JP2015087472A - 物品の製造方法、及び偽造防止媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少なく、且つパターンを構成する領域間の輪郭が明確な、複屈折パターンを有する層を備える物品を容易に製造しうる製造方法及びそのような偽造防止媒体を提供する。【解決手段】基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介し前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程、前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び加熱温度を維持して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程を含む、製造方法。【選択図】図3
Description
本発明は、偽造防止媒体等の用途に有用な物品の製造方法、及び偽造防止媒体に関する。
光学的な用途に用いる物品であって、異なる位相差を有する複屈折パターンを有するフィルム状の物品は、種々の用途に用いることができる。かかる用途の一つとして、偽造防止媒体としての用途がある。偽造防止媒体は、真正な製品に付して、当該製品の真正性を識別する媒体である。偽造防止媒体のより具体的な態様の例としては、偏光板などの特定のフィルタを介して観察した際に、特定の模様等が観察され、これにより製品の真正性を識別しうる媒体が挙げられる。
複屈折パターンを有する物品の既知の製造方法の例としては、特許文献1〜4に記載される方法が挙げられる。これらの文献に記載される方法では、液晶相を呈した重合性の化合物を、配向状態を維持したまま重合し、その後露光条件の異なる露光を行い、さらに重合体の層をベークすることにより、複屈折パターンを固定化することが行なわれる。
しかしながら、このような方法によって形成された、複屈折パターンを有する物品は、高温条件に長時間曝されると、ベークによって固定化された位相差が容易に等方化し、位相差が低下してしまい、また、色相が変化しやすく、本来意図した意匠性及び識別性を発現できなくなってしまうという問題点がある。
また、このような方法によって形成された、複屈折パターンを有する物品においては、パターンを構成する領域間の輪郭が曖昧となり、意匠性及び識別性が乏しくなる場合がある。
従って、本発明の目的は、高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少なく、且つパターンを構成する領域間の輪郭が明確な、複屈折パターンを有する層を備える物品を容易に製造しうる製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少なく、且つパターンを構成する領域間の輪郭が明確で、容易に製造しうる偽造防止媒体を提供することにある。
本発明者は前記の課題を解決するべく検討した結果、従来技術において採用されている、既に重合した重合体のベークによる位相差の固定を行なうのに代えて、光照射による2段階の重合と、その間における、液晶化合物を等方化させる工程とを組み合わせ、さらに、照射する光を特定の波長とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
〔1〕 複屈折パターン層を備える物品の製造方法であって、
(I)基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、
(II)透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介して、20〜40℃の温度下、前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程であって、前記照射は、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、前記液晶組成物層上への照射強度が0を超え10mJ/cm2以下である工程、
(III)前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び
(IV)工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程
を含む、製造方法。
〔2〕 前記基材が、脂環式構造含有重合体を含む樹脂のフィルムである、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 前記工程(II)において、光の照射を、空気雰囲気下において、前記複層物の前記基材側の面に行なう、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 前記工程(IV)において、光の照射を、窒素雰囲気下において行なう、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕 前記遮光マスクが、透過率の異なる3つ以上の領域を有し、前記工程(II)において、前記遮光マスクの前記領域のそれぞれに対応した前記液晶組成物層の領域において、3以上の異なる照射強度で光の照射が行なわれる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔6〕 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の位相差量変化がいずれの領域においても5%以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔7〕 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の色相変化がいずれの領域においても5%以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる物品を含む偽造防止媒体。
(I)基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、
(II)透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介して、20〜40℃の温度下、前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程であって、前記照射は、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、前記液晶組成物層上への照射強度が0を超え10mJ/cm2以下である工程、
(III)前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び
(IV)工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程
を含む、製造方法。
〔2〕 前記基材が、脂環式構造含有重合体を含む樹脂のフィルムである、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 前記工程(II)において、光の照射を、空気雰囲気下において、前記複層物の前記基材側の面に行なう、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 前記工程(IV)において、光の照射を、窒素雰囲気下において行なう、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔5〕 前記遮光マスクが、透過率の異なる3つ以上の領域を有し、前記工程(II)において、前記遮光マスクの前記領域のそれぞれに対応した前記液晶組成物層の領域において、3以上の異なる照射強度で光の照射が行なわれる、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔6〕 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の位相差量変化がいずれの領域においても5%以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔7〕 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の色相変化がいずれの領域においても5%以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製造方法により得られる物品を含む偽造防止媒体。
本発明の物品の製造方法によれば、高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少なく、且つパターンを構成する領域間の輪郭が明確な、複屈折パターンを有する層を備える物品を容易に製造しうる。また、本発明の偽造防止媒体は、高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少なく、且つパターンを構成する領域間の輪郭が明確で、容易に製造しうる偽造防止媒体としうる。
以下、例示物及び実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
本願において、別に断らない限り、位相差の測定は、波長550nmの光について測定した値を採用する。
本願において、別に断らない限り、位相差の測定は、波長550nmの光について測定した値を採用する。
〔1.製造方法:概要〕
本発明の製造方法は、複屈折パターン層を備える物品の製造方法であって、
(I)基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、
(II)透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介して、20〜40℃の温度下、前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程であって、前記照射は、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、前記液晶組成物層上への照射強度が0を超え10mJ/cm2以下である工程、
(III)前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び
(IV)工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程
を含む。
本発明の製造方法は、複屈折パターン層を備える物品の製造方法であって、
