導入口を備えている。試料セル1101の一方のガス導入口は、第2ガス切替部1109(後述)のガス口cと、ガス流通(ガス口cから上記一方のガス導入口へのガス流通)可能に接続されている。これにより、試料セル1101の内部には、第2ガス切替部1109のガス口cからガスを導入できる。
また、試料セル1101の他方のガス導入口は、吸引ポンプなどの排気装置に接続されている。このため、試料セル1101の内部に導入された基準ガス、保守ガス、又は試料ガスは、他方のガス導入口から排出される。
照射部1103は、測定光を照射するための光源である。照射部1103は、光学窓など光学的に透明な窓を介して、試料セル1101の内部に測定光を導入可能に取り付けられている。これにより、照射部1103は、試料セル1101の内部の基準ガス、保守ガス、又は試料ガスに測定光を照射できる。
本実施形態においては、ガス分析部11はNDUV法を用いたガス濃度測定装置であるので、照射部1103としては、紫外線領域の光を発生する光源が用いられる。紫外線領域の光を発生する光源としては、例えば、水銀ランプなどのUVランプを用いることができる。
検出部1105は、光学窓を介して、試料セル1101の照射部1103が取り付けられている側とは反対側に、照射部1103に対向するように取り付けられている。このため、検出部1105は、照射部1103から照射される測定光を受光可能となっている。
そして、検出部1105は、受光した測定光の強度に基づいた電気信号を発生する。ここでは、受光した測定光の強度に基づいた電気信号を「検出信号」と呼ぶことにする。
後述するように、検出信号は、信号出力部13(後述)に入力され、所定の信号処理(本実施形態においては、同期整流処理及び信号平滑化処理)がなされる。
従って、検出部1105としては、受光した光の強度に基づいた電気信号を発生可能な受光素子を用いることができる。本実施形態においては、測定光として紫外線領域の光が用いられているので、受光素子としては、例えば、紫外線領域の光の受光に対応したフォトダイオードなどを用いることができる。
なお、検出部1105と、検出部1105と試料セル1101とを隔てている光学窓との間に、特定の紫外線波長の光のみを通過させるフィルタを備えていてもよい。これにより、当該フィルタを通過した特定の波長の光のみを検出部1105において検出可能となる。これにより、ガス分析部11におけるガス濃度の測定精度が向上する。
第1ガス切替部1107は、3つのガス口a、b、及びcを備えた三方バルブである。第1ガス切替部1107は、バルブの切替により、第1ガス切替部1107のガス流路をガス口aとガス口c間のガス流路、又は、ガス口bとガス口c間のガス流路へ切り替え可能となっている。
第1ガス切替部1107のガス口aには、測定対象となる試料ガスが導入可能となっている。一方、ガス口bには、保守作業に用いる保守ガスが導入可能となっている。また、ガス口cは、第2ガス切替部1109(後述)のガス口aにガス導入可能に接続されている。
そのため、第1ガス切替部1107は、バルブの切替により、第2ガス切替部1109のガス口aに、試料ガス又は保守ガスのいずれかを選択して導入できる。
第2ガス切替部1109は、3つのガス口a、b、及びcを備えた電磁三方バルブである。第2ガス切替部1109は、電磁バルブの切替により、第2ガス切替部1109のガス流路をaとc間のガス流路、又は、bとc間のガス流路へ切り替え可能となっている。
第2ガス切替部1109のガス口aは、上記のように、第1ガス切替部1107のガス口cと、ガス流通(ガス口cからガス口a方向へのガス流通)可能に接続されている。一方、ガス口bには、基準ガスが導入可能となっている。また、ガス口cは、上記のように、試料セル1101の一方のガス導入口とガス流通可能(ガス口cから試料セル1101内部方向のガス流通)に接続されている。
そのため、第2ガス切替部1109は、電磁バルブの切替により、試料セル1101内部に、試料ガス、保守ガス、又は基準ガスのいずれかを選択して導入できる。
ここで、基準ガスとは、ガス分析部11においてベースラインを決定するためのガスのことを言う。また、ベースラインとは、検出部1105からの出力信号に基づいて所定成分の濃度を測定する際の基準となる検出部1105からの出力信号のことを言う。本実施形態においては、試料ガス又は保守ガスを通過した測定光の強度に基づいて出力される測定出力信号とベースラインとの差分から、試料ガス又は保守ガスの所定成分の濃度が算出される。
従って、基準ガスとしては、例えば、窒素ガス又は乾燥空気を用いることができる。
切替制御部1111は、第2ガス切替部1109の電磁バルブと電気的に接続されている。これにより、切替制御部1111は、第2ガス切替部1109の電磁バルブを制御できる。本実施形態においては、切替制御部1111からは、導入周期Tの周期を有する方形波が出力信号として出力される。これにより、第2ガス切替部1109のガス口cから試料セル1101内部へと、試料ガス又は保守ガスと、基準ガスとが導入周期Tにて交互に導入される。
また、切替制御部1111は、同期整流部1301(後述)と信号送受信可能に接続されている。そのため、切替制御部1111は、第2ガス切替部1109の電磁バルブを制御している方形波を同期整流部1301に出力できる。
このように、導入周期Tにて、試料ガス又は保守ガスと、基準ガスとを交互に試料セル1101内部に導入することにより、検出部1105においては、試料ガス又は保守ガス(の所定成分の濃度)を測定した際の信号値とベースラインの信号値とが、導入周期Tに対応する周期にて交互に出力される。すなわち、検出信号は、導入周期Tに対応する周期にて周期的に変化する信号となる。
その結果、信号出力部13から出力される出力信号のノイズを低減できる。また、ベースラインのドリフトがないので、ベースライン(ゼロ点)を長期間一定値とできる。さらに、ガス分析部11を汚染する成分含有ガスが長時間にわたり導入されることがなくなるため、ガス分析部11の汚染を抑制できる。
2−2.信号出力部の構成
次に、信号出力部13の構成について説明する。信号出力部13は、ガス分析部11から入力された検出信号を信号処理して処理信号として出力する。本実施形態において、上記の信号処理は、同期整流処理と信号平滑化処理である。従って、信号出力部13は、同期整流部1301と信号平滑部1303と、を有する。
同期整流部1301は、ガス分析部11の検出部1105と電気的に接続されている。従って、同期整流部1301は、同期周期Tにて周期的に変化する同期信号を用いて、検出部1105から出力される検出信号に対して同期整流処理を行う。
