JP2015086439A - 表面処理鋼板の製造方法、表面処理鋼板、および有機樹脂被覆金属容器 - Google Patents

表面処理鋼板の製造方法、表面処理鋼板、および有機樹脂被覆金属容器 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保管された場合においても硫化黒変を抑制することができる表面処理鋼板の製造方法を提供すること。【解決手段】錫めっき鋼板に対して、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理を施すことにより、前記錫めっき鋼板上に、Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜を形成する工程を有する表面処理鋼板の製造方法において、前記電解処理液として、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理鋼板の製造方法、表面処理鋼板、および有機樹脂被覆金属容器に関する。
家電製品や建材、車両、航空機、容器等の分野で用いられる鋼板において,表面に形成する有機樹脂との密着性を向上させる処理として、クロメート処理が知られており、その優れた耐食性と密着性から、幅広く用いられてきた。
たとえば、飲食缶などの金属容器として用いられる錫めっき鋼材や錫系合金めっき鋼材に対しては、重クロム酸ソーダの水溶液中で陰極電解処理を行うクロメート処理が用いられている。このようなクロメート処理が施された錫めっき鋼材や錫系合金めっき鋼材の表面は、有機樹脂に対する優れた密着性を有するため、塗布やラミネートなどにより有機樹脂のバリア層を良好に形成することができる。
しかしながら、クロメート処理において使用される6価クロムは、毒性があり、環境に対する負荷が大きいという問題がある。また、クロメート処理においては、製造される最終製品に6価クロムを残存させないようにし、ユーザに対して害が及ばなくなるような処理を行うことができるが、近年、6価クロムをはじめとして、クロムを含む化合物全体の使用を削減・撤廃しようとする動きが強まっており、さらに、クロメート処理を行うことによって生じる排水処理、排気処理、廃棄物処理等に多額の費用を必要とすることから、クロメート処理の代替となるノンクロムの表面処理の開発が要求されている。
クロメート処理の代替となるノンクロムの表面処理としては、たとえば、鋼板をZr(ジルコニウム)またはTi(チタン)を含有する処理液に浸漬させる処理が提案されている(特許文献1)。しかしながら、このようなZrまたはTiを含有する処理液に浸漬させることにより得られる表面処理鋼板は、形成される皮膜が耐食性に劣るとともに、従来より缶用材料として利用されている電解クロム酸処理鋼板(TFS)と比較して、皮膜の析出速度が遅いために、著しく生産性が劣るという問題がある。このため、鋼板を処理液に浸漬させる処理に代わる高速処理プロセスとして、ZrやTiを含有する電解処理液を用いた陰極電解処理が提案されており、これらはいずれも鋼板の表面に高速で金属酸素化合物を形成させることができることが知られている(特許文献2,3)。
また、クロメート処理の代替となるノンクロムの表面処理としては、Al(アルミニウム)を含有する電解処理液を使用して、陰極電解処理により、鋼板の表面に、耐食性を有する酸化アルミニウムの皮膜を形成させた表面処理鋼板も提案されている(特許文献4)。
国際公開2002/103080号 特開2004−190121号公報 特開2005−97712号公報 特開2006−348360号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載の技術では、表面処理鋼板が飲食缶などに用いられて長期間保管された場合に、表面が黒変してしまうおそれがあるという問題がある。すなわち、まず、鋼板上に陰極電解処理によりAlなどの金属酸素化合物皮膜を形成させる際には、電解処理液中に、Alイオンとともに、Alイオンの溶解性を高めるための錯化剤として作用するフッ素化合物が添加されることが多く、鋼板上に形成される皮膜にはAl、F、O及びOHが主成分として含有されることとなる。そして、このような成分からなる皮膜においては、Al酸素化合物の粒子径が粗大となる傾向にあり、これにより、鋼板を構成する錫や鉄が、飲食品物中に含まれる硫黄と反応して硫化黒変してしまうという問題がある。
これに対し、本発明者等が、鋼板上にAl酸素化合物皮膜が形成された表面処理鋼板に硫化黒変が発生する要因について鋭意検討を行ったところ、表面処理鋼板に発生する硫化黒変は、Al酸素化合物皮膜を形成する際に電解処理液に添加するフッ素化合物の影響により、Al酸素化合物の析出速度が増大し、析出するAl酸素化合物の粒子径が粗大となってしまうことに起因していること、および、電解処理液に実質的にFイオンを含有させないようにし、さらに電解処理液中における硝酸イオンの含有量を所定の範囲に制御することにより、このような問題を解決できることを見出した。そして、本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、長期保管された場合においても硫化黒変を抑制することができる表面処理鋼板の製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明によれば、錫めっき鋼板に対して、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理を施すことにより、前記錫めっき鋼板上に、Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜を形成する工程を有する表面処理鋼板の製造方法において、前記電解処理液として、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、前記Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜の形成効率を当該皮膜中のAl量を前記陰極電解の電気量で除した値(mg/C)としたときに、この数値が0.011以上であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記電解処理液の導電率が16〜35mS/cmであることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記電解処理液のpHが2.0〜4.0であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記の製造方法により得られる表面処理鋼板が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の表面処理鋼板を用いて得られる有機樹脂被覆金属容器が提供される。
