JP2015085526A - 積層体の製造方法及び積層体 - Google Patents

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Akihiro Kobayashi
章洋 小林
番場 昭典
Akinori Banba
昭典 番場
梢 飯村
Kozue Iimura
梢 飯村
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Abstract

【課題】内部の空隙を閉塞せずに多孔質層の表面に酸化物無機粒子層を形成することができる積層体の製造方法、及び積層体を提供する。
【解決手段】酸化物無機粒子とバインダーとを含み基材16上に形成された酸化物無機粒子層12を、芯材と前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する繊維で形成された多孔質層14の少なくとも一方の表面に、積層して加圧加熱する工程と、前記多孔質層14に固定された前記酸化物無機粒子層12から前記基材16を剥離する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層体の製造方法及び積層体に関し、特に電気化学素子のセパレータとして用いられる積層体に関する。
電気化学素子として、非水電解液を用いたリチウム二次電池やスーパーキャパシタが知られている。このような電気化学素子は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。また電気化学素子は、携帯機器の高性能化に伴って高容量化が進む傾向にあり、安全性を確保するため、さらなる技術開発が求められている。
電気化学素子に用いられるセパレータは、正極と負極を接触させないように隔離すると共に、電解液を保持し、電気化学反応に関与するイオンが容易に移動できる必要がある。実用化されている小型二次電池に使用されているセパレータは、その微視的構造から、微孔性フィルムセパレータと、不織布セパレータの2種類に大別される。
微孔性フィルムセパレータは、ポリプロピレンやポリエチレンを始めとするポリオレフィン等の高分子化合物シートに孔を多数開け、空孔率を25%以上にした構造を有する。因みに、孔径分布を改良することにより、透気度を最小170秒/100cc以下にし、電解液の含浸性を高めた微孔性フィルムセパレータが開示されている(例えば特許文献1)。
不織布セパレータは、ポリオレフィン、アミド、ナイロン等の高分子化合物の繊維が3次元状に絡まった構造を有する。不織布セパレータは、微孔性フィルムセパレータに比べ空間が大きく、電解液の保持力が高いという長所がある。ところが不織布セパレータは、リチウム二次電池に使用した場合、充電時に負極に析出する樹枝状のリチウムが容易に通過してしまうという問題がある。不織布セパレータを通過した樹枝状のリチウムは、正極まで到達し、内部ショートを引き起こす。この場合、リチウム二次電池は、電池として作動しないだけでなく、過大な電流が流れ、発熱するなど、安全性にも問題がある。
このため、リチウム二次電池では、微孔性フィルムセパレータが一般的に用いられている。微孔性フィルムセパレータは、融点の低いポリエチレン(PE)で形成することにより、電池の熱暴走(異常発熱)温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させる。これにより微孔性フィルムセパレータは、短絡などによって熱暴走温度に達する前に、電池の内部抵抗を上昇させるいわゆるシャットダウン効果が得られ、電池の安全性を向上することができる。
微孔性フィルムセパレータは、多孔化と高強度化のために一軸延伸あるいは二軸延伸したフィルムが用いられている(例えば特許文献2)。延伸したフィルムは、結晶化度が高くなっており、構成樹脂の溶融温度も電池の熱暴走温度に近い温度に高くなっている。このため、延伸したフィルムは、電池の安全性を十分に得ることができるとは言えない。
また、延伸したフィルムは、延伸によってひずみが生じており、高温に曝されると、残留応力によって収縮する。延伸したフィルムが収縮する温度は、熱暴走温度と非常に近い温度である。このため延伸したフィルムからなる微孔性フィルムセパレータを用いたリチウム二次電池では、シャットダウン効果が期待できない。このリチウム二次電池では、充電異常などによって異常高温に達した場合に、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止する必要がある。
これに対し、ポリオレフィン系のフィルムの少なくとも一方の表面に、耐熱性の良好な酸化物無機粒子を含む耐熱層を積層した微孔性フィルムセパレータが開示されている(例えば特許文献3,4)。耐熱層を積層した微孔性フィルムセパレータは、熱収縮による短絡を防止し、電池の安全性を向上することができる。
また、不織布中に板状ベーマイトを含有させた不織布セパレータが開示されている(例えば特許文献5)。上記特許文献5には、エネルギー密度の低下を抑制し、安全性を向上できると記載されている。
