JP2015089653A - 記録物の製造方法および記録物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の記録物の製造方法は、第1の重合性化合物を含む第1のインクをインクジェット法で付与する工程、紫外線照射で前記第1の重合性化合物を重合させ第1の層を形成する工程、前記第1の層が形成された領域に第2の重合性化合物および金属粉末を含有する第2のインクをインクジェット法で付与する工程、紫外線照射で前記第2の重合性化合物を重合させ第2の層を形成する工程を有し、前記領域での前記第1のインクの打込量が2.0〜20.0g/m2、前記第1のインクの液滴の着弾から紫外線照射までの時間が0.0010〜1.0秒、前記領域での前記第2のインクの打込量が前記第1のインクの打込量に対して80〜200体積%、前記第2のインクの液滴の着弾から紫外線照射までの時間が5.0〜60.0秒である。
【選択図】なし
Description
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
また、インクジェット法による液滴の着弾から硬化開始までの時間を長くすることにより、光沢感の向上を図ることも考えられるが、このような場合、基材の種類によって、紫外線硬化型インクジェット用インクが過度に濡れ広がったり、紫外線硬化型インクジェット用インクをはじいてしまうことにより、所望の形状のパターンを精度よく形成することが困難となる。
本発明の記録物の製造方法は、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物を含む第1のインクを、インクジェット法により基材に付与する第1のインク付与工程と、
紫外線の照射により前記第1の重合性化合物を重合・硬化させ、第1の層を形成する第1の硬化工程と、
前記第1の層が形成された領域に、紫外線の照射により重合する第2の重合性化合物および金属粉末を含有する第2のインクを、インクジェット法により付与する第2のインク付与工程と、
紫外線の照射により前記第2の重合性化合物を重合・硬化させ、第2の層を形成する第2の硬化工程とを有し、
前記領域における単位面積当たりの前記第1のインクの打ち込み量が2.0g/m2以上20.0g/m2以下であり、
前記第1のインクの液滴の着弾から、当該液滴に対する紫外線の照射までの時間が0.0010秒以上1.0秒以下であり、
前記領域における単位面積当たりの前記第2のインクの打ち込み量が、前記第1のインクの打ち込み量に対して、80体積%以上200体積%以下であり、
前記第2のインクの液滴の着弾から、当該液滴に対する紫外線の照射までの時間が5.0秒以上60.0秒以下であることを特徴とする。
これにより、鏡面のような優れた光沢感(ピカピカ感)を有する印刷部が精度よく設けられた記録物を効率よく製造することが可能な記録物の製造方法を提供することができる。
これにより、所望の形状の第1の層をより確実に形成することができ、当該第1の層に、第2の層を形成する際の足場としての機能をより効果的に発揮させることができ、結果として、鏡面のような優れた光沢感(ピカピカ感)を有する印刷部が精度よく設けられた記録物をより確実に製造することができるとともに、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。
これにより、第2のインクの着弾位置のずれや、過度な濡れ広がり等をより確実に防止し、最終的に得られる記録物が有する印刷部の精度を特に優れたものとしつつ、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。
これにより、第2のインクのゲル化等を効果的に防止することができ、第2のインクの保存安定性、第2のインクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。また、第2のインクの保存安定性等を優れたものとしつつ、後に上述する第2のインク付与工程における金属粉末(分散質)の分散媒(第2の重合性化合物等)との親和性を好適に調整することができ、記録物の印刷部において、金属粉末を好適に配列させることができ、印刷部の光沢感(ピカピカ感)を特に優れたものとすることができる。
これにより、第2のインクの保存安定性を特に優れたものとし、記録物の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
これにより、金属材料が本来有している光沢感と、記録物の印刷部において、金属粉末が好適に配列することによる効果とが相乗的に作用し、印刷部の光沢感(特に、鏡面が有しているような光沢感(ピカピカ感))を特に優れたものとすることができる。また、第2のインクのゲル化等を効果的に防止することができ、第2のインクの保存安定性、第2のインクの吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
これにより、金属粒子の主面が第2の層の表面形状に沿うように、金属粉末を配置することができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等を、記録物においてもより効果的に発揮させることができ、印刷部の光沢感(特に、鏡面が有しているような光沢感(ピカピカ感))、高級感を特に優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性を特に優れたものとすることができる。
これにより、金属粒子の主面が第2の層の表面形状に沿うように、金属粉末を配置することができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している光沢感等を、記録物においてもさらに効果的に発揮させることができ、印刷部の光沢感(特に、鏡面が有しているような光沢感(ピカピカ感))、高級感をさらに優れたものとすることができるとともに、記録物の耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、印刷部の光沢感(ピカピカ感)、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、第2のインクの保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、第1の層の基材に対する密着性、第2の層の第1の層に対する密着性等を特に優れたものとすることができ、記録物の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、インク中における金属粉末の分散安定性、インクの保存安定性を特に優れたものとすることができるとともに、印刷部の精度、光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