同期整流とは、例えば、同期信号の立ち上がり及び立ち下がりのそれぞれのタイミングにて信号の符号を変化する信号整流方法である。これにより、後段の信号平滑部1303(後述)において、同期周期T以下の周期の信号成分を減少できる。本実施形態においては、同期信号は、周期が同期周期Tである方形波である。
また、同期整流部1301は、上記のように、ガス分析部11の切替制御部1111と信号送受信可能に接続されている。従って、同期整流部1301は、切替制御部1111から出力される信号に基づいて、同期整流処理を実行できる。
さらに、同期整流部1301は、保守ユニット2から保守情報を入力可能となっている。従って、同期整流部1301は、保守ユニット2により調整可能となっている。本実施形態においては、保守ユニット2により、同期信号の位相(同期信号シフト位相(後述))を調整可能となっている。
なお、同期整流部1301の構成の詳細については、後述する。
信号平滑部1303は、出力B(後述)を介して、同期整流部1301と電気的に接続されている。従って、信号平滑部1303は、同期整流部1301から出力された信号(上記の保守出力信号と同一の信号)を信号平滑化処理する。信号平滑化処理とは、変動する信号を一定値の信号に変換することを言う。そして、信号平滑部1303は、平滑化した信号を処理信号として出力する。
従って、信号平滑部1303としては、平滑回路を用いることができる。または、信号平滑部1303は、同期整流部1301から出力された信号を所定の周期毎に平均することにより、同期整流部1301から出力された信号を平滑化してもよい。
このように、同期整流部1301から出力された信号を信号平滑化処理することにより、当該出力信号に含まれたノイズ成分を低減できる。その結果、ノイズ成分を含まない信号に基づいて、精度よく所定成分のガス濃度を測定できる。
また、信号出力部13は、出力Aと出力Bとをさらに有する。出力Aは、信号平滑部1303の出力に接続されている。従って、出力Aは、処理信号(同期整流処理されさらに信号平滑化処理された検出信号)を出力する。
出力Bは、同期整流部1301の出力に接続されている。従って、出力Bは、同期整流処理された検出信号を出力する。本実施形態においては、所定成分の濃度を算出するデータ(濃度測定データ)を得るための信号処理は、同期整流処理と信号平滑化処理である。
よって、同期整流処理された検出信号は、上記の信号処理の過程における出力信号であると言える。
上記のように、出力Bは、データ取得部15に電気的に接続されている。従って、出力Bから出力される信号は、後述するように、保守端末25(後述)において波形を表示したい信号である。従って、出力Bから出力される信号(すなわち、信号処理の過程における出力信号)を保守出力信号と呼ぶことにする。
なお、変形例として、信号出力部13における信号処理は、同期整流処理と信号平滑化処理に限られず、他の信号処理も含めることができる。例えば、上記の信号処理に、バンドパス処理が含まれていてもよい。バンドパス処理は、入力信号のうち、所定の周波数(範囲)の信号成分のみを通過させる処理である。この場合、信号出力部13は、バンドパス部(図示せず)をさらに有していてもよい。
また、出力Bは、複数個あってもよい。例えば、出力Bが、バンドパス処理後の信号を出力する出力(バンドパス部の出力)と、同期整流後の信号を出力する出力と、により構成され、スイッチによりいずれの保守出力信号を出力するか選択可能となっていてもよい。これにより、所望の信号処理過程における信号の状態を、他の機器を接続することなく、保守端末25にて確認できる。
2−3.同期整流部の構成
次に、同期整流部1301の構成について、図3を用いて説明する。図3は、同期整流部の構成を示す図である。同期整流部1301は、直流成分除去部1301−1と、非反転部1301−3と、反転部1301−5と、出力切替部1301−7と、同期信号発生部1301−9と、を有する。
直流成分除去部1301−1は、ガス分析部11の検出部1105と電気的に接続されている。従って、直流成分除去部1301−1は、検出部1105から出力された出力信号(検出信号)から直流成分を除去する。
直流成分除去部1301−1における直流成分の除去とは、例えば、図7(後述)に示す検出部1105からの検出信号においては、信号値SとSとの中点に対応する信号値Sを、0Vへシフトさせることを言う。
非反転部1301−3は、「+」と「−」とが付された2つの入力を有する。そして、非反転部1301−3の「+」が付された入力は、直流成分除去部1301−1の出力に電気的に接続されている。一方、非反転部1301−3の「−」が付された入力は、グラウンド(0V)に接続されている。
これにより、非反転部1301−3は、直流成分が除去された検出信号をそのまま信号の符号(+あるいは−)を変えることなく出力する(非反転出力)。非反転部1301−3としては、例えば、オペアンプなどにより構成された非反転増幅回路を用いることができる。
反転部1301−5は、非反転部1301−3と同様、「+」と「−」とが付された2つの入力を有する。そして、反転部1301−5の「+」が付された入力は、グラウンド(0V)に接続されている。一方、反転部1301−5の「−」が付された入力は、直流成分除去部1301−1に電気的に接続されている。
これにより、反転部1301−5は、直流成分が除去された検出信号の符号(0Vを基準とした信号値の大小)を反転して出力する(反転出力)。反転部1301−5としては、例えば、オペアンプなどにより構成された反転増幅回路を用いることができる。
出力切替部1301−7は、2つの入力d及びeを有している。そして、入力dは非反転部1301−3と電気的に接続され、入力eは反転部1301−5と電気的に接続されている。また、出力切替部1301−7は、出力fを有している。出力fは、信号平滑部1303に電気的に接続されている。また、出力fからの出力信号は、上記の信号出力部13の出力Bへと出力される。
さらに、出力切替部1301−7は、同期信号発生部1301−9(後述)と信号送受信可能に接続されている。従って、出力切替部1301−7は、同期信号発生部1301−9から発生する同期信号に基づいて、入力dと出力fを接続するか、入力eと出力fを接続するかを選択できる。出力切替部1301−7としては、同期信号に基づいてスイッチング動作を行うスイッチング素子などを用いることができる。