特開平5−9332号公報 特開2011−44419号公報 特開2007−273443号公報 特開2007−280911号公報 特開2008−4438号公報
しかしながら上記特許文献5に係る不織布セパレータでは、不織布の空隙の内部まで板状ベーマイトが浸透し、空隙を塞いでしまうので電解液の保持能力が低下してしまう、という問題がある。
そこで本発明は、内部の空隙を閉塞せずに多孔質層の表面に酸化物無機粒子層を形成することができる積層体の製造方法、及び積層体を提供することを目的とする。
本発明に係る積層体の製造方法は、酸化物無機粒子とバインダーとを含み基材上に形成された酸化物無機粒子層を、芯材と前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する繊維で形成された多孔質層の少なくとも一方の表面に、積層して加圧加熱する工程と、前記多孔質層に固定された前記酸化物無機粒子層から前記基材を剥離する工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る積層体は、酸化物無機粒子とバインダーとを含み基材上に形成された酸化物無機粒子層を、芯材と前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する繊維で形成された多孔質層の少なくとも一方の表面に、積層して加圧加熱して、前記酸化物無機粒子層を前記多孔質層の表面に固定し、前記多孔質層に固定された前記酸化物無機粒子層から前記基材を剥離して形成され、透気度が40秒/100cc以下であり、前記酸化物無機粒子層の表面を1000倍のSEMで観察した際の前記酸化物無機粒子層が欠落した空間の最大長さが3μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、一旦、基材に形成した酸化物無機粒子層を、多孔質層に固定した後に、前記基材を剥離して積層体を形成することとした。これにより酸化物無機粒子が多孔質層内に入り込むのを防ぐことができるので、多孔質層の内部の空隙を閉塞せずに多孔質層の表面に酸化物無機粒子層を形成することができる。
本実施形態に係る積層体の構成を示す模式図である。 本実施形態に係る積層体の製造方法を段階的に示す縦断面図であり、図2Aは転写層を形成した段階、図2Bは転写した段階、図2Cは基材を剥離する段階、図2Dは積層体が完成した段階を示す。 積層体の酸化物無機粒子層表面のSEM写真である。 積層体の縦断面における光学顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.実施形態
(1)全体構成
図1に示す積層体10は、酸化物無機粒子層12と、多孔質層14とを備える。酸化物無機粒子層12は、多孔質層14の一方の表面に設けられている。酸化物無機粒子層12は、図示しないが、酸化物無機粒子とバインダーとを含む。酸化物無機粒子層12は、厚さが0.5μm〜35.0μmであるのが好ましい。厚さが0.5μm未満であると、酸化物無機粒子層12の機械的強度が低下しピンホールが生じてしまう。厚さが35.0μm超であると、酸化物無機粒子層12内にクラックが生じやすくなる。ここでピンホールとは、酸化物無機粒子層12の表面において前記酸化物無機粒子層12が欠落した空間をいう。ピンホールは、樹枝状のリチウムによる短絡の原因となるため、好ましくない。酸化物無機粒子層12は、高容量化へ向けたセパレータ薄膜化の観点から、厚さが1.0μm〜5.0μmであるのがより好ましい。
酸化物無機粒子は、酸化鉄、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、TiO、BaTiO、ZrO、酸化亜鉛およびその水和物等が挙げられる。また、酸化物に限らず、窒化ケイ素、窒化チタン等の金属窒化物、シリコンカーバイド等の炭化物、ケイ酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、チタン酸カリウム等の複合酸化物、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のハロゲン化物、シリコン、ダイヤモンド等の金属単結晶、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ベーマイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、あるいはガラス繊維等を用いてもよい。酸化物無機粒子は、水や有機溶剤に分散したスラリーが扱いやすく、市販のスラリーを用いてもよいし、ボールミル、ビーズミルなどにより作製してもよい。
酸化物無機粒子は、光散乱法により測定した重量平均粒径が0.05μm〜3.00μmであるのが好ましく、粒子径の異なる酸化物無機粒子を2種類以上含んでいてもよい。重量平均粒径は、市販の測定装置(ゼータ電位・粒径測定システム、大塚電子(株)製、ELS−Z2)等を用いて測定することができる。酸化物無機粒子の重量平均粒径が0.05μm未満の場合、不織布多孔質層14の隙間に入り込みやすくなり、多孔質層14の空隙を塞いでしまう。また、空孔が小さくなりすぎるために電解液が浸透しにくくなり、不織布セパレータのメリットが相殺されてしまう。酸化物無機粒子の重量平均粒径が3.00μm超の場合、酸化物無機粒子間の隙間が大きくなり機械的強度が低下する。酸化物無機粒子の形状は特に限定されず、平板状、粒状、球状のいずれでもよく、2種以上の形状を含んでいてもよい。