本発明によれば、錫めっき鋼板に対して、Alイオンを含む電解処理液を用いて陰極電解処理を施す際において、該電解処理液にFイオンを含有させず、かつ、該電解処理液中の硝酸イオンの含有量を所定の範囲に制御することにより、錫めっき鋼板上に、粒径が小さく緻密なAl酸素化合物皮膜を形成することができ、長期保管した際における硫化黒変を抑制することができる表面処理鋼板の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例および比較例で得られた表面処理鋼板の表面のSEM写真である。
本発明の表面処理鋼板の製造方法は、錫めっき鋼板に対して、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理を施すことにより、前記錫めっき鋼板上に、Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜を形成する際において、電解処理液として、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いることを特徴とする。
以下、本発明における表面処理鋼板の製造方法について説明する。
まず、本発明においては、表面処理鋼板の基材となる錫めっき鋼板を準備する。表面処理鋼板の基材となる錫めっき鋼板は、鋼板に対して錫めっきを施して、鋼板上に錫めっき層を形成することにより得られる。
錫めっきを施すための鋼板としては、特に限定されず、たとえば、アルミキルド鋼連鋳材などをベースとした熱延鋼板、これらの熱延鋼板を冷間圧延した冷延鋼板を用いることができる。あるいは、錫めっきを施すための鋼板としては、上述した鋼板上にニッケルめっき層を形成し、これを加熱して熱拡散させ、鋼板とニッケルめっき層との間にNi−Fe合金層を形成することにより耐食性を向上させたニッケルめっき鋼板を用いてもよい。
鋼板に錫めっきを施す方法としては、特に限定されず、公知のめっき浴であるフェロスタン浴、ハロゲン浴、硫酸浴などを用いた方法が挙げられる。そして、錫めっきを施すことで得られる錫めっき鋼板については、錫の溶融温度以上に加熱した後に急冷する処理(リフロー処理)を施すことにより、鋼板と錫めっき層との間にSn−Fe合金層を形成させてもよい。
鋼板上に形成する錫めっき層の厚みは、特に限定されず、製造する表面処理鋼板の使用用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.1〜15g/mである。
錫めっき鋼板の厚みは、特に限定されず、製造する表面処理鋼板の使用用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.07〜0.4mmである。
次いで、本発明においては、準備した錫めっき鋼板に、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理を施すことにより、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する。
錫めっき鋼板上にAlの酸素化合物を形成する前に前処理を行って、表面の錫酸化膜層の除去を行っても良い。前処理は炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩アルカリ水溶液を用いて、錫めっき鋼板を0.5〜20A/dm、0.1秒から1.0秒の条件で陰極電解、あるいは陽極電解、もしくはその両方で行うことができる。
本発明においては、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液としては、Fイオンが含まれておらず、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いる。
なお、本発明においては、上記電解処理液は、実質的にFイオンが含まれていないものであればよく、不純物量程度であればFイオンを含んでいてもよい。すなわち、F原子は自然界に多く存在しており、工業用水中にもわずかに含まれるものであるため、電解処理液にこのようなF原子が混入した場合には、電解処理液にFイオンが含まれることとなり、この際には、電解処理液には、たとえば、金属と錯イオンを形成しているFおよび遊離しているFがあり、その合計量をFイオンとして、50重量ppm以下が好ましく、好ましくは20ppm以下、より好ましくは5ppm以下の極少量程度(不純物量程度)であればFイオンが含まれていてもよい。
また、本発明においては、上記電解処理液は、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmであり、好ましくは12,500〜20,000重量ppm、より好ましくは15,000〜20,000重量ppmである。
本発明によれば、Alイオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理により、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際において、電解処理液として、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が上記範囲にある電解処理液を用いることにより、得られる表面処理鋼板を、長期保管した際における硫化黒変の発生を抑制できるものとすることができる。
なお、Alイオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理により、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際において、電解処理液にFイオンが含まれている場合には、電解処理液の導電性が向上し、電流を流した際に、錫めっき鋼板の表面近傍において、良好に水の電気分解を発生させることができ、これにより、錫めっき鋼板の表面近傍のpHを上昇させ、効率よくAl酸素化合物を析出させることができる。ここで、電解処理液中のFイオンは、主に、Alイオンの溶解性を高めるための錯化剤として添加されるフッ素化合物に由来するものである。
しかしながら、このように電解処理液にFイオンが含まれていると、Al酸素化合物皮膜の析出速度が増大しすぎてしまい、これにより、析出するAl酸素化合物が粒径100nm程度の粗大なものとなり、鋼板を構成する錫や鉄が露出する可能性が高いと考えられる.この際においては、得られる表面処理鋼板を飲食缶などに用いた場合に、錫めっき鋼板の露出部分における錫や鉄が、飲食品物中に含まれる硫黄と反応して硫化黒変してしまうという問題がある。ここで、このような電解処理液において、フッ素化合物を添加させないようにして、Fイオンを含ませないようにした場合には、電解処理液の導電性が低下しすぎてしまい、Al酸素化合物の析出速度が低下することで、従来より用いられているクロメート処理と比較して表面処理鋼板の生産性が低下する傾向にある。
