JP2015086273A - 重合体組成物の製造方法及び重合体組成物を使用して得られる成形体 - Google Patents

重合体組成物の製造方法及び重合体組成物を使用して得られる成形体 Download PDF

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Nobuhisa Takayama
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Abstract

【課題】凝集が抑制された良好な分散状態でナノサイズの微粒子が分散された重合体組成物を、溶剤を用いずに製造する方法及び得られた重合体組成物を使用した成形体を提供する。【解決手段】アルミニウム系無機化合物(a1)並びに遷移金属系微粒子、炭素系微粒子及び導電性微粒子から選ばれる一種以上で、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平均長さ/平均口径)が1〜10,000である微粒子(a2)を含む水分散液中でビニル単量体(a3)を重合して得られる重合体組成物の製造方法及び重合体組成物を使用して得られる成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体組成物の製造方法及び重合体組成物を使用して得られる成形体に関する。
高分子材料は、機械的性質、熱的性質、成形加工性、外観、耐久性等の性能面で優れる特徴を活かして、従来から、自動車、家電、電子機器、建築物等の分野で多く使用されている。今後、更に各種機能を付与することによって、高分子材料の用途の拡がりが期待される。
一方、微粒子の合成技術が、近年著しく進歩している。特に、ナノサイズの微粒子は、機能性を付与するための素材として、応用が期待されている。
ナノサイズの微粒子としては、例えば、貴金属系微粒子、炭素系微粒子、鉱物系微粒子、半導体微粒子等の様々な素材の微粒子が用いられている。また、ナノサイズの微粒子の粒径は従来数十ナノメートル〜数百ナノメートルが開発の中心であったが、最近では、数ナノメートル〜数十ナノメートルの粒径の開発も盛んになっている。
このような状況において、貴金属系微粒子、炭素系微粒子、鉱物系微粒子、半導体微粒子等のナノサイズ微粒子を、高分子材料中へ均一分散させることができれば、高分子材料が有する性能を維持しつつ微粒子が有する機能を併せ持つ新規高分子材料組成物の開発が期待できる。
粒径が数十ナノメートル〜数百ナノメートル程度のナノサイズの微粒子を高分子材料中に良好分散させる方法として、例えば、ナノサイズの微粒子表面を表面処理剤で保護する方法が挙げられる。
しかし、得られる高分子材料組成物にナノサイズの微粒子の機能を発現させるためには、ナノサイズの微粒子の高分子材料組成物中の添加量を数%〜数十%程度まで増やす必要があり、高分子材料本来の優れた特徴である、機械的性質、熱的性質、成形加工性、外観、耐久性等の性能が損なわれていた。
高分子材料の性能の低下を抑えるためにナノサイズの微粒子の粒径を小さくしてナノサイズの微粒子の添加量を少なくする方法が挙げられる。
しかし、ナノサイズの微粒子の粒径が小さくなる程、一粒子当りの質量が小さくなるため、微粒子同士が凝集し易く、再分散が難しくなる。また、ナノサイズの微粒子の粒径が小さくなる程、粒子表面積が広くなるため、多量の表面処理剤で被覆する必要がある。特に、ナノサイズの微粒子の粒径が数ナノメートル程度になると、高分子材料組成物から得られる成形体中でナノサイズの微粒子の一次粒子径を維持することは、実用的に難しいのが現状であった。
上記の問題を解決するために、例えば、特許文献1には、貴金属ナノ粒子表面を、メルカプト基を有する重合体で超微粒子の表面を修飾して得られた重合体修飾超微粒子を樹脂中に分散させた超微粒子含有樹脂組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1の技術では溶剤を用いるため、工業的に生産供給する上で、製造設備面や環境面の問題を考慮すると、溶剤を用いない製造方法が望ましい。
国際公開第2005/010,100号
本発明の課題は、凝集が抑制された良好な分散状態でナノサイズの微粒子が分散された重合体組成物を、溶剤を用いずに製造する方法及び得られた重合体組成物を使用した成形体を提供することにある。
前記課題は、以下の発明[1]〜[4]によって解決される。
[1] アルミニウム系無機化合物(a1)(以下、「(a1)成分という」)並びに遷移金属系微粒子、炭素系微粒子及び導電性微粒子から選ばれる一種以上で、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平均長さ/平均口径)が1〜10,000である微粒子(a2)(以下、「(a2)成分という」)を含む水分散液中でビニル単量体(a3)(以下、「(a3)成分という」)を重合して得られる重合体組成物(以下、「本重合体組成物」という)の製造方法。
[2] 微粒子(a2)の形状が針状であり、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比が5〜10,000である[1]に記載の重合体組成物の製造方法。
[3] 微粒子(a2)の形状が球状であり、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比が1である[1]に記載の重合体組成物の製造方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかの重合体組成物を使用して得られる成形体(以下、「本成形体」という)。
本発明により、凝集が抑制された良好な分散状態でナノサイズの微粒子が分散された本重合体組成物を、溶剤を用いずに製造することができ、本重合体組成物は、各種樹脂成形体用材料、塗料用樹脂、トナー用バインダー樹脂等の各種樹脂原料として用いることができる。また、本成形体は、自動車、家電、OA機器の部品等の用途に好適である。
:実施例1で得られた本重合体組成物(A-1)(ナノ金10ppm含有)の本成形体の写真 :実施例2で得られた本重合体組成物(A−2)(グラフェン10ppm含有)の本成形体の写真 :実施例3で得られた本重合体組成物(A−3)(ナノダイヤモンド500ppm含有)の本成形体の写真 :ポリメチルメタクリレート(PMMA)の成形体の写真 :実施例1の本成形体の透過光の波長と光透過率の関係を示すグラフ :実施例2の本成形体の透過光の波長と光透過率の関係を示すグラフ
<(a1)成分>
本発明で使用される(a1)成分は後述する本重合体組成物の構成成分の1つである。
(a1)成分としては、例えば、アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