これにより、出力切替部1301−7からは、同期信号に基づいて、非反転部1301−3からの非反転の出力信号が出力されるか、又は、反転部1301−5からの反転した出力信号が出力される。
同期信号発生部1301−9は、出力切替部1301−7に信号送受信可能に接続されている。従って、同期信号発生部1301−9は、出力切替部1301−7を制御する信号を、時間tの関数F(ωt+δ)にて表される同期信号として出力する。
ここで、ωは角周波数でありω=2π/Tと表される。δは同期信号シフト位相(ラジアン角度)である。そして、上記の関数F(ωt+δ)は、以下のような関数である。
2nπ≦ωt+δ≦(2n+1)π(n:整数)のとき、F(ωt+δ)=ON信号
(2n+1)π<ωt+δ<2(n+1)πのとき、F(ωt+δ)=OFF信号
すなわち、同期信号は、同期周期Tにて、ON信号(に対応する大きさの信号)とOFF信号(に対応する大きさの信号)とが周期的に変化する信号(方形波信号)である。
なお、本実施形態においては、同期信号がON信号のときに、出力切替部1301−7は入力dと出力fとを接続する。すなわち、同期信号がON信号のとき、出力切替部1301−7の出力fからは、非反転部1301−3からの信号が出力される。一方、同期信号がOFF信号のとき、出力切替部1301−7は入力eと出力fとを接続する。すなわち、同期信号がOFF信号のとき、出力切替部1301−7の出力fからは、反転部1301−5からの信号が出力される。
また、上記のように、同期周期Tは導入周期Tと一致するよう設定されている。従って、同期信号発生部1301−9は、ガス分析部11の第2ガス切替部1109による、試料ガス又は保守ガスと、基準ガスとの切替を行う周期(導入周期T)に対応する周期にて、反転出力を出力するか、又は、非反転出力を出力するかを切り替えることができる。
また、同期信号発生部1301−9は、ガス分析部11の切替制御部1111と信号送受信可能に接続されている。従って、同期信号発生部1301−9は、上記の関数F(ωt+δ)の時間tの基準(t=0)を、切替制御部1111において第2ガス切替部1109の制御を開始した時間と同期できる。
さらに、同期信号発生部1301−9は、保守ユニット2から出力される設定情報を入力可能となっている。よって、同期信号発生部1301−9は、設定情報に基づいて、上記の同期信号シフト位相δを設定できる。すなわち、同期信号シフト位相δは、保守ユニット2(の保守端末25)にて設定可能である。
同期周期Tを導入周期Tと一致させ、同期信号発生部1301−9のt=0と切替制御部1111の制御を開始した時間とを同期させ、さらに、同期信号シフト位相δを調整することにより、出力切替部1301−7の出力fから一方の符号(0Vに対して負又は正)のみを有する信号(整流信号)を出力できる。
なお、同期信号シフト位相δの調整の効果については後ほど詳しく説明する。
なお、分析ユニット1に複数の信号出力部13が備わっている場合、異なる種類の信号出力部が存在していてもよい。例えば、同期整流部1301を備えない信号出力部13があってもよい。
2−4.保守ユニットの構成
次に、保守ユニット2の構成について、図4を用いて説明する。図4は、保守ユニットの構成を示す図である。
保守ユニット2は、データ受信部21と、設定出力部23と、保守端末25と、を有する。データ受信部21は、分析ユニット1(のデータ取得部15)と信号送受信可能に接続されている。そのため、データ受信部21は、保守作業の実行時に、分析ユニット1から保守データを受信できる。
また、データ受信部21は、保守端末25(後述)と信号送受信可能に接続されている。従って、データ受信部21は、取得した保守データを保守端末25に出力できる。
設定出力部23は、保守端末25と信号送受信可能に接続されている。従って、設定出力部23は、保守端末25において設定された分析ユニット1の設定を入力できる。また、設定出力部23は、保守端末25から入力した分析ユニット1の設定を、設定情報として分析ユニット1へ出力する。
なお、設定出力部23は、設定情報の一部又は全部を、アナログ信号として出力してもよいし、同じ設定情報に対してデジタル信号とアナログ信号の両方を送信してもよい。設定情報にアナログ信号を含める場合、設定出力部23は、D/A変換器(デジタル−アナログ変換器)を含んだインターフェースとして設定できる。
保守端末25は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、ハードディスクドライブ及び/又はSSD(Solid State Drive)などの記憶装置と、キーボード、マウス、及び/又はタッチパネルなどの入力手段と、液晶ディスプレイなどの表示手段と、その他のインターフェースなど、により構成されるコンピュータ端末である。
保守端末25は、データ受信部21から保守データを受信する。そして、保守端末25は、保守データの波形を表示する。また、保守端末25を用いて、保守データに基づいてガス分析部11(及び/又は分析ユニット1)の設定を行う。
なお、保守端末25は、保守データの波形を表示する機能だけを有していてもよい。この場合、上記の設定出力部23は特に必要ない。
なお、以下に示す保守端末25の各部の機能の一部又は全部は、上記のコンピュータ端末のメモリ及び/又は記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムにより実現されてもよい。
保守端末25は、表示部251と設定部253と、を有する。表示部251は、保守端末25を構成するコンピュータ端末の表示手段(ディスプレイ)に対応するものである。表示部251は、保守端末25が受信した保守データを表示する。
表示部251は、上記の保守データを出力信号波形として、表示フレームF(後述)上に表示する。表示部251に表示される表示フレームFの構成については後述する。
設定部253は、保守端末25を構成するコンピュータ端末の入力手段に対応するものである。設定部253は、保守端末25を用いる作業者からの入力を受け付けて、作業者による入力を分析ユニット1の設定として保存する。
なお、保守端末25が保守データの波形を表示する機能のみを有する場合、設定部253は特に必要ない。
なお、本実施形態においては、上記の表示部251と設定部253は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイとして一体に構成されている。従って、作業者は、表示部251に表示された表示フレームF上の所定の領域に対応したタッチパネル上の領域をタッチ入力することにより、分析ユニット1の設定を行える。