これに対し、本発明においては、Al酸素化合物皮膜を形成するための電解処理液として、Fイオンを含まず、かつ、硝酸イオンの含有量が上記範囲である電解処理液を用いることにより、電解処理液にFイオンを含有させない場合においても、硝酸イオンの作用により電解処理液の導電率を適切な範囲に制御することができる。これにより、本発明によれば、電解処理液の導電率を適切な範囲であることから、Al酸素化合物の析出速度を向上させることができるとともに、さらに、析出させるAl酸素化合物の粒子を、粒径50nm以下の微細なものとすることができ、錫めっき鋼板上に緻密なAl酸素化合物皮膜を形成して、錫めっき鋼板の露出を防止することができるため、得られる表面処理鋼板の硫化黒変を防止することができる。
なお、本発明においては、電解処理液中のFイオンおよび硝酸イオンの含有量を測定する方法としては、たとえば、イオンクロマトグラフィーにより定量分析することで測定する方法が挙げられる。
また、電解処理液を構成する硝酸イオンの含有量を制御するための化合物としては、特に限定されないが、たとえば、硝酸アンモニウム、硝酸などを用いることができる。本発明においては、上述した化合物を、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせ用いてもよい。なお、後述するように、電解処理液を構成するAlイオンを形成するための金属化合物として、硝酸アルミニウムを用いた場合には、この硝酸アルミニウムに由来する硝酸イオンの量を考慮して、上述した化合物を添加することにより、硝酸イオンの含有量を制御することができる。
電解処理液を構成するAlイオンを形成するための金属化合物としては、特に限定されないが、たとえば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムなどを用いることができる。本発明においては、上述した金属化合物を、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせ用いてもよい。
なお、Al酸素化合物皮膜を形成するための電解処理液中のAlイオンの含有量は、形成しようとするAl酸素化合物皮膜の皮膜量に応じて適宜選択することができるが、Al原子の質量濃度で、好ましくは0.5〜10g/l、より好ましくは1〜5g/lである。電解処理液中のAlイオンの含有量を上記範囲とすることにより、電解処理液の安定性およびAl酸素化合物の析出効率を向上させることができる。
本発明においては、陰極電解処理により析出させるAl酸素化合物は、Al以外の金属元素が微量に含まれた複合酸化物であってもよい。すなわち、上述した電解処理液を用いて錫めっき鋼板上にAl酸素化合物を析出させる際においては、電解処理液中には、錫めっき鋼板から溶出した微量の鉄、錫、ニッケルなどの金属のイオンが含まれるため、結果として、析出させるAl酸素化合物にこれらの金属が不可避的に含有され、Al酸素化合物が、アルミニウムとその他の金属との複合酸化物となっていてもよい。
また、Al酸素化合物皮膜を形成するための電解処理液には、クエン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸などの有機酸や、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、フェノール樹脂などの添加物のうち、少なくとも1種以上が添加されていてもよい。本発明においては、電解処理液に有機酸や、フェノール樹脂などの添加物を添加することにより、形成されるAl酸素化合物皮膜に有機酸を含有させることができ、これにより、Al酸素化合物皮膜上に形成する有機樹脂層の密着性をより向上させることができる。
Al酸素化合物皮膜を形成するための電解処理液のpHは、好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.5〜3.5である。pH調整剤により電解処理液のpHを上記範囲とすることにより、電解処理液の安定性およびAl酸素化合物の析出効率を向上させることができる。
このようにして形成されるAl酸素化合物皮膜の形成効率は錫めっき鋼板上に形成された皮膜中のAl量(mg/m)を陰極電解の電気量(C/m)で除した値 [(mg/C)]として表すことができこの数値は、好ましくは0.011以上、より好ましくは0.013以上である。形成効率が低すぎると、従来より用いられているクロメート処理と比較して表面処理鋼板の生産性が低下する傾向にあるため、上記範囲にすることが重要である。また、電解処理液の組成にもよるが、形成効率が低いことは、錫めっき鋼板の表面の錫めっきが過多にエッチングされていることを示唆しており、Al酸素化合物皮膜中に錫あるいは鉄が多く含まれることによって、飲食物を保管した場合において硫化黒変が発生しやすくなる。
Al酸素化合物皮膜を形成するための電解処理液の導電率は、好ましくは16〜35mS/cm、より好ましくは20〜30mS/cmである。電解処理液の導電率が低すぎると、Al酸素化合物皮膜の形成効率が低下し、従来より用いられているクロメート処理と比較して表面処理鋼板の生産性が低下する傾向にある。一方、電解処理液の導電率が高すぎると、陰極電解処理を行う際に、錫めっき鋼板の表面の錫めっき層がエッチングされてしまい、Al酸素化合物皮膜の形成効率が小さくなる。また、錫めっき層のエッチングが大きくなることにより、Al酸素化合物皮膜中に溶解した錫が多く含まれるようになるため、飲食物を保管した場合において硫化黒変が発生しやすくなる。
電解処理液の導電率を上記範囲とする方法としては、たとえば、電解処理液中の硝酸イオンの含有量を上記範囲に制御する方法が挙げられる。
錫めっき鋼板に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する際の電流密度としては、特に限定されないが、好ましくは1〜30A/dm、より好ましくは1〜10A/dmである。なお、Al酸素化合物皮膜の形成効率を算出する際には、A/dmをA/mに換算してから計算を行なう。
なお、錫めっき鋼板に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する際には、通電と通電停止のサイクルを繰り返す断続電解方式を用いることが好ましく、この際においては、基材に対するトータルの通電時間(通電および通電停止のサイクルを複数回繰り返した際の合計の通電時間)は、好ましくは1.5秒以下、より好ましくは1秒以下である。
また、錫めっき鋼板に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する際には、基材に対して設置する対極板としては、陰極電解処理を実施している間に電解処理液に溶解しないものであれば何でもよいが、酸素過電圧が小さく電解処理液に溶解し難いという点より、酸化イリジウムで被覆されたチタン板、または白金で被覆されたチタン板が好ましい。