(I)基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、
(II)透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介して、20〜40℃の温度下、前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程であって、前記照射は、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、前記液晶組成物層上への照射強度が0を超え10mJ/cm2以下である工程、
(III)前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び
(IV)工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程
を含む。
〔1.1.基材〕
本発明に用いる基材は、特に限定されず、本発明の製造方法に用いうる各種のフィルムを用いうる。
特に、工程(II)において、光を、基材を通して液晶組成物層に到達させる操作を含む場合、基材は、工程(II)で用いる光の透過率がある程度以上高いものである必要がある。具体的には、工程(II)で用いる光の透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上のものを用いうる。
本発明に用いる基材は、特に限定されず、本発明の製造方法に用いうる各種のフィルムを用いうる。
特に、工程(II)において、光を、基材を通して液晶組成物層に到達させる操作を含む場合、基材は、工程(II)で用いる光の透過率がある程度以上高いものである必要がある。具体的には、工程(II)で用いる光の透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上のものを用いうる。
本発明の製造方法に基材を用いた後、これを複屈折パターン層から剥離せずにそのまま物品の一部とする場合は、基材は、可視光を透過しうるものであって、且つ、複屈折Δnが小さいものであることが好ましい。基材の可視光透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上としうる。また、基材の複屈折Δnは、波長550nmの透過光に対する値として、好ましくは5×10−5以下、より好ましくは3×10−5以下としうる。
好ましい態様において、基材は、その表面が配向規制力を有するものとしうる。その場合、その上に直接液晶組成物を塗布することにより、液晶化合物を配向させうる。また、別の態様において、基材の表面上に、配向膜等の配向規制力を付与しうる層を形成し、これを工程(I)に用いうる。その場合、工程(I)において、当該層の上に液晶組成物を塗布することにより、液晶化合物を配向させうる。基材の表面に配向規制力を付与する処理の例としては、ラビング処理、及び基材の延伸処理が挙げられる。
工程(I)に供するのに先立ち、基材には、液晶組成物を塗布した際の濡れ性を向上させるための処理を行いうる。かかる処理としては、塗布する液晶組成物の組成に応じた既知の各種の処理を採用しうる。例えば、コロナ放電処理を行いうる。
基材の材質は、特に限定されず、種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、さらに、低複屈折の状態で、本発明の工程に良好に用いうる観点から、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する非晶性の重合体であり、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと、フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
脂環式構造含有重合体は、具体的には、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体から選ばれる。
脂環式構造含有重合体は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。
ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
脂環式構造含有重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。
重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
脂環式構造含有重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。
オリゴマ一成分の量が前記範囲内にあると、表面における微細な凸部の発生が減少し、厚みむらが小さくなり面精度が向上する。
オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合、水素化等の反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、等を最適化すればよい。
オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる。
オリゴマ一成分の量が前記範囲内にあると、表面における微細な凸部の発生が減少し、厚みむらが小さくなり面精度が向上する。
オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合、水素化等の反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、等を最適化すればよい。
オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる。
基材の材質として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いた場合の、基材の厚みは特に制限されないが、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、その厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜300μm、より好ましくは30〜100μmである。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでもよい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」を挙げうる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア1420」を挙げうる。
セルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステル(例:セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネート)が代表的である。低級脂肪酸は、1分子あたりの炭素原子数6以下の脂肪酸を意味する。セルロースアセテートには、トリアセチルセルロース(TAC)やセルロースジアセテート(DAC)が含まれる。
セルロースアセテートの酢化度は、50〜70%が好ましく、特に55〜65%が好ましい。重量平均分子量70000〜120000が好ましく、特に80000〜100000が好ましい。また、上記セルロースアセテートは、酢酸だけでなく上記酢化度を満足する限り、一部プロピオン酸、酪酸等の脂肪酸でエステル化されていても良い。また、基材を構成する樹脂は、セルロースアセテートと、セルロースアセテート以外のセルロースエステル(セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート等)とを組み合わせて含んでも良い。その場合、これらのセルロースエステルの全体が、上記酢化度を満足することが好ましい。
基材として、トリアセチルセルロースのフィルムを用いる場合、かかるフィルムとしては、トリアセチルセルロースを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調製されたトリアセチルセルロースドープを用いて作成されたトリアセチルセルロースフィルムが、環境保全の観点から特に好ましい。トリアセチルセルロースのフィルムは、共流延法により作製しうる。共流延法は、トリアセチルセルロースの原料フレークを溶媒に溶解し、これに必要に応じて任意の添加剤を添加し溶液(ドープ)を調製し、当該ドープをドープ供給手段(ダイ)から支持体の上に流延し、流延物をある程度乾燥して剛性が付与された時点でフィルムとして支持体から剥離し、当該フィルムをさらに乾燥して溶媒を除去することにより行いうる。原料フレークを溶解する溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等が挙げられる。ドープに添加する添加剤の例としては、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等が挙げられる。ドープを流延する支持体の例としては、水平式のエンドレスの金属ベルト、及び回転するドラムが挙げられる。流延に際しては、単一のドープを単層流延することもできるが、複数の層を共流延することもできる。複数の層を共流延する場合、例えば、低濃度のセルロースエステルドープの層と、そのおもて面及び裏面に接して設けられた高濃度のセルロースエステルドープの層が形成されるよう、複数のドープを順次流延しうる。フィルムを乾燥して溶媒を除去する手段の例としては、フィルムを搬送して、内部を乾燥に適した条件に設定した乾燥部を通過させる手段が挙げられる。
トリアセチルセルロースのフィルムの好ましい例としては、TAC−TD80U(富士写真フィルム(株)製)等の公知のもの、及び発明協会公開技報公技番号2001−1745号にて公開されたものが挙げられる。トリアセチルセルロースのフィルムの厚みは特に限定されないが、30〜150μmが好ましく、40〜130μmがより好ましく、70〜120μmが更に好ましい。
〔1.2.工程(I)〕
本発明の製造方法の工程(I)は、
(I−1) 基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、
(I−2) 液晶組成物層中の順波長分散重合性液晶化合物を配向させ、
(I−3) 液晶組成物層を乾燥させる
ことを含む。これにより、基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る。