また、保守端末25を構成する上記のコンピュータ端末に、データ受信部21及び設定出力部23が含まれていてもよい。すなわち、保守ユニット2が、上記のコンピュータ端末により構成されていてもよい。
または、保守端末25と、保守ユニット2の他の要素は個別に構成されていてもよい。必要に応じて、いずれかの構成を採用できる。
2−5.表示フレームの構成
次に、保守端末25の表示部251に表示される表示フレームFの構成を、図5を用いて説明する。図5は、表示フレームの構成を示す図である。
表示フレームFは、出力信号表示領域F1と、位相設定領域F2と、保守データ取得設定領域F3と、を有する。
出力信号表示領域F1には、取得した保守データの波形が表示される。出力信号表示領域F1においては、保守データを時間と信号強度(図5の出力信号表示領域F1においては電圧値)のグラフ(すなわち、波形)として視覚的に表示する。これにより、作業者は、保守データ(すなわち、保守出力信号)の波形を視覚的に確認できる。
位相設定領域F2には、複数の文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6が表示されている。従って、位相設定領域F2の対応する文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6を指定(文字入力領域が表示されている領域に対応するタッチパネルの領域をタッチ入力)することにより、文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6に文字入力可能となる。そして、設定部253を構成する入力手段を用いて、指定した領域内に文字(数字)を入力することにより、分析ユニット1の設定を実行できる。
文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6にて設定可能な設定値は、上記の同期信号発生部1301−9より出力される信号を表現した関数F(ωt+δ)における同期信号シフト位相δである。
また、文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6のそれぞれには、分析ユニット1にて濃度の測定が可能である各所定成分が対応づけられている。従って、同期信号シフト位相δは、各所定成分の濃度を測定するためのガス分析部11に接続された信号出力部13毎に設定できる。
保守データ取得設定領域F3には、複数のデータ取得停止ボタンF3−1、F3−2、・・・F3−5が表示されている。そして、データ取得停止ボタンF3−1、F3−2、・・・F3−5のそれぞれには、分析ユニット1にて濃度の測定が可能である各所定成分が対応づけられている。
これにより、データ取得停止ボタンF3−1、F3−2、・・・F3−5は、対応するデータ取得停止ボタンを指定(データ取得停止ボタンが表示されている領域に対応するタッチパネルの領域をタッチ入力)することにより、保守データの取得を各所定成分のガス濃度を測定するガス分析部11(及び信号出力部13)毎に開始したり停止したりできる。
3.保守システムの動作
3−1.保守作業における保守システムの全体動作
次に、保守システム100の動作について、図6を用いて説明する。以下の説明においては、保守システム100を用いて保守データの波形を表示し、表示された保守データの波形に基づいて、同期信号シフト位相δを調整する保守作業を例にとって説明する。
図6は、保守システム100において同期信号シフト位相を調整する保守作業を実行する場合の処理を示すフローチャートである。また、以下の例においては、保守ガスを用いて保守作業が行われるものとする。
保守システム100を開始すると、まず、試料セル1101に保守ガスが導入されるよう、第1ガス切替部1107の切り替えが実行される(ステップS1)。
すなわち、作業者は、第1ガス切替部1107のバルブを操作して、第1ガス切替部1107のガス流路を、ガス口bとガス口c間のガス流路に切り替える。
ステップS1において、試料セル1101に保守ガスが導入されるよう第1ガス切替部1107を設定後、保守端末25において保守作業を行うための保守プログラムを起動する(ステップS2)。このとき、保守端末25は、表示部251に表示フレームFを表示させる。
表示部251に表示フレームFが表示された後、データ取得停止ボタンF3−1、F3−2、・・・F3−5のいずれかを指定されることによって、保守作業を行いたいガス分析部11及び信号出力部13の動作が開始する(ステップS3)。
ガス分析部11及び信号出力部13が動作を開始すると、ガス分析部11に導入された保守ガス(に含まれる所定成分)に基づいた検出信号が、ガス分析部11から出力される。また、信号出力部13の出力Bから保守出力信号が出力される(ステップS4)。
なお、ステップS4における、ガス分析部11及び信号出力部13から保守出力信号が出力される動作については、後ほど詳しく説明する。
信号出力部13の出力Bから保守出力信号が出力されると、データ取得部15が、保守出力信号を第1のサンプリング周期Tにて取得する。そして、データ取得部15は、取得した保守出力信号(同期整流処理後の検出信号)を保守データとして保守端末25に出力する(ステップS5)。
上記のように、第1のサンプリング周期Tは、測定信号取得部17にて、同期整流処理及び信号平滑化処理された検出信号をサンプリングする周期(第2のサンプリング周期T)よりも短い。この理由については、後ほど詳しく説明する。
保守データをデータ受信部21を介して取得した保守端末25は、表示部251に表示されている表示フレームFの出力信号表示領域F1に、保守データを時間と信号値(電圧値)とのグラフとして表示する(ステップS6)。これにより、出力信号表示領域F1に、保守データの波形が表示される。
従って、保守端末25は、保守データを取得する際、保守データを受信した時間と保守データの信号値とを関連づけて、保守端末25を構成するコンピュータ端末のメモリ又は記憶装置に記憶している。
保守データが出力信号表示領域F1に出力されると、保守端末25の設定部253からの入力を用いて、出力信号表示領域F1に表示されている保守データ(保守出力信号)の波形に基づいて、同期信号シフト位相δが調整される(ステップS7)。