なお、本発明においては、錫めっき鋼板に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する前に、錫めっき鋼板に対して、錫めっき鋼板の表面に形成されている錫酸化膜層を低減させるための前処理を行ってもよい。すなわち、錫めっき鋼板の表面には、空気中の酸素により酸化された錫酸化膜層が形成されており、この錫酸化膜層が、Al酸素化合物皮膜の形成を阻害するため、予め、錫めっき鋼板に対して、このような錫酸化膜層を低減させるための前処理を行ってもよい。このような前処理としては、錫めっき鋼板を、アルカリ水溶液に浸漬させて、錫めっき鋼板を陰極とした陰極電解処理を施す方法が挙げられる。これにより、錫めっき鋼板の表面に形成される錫酸化膜層を薄くすることができ、錫めっき鋼板上に良好にAl酸素化合物皮膜を形成することができるようになる。
錫めっき鋼板上に形成するAl酸素化合物皮膜の厚みとしては、Al酸素化合物中のAl量で好ましくは2〜20mg/m、より好ましくは2〜15mg/mである。Al酸素化合物中のAl量が少なすぎると、錫めっき鋼板上におけるAl酸素化合物の析出不均一となり、錫めっき鋼板の一部が露出して、得られる表面処理鋼板を長期保管した場合に硫化黒変し易くなる傾向にある。一方、Al酸素化合物中のAl量が多すぎると、Al酸素化合物皮膜上に有機樹脂層を形成する場合に、有機樹脂層の密着性が低下する傾向にある。
以上のようにして、本発明の製造方法によれば、表面処理鋼板が得られる。
なお、本発明の製造方法により得られる表面処理鋼板は缶容器や缶蓋などの部材として用いることができる。表面処理鋼板を缶容器や缶蓋などの部材として用いる場合には、通常、表面処理鋼板の表面に有機樹脂層を形成した有機被覆表面処理鋼板が用いられる。有機樹脂層を構成する有機樹脂としては、特に限定されず、表面処理鋼板の用途(たとえば、特定の内容物を充填する缶容器などの用途)に応じて適宜選択すればよいが、熱可塑性樹脂や、熱硬化性塗料などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム等の未延伸フィルムまたは二軸延伸したフィルム、またはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルムなどを用いることができる。その中でも、イソフタル酸を共重合化してなる無配向のポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、このような有機樹脂層を構成するための有機樹脂は、単独で用いてもよく、異なる有機樹脂をブレンドして用いてもよい。
有機樹脂層として熱可塑性樹脂を被覆する場合、単層の樹脂層であってもよく、また同時押出等による多層の樹脂層であってもよい。多層のポリエステル樹脂層を用いる場合には、下地層、即ち表面処理鋼板側に接着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択し、表層に耐内容物性、即ち耐抽出性やフレーバー成分の非吸着性に優れた組成のポリエステル樹脂を選択できるので有利である。
多層ポリエステル樹脂層の例を示すと、表層/下層として表示して、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン・シクロへキシレンジメチレン・テレフタレート、イソフタレート含有量の少ないポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/イソフタレート含有量の多いポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート/[ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートとポリブチレンテレフタレート・アジペートとのブレンド物]等であるが、勿論上記の例に限定されない。表層:下層の厚み比は、5:95〜95:5の範囲にあるのが望ましい。
上記有機樹脂層には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、無機フィラー、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することができる。
中でも、トコフェロール(ビタミンE)を用いることが好ましい。トコフェロールは、従来より酸化防止剤として作用し、ポリエステル樹脂の熱処理時における酸化分解による分子量低下を防止して耐デント性を向上させる性質を有するものであることが知られているが、特にポリエステル樹脂に前述したエチレン系重合体を改質樹脂成分として配合したポリエステル組成物に対して、このトコフェロールを配合すると、耐デント性のみならず、レトルト殺菌やホットベンダー等の過酷な条件に付され有機樹脂層にクラックが生じたような場合でも、クラックから腐食が進むことが防止され、耐食性が著しく向上するという効果を得ることができる。
トコフェロールは、0.05〜3重量%、特に0.1〜2重量%の量で配合することが好ましい。
本発明により得られる表面処理鋼板に形成する有機樹脂層の厚みとしては、熱可塑性樹脂被覆で一般に3〜50μm、特に5〜40μmの範囲にあることが望ましく、塗膜の場合には、焼付け後の厚みが1〜50μm、特に3〜30μmの範囲にあることが好ましい。厚みが上記範囲を下回ると、耐腐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題を生じやすい。
本発明により得られる表面処理鋼板への有機樹脂層の形成は任意の手段で行うことができ、例えば、熱可塑性樹脂被覆の場合は、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。押出コート法の場合、表面処理鋼板の上にポリエステル樹脂を溶融状態で押出コートして、熱接着させることにより製造することができる。すなわち、ポリエステル樹脂を押出機で溶融混練した後、T−ダイから薄膜状に押し出し、押し出された溶融樹脂膜を表面処理鋼板と共に一対のラミネートロール間に通して冷却下に押圧一体化させ、次いで急冷する。多層のポリエステル樹脂層を押出コートする場合には、表層樹脂用の押出機及び下層樹脂用の押出機を使用し、各押出機からの樹脂流を多重多層ダイ内で合流させ、以後は単層樹脂の場合と同様に押出コートを行えばよい。また、一対のラミネートロール間に垂直に表面処理鋼板を通し、その両側に溶融樹脂ウエッブを供給することにより、表面処理鋼板の両面にポリエステル樹脂の被覆層を形成させることができる。