アロフェン、イモゴライト及びハロイサイトは火山灰土壌中に風化生成物として得られる天然物又は合成されたものを用いることができる。これらの中で、本成形体の外観、表面硬度、帯電防止性、結晶性等の性能が優れる点で、人工的に合成されたアロフェン及びイモゴライトが好ましい。
(a1)成分の形状としては、例えば、球状(粒状)、針状(繊維状)及び板状が挙げられる。アロフェンは球状、イモゴライト及びハロイサイトは針状を有する傾向にある。
(a1)成分の形状が球状である場合、平均口径は1nm〜1μmが好ましい。平均口径が1nm以上で本成形体における(a1)成分の分散性が向上する傾向にある。また、平均口径が1μm以下で本成形体における(a2)成分の分散性が向上する傾向にある。平均口径の上限値は100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
(a1)成分の形状が針状である場合、平均口径が0.5〜100nmで、平均長さが5〜200nmであるものが好ましい。平均口径が0.5nm以上で本成形体における(a1)成分の分散性が向上する傾向にある。また、平均口径が100nm以下で本成形体における(a2)成分の分散性が向上する傾向にある。平均口径の上限値は20nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。また、平均長さが5以上で本成形体における(a1)成分の分散性が向上する傾向にある。更に、平均長さが200nm以下で本成形体における(a2)成分の分散性が向上する傾向にある。平均長さの下限値は10nm以上がより好ましい。また、平均長さの上限値は100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
本発明において、球状の(a1)成分の平均口径は、(a1)成分を脱イオン水に分散させた水分散液を使用し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した、50%体積平均粒子径として求めた値である。また、針状の(a1)成分の平均口径及び平均長さは、電子顕微鏡像の画像解析によって求めた値である。尚、上記の水分散液は、受光器の感度に収まるように濃度を調整したものを使用した。
アロフェン、イモゴライト又はハロイサイトを合成する方法としては、例えば、オルト珪酸ナトリウムと塩化アルミニウムを反応させる方法が挙げられる。この反応は、例えば、水溶液の状態で、弱酸性下で、必要に応じて加熱しながら行なうことができる。また、反応生成物である(a1)成分を、必要に応じて、濃縮、洗浄及び乾燥することができる。例えば、反応後の水溶液を弱アルカリ性にして、反応生成物を沈降させ、上澄み液を分離して(a1)成分を得ることができる。また、反応後の水溶液を凍結乾燥して(a1)成分の固形物として取り出すこともできる。
上記の方法において、本重合体組成物の製造工程での安定性、本成形体の外観及び物性が良好である点で、反応生成物は、濃縮、洗浄及び乾燥を行なわずに、反応後の弱酸性水溶液のままで、(a1)成分として用いることが好ましい。
上記の合成方法で得られる反応生成物がイモゴライト又はハロイサイトであることを確認する方法としては、例えば、X線回折、透過型電子顕微鏡(TEM)又は赤外吸収スペクトル(IR)の測定による方法が挙げられる。
X線回折の測定による方法では、回折角(2θ)6°、11°、16°付近に、イモゴラト特有のピークを確認することができる。また、回折角(2θ)12°、20°、25°にハロイサイト特有のピークを確認することができる。
TEMの観察による方法では、アロフェンの場合には直径約5nmの粒子が凝集した形態を確認することができる。また、イモゴライトの場合には繊維が凝集した形態を確認することができる。更に、ハロイサイトの場合には繊維が凝集した形態により確認することができる。
IRの測定による方法では、Si−O−Al結合に由来する900〜1,000cm-1付近の吸収を確認することができる。
本発明においては、(a1)成分としてアロフェン、イモゴライト又はハロイサイトを使用する場合は、本成形体における(2)成分の分散性の点で、(a1)成分をリン酸系化合物(1)で予め処理したものを使用することが好ましい。(a1)成分をリン酸系化合物(1)で処理する方法としては、例えば、アロフェン、イモゴライト又はハロイサイトを含む水分散液中にリン酸系化合物(1)を添加する方法が挙げられる。
リン酸系化合物(1)としては、例えば、リン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等のリン酸塩及び有機ヒドロキシ化合物のリン酸モノエステル又はリン酸ジエステル等のリン酸エステルが挙げられる。
上記のリン酸エステルの生成に用いる有機ヒドロキシ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のビニル基含有アルコール並びにプロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、シクロオクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、メトキシエタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロプロパノール、フェノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール及びトリエチレングリコールが挙げられる。
これらの中で、本成形体の外観、表面硬度、結晶性等が優れる点で、ビニル基含有アルコールが好ましい。
ビニル基含有アルコールを用いて得られるリン酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとリン酸から得られるモノエステル又はジエステル並びにポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとリン酸から得られるモノエステル又はジエステルが挙げられる。
リン酸系化合物(1)の市販品としては、例えば、ホスマーM、ホスマーPE、ホスマーP(以上、ユニケミカル(株)製);JPA−514、JPA−514M(以上、城北化学工業(株)製);ライトエステルP−1M、ライトアクリレートP−1A(以上、共栄社化学(株)製);MR200(大八化学工業(株)製);カヤマー(日本化薬(株)製);及びエチレングリコール・メタクリレート・ホスフェート(アルドリッチ社製)が挙げられる。これらの市販品は、モノエステルとジエステルとの混合物の場合もあり、不純物として、ビニル基を含有しない成分が含まれている場合もあるが、リン酸系化合物(1)としてそのまま用いることができる。
これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。