ステップS7において、現在濃度を測定中の所定成分に対応する文字入力領域F2−1、F2−2、・・・F2−6内に、同期信号シフト位相δの調整値を直接入力されることにより、同期信号シフト位相δが調整される。
なお、ステップS7における、同期信号シフト位相δの調整方法の詳細については、後ほど説明する。
同期信号シフト位相δを設定後、同期信号シフト位相δは、分析ユニット1の設定値として、設定出力部23へ送信される。そして、設定出力部23は、分析ユニット1の同期信号発生部1301−9に、設定された同期信号シフト位相δを設定情報として送信する(ステップS8)。
その結果、同期信号シフト位相δが更新され、同期信号発生部1301−9から出力される同期信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングと、検出部1105から出力される出力信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングとの差が変化する(後述)。
なお、ステップS8において、設定出力部23は、所定の周期にて分析ユニット1の設定値を参照し、参照した設定値を設定情報として分析ユニット1に送信してもよい。
ステップS8において新たな同期信号シフト位相δを設定後、新たな同期信号シフト位相δが反映された結果出力された保守データ(保守出力信号)の波形が適切かどうかが確認される(ステップS9)。
保守データ(保守出力信号)の波形が適切であると判断した場合(ステップS9において「Yes」の場合)、対応するデータ取得停止ボタンF3−1、F3−2、・・・F3−5を指定されることで、保守端末25による保守データ(保守出力信号)の取得が停止させられる(ステップS10)。その結果、保守作業が終了する。
一方、保守データ(保守出力信号)の波形が適切でないと判断した場合(ステップS9において「No」の場合)、ステップS5に戻り、保守データの取得及び表示を継続し、同期信号シフト位相δの調整を継続する。これにより、同期信号シフト位相δが適切な値になるまで、同期信号シフト位相δの調整が継続できる。
上記のように、保守端末25をユーザ操作するだけで、分析ユニット1の調整(同期信号シフト位相δの調整)を実行できる。その結果、作業者は、作業者自身に過大な負担をかけることなく、分析ユニット1の保守作業を実行できる。
3−2.保守出力信号の出力動作
次に、ステップS4における、保守出力信号が出力されるときのガス分析部11の動作について、図7を用いて説明する。図7は、切替制御部1111の制御信号と検出部1105からの検出信号波形を時間軸上に示す図である。
図7においては、保守作業開始時間を基準(0)としている。このとき、時間tにおいて、切替制御部1111が、第2ガス切替部1109に対して、ガス口aとガス口c間のガス流通が可能なよう電磁バルブを切り替える制御信号を出力する。このとき、第2ガス切替部1109が制御信号を受信すると、第2ガス切替部1109のガス口cから排出されるガスが、基準ガスから保守ガスへと切り替わる。
一方、検出部1105からの検出信号の信号値は、第2ガス切替部1109によるガスの切替が実行された時間tにおいて、基準ガスによる測定信号値S(すなわち、ベースライン信号値)である。そして、時間tから時間tだけ遅れて、測定信号値がSから変化(本実施形態においては、下降)を開始する。
この時間遅れは、主に、第2ガス切替部1109のガス口cから試料セル1101内部まで保守ガスが到達する時間に対応するものである。
また、検出部1105からの検出信号の信号値は、測定信号値がSから下降を開始してからさらに時間tだけ遅れて測定信号値がSにて安定となる。この時間遅れは、主に、ガス配管及び/又は試料セル1101内部における(保守)ガスの拡散によるものである。
その後、時間t+T/2において、切替制御部1111から保守ガスから基準ガスへの切替が指令されると、それに応じて(ガス到達時間とガス拡散に起因する時間遅れを生じて)、検出部1105の出力信号値もSからSへと上昇する。
そして、時間t+Tにおいて、切替制御部1111から基準ガスから保守ガスへの切替が指令されると、それに応じて、検出部1105の出力信号もSから下降を開始する。図7に示すように、導入周期Tの周期にて、基準ガスから保守ガスの切替、及び、保守ガスから基準ガスへの切替が実行されることにより、検出部1105からの出力信号も、導入周期Tとほぼ対応した周期にて、信号値SとSとの間を周期的に変化する。
次に、検出部1105から出力された検出信号は、同期整流部1301へ入力される。検出部1105から出力された検出信号が同期整流部1301へ入力されると、まず、直流成分除去部1301−1により、当該検出信号から直流成分が除去される。図8中の(b)に、直流成分が除去された検出信号波形を示す。図8は、切替制御部の制御信号と、直流成分を除去した後の検出信号と、同期信号波形と、同期整流後の波形(すなわち、保守出力信号)と、を時間軸上に示す図である。
検出信号から直流成分が除去された信号は、図8の(b)に示すように、信号値がS−S(正値)とS−S(負値)との間で周期的(周期は、導入周期Tと対応)に変化する信号となる。
直流成分が除去された検出信号は、非反転部1301−3及び反転部1301−5に入力される。その結果、非反転部1301−3からは直流成分が除去された検出信号が非反転されずに出力されている。一方、反転部1301−5からは当該検出信号が反転されて出力されている。
このとき、出力切替部1301−7が、同期信号発生部1301−9から出力される同期信号に基づき、非反転部1301−3からの出力を出力切替部1301−7の出力fから出力するか(同期信号がON信号のとき)、又は、反転部1301−5からの出力を出力fから出力するか(同期信号がOFF信号のとき)、を選択している。
今、同期信号発生部1301−9が、図8の(c)に示すような、同期周期Tが導入周期Tと一致する同期信号を発生させているとする。また、同期信号は、切替制御部1111からの第2ガス切替部1109のバルブ切替信号(方形波信号)から、時間tδだけ遅延した信号であるとする。従って、時間tδは、上記のF(ωt+δ)における同期信号シフト位相δに対応する時間(遅延時間)である。
上記のような同期信号が出力切替部1301−7に入力されると、図8の(d)に示すような信号が出力fから出力される。すなわち、出力fから出力される信号は、同期信号がON信号(図8の(c)においては、「非反転」と付された信号)の時には、符号反転されていない直流成分除去後の検出信号である。一方、同期信号がOFF信号(図8の(c)においては、「反転」と付された信号)の時には、出力fからは、符号反転された直流成分除去後の検出信号が出力される。従って、出力fから出力される信号は、図8の(d)に示すように、信号値0と信号値S−S(本実施形態では負値)との間を周期的に変化する信号となる。