本願においては、説明の便宜上、文脈上明らかな場合は、塗布後乾燥前の液晶組成物の層、乾燥後半硬化前の液晶組成物の層、及び半硬化後本硬化前の液晶組成物の層を、包括的に単に「液晶組成物層」と呼ぶことがある。
本発明の製造方法の工程(I)は、
(I−1) 基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、
(I−2) 液晶組成物層中の順波長分散重合性液晶化合物を配向させ、
(I−3) 液晶組成物層を乾燥させる
ことを含む。これにより、基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る。
本願においては、説明の便宜上、文脈上明らかな場合は、塗布後乾燥前の液晶組成物の層、乾燥後半硬化前の液晶組成物の層、及び半硬化後本硬化前の液晶組成物の層を、包括的に単に「液晶組成物層」と呼ぶことがある。
〔1.3.液晶組成物〕
工程(I)に用いる液晶組成物(以下において、当該組成物を、「組成物(A)」と略称する場合がある。)は、順波長分散重合性液晶化合物を含む、光重合性の液晶組成物である。光重合性の液晶組成物とは、含まれる重合性の化合物が、光の照射により重合しうる化合物である。光重合性の液晶組成物は、通常、光重合開始剤と、かかる光重合開始剤の作用により重合反応を起こしうる、単量体としての重合性の化合物とを含むものとしうる。
工程(I)に用いる液晶組成物(以下において、当該組成物を、「組成物(A)」と略称する場合がある。)は、順波長分散重合性液晶化合物を含む、光重合性の液晶組成物である。光重合性の液晶組成物とは、含まれる重合性の化合物が、光の照射により重合しうる化合物である。光重合性の液晶組成物は、通常、光重合開始剤と、かかる光重合開始剤の作用により重合反応を起こしうる、単量体としての重合性の化合物とを含むものとしうる。
組成物(A)の成分としての液晶化合物とは、組成物(A)に配合し配向させた際に、液晶相を呈しうる化合物である。重合性液晶化合物とは、かかる液晶相を呈した状態で組成物(A)中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。さらに、順波長分散重合性液晶化合物とは、そのように重合体とした場合、得られた重合体が順波長分散を示す重合性液晶化合物である。
また、本願において、組成物(A)の成分であって、重合性を有する化合物(重合性液晶化合物及びその他の重合性を有する化合物等)を総称して単に「重合性化合物」ということがある。
組成物(A)は、工程(II)において、波長350〜400nmの光により半硬化を行う必要があるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤を適宜選択することにより、当該波長の光により重合されうる組成物とされる。
また、本願において、組成物(A)の成分であって、重合性を有する化合物(重合性液晶化合物及びその他の重合性を有する化合物等)を総称して単に「重合性化合物」ということがある。
組成物(A)は、工程(II)において、波長350〜400nmの光により半硬化を行う必要があるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤を適宜選択することにより、当該波長の光により重合されうる組成物とされる。
本願において、順波長分散とは、長波長において位相差が小さく、短波長において位相差が大きい、位相差の分散をいう。順波長分散重合性液晶化合物の重合体は、可視領域の全体において順波長分散を示すことが好ましいが、可視領域の代表的な値、例えば400nm、500nm及び780nmの三点において測定を行い、この3点において順波長分散を示す重合性光液晶化合物を、本発明において順波長分散重合性液晶化合物として用いることができる。
本願の製造方法では、順波長分散重合性液晶化合物を用いることにより、得られる複屈折パターン層を、透過する光の波長に応じて異なる位相差を発現するものとすることができる。その結果、本発明の製造方法により得られる物品を含む偽造防止媒体において、真正性識別の観察における多色表示を達成することができる。
〔1.4.順波長分散重合性液晶化合物〕
重合性液晶化合物としては、重合性基を有する液晶化合物、側鎖型液晶ポリマーを形成しうる化合物などが挙げられる。重合性基を有する液晶化合物としては、例えば、特開平11−513360号公報、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物としては、例えば、特開2003−177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。また、好ましい液晶化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。これらの液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶化合物としては、重合性基を有する液晶化合物、側鎖型液晶ポリマーを形成しうる化合物などが挙げられる。重合性基を有する液晶化合物としては、例えば、特開平11−513360号公報、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物としては、例えば、特開2003−177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。また、好ましい液晶化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。これらの液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔1.5.重合性モノマー〕
組成物(A)は、任意の成分として、重合性モノマーを含有しうる。本願において、「重合性モノマー」とは、重合性を有しモノマーとして働きうる化合物のうち、特に、順波長分散重合性液晶化合物以外の化合物をいう。
重合性モノマーとしては、例えば、1分子当たり1以上の重合性基を有するものを用いうる。そのような重合性基を有することにより、液晶樹脂フィルムの形成に際し重合を達成することができる。重合性モノマーが1分子当たり2以上の重合性基を有する架橋性モノマーである場合、架橋的な重合を達成することができる。かかる重合性基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基を挙げることができる。重合性モノマーの具体的な例としては、本願実施例において、化合物2として用いられる化合物を挙げることができる。
組成物(A)は、任意の成分として、重合性モノマーを含有しうる。本願において、「重合性モノマー」とは、重合性を有しモノマーとして働きうる化合物のうち、特に、順波長分散重合性液晶化合物以外の化合物をいう。
重合性モノマーとしては、例えば、1分子当たり1以上の重合性基を有するものを用いうる。そのような重合性基を有することにより、液晶樹脂フィルムの形成に際し重合を達成することができる。重合性モノマーが1分子当たり2以上の重合性基を有する架橋性モノマーである場合、架橋的な重合を達成することができる。かかる重合性基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基を挙げることができる。重合性モノマーの具体的な例としては、本願実施例において、化合物2として用いられる化合物を挙げることができる。
重合性モノマーは、それ自体が液晶性のものであってもよく、非液晶性のものであってもよい。ここで、それ自体が「非液晶性」であるとは、当該重合性モノマーそのものを、室温から200℃のいずれの温度に置いた場合にも、配向処理をした基材上で配向を示さないものをいう。配向を示すかどうかは、偏光顕微鏡のクロスニコル透過観察にてラビング方向を面相で回転させた場合に、明暗のコントラストがあるかどうかで判断する。
組成物(A)において、重合性モノマーの配合割合は、順波長分散重合性液晶化合物100重量部に対し、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。当該範囲内で、重合性モノマーの配合割合を、所望の順波長分散特性を示すように適宜調整することにより、順波長分散特性の精密な制御が容易となる。
重合性モノマーは、既知の製造方法により製造することができる。
重合性モノマーは、既知の製造方法により製造することができる。
〔1.6.組成物(A)のその他の成分〕
組成物(A)は、順波長分散重合性液晶化合物及び重合性モノマーに加えて、必要に応じて、以下に例示するもの等の任意の成分を含みうる。
組成物(A)は、順波長分散重合性液晶化合物及び重合性モノマーに加えて、必要に応じて、以下に例示するもの等の任意の成分を含みうる。
組成物(A)は、重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、組成物(A)中の、順波長分散重合性液晶化合物、重合性モノマー及びその他の重合性化合物が有する重合性基の種類に応じて適宜選択しうる。例えば、重合性基がラジカル重合性であればラジカル重合開始剤を、アニオン重合性の基であればアニオン重合開始剤を、カチオン重合性の基であればカチオン重合開始剤を、それぞれ使用しうる。
ラジカル重合開始剤としては、可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルフォリノブチロフェノン等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
メルカプタン系化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−ヘプタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(ベンゾイル)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン 2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、1−[9−エチル−6−(3−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−エタノン 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)ベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