<(a2)成分>
本発明で使用される(a2)成分は後述する本重合体組成物の構成成分の1つである。
(a2)成分は、遷移金属系微粒子、炭素系微粒子及び導電性微粒子から選ばれる一種以上の微粒子である。
遷移金属系微粒子としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタン、セリウム、ラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等の遷移金属又はその酸化物の微粒子が挙げられる。これらの中で、本重合体組成物中の遷移金属系微粒子の分散性の点で金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等の貴金属又はその酸化物の微粒子が好ましい。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
炭素系微粒子としては、例えば、グラフェン、カーボンナノチューブ、グラファイト、フラーレン、アセチレンブラック及びカーボンブラックが挙げられる。これらの中で、本重合体組成物中の炭素系微粒子の分散性の点で、グラフェン、カーボンナノチューブ及びグラファイトが好ましい。
導電性微粒子としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物及び金属塩から選ばれる少なくとも1種の微粒子並びに半導体微粒子が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物及び金属塩から選ばれる少なくとも1種の微粒子としては、例えば、アンチモン酸亜鉛等の金属塩、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、五酸化アンチモン、インジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等の金属酸化物並びに水酸化アンチモン、水酸化錫、水酸化インジウム、インジウム錫水酸化物、アンチモン錫水酸化物等の金属水酸化物が挙げられる。
本発明においては、上記以外の導電性微粒子として、例えば、酸化錫にリンをドープしたもの及び酸化亜鉛にガリウム又はアルミニウムをドープしたものが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
半導体系微粒子としては、例えば、MgS、MgSe、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族の化合物;GaAs、GaN、GaPGaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS等のIII−V族の化合物;CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、FePt/Fe304、CdTe/CdSe、CdSe/ZnTe、InP/ZnS等のコア・シェル型化合物が挙げられる。これらの中で、本重合体組成物中の半導体系微粒子の分散性及び本成形体の導電性の点で、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン酸亜鉛、インジウム錫酸化物(ITO)及びアンチモン錫酸化物(ATO)が好ましく、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムがより好ましい。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
(a2)成分は単独で又は2種以上を併せて使用できる。
(a2)成分は、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平均長さ/平均口径)が1〜10,000である微粒子である。
(a2)成分の形状としては、例えば、球状(粒状)、針状(繊維状)及び板状が挙げられる。
(a2)成分の形状が球状である場合、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平均長さ/平均口径)が1であるものが好ましい。平均口径1nm以上で本成形体中の(a2)成分の分散性が向上する傾向にある。また、平均口径1μm以下で本成形体中の(a2)成分が少量でも(a2)成分の機能が発現し易くなる傾向にある。平均口径の上限値は、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
(a2)成分の形状が針状である場合、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比が5〜10,000であるものが好ましい。
(a2)成分の形状がシート状である場合、平均口径(厚さ方向の大きさ)が、好ましくは1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平面方向大きさ/厚さ方向の大きさ)が5〜10,000であるものを有することが好ましい。 (a2)成分としては、本重合体組成物中の(a2)成分の分散性及び本成形体の(a2)成分の機能発現を考慮すると、球状又はシート状が好ましい。
本発明において、(a2)成分の平均口径は、(a2)成分を脱イオン水に分散させた水分散液を使用し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した、50%体積平均粒子径として求めた値である。また、(a2)成分の平均アスペクト比は電子顕微鏡像の画像解析によって求めた値である。尚、上記の水分散液は、受光器の感度に収まるように濃度を調整したものを使用した。