用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等の合成ゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩などのセルロース誘導体等のセルロース系樹脂、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド及びその前駆体(ポリアミック酸等)等のポリイミド樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル等の有機物バインダーと、金属アルコキシドの縮合物、ジルコニウム化合物、及びコロイダルシリカ等の無機バインダーが挙げられる。バインダーは溶媒に溶解していてもよいしエマルジョンでもよい。特に、水やアルコールに溶解あるいは分散可能なバインダーが好ましく用いられる。バインダーは、上記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の中でも、酸化物無機粒子との密着性の観点から水酸基を有するバインダー、たとえばポリビニルブチラール等がより好ましい。酸化物無機粒子とバインダーの密着性が高いと、無機粒子の脱落抑制と多孔質層を積層することで付与できる耐熱性を効果的に発現することができる。
酸化物無機粒子とバインダーの重量比は、99/1〜75/25であるのが好ましい。重量比が99/1超であると、酸化物無機粒子同士の接着不足により膜強度が弱くなる。重量比が75/25未満であると、酸化物無機粒子間の空孔がバインダーにより埋められることで、電解液が浸透せずリチウムイオンの移動が阻害され、電池として機能しなくなる。また、転写基材と酸化物無機粒子層との接着が強固となりすぎて転写時の基材からの剥離が不十分となり、均一な酸化物無機粒子層が得られず樹枝状のリチウムによる短絡が発生しやすくなる。
多孔質層14は、融点が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂で形成されている。本実施形態の場合、多孔質層14は、図示しないが、芯材と、前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する複合繊維を3次元状に絡み合わせ、無数の空隙が形成された構造を有する。空隙は互いに繋がっている。多孔質層14は、多数の複合繊維をシート状に加工した布、例えば織物、編み物や、不織布を用いることができる。また多孔質層14は、界面活性剤処理や、紫外線照射、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、グロー放電処理または電子線処理などの放電処理による表面改質を行ってもよい。
不織布は、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式法、エレクトロスピニング法などにより形成することができる。スパンボンド法は、溶かした原料樹脂を直接ノズルの先から溶出・紡糸させ、連続した長い繊維で不織布を形成する。メルトブロー法は、スパンボンド法の一種で、ノズルの先から溶出した原料樹脂に高温の空気を当てることでより細かい繊維で不織布を形成する。湿式法は、紙をつくる場合と同じように、ガラス繊維やパルプ原料のようなごく短い繊維(6mm以下)を水中に分散し網状のネット上に漉き上げて不織布を形成する。エレクトロスピニング法は、シリンジに入った高分子溶液とコレクタ電極間に高電圧を印加することで、シリンジから押し出された溶液が電荷を帯び、細かな繊維となってコレクタ電極に付着する微小繊維で不織布を形成する。
(2)製造方法
次に上記のように構成された積層体10の製造方法を、図2を参照して説明する。積層体10は、酸化物無機粒子層12を基材16上に形成する工程、酸化物無機粒子層12を多孔質層14に固定する工程、基材16を剥離する工程により作製することができる。
まず基材16上に酸化物無機粒子層12を形成する工程について説明する。酸化物無機粒子層12は、基材16上に塗布した酸化物無機粒子を含む無機層塗料を、乾燥することにより、作製する(図2A)。
基材16は、合成樹脂で形成されたフィルム状または板状部材である。基材16を形成する合成樹脂は、後の工程における乾燥、及び加熱加圧する際の加熱温度を考慮し、融点が150℃以上であるのが好ましい。本実施形態の場合、合成樹脂は、例えば、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、シクロオレフィンを用いることができる。酸化物無機粒子層12が形成される基材16表面の十点平均粗さ(Rz)は、得られる酸化物無機粒子層12の平滑性の観点から1μm以下であるのが好ましい。