このように、図8の(d)に示すような信号(すなわち、保守出力信号)は、負値の信号値のみを有する信号となっている。従って、図8の(d)に示すような信号は、直流成分除去後の検出信号が整流された信号であると言える。
また、図8に示されているように、同期信号の立ち上がり及び立ち下がりは、直流成分除去後の検出信号の信号値が0(V)となるタイミング(ゼロクロスタイミング)に対応していることが分かる。従って、同期信号の立ち上がり及び立ち下がりが、ゼロクロスタイミングと一致するように同期信号シフト位相δ(時間tδ)を調整することにより、適切な整流信号を得られる。
このように、同期周期Tを導入周期Tに一致させ、かつ、同期信号の立ち上がり及び立ち下がりタイミングを適切に調整することにより、図8の(b)に示すような波形の信号から、適切な整流信号である図8の(d)に示すような波形の信号が得られている。従って、図8の(c)に示す波形の同期信号を用いて、図8の(b)の波形の信号を図8の(d)の波形の信号(整流信号)に変換する信号処理を、同期整流処理と呼ぶことができる。
3−3.同期信号シフト位相の調整方法
次に、ステップS7における、保守システム100を用いた同期信号シフト位相δの調整方法について説明する。
今、同期信号が、図9の(c)に示すように、切替制御部1111の第2ガス切替部1109の切替信号よりもtδ1だけ遅延すると設定された結果、図9の(d)に示すような波形の保守出力信号が出力されたとする。すなわち、図9の(d)に示す保守出力信号においては、同期信号の立ち上がり及び立ち下がりからしばらくの間、信号値が正となる信号が出力されている。すなわち、図9の(d)に示す保守出力信号では、図8の(d)に示されていたように、信号(直流成分除去後の検出信号)の折り返し(符号の反転と非反転)が信号値0にて発生していない。
このような保守出力信号が見られた場合、直流成分除去後の検出信号(図9の(b))に対して不適切な同期整流処理がなされたことが分かる。図9は、不適切な同期整流信号が得られたときの同期整流信号波形を示す図である。
保守作業中、図8の(d)や図9の(d)に示すような出力fからの出力、すなわち、保守出力信号は、表示フレームFの出力信号表示領域F1に表示される。従って、保守作業を行っている作業者は、出力信号表示領域F1に表示されている、保守出力信号の波形を確認することにより、適切に同期信号が設定されているかどうかを確認できる。
出力信号表示領域F1に表示されている保守出力信号(保守データ)波形を確認して、適切に同期信号が設定されていないと判断したとき、作業者は、位相設定領域F2の対応する文字入力領域に、新たな同期信号シフト位相δに対応する遅れ時間を入力する。今、図9に示すように、適切な同期整流信号を得られる同期信号(図9の(c)の点線にて示す方形波形)は切替制御部1111の切替信号から時間tδ2だけ遅延していると予測した作業者は、上記の対応する文字入力領域に、時間tδ2を設定部253を用いて入力する。
その後、新たに設定した同期信号シフト位相(時間tδ2)が同期信号発生部1301−9に反映されると、上記の切替時間から新たな遅れ時間tδ2を有した同期信号が発生する。これにより、直流成分除去後の検出信号に対して、新たな同期信号に基づいた同期整流処理が行われる。その結果、出力信号表示領域F1に表示されている保守出力信号(保守データ)の波形が変化する。
次に、作業者は、新たな遅れ時間tδ2が反映されることにより発生する新たな保守出力信号の波形を、出力信号表示領域F1に表示された波形にて確認する。このとき、適切な波形が表示されていれば、作業者は、同期信号が適切に設定されたと判断し、保守作業(同期信号シフト位相δの調整)を終了する。
一方、新たな遅れ時間を設定しても適切な波形が得られていない場合は、作業者は、表示されている波形に基づいて、再度、適切な波形が得られるまで繰り返し新たな遅れ時間を設定する。
このように、作業者は、保守端末25の表示部251に表示される保守出力信号の波形を確認しながら、保守端末25の設定部253を用いて、同期信号(同期信号シフト位相δ)を調整できる。その結果、作業者は、作業者自身に過大な負荷を掛けることなく、保守作業(同期信号の調整)を実行できる。
3−4.第1のサンプリング周期が第2のサンプリング周期よりも小さい理由
次に、データ取得部15における保守出力信号をサンプリングする第1のサンプリング周期Tが、測定信号取得部17における処理信号をサンプリングする第2のサンプリング周期Tよりも小さい理由について説明する。
まず、第2のサンプリング周期Tにて、処理信号(同期整流処理され信号平滑化処理された検出信号)をサンプリングした信号と、同期整流処理後の検出信号(保守出力信号)をサンプリングした信号を、図10を用いて説明する。図10は、第2のサンプリング周期Tにて、処理信号及び保守出力信号をサンプリングした場合のサンプリング波形を示す図である。
図10の(b)に示すように、処理信号は、信号値S(負値)にてほとんど変化しない信号となっている。なぜなら、処理信号は、同期整流処理された検出信号をさらに信号平滑化処理しているからである。従って、処理信号を第2のサンプリング周期Tにてサンプリングすると、図10の(c)に示すように、サンプリングした処理信号は、元の処理信号の波形を再現できている。
一方、保守出力信号を第2のサンプリング周期Tにてサンプリングすると、図10の(d)に示すように、サンプリングした保守出力信号は、元の保守出力信号を再現できていない。なぜなら、保守出力信号は、周期的に変化する信号だからである。
次に、第1のサンプリング周期Tにて、処理信号をサンプリングした信号と、保守出力信号をサンプリング信号を、図11を用いて説明する。図11は、第1のサンプリング周期Tにて、処理信号及び保守出力信号をサンプリングした場合のサンプリング波形を示す図である。
図11の(c)に示すように、処理信号は、第2のサンプリング周期Tにてサンプリングしたときと同様、第1のサンプリング周期Tにてサンプリングしても元の信号を再現できている。