ポリエステル樹脂から成る有機樹脂層を押出コート法により形成する場合には、具体的には次のような方法が用いることができる。すなわち、表面処理鋼板を必要により加熱装置により予備加熱し、一対のラミネートロール間のニップ位置に供給する。一方、ポリエステル樹脂は、押出機のダイヘッドを通して薄膜の形に押し出し、ラミネートロールと表面処理鋼板との間に供給され、ラミネートロールにより表面処理鋼板に圧着される。ラミネートロールは、一定の温度に保持されており、表面処理鋼板にポリエステル等の熱可塑性樹脂から成る薄膜を圧着して両者を熱接着させると共に両側から冷却することにより、表面処理鋼板上にポリエステル樹脂から成る有機樹脂層を形成して、有機被覆表面処理鋼板を得ることができる。一般に、形成した有機樹脂層の熱結晶化を防止するため、有機被覆表面処理鋼板を、更に冷却用水槽等に導いて急冷を行う。
この押出コート法では、樹脂組成の選択とロールや冷却槽による急冷とにより、ポリエステル樹脂層は、結晶化度が低いレベル、具体的には、非晶密度との差が0.05g/cm以下に抑制されているため、次いで行う缶容器や缶蓋への加工の際に十分な加工性が保証される。勿論、急冷操作は上記例に限定されるものではなく、有機被覆表面処理鋼板に冷却水を噴霧して急冷することもできる。
表面処理鋼板に対するポリエステル樹脂の熱接着は、溶融樹脂層が有する熱量と、表面処理鋼板が有する熱量とにより行われる。表面処理鋼板の加熱温度(T)は、一般に90℃〜290℃、特に100℃〜280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温度は10℃〜150℃の範囲が適当である。
また、表面処理鋼板上に形成する有機樹脂層は、T−ダイ法やインフレーション製膜法で予め製膜されたポリエステル樹脂フィルムを表面処理鋼板に熱接着させることによっても形成することができる。フィルムとしては、押し出したフィルムを急冷した、キャスト成形法による未延伸フィルムを用いることもでき、また、このフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定することにより製造された二軸延伸フィルムを用いることもできる。
本発明の製造方法により得られる表面処理鋼板は、表面に有機樹脂層を形成して有機被覆表面処理鋼板を得た後、これを加工することにより缶容器として成形することができる。缶容器としては、特に限定されないが、側面継ぎ目を有するスリーピース缶(溶接缶)や、シームレス缶(ツーピース缶)が挙げられる。
シームレス缶は、有機樹脂層が缶内面側になるように、絞り加工、絞り・再しぼり加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工等の従来公知の手段に付すことによって製造することができる。
また、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工等の高度な加工が施されるシームレス缶においては、有機樹脂層が押出コート法による熱可塑性樹脂被覆から成るものであることが特に好ましい。
すなわち、かかる有機被覆表面処理鋼板は、加工密着性に優れていることから、過酷な加工に賦された場合にも被覆の密着性に優れ、優れた耐食性を有するシームレス缶を提供することができる。
本発明の製造方法により得られる表面処理鋼板は、表面に有機樹脂層を形成して有機被覆表面処理鋼板を得た後、これを加工することにより缶蓋を製造することもできる。缶蓋としては、特に限定されないが、平蓋や、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やフルオープンタイプのイージーオープン缶蓋などが挙げられる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
なお、各特性の評価方法は、以下のとおりである。
<電解処理液の分析>
電解処理液について、ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPE−9000)を用いてAlイオン濃度を、イオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、DX−500)を用いてFイオン濃度および硝酸イオン濃度を測定した。また、上記電解処理液について、pHメーター(堀場製作所社製)を用いてpHを測定した。さらに、上記電解処理液について、導電率計(ニッコー・ハンセン社製、CyberScan CON110)を用いて導電率を測定した。なお、電解処理液の分析は、後述するすべての実施例および比較例について行った。
<表面処理鋼板の表面観察>
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成して得られた表面処理鋼板について、表面にカーボン蒸着を行った後、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6330F)を用いて、加速電圧5kV、電流12μAの条件で表面を観察した。なお、表面処理鋼板の表面観察は、後述する実施例および比較例のうち、実施例1および比較例1についてのみ行った。
<Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定>
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成して得られた表面処理鋼板について、蛍光X線分析装置(リガク社製、ZSX100e)を用いて、Al酸素化合物皮膜に含まれるAl量を測定した。なお、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定は、後述するすべての実施例および比較例について行った。
<Al酸素化合物皮膜の形成効率>
錫めっき鋼板上に、陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成した際における電気量あたりのAl量、すなわち、陰極電解処理の条件である電流密度と通電時間とを乗じた値を電気量とした場合に、陰極電解処理により形成されたAl酸素化合物皮膜中のAl量を、上記電気量で除した値[Al量(mg/m)/電気量(C/m)]、すなわちAl量/電気量(mg/C)を求め、以下の基準で評価した(表1、表2では、上記電気量の数値はC/dmで表しているが、単位をそろえるためにC/mに換算した後に計算を行なった)。なお、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価は、後述するすべての実施例および比較例について行った。
○:電気量あたりのAl量(Al量/電気量)が0.011以上であった。
×:電気量あたりのAl量(Al量/電気量)が0.011未満であった。
<耐硫化黒変性評価(実内容物)>
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成して得られた表面処理鋼板について、Al酸素化合物皮膜上にエポキシフェノール塗料を塗装焼付することで有機被覆表面処理鋼板を得て、得られた有機被覆表面処理鋼板を40mm角に切断した後、切断面を3mm幅テープで保護することで試験片を作製した。次いで、作製した試験片を空缶(東洋製罐社製、J280TULC)に入れ、その中に鮭水煮を試験片全部が浸漬するように充填した後、アルミ蓋で巻締め、117℃、60分の条件でレトルト処理を行った。そして、55℃の環境下で1ヶ月間保管した後開缶し、試験片の黒変の程度を目視にて観察し、以下の基準で評価した。なお、耐硫化黒変性評価(実内容物)の評価は、後述する実施例および比較例のうち、実施例2〜5、比較例2〜4および参考例1についてのみ行った。