無機層塗料は、酸化物無機粒子と、バインダーと、溶媒とを所定量だけ量り取り、混合することにより作製する。溶媒は特に限定されず、酸化物無機粒子の分散性に優れ、かつバインダーの溶解性、バインダーがエマルジョン等の場合はエマルジョンの安定性に優れる溶媒であれば用いることができる。たとえば、水、アルコール系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、セロソルブ系有機溶剤などが挙げられる。特に酸化物無機粒子にベーマイトやシリカを用いる場合、親水性の溶剤を用いる方が粒子の分散性に優れるため、水、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール系溶剤、水とアルコールの混合溶液などがより好ましい。無機層塗料の固形分濃度は特に限定されず、塗膜厚みや塗料の均一分散性などを考慮すると3〜30%程度であるのが好ましい。無機層塗料は、例えばマイヤーバーを用いて基材16に塗布することができる。基材16上に塗布された無機層塗料は、所定温度に加熱して乾燥し溶媒成分を蒸発させることにより、固化し、酸化物無機粒子層12となる。
次に酸化物無機粒子層12を、多孔質層14に積層し、この状態で加熱加圧することにより、酸化物無機粒子層12を多孔質層14に固定する(図2B)。加熱温度は、被覆層を構成する材料の融点以上の温度であって芯材を構成する材料の融点未満の温度であるのが好ましい。加熱温度を上記範囲内とすることにより、被覆層のみが融ける。これにより酸化物無機粒子層12は、被覆層が接着剤として機能すると共に、芯材がシート状の構造を保持する。また加圧圧力は、0.04MPa以上5MPa以下であるのが好ましい。加圧圧力が0.04MPa未満であると、基材16を剥離した場合に基材16に酸化物無機粒子が残ってしまい、多孔質層14に均一に酸化物無機粒子層12を形成することができない。加圧圧力が5MPa超であると、多孔質層14内へ酸化物無機粒子が入り込み、透気度の値が増大してしまうことになる。
加熱加圧した状態を所定時間保持した後、所定温度まで冷却することにより、被覆層が再び固化する。これにより酸化物無機粒子層12を多孔質層14に固定することができる。
次いで、基材16を酸化物無機粒子層12から剥離する(図2C)。このようにして多孔質層14の一表面に酸化物無機粒子層12が固定された積層体10を作製することができる(図2D)。
(3)作用及び効果
上記のように積層体10は、一旦、基材16に形成した酸化物無機粒子層12を、多孔質層14に固定した後に、前記基材16を剥離して積層体10を形成することとした。これにより酸化物無機粒子が多孔質層14内に入り込むのを防ぐことができるので、多孔質層14の内部の空隙を閉塞せずに多孔質層14の表面に酸化物無機粒子層12を形成することができる。
積層体10は、基材16に形成した酸化物無機粒子層12を多孔質層14の表面に積層し、加熱加圧することにより、酸化物無機粒子層12を多孔質層14に固定する。加熱温度は、被覆層を構成する材料の融点以上の温度であって芯材を構成する材料の融点未満の温度とし、加圧圧力は0.04MPa以上5MPa以下とした。これにより多孔質層14の被覆層が接着剤として機能すると共に、芯材が無数の空隙が形成された構造を保持し、酸化物無機粒子が多孔質層14内に入り込むのを防ぐ。したがって積層体10は、多孔質層14の内部の空隙を閉塞せずに多孔質層14の表面に酸化物無機粒子層12を形成することができる。
作製された積層体10は、透気度が40秒/100cc以下である。したがって本実施形態に係る積層体10は、従来の微多孔性フィルムセパレータに比べ、透気度の値が小さい。すなわち積層体10は、リチウム二次電池のセパレータとして用いた場合、リチウムイオンがより容易に移動することができ、リチウム二次電池の電気的特性を向上することができる。
また積層体10は、前記酸化物無機粒子層12の表面を1000倍のSEMで観察した際の前記酸化物無機粒子層12が欠落した空間の最大長さが3μm以下である。したがって積層体10は、ピンホールが形成されるのを防いで、酸化物無機粒子層が設けられた耐熱性のある不織布セパレータとすることができる。
酸化物無機粒子層12は、基材16上で所定厚さに精度よく形成することができる。したがって本実施形態に係る製造方法は、所定厚さの酸化物無機粒子層12を多孔質層14の表面に備えた積層体10をより確実に作製することができる。
2.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
上記実施形態の場合、多孔質層14は、芯材と被覆層とを有する複合繊維で形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られない。多孔質層14は、複合繊維と、単一の熱可塑性樹脂で形成された単一繊維とを混合して形成してもよいし、異なる熱可塑性樹脂で形成した2種類の単一繊維を混合して形成してもよい。
酸化物無機粒子層12は、多孔質層14の一方の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、多孔質層14の一方及び他方の表面に設けてもよい。