<水分散液>
本発明において、水分散液は(a1)成分及び(a2)成分を含む分散液である。
水分散液中において、(a2)成分を一次粒径の状態で分散させてもよく、二次凝集した状態で分散させてもよいが、本成形体の透明性をより良好とするためには(a2)成分を一次粒径の状態で分散させるのが好ましい。
本成形体中の(a2)成分の分散性を良好とするために、本分散液中にリン酸系化合物(2)を添加することができる。
リン酸系化合物(2)としては、例えば、リン酸系化合物(1)と同様のものが挙げられ、リン酸系化合物(1)と同じでも異なっていてもよい。リン酸系化合物(2)は単独で又は2種以上を併せて使用できる。
水分散液中の水としては、例えば、イオン交換水が挙げられる。
水分散液中の水の量としては、本重合体組成物を得る際の重合の安定性及び生産性が優れる点で、後述する(a3)成分100質量部に対し、10〜10,000質量部が好ましく、100〜2,000質量部がより好ましい。
リン酸系化合物(2)の添加量は、(a1)成分100質量部に対して1〜10,000質量部が好ましい。リン酸系化合物(2)の添加量が1質量部以上で本成形体おける(a1)成分の分散性が向上する傾向にある。また、リン酸系化合物(2)の添加量が10,000質量部以下で本成形体は耐水性や耐候性に優れる傾向にある。リン酸系化合物(2)の添加量の下限値は2質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。また、リン酸系化合物(2)の添加量の上限値は1,000質量部以下がより好ましく、500質量部以下が更に好ましく、200質量部以下が特に好ましい。
本発明においては、必要に応じて水分散液中に分散剤及び必要に応じて分散助剤を含有することができる。
分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコ−ル及びメチルセルロ−スが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。これらの分散剤の中では、懸濁重合時の分散安定性が良好な(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましい。
分散助剤としては、例えば、硫酸ナトリウム及び硫酸マンガンが挙げられる。