3点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに黒変の程度が薄かった。
2点:目視で判定した結果、参考例1と比較して黒変の程度が同等であった。
1点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに黒変の程度が濃かった。
なお、耐硫化黒変性評価(実内容物)においては、上記基準で評価が3点である場合に、表面処理鋼板を、飲食缶用途として用いた際に十分な耐硫化黒変性を有するものであると判断した。
<耐硫化黒変性評価(モデル液)>
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成して得られた表面処理鋼板について、Al酸素化合物皮膜上にエポキシフェノール塗料を塗装焼付することで有機被覆表面処理鋼板を得て、得られた有機被覆表面処理鋼板を40mm角に切断した後、切断面を3mm幅テープで保護することで試験片を作製した。次いで、作製した試験片を空缶(東洋製罐社製、J280TULC)に入れ、その中に下記モデル液を試験片全部が浸漬するように充填した後、アルミ蓋で巻締め、130℃、5時間の条件でレトルト処理を行った。その後開缶し、試験片の黒変の程度を目視にて観察し、以下の基準で評価した。なお、耐硫化黒変性評価(モデル液)の評価は、後述するすべての実施例および比較例について行った。
モデル液:リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)を3.0g/L、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)を7.1g/L、L−システイン塩酸塩一水和物を6g/Lの濃度で含むpH7.0の水溶液
3点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに黒変の程度が薄かった。
2点:目視で判定した結果、参考例1と比較して黒変の程度が同等であった。
1点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに黒変の程度が濃かった。
なお、耐硫化黒変性評価(モデル液)においては、上記基準で評価が3点である場合に、表面処理鋼板を、飲食缶用途として用いた際に十分な耐硫化黒変性を有するものであると判断した。
<耐食性評価(モデル液)>
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成して得られた表面処理鋼板について、Al酸素化合物皮膜上にエポキシフェノール塗料を塗装焼付することで有機被覆表面処理鋼板を得て、得られた有機被覆表面処理鋼板を40mm角に切断した後、切断面を3mm幅テープで保護することで試験片を作製した。次いで、作製した試験片に対して、カッターを用いて鋼板に達する深さのクロスカット傷をつけて、クロスカットの交点部分が張出し加工部の頂点になるように、エリクセン試験機(コーティングテスター社製)により3mmの張り出し加工を行った。そして、張り出し加工を行った試験片を密封容器に入れ、下記モデル液を充填した後、90℃の環境下で24時間保管した。その後開缶し、試験片の腐食の程度を目視にて観察し、以下の基準で評価した。なお、耐硫化黒変性評価(モデル液)の評価は、後述するすべての実施例および比較例について行った。
モデル液:NaClおよびクエン酸をそれぞれ1.5重量%で溶解させた水溶液
3点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに腐食の程度が小さかった。
2点:目視で判定した結果、参考例1と比較して腐食の程度が同等であった。
1点:目視で判定した結果、参考例1と比較して明らかに腐食の程度が大きかった。
なお、耐食性評価(モデル液)においては、上記基準で評価が2点以上である場合に、表面処理鋼板を、飲食缶用途として用いた際に十分な耐食性を有するものであると判断した。
《実施例1》
原板として、下記に示す化学組成を有する低炭素冷延鋼板(板厚0.225mm)を準備した。
次いで、準備した鋼板に対して、アルカリ脱脂剤(日本クエーカーケミカル社製、フォーミュラー618−TK2)の水溶液を用いて、60℃、10秒間の条件にて陰極電解処理を行うことにより脱脂した。次いで、脱脂した鋼板を水道水で水洗した後、酸洗処理剤(硫酸の5体積%水溶液)に、常温で5秒間浸漬させることで酸洗した。その後、水道水で水洗し、公知のフェロスタン浴を用いて、下記の条件にて鋼板に錫めっきを施し、鋼板の表面にSn量が2.8g/mの錫めっき層を形成させた。その後、錫めっき層を形成した鋼板を水洗し、直流電流を流すことで発熱させて、錫の融点以上まで加熱後,水道水をかけて急冷させるリフロー処理を施して、錫めっき鋼板を作製した。
浴温:40℃
電流密度:10A/dm
陽極材料:市販の99.999%金属錫
トータル通電時間:5秒(通電時間1秒、停止時間0.5秒を1サイクルとした際における、サイクル数5回)
そして、得られた錫めっき鋼板に対して、下記条件にて、電解処理液に浸漬させて、電解処理液を撹拌しながら、極間距離17mmの位置に配置した酸化イリジウム被覆チタン板を陽極として、陰極電解処理を施した。その後すぐに、流水による水洗および乾燥を行うことで、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成してなる表面処理鋼板を得た。
電解処理液:Al化合物として硝酸アルミニウムを溶解させ、Alイオン濃度1,500重量ppm、硝酸イオン濃度15,000重量ppm,Fイオン濃度0重量ppmとした水溶液
電解処理液のpH:3.0
電解処理液の温度:40℃
電流密度:4A/dm
トータル通電時間:0.1秒(通電時間0.1秒、サイクル数1回)
次いで、得られた表面処理鋼板について、上述した方法にしたがって、表面処理鋼板の表面観察、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定、およびAl酸素化合物皮膜の形成効率の評価を行った。結果を表1および図1に示す。なお、図1においては、図1(A)が実施例1の表面処理鋼板の表面のSEM写真を示し、図1(B)が後述する比較例1の表面処理鋼板の表面のSEM写真を示している。