3.実施例
次に本発明に係る実施例について説明する。以下、実施例に用いた試料の内容、及び評価結果の順に説明する。
(1)試料
上記「(2)製造方法」に示す手順で積層体を作製した。なお、試料は、無機層塗料、基材、多孔質層、条件をそれぞれ変えて作製した。以下、その内訳を詳細に説明する。なお本実施例中に記載する符号は、各試料を区別するために付したものであり、上記実施形態において付した符号とは無関係である。
(1−1)無機層塗料
無機層塗料は、表1に示すように、酸化物無機粒子、バインダー、重量比、溶媒が異なる11種類を用意した。なお、表中の平均粒径の測定には、酸化物無機粒子の分散性が良好となる分散媒で濃度0.1%以下となるようスラリーを調整し、ゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子(株)製 ELSZ−2)を用いた。同測定システムにおいて、動的光散乱法によりセル:DLS角セル(NELS)ディスポ、溶媒:使用溶媒、測定ルーチン:標準粒径、NDフィルター:自動調整にて、平均粒径(重量換算)を測定した。
(無機層塗料1)
酸化物無機粒子として動的光散乱法による平均粒径(重量換算、分散媒:IPA)が0.40μmであるベーマイト(アルミナ一水和物)粉末(セラシュールBMM、河合石灰工業(株)製、平板状)0.57g、バインダーとしてポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製 エスレックBL−1)0.03g、溶媒としてイソプロピルアルコール5.40gを混合し、固形分濃度10%かつベーマイトとポリビニルブチラールが重量比95/5となる無機層塗料1を得た。
(無機層塗料2)
ベーマイト粉末を0.58g、ポリビニルブチラールを0.02gとし、ベーマイトとポリビニルブチラール重量比を97/3とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料2を得た。
(無機層塗料3)
ベーマイト粉末を0.48g、ポリビニルブチラールを0.12gとし、ベーマイトとポリビニルブチラール重量比を80/20とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料3を得た。
(無機層塗料4)
ベーマイト粉末を0.30g、ポリビニルブチラールを0.30gとし、ベーマイトとポリビニルブチラール重量比を50/50とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料4を得た。
(無機層塗料5)
バインダーとしてポリウレタンディスパージョン(宇部興産(株)製 UW−1005−E、固形分濃度30%)を0.6g、溶媒としてイソプロピルアルコール2.68gとイオン交換水2.68gの混合溶液を用いた以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料5を得た。
(無機層塗料6)
バインダーとしてシリカバインダーを0.19g、イソプロピルアルコールを5.24gとした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料6を得た。なお、シリカバインダーは、以下の手順で作製した。テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製、商品名「メチルシリケート−51」)313.33gをエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル312.52gに溶解させ、これに0.1モル/L濃度の硝酸33.33g、水206.88g及びエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル133.94gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度が16質量%のシリカバインダーを得た。
(無機層塗料7)
酸化物無機粒子として動的光散乱法による平均粒径(重量換算、分散媒:水)が0.59μmであるベーマイト粉末(セラシュールBMB、河合石灰工業(株)製、粒状)を用いた以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料7を得た。
(無機層塗料8)
酸化物無機粒子として動的光散乱法による平均粒径(重量換算、分散媒:水)が0.05μmであるアルミナゾル(AL520、日産化学工業(株)製、板状、濃度30%)、バインダー成分をポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製 重合度約1500)、溶媒を水とし、アルミナゾル1.90g(乾固重量0.57g)、ポリビニルアルコール0.03g、イオン交換水4.07gとした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料8を得た。
(無機層塗料9)