一方、第1のサンプリング周期Tにて保守出力信号をサンプリングした場合、第2のサンプリング周期Tにてサンプリングした場合とは異なり、元の保守出力信号をほぼ再現できている。なぜなら、第1のサンプリング周期Tは、保守出力信号が変化する周期(同期周期Tの1/2)に比べて、はるかに短い周期だからである。
上記のように、保守端末25においては保守データ(保守出力信号)の波形が表示される。従って、保守端末25において保守出力信号の波形を再現して表示するためには、保守出力信号は、保守出力信号の波形を十分に再現できる程度の短い第1のサンプリング周期Tにてサンプリングされる。
一方、所定成分の濃度を算出するための処理信号については、第1のサンプリング周期Tにてサンプリングすることにより、信号を再現できる。また、第1のサンプリング周期Tよりも長い第2のサンプリング周期Tにても、十分に信号を再現できる。
このような場合、より長い周期である第2のサンプリング周期Tにて処理信号をサンプリングする。これにより、試料ガスの所定成分の濃度を測定する際に、信号出力部13(測定信号取得部17)の計算負荷を低減できる。
また、第2のサンプリング周期Tが長いことにより、ノイズなどにより処理信号が変動しても、その変動に影響されることなく、濃度測定データを取得できる。つまり、濃度測定データ用にノイズ処理することが可能となり、その結果、精度よく所定成分の濃度を測定できる。
(2)第1実施形態の作用効果
第1実施形態の作用効果は以下のように記載できる。
保守システム100(保守システムの一例)は、ガス分析部11(ガス分析部の一例)と、信号出力部13(信号出力部の一例)と、データ取得部15(データ取得部の一例)と、保守端末25(保守端末の一例)と、を備える。ガス分析部11は、導入された試料ガス、保守ガス及び基準ガス(ガスの一例)に基づいた検出信号(検出信号の一例)を出力する。信号出力部13は、処理信号(処理信号の一例)と保守出力信号(保守出力信号に一例)とを出力する。データ取得部15は、保守作業の実行時に、保守出力信号を第1のサンプリング周期T(第1のサンプリング周期の一例)にて取得する。そして、データ取得部15は、取得した保守出力信号を保守データ(保守データの一例)として出力する。保守端末25は、保守データを受信し保守データの波形を表示する。
また、保守システム100においては、第1のサンプリング周期Tは第2のサンプリング周期T(第2のサンプリング周期の一例)よりも短い。
保守システム100において保守作業を実行する際、まず、ガス分析部11が、導入された試料ガス、保守ガス、又は基準ガスに基づいた検出信号を出力する。次に、信号出力部13において、検出信号に対して同期整流処理及び信号平滑化処理(所定の信号処理の一例)が行われる。このとき、信号出力部13から、同期整流処理後の信号(信号処理の過程における信号の一例)が保守出力信号として出力されている。このとき、データ取得部15が、保守出力信号を第1のサンプリング周期Tにて取得する。取得された保守出力信号は、保守データとしてデータ取得部15から出力される。
データ取得部から保守データを受信すると、保守端末は保守データの波形を表示する。
保守システム100においては、保守端末25に表示される保守データの波形は、保守出力信号の波形を再現できる。なぜなら、保守出力信号を取得する第1のサンプリング周期Tが、ガス分析の実行時において処理信号を取得する第2のサンプリング周期Tよりも短いからである。
これにより、保守作業を行う作業者は、保守端末25に表示された保守データの波形を参照することにより、他の機器などを接続することなく、保守出力信号(検出信号に対する信号処理の過程における信号)の波形を観測できる。その結果、作業者に対して過大な負荷がかかることなく、ガス分析部11の保守作業を行える。
また、第2のサンプリング周期Tが第1のサンプリング周期Tより長いことにより、ノイズなどにより処理信号が変動しても、その変動に影響されることなく、処理信号を取得できる。つまり、濃度測定データ用にノイズ処理することが可能となり、その結果、精度よく所定成分の濃度を測定できる。
信号出力部13は、同期整流部1301(同期整流部の一例)を有している。同期整流部1301は、同期信号を用いて検出信号に対して同期整流処理を行う。また、同期整流処理は信号処理に含まれる。すなわち、信号出力部13における信号処理の1つに、同期整流処理がある。
これにより、検出信号中の同期周期T(同期周期の一例)以下の周期にて変動する信号成分を取り除ける。
ガス分析部11において、試料ガス又は保守ガス(成分含有ガスの一例)と基準ガスとが、導入周期にて交互に導入されている。成分含有ガスの一例である試料ガス又は保守ガスは、所定の成分を含むガスである。
また、検出信号は、出力信号値とベースラインとの間を、導入周期T(導入周期の一例)に対応する周期にて周期的に変化する信号である。
これにより、検出信号のノイズを低減できる。また、ベースラインのドリフトがないので、ベースライン(ゼロ点)を長期間一定値とできる。さらに、ガス分析部11を汚染する成分含有ガスが長時間にわたり導入されることがなくなるため、ガス分析部11の汚染を抑制できる。
同期周期Tは導入周期Tと一致している。これにより、成分含有ガスと基準ガスとを交互に導入して所定成分の濃度を測定する際、成分含有ガスと基準ガスとを入れ替える導入周期Tに対応して、適切な同期整流処理を行える。
ガス分析部11は、照射部1103(照射部の一例)をさらに有している。照射部1103は、測定光(測定光の一例)を照射する。このとき、ガス分析部11は、ガス分析部11に導入された試料ガス、保守ガス、又は基準ガスを通過した測定光の強度に基づいた信号を、検出信号として出力する。
これにより、試料ガス、保守ガス、又は基準ガス(の所定成分の濃度)に基づく検出信号を測定光を用いて精度よく測定できる。
保守システム100は、設定出力部23(設定出力部の一例)をさらに備えている。設定出力部23は、保守データに基づいてガス分析部11の設定を行い、設定した設定情報(設定情報の一例)を出力する。これにより、保守作業を行う作業者は、保守データの波形を参照しながら、保守データの波形が表示された保守端末を使用して、保守作業を行える。その結果、作業者に対して過大な負荷がかかることなく、ガス分析部11の保守作業を行える。
保守作業は、同期信号シフト位相δ(同期信号の位相の一例)の調整を行う作業を含んでいる。これにより、検出信号の変動状態などが変化して、同期整流部1301が検出信号を適切に同期整流できなくなった場合でも、適切に同期整流可能となるよう、同期整流部1301を調整できる。