そして,得られた表面処理鋼板に、焼付け乾燥後の塗膜厚が70mg/dmとなるようにエポキシフェノール系塗料を塗装後、200℃−10分間の焼付けを行うことで、有機樹脂被覆鋼板を得た。次いで、得られた有機樹脂被覆鋼板について、上述した方法にしたがって、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)を行った。結果を表1に示す。
《実施例2》
錫めっきの条件を変更することで、鋼板上に形成した錫めっき層の厚みをSn量で5.6g/mとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理鋼板および有機樹脂被覆鋼板を作製し、上述した方法にしたがって、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(実内容物)、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)を行った。結果を表1に示す。
《実施例3,4》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、サイクル数を増やしてトータル通電時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《実施例5》
錫めっき鋼板上に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する際の前処理として、下記条件にてアルカリ水溶液中で錫めっき鋼板を陰極とする陰極電解処理を行った以外は、実施例3と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
アルカリ水溶液:炭酸ナトリウム水溶液(10g/L)
温度:40℃
電流密度:3A/dm
通電時間:0.3秒
《比較例1》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、下記の電解処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
電解処理液:Al化合物として硝酸アルミニウムを、フッ素化合物としてフッ化水素ナトリウムをそれぞれ溶解させ、Alイオン濃度1,500重量ppm、硝酸イオン濃度10,000重量ppm,Fイオン濃度2,100重量ppmとした水溶液
《比較例2》
錫めっきの条件を変更することで、鋼板上に形成した錫めっき層の厚みを5.6g/mのとした以外は、比較例1と同様にして表面処理鋼板および有機樹脂被覆鋼板を作製し、上述した方法にしたがって、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(実内容物)、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)を行った。結果を表1に示す。
《比較例3》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、サイクル数を増やしてトータル通電時間を0.2秒に変更した以外は、比較例2と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
《比較例4》
錫めっき鋼板上に陰極電解処理によりAl酸素化合物皮膜を形成する際の前処理として、下記条件にてアルカリ水溶液中で錫めっき鋼板を陰極とする陰極電解処理を行い、さらに錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、サイクル数を増やしてトータル通電時間を0.3秒に変更した以外は、比較例2と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
アルカリ水溶液:炭酸ナトリウム水溶液(10g/L)
温度:40℃
電流密度:3A/dm
通電時間:0.3秒
《比較例5》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、下記の電解処理液を用い、サイクル数を増やしてトータル通電時間を7.2秒に変更した以外は、比較例1と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、上述した方法にしたがって、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)を行った。結果を表1に示す。
電解処理液:Al化合物として硝酸アルミニウムを、フッ素化合物としてフッ化水素ナトリウムをそれぞれ溶解させ、Alイオン濃度1,500重量ppm、硝酸イオン濃度10,000重量ppm,Fイオン濃度4,200重量ppmとした水溶液
《参考例1》
市販のクロメート処理(311処理)錫めっき鋼板(Sn量5.6mg/m、Cr量7mg/m)に対して上記の各評価を行った。結果を表1に参考例1として示す。
表1に示すように、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いて、陰極電解処理により、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成した実施例1〜5においては、得られた有機樹脂被覆鋼板は、いずれも、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)の結果が良好であり、Al酸素化合物皮膜の形成効率に優れるとともに、高温下で保管された場合においても硫化黒変を抑制することができたことが確認された。特に、実施例2〜5においては、得られた有機樹脂被覆鋼板は、耐硫化黒変性評価(実内容物)の結果が良好であり、製造した缶容器に実内容物を充填した際においても、硫化黒変を抑制することができたことが確認された。これらの結果は、耐硫化黒変性評価において、現行用いられている市販のクロメート処理(311処理)錫めっき鋼板である参考例1以上の結果であり、耐食性評価において、現行用いられる市販のクロメート処理(311処理)錫めっき鋼板である参考例1と同等の結果であるので、クロメート処理の代替として適用可能であることが示される。なお、実施例1においては、耐硫化黒変性評価(実内容物)を行わなかったが、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が良好であったことから、実施例2〜5と同様に、耐硫化黒変性評価(実内容物)の結果も良好であると考えられる。
一方、電解処理液にFイオンを含有させた比較例1〜5においては、得られた有機樹脂被覆鋼板は、いずれも、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が悪く、高温下で保管された場合において硫化黒変が発生してしまうことが確認された。特に、比較例2〜4においては、得られた有機樹脂被覆鋼板は、耐硫化黒変性評価(実内容物)の結果が悪く、製造した缶容器に実内容物を充填した際に、硫化黒変が発生してしまうことが確認された。なお、比較例1,5においては、耐硫化黒変性評価(実内容物)を行わなかったが、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が悪かったことから、比較例2〜4と同様に、耐硫化黒変性評価(実内容物)の結果も悪いと考えられる。さらに、比較例1〜5のうち、電解処理液中におけるFイオンの含有量を多くした比較例5においては、耐食性評価(モデル液)の結果も悪く、耐食性も低下してしまうことが確認された。