<(a3)成分>
本発明で使用される(a3)成分は本重合体組成物中の重合体を形成するための単量体である。
(a3)成分としては、ビニル基を有する単量体が挙げられる。
ビニル基を有する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート及びブタジエン、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等のオレフィン単量体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
これらの中で、本成形体の成形外観、表面硬度が優れる点で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びエチレンが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルがより好ましい。
本発明においては、(a3)成分には、必要に応じて上記の単量体以外のその他の単量体を含有させることができる。
その他の単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその塩酸塩、シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素化ビニル単量体;テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素化オレフィン;及び(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル」は、それぞれ「アクリレート」又は「メタクリレート」及び「アクリル」又は「メタクリル」を示す。
<本重合体組成物>
本重合体組成物は(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分単位を有する重合体(以下、「本重合体」という)を含有する。
本重合体組成物を得るために使用される(a1)成分の使用量は、ビニル単量体(a3)100質量部に対し、0.00001〜100質量部が好ましい。(a1)成分の使用量が0.00001質量部以上で、本成形体における(a2)成分の分散性が向上する傾向にある。また、(a1)成分の使用量が100質量部以下で本重合体組成物の成形加工性が向上する傾向にある。(a1)成分の使用量の下限値は0.001質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上が更に好ましく、0.05質量部以上が特に好ましい。また、(a1)成分の使用量の上限値は50質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
本重合体組成物を得るために使用される(a2)成分の使用量は、(a3)成分100質量部に対し、0.000001〜1,000質量部が好ましい。(a2)成分の使用量が0.000001質量部以上で、本成形体における(a2)の機能性が発現する傾向にある。また、(a2)成分の使用量が1,000質量部以下で本成形体における(a2)成分の分散性に優れる傾向にある。(a2)成分の使用量の下限値は0.00001質量部以上がより好ましく、0.0001質量部以上が更に好ましい。また、(a2)成分の使用量の上限値は100質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
また、(a2)成分が、ナノ金、グラフェン等の水中分散する(沈降しない)ものの場合、(a2)成分の使用量は、(a3)成分100質量部に対して0.0001〜0.01質量部が特に好ましく、0.0005〜0.050質量部がより特に好ましい。
一方、(a2)成分が、ナノダイヤモンド等の水中分散しない(沈降する)ものの場合、(a2)成分の使用量は、(a3)成分100質量部に対して0.01〜100質量部が特に好ましく、0.1〜10質量部がより特に好ましい。
また、(a2)成分が導電性微粒子の場合、(a2)成分の使用量は、(a3)成分100質量部に対して0.001〜90質量%が特に好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
本重合体組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、顔料等の各種添加剤及びガラス繊維、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、ケナフ、バクテリアセルロース等のフィラーを含有させることができる。
本重合体組成物は、(a1)成分及び(a2)成分を含む水分散液中で(a3)成分を重合することにより得られる。
水分散液中での(a3)成分の重合方法としては、例えば、懸濁重合法、ミニエマルション重合法及び乳化重合法が挙げられる。上記の重合方法の具体例としては、(a1)成分の水分散液に(a2)成分の水分散液を添加して得られる水分散液中に必要に応じてリン酸系化合物(2)を添加し、次いで(a3)成分を添加して懸濁重合する方法が挙げられる。
重合に際しては、必要に応じて水分散液及び(a3)成分から選ばれる少なくとも一種にラジカル重合開始剤を添加することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジt−アミルパーオキサイド、ジt−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;及びアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
上記のラジカル重合開始剤の中で、温水やオイルで制御可能な温度範囲でラジカルを発生させることができる点で、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス2,4−ジメチルバレロニトリルが好ましい。また、上記有機過酸化物や過硫酸塩は還元剤と組み合わせてレドックス系として用いることもできる。
上記の重合温度は、例えば、65〜100℃で行なうことができる。また、重合時間は、例えば、1〜10時間で行なうことができる。重合の雰囲気は、必要に応じて窒素雰囲気下で行なうことができる。
上記の重合においては、重合を2段階以上の多段階で行なうことができ、例えば、所定温度で所定時間の重合を行なった後、より高い温度で保持して重合を完了させることもできる。
(a3)成分の重合においては、必要に応じて連鎖移動剤及び分散剤、分散助剤、乳化剤等の重合用添加剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン及びα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、公知のアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が挙げられる。
分散重合法として乳化重合を用いた場合、得られるラテックスを成形体の成形に使用することもできるが、ラテックスから本重合体組成物を粉体として回収してもよい。

<本成形体>
本成形体は本重合体組成物を使用して得られるものである。
本発明においては、本成形体を得るための原料として、本重合体組成物に熱可塑性樹脂、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、顔料等の各種添加剤及びガラス繊維、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、ケナフ、バクテリアセルロース等のフィラーを混合したものを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート−アクリレート共重合体等の(メタ)アクリル共重合体;ポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、環状オレフィン含有重合体等のオレフィン系樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレングリコールテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)等のジヒドロキシジアリール化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステル化合物と反応させて得られる重合体等のポリカーボネート系樹脂;及びポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。これらの中で、本成形体の成形外観、表面硬度等が優れる点で、ポリメチルメタクリレート、高耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネートが好ましく、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリ乳酸が好ましく、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリ乳酸がより好ましい。
本重合体組成物に熱可塑性樹脂を混合したものを本成形体の原料とする場合の本重合体組成物と熱可塑性樹脂の混合割合としては、重合体組成物0.1質量%以上70質量%以下及び熱可塑性樹脂30質量%以上99.9質量%以下が好ましく、重合体組成物0.5質量%以上30質量%以下、熱可塑性樹脂70質量%以上99.5質量%以下がより好ましい。
本重合体組成物に熱可塑性樹脂、各種添加剤及びフィラーから選ばれる少なくとも1種をブレンドする場合のブレンド方法としては、例えば、バッチ式のニーダー及び単軸又は多軸の押出機等を用いた溶融ブレンド法が挙げられる。
本成形体を得るための成形方法としては、例えば、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法及びカレンダ成形法が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により説明する。以下、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、各種評価を以下に示す方法で実施した。