光ラジカル発生剤としては、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:イルガキュア907、商品名:イルガキュア184、商品名:イルガキュア369、品名:イルガキュア651、品名:イルガキュア819、品名:イルガキュア907、イルガキュア379、及び商品名:イルガキュア OXE02、ADEKA社製の、商品名:アデカオプトマーN1919等が挙げられる。
前記アニオン重合開始剤としては、例えば、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩又はモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
また、前記カチオン重合開始剤としては、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩又は芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
これらの重合開始剤は一種単独で、又は二種以上を組合わせて用いることができる。
組成物(A)において、重合開始剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
これらの重合開始剤は一種単独で、又は二種以上を組合わせて用いることができる。
組成物(A)において、重合開始剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
組成物(A)は、表面張力を調整するための、界面活性剤を含みうる。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いうる。例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、セイミケミカル(株)製KH−40等が挙げられる。組成物(A)において、界面活性剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
組成物(A)は、有機溶媒等の溶媒を含みうる。かかる有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、60〜250℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。溶媒の使用量は、重合性化合物100重量部に対し、通常、100〜1000重量部である。
組成物(A)は、さらに、架橋剤、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等の任意の添加剤を含みうる。本発明の重合性組成物において、かかる任意の添加剤の配合割合は、重合性化合物100重量部に対し、通常、各々0.1〜20重量部である。
組成物(A)は、通常、上に述べた成分を混合することにより、調製することができる。
〔1.7.液晶組成物の塗布〕
工程(I−1)における塗布の具体的な方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗布される液晶組成物の層の厚みは、複屈折パターン層に求められる所望の厚さに応じて適宜設定しうる。
工程(I−1)における塗布の具体的な方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗布される液晶組成物の層の厚みは、複屈折パターン層に求められる所望の厚さに応じて適宜設定しうる。
〔1.8.配向処理〕
工程(I−2)の、順波長分散重合性液晶化合物を配向させる処理は、(I−1)の塗布により直ちに達成される場合もあるが、必要に応じて、塗布の後に、一定時間の放置、加温などの配向処理を施すことにより達成される場合もある。配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適宜設定しうるが、例えば、20〜100℃の温度条件において1〜30分間処理する条件としうる。用いる液晶組成物の組成及び処理条件を適宜設定することにより、基材の配向規制方向に沿った配向を達成しうる。
工程(I−2)の、順波長分散重合性液晶化合物を配向させる処理は、(I−1)の塗布により直ちに達成される場合もあるが、必要に応じて、塗布の後に、一定時間の放置、加温などの配向処理を施すことにより達成される場合もある。配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適宜設定しうるが、例えば、20〜100℃の温度条件において1〜30分間処理する条件としうる。用いる液晶組成物の組成及び処理条件を適宜設定することにより、基材の配向規制方向に沿った配向を達成しうる。
配向処理により、液晶組成物層中の重合性液晶化合物が、液晶相を呈する。かかる液晶相は、ネマチック相であることが、良好な位相差を得る上で好ましい。液晶組成物の組成を適宜選択することにより、かかるネマチック相を得ることができる。
〔1.9.乾燥〕
工程(I−3)の乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
工程(I−3)の乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
〔1.10.複層物〕
工程(I)により、基材及び乾燥した状態の液晶組成物層を有する複層物を得る。図1は、本発明の製造方法の工程(I)で得られる複層物の一例を概略的に示す斜視図である。図1において、複層物100は、基材101と、基材101の上に形成された、乾燥した状態の液晶組成物層102とを有する。
工程(I)により、基材及び乾燥した状態の液晶組成物層を有する複層物を得る。図1は、本発明の製造方法の工程(I)で得られる複層物の一例を概略的に示す斜視図である。図1において、複層物100は、基材101と、基材101の上に形成された、乾燥した状態の液晶組成物層102とを有する。
〔1.11.工程(II)〕
本発明の製造方法の工程(II)では、特定の遮光マスクを介して、液晶組成物層に光を照射する。
図2は、本発明の製造方法の工程(II)の操作の一例を概略的に示す斜視図である。図2では、光源211から矢印A51の方向に出光した光は、波長350〜400nmの光を透過するバンドパスフィルター221、及び遮光マスク230を介して、複層物100の基材101側の面に照射される。このような照射を行なうことにより、光はさらに、基材101を透過して液晶組成物層102に達し、液晶組成物層の半硬化が達成される。
本発明の製造方法の工程(II)では、特定の遮光マスクを介して、液晶組成物層に光を照射する。
図2は、本発明の製造方法の工程(II)の操作の一例を概略的に示す斜視図である。図2では、光源211から矢印A51の方向に出光した光は、波長350〜400nmの光を透過するバンドパスフィルター221、及び遮光マスク230を介して、複層物100の基材101側の面に照射される。このような照射を行なうことにより、光はさらに、基材101を透過して液晶組成物層102に達し、液晶組成物層の半硬化が達成される。
図2では、説明のため、バンドパスフィルター221、遮光マスク230及び複層物100は離隔して図示しているが、工程(II)は、これらを離隔せず重ねた状態で行ないうる。特に、遮光マスク230及び複層物100を離隔せず重ねて載置し、この状態で工程(II)を行うことにより、領域の輪郭での回折の影響を最小限とし、且つ、正確な照射強度の調整を行うことができる。
本願において、液晶組成物層を「半硬化」させるとは、液晶組成物層中の重合性化合物を、本硬化で達成される重合転化率より低い重合転化率で重合させることをいう。半硬化における重合転化率は、最も重合転化率が高い領域において、好ましくは80%未満であり、より好ましくは60%未満としうる。
工程(II)は、20℃〜40℃の温度において行なう。工程(II)を行う温度は、好ましくは22℃以上、より好ましくは25℃以上であり、一方好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。かかる温度において照射を行なうことにより、液晶組成物層の半硬化の条件を緩和なものとし、各領域に位相差の差異を確実に付与することができる。
工程(II)での照射に用いる光は、波長350〜400nmの光である。かかる光は、図2の例に示す通り、光源からの光を、当該波長範囲の光を選択的に透過するバンドパスフィルターに通すことにより得うる。かかる波長の光を用いることにより、光の回折の少ない照射を達成することができ、その結果、複屈折パターンの領域の輪郭を明確なものとしうる。
図2の例に示す通り、工程(II)においては、光の照射を、複層物の基材側の面に行なうことが好ましい。基材側の面に光を照射し、基材を通して液晶組成物層へ光を到達させることにより、液晶組成物層の半硬化の条件をより緩和なものとし、各領域に位相差の差異を確実に付与することができる。
工程(II)は、空気雰囲気下で行うこともでき、窒素ガス等の不活性気体の雰囲気下で行なうこともできるが、空気雰囲気下で行なうことが好ましい。空気雰囲気下で光の照射を行なった場合、通常、空気中の酸素により、液晶組成物層中の重合性化合物の重合は阻害されうる。かかる重合の阻害が存在することにより、液晶組成物層の半硬化の条件をより緩和なものとし、各領域に位相差の差異を確実に付与することができる。
〔1.12.遮光マスク〕
工程(II)においては、透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを用いる。ここでいう透過率とは、工程(II)における照射に用いる光の透過率である。遮光マスクが、透過率の異なる複数の領域を有することにより、液晶組成物層の複数の領域において、複数種類の異なる強度での光の照射を達成することができ、その結果、領域毎に異なる重合転化率での半硬化を達成することができる。
工程(II)においては、透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを用いる。ここでいう透過率とは、工程(II)における照射に用いる光の透過率である。遮光マスクが、透過率の異なる複数の領域を有することにより、液晶組成物層の複数の領域において、複数種類の異なる強度での光の照射を達成することができ、その結果、領域毎に異なる重合転化率での半硬化を達成することができる。