酸化物無機粒子として動的光散乱法による平均粒径(重量換算、分散媒:水)が1.00μmであるシリカ粒子(ハイプレシカFQ、宇部エクシモ(株)製、球状)を用い、シリカ粒子とポリビニルブチラールが重量比90/10とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料9を得た。
(無機層塗料10)
酸化物無機粒子として動的光散乱法による平均粒径(重量換算、分散媒:水)が2.80μmであるシリカ粒子(ハイプレシカTS、宇部エクシモ(株)製、球状)を用い、シリカ粒子とポリビニルブチラールが重量比90/10とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料10を得た。
ベーマイト粉末を0.285g、ポリビニルブチラールを0.015g、イソプロピルアルコールを5.300gとし、固形分濃度を5%とした以外は無機層塗料1と同様に調整し、無機層塗料11を得た。
Figure 2015085526
(1−2)基材
基材として、表2に示す3種類の転写基材を用いた。ポリイミドフィルム(PI、ユーピレックス25S、宇部興産(株)製、厚さ25μm)を転写基材1とした。ポリプロピレンシート(PP、クリアホルダーCH1036C、ナカバヤシ(株)製、厚さ200μm)を転写基材2とした。環状オレフィンコポリマーフィルム(COC、Fフィルム、グンゼ(株)製、厚さ100μm)を転写基材3とした。なお、転写基材2については、コロナ表面処理装置(春日電機(株)製、CORONA GENERATOR CT−0212)において、出力:0.07kW、スピード:1.25m/分、パス数:2にて表面の親水化処理を行った。
なお表中の表面粗さRz(nm)の測定には、原子間力顕微鏡(NANOSCALE HYBRID MICROSCOPE VW−8000、(株)キーエンス製)にて、カンチレバーにOP−75041を用いた。同顕微鏡において、スキャン:範囲200.00μm×200.00μm、角度0°、解像度:サンプリング数512×512、間引き数1、モード:DFM、レベルHで、各転写基材の表面の形態を観察した。解析は、解析ソフトとしてVN ANALYZERを用いて補正(フラット補正、面傾き補正(プロファイル))を行ったのち、JIS B0601(1994)で規定する十点平均粗Rzを算出した。
Figure 2015085526
(1−3)転写層の作製
所定の大きさにカットした転写基材1に、無機層塗料1をマイヤーバー(松尾産業、No.20、ウェット膜厚28μm)を用いたバーコート法により塗布した。120℃で2分間乾燥させることで無機層塗料1を固化して酸化物無機粒子層を形成し、転写層1を作製した。転写層1の無機層塗料、転写基材、塗工方法、得られた酸化物無機粒子層の厚さ(「無機層厚さ」欄)及び乾燥条件を表3に示す。なお、転写層14および転写層16に関しては、塗布、乾燥を1回として、所定の番手のマイヤーバーにて繰り返し塗布して作製した。表3「塗工方法」欄に、「用いた番手×繰り返し回数」を記載した。
転写層1に対し、無機層塗料、転写基材、塗工方法、得られた酸化物無機粒子層の厚さ及び乾燥条件を変更し、転写層2〜転写層17を作製した(表3)。
Figure 2015085526
(1−4)多孔質層
多孔質層は、ポリプロピレンで形成された芯材と、ポリエチレンで形成された被覆層とを有する複合繊維を用い、湿式法で形成された不織布を用いた。まず所定量の複合繊維を長さ5mmに切断した短繊維(低融点成分と高融点成分の体積比43/57、未延伸)を、粘度調整剤を加えた水15L中に均一に分散させ分散液を作製した。次いで、分散液を寸法250×200mmのメッシュ上に抄紙して、湿ったウエブを作成した。得られた湿ったウエブをプレス機(HP−54A、(株)ハシマ製)にて2枚のゴム製の加熱板(図示しない)間に挟み、温度140℃、圧力0.049MPaで1分間プレスして乾燥した。これにより短繊維の被覆層が溶融し、短繊維間が接合された不織布1を作製した(表4)。
不織布1に対し、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、HLB40、第一工業薬品(株)製)の0.1%水溶液を、SDS/不織布重量比=5/95となるように不織布にスプレーし、80℃で10分乾燥させることで親水化処理を行った不織布2を得た。また不織布1に対し繊維の太さ(表中「繊度」)、低融点成分と高融点成分の体積比、目付量を変えて不織布3を得た。さらに、不織布3に対し、複合繊維とポリプロピレンで形成された単一繊維とを混合し、不織布1と同様に不織布を作製後、さらに温度145℃、圧力20MPaで10分間プレスすることで表面を平坦化して不織布4を得た。
被覆層の融点は、示差走査熱量測定装置(DSC 4000、PerkinElmer
Co.,Ltd.製)を用い、昇温速度10℃/分にてポリエチレンの融点である低融点及びポリプロピレンの融点である高融点を測定した。
Figure 2015085526
(1−5)加熱加圧条件