<合成した(a1)成分の組成>
(1)X線回折
X線回折装置((株)リガク製RINT2500(商品名))を用いて、以下の条件により回折角(2θ)5〜85°の範囲における回折パターンを測定し、(a1)成分特有の吸収を示すピークにより同定した。
(測定条件)
加速電圧;40kV
加速電流;300mA
照射線の種類;Cu−Kα線
(2)TEM
透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM-1200EXII(商品名))を用いて、加速電圧100KV、倍率10万倍で観察し、形状により同定した。
(3)IR
フーリエ変換赤外分光光度計((株)島津製作所製FTIR−8700(商品名))を用いて、KBr法で調整した試料を、透過法により400〜4000cm−1の範囲における吸収スペクトルを測定し、(a1)成分特有の吸収を示すピークにより同定した。

<(a1)成分のBET比表面積>
比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製モノソーブ(商品名))を用いて、試料を120℃で2時間脱気した後に比表面積を測定した。

<成形体中の(a2)成分の分散性>
(1)(a2)成分分散性(A法)
成形体の成形外観を目視観察し、以下の基準により(a2)成分の分散性を評価した。
○:0.1mm以上の凝集物が観察されず、良好であった。
×:0.1mm以上の凝集物が成形体中に偏在し、不良であった。
(2)(a2)成分分散性(B法)
成形体中の(a2)成分の分散性を以下の方法により判定した。
成形体の表面を乾いた綿布で所定回数摩擦した後、成形体の表面を、平面上に載置されたタバコの灰から10mmの距離となるように近づけた。その時の成形体の表面への灰の付着性及び飛散性について評価し、以下の基準により(a2)成分の成形体中における分散性を評価した。尚、評価は、23℃、50%RHの環境下で行なった。また、成形体は、23℃、50%RHの環境下に24時間放置したものを用いた。
○:摩擦回数15回でも成形体の表面に灰は付着又は飛散せず、(a2)成分の成形体中における分散性は良好と判断した。
×:摩擦回数15回で成形体の表面に灰が付着又は飛散し、(a2)成分の成形体中における分散性は不良と判断した。

<成形体の可視光透過率>
日立製作所(株)分光光度計U−3300を用いて、2mmの厚みの成形体の800nmの可視光透過率を求めた。

<成形体の帯電防止性>
成形体の表面を乾いた綿布で所定回数摩擦した後、成形体の表面を、平面上に載置されたタバコの灰から10mmの距離となるように近づけた。その時の成形体の表面への灰の付着性及び飛散性について評価し、以下の基準により成形体の帯電防止性を評価した。尚、評価は、23℃、50%RHの環境下で行なった。また、成形体は、23℃、50%RHの環境下に24時間放置したものを用いた。
◎:摩擦回数15回でも成形体の表面に灰は付着又は飛散せず、成形体の帯電防止性は非常に良好であった。
○:摩擦回数15回では成形体の表面に灰が付着又は飛散したが、摩擦回数10回では成形体の表面に灰は付着又は飛散せず、成形体の帯電防止性は良好であった。
△:摩擦回数10回では成形体の表面に灰が付着又は飛散し、摩擦回数3回で成形体の表面に灰が付着又は飛散しないレベルで、成形体の帯電防止性は良好とはいえなかった。
×:摩擦回数3回でも成形体の表面に灰が付着又は飛散し、成形体の帯電防止性は不良であった。

[製造例1]イモゴライト水分散液の製造
金属チタン製の撹拌機付き反応容器(内容積60L)にSi濃度0.01モル/Lのオルト珪酸ナトリウム溶液8.6Lを入れた。次にAl濃度0.01モル/Lの塩化アルミニウム溶液21Lを入れ、30分撹拌した。次いで、0.01モル/LのNaOH溶液18.5Lを1時間かけて添加し、サスペンションを得た。得られたサスペンションのpHは4.5(25℃)であった。次いで、サスペンションを95℃に昇温させ、24時間保持した後、24時間かけて室温まで冷却し、反応サスペンションを得た。得られた反応サスペンションのpHは4.2、固形分は0.04%で、極めて透明度の高いものであった。
反応サスペンションに1%アンモニア水溶液を撹拌しながら添加して、反応サスペンションをpH9.0に調整した後、撹拌を停止して、8時間静置し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を分別し、沈殿物を吸引式濾過器で通水濾過して、濾過液の導電度が100マイクロジーメンス以下になるまで、水洗を行ない、やや白色を帯びたペーストを得た。得られたペーストを、凍結乾燥機で−40℃から28時間かけて室温に戻してペーストを乾燥させて粉体を得た。得られた粉体について、X線回折、TEM及びIRの測定を行なった。X線回折パターンにおいて、回折角(2θ)6°、11°、16°付近にブロードなピークが確認された。また、TEMの観察において、粉体は繊維状であることを確認した。更に、IRの測定において、950〜1000cm−1付近に、Si−O−Al結合に由来するイモゴライト特有のダブレット吸収を確認した。上記評価結果より粉体がイモゴライトであることを確認した。また、イモゴライトのBET比表面積は325m/gであった。