透過率の異なる複数の領域を設ける態様の例としては、遮光マスクの面が、ある透過率を有する一以上の領域と、他の透過率を有する一以上の領域を含む態様が挙げられる。遮光マスクは、透過率の異なる3つ以上の領域を有し、それにより、得られる複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有することが好ましい。複屈折パターン層が位相差の異なる3つ以上の領域を有することにより、真正性識別の観察における意匠性をより高めることができ、且つ、真正性の識別をより確実に行なうことができる。
工程(II)において用いる遮光マスクとしては、透過率の異なる複数の領域が一枚のマスクとなったものを用いることが、操作の容易性から好ましい。ただし、遮光マスクはこれには限られず、複数枚のマスクを重ねて用いたり、複数枚のマスクを並べて用いたりすることにより、透過率の異なる複数の領域を構成し、これを工程(II)に用いてもよい。
遮光マスクの複数の領域は、背景領域と、文字及び/又は図形の領域との組み合わせとしうる。図2の例では、遮光マスク230は、背景領域234と、文字「A」の形状の領域231と、文字「B」の領域232と、文字「C」の領域233とからなる複数の領域を有している。以下の具体例の説明において、このような、文字「A」の領域、文字「B」の領域、文字「C」の領域、及び背景領域を有する遮光マスクのパターン又は複屈折パターン層のパターンにおいて、文字「A」の領域、文字「B」の領域、及び文字「C」の領域を、それぞれ単に「領域A」、「領域B」、及び「領域C」と略称することがある。
図2の例に示す領域A231、領域B232及び領域C233のそれぞれは、背景領域234と接しているので、背景領域234と異なる透過率を有することにより、背景領域とは異なる領域を規定しうる。領域A231、領域B232及び領域C233の透過率は、同じであってもよく異なっていてもよいが、これらの透過率を全て互いに異なる透過率とすることにより、背景領域とは別に3種類の異なる色を、真正性識別の観察に際して表現することができる。
〔1.13.照射強度〕
工程(II)では、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、光の照射強度を、液晶組成物層上への照射強度として、0を超え10mJ/cm2以下の範囲とする。照射強度は、遮光マスク面上への照度(単位mW/cm2)を測定し、この値と、照射時間と、遮光マスクの透過率と、基材を透過させる照射を行なう場合は基材の透過率とから算出しうる。照度の測定は、紫外線照度計(例えばオーク製作所製、商品名「UV−M03」)を用い、バンドパスフィルターを透過した光を、遮光フィルターの光源側の面に接して受光部を設置した状態で測定することにより求めうる。
工程(II)では、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、光の照射強度を、液晶組成物層上への照射強度として、0を超え10mJ/cm2以下の範囲とする。照射強度は、遮光マスク面上への照度(単位mW/cm2)を測定し、この値と、照射時間と、遮光マスクの透過率と、基材を透過させる照射を行なう場合は基材の透過率とから算出しうる。照度の測定は、紫外線照度計(例えばオーク製作所製、商品名「UV−M03」)を用い、バンドパスフィルターを透過した光を、遮光フィルターの光源側の面に接して受光部を設置した状態で測定することにより求めうる。
〔1.14.工程(III)〕
本発明の製造方法の工程(III)では、工程(II)の後、複層物をTNI以上に加熱する。工程(III)での加熱温度は、好ましくは(TNI+5)℃以上、より好ましくは(TNI+10)℃以上であり、一方好ましくは(TNI+30)℃以下、より好ましくは(TNI+25)℃以下としうる。TNIとは、液晶相を呈している液晶組成物の温度を徐々に高めて行き、ある温度で等方相に転移した場合におけるその温度をいう。具体的には例えば、ネマチック相から等方相へ転移する温度を、TNIとしうる。
本発明の製造方法の工程(III)では、工程(II)の後、複層物をTNI以上に加熱する。工程(III)での加熱温度は、好ましくは(TNI+5)℃以上、より好ましくは(TNI+10)℃以上であり、一方好ましくは(TNI+30)℃以下、より好ましくは(TNI+25)℃以下としうる。TNIとは、液晶相を呈している液晶組成物の温度を徐々に高めて行き、ある温度で等方相に転移した場合におけるその温度をいう。具体的には例えば、ネマチック相から等方相へ転移する温度を、TNIとしうる。
工程(III)において、複層物を前記特定の温度で加熱することにより、液晶組成物層中に重合せず残存している重合性液晶化合物を等方化させることができる。
工程(III)における加熱時間は、重合性液晶化合物の等方化が達成される時間となるよう適宜調整しうるが、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上であり、一方好ましくは5分以下、より好ましくは3分以下である。
〔1.15.工程(IV)〕
本発明の製造方法の工程(IV)では、工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化する。照射強度は、好ましくは150mJ/cm2以上、より好ましくは200mJ/cm2以上であり、一方好ましくは1500mJ/cm2以下、より好ましくは1000mJ/cm2以下である。かかる本硬化により、工程(III)により等方化された重合性液晶化合物が重合され、領域毎に異なる位相差を有する複屈折パターン層が形成される。
本発明の製造方法の工程(IV)では、工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化する。照射強度は、好ましくは150mJ/cm2以上、より好ましくは200mJ/cm2以上であり、一方好ましくは1500mJ/cm2以下、より好ましくは1000mJ/cm2以下である。かかる本硬化により、工程(III)により等方化された重合性液晶化合物が重合され、領域毎に異なる位相差を有する複屈折パターン層が形成される。
工程(II)とは異なり、工程(IV)では、重合性液晶化合物が十分に重合することが好ましいため、照射は、複層物の液晶組成物層側の面に行なうことが好ましい。また、工程(IV)は、窒素ガス等の不活性気体の雰囲気下で行なうことが好ましい。また、工程(IV)で用いる光の波長は、波長350〜400nmの光であってもよいが、これに限らず、可視光線、紫外線、及び赤外線等の任意の光を用いうる。但し、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。
工程(IV)の照射を、工程(III)における加熱温度を維持して行なうとは、工程(III)の加熱を行った後、その温度をTNI未満に低下させること無く工程(IV)を開始し、工程(IV)の終了まで温度をTNI以上に維持することをいう。したがって、工程(IV)の照射の際の温度は、工程(III)における加熱温度と全く同じ温度でなくてもよい。
〔1.16.複屈折パターン層及び物品〕
工程(I)〜(IV)を行うことにより、基材上に複屈折パターン層を形成することができる。本願において、複屈折パターン層とは、複屈折パターンを有する層であり、複屈折パターンとは、2つ以上の異なる複屈折を有する領域により規定されるパターンである。
工程(I)〜(IV)を行うことにより、基材上に複屈折パターン層を形成することができる。本願において、複屈折パターン層とは、複屈折パターンを有する層であり、複屈折パターンとは、2つ以上の異なる複屈折を有する領域により規定されるパターンである。
工程(I)〜(IV)を行うことにより得られた、基材及び複屈折パターン層を備える複層物は、それをそのまま物品としてもよい。または、得られた複層物から複屈折パターン層を剥離し、これを物品としてもよい。または、剥離した複屈折パターン層を別の基材に貼合し、これを物品としてもよい。
図3は、図2に例示した工程を含む本発明の製造方法により形成された複層パターン層を模式的に示す平面図である。図3において、複屈折パターン層300は、背景領域334、領域A331、領域B332及び領域C333を含む複数の領域を有しており、これらの領域はそれぞれ、遮光マスク230の背景領域234、領域A231、領域B232及び領域C233に対応する。また、領域335は、工程(II)において、遮光マスク230を介さずに照射が行なわれた領域である。
工程(I)〜(IV)を実施した結果、複屈折パターン層のそれぞれの領域においては、重合性液晶化合物の一部が配向された状態で重合し、他の一部が等方化された状態で重合し、重合体を形成している。配向された状態の重合体の割合は、工程(II)における重合転化率により異なる。その結果、工程(II)における照射強度がより高い領域はより高い位相差を発現し、一方、工程(II)における照射強度がより低い領域はより低い位相差を発現する。その結果、複屈折パターン層は、位相差の異なる複数の領域を有するものとなる。
好ましい態様において、複屈折パターン層は、位相差の異なる3つ以上の領域を有する。複屈折パターン層が位相差の異なる3つ以上の領域を有することにより、意匠性をより高めることができ、且つ、真正性の識別をより確実に行なうことができる。
本発明の製造方法により形成した複屈折パターン層は、光照射による2段階の重合と、その間における、液晶化合物を等方化させる工程との組み合わせにより形成されたことにより、複屈折パターンを有しながら、且つ、高温条件に長時間曝された場合の位相差の低下及び色相の変化が少ないものとすることができる。
具体的には、複屈折パターン層を、80℃で1時間処理した後の位相差量変化が、いずれの領域においても5%以下であるものとすることができる。また、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の色相変化がいずれの領域においても5%以下であるものとすることができる。ここで位相差の値としては、AxoScan(Axometrics社製、ミューラーマトリクスポラリメータ)を用い波長550nmにおいて測定した値を用いうる。位相差の変化率は、((加温前の位相差−加温後の位相差)/加温前の位相差)×100(%)として計算しうる。また、色相は、正反射層の上に複屈折パターン層を含む物品を載置し、その上にさらに直線偏光板を載置した状態で、各領域の反射スペクトルを、日本分光(UV−Vis550)で測定し、この反射スペクトルから、人間の目に対応する分光感度(等色関数)を乗じて三刺激値X、Y及びZを求め、色相(a*、b*、L*)を算出することにより求めうる。色相の変化率はΔEとして計算しうる。加温後の色相(a*、b*、L*)についてのΔEは{(a*−a0*)2+(b*−b0*)2+(L*−L0*)2}1/2で求められる。ここでa0*、b0*、L0*はそれぞれ加温前の色相の値である。