転写層は5.5cm角とした。多孔質層としての不織布は5cm角とした。転写層と不織布を積層し所定温度、所定圧力にて加熱加圧した。その後、80℃まで冷却し、転写層から転写基材を剥離した。これにより不織布上に酸化物無機粒子層が積層された積層体を作製した。
表5中、実施例1〜21、24、25、比較例1〜3、5〜7は、ホットプレス機(Mini Test Press 10、シリンダ断面積S=33.18cm、(株)東洋精機製作所製)を用いた。面圧が均一になるようにテフロン(登録商標)シートで保護した2枚のゴム板(バイトン、厚さ2mm、耐熱温度200℃)で、酸化物無機粒子層面が不織布と重なるように積層した転写層および不織布を挟み、上記ホットプレス機にて所定温度、所定圧力で3分間加熱加圧処理を行った。なお「圧力P(MPa)=圧縮加重F(kN)/プレス面面積S」の式より、試料にかかる面圧が所定圧力Pとなるよう圧力ゲージ内の圧力およびゴム板の断面積を調節した。したがって、実施例1〜18、20、21、24、25および比較例1〜3、6、7は、サンプルにかかる圧力が0.41MPaとなるよう、20cm×20cmのゴム板を使用し、圧力ゲージ内の圧力を5MPaとして加圧処理を行った。実施例19については、サンプルにかかる圧力が3.32MPaとなるように、10cm×10cmのゴム板を使用し、圧力ゲージが10MPaとなるよう加圧処理を行った。比較例5については、サンプルにかかる圧力が6.63MPaとなるように圧力ゲージを20MPaとした以外は実施例19と同様に加熱加圧処理を行った。
実施例22、23、比較例4は、プレス機(HP−54A、プレス面寸法=40cm×50cm、(株)ハシマ製)を用いた。2枚のゴム製の加熱板間に酸化物無機粒子層面が不織布と重なるように積層した転写層および不織布を挟み、上記プレス機にて所定温度、所定圧力で3分間加熱加圧処理を行った。
なお、実施例24は、不織布の両面に酸化物無機粒子層面が重なるよう転写層/不織布/転写層の順で積層した以外は実施例3と同様に加熱加圧処理を行った。実施例25は、転写層1を転写層14にした以外は実施例24と同様に加熱加圧処理を行った。比較例1は、実施例1に対し転写層を転写層4に変えた。比較例2は実施例1に対し加熱温度を不織布の低融点未満である110℃とした。比較例3は実施例1に対し加熱温度を不織布の高融点超である170℃とした。比較例4は実施例1に対し加圧圧力を下限未満の0.01MPaとした。比較例5は実施例1に対し加圧圧力上限超の15MPaとした。比較例6は、実施例1に対し転写層16に変えた。比較例7は、実施例1に対し転写層17に変えた。比較例8は、不織布1に、無機層塗料1をマイヤーバー(松尾産業、No.20、ウェット膜厚28μm)でバーコート法により塗布し、120℃で2分間乾燥する操作を、表面に空孔部が確認されない平坦な塗膜となるまで繰り返し5回行うことで作製した。
(2)評価
酸化物無機粒子層に対し、セロハンテープで転写基材より酸化物無機粒子層を20mm程度剥離させ、剥離部の段差を測定することで膜厚を求めた。段差の測定は、レーザー顕微鏡(PROFILE MICROMETER VF−7500、(株)キーエンス製)を用いて、倍率2500倍、スムージングTYPE1C、25μm未満の無機粒子層についてはPitch0.01μm、Z−dist30μmで、25μm以上の無機粒子層についてはPitch0.1μm、Z−dist300μmとして無作為に3箇所測定し、その平均値を膜厚として表3中の「無機層厚さ」欄に記入した。
得られた積層体に対し、マイクロメーター(クーラントプルーフマイクロメーターMDC−25MJ、(株)ミツトヨ製)を用いて無作為に3点の厚さを測定し、その平均値を積層体の厚さとして表5中の「厚さ」欄に記入した。
透気度の測定には、JIS P−8117準拠の透気度計(ガーレ式デンソメーターG−B2、東洋精機(株)製)を用いた。積層体を透気度計の試験台に設置し、円筒重量567gの加重をかけ、この積層体10の直径28.6mm(面積645mm)を300ccの空気が通過するのに要する時間を3点測定した。測定した値の平均値を3で割りかえすことで透気度(秒/100cc)とし、表5中の「透気度」の欄に記入した。
転写率の測定には、蛍光X線測定装置(SEA2120、セイコー電子工業(株)製)を用い、転写層を不織布に固定する前(転写前)、及び固定後(転写後)の転写層における酸化物無機粒子(MOあるいはMO・nHO)に含まれる金属元素Mのカウント数を測定した。さらに、そのX線強度差より算出したM減少率(=(転写前-転写後)/転写前×100(%))を転写層からの酸化物無機粒子剥離率、すなわち転写率とした。たとえばベーマイト(Al・HO)の場合、同測定装置において、時間100秒、管電圧15kV、管電流122μA、コリメーターφ10.0mm、真空下、フィルターOFFにて測定し、ベーマイト転写率を算出した。他の酸化物無機粒子の場合も、所定の条件にて同様に転写率を測定した。転写率が90%以上を「A」、90%未満70%以上を「B」、70%未満50%以上を「C」、50%未満20%以上を「D」、20%未満を「E」とし、表5中の「転写率」の「評価」欄に記載した。