これにより、インクの保存安定性、吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後のインクの反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
これにより、基材に対する第1のインクの親和性を適度に優れたものとし、第1の層の基材に対する密着性を特に優れたものとしつつ、第1のインクが基材上で必要以上に濡れ広がってしまうこと等をより確実に防止することができ、第1の層を、より確実に所望の形状を有するものとすることができる。
これにより、インクジェット法によるインクの吐出条件の設定、調整等が容易となる。
本発明の記録物は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、鏡面のような優れた光沢感(ピカピカ感)を有する印刷部が精度よく設けられた記録物を提供することができる。
《記録物の製造方法》
まず、本発明の記録物の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、インクジェット法を用いて、記録物を製造する方法である。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。また、箔押し印刷では、オンデマンド性が低く、多品種生産への対応が困難である、グラデーションのある金属調の印刷ができないという問題があった。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット用インクでは、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感(特に、鏡面が有しているような光沢感(ピカピカ感))等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があった。
図1は、本発明の記録物の製造方法の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の製造方法は、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物21’を含む第1のインク2’を、インクジェット法により少なくとも表面が基材(記録媒体)1の表面に付与する第1のインク付与工程(1a)と、紫外線の照射により第1の重合性化合物21’を重合・硬化させ硬化物21とし、第1の層2を形成する第1の硬化工程(1b)と、第1の層2が形成された領域(隙間のない膜としての第2の層3を形成すべき領域)に、紫外線の照射により重合する第2の重合性化合物32’および金属粉末31を含有する第2のインク3’を、インクジェット法により付与する第2のインク付与工程(1c)と、紫外線の照射により第2の重合性化合物32’を重合・硬化させ硬化物32とし、第2の層3を形成する第2の硬化工程(1d)とを有している。
本工程では、第1のインク2’を、インクジェット法により基材(記録媒体)1の表面に付与する(1a)。
基材1は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができるが、少なくとも表面(第1のインク2’が付与される部位)が非吸液性の材料(例えば、プラスチック材料、金属、セラミックス、貝殻等)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、基材1として、非吸収性(非吸液性)のものを用いた場合、第1のインク2’の硬化物21の形状の制御をより好適に行うことができる。
中でも、基材1は、少なくとも表面がポリエステルで構成されたものであるのが好ましい。これにより、第1の重合性化合物21’(特に、後に詳述する脂環構造を有するモノマーを含む第1の重合性化合物21’)を、より確実に所望の形状で硬化させることができる。
第1の重合性化合物21’は、液状をなすものである。これにより、記録物10の製造過程において除去される(蒸発する)液体成分を用いる必要がなく、記録物10の製造において、このような液体成分を除去する工程を設ける必要がないため、記録物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、有機溶媒を使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。
特に、第1のインク2’は、第1の重合性化合物21’として、脂環構造を有するモノマーを含むのが好ましい。これにより、第1の硬化工程で形成される硬化物21(第1の層2)の基材1に対する密着性を特に優れたものとすることができるとともに、所望の形状に制御された硬化物21(第1の層2)をより容易に形成することができる。
また、γ−ブチロラクトンアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、イソボルニルアクリレート、および、テトラヒドロフルフリルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである場合、第1のインク2’の硬化時における収縮率をより小さいものとし、硬化物21(第1の層2)に不本意な皺などが生じることをより効果的に防止することができる。
脂環構造を有するモノマーは、共有結合により形成された環状構造の構成原子数が、5以上のものであるのが好ましく、6以上のものであるのがより好ましい。これにより、第1のインク2’の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
第1のインク2’を構成する重合性化合物は、脂環構造を有さないモノマーを含むものであってもよい。
また、フェノキシエチルアクリレート、および/または、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレートを含むものである場合、硬化物21(第1の層2)の可撓性をさらに優れたものとすることができる。
また、フェノキシエチルアクリレートを含むものである場合、第1のインク2’の硬化時における収縮率をより小さいものとし、硬化物21(第1の層2)に不本意な皺などが生じることをより効果的に防止することができる。
第1のインク2’は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色剤、金属粉末、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物(第1の重合性化合物)への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
なお、第1のインク2’は、重合禁止剤を含むものであってもよいが、重合禁止剤を含む場合であっても、第1のインク2’中における重合禁止剤の含有率は、0.6質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以下であるのがより好ましい。これにより、相対的に、第1のインク2’中における第1の重合性化合物21’の含有率を高いものとすることができるため、第1のインク2’を用いて形成される第1の層2の基材1に対する密着性等を特に優れたものとすることができる。