複屈折パターン層の厚みは、特に限定されず所望の位相差等の光学的性質を発現しうる厚みに適宜制御できる。複屈折パターン層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、一方好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。
〔2.偽造防止媒体〕
本発明の偽造防止媒体は、前記本発明の製造方法により得られる物品を含む。本発明の偽造防止媒体は、具体的には、正反射層と、複屈折パターン層とを含む積層構造を有しうる。本発明の製造方法に用いた基材が、複屈折性が小さい(例えばΔnが3×10−5以下)ものであれば、基材を含む物品をそのまま正反射層と組み合わせて、偽造防止媒体としうる。一方、Δnが大きい場合は、基材を剥離し、それをそのまま、若しくは別の基材と貼合した後、正反射層と組み合わせて、偽造防止媒体としうる。
本発明の偽造防止媒体は、前記本発明の製造方法により得られる物品を含む。本発明の偽造防止媒体は、具体的には、正反射層と、複屈折パターン層とを含む積層構造を有しうる。本発明の製造方法に用いた基材が、複屈折性が小さい(例えばΔnが3×10−5以下)ものであれば、基材を含む物品をそのまま正反射層と組み合わせて、偽造防止媒体としうる。一方、Δnが大きい場合は、基材を剥離し、それをそのまま、若しくは別の基材と貼合した後、正反射層と組み合わせて、偽造防止媒体としうる。
正反射層の例としては、アルミ蒸着箔、銀蒸着箔、鏡、アルミホイル等が挙げられる。本発明の偽造防止媒体は、さらに、任意の構成要素として、正反射層と前記物品とを貼合するための粘着層を含みうる。粘着層としては特に限定されないが、アクリル系溶剤型粘着剤、アクリル系エマルジョン型粘着剤、ウレタン系溶剤型粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤等の粘接着剤を好ましく用いることができる。粘着層の材料の例としては、綜研化学;SKダイン2094、大同化成製;ビニゾールE−5301が挙げられる。必要に応じて硬化剤等の助剤を添加しても良い。
本発明の偽造防止媒体は、直線偏光板を介して観察することにより、その真正性を識別することができる。具体的には、正反射層と複屈折パターン層とを含む偽造防止媒体の、複屈折パターン層側の面に、直線偏光板を載置して観察すると、複屈折パターンのそれぞれの領域が、模様として観察される。
図4は、本発明の偽造防止媒体の真正性識別の観察により、模様が観察される原理を模式的に説明する斜視図である。図4においては、説明の便宜上、直線偏光板401と、複屈折パターン層300と、正反射層402とは離隔して図示されているが、実際の観察においては、複屈折パターン層300と正反射層402とは積層され、さらに直線偏光板401はその上に載置される。
図4において、矢印A31〜A33は、複屈折パターン層300が存在せず、直線偏光板401及び正反射層402のみが存在していた場合、入射した光がどのように反射し観察されるかを概念的に示している。矢印A31に示される通り直線偏光板401に光が入射すると、直線偏光板401の透過軸方向A1に沿った直線偏光成分のみが矢印A32の通り透過する。透過した光は、矢印A41及びA42で示す偏光方向を保ち、正反射層402において反射され、再び直線偏光板401を透過して、矢印A33で示す通り出射する。
一方、図4において、矢印A11〜15は、直線偏光板401及び正反射層402の間に複屈折パターン層300が存在している場合、入射した光がどのように反射し観察されるかを概念的に示している。矢印A11に示される通り直線偏光板401に光が入射すると、直線偏光板401の透過軸方向A1に沿った直線偏光成分、即ち矢印A21の偏光方向を有する光のみが、矢印A12の通り透過する。透過した光は、複屈折パターン層300を透過すると、透過した部分の位相差に応じて、矢印A22に示すような楕円偏光となり、矢印A13の通り透過し、正反射層402で反射される。反射された楕円偏光は、再び複屈折パターン層300を透過し、偏光状態がさらに変化し、矢印A23で示すような楕円偏光となり、矢印A14の通り、再び直線偏光板401に到達する。矢印A14で示される光のうち、一部の直線偏光成分のみが直線偏光板を透過できるため、矢印A14で示される光のうち、一部の光のみが、矢印A15の通り出射する。したがって、矢印A11で示された入射光のうち、どれだけの割合が矢印15で示される出射光として出射するかは、複屈折パターン層300における位相差によって様々に変化する。ここで、複屈折パターン層300は、順波長分散を示すため、入射光に対する出射光の割合は、その波長によって大きく異なり、多く出射される波長と少なく出射される波長との差異が生じるため、色相が観察される。さらに、それぞれの領域は位相差が異なるため、多く出射される波長及び少なく出射される波長も領域に応じて異なり、その結果、それぞれの領域において、異なる色相が観察される。
一方、本発明の偽造防止媒体を、直線偏光板401を介さずに観察した場合、上記のような異なる色相は観察されず、通常は異なる領域を目視で識別することができない。
このような偽造防止媒体は、容易に複製することが困難であり、しかも、通常の観察ではそのような識別のための構成を有していること自体認識され難い。したがって、このような偽造防止媒体を、真正性を識別することが求められる製品に付し、それを直線偏光板を介して観察することにより、その真正性を識別することができる。
さらに、本発明の偽造防止媒体は、上で述べた原理により、直線偏光板を介して観察した際に、それぞれの領域において、異なる色相を呈するよう構成しうる。その結果、真正性識別の観察における意匠性をより高めることができ、且つ、真正性の識別をより確実に行なうことができる。
本発明の偽造防止媒体は、真正性の識別を求められる任意の製品に付することができる。具体的な用途を挙げると、例えば、医薬品、化粧品、香水およびトナーなどの容器、開封シール、包装物、紙幣、証券、金券、旅券、電子機器、バッグ、衣服、布地、クレジットカード、セキュリティカード、情報を図形化したコード(例えばバーコード等の1次元のコード、並びにQRコード(登録商標)等の2次元のコード)を付した製品、並びに各種証明等に施す偽造防止のための識別標識等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
<測定方法>
<照度>
照度の測定には、紫外線照度計(オーク製作所製、商品名「UV−M03」)を用い、バンドパスフィルターを透過した光を、遮光フィルターの光源側の面に接して受光部を設置した状態で測定した。
<照度>
照度の測定には、紫外線照度計(オーク製作所製、商品名「UV−M03」)を用い、バンドパスフィルターを透過した光を、遮光フィルターの光源側の面に接して受光部を設置した状態で測定した。
<位相差>
位相差の測定は、AxoScan(Axometrics社製、ミューラーマトリクスポラリメータ)で、別に断らない限り波長550nmにおいて測定した。
位相差の測定は、AxoScan(Axometrics社製、ミューラーマトリクスポラリメータ)で、別に断らない限り波長550nmにおいて測定した。
〔製造例1〜2:液晶組成物の調製〕
表1に示す配合割合で各成分を混合し、組成物(1)及び(2)を調製した。
表1に示す配合割合で各成分を混合し、組成物(1)及び(2)を調製した。
表1において、各成分の量比を表す数値は全て重量部である。表1における略語の意味は、下記の通りである。
化合物1:重合性液晶化合物(商品名「LC242」BASF社製、下記式(E1)で示される化合物)
化合物2:重合性モノマー、下記式(E2)で示される化合物
化合物3:下記式(E3)で示される化合物
化合物1:重合性液晶化合物(商品名「LC242」BASF社製、下記式(E1)で示される化合物)
化合物2:重合性モノマー、下記式(E2)で示される化合物
化合物3:下記式(E3)で示される化合物
架橋剤:商品名「ATMPT」、新中村化学工業社製
界面活性剤:商品名「フタージェント209F」0.1%溶液、ネオス社製
重合開始剤:商品名「イルガキュア379」、チバ・ジャパン社製
MEK:メチルエチルケトン
界面活性剤:商品名「フタージェント209F」0.1%溶液、ネオス社製
重合開始剤:商品名「イルガキュア379」、チバ・ジャパン社製
MEK:メチルエチルケトン
得られた組成物(1)及び(2)のそれぞれを、ラビング処理した支持体(COPゼオノアフィルム、商品名「ZF16」、日本ゼオン株式会社製)上に、スピンコーターで乾燥膜厚が5.5μmになるように塗工した後、ホットプレートにて120℃で2分間加熱乾燥し、複層物を得た。次にこの複層物に100mJ/cm2の紫外線を露光し、膜厚5.5μmの光学異方性層からなる位相差板を得た。作製した位相差板について、AXOMETRICS社製の位相差解析装置:AxoScanにて面内位相差Reの波長分散特性の測定を行った。Δn=Re/膜厚の関係からΔnを算出し、Re(400)/Re(550)及びRe(780)/Re(550)の値を求めた。その結果、組成物(1)のRe(400)/Re(550)は1.019であり、Re(780)/Re(550)は0.989であった。また、組成物(2)のRe(400)/Re(550)は0.814であり、Re(780)/Re(550)は1.046であった。
〔製造例3及び4:遮光マスクの調製〕
図2において示される遮光マスク230の通りの形状を有する、2種類の遮光マスク(遮光マスク(1)及び遮光マスク(2))を調製した。ガラス基板の一方の面上に、ポリイミドテープ(住友スリーエム製、商品名「耐熱マスキングテープ7414L」)を重ねて貼付した。領域A231、領域B232、領域C233及び背景領域234のそれぞれにおいて、テープを重ねる枚数を調節することにより、波長365nmの紫外光の透過率が、それぞれの領域において表2に示す値となるようにした。
図2において示される遮光マスク230の通りの形状を有する、2種類の遮光マスク(遮光マスク(1)及び遮光マスク(2))を調製した。ガラス基板の一方の面上に、ポリイミドテープ(住友スリーエム製、商品名「耐熱マスキングテープ7414L」)を重ねて貼付した。領域A231、領域B232、領域C233及び背景領域234のそれぞれにおいて、テープを重ねる枚数を調節することにより、波長365nmの紫外光の透過率が、それぞれの領域において表2に示す値となるようにした。
〔実施例1〕
(1−1.基材の調製)