[実施例1]
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた反応容器に、製造例1で得たイモゴライト水分散液1,000部(固形分0.4部)及びナノ金水分散液であるAuコロイド溶液−SC(田中貴金属(株)製、商品名、固形分濃度0.005%、ナノ金の平均口径:5nm、球状)29部(固形分0.0015部)を入れて混合した。次いで、反応容器に10%アンモニア水溶液10部(固形分1部)及び塩化カルシウム0.1部を加えて30分攪拌し、更にホスマーM(ユニケミカル(株)製アシッドホスホオキシエチルメタクリル酸エステル、商品名)0.04部を加えて30分攪拌した。次いで、反応容器にメチルメタクリレート100部、オクチルメルカプタン0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.05部を仕込んだ。窒素気流下で内容物を80℃まで昇温して2時間攪拌した後、90℃まで昇温して30分攪拌した。内容物を冷却した後、粒子状の重合体組成物(A−1)を濾取、乾燥した。
得られた重合体組成物(A−1)を、混練射出成形機(商品名「CS−183」、Custom Scientific Instruments社製)を用いて、バレル温度240℃で溶融混練した後、射出成形し、寸法20mm×10mm×2mmの成形体を得た。評価結果を表1に示す。また、成形体の写真を図1に示し、光透過性測定結果を、ポリメチルメタクリレート単独成形体(三菱レイヨン(株)製ポリメチルメタクリレート(商品名:アクリペットVH)の成形体)と比較して、図5に示す。
[実施例2]
ナノ金分散液29部(固形分0.0014部)の代わりに、グラフェン水分散液としてGRAnPH(グルーポアントリン社製、商品名、固形分濃度0.1mg/ml、水分散液の比重:1.00、グラフェンの平均口径:2〜3nm(厚さ方向の大きさ))10部(固形分0.001部)を使用する以外は実施例1と同様にして重合体組成物(A−2)及び成形体を得た。評価結果を表1に示す。また、成形体の写真を図2に示す。光透過性測定結果を、ポリメチルメタクリレート単独成形体(三菱レイヨン(株)製ポリメチルメタクリレート(商品名:アクリペットVH)の成形体)と比較して、図6に示す。

[実施例3]
ナノ金分散液29部(固形分0.0014部)の代わりに、ナノダイヤモンド水分散液として306−F1(バンドー化学(株)製、商品名、固形分濃度1.6%、ナノダイヤモンドの平均口径:10nm、球状)30部(固形分0.5部)を使用する以外は実施例1と同様にして重合体組成物(A−3)及び成形体を得た。評価結果を表1に示す。また、成形体の写真を図3に示す。

[比較例1]
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた反応容器に、脱イオン水200部、ポリアクリル酸ソーダ水溶液(東亜合成(株)製、商品名:アロンT−50、固形分3.3%)0.04部、ナノ金水分散液であるAuコロイド溶液−SC、29部(固形分0.0014部)、メチルメタクリレート100部、オクチルメルカプタン0.1部及びアゾビスイソブチロニトリル0.05部を仕込んだ。窒素気流下で内容物を80℃まで昇温して2時間攪拌した後、90℃まで昇温して30分攪拌した。内容物を冷却した後、粒子状の重合体組成物(A−4)を濾取、乾燥した。その後、実施例1と同様にして成形体を得た。評価結果を表1に示す。

[比較例2]
Auコロイド溶液−SC、29部の代わりにグラフェン水分散液であるGRAnPH、10部(固形分0.001部)を使用する以外は比較例1と同様にして重合体組成物(A−5)及び成形体を得た。評価結果を表1に示す。

[比較例3]
Auコロイド溶液−SC、29部の代わりにナノダイヤモンド水分散液である306−F1、30部(固形分0.5部)を使用する以外は比較例1と同様にして重合体組成物(A−6)及び成形体を得た。評価結果を表1に示す。

実施例1では、金微粒子がナノサイズのまま分散した場合にみられるプラズモン効果が認められた。(図1に示すように、成形体の全面に均一に赤色を呈し、図5に示すように、500〜550nm付近に特有の吸収がみられた。)
実施例2では、グラフェンが均一分散した場合にみられる特徴が認められた。(図2に示すように、成形体の全面に均一に着色がみられ、図6に示すように、広範囲の波長領域で吸収がみられた。)
実施例3では、図3に示すように、ナノダイヤモンドが成形体の全面に均一に分散した状態が認められた。
一方、比較例1〜3の場合、大部分はポリメチルメタアクリレートの成形体(図4)と同様の外観を示すと共に、成形体中に凝集物が確認され、(a2)成分が成形体中に均一分散していなかった。