また、第1のインク2’は、記録物10の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
インクジェット法によるインクの吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
次に、紫外線を照射することにより、第1の重合性化合物21’を重合・硬化させる(1b)。これにより、第1の重合性化合物21’の硬化物21を含む材料で構成された第1の層2が形成される。
本工程は、以下のような条件を満足するように行う。すなわち、前述した第1のインク付与工程で基材1に第1のインク2’の液滴が着弾してから、本工程で当該液滴に対する紫外線を照射するまでの時間が0.0010秒以上1.0秒以下となるように行う。このように、第1のインク2’の液滴の着弾から十分に短い時間で硬化処理を施すことにより、第1のインク2’の液滴が基材1上で必要以上に濡れ広がってしまうこと等を確実に防止することができ、第1の重合性化合物21’の硬化物21(第1の層2)を、確実に所望の部位に所望の形状を有するものとすることができるとともに、基材1と硬化物21(第1の層2)との密着性を確実に優れたものとすることができる。その結果、後に詳述する工程で第2のインク3’を用いて形成される第2の層3も、確実に所望の形状を有するものとしつつ、第2の層3において金属粉末31が好適に配列したものとすることができる。その結果、所望の形状で設けられ、かつ、鏡面のような優れた光沢感(ピカピカ感)を有する印刷部を備えた記録物10を確実に得ることができる。特に、様々な種類の基材1に対して、前記のような効果が安定的に得られる。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
次に、第2のインク3’を、インクジェット法により第1の層2(第1の層2が形成された領域)上に付与する(1c)。
第2のインク3’は、金属粉末31と紫外線の照射により重合する第2の重合性化合物32’とを含むものである。
前記領域における単位面積当たりの第2のインク3’の打ち込み量は、第1のインク2’の打ち込み量に対して、80体積%以上200体積%以下である。これにより、第2のインク3’が、前記領域内を選択的に隙間なく被覆することができ、後に詳述する第2の硬化工程において形成される第2の層3が、所望の部位に選択的に精度よく形成され(前記領域内を選択的に隙間なく被覆するものとして形成され)、表面が平坦で光沢感(ピカピカ感)に優れたものとすることができる。
インクジェット法の1回の吐出動作により吐出される第2のインク3’の液滴量は、3ng以上30ng以下であるのが好ましく、5ng以上25ng以下であるのがより好ましく、7ng以上20ng以下であるのがさらに好ましい。これにより、第2のインク3’の着弾位置のずれや、過度な濡れ広がり等をより確実に防止し、最終的に得られる記録物10が有する印刷部の精度を特に優れたものとしつつ、記録物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
金属粉末31は、複数個の粒子で構成されたものである。金属粉末31の構成粒子(後に詳述する表面処理が施されたものである場合には、金属粉末31の母粒子。以下、同様。)は、少なくとも表面付近が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部の表面を金属材料で構成された層が被覆してなる構成のものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、後述するような粒径の金属粉末31を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
金属粉末31の平均粒径は、500nm以上3.0μm以下であるのが好ましく、800nm以上2.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、印刷部の光沢感(ピカピカ感)、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、第2のインク3’の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径(体積平均粒径(D50))のことを指すものとする。測定装置としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分析計 マイクロトラックMT−3000(日機装社製)等が挙げられる。
また、金属粉末31の構成粒子(金属粒子)は、表面処理が施されたものであってもよい。これにより、第2のインク3’のゲル化等を効果的に防止することができ、第2のインク3’の保存安定性、第2のインク3’の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。また、表面処理が施された金属粒子を含むことにより、第2のインク3’の保存安定性等を優れたものとしつつ、後に上述する第2のインク付与工程における金属粉末31(分散質)の分散媒(第2の重合性化合物32’等)との親和性を好適に調整することができ、記録物10の印刷部において、金属粉末31を好適に配列させることができ、印刷部の光沢感(ピカピカ感)を特に優れたものとすることができる。
中でも、第2のインク3’は、金属粉末31として、フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸エステル、フッ素系脂肪酸およびイソシアネート化合物よりなる群から選択される1種または2種以上の表面処理剤で表面処理されたものを含むものであるのが好ましい。これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとし、記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
まず、表面処理剤のうち、フッ素系シラン化合物について詳細に説明する。
フッ素系シラン化合物としては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するシラン化合物を用いることができる。
R1SiX1 aR2 (3−a) (1)
(式(1)中、R1は、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)
これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとし、記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン等のシラン化合物が有する水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した構造を有する化合物を挙げることができる。