脂環式構造含有重合体樹脂のフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」、厚さ100μm)の片面をコロナ放電処理し、次いでその面をフェルトのロールでラビングして、基材を得た。この基材の波長590nmにおける複屈折Δnは3×10−5であった。
(1−1.基材の調製)
脂環式構造含有重合体樹脂のフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」、厚さ100μm)の片面をコロナ放電処理し、次いでその面をフェルトのロールでラビングして、基材を得た。この基材の波長590nmにおける複屈折Δnは3×10−5であった。
(1−2.液晶組成物の塗布)
製造例1で得た組成物(1)を、前記基材のラビングを施した面に塗布し、乾燥させ、厚み5.1μmの液晶組成物の層を形成し、基材及び液晶組成物層からなる複層物を得た。
製造例1で得た組成物(1)を、前記基材のラビングを施した面に塗布し、乾燥させ、厚み5.1μmの液晶組成物の層を形成し、基材及び液晶組成物層からなる複層物を得た。
(1−3.半硬化及び等方化処理)
水銀キセノンランプ(HOYA製EXECURE3000、200W)からの紫外線を、図5の線B(破線)で示す透過率特性を有するバンドパスフィルターB(透過波長350〜400nm)に通し、続いて複層物と重ね合わせた、製造例3で得た遮光マスク(1)に通した後、前記複層物の基材側の面に1秒間照射した。照度は、遮光マスク(1)上への波長350〜400nmの照度として10mW/cm2とした(即ち、遮光マスク(1)への照射強度は10mJ/cm2)。照射は、空気雰囲気下、温度25℃において行なった。これにより、液晶組成物層を半硬化させた。照射後、複層物を、90℃のホットプレート上に1分間放置し、等方化処理した。
水銀キセノンランプ(HOYA製EXECURE3000、200W)からの紫外線を、図5の線B(破線)で示す透過率特性を有するバンドパスフィルターB(透過波長350〜400nm)に通し、続いて複層物と重ね合わせた、製造例3で得た遮光マスク(1)に通した後、前記複層物の基材側の面に1秒間照射した。照度は、遮光マスク(1)上への波長350〜400nmの照度として10mW/cm2とした(即ち、遮光マスク(1)への照射強度は10mJ/cm2)。照射は、空気雰囲気下、温度25℃において行なった。これにより、液晶組成物層を半硬化させた。照射後、複層物を、90℃のホットプレート上に1分間放置し、等方化処理した。
(1−4.本硬化)
次いで、工程(1−3)における温度を維持して、窒素雰囲気下で、メタルハライドランプ(GS YUASA社製)からの紫外線を、前記複層物の液晶組成物層側の面に、波長350〜400nmの照度として160mW/cm2で5秒間照射し(即ち、照射強度は800mJ/cm2)、液晶組成物層を硬化させて、厚み5.1μmの複屈折パターン層とした。これにより、基材、及び基材上に設けられた複屈折パターン層を備える物品を作製した。
得られた物品は、図3に示す形状の、領域A331、領域B332、領域C333及び背景領域334を含む複屈折パターンを有していた。物品は、複数枚作製し、その一部を位相差変化の評価に供し、他の一部を色相変化の評価及び目視による観察に供した。
次いで、工程(1−3)における温度を維持して、窒素雰囲気下で、メタルハライドランプ(GS YUASA社製)からの紫外線を、前記複層物の液晶組成物層側の面に、波長350〜400nmの照度として160mW/cm2で5秒間照射し(即ち、照射強度は800mJ/cm2)、液晶組成物層を硬化させて、厚み5.1μmの複屈折パターン層とした。これにより、基材、及び基材上に設けられた複屈折パターン層を備える物品を作製した。
得られた物品は、図3に示す形状の、領域A331、領域B332、領域C333及び背景領域334を含む複屈折パターンを有していた。物品は、複数枚作製し、その一部を位相差変化の評価に供し、他の一部を色相変化の評価及び目視による観察に供した。
(1−5.位相差変化の評価)
工程(1−4)で得られた物品の、領域A、領域B及び領域Cのそれぞれの波長550nmにおける位相差を測定した。その後、物品をオーブン中で80℃で1時間加温処理し、処理後の物品の、領域A、領域B及び領域Cのそれぞれの波長550nmにおける位相差を再び測定し、それぞれの領域における加温処理前後の位相差の変化率(((加温前の位相差−加温後の位相差)/加温前の位相差)×100(%))を求めた。結果を表3に示す。
工程(1−4)で得られた物品の、領域A、領域B及び領域Cのそれぞれの波長550nmにおける位相差を測定した。その後、物品をオーブン中で80℃で1時間加温処理し、処理後の物品の、領域A、領域B及び領域Cのそれぞれの波長550nmにおける位相差を再び測定し、それぞれの領域における加温処理前後の位相差の変化率(((加温前の位相差−加温後の位相差)/加温前の位相差)×100(%))を求めた。結果を表3に示す。
(1−6.色相変化の評価及び目視による観察:加温前)
工程(1−4)で得られた物品の、基材側の面を、粘着層(綜研化学社製、商品名「SKダイン2094」固形分25%、溶媒:酢酸エチル/2=93/7を400部と架橋剤(綜研化学社製「E−AX」1.1部との混合物))を介して、正反射層(表面にアルミニウム層(厚み25μm)を有するシート)と貼合し、(複屈折パターン層)/(基材)/(粘着層)/(正反射層)の層構成を有する偽造防止媒体を得た。
得られた偽造防止媒体の複屈折パターン層側の面を、偏光板を介さず直接目視にて観察し、何も貼合しない正反射層と対比した(以下において、この観察を、「観察(I)」という。)。その結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
工程(1−4)で得られた物品の、基材側の面を、粘着層(綜研化学社製、商品名「SKダイン2094」固形分25%、溶媒:酢酸エチル/2=93/7を400部と架橋剤(綜研化学社製「E−AX」1.1部との混合物))を介して、正反射層(表面にアルミニウム層(厚み25μm)を有するシート)と貼合し、(複屈折パターン層)/(基材)/(粘着層)/(正反射層)の層構成を有する偽造防止媒体を得た。
得られた偽造防止媒体の複屈折パターン層側の面を、偏光板を介さず直接目視にて観察し、何も貼合しない正反射層と対比した(以下において、この観察を、「観察(I)」という。)。その結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
次に、偽造防止媒体の複屈折パターン層側の面上に、直線偏光板(サンリッツ社製)を載置し、偽造防止媒体の複屈折パターン層側の面を観察した(以下において、この観察を、「観察(II)」という。)。観察(II)に際して、直線偏光板は、その透過軸方向と、複屈折パターン層の遅相軸方向とが45°の角度をなすよう載置した。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
さらに、直線偏光板を載置した状態で、各領域の反射スペクトルを、日本分光(UV−Vis550)で測定した。この反射スペクトルから、人間の目に対応する分光感度(等色関数)を乗じて三刺激値X、Y及びZを求め、色相(a0*、b0*、L0*)を算出した。
(1−7.色相変化の評価及び目視による観察:加温後)
次に、工程(1−6)で得た偽造防止媒体を、オーブン中で80℃で1時間加温処理し、処理後の物品について、工程(1−6)と同様に、直線偏光板を載置した状態での観察(以下において、この観察を、「観察(III)」という。)、並びに反射スペクトルの測定及び色相の算出を行った。色相については、加温処理後の色相(a*、b*、L*)を求め、色差ΔEを算出した。算出結果を表3に示す。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
次に、工程(1−6)で得た偽造防止媒体を、オーブン中で80℃で1時間加温処理し、処理後の物品について、工程(1−6)と同様に、直線偏光板を載置した状態での観察(以下において、この観察を、「観察(III)」という。)、並びに反射スペクトルの測定及び色相の算出を行った。色相については、加温処理後の色相(a*、b*、L*)を求め、色差ΔEを算出した。算出結果を表3に示す。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
〔実施例2〕
工程(1−3)の等方化処理において、等方化の温度及びその後の本硬化の温度を100℃に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
工程(1−3)の等方化処理において、等方化の温度及びその後の本硬化の温度を100℃に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
〔実施例3〕
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を0.8秒に変更して照射強度を8mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を0.8秒に変更して照射強度を8mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
〔実施例4〕
工程(1−3)の半硬化において、遮光マスクとして、製造例3で得た遮光マスク(1)に代えて製造例4で得た遮光マスク(2)を用いた他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
工程(1−3)の半硬化において、遮光マスクとして、製造例3で得た遮光マスク(1)に代えて製造例4で得た遮光マスク(2)を用いた他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
〔実施例5〕
工程(1−1)の基材の調製において、脂環式構造含有重合体樹脂のフィルムに代えて、PETフィルム(東洋紡製、コスモシャインA4100、厚さ100μm)を用いた他は、実施例1の工程(1−1)〜(1−4)と同様にして、複屈折パターン層を形成し、基材及び複屈折パターン層を備える複層物を得た。
得られた複層物について、実施例1の工程(1−5)及び(1−6)の評価を行なうことを試みたところ、観察(II)において、基材の位相差のため、領域A、領域B、領域C及び背景領域が良好に視認できなかった。