《実施例6》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、下記の電解処理液を用いて、さらにサイクル数を増やしてトータル通電時間を0.7秒に変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、上述した方法にしたがって、Al酸素化合物皮膜中のAl量の測定、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)を行った。結果を表2に示す。
電解処理液:Al化合物として硝酸アルミニウムを溶解させ、Alイオン濃度1,500重量ppm、硝酸イオン濃度12,500重量ppm,Fイオン濃度0重量ppmとした水溶液
《実施例7》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、サイクル数を増やしてトータル通電時間を1.5秒に変更した以外は、実施例6と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
《実施例8〜11》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、電解処理液中の硝酸イオン濃度、およびトータル通電時間を表2に示すように変更した以外は、比較例6と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
《比較例6〜10》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、電解処理液中の硝酸イオン濃度、およびトータル通電時間を表2に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
《比較例11》
錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成する際の陰極電解処理において、下記の電解処理液を用いた以外は、実施例6と同様にして表面処理金属板および樹脂被覆金属板を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
電解処理液:Al化合物として硝酸アルミニウムを、フッ素化合物としてフッ化水素ナトリウムをそれぞれ溶解させ、Alイオン濃度1,500重量ppm、硝酸イオン濃度10,000重量ppm,Fイオン濃度2,000重量ppmとした水溶液
表2に示すように、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いて、陰極電解処理により、錫めっき鋼板上にAl酸素化合物皮膜を形成した実施例6〜11においては、いずれも、Al酸素化合物皮膜の形成効率の評価、耐硫化黒変性評価(モデル液)、および耐食性評価(モデル液)の結果が良好であり、Al酸素化合物皮膜の形成効率に優れるとともに、高温下で保管された場合においても硫化黒変を抑制することができたことが確認された。特に、実施例8〜11においては、電解処理液の導電率が高いため、電流を流した際に、錫めっき鋼板の表面近傍において、良好に水の電気分解を発生させることができ、これにより、錫めっき鋼板の表面近傍のpHを上昇させ、効率よくAl酸素化合物を析出させることができたと考えられ、トータル通電時間が0.2秒程度の短い時間であっても、Al量で5mg/m以上の多くのAl酸素化合物皮膜を形成できたことが確認された。
一方、電解処理液について、Fイオンが含まれないものとしながらも、硝酸イオンの含有量が11,500未満である比較例6〜9においては、得られた有機樹脂被覆鋼板は、いずれも、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が良好であり、高温下で保管された場合においても硫化黒変を抑制することができるという結果となったが、しかしながら、電解処理液の導電率が低いため、Al酸素化合物皮膜の形成効率の結果が悪く、Al酸素化合物皮膜の形成効率に劣ることが確認された。
また、電解処理液について、Fイオンが含まれないものとしながらも、硝酸イオンの含有量が25,000重量ppm超である比較例10においては、電解処理液の導電率が高すぎるため、陰極電解処理を行う際に、錫めっき鋼板の表面の錫めっき層がエッチングされてしまい、Al酸素化合物皮膜の形成効率が小さくなった。錫めっき層のエッチングが大きくなることにより、Al酸素化合物皮膜中に溶解した錫が多く含まれたため、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が悪く、高温下で保管された場合において硫化黒変が発生してしまうことが確認された。
さらに、電解処理液にFイオンを含有させた比較例11においても、同様に、耐硫化黒変性評価(モデル液)の結果が悪く、高温下で保管された場合において硫化黒変が発生してしまうことが確認された。

Claims (6)

  1. 錫めっき鋼板に対して、Alイオンおよび硝酸イオンを含む電解処理液を用いた陰極電解処理を施すことにより、前記錫めっき鋼板上に、Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜を形成する工程を有する表面処理鋼板の製造方法において、
    前記電解処理液として、Fイオンが含まれておらず、かつ、硝酸イオンの含有量が11,500〜25,000重量ppmである電解処理液を用いることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  2. 前記Alを含有する酸素化合物を主成分とする皮膜の形成効率を当該皮膜中のAl量を前記陰極電解の電気量で除した値(mg/C)としたときに、この数値が0.011以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  3. 前記電解処理液の導電率が16〜35mS/cmであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  4. 前記電解処理液のpHが2.0〜4.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる表面処理鋼板。
  6. 請求項5に記載の表面処理鋼板を用いて得られる有機樹脂被覆金属容器。
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