パーフルオロアルキル構造(CnF2n+1)を有するフッ素系シラン化合物としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
(式(4)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、nは、1以上14以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
このような構造を有する化合物の具体例としては、CF3−CH2CH2−Si(OCH3)3、CF3(CF2)3−CH2CH2−Si(OCH3)3、CF3(CF2)5−CH2CH2−Si(OCH3)3、CF3(CF2)5−CH2CH2−Si(OC2H5)3、CF3(CF2)7−CH2CH2−Si(OCH3)3、CF3(CF2)11−CH2CH2−Si(OC2H5)3、CF3(CF2)3−CH2CH2−Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)7−CH2CH2−Si(CH3)(OCH3)2、CF3(CF2)8−CH2CH2−Si(CH3)(OC2H5)2、CF3(CF2)8−CH2CH2−Si(C2H5)(OC2H5)2等が挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル構造(CnF2n+1O)を有するフッ素系シラン化合物としては、例えば、下記式(5)で表されるものが挙げられる。
(式(5)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、pは1以上4以下の整数であり、rは1以上10以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
フッ素系リン酸エステルとしては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するリン酸エステルを用いることができる。
特に、フッ素系リン酸エステルは、下記式(2)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
(式(2)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとし、記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、式(2)中、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、フッ素系リン酸エステル(表面処理剤)は、パーフルオロアルキル構造(CnF2n+1)を有するものであるのが好ましい。これにより、第2のインク3’の保存安定性をさらに優れたものとし、記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
フッ素系脂肪酸としては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有する脂肪酸を用いることができる。
フッ素系脂肪酸としては、例えば、CF3−CH2CH2−COOH、CF3(CF2)3−CH2CH2−COOH、CF3(CF2)5−CH2CH2−COOH、CF3(CF2)6−CH2CH2−COOH、CF3(CF2)7−CH2CH2−COOH、CF3(CF2)9−CH2CH2−COOH等が挙げられるが、中でも、CF3(CF2)5−CH2CH2−COOHが好ましい。これにより、母粒子を構成する金属原子と、加熱による脱水反応により強固な結合を結び、緻密な膜を形成することができるため、粒子の表面エネルギーを効果的に下げることができる。
イソシアネート化合物としては、分子内に少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
イソシアネート化合物としては、下記式(6)で表される化学構造を有するものを用いることができる。
RNCO (6)
(式(6)中、Rは、CH3(CH2)m−であり、mは2以上18以下の整数である。)
式(6)中、mは、3以上14以下の整数であるのが好ましく、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
RfNCO (7)
(式(7)中、Rfは、CF3(CF2)m−、または、CF3(CF2)m(CH2)l−であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとすることができる。また、第2のインク3’を用いて製造される記録物10において、より好適に金属粉末31を第2の層3の外表面付近に配列(リーフィング)させることができ、製造される記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)を特に優れたものとすることができる。また、製造される記録物10の印刷部の耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、式(7)中、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましく、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
リン酸アルキルエステルは、リン酸が有する少なくとも一部のOH基が、アルキル基(CnH2n+1−(ただし、nは1以上の整数))を含む官能基でエステル化された構造を有するものである。
リン酸アルキルエステルは、C、H、P、およびOのみを構成元素とするものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られる記録物10の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができるとともに、フッ素系リン酸エステルを使用した場合等に比べて安価に記録物10を製造することができる。
特に、リン酸アルキルエステルは、下記式(3)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
(式(3)中、Rは、CH3(CH2)m−、CH3(CH2)m(CH2O)l−、CH3(CH2)m(CH2CH2O)l−、または、CH3(CH2)mO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとし、記録物10の印刷部の光沢感(ピカピカ感)、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、式(3)中、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