そのため、得られた複層物から、複屈折パターン層を剥離して、別のフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」、厚さ100μm、実施例1で用いたフィルムと同じもの)に転写し、(複屈折パターン層)/(フィルム)の層構成を有する物品を得た。これを物品として用い、以下、実施例1の工程(1−5)〜(1−7)の評価を行なった。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
工程(1−1)の基材の調製において、脂環式構造含有重合体樹脂のフィルムに代えて、PETフィルム(東洋紡製、コスモシャインA4100、厚さ100μm)を用いた他は、実施例1の工程(1−1)〜(1−4)と同様にして、複屈折パターン層を形成し、基材及び複屈折パターン層を備える複層物を得た。
得られた複層物について、実施例1の工程(1−5)及び(1−6)の評価を行なうことを試みたところ、観察(II)において、基材の位相差のため、領域A、領域B、領域C及び背景領域が良好に視認できなかった。
そのため、得られた複層物から、複屈折パターン層を剥離して、別のフィルム(株式会社オプテス製、商品名「ゼオノアフィルムZF14−100」、厚さ100μm、実施例1で用いたフィルムと同じもの)に転写し、(複屈折パターン層)/(フィルム)の層構成を有する物品を得た。これを物品として用い、以下、実施例1の工程(1−5)〜(1−7)の評価を行なった。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、複屈折パターンにより規定される鮮明な輪郭の文字を視認することができた。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認され、加温処理前と同様に、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができた。
その他の評価結果を、表3に示す。
〔比較例1〕
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を1.5秒に変更して照射強度を15mJ/cm2に変更し、バンドパスフィルターを、図5の線A(実線)で示す透過率特性を有するバンドパスフィルターA(透過波長300〜350nm)に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されたが、複屈折パターンの領域の輪郭が不鮮明であった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を1.5秒に変更して照射強度を15mJ/cm2に変更し、バンドパスフィルターを、図5の線A(実線)で示す透過率特性を有するバンドパスフィルターA(透過波長300〜350nm)に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されたが、複屈折パターンの領域の輪郭が不鮮明であった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
〔比較例2〕
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を5秒に変更して照射強度を50mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を5秒に変更して照射強度を50mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
〔比較例3〕
工程(1−2)の液晶組成物の塗布において、製造例1で得た組成物(1)に代えて、製造例2で得た組成物(2)を用いた他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
工程(1−2)の液晶組成物の塗布において、製造例1で得た組成物(1)に代えて、製造例2で得た組成物(2)を用いた他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
〔比較例4〕
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を5秒に変更して照射強度を50mJ/cm2に変更し、工程(1−4)の本硬化において、紫外線の照射時間を0.3秒に変更して照射硬度を50mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
工程(1−3)の半硬化において、紫外線の照射時間を5秒に変更して照射強度を50mJ/cm2に変更し、工程(1−4)の本硬化において、紫外線の照射時間を0.3秒に変更して照射硬度を50mJ/cm2に変更した他は、実施例1と同様にして、物品及び偽造防止媒体を得て評価した。
観察(I)の結果、複屈折パターン層上のパターンは視認できず、正反射層のみを観察した場合に比べて何らかのパターンがあるとは認識されなかった。
観察(II)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
観察(III)の結果、領域A、領域B、領域C及び背景領域が、異なる色相として視認されず、複屈折パターンにより規定される文字を視認することができなかった。
その他の評価結果を、表4に示す。
表中の位相差の単位は、nmである。
表3及び表4において耐熱性評価の結果は、それぞれ以下のものを示す:
○:すべての領域において、位相差と色相変化率がともに5%未満である
△:一部の領域において、位相差と色相変化率の少なくともどちらかが5%以上であり、前記一部の領域以外の領域は、位相差と色相変化率がともに5%未満である
×:すべての領域において、位相差と色相変化率がともに5%以上である
表3及び表4において耐熱性評価の結果は、それぞれ以下のものを示す:
○:すべての領域において、位相差と色相変化率がともに5%未満である
△:一部の領域において、位相差と色相変化率の少なくともどちらかが5%以上であり、前記一部の領域以外の領域は、位相差と色相変化率がともに5%未満である
×:すべての領域において、位相差と色相変化率がともに5%以上である
以上の結果から明らかな通り、実施例1〜5の製造方法により、鮮明な輪郭の文字を識別することができ、加温処理を行っても位相差の変化及び色相の変化が少ない物品及び偽造防止媒体を得ることができた。
100:複層物
101:基材
102:液晶組成物層
211:光源
221:バンドパスフィルター
230:遮光マスク
231:領域A
232:領域B
233:領域C
234:背景領域
300:複屈折パターン層
331:領域A
332:領域B
333:領域C
334:背景領域
335:領域
401:直線偏光板
402:正反射層
101:基材
102:液晶組成物層
211:光源
221:バンドパスフィルター
230:遮光マスク
231:領域A
232:領域B
233:領域C
234:背景領域
300:複屈折パターン層
331:領域A
332:領域B
333:領域C
334:背景領域
335:領域
401:直線偏光板
402:正反射層
Claims (8)
- 複屈折パターン層を備える物品の製造方法であって、
(I)基材の面上に、順波長分散重合性液晶化合物を含む光重合性の液晶組成物を塗布して液晶組成物層を形成し、前記液晶組成物層中の前記順波長分散光重合性液晶化合物を配向させ、前記液晶組成物層を乾燥させ、前記基材及び乾燥した状態の前記液晶組成物層を有する複層物を得る工程、
(II)透過率の異なる複数の領域を有する遮光マスクを介して、20〜40℃の温度下、前記複層物に350〜400nmの光を照射し、前記液晶組成物層を半硬化する工程であって、前記照射は、少なくとも前記複数の領域の少なくとも1以上において、前記液晶組成物層上への照射強度が0を超え10mJ/cm2以下である工程、
(III)前記複層物をTNI以上に加熱する工程、及び
(IV)工程(III)における加熱温度を維持して、前記液晶組成物層に、照射強度100mJ/cm2以上の光を照射して、前記液晶組成物層を本硬化し、前記基材上に前記複屈折パターン層を形成する工程
を含む、製造方法。 - 前記基材が、脂環式構造含有重合体を含む樹脂のフィルムである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記工程(II)において、光の照射を、空気雰囲気下において、前記複層物の前記基材側の面に行なう、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記工程(IV)において、光の照射を、窒素雰囲気下において行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記遮光マスクが、透過率の異なる3つ以上の領域を有し、前記工程(II)において、前記遮光マスクの前記領域のそれぞれに対応した前記液晶組成物層の領域において、3以上の異なる照射強度で光の照射が行なわれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の位相差量変化がいずれの領域においても5%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記複屈折パターン層が、位相差の異なる3つ以上の領域を有し、前記複屈折パターン層を80℃で1時間処理した後の色相変化がいずれの領域においても5%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られる物品を含む偽造防止媒体。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019240048A1 (ja) * | 2018-06-12 | 2019-12-19 | 富士フイルム株式会社 | 光学異方性層の製造方法 |
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-
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- 2013-10-29 JP JP2013224420A patent/JP2015087472A/ja active Pending
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WO2022030266A1 (ja) * | 2020-08-04 | 2022-02-10 | 富士フイルム株式会社 | 光学異方性層の製造方法 |
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