[実施例4]
Auコロイド溶液−SC、29部の代わりにアンチモン酸亜鉛水分散液としてCX−Z330H−F2(日産化学工業(株)製、商品名、固形分濃度30%、の平均口径:15nm、球状)13部(固形分4部)を使用する以外は実施例1と同様にして重合体組成物(A−7)及び成形体を得た。評価結果を表2に示す。また、成形体の写真を図4に示す。
(注1)アンチモン酸亜鉛を(a3)成分の重合体(イ)に添加
(注2)アンチモン酸亜鉛水分散液を(a3)成分の重合体(ロ)のエマルションに添加

[比較例4]
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた反応容器に、脱イオン水200部、アロンT−50、0.04部、アンチモン酸亜鉛水分散液であるCX−Z330H−F2、13部(固形分4部)、メチルメタクリレート100部、オクチルメルカプタン0.1部及びアゾビスイソブチロニトリル0.05部を仕込んだ。窒素気流下で内容物を80℃まで昇温して2時間攪拌した後、90℃まで昇温して30分攪拌した。内容物を冷却した後、重合体組成物(A−8)を濾取、乾燥した。その後、実施例1と同様にして成形体を得た。評価結果を表2に示す。

[比較例5]
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた反応容器に、脱イオン水200部、アロンT−50、0.04部、メチルメタクリレート100部、オクチルメルカプタン0.1部及びアゾビスイソブチロニトリル0.05部を仕込んだ。窒素気流下で内容物を80℃まで昇温して2時間攪拌した後、90℃まで昇温して30分攪拌した。内容物を冷却した後、重合体(イ)を得た。次いで、重合体(イ)100部にアンチモン酸亜鉛4部(固体)を添加し、混練射出成形機(Custom Scientific Instruments社製、商品名:CS−183)を用いてバレル温度240℃で溶融混練した後、射出成形し、寸法20mm×10mm×2mmの成形体を得た。成形体の評価結果を表2に示す。

[比較例6]
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた反応容器に、脱イオン水200部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルフォスフェートナトリウム塩1部、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.0003部及びソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部を入れて75℃まで昇温した。次いで、反応容器内にメチルメタクリレート100部、オクチルメルカプタン0.1部及びtert−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部の混合物を3時間かけて滴下し、更に1時間保持した後に室温に冷却し、重合体(ロ)のエマルションを得た。重合体(ロ)のエマルション300部(固形分100部)にアンチモン酸亜鉛水分散液であるCX−Z330H−F2、13部(固形分4部)を添加混合した後、得られたエマルションを、硫酸を溶解した40℃の温水中に注ぎ込むことによって、固形分を分離し、乾燥して重合体組成物(A−10)を得た。重合体組成物(A−1)の代わりに重合体組成物(A−10)を使用する以外は実施例1と同様にして成形体を得た。成形体の評価結果を表2に示す。
実施例4で得られた成形体は帯電防止性及び微粒子分散性に優れていた。
一方、比較例4では、(a1)成分無しで(a2)成分をブレンドしたため、得られた成形体は帯電防止性及び微粒子分散性に劣っていた。
また、比較例5では、ポリメチルメタクリレートに(a2)成分をブレンドしたため、得られた成形体は帯電防止性及び微粒子分散性に劣っていた。
更に、比較例6では、ポリメチルメタクリレートエマルションに(a2)成分をブレンドしたため、得られた成形体は帯電防止性及び微粒子分散性に劣っていた。

[実施例5]
メチルメタクリレート100部の代わりにイソブチルメタクリレート100部を使用する以外は実施例4と同様にして重合体組成物(A−11)を得た。
次いで、得られた重合体組成物(A−11)10部及びポリプロピレンとしてノバテックFY4(日本ポリプロ(株)製、商品名)90部を配合したものを、バレル温度を240℃から200℃に変更する以外は実施例1と同様にして射出成形して成形体を得た。評価結果を表2に示す。
実施例5で得られた成形体は帯電防止性及び微粒子分散性に優れていた。

Claims (4)

  1. アルミニウム系無機化合物(a1)並びに遷移金属系微粒子、炭素系微粒子及び導電性微粒子から選ばれる一種以上で、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比(平均長さ/平均口径)が1〜10,000である微粒子(a2)を含む水分散液中でビニル単量体(a3)を重合して得られる重合体組成物の製造方法。
  2. 微粒子(a2)の形状が針状であり、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比が5〜10,000である請求項1に記載の重合体組成物の製造方法。
  3. 微粒子(a2)の形状が球状であり、平均口径が1nm〜1μmで、平均アスペクト比が1である請求項1に記載の重合体組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの重合体組成物を使用して得られる成形体。
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