第2の重合性化合物32’は、液状をなすものである。これにより、記録物10の製造過程において除去される(蒸発する)液体成分を用いる必要がなく、記録物10の製造において、このような液体成分を除去する工程を設ける必要がないため、記録物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、有機溶媒を使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。
第2の重合性化合物32’としては、紫外線の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、第2のインク3’は、第2の重合性化合物32’として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、第2のインク3’の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
また、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、および、ベンジルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである場合、硬化物32(第2の層3)の可撓性をさらに優れたものとすることができる。
脂環構造を有するモノマーは、共有結合により形成された環状構造の構成原子数が、5以上のものであるのが好ましく、6以上のものであるのがより好ましい。これにより、第2のインク3’の保存安定性を特に優れたものとすることができる。
第2のインク3’を構成する重合性化合物は、脂環構造を有さないモノマーを含むものであってもよい。
また、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むものである場合、紫外線を照射した際の第2のインク3’の硬化速度、記録物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。
また、印刷部の耐擦性の更なる向上を図る観点からは、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、および、トリプロピレングリコールジアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましく、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むものであるのがより好ましい。
また、フェノキシエチルアクリレートを含むものである場合、第2のインク3’の硬化時における収縮率をより小さいものとし、硬化物32(第2の層3)に不本意な皺などが生じることによる光沢感(ピカピカ感)の低下等をより効果的に防止することができる。
特に、第2のインク3’は、分散剤として、塩基性で重合体構造を有するもの(以下、「塩基性高分子分散剤」ともいう)を含むものであってもよい。これにより、第2のインク3’の保存安定性をさらに優れたものとすることができる。
塩基性高分子分散剤を構成する重合体構造は、特に限定されないが、例えば、アクリル系の重合体構造(共重合体を含む)、メタクリル系の重合体構造(共重合体を含む)、ポリウレタン系の重合体構造、水酸基含有カルボン酸エステル構造、ポリエーテル系の重合体構造、シリコーン系の重合体構造等が挙げられる。
塩基性高分子分散剤の具体例としては、DISPERBYK−116(ビックケミー社製)、DISPERBYK−182(ビックケミー社製)、DISPERBYK−183(ビックケミー社製)、DISPERBYK−184(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2155(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2164(ビックケミー社製)、DISPERBYK−108(ビックケミー社製)、DISPERBYK−112(ビックケミー社製)、DISPERBYK−198(ビックケミー社製)、DISPERBYK−2150(ビックケミー社製)、PAA−1112(日東紡社製)等を挙げることができる。
また、第2のインク3’は、下記式(8)で示される部分構造を有する物質Aを含むものであるのが好ましい。
第2のインク3’は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、着色剤、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
第2のインク3’中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
第2のインク3’がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物10の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
なお、第2のインク3’は、重合禁止剤を含むものであってもよいが、重合禁止剤を含む場合であっても、第2のインク3’中における重合禁止剤の含有率は、0.6質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以下であるのがより好ましい。これにより、相対的に、第2のインク3’中における第2の重合性化合物32’の含有率を高いものとすることができるため、第2のインク3’を用いて形成される第2の層3の第1の層2等に対する密着性等を特に優れたものとすることができる。
第2のインク3’の第1の層2に対する接触角は、10°以上90°以下であるのが好ましく、30°以上60°以下であるのがより好ましい。また、第2のインク3’の基材1に対する接触角は、30°以上85°以下であるのが好ましく、35°以上80°以下であるのがより好ましく、40°以上75°以下であるのがさらに好ましい。このような条件を満足することにより、第1の層2に対する第2のインク3’の親和性を優れたものとし、後の工程で形成される第2の層3の第1の層2に対する密着性を優れたものとしつつ、第2のインク3’が基材1の表面(第1の層2が形成されていない領域)にまで濡れ広がってしまうこと等を確実に防止することができ、第2の層3を、確実に所望の形状を有するものとすることができる。なお、本発明では、「第1の層に対する接触角」として、θ/2法に準拠して測定される25℃におけるインクの第1の層に対する接触角を採用することができる。
また、本工程は、第1のインク付与工程と用いたのと同一装置(液滴吐出装置)を用いて行うものであってもよいし、第1のインク付与工程と用いたのとは異なる装置(液滴吐出装置)を用いて行うものであってもよい。
次に、紫外線を照射することにより、第2の重合性化合物32’を重合・硬化させる(1d)。これにより、第2の重合性化合物32’の硬化物32により、金属粉末31が固定された第2の層3が形成される。