(3)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)上記の第1実施形態においては、保守システム100において行う保守作業として、同期信号シフト位相δの調整を行う作業について説明したが、保守システム100において行う保守作業はこれに限られない。保守システム100においては、データ取得部15において他の分析ユニット1の信号を取得して、保守端末25にて他の保守作業を行えるようにしてもよい。
これにより、分析ユニット1の保守作業のみでなく、分析ユニット1において発生している異常の判断も効率よく行える。例えば、作業者は、保守端末25を用いて異常箇所において出力されている信号の波形を確認できる。これにより、作業者は、異常箇所において出力されている信号の波形を見て、分析ユニット1の修理などに出向く必要があるかどうかを判断できる。
(B)上記の第1実施形態においては、保守作業の実行時に、保守ガスがガス分析部11に導入されていたが、これに限られない。保守作業の実行時に、その他の成分含有ガス(例えば、測定対象である試料ガス)がガス分析部11に導入されてもよい。特に、保守出力信号の変動周期及び/又は位相を観察する場合など、基準ガスと成分含有ガスとを交互にガス分析部11に導入することにより、保守出力信号が変動すれば十分である場合がある。このような場合は、所定成分の濃度が予め決められた保守ガスを導入して、保守出力信号の信号値(大きさ)を安定化させる必要は特にない。
このように、保守ガスを用いずに試料ガスを用いて保守作業を実行する場合、図6に示したステップS1において、第1ガス切替部1107を、保守ガスを試料セル1101に導入可能なように操作するステップは必要ない。又は、第1ガス切替部1107は、特になくてもよい。この場合、第2ガス切替部1109のガス口aに直接、成分含有ガスの導入部(図示せず)が接続される。
このように、保守ガスの代わりに、他の成分含有ガス(例えば、試料ガス)を用いて保守作業を行っても、保守作業に必要な保守出力信号を得られる。
(C)上記の第1実施形態においては、成分含有ガス(試料ガス及び/又は保守ガス)と基準ガスとを交互に切り替えてガス分析部11に導入することにより、変動する保守出力信号(検出信号)が得られていた。しかし、変動する保守出力信号(検出信号)は、これ以外の方法によっても得られる。
例えば、測定光を所定の周期にて試料セル1101中を通過させたり遮断させたりする方法、又は、試料セル1101を通過した測定光の強度を検出部1105において検出する周期を定める方法、などがある。
測定光を所定の周期にて通過させたり遮断させるためには、例えば、照射部1103と試料セルの間に測定光を周期的に遮断/通過させるためのチョッパーを設ければよい。
また、試料セル1101を通過した測定光の強度を検出する周期を定めるには、例えば、検出部1105と試料セル1101との間に、上記のチョッパーを設ければよい。
このように、照射部1103と試料セル1101との間、及び/又は、検出部1105と試料セル1101との間において、チョッパーなどを用いて測定光を周期的に遮断/通過させることによっても、変動する検出信号(保守出力信号)を発生できる。
本発明は、ガス濃度測定装置に広く適用できる。
100 保守システム
1 分析ユニット
11 ガス分析部
1101 試料セル
1103 照射部
1105 検出部
1107 第1ガス切替部
1109 第2ガス切替部
1111 切替制御部
13 信号出力部
1301 同期整流部
1301−1 直流成分除去部
1301−3 非反転部
1301−5 反転部
1301−7 出力切替部
1301−9 同期信号発生部
1303 信号平滑部
15 データ取得部
17 測定信号取得部
2 保守ユニット
21 データ受信部
23 設定出力部
25 保守端末
251 表示部
253 設定部
F 表示フレーム
F1 出力信号表示領域
F2 位相設定領域
F2−1、F2−2、F2−3、F2−4、F2−5、F2−6 文字入力領域
F3 保守データ取得設定領域
F3−1、F3−2、F3−3、F3−4、F3−5、F3−6 データ取得停止ボタン
第1のサンプリング周期
第2のサンプリング周期
導入周期
同期周期
、b、c ガス口(第1ガス切替部)
、b、c ガス口(第2ガス切替部)
d、e 入力
A、B 出力
f 出力
t 時間
δ 同期信号シフト位相
ω 角周波数

Claims (7)

  1. 導入されたガスに基づいた検出信号を出力するガス分析部と、
    前記検出信号に対して所定の信号処理を行った処理信号と、前記信号処理の過程における信号である保守出力信号とを出力する信号出力部と、
    保守作業の実行時に、前記保守出力信号を第1のサンプリング周期にて取得し保守データとして出力するデータ取得部と、
    前記保守データを受信し前記保守データの波形を表示する保守端末と、を備え、
    前記第1のサンプリング周期は、ガス分析の実行時に前記処理信号をサンプリングする周期である第2のサンプリング周期よりも短い、保守システム。
  2. 前記信号出力部は、同期周期にて周期的に変化する同期信号を用いて、前記検出信号に対して同期整流処理を行う同期整流部を有し、前記信号処理は前記同期整流処理を含む請求項1に記載の保守システム。
  3. 前記ガス分析部において、所定成分を含む成分含有ガスとベースラインを決定する基準ガスとが、導入周期にて交互に導入され、
    前記検出信号は、前記成分含有ガスを測定した際に出力される出力信号値と、前記基準ガスを測定した際に出力される前記ベースラインとの間を、前記導入周期に対応する周期にて周期的に変化する信号である、請求項1又は2に記載の保守システム。
  4. 前記同期周期は前記導入周期と一致する、請求項3に記載の保守システム。
  5. 前記ガス分析部は、測定光を照射する照射部をさらに有し、
    前記ガス分析部に導入された前記ガスを通過した前記測定光の強度に基づいた信号を、前記検出信号として出力する、請求項1〜4のいずれかに記載の保守システム。
  6. 前記保守データに基づいて前記ガス分析部の設定を行い、設定した設定情報を出力する設定出力部をさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の保守システム。
  7. 前記保守作業は、前記同期信号の位相の調整を行う作業を含む、請求項6に記載の保守システム。
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