ピンホールの確認には、熱電子放出型走査電子顕微鏡(S−3500H、(株)日立製)を用いた。1000倍の画像において、積層体の酸化物無機粒子層表面を確認した。その結果、上記空孔がある場合は「有」、ない場合は「無」を表5中の「ピンホール」の欄に記入した。
多孔質層内への酸化物無機粒子の入り込みの有無は、光学顕微鏡((株)ニコン製、工業用顕微鏡ECLIPSE LV100ND)において確認した。積層体をエポキシ樹脂で包埋してダイヤモンドカッターを用いてミクロトームで切断し、縦断面を光学顕微鏡で観察した。その結果、入り込みがある場合は「有」、ない場合は「無」を表5中の「断面」の欄に記入した。
表5に示す結果から明らかなように、実施例1〜25は、加熱加圧条件が所定範囲内であるので、いずれも透気度が40秒/100cc以下であることが確認できた。また図3は、実施例1の熱電子放出型走査電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。本図から明らかなようにピンホールも確認されなかった。さらに図4は、実施例1に係る積層体の縦断面における光学顕微鏡写真(1000倍)である。本図から明らかなように多孔質層内への酸化物無機粒子の入り込みは確認されなかった。これにより実施例1〜24に係る積層体は、内部の空隙を閉塞せずに多孔質層の表面に酸化物無機粒子層が形成されていることが確認できた。
一方、比較例1,2,4,6,7はピンホールが確認された。比較例1,2,4については、ピンホールは転写率が低下したことにより生じたと考えられる。比較例1は、酸化物無機粒子の重量比がほかに比べて低い転写層4を用いているため、転写率が低下したと考えられる。また比較例2は加熱加圧条件における加熱温度が下限未満、比較例4は加圧圧力が下限未満であるため、酸化物無機粒子層と不織布とが接着不良を起し、転写率が低下したと考えられる。また、比較例6は転写率80%であったものの、膜厚が薄すぎるために酸化物無機粒子層の機械的強度が弱く、不織布の空孔部でピンホールが発生していることが確認された。比較例7は転写率78%であったものの、膜厚が厚すぎるために酸化物無機粒子層の曲げ方向に対する強度が低下した結果、転写後の酸化物無機粒子層にクラックが発生していることが確認された。
比較例3,5,8は透気度の値が40秒/100cc超であった。比較例3は加熱加圧条件における加熱温度が上限超、比較例5は加圧圧力が上限超であるため、多孔質層内へ酸化物無機粒子が入り込み、不織布の空隙を塞いでしまったためであると考えられる。比較例3は、加熱温度を不織布の高融点以上としたことにより、不織布の芯材が融け空隙が塞がったためであると考えられる。比較例8は、単に不織布に無機層塗料を塗布したので、不織布の空隙に酸化物無機粒子が入り込み、不織布の空隙を塞いでしまったため透気度の値が大きくなったと考えられる。
Figure 2015085526
10 積層体
12 酸化物無機粒子層
14 多孔質層
16 基材

Claims (5)

  1. 酸化物無機粒子とバインダーとを含み基材上に形成された酸化物無機粒子層を、芯材と前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する繊維で形成された多孔質層の少なくとも一方の表面に、積層して加圧加熱する工程と、
    前記多孔質層に固定された前記酸化物無機粒子層から前記基材を剥離する工程と
    を備えることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記被覆層がポリオレフィン系樹脂で形成され、
    前記酸化物無機粒子層の厚さが0.5μm〜35μmである
    ことを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 前記酸化物無機粒子は、重量平均粒径が0.05μm〜3.00μmであり、
    前記酸化物無機粒子と前記バインダーの重量比が99/1〜75/25であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体の製造方法。
  4. 前記加圧加熱する工程は、
    前記被覆層を構成する材料の融点以上、前記芯材を構成する材料の融点未満の温度で加熱し、
    0.04MPa以上5MPa以下の圧力で加圧する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
  5. 酸化物無機粒子とバインダーとを含み基材上に形成された酸化物無機粒子層を、芯材と前記芯材の表面に形成された被覆層とを有する繊維で形成された多孔質層の少なくとも一方の表面に、積層して加圧加熱して、前記酸化物無機粒子層を前記多孔質層の表面に固定し、
    前記多孔質層に固定された前記酸化物無機粒子層から前記基材を剥離して形成され、
    透気度が40秒/100cc以下であり、前記酸化物無機粒子層の表面を1000倍のSEMで観察した際の前記酸化物無機粒子層が欠落した空間の最大長さが3μm以下である
    ことを特徴とする積層体。
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