本工程は、以下のような条件を満足するように行う。すなわち、前述した第2のインク付与工程で吐出された第2のインク3’の液滴が、第1の層2が形成された領域に着弾してから、本工程で当該液滴(第2のインク3’の液滴)に対する紫外線を照射するまでの時間が5.0秒以上60.0秒以下となるように行う。このように、第2のインク3’の液滴の着弾から比較的長い時間(第1のインク付与工程で基材1に第1のインク2’の液滴が着弾してから、第1の硬化工程で当該液滴に対する紫外線を照射するまでの時間よりも長い時間)が経過した後に、紫外線照射による硬化処理を施すことにより、金属粉末31が好適に配列した第2の層3を確実に形成することができる。そして、第2のインク付与工程での第2のインク3’の打ち込み量が必要かつ十分な量であることとあいまって、第2の層3の表面を平滑なものとすることができ、鏡面が有しているようなピカピカした光沢感(ピカピカ感)を得ることができる。
本工程で形成される第2の層3の表面粗さRaは、0.9μm以下であるのが好ましい。これにより、記録物10の光沢感(ピカピカ感)を特に優れたものとすることができる。
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような本発明の方法を用いて製造されたものである。このような記録物は、鏡面のような優れた光沢感(ピカピカ感)を有する印刷部が精度よく設けられたものである。
例えば、本発明の製造方法では、上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有するものであってもよい。
また、本発明に係るインクセット(第1のインクと第2のインクとのセット)は、上述したような第1のインク、第2のインクをそれぞれ、少なくとも1種備えるものであればよく、例えば、2種以上の第1のインクを備えるものであってもよいし、2種以上の第2のインクを備えるものであってもよい。また、本発明では、同一のインクを、第1のインクおよび第2のインクとして共通して用いてもよい。
[1]記録物の製造
(実施例1)
まず、以下のようにして、インク(第1のインク、第2のインク)を製造した。
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
このようにして得られた金属粉末の平均粒径は0.9μm、最大粒子径は2.0μm、平均厚さは、60nmであった。
上記のようにして得られたインクを、第1のインクおよび第2のインクとして用いて、以下のようにして、記録物を製造した。なお、以下に説明する方法において、第1のインク付与工程および第2のインク付与工程は、基材の搬送速度:350mm/秒、解像度:720×720dpi、基材−ノズル面の距離(ギャップ):1mmという条件で行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置を用意し、第1のインクを、非多孔質で非吸液性のポリカーボネート製の基材の表面に、所定のパターン(4つの5.0cm角の正方形のべたパターンを、対応する辺が平行となるように縦横2つずつ配置し、これらの間に0.5mmのギャップが存在するように設定されたパターン)で付与した(図1(1a)参照)。第1のインクが付与された領域における第1のインクの打ち込み量(X1)は10.0g/m2であった。
次に、紫外線を照射することにより、第1の重合性化合物を重合・硬化させ、第1の重合性化合物の硬化物を含む材料で構成された膜状の第1の層を形成した(図1(1b)参照)。
本工程は、第1のインク付与工程で基材に第1のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T1)が0.010秒となるように行った。
また、紫外線源(光源)としては、RX FireFly UV Light System(Phoseon社製)を用いた。
次に、第2のインク付与工程で用いたのと同じ液滴吐出装置の異なる液滴吐出ヘッドから、第2のインクを、第1の層が形成された領域(第1の層の表面)に選択的に付与した。第2のインクが付与された領域(第1の層が形成された領域)における第2のインクの打ち込み量(X2)は10.0g/m2であった。
次に、紫外線を照射することにより、第2の重合性化合物を重合・硬化させ、第2の重合性化合物の硬化物および金属粉末を含む材料で構成された膜状の第2の層を形成した。
本工程は、第2のインク付与工程で第1の層が形成された領域(第1の層の表面)に第2のインクの液滴が着弾してから当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T2)が10.0秒となるように行った。
また、紫外線源としては、第1の硬化工程で用いたものと同一のもの(RX FireFly UV Light System(Phoseon社製))を用いた。
記録物の製造に用いるインクの組成を表1、表2、表4、表5に示すようにし、記録物の製造に用いる基材(記録媒体)の種類、第1のインクの打ち込み量X1、第1のインク付与工程で基材に第1のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間T1、第2のインクの打ち込み量X2、第1の層が形成された領域(第1の層の表面)に第2のインクの液滴が着弾してから当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間T2を表7に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
第1のインク付与工程および第1の硬化工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例2)
基材の表面に第2のインクの液滴が着弾してから当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間T2を1.0秒となるようにした以外は、前記比較例1と同様にして記録物を製造した。
第1のインク付与工程における前記領域(第1のインクが付与される領域)における第1のインクの打ち込み量(X1)を1.9g/m2とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例4)
第1のインク付与工程における前記領域(第1のインクが付与される領域)における第1のインクの打ち込み量(X1)を21.0g/m2とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
第1のインク付与工程で基材に第1のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T1)を0.0001秒とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例6)
第1のインク付与工程で基材に第1のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T1)を1.1秒とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
第2のインク付与工程における前記領域(第1の層が形成された領域)における第2のインクの打ち込み量(X2)を7.9g/m2(前記領域における第1のインクの打ち込み量に対する第2のインクの打ち込み量の比率を79体積%)とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
第2のインク付与工程における前記領域(第1の層が形成された領域)における第2のインクの打ち込み量(X2)を20.1g/m2(前記領域における第1のインクの打ち込み量に対する第2のインクの打ち込み量の比率を201体積%)とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
第2のインク付与工程で第1の層が形成された領域(第1の層の表面)に第2のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T2)を4.9秒とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例10)
第2のインク付与工程で第1の層が形成された領域(第1の層の表面)に第2のインクの液滴が着弾してから、当該液滴に対して紫外線の照射を開始するまでの時間(T2)を61.0秒とした以外は、前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例11)
第1のインクおよび第2のインクに含まれる金属粉末の構成粒子の母粒子として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl製の粒子を用いた以外は、前記比較例10と同様にして記録物を製造した。
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[2.1]印刷部の形状(印刷部の精度)
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を、基材の印刷部(第1の層、第2の層)が設けられた面側から観察し、印刷部の形状について、以下の7段階の基準に従い、評価した。
未満。
B:隣接する正方形のべたパターンの平均ギャップが、0.2mm以上0.3mm
未満、または、0.7mm以上0.8mm未満。
C:隣接する正方形のべたパターンの平均ギャップが、0.1mm以上0.2mm
未満、または、0.8mm以上0.9mm未満。
D:隣接する正方形のべたパターンの平均ギャップが、0mm(接触)以上0.1
mm未満、または、0.9mm以上。
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を印刷部(第1の層、第2の層)が設けられた側から目視により観察し、その美的外観(審美性)について、以下の7段階の基準に従い、評価した。
A:鏡面が有するような高級感に溢れる光沢感(ピカピカ感)を有し、極めて優れ
た外観を有している。
B:鏡面が有するような高級感に溢れる光沢感(ピカピカ感)を有し、非常に優れ
た外観を有している。
C:鏡面が有するような高級感のある光沢感(ピカピカ感)を有し、優れた外観を
有している。
D:鏡面が有するような高級感のある光沢感(ピカピカ感)を有し、良好な外観を
有している。
E:光沢感(ピカピカ感)に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感(ピカピカ感)に劣り、外観が不良。
G:光沢感(ピカピカ感)に劣り、外観が極めて不良。
前記各実施例および比較例で製造した各記録物の印刷部について、光沢度計(コニカミノルタ社製 MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。光沢度の測定は、印刷部(第1の層、第2の層)が設けられた面側から行った。
A:光沢度が300以上。
B:光沢度が200以上300未満。
C:光沢度が200未満。
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[2.3]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
B:光沢度の低下率が5%以上13%未満。
C:光沢度の低下率が13%以上23%未満。
D:光沢度の低下率が23%以上27%未満。
E:光沢度の低下率が27%以上、または、金属粒子が脱落して基材の表面が露出
したもの。
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[3.1]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例で用いたインクについて、下記に示すような試験による評価を行った。
B:ズレ量dの平均値が0.07μm以上0.14μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.14μm以上0.17μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.21μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.21μm以上。
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例で用いたインクを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、50%RHの環境下で、各インクについて、液滴吐出ヘッドの全ノズルから、ピエゾ素子の振動数(周波数)を変化させつつ、液滴吐出を行った。各周波数での液滴吐出時間は20分間とした。20分間の吐出後時点で未吐出のノズル数が全ノズル数の1%未満の周波数までを実使用可能な最高周波数として、実使用可能な周波数範囲を以下の4段階の基準に従い、評価した。この値が大きいほど周波数特性に優れていると言える。
A:15kHz以上。
B:11kHz以上15kHz未満。
C:5kHz以上11kHz未満。
D:5kHz未満。
[3.3.1]沈降性
前記各実施例で用いたインクを、それぞれ、高さ:3cmのマイクロチューブに入れ、40℃の環境下で静置し、上澄みの透明層(金属粉末が含まれていない層)の厚さが2mmとなるまでの時間を測定し、以下の基準に従い、評価した。
A:上澄みの透明層の厚さが2mmとなるまでの期間が2週間以上。
B:上澄みの透明層の厚さが2mmとなるまでの期間が1週間以上2週間未満。
C:上澄みの透明層の厚さが2mmとなるまでの期間が3日間以上1週間未満。
D:上澄みの透明層の厚さが2mmとなるまでの期間が3日間未満。
前記各実施例で用いたインクについて、40℃の環境下に、60日間放置した後、ろ過精度10μmのメンブレンフィルタを用いて減圧下にて10mL通液した。その後、フィルター上に存在するインク由来の異物(凝集物)の数を数え、以下の基準に従い、評価した。
A:フィルター上に異物(凝集物)が認められない。
B:フィルター上に存在する異物(凝集物)が1個以上4個以下である。
C:フィルター上に存在する異物(凝集物)が5個以上29個以下である。
D:フィルター上に存在する異物(凝集物)が30個以上である。
前記各実施例で用いたインクについて、60℃の環境下に、30日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例で用いたインクの25℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
B:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
C:粘度の上昇率が15%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上25%未満。
E:粘度の上昇率が25%以上、または、異物の発生が認められる。
前記各実施例で用いたインクについて、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/m2にて、べた印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長395nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクが硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインクが付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
これらの結果を表8、表9に示す。
Claims (15)
- 紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物を含む第1のインクを、インクジェット法により基材に付与する第1のインク付与工程と、
紫外線の照射により前記第1の重合性化合物を重合・硬化させ、第1の層を形成する第1の硬化工程と、
前記第1の層が形成された領域に、紫外線の照射により重合する第2の重合性化合物および金属粉末を含有する第2のインクを、インクジェット法により付与する第2のインク付与工程と、
紫外線の照射により前記第2の重合性化合物を重合・硬化させ、第2の層を形成する第2の硬化工程とを有し、
前記領域における単位面積当たりの前記第1のインクの打ち込み量が2.0g/m2以上20.0g/m2以下であり、
前記第1のインクの液滴の着弾から、当該液滴に対する紫外線の照射までの時間が0.0010秒以上1.0秒以下であり、
前記領域における単位面積当たりの前記第2のインクの打ち込み量が、前記第1のインクの打ち込み量に対して、80体積%以上200体積%以下であり、
前記第2のインクの液滴の着弾から、当該液滴に対する紫外線の照射までの時間が5.0秒以上60.0秒以下であることを特徴とする記録物の製造方法。 - 前記インクジェット法の1回の吐出動作により吐出される前記第1のインクの液滴量は、3ng以上30ng以下である請求項1に記載の記録物の製造方法。
- 前記インクジェット法の1回の吐出動作により吐出される前記第2のインクの液滴量は、3ng以上30ng以下である請求項1または2に記載の記録物の製造方法。
- 前記金属粉末は、構成粒子として表面処理剤で表面処理されたものを含むものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 前記表面処理剤は、フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸エステル、フッ素系脂肪酸およびイソシアネート化合物からなる群から選択される1種または2種以上である請求項4に記載の記録物の製造方法。
- 前記金属粉末は、構成粒子として、少なくとも表面が主としてAlで構成された母粒子が前記表面処理剤で表面処理されたものを含むものである請求項4または5に記載の記録物の製造方法。
- 前記金属粉末の構成粒子は、鱗片状をなすものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 前記金属粉末の構成粒子の平均厚さが、10nm以上100nm以下である請求項7に記載の記録物の製造方法。
- 前記金属粉末の平均粒径が、500nm以上3.0μm以下であり、最大粒子径が、5μm以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 前記第1のインクおよび前記第2のインクは、いずれも、前記重合性化合物として、脂環構造を有するモノマーを含むものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 前記脂環構造を有するモノマーは、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アダマンチルアクリレート、γ−ブチロラクトンアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ペンタメチルピペリジルアクリレート、テトラメチルピペリジルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチル アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル アクリレート、メバロン酸ラクトン アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、および、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項10に記載の記録物の製造方法。
- 前記第1のインクおよび前記第2のインクは、いずれも、前記脂環構造を有するモノマー以外の重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項10または11に記載の記録物の製造方法。
- 前記第1のインクの前記基材に対する接触角が30°以上85°以下である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 前記第1のインクの室温(25℃)での粘度と前記第2のインクの室温(25℃)での粘度との差の絶対値が、1.0mPa・s以下である請求項1ないし13のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする記録物。
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